「山と元気の会」読売新道
縦走2日目 平成30年8月8日 晴れ、曇り、小雨
双六小屋〜双六岳〜三俣蓮華岳〜三俣山荘〜鷲羽岳〜水晶小屋
06時40分 双六小屋出発
08時12分 双六岳
09時50分 三俣蓮華岳
11時00分 三俣山荘
13時08分 鷲羽岳
13時58分 ワリモ岳
14時20分 ワリモ北分岐
15時10分 水晶小屋
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合計所要時間 8時間30分
2日目の行程 双六小屋から水晶小屋まで
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 双六小屋〜双六岳〜三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜ワリモ岳〜水晶小屋
昨夕は濃いガスに包まれて何の展望も景色も無かった。朝05時外を見ると一面ガスに包まれておりガッカリする。双六小屋の朝食は
2クール目でも05時30分からと早い。
て双六台地から槍が見えるかもと期待する。
早朝はガスに覆われて全く見えなかったが双六池が見えだした え? なんぼ何でも小屋は動かんやろさ
気持ちの良い天気になったぞ バックは鷲羽岳か 行くぞ〜〜〜
双六小屋の前で準備をしていると次第に天気は回復して水晶岳が見える様になった。06時40分小屋を出発して水晶岳の分岐に向か
う。
の稜線へ出る「中道ルート」3)更に稜線を東に大きくトラバースして三俣蓮華岳の基部へ出る「巻道ルート」だ。
当然我々は晴天ルートである稜線へと青い空を目指して進む。右手には三俣蓮華岳〜鷲羽岳〜黒岳(水晶岳)が並んでくっきりと見え
ている。やった〜
翌朝03時にこっそり双六小屋を抜け出してペツルのイーライトを頼りに双六台地に登って夜明け前の槍ヶ岳を眺めに行ったのだった。
今回はスッキリと双六台地からの槍ヶ岳が拝めそうだ。
分岐付近から穂高の山々が見え、槍の穂先が樅沢岳から少し顔を出している。コバイケイソウ、ウサギギク、オヤマリンドウなどを眺
めながらも気があせる。と言うのもミヤマダイコンソウのバックに出現した槍ヶ岳ではあるが、槍ヶ岳の北東に湯俣から延びる千丈沢
を伝って標高の低い西鎌尾根へ雲が湧いって流れて来るのだ。
丸山 三俣蓮華岳 祖父岳 祖父岳 水晶岳 鷲羽岳
07時05分 双六・巻道分岐 今日は平野CLが先頭だ 頼んまっせ〜〜
樅沢岳 槍の穂先 大キレット 奥穂高 西穂高
ギリシャの島みたいな白い花崗岩の双六岳 お〜〜 槍が姿を見せたぞ!
キャイ〜ン 左手から雲が湧いて出て来るよ〜〜 嗚呼 神様 仏様 平野様〜〜〜 GO〜〜!
急な傾斜の岩場にはチングルマの花が残っており、ヨツバシオガマも美しい。でも頭の中は平原越しの槍の姿だ。やっと岩場が過ぎた
ぞ! そんな時に限って07時30分リーダーから「お花摘みタイムですから男性は前へ出ない様に・・・」との指令が飛んだ。
げ〜〜〜双六小屋を出発してどれ程も経っていない今かよ。私はこういうしきたりには非常に寛容なのだが、何せこちらも双六平原か
らの槍ヶ岳がかかっているのだ〜。こちらはトイレも行きたくないのだがジダンダを踏んだ。
07時45分双六平原に着くと無残にも沸き立つ雲で槍ヶ岳は私の前から忽然と姿を消してしまった。
チングルマやヨツバシオガマ、オヤマリンドウの咲く岩場を上る 前回はここを03時30分頃 小さなライトで上がった
この斜面に巻道がある 丸山 三俣蓮華岳 祖父岳 水晶岳 ワリモ岳 鷲羽岳
右手の岩場を左に巻いてハイマツ帯へと進む ヨツバシオガマとミヤマリンドウ
