峨蔵山系と赤石山系をテント泊で歩く   (第2部 赤石山系縦走) エントツ山登山記

2021年5月3日 峨蔵山縦走

峨蔵越〜鯛ノ頭〜二ッ岳〜イワカガミ岳(西峰)〜エビラ山〜黒岳〜日本石〜権現山〜権現越(ビバーク)

2021年5月4日 赤石山系縦走 (約 11時間25分)

権現越〜東赤石〜八巻山〜石室越〜前赤石〜物住ノ頭〜西赤石山〜銅山越〜西山〜ツナクリ山〜土山越

〜大永山トンネル南口
  (約11時間40分)

「今回の全体ルート図」


 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 峨蔵山と赤石山系の縦走ログ図  二ッ岳〜綱栗山


2021年5月4日 峨蔵山〜赤石山系縦走 第二日目 赤石山系縦走

権現越〜東赤石〜八巻山〜石室越〜前赤石〜物住ノ頭〜西赤石山〜銅山越〜西山〜ツナクリ山〜土山越

〜大永山トンネル南口
  (約11時間40分)


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  権現越〜東赤石〜西赤石〜西山〜綱栗山〜大永山トンネル南口


権現越でビバーク明け

前日(令和3年5月3日)11時間余りをかけて二ッ岳から権現越まで歩きテント泊をした。
今日は赤石山系を歩いて車をデポしてある大永山トンネルに下山する。距離的には峨蔵山の縦走よりは長いがお馴染みの山域
で登山道はしっかりしているので恐らく同じような時間で下山出来るだろう。

朝4時過ぎに眼を覚まして外に出ると月が出て星が見えない。宴会も無かったのでジュニアさんも既に起きている様だ。昨夜
ジュニアさんのバーナーが故障してガス漏れがして使えなかったので私のバーナーでお湯を沸かしてコーヒーと軽食を食べ
る。私の水袋も少しどこからか水漏れをしている様だった。

余った水をどうしようかと思っていたら
ジュニアさんが昼食用にお湯を山専ボトルに入れて持って行くと言うのでお湯を作っ
て渡す。何せ体脂肪が少ないのでエネルギー補給の為昼もカップ麺を食べるらしい。

権現越は風衝地と言う程でも無いが良く風が吹くのでテントの結露も無く撤収が楽である。ゆっくりと片付けた後、06時
05分権現越を出発する。日の出は東の権現山で隠されて見る事が出来ないが東側の山肌が朝日に照らされている。昨日は
雪も残って風が吹いて涼しかったが、今日は風も無く天気が良いので暑くなりそうだ。


  04時30分にはジュニアさんも起きて月を眺めている 天気は今日も良さそうだ

   
 04時30分 月が非常に明るい        04時50分 辺りが明るくなる


 ジュニアさんのテントはアライのエアライズ、私のテントはファイントラックのカミナモノポール

 
東赤石の東側には標高1,660m程の肩ピーク(無名峰)があり、権現越からは標高差200mの急登となる。朝日を浴び
て茶色に焼けたその無名峰へ向かって黙々と登って行く。06時08分振り返ると権現山から太陽が顔を出し眩しい。直ぐに
灌木帯に入ると足元の岩が茶色の橄欖岩に変わり、雨水で尾根筋が掘れ込んで歩き難い。



06時40分赤石山荘へのトラバース道分岐に差し掛かるが、ここは直登する。道が無くなり天然桧、五葉松と岩の斜面を適
当に上を目指す。樹林帯の中に踏み跡があるかも知れないが、南側の岩場を伝って這い上がる方がザックも引っかからずに進
みやすい。岩場から振り返ると黒岳とエビラ山が見えるが太陽が眩しい。


