特集  大山の南嶺 一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢、キリン峠、槍ヶ峰界隈 (その3)


    
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  大山南嶺バリエーションルート

四国では見られない山の魅力を持つ大山の南嶺バリエーションルートを纏めてみました。

一ノ沢」は弥山まで比較的容易に行けますが、最後は大山キャラボク群に入るので花の季節に弥山手前まで行く事にしました。
  

二ノ沢」は弥山と槍ヶ峰の間、大山南壁にぶち当たる為に稜線まではとても行けず中途半端になるのでお勧めではありません。
      ここは一ノ沢途中から二ノ沢へシフトする岩好き登山者のルートとなります


      * 一ノ沢から弥山までは既にレポ済み  登山記は   ここ   

三ノ沢」は途中から槍ヶ峰三ノ峰へ這い上がるルートとして一般的で結構ここを歩いている人が多い場所です。三ノ峰から
      天狗ヶ峰を経て剣ヶ峰へ至るルートはザレた細尾根なので経験者と一緒でなければ足を踏み入れるのはお勧め出来ま
      せん。先行者からの落石に注意を要する場所です。


キリン峠」その@ルートは三ノ沢の途中から南西尾根に取りつきキリン峠へのルートを歩いてみました。この尾根は完璧な藪
        尾根で効率の悪いハードな歩きを強いられます。


      *三ノ沢からキリン峠への登山記は既にレポ済み  登山記は  ここ  

キリン峠」そのAルートは文殊谷から鳥越峠、そこから西北西に伸びる尾根を詰めてキリン峠へ至ります。最後のガレ尾根で
        引き返す人が多い様に一ヶ所危険な難所が存在します。この難所突破には経験者同伴かロープワーク経験者のお世
        話になる方が無難です。


バリエーションルート歩きは当然リスクが伴います。十分に経験を積んでこの魅力的な大山を自己責任で足を踏み入れて下さい。
当然の事ながら高山植物の咲くお花畑に足を踏み入れる事無く、踏み跡ルート上から花を楽しんで下さい。



                        大山南嶺風景

大山の南側 その3)鳥越峠からキリン峠を経て剣ヶ峰へ 2019年 (令和元年) 9月15日

文殊堂〜文殊越〜鳥越峠〜1,405ピーク〜キリン峠〜槍ヶ峰〜三ノ峰〜天狗ヶ峰〜剣ヶ峰
〜天狗ヶ峰〜三ノ峰〜三ノ沢分岐〜三ノ沢〜文殊堂



 カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 文殊堂〜鳥越峠〜キリン峠〜三ノ峰〜天狗ヶ峰〜剣ヶ峰〜三ノ沢下山


前日、三徳山の投げ入れ堂へ行き桝水で車中泊する。ここはトイレがあり体を洗う水も出ているので車中泊にはもってこいの場所
なのだ。早朝06時30分に大山環状道路を通り文殊堂駐車場に行くと既に駐車スペースは無く、道路沿いの空き地に駐車する。
準備をして三ノ沢橋から大山を眺めるとガスがかかっていた。


  
 06時30分 文殊堂裏の駐車場は一杯で道路際に停める    三ノ沢上流を眺めるとガスがかかっていた


文殊谷から文殊越〜鳥越峠へ

06時42分鳥越峠への登山口を入る。丁度この場所に目印になる「文殊堂・鍵掛峠」の標識が立っている。よく見ると文鳥水や
烏ヶ山登山禁止の看板なども置かれている。以前ここを歩いた時より入り口が藪っている感じだ。暫く文殊谷の荒れた登山道を歩
く。07時03分文鳥水の水場を通過する。樋代りの竹が置かれているがズレていて水が流れていない。

石がゴロゴロした谷筋から笹の生えた斜面を上がっていくと07時25分「文殊越」のポールが有った。板に書かれた文字は読め
ないが白いポールにマジックペンで文殊越と書かれている。


  
06時42分 鳥越峠への文殊谷登山口 (文殊堂⇔鍵掛峠の標識が目印)   薄暗い文殊谷に沿って歩く(踏み跡有り)

