究極の修験の道「大峯奥駈道(おくがけみち)」を歩く
平成28年5月31日~6月5日


第3日目(6月2日)晴れ  (大峰山脈のメインエリア 最高峰 八経ヶ岳へ )

行者還避難小屋~弁天の森~弥山~八経ヶ岳~明星ヶ岳~五鈷峰~仏生ヶ岳
    ~(補水)孔雀岳~釈迦ヶ岳~深仙小屋


行動時間:05時15分~20時20分  約15時間

     
     カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  行者還避難小屋~深仙小屋

ハードな一日となった。

奥駈道の3日目も行者還避難小屋にて金光さんにつられて四時過ぎに起きる。お湯を沸かしてビーフシチューを作る。っても単
にお湯をかけてかき混ぜるだけの事だけど・・・普段は色々食欲満点なんだけど山歩きの途中では不思議と食欲はあまり無い。 

金光さんを見送ってゆっくり準備をして外に出ると天気が良いが行者還岳の稜線には霧が出ていた。写真を撮りに来ていた男性も
良い写真は撮れなかっただろう。写真家に挨拶をして05時15分小屋の南側へ続く縦走路に向かう。


ブナなどの広葉樹が茂る明るい稜線を進むとやがて足元がバイケイソウに覆われる。そう言えば昨夕行者還避難小屋付近でシカが
走り去るのを見かけたが、シカの生息する場所にバイケイソウとシダが生え残っているのは四国の山も同じだ。しかし剣山系の山
みたいにシカの姿を多く見かけたりシカの警戒音をあまり聞くことは無かった。


06時になると岩が点在して尾根道にはクサタチバナの花が咲いている。その後、岩っぽい尾根になるとシカ防護ネットが敷設
されていた。


振り返ると昨日歩いた大普賢岳とそれに続く小普賢岳、日本岳の岩峰が並ぶ。讃岐の里山で言えばおむすび三兄弟の様なピーク
が並んでいる。しばらくすると今度は前方に台地の様な弥山と少し尖った八経ヶ岳のセットが見えた。これも四国の山で例える
なら牛ノ背と天狗塚と言ったところだろうか。


  
05時15分 行者還避難小屋から南側の尾根に進む         05時50分 足元は笹からバイケイソウに変わる

  
06時になると石灰岩の様な白っぽい岩が現れクサタチバナが群生している   尚も岩っぽい尾根だが傾斜は緩やかだ

  
シカ防護ネットが設置されている                     振り返ると大普賢岳、小普賢岳、日本岳の稜線が見える

  
八経ヶ岳(左)と弥山(右のなだらかな山)            要所に置かれた大峯奥駈道の道標 (行者還トンネルの上が現在地)


美しい樹林帯が続き、この下に行者還トンネルが通っているのが信じられない。この辺りは弥山への登山道が右からも左からも
伸びている奥駈道では最も人通りが多い場所だ。でも誰とも会わない・・・


07時00分「一ノ多和」に着く。標識の横には小さな池があり今はシカの水飲み場だろうが昔は貴重な水場だったのだろう。
この場所から真南に下がって来た大峯奥駈道は真西に方角を変えて弥山までの標高差380m程をゆっくりと詰めていく。ブナ
やカエデの葉が日差しを遮って比較的なだらかな尾根は気持ちの良い歩きを提供してくれる。


07時45分石標がありここが「奥駈出合」すなわち行者還トンネル西口への分岐である事がわかる。日本百名山「大峰山」を
目指す登山者はこの山脈の最高峰である八経ヶ岳と弥山にトンネル西口から上がって来る様だ。