  
 昨日夕陽が沈んだ上兜付近に権現山の陰が延びる     東赤石の東肩部 1,660m無名峰が朝日に照らされる

  
 06時08分 権現山から朝日が射す 眩し〜い        出発して直ぐ根源越を振り返る 奥は大森越への鉄塔ピーク

  
 早速赤茶けた赤石橄欖岩の石屑が現れる             06時40分赤石小屋トラバース路分岐を通過する

  
 うへ〜〜 ザックが引っ掛かって樹林帯は進めない       左手の岩場を這い上がる

  
 黒岳とエビラ山を振り返るが眩しい〜               南側の樹林帯と岩稜帯の境目を歩く


  お気に入りの場所 1,660m肩部手前から昨日歩いた権現越、黒岳、エビラ山、二ッ岳を眺める

  
 ジュニアさん! 2日目でもザックがパンパンじゃないの!      一旦樹林帯に入り前方に出る

  
 樹林帯の中に橄欖岩がゴロゴロしている             変性を受けて節理になっている様だ


東赤石 三等三角点「赤石」1,706.23m

前方に岩が無くなると一旦樹林帯に入って07時10分頃1,660m無名峰を通過する。すると前方に東赤石の尖った本
峰が姿を現す。左手後方には東光森山から続く退屈な予土県境尾根が大登岐山の向こうまで延びている。右手には下兜山か
ら「かけさこの尾」が船木まで落ちて行き、瀬戸内海には大島が浮かぶ。


従来、この場所でこんなに展望が効く事は珍しい。大体が天気が良くても北側からガスが吹き上がって展望が悪いのだ。今日
は東赤石越しに平家平〜冠山、チチ山、更には雪を被った石鎚まで見えている。
ここから東赤石三角点までフリクションの効
いた赤茶けた赤石橄欖岩を歩く。



 1,660m東肩ピークを越すと東赤石が現れる  今日はここから石鎚が遠望出来る (少しズーム)


 南側の県境尾根も太陽の光で陰影がくっきり現れて美しい

橄欖岩自体は緑色をしている鉱物らしいが、マグネシウムと鉄分を多く含むので表面が風化(酸化?)して黄褐色、赤褐色に
なっている。詳しい事は全く私の理解を越えているが、橄欖岩は玄武岩マグマが地下にある水と反応しなが冷めて行く過程で
最初に出現する結晶らしい。この地下100kmの深い所から三波川変性帯の上昇時に何故か一緒に地表まで付いて出て来た
と言う。

大体が地球の大陸自体がスリズリとプレートに乗って移動している事さえ理解に苦しむ。海洋プレートが大陸プレートに沈み
込んで行く過程で付加体がマグマ大使によって持ち上げられたり、天地が逆転したりまさに地球は生きている。このマントル
由来の岩体が地表に現れる事は非常に珍しく「赤太郎」と呼ばれる故郷の地が多くの地質学者の研究対象になっている山域だ。

我々はそんな研究者の言う事を知ったかぶりをしながら、昨日歩いた「はんれい岩」「角閃岩」から構成されていると言われ
る峨蔵山を眺めながら赤石橄欖岩の岩場を歩いて07時50分 東赤石山の「三角点山頂」に着いた。ここに設置している
銅版標識は表面が少し黒ずんではいるが、五葉松などの陰に設置しているので支柱との接点はまだ大丈夫の様だ。



  
 ステルス戦闘機岩                    次第に東赤石山が近づく

  
 やはり前方の1,660m肩ピークで権現越は見えない マグマ溜まりから上昇して来たと言う赤石橄欖岩の岩峰を歩く

  
  気持ちがええぞ〜〜                 はい 最高の気分です

  
 07時50分 東赤石・三角点山頂に到着       先ず、山頂標識をチェック


 最初に峨蔵山縦走時もこの東赤石まで来た事を思い出す  ここが峨蔵山の見納めになる
  

左手に下がって尾根筋の樹林帯に出るとここにも雪が少し残っていた。去年の夏にはこの尾根にコイチヨウランやミヤマ
フタバランが咲いて忙しかったものだが、今は気にせず10分程で西の山頂へ着く。通常東赤石山の山頂と言えばこの西
肩にある岩場になっており、ここに山頂標識も置かれている。この為に奥の三角点山頂へは行かないと言うか存在すら知
らない登山者が結構いる。