  
 07時03分 水場「文鳥水」だが樋が水源を外れていた        岩のゴロゴロする文殊谷を上がる

  
 沢沿いの道にはテープも見られた                 07時25分 小さな峠部に「文殊越」の標識が立つ

  
標識は読めないがポールにマジックで「文殊越」と書かれている   笹深い登山道を進む

更に笹や灌木の踏み跡を進むと07時33分分岐標識が立っている。ここが鍵掛峠付近、木谷登山口からの合流点分岐だ。昭文社
の地図には鍵掛峠登山口と記されている。テンニンソウの白い花やホトトギス、カニコウモリが咲いているがユキザサは既に実を
付けている。ホトトギスも咲いている。ブナが点在する深い森の中に踏み跡が続く。斜面を這い上がると08時15分「鳥越峠
に到着する。


  
  森深い登山道 テープも要所にある               07時33分 三叉路で木谷登山口分岐標識に出合う

  
  ユキザサは既に実を付けている                       テンンンソウ 

  
  ブナもある森の中を進む                        境界標石も埋設されている


  森のこういう景色が好きだ  石鎚の笹倉(さぞう)湿原への道もこんな感じだった      

  
  ヤマジノホトトギス                            虫食い葉っぱのカニコウモリ


傾斜を登ると 08時15分 鳥越峠に到着する 奥に下れば駒鳥小屋へ続く、 右手の尾根は烏ヶ山へ、今回は左の尾根に進む


鳥越峠は今まで2度訪れている。一度目は同じルートから来てここから北側に下りて駒鳥小屋〜振子沢〜ユートピア方面へ、もう
一度は烏ヶ山からここに来て同じくユートピア方面へ向かった。
今回は鳥越峠から北東方面の尾根を詰めてキリン峠へと歩く計画
だ。



鳥越峠からキリン峠へ

08時20分槍尾根へ向かって出発すると薄い踏み跡があるが、のっけから藪っぽい。それでもブッシュ尾根には確かに踏み跡が
あり足を勧めるスペースがある。前回、三ノ沢からキリン峠を詰めた藪尾根と大きな違いだ。オオカメノキの赤い実が緑の森にア
クセントをもたらし、足元にはホソバノヤマハハコの花がギリギリ咲き残っていた。
08時35分枯れた木にキノコ(ツキヨタケ
と思われる)がびっしり付いている。


   
右手の烏ヶ山方面はホソバアザミと笹の藪が続く         左手のキリン峠方面も藪っぽい尾根だが踏み跡はある

   
      前方に1,405mピークが見える               ガマズミの実が多く見られる

   
  ブナが点在する尾根を上がって行く                 ホソバノヤマハハコ


   藪尾根歩きにひと時の憩いをもたらすブナ風景

  
    何じゃ こりゃ                            ツキヨタケと申します

08時55分、前方に白いポールが見えて尾根に出ると、ここは1,405mピークの肩で、そこから尾根が西に振る。だから
一瞬前方が開けてキリン峠方面が見えるが残念ながら上の方はガスに包まれている。尾根にはヤマホツツジやサラシナショウマ、
トモエシオガマなども咲いている。


09時05分地図上の1,405mを通過するが標識などは無い。ちなみに昭文社の山と高原地図・大山にはこの1,405m
ピークがキリン峠と記されている。


  
   ホツツジも咲いている                       割と歩き易い踏み跡が続く

  
 08時56分 緑のトンネルの向こうに白いポールが見える   1,405mピークの肩に出ると一瞬前方が開ける


    キリン沢の上辺りがキリン峠  右上に槍ヶ峰が見える   少し待ったがガスが晴れない

  
    サラシナショウマ                        トモエシオガマの花びらが落ちている

  
09時05分 1,405mピーク辺りを通過するが何の標識も無い   暗部に向かうと前方にキリン沢の崩壊地が見える

09時10分前方が開けたが、ガスでサッパリの景色である。足元には更にカニコウモリ、フウロソウが見られる。少しするとコル
部に下がった様で、そこから上り傾斜となる。
09時25分低木帯に入るとクサボタンの髭姿が並んでいる。あの反り返った紫の花
が終わると白いひげ姿になる所が植物の不思議な七変化だ。