  
06時58分「一ノ多和」を通過 小さな池がある       左手には和佐又へ延びる谷筋と高塚山から北山川へ落ちる尾根が見える

 
  この一ノ多和近くにある標識も後何年字が読めるのだろう  
           
  
  前方にピークが見える                         07時45分 奥駈道出合いの石標を通過


弁天の森 三等三角点「聖宝」(しょうぼう) 1,600.54m

古(いにしえ)の修験者はこの奥駈道にある樹木、転がる倒木や石くれにまで神が宿ると信じて歩いたのだろうか? 前方にピ
ークが見えるがそこまでもなだらかな印象で標高差を感じさせない。08時10分「弁天の森」の標識と三角点に着いた。
ここに山頂標識と三角点が無かったら見過ごしそうな平凡なピークである。

弁天の森からも概ねなだらかで広い森を歩くので普段ならコンパスが必要なのだが、良く踏まれた明瞭な道があるので道迷いの
心配は無い。ここまで来ると行者還トンネルから来たと思われる軽装の登山者をチラホラ見受けられる。相変わらずのバイケイ
ソウ道を歩いていると誰かがこちらを見ている気配がした。08時45分この穏やかな視線は理源大師「聖宝」(しょうぼう)
さんの像であった。この辺りに「聖宝の宿」があったらしい。


庶民的な顔をした聖宝さんに見送られてしばらく歩くと次第に道に根っこや岩が出てきて少し険しげな上りとなる。

  
広葉樹の明るい縦走路                           ここが山頂?  弁天の森

  
08時10分 三角点があり「弁天の森」標識がある  三等三角点名は「聖宝」(しょうぼう) 

  
地形的には非常に迷いやすい場所だが標識や踏み跡がある   バイケイソウも出て来た


   森の中に優しく見つめる理源大師「聖宝」像がある 近くに「聖宝の宿」の石標が立っていた


弥山 1,895m

09時10分木道の急登になり喘ぎながら高度を上げる。ここで息を切らした年寄(同年代?)を追い越し軽快な若者に道を譲
る。
振り返ると行者還岳、大普賢岳とその向こうに山上ヶ岳が見える。長い縦走路を振り返るのは感慨深いものがある。

カニコウモリの群生を足元に見ながら09時30分やっと弥山肩部の尾根筋に上がる。すると広大な紀伊山地が眼前に広がる。
どこまでも広がるこの紀伊山地のど真ん中を自分は今歩いているのだ。


09時45分最後の鉄階段を上ると庭園の様な美しい風景の中に大きな山小屋が建っている。とてもデカい建造物だが不思議と
周りの景色に調和していた。
小屋の女主人が清掃作業をしていたので「小屋で何か食べれますか?」と聞くと「インスタントラ
ーメンしかありませんけど」と言うので弥山小屋の玄関口へ回り記念バッジとポカリスエットを2本買いカップラーメンにお湯
を入れてもらう。


玄関口は登山者の休憩所として提供されており、一人の若者がバーナーで自炊をしていた。聞くと何も買わなくても「どうぞお
使い下さい」とくだんの女主人が休憩所を使わせてくれたと喜んでいた。
インスタントラーメンをすすりながら大峯奥駈道を歩
くのが夢だと言うその若者にここまでの旅の様子を得意げに話す。


先が長いので手早くラーメンを切り上げて鳥居をくぐって弥山の山頂へと進む。自然の成り行きかはたまたシカの仕業か立ち枯
れが酷い山道を抜けると広い山頂部に出た。
ここには三角点は無く天川神社の奥宮「弥山神社」が祀られている。単独の男性と
写真を撮り合った後大峰山脈の最高峰「八経ヶ岳」へと進む事にする。


  
岩がゴロゴロする道が続く                          奥:山上ヶ岳 右:大普賢岳 手前:行者還岳を振り返る

  
延々と木道が続く                               尾根筋へ上がる

  
尾根に上がると大普賢岳と大台ヶ原の山々が眼前に広がる               最後は鉄階段を上がる

  
庭の様な綺麗な山頂                             09時50分弥山小屋で山頂バッジを買う

  
  弥山神社への鳥居                           立ち枯れの弥山山頂へ


10時15分 弥山山頂の弥山神社(天川奥宮)にて


   関西の最高峰 八経ヶ岳 (標高 1,915.17m へ向かう   左奥に頭を出すのが釈迦ヶ岳


八経ヶ岳 二等三角点「弥仙山(みせんさん)」 1,915.17m (別名:八剣山、仏経ヶ岳)