今日はこの西側山頂から八巻山と石室越の尾根、その向こうに前赤石や西赤石が頭だけを出し右手に上兜山の尾根が続き、
奥には沓掛黒森が良く見える。何度も言うが東赤石でこんなに展望が効く日に未だかつて来た事が無かった。少し岩場を
下ると石鎚山が見えた。



 こちらの山頂からは西側の展望がある


  更に岩場を下ると石鎚まで見える  石室越の向こうには高縄半島の山まで・・・

八巻アルプス(?)

 

08時15分赤石越を通過して何時もの岩尾根を西へ進む。四国の山で何たらアルプスと名付けられている低山があるが、こ
の東赤石
.から石室越、更には前赤石までの岩峰こそはアルプスの名を冠しても違和感がない場所だと思う。しいて言うなら
「八巻アルプス」か?

6月にはユキワリソウやキバナノコマノツメ、
夏場にはここにタカネマツムシソウ、ギボウシ、コウスユキソウなどの花が咲
くのだが5月の初旬は未だ花には早い。この岩峰を歩くのが不安な人もいる様だが、焦げ茶色の岩場には人が歩いた踏み跡が
白くなって大体のルートが分かる。四国の山でこれだけの岩場が続くアルペンチックな場所は無い。

  
 赤石越から岩稜帯の尾根歩きが始まる           人面岩  埴輪の様だ

 
 
 ブロックを積んだ様に岩峰が続く                   振り返って東赤石がこんなに鮮明に見える事は珍しい

  
 八巻山が次第に近づく                       登山者が踏んだ跡が白っぽくなってルートが分かる

八巻山 1,698m

 
08時40分八巻権現の祠のある「八巻山」に着く。先ずここに設置してある銅版標識をチェックする。一昨年この標識が
行方不明になり捜索に来ると大風に吹かれて南側のヤブ下で見つかり一旦下界へ下して修理をして再設置をした。表面はそ
の時に岩で傷が付いているが何とかまだ使える状態である。

「八巻山」とは伊藤玉男さんによると「幾つもの小さな岩峰があると言う意味」だと言う。つまり多くの岩峰を幾度も巻い
て歩く山って事だろう。

八巻山には蔵王権現が祀られており、毎年赤石山荘の安森さん主催で10月に「八巻蔵王大権現御山祭」が大生院・正法寺
の修験者を招いて神事(?)仏事(?)が執り行われて来た。私も一度出席し御神像の拝戴を受けた事がある。赤石山荘が
廃業した今年は一体御山祭はどうなるのだろう?


  
 岩峰の中でも安定した場所である「八巻山」 祠がある    風に吹き飛ばされて傷だらけになった銅板標識

  
 裏の留め金は修理した時に新しくしている               八巻蔵王大権現像 (サイトより借用)

2014年10月11日 八巻蔵王大権現御山祭りの様子  (写真3枚)

  
 毎年10月の週末に赤石山荘主催で行われていた       修験僧が法螺貝を吹いてくれた


   八巻蔵王大権現の御神像拝戴を受ける安森さん(2020年まで長年赤石山荘の管理人をされて来られた)


 ここまでは何とか黒岳、エビラ山、二ッ岳の端っこと赤星山が見える  庄内半島まで霞んで見える

八巻山から西側へ下る場所は色んなルートがあり岩場の難所となっている。慣れればどうって事もないのだが、最初はどこを
下ったら良いのかウロウロしたものだ。ここを下った場所にバランス岩があり、岩を支えて遊んだ後石室越へと更に岩尾根を
進む。西側には1,682mの無名峰があり、それを越えると樹林帯となり石室越へと続く。