紫色の実を付けた木がある。鳥に目立つ赤い実が多いのだが紫色は確かに気を引く。ハイノキ科のサワフタギでこの実が瑠璃色で姿
がカマツカ(俗名ウシコロシ)に似ているところからルリミノウシコロシと呼ばれているらしい。ミヤママタタビ(エゾマタタビ)
だろうか?緑の葉っぱの中にピンクの葉がちりばめられている。普通のマタタビは白い葉っぱが混ざるのが特徴なのだが・・・。


  
 クサボタンの花が終わると髭面になる                    サワフタギの実は瑠璃色


    フツーのマタタビは葉っぱに白が混じるが、ミヤママタタビ(エゾマタタビ)はピンクが混ざる

  
   フウロソウが沢山草地に咲いている              クサボタンの咲き残りと髭面姿の比較

  
  前方はなだらかな草地が続く                    振り返ると1,405mピークとその手前の鞍部

09時35分頃から草地が主体になりギボウシやフウロ、ミヤマコゴメグサなどが出てくる。右手はキリン沢が鋭く切れ落ちて厳
しい大山の表情を作る。このルートはキリン峠の直前まで歩く人が結構居るのか踏み跡がしっかり付いている。
次第に傾斜がキツ
くなり09時50分ミヤマコゴメグサやダイモンジソウを最後に砂礫地に突き当たる。


  
  げっ お上品なオオバギボウシもこんなお姿に・・・              草地の急傾斜を上がる

  
   ミヤマコゴメグサ                           右手はキリン沢の崖だ

  
何か ストライプで光ってるイモムシがいるぞ(キアゲハの幼虫)        ミヤマダイモンジソウ
 


            09時50分 キリン峠への核心部に出る

キリン峠への難所

前方の尾根が切れ落ちて進めない場所で、嫌がおうにも左手の崩壊斜面に取りつかなければ上側に出る事が出来ない。霧が濃くな
り良く状況が見えないので暫く切れ落ちて行くキリン沢などを見ながら待機する。


暫くすると霧が少し晴れ、そこに単独登山者がやってきて、悩みながらガラガラ石を落とすながら左斜面を上に上がって行く。そ
のルートを食い入る様に眺める。その男性から「ここはザックをデポして身軽になって上がった方が安全ですよ」とアドバイスを
くれる。
でも、ザックを置いて行けば又それを取りに又下ってこなくちゃならないじゃん。

10時30分意を決して細尾根を進んで左斜面のザレ場に取りつく。岩は全て脆いので手がかりは無い。頼りは足元の薄い踏み跡
だけだ。この足元が崩れればどこまでも滑落して行く自然環境だ。力を足裏になるべくかけない様にそ〜〜っと斜面に入って行く。
それでもガラガラと小さな石が谷へ落ちて行く。一旦左手へトラバースして、そこからボロボロの岩の間を這い上がって行く。
岩の端は全て持つと崩れるので、足場だけ崩れない場所を選んで置き、手は大き目の岩を押す感じで這い上がる。


  
 単独男性がガラガラ石を落しながら上まで上がって行った様だ   あれ? ガスがかかって良く見えなくなった


  核心部のルートを自分なりに目を追って何度も確認する  足場が非常に薄い 手がかりは無い


                    10時30分 斜面に取りつく

  
   水平方向へ移動して一息つく                  こんどは垂直方向へそ〜〜っと這い上がって行く

10時45分上側に出ると、そこには安定した尾根筋がありホッとする。上のキリン峠からは三ノ沢を上がってきた登山者が眺め
ている。それほどこの界隈に来る登山者にとって大変興味がある場所なのだ。
広島から来た若い二人組の登山者が下で見守ってい
たが、年寄りの私が何とか上までクリアしたのを見て続いて来た。


続くガレた急斜面を上り詰めて11時00分キリン峠のポールに上がる。そこで広島からの二人組の到着を待ってそこに居た登山
者に記念写真を撮って貰う。何か同志の様な感覚で握手を交わして健闘を称え無事を喜ぶ。


