香川県境トレイル 5泊6日の旅

平成29年3月17日〜3月22日
スタート:余木崎 (愛媛県と香川県の西部県境)
ゴール :県境岬 (徳島県と香川県の東部県境)


香川県境トレイル の概要

香川県の県境尾根は通常「阿讃山脈」と呼ばれたりしているが、事実上県境は余木崎から大谷山〜金見山〜三角点「海老済」(えびすくい)
までは愛媛県との県境尾根となっている(予讃山脈?)。又 東部での香川と徳島の県境は東の中山峠(清水峠)で一旦山間部から国道193
号線に下りてからの県境は槇川、日開谷川の中を通る。そして五名トンネル辺りから又阿讃県境尾根となって引田の県境岬まで続いている。

香川の県境歩きで一番難しい場所が実は山間部ではなく、その間を繋ぐ平地部分にあると言える。(竹屋敷〜御所野辺りの記録はむらくもさん
のブログ位かな?)。

HPやブログでは阿讃山脈の県境歩きは部分的に歩いての記録が沢山見られるが、この平地部分を通して歩いた記録は無い。特に香川の東部
県境に於いては極端に少ない。

従って、この山あり川ありの香川県境歩きを「香川県境トレイル」と名付けて5泊6日で歩いてみる事にした。もちろん縦走スタイルは
単独無支援である。



カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  香川県境トレイル 余木崎から引田県境岬まで 5泊6日

縦走の日数と機会

香川県境130km程を単独無支援縦走するには最低6日はかかる。と言う事はやはり実行可能なのは定年退職後となる。あまり歳を取り
過ぎると
6日での単独縦走は難しくなるだろう。 順路はどちらからでも同じ様な物だが、石鎚〜剣山トレイルの経験から最初の余木崎〜
中山峠(全体の約3分の2)を先に歩き、残りを余力で引田まで乗り切る作戦を取った。


縦走の季節

香川県境は標高が最高でも千メートルちょっとの低山帯となるからササダニの活動期は避けたい。それと歩行可能時間に関して、日照時間
が12時間以上ある時期となると3月中旬から4月までが理想的だと思う。秋もチャンスがあるが日照時間が短くなってしまう。

この時期であれば1日当りの水の消費量も少なくて済むだろう。

走の装備と水場

香川県境縦走を6日間で切り上げるには一日の歩行距離、時間が長くなるので装備を出来るだけ軽くする必要がある。歩ける所まで進んで
そこでビバークをする事になるのでテントよりツェルトの方が軽くて利便性が高い。装備は水を含めて13kgを目標にしよう。


      


ツェルトを使用

今回の縦走ではテントは使わず ファイントラックのツェルトIIロングを使用した 細引きロープ、ペグを入れても700g程だ。
グラントシートに kazashi さんから貰った建材用タイベックシートと室内用に安物銀マットを敷けば快適な住居となる。


   ストックはモンベル ULフォールディング  サコッシュはモンベルのナイロンショルダー2個繋いだもの 
   ザックは オスプレー エクソス58(1,1400g) フロントポケットがネットになっておりグランドシートと銀マットをねじ込める

  
食料は3分の1は残ってしまった                             手前は浄水器

  
 ドライサックでレインカバーは持たず リバテープとホッカイロが足らなかった   地図はA4サイズで30枚(東経・北緯各10秒毎の線入り)


水場に関しては、西の愛媛県との県境側「余木崎」から縦走をスタートさせれば1日目の夕方には雲辺寺の自動販売機@で補水出来る。
次に確実に補水出来るのが中山峠の国道193号線にある自動販売機Aだ。この間に1〜2回山で谷水を補水する必要がある。


そこで東山峠、六地蔵越、三頭越で事前に沢水の場所をチェックした。一応沢水は浄水器を通して採水し、バーナーで沸騰させる為に今回
は固形燃料(エスビット)やアルコールストーブ(エバニュー チタン)は用いず火力の強いガスバーナー(プリムスIP−110ボンベ
とプリムスP−115フェムトストーブ)を選択。


最終自動販売機Bは五名トンネル(境目の西側)手前の県道377号線沿いにある。東部の境目地区から最終県境尾根に入る手前にあるこ
の自動販売機は重要な補水場所であり、ここで引田町の県境岬まで
1日半の補水を行わなければならない。
(尚、中山峠を下りた後は国道沿いの商店前、県道377号線に入ってすぐ右側にも自販機がある。)

  
水場その1 雲辺寺の通夜堂にある茶色い自販機     水場その2 六地蔵越から徳島側に5分下がった右手の沢

  
水場 その3 東山峠 香川県側10分の沢      水場 その4 三頭越 香川県側5分 久保谷の水場

 

水場 その5 土器川源流 (不適) 浄水器必要          水場 その6 最終自販機 五名トンネル手前(前方左の赤い場所)

食料は中山峠に下りた場所に小規模な商店がある。夕方までにこの国道193号線奥山地区の商店まで下山出来れば食糧を水と共に補充
する事が出来る。


縦走前後の交通手段

往路:縦走開始当日の未明に高松(国分寺)から車で余木崎県境にある「道の駅とよはま」の山際にある無料駐車場を利用
   (鳥越製麺所=うどん屋の斜め前) 国道11号線の北側にコンビニ「ローソン」がある=行動食調達
   縦走後、国分寺(端岡駅)〜(JR普通)〜坂出〜(特急)観音寺〜(普通)〜箕浦駅 徒歩にて余木崎の車を回収