双六岳はハイマツ帯を左へ巻き込んで平原へ進む 双六平原は近いぞ
双六平原から笠ヶ岳を望む 雲海の左に焼岳、その後ろに雲に隠れた乗鞍岳 昨日歩いて来た弓折岳からの尾根道も見える
オ〜マイガー お〜ユアブッダ〜 何たるチ〜〜ア 閉店ガラガラ・・・・・槍が流れ来る雲に隠れてしまったやんかいさ
双六岳 二等三角点「中俣岳」 2,860.42m
槍が見えなかった槍切れなさにあとは夢遊病者の様に双六岳の山頂へと進む。ガスがこの双六岳へも押し寄せてダメ押しパンチを私に食ら
わせる。双六岳は鍋底のように切れの無い形の山だが、北端にある山頂は岩場もありトウヤクリンドウを眺めながら結構登っていく。
四国で言えば瓶ヶ森か三嶺ってイメージだろうか。
08時10分双六岳の山頂に着いて何度も槍ヶ岳を眺めるがツレないものだった。昨日小池新道を我々の後ろに付いて登っていた単独
女性が山頂にいたので記念写真を全員で撮って貰った。この方は関東の人で三俣山荘から引き返すと言われていた。
人は誰もただ一人 旅に出ぇて ♪ 人は誰も槍ヶ岳を振り返る ♪ 振り返らず ただ一人 一歩づつ 振り返らず 泣かないで 歩くんだ〜♪
何かを求めぇて〜 振り返っても〜 ♪ そこにはただ風が 吹いているだけ〜 ♪ シューベルツの「風」を歌いながら双六平原をトボトボ歩く
あ〜あ ガスまで湧いて来たわ 岩クレの斜面を上がる
岩間に咲くトウヤクリンドウ 山頂はもうすぐ
笠ヶ岳は気前が良い 双六岳山頂から 槍ヶ岳は見えないまま つれないなあ
「山と元気の会」 この山行で最初の山頂じゃ〜 風強し
大きな花崗岩がゴロゴロする尾根を北に下り、前方の三俣蓮華岳へと進む。ここの尾根道には大きなクレーターの様に雪渓が残ってい
た。双六岳の傾斜を下り切ると前方に丸山の山塊が霧の中から現れる。この丸山の標高が2,854mで、その向こうにある三俣蓮華
岳が2,841.2mであるから手前の丸山って言う平凡な名前をもつ山の方が高い。
日本の山で2番目に多い山名は「丸山」らしい。四国では笹ヶ峰の丸山壮がある場所が丸山だが、後は知らないのでピンとこない。ち
なみに1番多いのは「城山」で298座ある。香川県で「きやま」「じょうやま」「しろやま」がある様な・・・
3位は愛宕山、以下権現山、高山、大森山、烏帽子山、飯盛山、妙見山と続く。
ヤマハハコやウメバチソウの咲く稜線を歩いていると08時38分「中道稜線分岐」の標識と出合う。ハイマツに覆われた平らな稜線
の左手向こうには黒部五郎岳が見える。その稜線沿い右手には薬師岳も丸山の向こうに半分姿を見せる。
08時45分丸山の基部に至ると、ここから見上げる丸山は岩稜を持つどっしりとした山だ。北アルプスの山なんだからもっと格好が
良い名前を付ければ良かったのに・・・
夢破れて山河あり 双六岳をスゴスゴ下る ルートは最初左を巻いて、その後稜線部へ出る ガスが垂れこめたり晴れたりの天気
ミヤマアキノキリンソウの若い花って事にしとこか ヨツバヒヨドリもこれ位花を付けると見ごたえがある
少し霧が薄くなると丸山の左手に薬師岳が現れた 雪渓の近くにはお花畑がある
ヤマハハコ ウメバチソウとタカネオトギリ
08時36分 双六岳の手前から分岐した中道がここで合流する 黒部五郎岳から薬師岳の稜線を眺めながらコル部を歩く
丸山も岩稜帯を持った中々の山だ どっしり感があるなあ
丸山の左に見える黒部五郎岳 ここのカールは迫力がある
双六岳から歩いて来た尾根を振り返る 笠ヶ岳は愛想が良い 山脈の端は雲海が広がっている天気みたい
ゴゼンタチバナやアカモノが咲く丸山のピーク付近に着くと前方から外国人カップルがやってきた。中々の美男美女なので話をすると