10時30分弥山小屋へ下りシラベの樹の間に続く道を緩やかな三角形で聳える八経ヶ岳へと向かう。はやりここもバイケイソ
ウが多く生えておりしばらく歩くとシカ防護ネットが現れ、入り口ゲートに入る。オオヤマレンゲは沢山の蕾を付けているがこ
こもシカの食害に悩まされている様だ。10分程でゲートを出て石くれだらけの登山道を上がると10時58分「八経ヶ岳」の
山頂三角点を踏む。三角点は山頂部の岩に埋もれかけて頭を出している。先ほど弥山で写真を撮り合った単独男性が居たので阿
吽の呼吸でお互いのシャッターを切り合う。やはり弥山とこの八経ヶ岳は登山者で賑わう大峰では数少ない場所だ。


八経ヶ岳は標高1,915mの関西で一番高い山だが、隣の弥山が1,895mあるので北側から歩くと厳しさは感じない。南
側を眺めるがここも弥山で見た立ち枯れよりまだ凄まじい光景だった。
トウヒかシラビソの立ち枯れとその残骸が転がる尾根を
下ってここからは真南に進む。森に入ると又シカ防護ネットが出現して気が滅入る。


11時23分弥山辻の分岐標識を通過。大きな看板にはかつてここが天川村と下北山村を結ぶ交通の要所だった事と本州最南限
のシラビソ林である事が書かれていた。荒れた山肌に「オオヤマレンゲ自生地」の虚しい石標が斜めに立っていた。


道はどうも明星ヶ岳をトラバースしている様でやがて尾根道になると釈迦ヶ岳が前方に見える。すると下から赤い服を着た縦走
者に初めて会う。この方も大阪の人で熊野大社から順峯(じゅんぶ)コースで歩いているとの事だった。


  
  弥山より八経ヶ岳へ進む                         この辺りの樹木はまだ枯れていない  奥が八経ヶ岳

  
オオヤマレンゲの群生地なのでシカ防備ネットが敷設されている   オオヤマレンゲの蕾もたくさん見える

  
10時58分 八経ヶ岳の三角点を確認 三角点名は「弥仙山」だ   関西最高点に立つ


  クジラの様な弥山を振り返る(弥山小屋が見える)  奥に右手から行者還岳、大普賢岳、山上ヶ岳


   八経ヶ岳から進む尾根は立ち枯れが酷い状態だった


   八経ヶ岳から南側への縦走路を見る  左奥が孔雀岳と釈迦ヶ岳

 
トウヒやシラビソの立ち枯れ群を抜ける                  又シカ防護ネットが現れる

  
バイケイソウの群生地                            11時23分 弥山辻を通過

  
弥山辻に立っている看板                          オオヤマレンゲ自生地の標識が虚しい荒地 

  
   右奥に見える釈迦ヶ岳を目指して南に進む            順峯で歩く同志に会う お互いの健闘をたたえ合う


五鈷峰 1,694m

12時00分シロヤシオの花が出てきて嬉しくなる。この辺りは禅師ノ森と地図には記されているが奥駈道は右手(西側)の荒
れた斜面をトラバースして付けられている。
岩が出てきてイワカガミが見られる様になると12時35分岩峰を巻いて急な崖を
下る場所に出てロープが見える。


ザックを転がらない場所にデポして五鈷峰に這い上がる。崩れやすい岩のキツい傾斜を慎重に上がってイワカガミの咲き乱れる
テラスに出て今から歩く下界の稜線やその先に見える釈迦ヶ岳を眺める。風が涼しくとても気持ちが良い。相変わらず靴が合わ
ず足を引きずっているがこの痛さも又修験の道らしくていいのかも知れない。