  
 一応核心部から上側に這い上がってホッとする              下で広島の若者が見つめる


    キリン峠のポール付近から眺めている登山者が見える


    難所を突破しても気を抜かずにキリン峠のポールまで這い上がって行く

  
 右手はキリン沢上部の崖部                      転がり落ちたらアウト〜〜


     あと少し〜〜   あと少し〜〜 

  
   キリン峠のポールが近づいた                   広島の若者二人組も上がって来る

  
  キリン峠を這い上がった同志でバンザ〜〜イ          這い上がった尾根を三人で眺める


キリン峠から三ノ峰〜天狗ヶ峰〜剣ヶ峰へ

11時15分シラタマノキの白い花を見ながら三ノ峰へと上がって行く。霧の中に浮かぶ槍ヶ峰は幻想的だった。やはりベールに
包まれた姿はより魅力的に見せるものだ。


槍ヶ峰の手前には「キリン沢の頭」と呼べる一つのピークがあり、右手はガレた岩峰なのだが左手には草が生えているので安心感
がある。いつもは草の旺盛な繁殖力に悩まされているのだが、こんな場所ではこの生命力は有り難い。おまけにこの草地はフウロ
ソウ、シラタマノキ、ミヤマアキノキリンソウなどの花を咲かせている。


崖の上に足を出して「おじょもポーズ」で崩落沢を眺める。確かに足と一緒に写すとヤバさが伝わってくる。キリン沢側から先ほ
ど這い上がってきたガレ尾根をしみじみと眺める。難所は15m程ではあるが確かに一つの決意が必要な場所だった。


ガスに包まれた槍ヶ峰の左手をトラバースして11時45分「三ノ峰」に着いた。山頂標識のあるケルンを積まれた場所で3人の
登山者が休憩中だったが、標識写真を撮らせて貰う。三ノ峰の北側肩部でガスの尾根を眺めながらご夫婦が休憩をされていた。


  
   さらば  同志よ!  我は剣ヶ峰へ向かう!          シラタマノキがこんな場所で平和に住んでいる  

  
   槍尾根を進む                         槍尾根の右手はキリン沢の崩壊地が尾根筋まで延びている

  
 尾根道にはフウロソウ、シラタマノキ、ミアマアキノキリンソウが並ぶ   右手はあまり見ない方がいい キリン沢が切れ落ちる


                 霧が出て槍ヶ峰を幻想的に飾る

  
 ホソバノヤマハハコが豪勢に花を付ける                  三ノ峰が近づく

  
11時45分 三ノ峰  人が居るから帰りに寄ろう         ご夫婦が見つめる天狗ヶ峰方面は霧で何も見えない


11時50分少しガスが薄れ気味になったのでユートピア小屋からの交差点「天狗ヶ峰」への細尾根に進む。キリン峠の難所を突
破した後なので普段なら結構厳しい三ノ峰から天狗ヶ峰への細尾根もフツーの道に感じる。左手奥に目的地の大山最高峰「剣ヶ峰」
が見える。
12時少し前に天狗ヶ峰を通過するが、ユートピア方面はガスで良く見えなかった。天狗ヶ峰(1,711m)から
剣ヶ峰(1,729m)への稜線は標高差はたった18mしか無いにだが、見た目は厳しい痩せ尾根の為もっと高度差がある様に
感じる。所々に草地などもあり危険ポイントさえ注意を払えば見た目よりは歩き易い。


  
 11時50分ガスが少し薄くなったので天狗ヶ峰へ進む      細尾根も霧が出ると高度感が薄れるので怖くない


    4分程歩いて霧が少し晴れたので三ノ峰を振り返る 平らな場所はそんなに危険は感じない

  
 尖ったピークの奥側が天狗ヶ峰 急な傾斜場所が危ない     12時少し前に天狗ヶ岳を通過して剣ヶ峰へと向かう

  
    眼下には一ノ沢と二ノ沢が見える          三ノ峰から天狗ヶ峰までは10分もかからなかった(天狗ヶ峰より三ノ峰)


              天狗ヶ峰からいよいよ剣ヶ峰へと向かう 


  二ノ沢へ落ちて行く大山南壁の谷筋  厳しくも美しい光景だ  岩の脆(もろ)さがよくわかる

剣ヶ峰 1,729m

12時20分剣ヶ峰に到着する。剣ヶ峰は弥山より20m程標高が高く大山の最高峰である。建前は通行禁止となっている剣ヶ峰
ではあるが、結構自己責任で来られる登山者は多い。地形図には標高1,729mと記されているが、山頂にあるコンクリートモ
ニュメントには1,731mと彫られている。このコンクリート山頂碑で標高を上げたのかな?ガスの為、南側を眺めても沢が2
つしか見えない。
前日、桝水で買った「大山おこわ弁当」を昼食に食べる。