女性はオーストラリア人で男性はルーマニア人って言う。どうして知り合ったの?と突っ込んだ質問をすると野沢温泉で偶然に知り合
い、一緒に北アルプスをテント泊しながら歩いていると言う。今から槍ヶ岳方面へ行き上高地へ下山する二人にエールを送ってお別れ
する。北アルプスは韓国人が一番多いがフランス人やオーストラリア人、イギリス人、ドイツ人などとも良く合う。
花期が終わりかけたコバイケイソウの群落を抜けて丸山を下ると前方に平々凡々とした三俣蓮華岳がある。右手に雪渓の白い模様を多
数残した稜線を進む。左手には薬師岳、前方には雲に覆われた鷲羽岳が見える。
ホツツジ、ウメバチソウ、ヨツバシオガマ、ヤマハハコ、ウサギギク、ミヤマリンドウなどが咲く登山道は左手のハイマツ帯を避けて
稜線の右側に伸びて行く。又、右手下方には双六岳の東側をトラバースする巻道の筋が見える。
ゴゼンタチバナ ギリギリのコバイケイソウ バックにチングルマの綿毛
数日前に出会ったにしては仲が良すぎるぜ 気になるザックを撮らさせて貰う 男性のはアメリカ製のロウアルパインだった
外国人はペットボトルをボトルホルダーに入れずにしっかりした専用ボトルをぶら下げた登山者が多い
丸山から下って三俣蓮華岳へ進む ここも右手に雪渓が多く残っていた 標高差はあまり無いので尾根の続きってイメージだ
北アルプスには結構ホツツジが多い 雪渓の下側に双六岳手前からの巻道が見える
ヨツバシオガマのピンクと赤紫が登山道を飾る まあヤマハハコも地味に咲いている
歩いて来た丸山を振り返る やはり槍ヶ岳は雲の中、 右の笠ヶ岳はずっと姿を見せてくれる
三俣蓮華岳 三等三角点「三ッ又」 2,841.37m
09時50分三俣蓮華岳の分岐標識に着く。ここは山頂と言うよりは広い峠と言った方が良さそうな場所だった。左手には黒部五郎岳
から薬師岳への稜線、前方には鷲羽岳から水晶岳への裏銀座尾根、そして我々が歩いて来た双六岳への稜線がここで交わる三叉路交差
点であり展望所だ。黒部五郎岳への尾根道を少し進んで眺めていると本隊は山頂標識へ行っていたので急いで追いつく。
三縦走路の交差点「三俣蓮華岳」 正面奥が水晶岳、 ワリモ岳 鷲羽岳
杉本隊長がルートの説明や同定をして説明している 09時10分三俣蓮華岳 ここは一人でシェーでもしとこ
黒部五郎岳への尾根ルート 薬師岳
三俣山荘へ
三俣蓮華岳の北側へ進むと鷲羽岳とのコル部が広くハイマツの緑に覆われて見るからにメルヘンチックで水が豊富そうな場所に山小屋
が建っている。丁度双六小屋と同じようなシチュエーションである。
ー「天空の診療所」のロケに使われて有名になった。山の診療所があるのも双六小屋と似ている。
双六小屋の創業者は前に述べた小池義清さんと言う人で双六小屋まで小池新道を整備した。
昭和20年に小屋の経営権を入手、翌年には水晶小屋の経営権を入手し雲ノ平をこよなく愛した方だ。昭和38年にはその情熱の成果
雲ノ平山荘を完成させた。小池新道と同じく湯俣から荷揚げ用に伊藤新道も開削したが、こちらの方は現在廃道となっている。
北アルプスには他にも槍ヶ岳山荘グループの創始者穂刈三寿雄さん、白馬グループの松沢貞逸さん、燕山荘グループの赤沢千尋さんな
ど北アルプスの創世記に山小屋経営とその登山道整備に情熱を傾けた人達がいた。
三俣蓮華岳と鷲羽岳のコル部に三俣山荘が見える ハイマツの緑に囲まれて水が豊かそうな場所だ
イワツメクサと鮮やかな濃紺のイワギキョウの咲く岩場を下る。岩場を避けてウサギギクやリンドウの咲く登山道をクネクネと更に下
りて行く。