10時00分「石室越」に着き、赤石山荘からの道と合流する。石室越の南側には「駒鳥山」という可愛らしい名前の山頂
があるが笹藪のピークである。


  
 八巻山の西肩部に出て更に石室越まで尾根を回り込む  八巻山の西肩部に出ると一見断崖絶壁である 下に赤石山荘が見える

  
 09時00分八巻山を下り、バランス岩の下側を回り込んで行く  石室越まではまだ前方に1,682m岩ピークが待ち受ける

  
 一旦コル部で樹林帯に入る                     八巻山を振り返る  左奥には黒岳とエビラ山がまだ見える

  
 前方の1,682m岩峰ピークを目指す              重いザックだがバランスが良いジュニアさん バックは八巻山

  
この岩尾根が西側から東赤石山などを遮る衝立となっている  岩の裂け目には短いステップ脚立が置かれていいる


  最後の岩壁をクリアすると樹林帯に入る  バックは八巻山と東赤石山

  
 次に目指すのが尖がった「前赤石」だ 右奥が上兜山     10時0分 石室越に着いた

 
前赤石  1,677m

 石室越から少し登山道を下り10時18分前赤石分岐に着く。尾根沿いを前赤石まで行けない事も無いが、灌木ヤブが酷い
ので大きなザックを背負っては無理である。分岐から稜線へは岩場があり途中からロープなども敷設されている。

「前赤石」は銅山で栄えた銅山峰方面から見て東赤石山の前側にある赤い岩の山的な意味で名付けられたと思われる。西側
からのアプローチは覆いかぶさる様な岩場の前衛峰があったりして少し難しい面があるが、東側の分岐からは容易である。
10時33分狭い「前赤石」山頂に到着する。

この山は南側を巻く登山道も有り、西側の物住ノ頭と共に赤石山系では地味な存在である。やはり西赤石と東赤石が有名過
ぎるのかもしれないが、前赤石は赤石橄欖岩の西端に位置し(兜岩は別として)ユキワリソウ、キバナノコマノツメ、タカ
ネバラなどが咲く渋い岩山なのだ。

ここにも銅版標識を立てているのでチェックする。場所的には岩のピークなので不安定な気候に晒されている割には不思議
と杭との取付け部はしっかりしており表面を磨くメンテナンスで済ませてきた。

さて、ここから西へ前衛峰ピークを越えて細い岩尾根を下る。ジュニアさんは以前の〜ちゃんと西側から上がった時に一つ
の岩盤がロープ無しではクリア出来なかったと言う。藪っぽい岩尾根を前衛峰まで進むと下から家族連れの逞しいグループ
が上がって来たので挨拶を交わす。

西側には物住ノ頭から北の上兜へ延びる支尾根が良く見える。犬返し仲間も良くこの界隈を歩くようになりジュニアさんも
今ではお馴染みの場所となっている。
11時00分問題の岩盤に着いて、私が手かがり、足がかりを利用するお手本を示し
ながら下りるとジュニアさんも難なく崖を下る事が出来た。