横で食事中の男性と話を交わす。小学校の息子さんを大山夏道に連れて行ったら山が好きになり、ユートピアコースも一緒に歩い
たらしい。そこも飽きたと言うので三ノ沢〜剣ヶ峰ルートを一緒に歩けないか初めて偵察に来たと言う。本人も相当キツかったら
しく、息子にはこのコースは無理だろうと言っていた。


  
  12時15分 剣ヶ峰手前のブッシュ帯を通過          12時20分 キリン峠から歩いて剣ヶ峰に立つ


    一瞬ガスが飛んだ瞬間         天狗ヶ峰                      三ノ峰   槍ヶ峰

   
 剣ヶ峰から二ノ沢、三ノ沢を見下ろす 一ノ沢はガスで見えない  前日桝水で買った大山おこわを食べる


弥山方向に少し歩いてみる

12時45分ガスの中、弥山方面に少し進んでみる事にした。弥山〜剣ヶ峰の尾根縦走は無雪期には危険で冬場にだけ多少安全に
歩けるので去年マーシーさんや伊予の鈍亀さん等山仲間と歩いている。13時00分まで歩いて前方にザレ場がガスの中に見えた
のでので引き返す事にした。後から来た先程の単独男性や別の二人組もそこで引き返して行った。


  
12時45分 弥山方向に進んでみる                  ガスで弥山は見えず


   13時00分  弥山はガスで見えないし、この先が切れ落ちてヤバそうなので引き返す

  
  剣ヶ峰へ帰る手前が切れ落ちている               13時20分 剣ヶ峰に引き返す


冬の弥山〜剣ヶ峰縦走の記録は   ここ   


剣ヶ峰〜天狗ヶ峰〜三ノ峰〜三ノ沢下山分岐


剣ヶ峰に引き返すとヘルメットを被っていかにも山女と言う人が大きなカメラを抱えている。息子さんが仕事で来れないので代わ
りに息子の友達を連れて来たと言う。その息子さんの友達は消防士のレスキュー隊員らしく筋肉隆々の上半身を出して着替えをし
ていた。男の裸身を見ていても仕方無いので13時25分ガスで展望が無い尾根を三ノ峰へと引き返す。

槍尾根とは

13時40分天狗ヶ峰の交差部に着いたので以前あった手製の標識を探すが見つからなかった。
天狗ヶ峰分岐から「槍尾根」に進
んで13時55分「三ノ峰」に着くと少し天気が回復してきた。少し休憩がてら天狗ヶ峰から剣ヶ峰への展望を楽しむ。

大山の主稜線は一般的に夏山登山道の尾根から弥山〜剣ヶ峰〜天狗ヶ峰〜三鈷峰・宝珠尾根辺りと思われるが、天狗ヶ峰から三ノ峰
〜槍ヶ峰〜キリン峠への尾根を「槍尾根」と呼ばれている様だ。昭文社の山地図にもこの槍尾根が記載されている。槍尾根の主峰は
「三ノ峰」で国土地理院の地形図にある槍ヶ峰の標高1,692mだろう。国土地理院の地形図には三ノ峰の記載は無く、槍ヶ峰と
記されている。確かに槍ヶ峰の形は特徴的で魅力があるが、山のピークとしては規模が小さすぎて地形図からもその存在場所を特定
しづらい。まあ、でもこの尾根のシンボルとして槍の名を冠する気持ちは良く分かる。

三ノ峰から天狗ヶ峰、それから下側の槍ヶ峰からキリン峠への「槍尾根」を眺める。はやはりこんな尾根筋では展望がなければつま
らない。又、霧が出て来たので槍ヶ峰の右手をトラバースして下り14時20分三ノ沢下山分岐に着く。


