特集 大山の南嶺 一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢、キリン峠、槍ヶ峰界隈
大山・鬼女台(きめんだい)付近から眺める大山・南嶺
四国から一番近い遠征の地「大山」(だいせん)は高松からだと石鎚山へ行くのと時間的には変わらない。橋を渡って高速料金が多少
かかるが中央の山への遠征に比べれば気分的に楽である。
四国では見られない山の魅力を持つ大山の南嶺バリエーションルートを纏めてみました。
「一ノ沢」は弥山まで比較的容易に行けますが、最後は大山キャラボク群に入るので花の季節に弥山手前まで行く事にしました
「二ノ沢」は弥山と槍ヶ峰の間、大山南壁にぶち当たる為に稜線まではとても行けず中途半端になるのでお勧めではありません。
ここは一ノ沢途中から二ノ沢へシフトする岩好き登山者のルートとなります
「三ノ沢」は途中から槍ヶ峰や三ノ峰へ這い上がるルートとして一般的で結構ここを歩いている人が多い場所です。三ノ峰から
天狗ヶ峰を経て剣ヶ峰へ至るルートはザレた細尾根なので経験者と一緒でなければ足を踏み入れるのはお勧め出来ま
せん。先行者からの落石に注意を要する場所です。
「キリン峠」その@ルートは三ノ沢の途中から南西尾根に取りつきキリン峠へのルートを歩いてみました。この尾根は完璧な藪
尾根で効率の悪いハードな歩きを強いられます。
「キリン峠」そのAルートは文殊谷から鳥越峠、そこから西北西に伸びる尾根を詰めてキリン峠へ至ります。最後のガレ尾根で
引き返す人が多い様に一ヶ所危険な難所が存在します。この難所突破には経験者同伴かロープワーク経験者のお世
話になる方が無難です。
バリエーションルート歩きは当然リスクが伴います。十分に経験を積んでこの魅力的な大山を自己責任で足を踏み入れて下さい。
当然の事ながら高山植物の咲くお花畑に足を踏み入れる事無く、踏み跡ルート上から花を楽しんで下さい。
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 大山・南嶺 一ノ沢、二ノ沢、三ノ沢、キリン峠界隈ルート図
大山の南側 その1)一ノ沢から弥山へ
大山「一ノ沢」から弥山往復と「二ノ沢」(偵察) 平成30年6月3日
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 大山一ノ沢、二ノ沢
掲示板でワンワンさんから大山一ノ沢のレポを頂いたタイミングで行ってみる事にした。
桝水から大山環状道路に入り、大山一ノ沢と二ノ沢の間にある道路沿いの空き地に車を駐車して07時00分出発する。一ノ沢の
道路沿いから大山山頂方向を眺めると三角錐の大きな岩峰の左奥に弥山付近が見える。沢の崩壊地から左側に回り込んだ尾根筋が
今回のルートだろう。一ノ沢への取り付きは西側に付けられた作業用コンクリート道路に沿って暫く進む。
07時10分二又分岐に出合う。少し悩むがここは沢沿いに近い右手の道路を進む事にする。後で分かったのだが、左手の道路が
少し大回りになるが一ノ沢通常のルートだった。(下山時にこのルートを下った。)
07時00分道路沿いの空き地に車を置いてスタート 大山環状道路沿いに建つ「一の沢」看板
大山 環状線・一ノ沢橋から見上げる弥山 弥山へのルート予想
環状線道路から左手の治山道路へと入る 10分程で分岐に出た ここは沢へ向かって右へと進む
舗装が切れてブルドーザーで押し固めた道を進むとタニウツギやダイセンクワガタの花が咲き誇っていた。ダイセンクワガタはア
ルプスで見かけるグンナイフウロに似た可愛い花で四国ではこの様な花には出会わない。でも大山ではそこここらに雑草の様に咲
いている。
07時16分道路は寸断されており一旦沢に下りてまた前方で這い上がる。07時30分堰堤が現われ、左手から這い上がると直
ぐ上にも次の堰堤が待っていた。兎に角大山の沢は不断な水が流れていないのだが上部から崩壊した岩や石が大雨の時にドンドン
流れ下るので砂防ダムが多い。ミヤマキケマンの咲く右岸沿いを進む。
ブル押しで平らにされた治山道路 タニウツギもいい色だ
ダイセンクワガタが雑草の如く道脇に群生している
道が崩れているが端を歩く 堰堤脇にはキケマンが咲いている
砂防ダムの左手から這い上がる ダムの基部はイタドリや灌木の藪
一ノ沢左俣に進む
07時40分二つ目の堰堤を越すと左側に大きく曲がって行く荒れた支沢に入り、そこから上の砂防堰堤は鉄製となる。右俣への