  
        登山道を前赤石へと向かう              18時18分前赤石へ這い上がる分岐に来る

  
 藪を避けて岩場を上がるルート ロープが置かれている     尾根に上がって一ヵ所だけ岩場がある


 10時33分 前赤石の山頂に到着する   


    物住ノ頭から北側へ延びた尾根上に上兜山のデベソがあり、その奥に串ヶ峰

  
 前赤石から西に出る 前衛峰的な西峰ピークと物住ノ頭、左奥に西赤石  ワイルドな岩場を下って西峰へ進む


 前赤石の前衛峰(西峰)から前赤石・本峰を振り返る   左奥が赤星山

  
 西峰を越えると下から元気な家族連れが上がって来た      物住ノ頭と上兜山  上兜山の左奥が串ヶ峰

  
         唯一の難所、一枚岩も難なくクリアする      下って来た前赤石の前衛峰(西峰)を見上げる

 「雲原越」

前赤石を下り登山道に復帰すると11時10分「雲原越」分岐を通過する。権現越から続いて来た赤石橄欖岩は一応この辺
りで角閃岩に岩質が変わる。分岐標識は錆びついているが、別子銅山隆盛の頃は北側で作られた木炭がこの峠を越えて銅山
へ運ばれて行った。土居の関川沿いを上野から林道五良津(いらず)線を利用し河又(こうまた)から新宿を経由してここ
まで登山道を利用した事があるが、現在は林道が地主とのトラブルでブロックが積まれて閉鎖されている。この為に歩く人
も絶えてもはや廃道に近い状態と思われる。


  
 登山道に合流して物住ノ頭へ向かう                11時10分「雲原越」を通過 北側への道は籔いている
 

物住ノ頭(ものずみのあたま) 四等三角点「高原」 1,634.56m

雲原越から上り坂となり11時20分「物住ノ頭」に着く。点名の高原はどんな由来なのか分からない。ここの銅版標識
は比較的新しく設置したのだが、痛みが激しく何度も修理した。杭も交換したが雨風や霧の為か銅版の状態もあまり良く
無い。

ここから眺める前赤石は石鎚を面河側から見る様に三角錐に尖っており厳しそうに見える。石室越辺りの南北に延びる稜
線が衝立になり八巻山や東赤石を隠す。但し、主稜線が南側に湾曲しているので峨蔵山を海側に見る事が出来る。

私にとってこの「物住ノ頭」は非常に重要な分岐点で、ここから北へ上兜山を経由して串ヶ峰へ行く支尾根と下兜山へ下
る「かけさこの尾」を何度も歩いている。遠くから眺めるとこの山は結構良い形をしているのだが、縦走登山者にとって
は単なる通過点でしかない。
伊藤玉男さんによるとこの南側一体が昔から「物住山」と呼ばれて、日浦谷の右股上流部は
物住谷」と名付けられている。

 物住ノ頭から西赤石の間はとてもポピュラーな山域で登山道も整備されている。峨蔵山程岩っぽくないが同じ固い角閃岩
なので所々に斜めに立った岩や岩棚が現れる。ここから銅山峰までは特に説明も不要と思われるので詳しい山行内容は省
略する。
 


 物住ノ頭から鋭い岩山、前赤石を振り返る 奥が駒鳥山から石室越の尾根が衝立の様に東赤石を隠す
 東赤石山付近が南側に湾曲している為に、物住ノ頭からは権現山〜黒岳〜エビラ山を左手に見る事が出来る。  

  
 11時20分物住ノ頭に到着する                   この銅板は2度程杭から落ちて補修した

  
 雲ヶ原までに斜めに立った岩などがある                  岩盤を渡る場所もある

  
 東側から見る西赤石山は綺麗な形をしている         雲ヶ原から北側を眺めると上兜山と大女の肩「串ヶ峰」が見える

西赤石山 二等三角点「銅山」 1,625.75m

西赤石の南面に点在するカラマツが新芽をだして鮮やかな黄緑色をしている。12時23分西赤石山頂に着くと登山者が
急に増える。アケボノツツジは例年連休明けが見頃なのだが、連休中に下の方で咲き始めるのを目当てに多くの登山者が
やってくる。

三角点山頂は休憩するのには風を避けて良い場所なのだが展望は南側の県境尾根だけとなる。やはり西赤石の展望と言え
ば兜岩とその下に広がる新居浜の街、そして西側にはチチ山と沓掛・黒森が作る吊り尾根の間に石鎚が座る絶景なのだ。
それ故に銅板標識は西の肩部に設置する事にこだわった。しかし世の中には厳格な登山者が居て、こんな場所に標識が有
ると三角点山頂へ行かずに帰ってしまう人がいるかも知れない・・・と何度も三角点へ強制移動をさせられたものだった。