ザックをデポした縦走路に帰りロープ伝いに急な崖道を下りる。大岩をトラバースして13時15分平和な稜線に出る。縦走路
は尾根の右手をトラバースするケースが多く、西側に刻まれた十津川の支流→舟の川→七面谷→地獄谷→カラハッソウ谷が眼下
に見える。


やがてバイケイソウの森になり14時00分二重尾根の窪地で踏み跡が不明になった。なるほど地図に「迷平」と記されている
所以だ。修験者によるお札が木の根元に沢山置かれているのでまあ間違いはなさそうだ。窪地の中を南に進むとバイケイソウの
中に舟ノ垰(たお)の鉄板板を地面に見つける。
この辺りはキャンプ適地のマークがあるがこれだけ茂ったバイケイソウの中にテントを張る気がしない。
振り返ると五鈷峰が鋭
い岩を配して構えている。


  
ザレ君の厳しそうなトラバース道が続く                  奥駈道は岩場の峠部を下る場所に出た

  
木に五鈷峰の標識が掛かっていたので上の岩峰へトライする    厳しそうな岩場を這い上がる

  
 五鈷峰の岩場はイワカガミがびっしり咲いている         ピーク近くから先に続く縦走尾根を眺める


  五鈷峰のピーク付近からの眺め  シロヤシオ越しに眺めるとうねっった尾根の奥に釈迦ヶ岳が頭を覗かせる

  
   奥駈道に帰り岩場を下る                       五鈷峰の岩山を振り返る

  
  平和な尾根に変わる                           十津川の支流が谷を刻む

    
   仏生ヶ岳 (1,805.1m)が前方に見える            14時08分 舟ノ垰(たお)と呼ばれる二重尾根の底部を歩く
  

楊子ヶ宿

縦走路に修験者が置いた札が見え、近くに楊子ヶ宿まで0.7kmの石標があるのでこの辺りが七面山への分岐だろう。ここか
ら暫く山の左側をトラバースするが結構岩が転がっている。


尾根に復帰して前方のピークに向かってなだらかに上がっていくと16時00分左手に小さめの小屋があった。中を見るがこの
楊子ヶ宿小屋は2段になっており快適そうだった。水場が東側の谷に下りた所にあるがまだ水があるので補水には行かなかった。

  
楊子ヶ宿まで0.7kmの奥駈道・石標         一度トラバース道を経て平らな尾根に出る

  
14時58分 楊子ヶ宿小屋              小屋の中は二階仕様で綺麗だった


仏生ヶ岳  三等三角点「佛生岳」1,805.18m


前方には幾つものピークが見えるが足元には柔らかい草が生えて針葉樹や広葉樹の自然林が美しい。稜線の右側をトラバースし
ていくが針葉樹越しに釈迦ヶ岳が見え、手前には厳しそうな岩峰がある。前方の小ピークに向かって上がっていくとトウヒの様
な木立の中に三角点があり16時05分仏生ヶ岳に着いた。


前方に見えていた岩峰をトラバースする様に稜線の右斜面に沿って道が続く。16時35分に又尾根筋に復帰し、台地の様な地
形の尾根が延びその右端に釈迦ヶ岳が見えるが中々近づかない。


  
美しい森を歩く(パートI)                           薄くしい森を歩く(パートII)

  
前方に岩山が見えてゾクっとするがここは道がトラバースしていた  なだらかな尾根道に三角点を確認


16時04分 仏生ヶ岳(三等三角点「佛生岳」)に到着 1,800mの標高を感じさせない大人しい山頂だ

  
例の岩山は左上にあるからトラバースしているみたい        しかし釈迦ヶ岳は中々近づいてくれない 


尾根筋にある水場の有り難さ「鳥の水」

17時00分上り斜面が少し湿っているので辺りを見ると「鳥の水」と看板が掛けられた水場があった。尾根縦走の場合、殆ど
の水場は谷筋に下がっていかねばならないが、この鳥の水場は尾根筋で得られる貴重なものだ。有り難くて自然に水場に向かって
手を合わす。不便な山を歩く程、水場に限らず木々や鳥の声、標識や境界杭などに感謝する事が多い。