ルートは入口に砂や石が堆積して分かりづらいが、右に進んでしまうと大山南壁に突き当たり弥山には行く事が出来ない。
左俣の鉄製の砂防堰堤は急傾斜に設置されているが、周りにウツギやヤマヤナギなどの草木が生えており、ガレ石が沢山押し出さ
れて低いので直接越えて行く。傾斜は次第に急になるが足元のガレ場が安定しているのでドンドン上がって行ける。
砂防堰堤を2つ乗り越える 07時40分左俣の急斜面へ取りついて行く
荒れた一ノ沢左俣へと這い上がって行く
下を見ると結構傾斜がキツい 鉄製の落石防止堰が続く
鉄製堰堤の間にもダイセンクワガタが顔を出す う〜〜ん これぞ急傾斜〜〜
斜面にはタニウツギや ヤマヤナギの低木が生えて土壌を支えている
08時15分少し傾斜もなだらかなガレ場になると左手に稜線部が見えるのでそちらに何となく向かって進む。草地にはイワカガ
ミやアカモノが見られる。ここは6月に来るとお花畑となっている様だ。
草地の稜線部に這い上がる。前方には沢の入り口から見えた大きく特徴的な岩峰が近づく。
そこそこ登山者が使っているルートに合流した様だ。
08時15分 支尾根部に近づくと斜面も緩やかになる シュロソウ科のネバリノギランでしょうか
アカモノの群生 08時43分 支尾根部の草地に這い上がる
這い上がって来た沢筋を眺める 一ノ沢は大きく右手に曲がっている
イワキンバイ 踏み跡が支尾根筋に続いている
右上に特徴的な岩峰が見える タンナサワフタギ みたいな・・・
ヤマヤナギ カノコソウみたいな・・・
暫く崩壊地の頂点に向かって左手のブッシュを歩く。木の根や草の根が必死で斜面の崩壊から大地を守ってくれている様だが力尽
きて沢の崩壊地に飲み込まれている物もある。
09時15分、崩壊地の上部に近づくとオキナグサが咲き残っており嬉しくなる。ダイセンクワガタやこのオキナグサはあまり四
国では見られない花なので得をした気分だ。
山見られた。
崩壊地に沿って斜面を上がる 09時10分 一ノ沢・左俣の源頭部崩壊地に出る
レンゲツツジが結構あちこちに咲いていた むむっ これはオキナグサ!
なだらかな斜面の草原に踏み跡を辿る マイズルソウ
レンゲツツジと奥にイワカガミの群生
イワカガミの群落
弥山の下側に聳える岩峰が近づく
烏ヶ山をイワカガミ越しに眺める
左手には大ノ沢を挟んだ岩峰尾根が見え、振り返る左手には烏ヶ山が眺められる。
まあ何処でも歩ける地形ではあるが、高山植物を踏み荒らさない様にこんな場所では踏み跡を辿るのがマナーだ。
すると10時15分、今度は一ノ沢右俣の上端部に出る。足元には大きく抉られた崖状の沢が鋭く落ちている。この崩壊地に沿って
上っていくと10時20分何と弥山の避難小屋が見えて沢山の登山者で溢れている。え〜〜何で? これじゃダイセンキャラボクの
通行禁止場所を通って弥山に行く事は出来ない・・・(後で調べるとこの日は「大山お山開き祭」のイベントがあったみたい)
多くの登山者の面前で腕に腕章を巻いた指導員からイエローカードが出されるのは目に見えている。山頂を目の前にしてスゴスゴと
引き返す事にした。せめて西側に飛び出したピークをゲットしてピークハンターの溜飲を下げる。その後、出来るだけ目立たない様
に体を低くして分岐から下る。上空ではヘリコプターが取材で飛んでいる。
コバノツガザクラ フツーの ツガザクラも群生している
一ノ沢の西側にある尾根筋は右にゆっくりと回り込みながら弥山へと続く
左手には大ノ沢と一ノ沢を分かつ岩尾根が並ぶ
一ノ沢の西側尾根を上から眺めると結構高度感がある (真下が一ノ沢)
弥山の南下にある岩峰と奥に烏ヶ山(からすがせん)
マイズルソウ ん? センボンヤリとは葉っぱが違う
10時15分 一ノ沢(本流?)の源頭部縁近くに着く 大山の沢は全てガレており同じような景色となる
支尾根を更に崩壊地に沿って踏み跡を上がる 崩壊地は相当上まで延びている
10時20分 何と弥山避難小屋近くまで崩壊地が忍び寄っていた やけに大勢の登山者が居る
とても大勢の登山者が居る弥山には出ていけないので西側のピークをゲットする
弥山登山道の南側にある尾根ピークまで行って引き返す 山開き祭りの取材ヘリが頭上を飛ぶ
さらば弥山よ 10時50分 こっそりと分岐から下がる
タニギキョウ ? おじょもスタイルで足を撮る
ドンドン 支尾根を下る コメバガザクラ コケモモは葉がもう少し丸いかな?