その西の肩部に設置してある銅版標識をチェックして兜岩方面の様子を見ていると真鍋さんに会った。彼とは同じ香川の
山の会で数回遠征歩きをしている仲だが、去年からのコロナ感染問題もあって私は団体登山には参加しておらず久し振り
の再会となった。


  
 12時23分 西赤石の山頂に着くとさすがに登山者も多い   西肩へ出て銅板標識の状態をチェック  未だ何とか持ち堪えている


 ここの銅板標識は身勝手だが標識が映える西の肩部に設置している  吊り尾根の向こうに石鎚が見える景色が良い

  
 北斜面のアケボノはまだまだ先みたいだ                「山と元気の会」仲間の真鍋さんに会う

    
      西赤石山頂(西の肩)から故郷 新居浜を眺める


銅山越へ

アケボノツツジは蕾が多いがミツバツツジは綺麗に咲いている。この時期に登山道は余り歩いていなかったので東山を過
ぎて銅山峰へ下る斜面のミツバツツジ群落には初めて出会った気がする。眼を凝らしながら歩くと気の早いツガザクラの
花を数株見つけて喜ぶ。

 14時35分銅山越の峰地蔵に設置してある銅版標識をチェックして西山へと向かう。ヘリコプターがしきりに旋回して
いたが、遭難救助ではない様だった。


  
 西赤石から西に下るとアケボノが咲いている           南側にもポツポツと咲き、斜面がピンク色になってきた


南側の斜面にはカラマツの新芽が美しく立ち並ぶ  奥は平家平と三ッ森山 更にその奥は稲叢山から西門山、東門山

  
 カラマツの若葉は冬枯れの風景に息吹をもたらす       ミツバツツジもアケボノに負けない程良い色をしている


  登山道の斜面に見た事の無い様なミツバツツジが咲き誇っている

  
 登山道がミツバツツジのトンネルになっている          気の早いツガザクラが咲いていた

  
 14時20分 「東山」を通過                      振り返ると 石ヶ山丈  兜岩  1,482mピーク

  
 14時35分 銅山越に着く                      標識の裏金は一度修理している


 西山 三等三角点「西山」 1,428.73m

15時10分西山に着く。今回最後となる三角点は縦走路から数メートル北側にある。この三角点から北側へ尾根を進めば
大山〜三ノ森〜二ノ森を経て東平へ至る。西山三角点コーナーを直角に左に曲がると断崖上に出る。北側は国領川(上流で
は足谷川)の支流「鈴尾谷川左俣」の谷部が切れ込みその向こうが西鈴尾谷川との間に尾根が立ち上がっている。この為、
ここからツナクリ山に向かってヤッホーと呼べばヤッホーとこだまが帰ってくる。


綱栗山(ツナクリ山) 1,466m

西山ヤッホー展望所から真南へコルに向かって急坂を下り牛車道分岐コルから今度はツナクリ山への急登を喘ぐ。この上り
が今回の山行最後の上りなので頑張る。もうここまで来ると後も先も無い、黒河ジュニアさんを自由に先へ歩かせる。する
と解き放たれた犬の様に坂の向こうに消えて行った。


ツナクリ山は期待通りアケボノツツジが咲き誇っており最高のフィナーレとなった。ここ数年この山に咲くアケボノツツジ
の素晴らしさを再認識して毎年訪れる様になった。西側に立ち並ぶアケボノも良いし、東側の広場に咲くアケボノは近くで
鑑賞できる貴重な株がある。