ホースから伝って流れ出る細い水を空になった全てのペットボトルに注ぐ。目薬を差してペットボトルに汲んだ水で顔を洗い足
を投げ出して休憩する。
バイケイソウの生えたこんな水場には虫が付き物だが、幸い風が強くて虫が居ない。

短い休憩を終えて、さて今日はどこまで行けるのかと考えながら先へ進む。取り敢えず前方に見える釈迦ヶ岳までは行きたい気
持ちだ。


  
枯れても尚 あなたを話さないわ ♡  足の無いユーレイボク  釈迦ヶ岳を右手に見ながら孔雀岳へ上っていく

  
17時00分 縦走路に鳥の水標識が・・・              お~~ 助かる~~~ 鳥が飲むほど細い流れだが有り難い


孔雀岳 1,779m

モミ系の針葉樹に囲まれた登山道に珍しくダケカンバの茶色い木の皮があり何故だかちょっと嬉しくなる。岩っぽい道をひたすら
歩くと足元に短い笹が出て17時30分「孔雀岳」(1,779m)のピークらしくない頂に着いた。これまで南に進んだ尾根
はここで少し南西側に振るのでやっと釈迦ヶ岳の入り口に到着した気がする。


    
この山域はモミ系の針葉樹が多い                      暖かい色のダケカンバが出てくると嬉しい


 17時30分 やっと釈迦ヶ岳の肩、孔雀岳に着いた様だ


釈迦ヶ岳 一等三角点「釈迦ヶ岳」 1,799.87m

孔雀岳から10分程進むと「孔雀の覗」という行場があり東側、有名な「前鬼」集落がある、前鬼川~北股谷~内離谷~クジャク
又谷が絶壁の下に見える。この山域には先にある大日岳から東に前鬼の行場が沢山存在する。


前方に釣鐘型の釈迦ヶ岳が見えると急に稜線の様相は岩が出現し厳しくなる。ガレ場を下ると大岩が配置された尾根歩きになり夕
方が迫り見知らぬ山域の一人歩きに少し緊張する。
そんな中で心を和ませてくれる様にシロヤシオが沢山の花を咲かせている。

直線尾根では前方に見える山はなかなか近づかないものだが、釈迦ヶ岳もご多聞に漏れず一向に近づいてくれない。18時10分
崖が大きく割れている「両部分け」を通過して左へトラバースする。10分程で前方の岩場に出ると「空鉢岳」という標識が立っ
ており、そこから釈迦ヶ岳の全容が眺められる。


しかしその取付部には半端でない大岩壁がまるで前衛峰の様に立ちはだかっており度肝を抜かれる。幸いな事に道はこの絶壁を左
に回り込んで釈迦ヶ岳の懐へ入って行くのが確認出来てホッとする。


次第に西へ相当傾いた陽光を受けて周りの景色がオレンジ色に染められて行く。とても美しいのだがゆっくりとそれを眺めるゆと
りは無い。
早くお釈迦さんの頂に辿りつきたいのだが、さすが修験の山なので簡単にはいかない。岩場や鎖場を這いあがって19
時00分やっと釈迦ヶ岳に這いあがった。


丁度太陽が山際に沈む所で後先の事を考えずこの天体ショーをじっくりと楽しむ。夕日に背後を照らされたお釈迦様の像を眺めな
がら「ペーコ 来たぞ、前田さん やって来たよ、管さん 何とかこれた、楠さん 楽しんでるよ」と今は亡き山友の事を思い巡
らしウルっとくる。 一人で見る山の夕日は人をおセンチにする。