二ノ沢に行くにはあの辺りから左へ入るのかな? ヤマヤナギ
11時36分下側の崩壊地ブッシュを通過して上りに沢から這い上がった辺りまで下る。11時50分下山は左手の沢には下りずに
尾根筋の踏み跡を辿る事にした。最初はギボウシや笹の生えた尾根だが次第に樹木が多くなりブッシュに突入する。ヤマボウシやタ
ニウツギなどの樹林帯だが確かに踏み跡は続く。
11時36分 ブッシュを下る 上りはその下側の砂礫地を這い上がって来た
気の毒な犠牲者だ 11時43分 ブッシュを抜ける
ミヤマハタザオ オオバギボウシの踏み跡は上りで歩いた記憶がある
11時50分 ここからは初めての尾根道を下る 灌木藪にヤマボウシが咲いていた
11時57分 灌木藪でも足元に道が続いている だいぶ下って来た
12時08分少し広めの登山道に下り着く。12時22分道路の左手が落石防止の設備がされている。すると12時24分舗装道路
の二又分岐に到着した。この分岐は朝、どちらに進もうかちょっと迷った場所だ。
12時30分大山環状線に出て一旦車に帰り二ノ沢入り口の広場に移動する
12時08分 広めの道に合流する 右手に分岐の赤テープが見られた
ガクアジサイ? しっかりした道が続く
12時25分 セメント道路に合流する 下側から分岐を撮る 上りは右側、下りは左の道を下りてきた
12時28分 大山環状道路に下り着く 一ノ沢橋から歩いて来た弥山までの尾根を眺める
「大山二ノ沢」
その後、時間の余裕があるので二ノ沢の偵察に出かける。当初からここに来る予定は無かったのでルートを調べていないが、兎に角
沢筋だけを歩いて見る事にする。
12時37分車両通行止めのチェーンを越えて二ノ沢右岸の治山工事道路へ入る。12時50分道は真っ直ぐに上がっていくが、右
手の沢へ向かう広場があるのでそちらに向かう。広い河原に出て上流部を眺めるが、堰堤が並んでいる。正面奥には三ノ沢との間を
隔てる尾根が衝立の様に並んでいた。
12時37分 二ノ沢治山工事道路へ入る 最初は右岸沿いの治山道路を歩く
沢近くの広場で治山道路を離れ右の沢へ向かう 二ノ沢に出る 堰堤から左岸に渡る道がある
下側には砂防堰堤が並ぶ 上流方面にも砂防堰堤が有り、奥に三ノ沢を別ける尾根が並ぶ
13時00分沢を右手に渡り道を進むと河原の横には派手な黄色い花が咲いている。暫く進むとショベルカーとダンプカーが停まっ
ていたが作業はしている様子は無い。(日曜日だから)そこから右手の土手に這い上がり堰堤をクリアして13時20分堰堤の上側
へ下りる。上流部にはまだ堰堤が続いている。堰堤を左手から乗り越えて進むが河原に水が少し流れており大きなガレ石があって歩
きにくい。
道路沿いには黄色い花が咲いている キャタピラ製のショベルカーやダンプカーが置かれていた
道が切れたので土手を這い上がる 結構高い場所まで上がった様だ
整備中の土手を下って河原に復帰する 上流には川幅の広い堰堤が並ぶ
12時34分 少し水が流れる荒れた沢筋になる 前方の堰堤が高くなる
13時35分前方の高い堰堤をヤブウツギの咲く左側から這い上がる。しかし又高い堰堤が現われ、キリがないのでこの辺りで引き
返す事にした。
堰堤の左手から這い上がるルートがあった 13時45分 引き返す
同じルートを引き換えし14時20分車に帰る。時間的に早かったのでもう少し二ノ沢の右俣、ゴルジ辺りまで詰めれば良かったか
も知れない。しかし、今回は一ノ沢から弥山ルートが目的だったので、二ノ沢についてはルート確認等、準備不足の為中途半端な偵
察に終わった。
いずれにしても二ノ沢は稜線まで至る事は出来ないので一ノ沢や三ノ沢と繋ぐルートがメインの様だ。岩ヤでは無い私にとって個人
的にはハードルが高くて余り歩くには縁の薄い沢だと感じた。
ショベルカーの場所まで帰って来た 土手の高低差がありすぎて直接沢沿いには進めない(左岸から迂回)
14時18分 右岸へ渡り返す 14時20分 治山工事道路から環状道路へ帰り着く
大山の南側 その2)三ノ沢からキリン峠へ は ここ
大山の南側 その3)鳥越峠からキリン峠を経て剣ヶ峰へ は ここ