  
 銅山峰の奥まった場所に設置している銅板標識もチェック   ヘリコプターがしきりに旋回していた



銅山の歴史を秘めた風衝地「銅山峰」を西山途中から眺める 石ヶ山丈、兜岩、西赤石、1,482mP その奥に東赤石が頭を出す

  
 15時10分 西山コーナーに着く                 三角点は登山道を外れたコーナーの奥に鎮座する


 西山ヤッホー展望所から綱栗山を眺める  この斜面は未だピンクになっていない

  
 コルにはオオカメノキの花が綺麗に咲いていた         ツナクリ坂をドンドン先へ進むジュニアさん

  
 綱栗山のピークに向かってアケボノ街道となる          右手の斜面には背の高いアケボノが多く花を付けている


       東光森山と大座礼山をバックに咲く綱栗山のアケボノツツジ


   沓掛山、黒森山をバックに咲く綱栗山のアケボノツツジ

  
 綱栗山の尾根道をアケボノツツジが飾る              16時00分 綱栗(ツナクリ)山の標識を通過する


金鍋越から土山越へ

ツナクリ山を過ぎると肩部から南に延びる尾根の岩場を避けて東側の金鍋越までが激下りになる。この崖部にもアケボノが
並ぶが立ち木が多いので眼で楽しむ事になる。16時20分
金鍋越に下り付く。金鍋越はここから北側斜面にあった金鍋坑
(3坑口)への分岐で、ここから登山道は南西へ進んで尾根に復帰する。

ちなみに旧別子にある「ダイヤモンド水」はこの金鍋鉱山の鉱床ボーリング探査の為に穴を空けた場所。結局地下水脈に当
たって水が噴き出したものの、岩盤を削るドリルの先が回収出来なかった。このドリルにダイヤモンドが散りばめられてい
た所からダイヤモンド水と呼ばれる様になった。

金鍋越から土山越までは地味で長い荒れ気味の「炭の道」が続く。れっきとした笹ヶ峰への縦走登山道なのだが、いかにも
谷筋にはザレた斜面が多く展望も無い山道なの辛抱の歩きが求められる。16時55分登山道標識の立つ「炭の道分岐」を
通過する。ここから東に延びる「炭の道」も歩いたが荒れ放題で苦労したものだ。

大永山トンネルの上に出ると(七番越)尾根道がトンネル南口へと下っているのだが、この近道は灌木藪でザックが引っ掛
かり苦労するのが目に見えているのでパスする。

17時13分やっと「土山越」についてここから左下の登山道で大永山トンネルへと下る。植林帯を七番谷川に出て沢沿い
に大永山笹ヶ峰登山口へ向かう。途中からジュニアさんが先回りして少し遠くに留めてある車を下山地へ回すとの事で先行
してもらう。