  
   17時42分 孔雀ノ覗                          孔雀覗を覗いてみる  クジャク又谷

  
  大きな岩が転がる尾根道                         岩尾根を振り返る

  
シロヤシオの花越しに釈迦ヶ岳が近づく                 18時12分 両部分けの裂け目、ここを下りて左へ巻いていく


    岩のピークに空鉢岳の標識があった  釈迦ヶ岳が前方に迫る


 釈迦ヶ岳を守る様にそそり立つ大岩壁  ここはルートが左を巻く

  
  大岩壁の左を巻いて前方の尾根に出る                夕日に染まっていく孔雀岳からの尾根を振り返る

  
釈迦ヶ岳の斜面はシロヤシオで美しく飾られていた          でも現実は厳しい斜面だ (鎖場)

  
 この山頂は遠~~い                            馬ノ背の岩場にはイワカガミが咲く


        
        19時10分 この瞬間を待つ


    19時10分 夕日が沈んだ後の釈迦ヶ岳山頂


深仙宿へ

15分ほど山頂に佇んでふと我に返る。テントを張れる場所を探すが平たい割に岩が出ておりペグが立たず無理そうだ。シロヤシ
オの咲く岩っぽい尾根を少し進むと登山道に少しスペースがあったのでザックを下してテントを張ろうかと思案する。水は十分に
あるのでビバークは心配ないのだが風が猛烈に強くて稜線では苦労しそうだ。


釈迦ヶ岳から縦走路を外れて西側にテント泊に適した場所があると金光さんに聞いていた。19時25分その分岐まで来て又思案
する。地図を見ると尾根筋にある深仙宿まで35分とある。縦走路は笹の中に結構明瞭に確認出来る。ここでライトを2つ出して
深仙宿へと向かう事にした。もし何かあってもビバークはお手の物だ。


ヘッドランプに照らされるシロヤシオを時々眺めながら登山道を外れない様に注意して下る。目が悪いので慎重に歩くものだから
夜の山歩きは」時間がかかる。


  
歩いて来た今日の長~い道筋を振り返る                シロヤシオの咲く登山道を下る

  
19時25分 千丈平への分岐で少し悩むが小屋に向かう      写真では画像調整されて明るく見えるがもうライトが要る


   ヘッドランプに照らされるシロヤシオが美しい


20時15分前方にヘッドランプの様な光が見えた。金光さんが小屋に居るのか?でも中々その灯りまで到達しない。すると小屋
に灯りが点(とも)った。これを目標に20時23分「深仙宿」に着いた。


中には眠り支度をした金光さんが居て、私のヘッドランプを見てソーラー電気のある小屋に灯りを点けてくれたと言う。感謝!!
「これから寝ます」と言う金光さんの邪魔にならない様に小屋の電気を消してヘッドランプで食事と荷物の整理をする。
あ~~ 長い一日だった。



  
 太陽が沈み夜が迫ると寝床がそこに無いと心細い         20時30分 深仙小屋で休む金光さん



大峰奥駈道 プロローグ(まとめ)                                は             ここ  

第1日目 (5月31日) 吉野~高城山~青根ヶ峰~四寸岩山~二蔵宿小屋     は             ここ   
 
第2日目 (6月1日) 二蔵宿小屋~大天井ヶ岳~五番関(女人結界門)~山上ヶ岳(大峯山寺)
    ~大普賢岳~七曜岳~行者還岳~行者還避難小屋
            は                 ここ   

第4日目 (6月3日) 深仙小屋~大日岳~太古の辻(南奥駈道)~天狗山~地蔵岳~般若岳~涅槃岳
    ~
証誠無漏岳~阿須迦利岳~倶利伽羅岳~行仙岳~行仙宿山小屋 は                  ここ  

第5日目  (6月4日) 行仙宿山小屋~傘捨山~地蔵岳~香精山~玉置山(給水)~駐車場食堂
    ~玉置辻(テント場)
                                は                 ここ  

第6日目 (6月5日) 玉置辻~大森山~五大尊岳~大黒天神岳~吹越山~七越峰~備﨑橋~熊野大社 は ここ  


 
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