  
 13時25分 剣ヶ峰を後にして天狗ヶ峰へと下る        途中で山慣れした女性と連れに道を譲る

  
 13時40分 天狗ヶ峰を通過  ガスで展望無し        13時45分 天狗ヶ峰から三ノ峰へ下る 

  
先程私を追い抜いて行ったレスキュー隊員はもう三ノ峰にいる  天狗ヶ峰を振り返るとユーとピア方面から来た登山者が立っている  


 ガスが切れるのを待って三ノ峰から天狗ヶ峰(右ピーク)と剣ヶ峰を眺める  ここ三ノ峰から天狗ヶ峰までが槍尾根の上部だ


 三ノ峰から槍ヶ峰〜キリン峠辺りまでが槍尾根の下部だ  上から見る槍ヶ峰は積み木みたいな面がある

  
 槍ヶ峰の右手をトラバースして下る             キリン峠上側のピーク これを右にトラバースた所に下山道がある

  
        槍ヶ峰を振り返る                       剣ヶ峰に別れを告げる
  

槍尾根、三ノ沢分岐〜三ノ沢〜文殊堂

槍尾根を後にして今年6月に歩いた三ノ沢へとどんどん下る。以前はツガザクラやイワカガミに彩られた斜面も緑一色でつまらな
い。14時50分三ノ沢に合流してなだらかな草原を下る。大山南壁を振り返るが上部は相変わらずガスがかかっていた。15時
10分涸れ沢を右岸に渡りケルンを通過して砂防ダムを右手から下る。


  
 14時20分 三ノ沢へと下る                      槍ヶ峰と三ノ峰がまだ見える  崩壊斜面が多い

  
  崩壊地は左に逃げるルートがある                前回、この左手の尾根をキリン峠まで這い上がって来た

  
 あちこちから崩壊ガレ場が押し出してくる               ガレ場近くに沿って道が付けられている


  14時50分 三ノ沢本流部に下りて来る   水の流れは無く、崩壊石の流れだ

  
 草原となったなだらかな河原を下る             15時10分 沢を右岸に渡ってガスがかかった南壁を振り返る 

  
 ケルンが見えたら砂防ダムが近い                 砂防ダムの右岸から下側に下りる  ロープ有り

    
 15時15分 堰堤の下に出る                    もう一つ低い堰堤を直ぐに下る

前回はこの沢を少し下って行ったのだが、今回最初の大きな砂防ダムを下りて直ぐに段差の少ない小さな堰堤を下ると左手の堰堤
付近に赤いテープが見えた。地図で確認すると、この場所は前回キリン峠へ這い上がった南西尾根の末端部付近だった。15時
20分、今回はそこから早めに左岸へ沢から上がってみると登山道があった。登山道は二つ程堰堤をやり過ごし下って行くと15
時43分砂防作業中箇所で前回同様右岸に渡る。歩行者利用通路の林を抜けて16時00分文殊堂へ帰り着いた。


  
二つ目の堰堤を下りて左岸に移動するとテープがあり道に出る   ここから快適な登山道が続く (もうここは沢歩きとは言えない)

  
 15時24分 砂防堤を左手から下ると道が続く              快適な登山道が左岸沿いに続く  

  
15時40分 堰堤を又左岸から下る                  直ぐに治山工事中の沢を右岸に渡る

  
 右岸の歩行者用道路(林の中)を抜ける             15時50分 治山道路に出る

  
  大山環状道路、三ノ沢橋に出る                  16時00分 文殊堂に帰り着く  お疲れ〜〜〜

あとがき

私は四国では石鎚山が大好きで、その理由の一つは厳しさや美しさだけでなく色んなルートからアプローチが出来て奥深さがある点だと
思う。石鎚以外ではこの中国地方の名峰「大山」(だいせん)も同じような印象を持っている。特にバリエーションルートの存在が山の魅力
を倍増します。
登山者によってはバリエーションルートは危険だから歩いてはいけないとか、登山記に載せるとマネをして事故を起こす事に繋がるとか
心配します。 そもそも山歩きに心配やリスクはつきもので、又「自己責任」が常識の世界だと思う。

HPによく「この登山記を参考にして事故があっても当方に責任は一切ありません」とか自己防衛の文言を入れる人がおられます。そんな
事は当然で登山記を書く者は読む人の技量や体力などわかりませんわ。歩いた実績、歩けた実績を記録に残す事が大事なので、この
大山南嶺バリエーションルートも自分の技量、体力で私の個人的な記録を昇華して頂きたいと思います。


 大山南嶺  一ノ沢から弥山へ  は  ここ   

 大山南嶺  三ノ沢〜キリン峠南西尾根〜キリン峠〜三ノ峰〜三ノ沢を下る  は   ここ   

  
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