  
南肩から急傾斜を下る 右手の崖にアケボノが咲いている   16時20分急傾斜の先が「金鍋越」 ここから右手に進む

  
 ツナクリ山の南斜面を巻いて尾根筋へと向かう          尾根筋から登山道は右手にトラバース気味に進む

  
16時35分 今度は左手にトラバース                 16時45分倒木で荒れている登山道

  
 16時56分 牛車道分岐 縦走路標識が立つ        17時13分 土山越を左に下がる  真直ぐ行くと獅子舞の鼻へ

  
 七番谷川沿いの道に来ればゴールは近い            17時50分 笹ヶ峰登山口の林道に着いた  

  
 ジュニアさんがゴールテープ(通行止チェーン)で待っていた  ジュニアさんの車で峨蔵林道へ向かい私の車を回収する


17時52分大永山トンネル口に到着し長い二日間の縦走を無事終えた。この後私の車を回収に峨蔵登山口へ行きそこでテ
ント泊装備で充実の二日間を称え合い解散する。

第一部 第1日目 峨蔵山縦走 二ッ岳〜エビラ山〜黒岳〜権現越 は  ここ   


参考付録

赤石山系・銅山峰関係の主なバリエーションルートに付いて

1)権現越  2011年7月16日
  床鍋〜床鍋谷遡行〜権現越〜登山道経由・床鍋

 
 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 床鍋〜権現越

2) 八巻山・赤石越 2011年7月23日
   雲ヶ平〜鏡沢遡行〜石室越〜八巻山〜赤石越〜雲ヶ平

 
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 鏡沢〜八巻山〜赤石越〜雲ヶ平

3)石室越 2008年7月5日
  瀬場〜瀬場谷遡行〜石室越〜赤石山荘〜瀬場

 
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 瀬場〜瀬場谷遡行〜石室越〜赤石山荘〜瀬場

4)駒鳥山・石室越 2008年4月20日
  瀬場〜コマドリ尾根〜駒鳥山〜石室越〜駒鳥山〜南尾根〜日浦 

  
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 瀬場〜コマドリ尾根〜駒鳥山〜石室越〜南尾根〜日浦

5)前赤石・駒鳥山  2007年8月26日
   関川〜雲ヶ平〜雲原越〜前赤石〜駒鳥山〜物住ノ頭〜上兜山〜雲ヶ平  

  
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 雲ヶ平〜雲原越〜前赤石〜物住ノ頭〜上兜山〜雲ヶ平

6)前赤石・物住ノ頭・西赤石 2011年9月10日
  日浦谷遡行〜ナベラ滝〜前赤石山〜物住ノ頭〜西赤石〜尾根標識小足谷分岐〜接待館跡〜日浦登山口

 
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 日浦谷〜前赤石〜物住ノ頭〜西赤石

7)串ヶ峰・上兜山・物住ノ頭・西赤石 2008年6月27日
  東平ー上部鉄道跡ー兜岩ー西谷川造林小屋跡ー西谷川遡行ー上兜山ー串ヶ峰ー上兜山ー物住ノ頭ー
  西赤石山ー兜岩ー上部鉄道ー一本松停車場跡ー東平


 

  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 兜岩〜造林小屋〜上兜〜串ヶ峰〜物住ノ頭〜西赤石〜兜岩

8)串ヶ峰・上兜山・物住ノ頭・西赤石  2011年5月14日
  東平〜一本松〜石ヶ山丈〜兜岩〜西種子川・造林小屋跡〜串ヶ峰・あけぼの尾根〜大岩展望所〜串ヶ峰〜上兜山〜
  物住ノ頭〜西赤石〜兜岩〜一本松〜東平


 
  
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 東平〜兜岩〜造林小屋〜串ヶ峰〜上兜山〜物住ノ頭〜西赤石

9)串ヶ峰・上兜山・物住ノ頭〜西赤石 2015年5月5日
  魔戸の滝登山口〜串ヶ峰〜上兜山〜物住ノ頭〜西赤石山〜兜岩〜石ヶ山丈尾根周回  

  
  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 魔戸の滝〜串ヶ峰〜上兜山〜物住ノ頭〜西赤石〜石ヶ山丈〜魔戸の滝

10)西種子川道・西赤石・石ヶ山丈 
2016年4月18日
   山根公園〜犬返〜魔戸の滝〜西種子川道〜兜岩〜西赤石〜石ヶ山丈尾根〜一本松駅跡〜東平周回 

   
   
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  山根公園〜魔戸の滝〜種子川道〜兜岩〜西赤石〜東平
    (青線ルート)

11)石ヶ山丈〜西赤石〜物住ノ頭 2019年5月8日
   東平〜一本松〜石ヶ山丈〜兜岩〜西赤石〜物住ノ頭〜上兜山〜串ヶ峰〜真戸の滝登山口〜上部鉄道跡〜一本松〜東平

 
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  緑線 東平〜一本松〜兜岩〜西赤石〜物住ノ頭〜上兜山〜串ヶ峰〜魔戸の滝〜上部鉄道

12)ツナクリ山・西山  2019年5月3日

別子ダム・変電所所前〜ツナクリ南東尾根〜金鍋越〜ツナクリ山〜西山〜大山〜新太平坑〜角石原〜東山〜
小足谷尾根分岐〜市左越〜小足谷尾根〜日浦登山口



 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  ツナクリ山・西山を南側からのバリエーションルートを使って周回する


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