復路:国道11号線県境部からJR「讃岐相生」駅までトボトボ歩く トンネルを抜けると左手にコンビニ「ローソン」有り
   讃岐相生〜(JR普通)〜引田〜(普通乗り換え)〜高松〜(JR普通)〜国分寺(端岡)〜自宅の風呂に直行〜〜

上記交通費は行動食費用を含めて総額5〜6千円程、食料、燃料は去年の残りを使用、これで6日間遊べるんだから安いもんです


実際の行程

第一日目 平成
29317日(金)天気 晴れ
行程:   余木崎〜雲辺寺
歩行距離:約17.8km 歩行時間:0630分〜1700分 約10時間30
ポイントは余木崎11号線から直接三角点「余木崎」への這い上がりと曼陀峠の尾根取り付木ルート


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 余木崎〜雲辺寺山




第二日目 平成29318日(土)天気 晴れ
行程:    雲辺寺〜東山峠手前のビバーク地(N34-06-05.8 E133-51-57.6 )
歩行距離:約20.7km 歩行時間:0620分〜1740分 約11時間20
ポイントは若狭峰三角点から県境を拾って下り、猪ノ鼻峠までの県境尾根ルート


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図    雲辺寺山〜東山峠手前のビバーク地


  
第三日目 平成29319日(日)天気 晴れ
行程:    東山峠手前のビバーク地〜立石峠(二双越)付近のビバーク地
歩行距離:約19.3km 歩行時間:0620分〜1750分 約11時間30
ポイントは土器川源流付近(滝ノ奥)の県境ルートと三角点「勝浦」(伐採木の下敷き)


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図   東山峠手前のビバーク地〜立石峠付近のビバーク地



第四日目 平成29320日(月)天気 晴れ後雨
行程:    立石峠(二双越)付近のビバーク地〜中山峠(国道193号線)
歩行距離:約26.3km 歩行時間:0610分〜1820分 約12時間10
ポイントは三角点「平帽子」の確認 (縦走路から外れている)と中山峠への下山時間


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図   立石峠付近のビバーク地〜中山峠



第五日目 平成29321日(火)天気 雨〜曇り〜晴れ
行程:    中山峠〜上畑(鵜峠手前4.5km)ビバーク地(N34-10-13.9  ,  E134-18-16.3 ) 
歩行距離:約22.0km 歩行時間:0700分〜1810分 約11時間10
ポイントは竹屋敷から御所野までの県境尾根ルートと中尾峠南付近からの県境尾根への取り付きルート


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 中山峠〜上畑(鵜峠手前4.5km)ビバーク地(N34-10-13.9  ,  E134-18-16.3



第六日目 平成29322日(水)天気 晴れ
行程:    上畑(鵜峠手前4.5km)ビバーク地 〜 引田県境岬 
歩行距離:約25.5km 歩行時間:0600分〜1830分 約12時間30
ポイントは鵜峠までのヤブ尾根下りと大坂峠展望所より県境岬までの県境尾根ルート


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 鵜峠手前4.5kmビバーク地(N34-10-13.9  ,  E134-18-16.3 〜引田県境岬


縦走のこだわり

単独無支援で縦走を完結する事にこだわった
県境部が歩ける所は阿讃縦走コースから外れてもなるべく県境尾根や県境部を歩く事にした
  特に最初の余木崎と最後の引田県境岬ではキッチリ足跡を残す事にこだわった
三角点は県境尾根上に50基あるので全てを踏む事にした (三角点「勝浦」だけは伐採木に埋もれて踏めなかった)


反省点

寒波による電池消耗
  思わぬ寒波襲来により充電式電池(12本)の消耗が激しく、中山峠西方では電池セーブの為GPS使用を断続的にせざるを得なかった。
  縦走中の電池保管はポケットに入れて体温で温めるか、保管袋にホッカイロを入れるべきだった。
縦走に折り畳み傘は必携
  今回重量セーブの為,折り畳み傘を所持品リストから除外した。体や荷物の雨対策は十分だったがGPSや地図を見る為に傘が必要だったと反省
  竹屋敷〜御所野間で雨が激しく地図やGPSを出せず事前調査時の記憶頼りでルートミスの原因となった。
山間部での水補給
  今回は山間部での水補給を土器川源流にこだわったのだが、あまり流れのない源流を見て覚悟はしていたがガックリした。しかし後で考えると
  この源流部に捉われる事は無く、県道108号線を少し下れば川の流れがある場所があった様な気がする。
  山間部ので補水は事前調査をした三頭越の久保谷が良かったのかも知れない。
道路合流部での注意深さが足りなかった
  県境部に道路、林道が交差すると尾根部が崩されてルートがややこしくなる。
  真鈴峠では舗装道路の切通しから裏側に回り込めば道があったのだが、道路を歩いてしまい擁壁保全路を県境尾根に這い上がったり、
  東部では三角点「定久」の  南側で交差林道に下りてしまい、谷崖を県境尾根まで這い上がる羽目になり時間をロスしてしまった。
  又、大坂峠展望所から安易に遍路道を下がってしまったりと・・・・・じっくり地図を見れば避けられた失敗が何度かあった。


登山記

  第1日目 余木崎〜雲辺寺山は                 ここ     

  第2日目 雲辺寺山〜東山峠手前の野営地は        ここ     

  第3日目 東山峠手前野営地〜立石峠付近の野営地は  ここ     

  第4日目 立石峠付近野営地〜中山峠(清水峠)は     ここ     

  第5日目 中山峠〜上畑(鵜峠手前)野営地は        ここ     

  第6日目 上畑野営地〜引田県境岬は             ここ     




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