を歩く人がいるんだろうか? 恐らく強風で稜線歩きが困難な場合のエスケープルートだろう。
イワツメクサやミヤマリンドウの咲くゴーロ帯を抜けると深いハイマツ林に入る。そこを抜けて草地になるとコバイケイソウの群落地
があり、有り難い事に花はまだ咲き残っていた。
三俣蓮華岳の北端に出て眼下に三俣山荘を見た時は近いと感じたが中々小屋に着かない。ガスが少し飛んで前方に鷲羽岳とワリモ岳、
黒岳(水晶岳)が山頂部まで姿を現す。
三俣蓮華岳の右手から下る 右下に見える登山道は双六岳からの巻道 イワギキョウとイワツメクサ
右手から尾根へ回り込んでいく登山道 ウサギギクが沢山咲いている
ミヤマリンドウも輪になって咲いている 10時05分三俣峠を通過 ここは双六岳手前から巻道の合流点だ
チングルマの綿毛がふさふさ風にそよぐ バックは槍ケ岳方面(ガス) 少しガスが薄くなってきたかな ワリモ岳(左)と鷲羽岳(右)
三俣蓮華岳もこちらサイドから見上げると岩山らしい やはり山の美しさって高度差が大きな要素となる
咲き残ってくれてたコバイケイソウの群落を抜けて三俣山荘へと向かう 正面に鷲羽岳がデンと構える
ハクサンボウフウ (葉の形で同定) ハクサンフウロ
少し霧が上がって左から 水晶岳、ワリモ岳、鷲羽岳の三山揃い踏みとなった
10時30分深いハイマツ帯を抜けるといよいよ三俣山荘が直下に見えだした。この辺りにはハクサンフウロが沢山咲いている。山荘
の手前に水場があったのでそこで給水休憩を取る。
10時57分三俣山荘に着いて、テラスで昼食休憩を取る。私は2日前に高速SAで杉本さんに勧められて買った柿の葉寿司、真鍋さん
は金ちゃんヌードルだった。魚の乗った酢飯は生臭い印象で買った事が無かったが、日持ちもするし味もマズイと言う訳でも無くお腹
が空いていると食べれるもんだ。
中々近づかなかった三俣山荘もいよいよだ。 手前の白い花崗岩の場所が水場とテン場となっている
雪渓は傾斜が緩くて波打っているので滑れなかった 山荘手前のテン場、ここに水場がある
テレビでお馴染みの三俣山荘と鷲羽岳シーン 真鍋さんはカップ麺、私は2日目の柿の葉寿司
鷲羽岳へ
11時30分小屋の北側にあるハイマツ林の中に続く登山道へと腰を上げる。右手の槍ヶ岳方面は相変わらず雲に覆われており、手前
にある標高2,500m程の硫黄尾根が赤茶けた山肌を晒しているのが見えた。鷲が羽を広げた様に勇壮な形をした鷲羽岳が眼前に迫
る。尾根歩きは幾つものピークとコルが連続しており、そのピークの形が良いと山名が付けられてもてはやされる。大きなザックを背
負った単独テン泊の女性が前からやって来た。最近では女性も体格が良くなりデカいザックの逞しい単独女性と良く会う様になった。
ヨツバシオガマが咲く上り坂を喘ぐ。ツガザクラは既に花は終わりコケモモらしき白い花が見える。三俣蓮華岳も北側から見上げると
岩稜尾根などがあって結構山らしい形を成している。左手前方に見えるなだらかな山は雲ノ平への入り口となっている祖父岳だろう。
硫黄尾根の後ろにある槍ヶ岳の北鎌はずっと雲の中 11時30分 ハイマツの間を鷲羽岳へ向かう
日本百名山 鷲羽岳 ハイマツ帯を避けて砂礫地に延びる登山道 最後は岩山になっている
硫黄尾根の向こう側は雲に覆われている 大きなザックを背負った単独女性登山者
ヨツバシオガマが多い コケモモだろう
鷲羽岳中腹から丸山(左奥)と三俣蓮華岳を振り返る それぞれ多くの雪渓を抱えている
左手には雲ノ平への入り口 穏やかな形の祖父岳 鷲羽岳の中腹は少し傾斜がなだらかになる
稜線に聳える山は縦に眺めるととんでもない急傾斜に見えるが、いざ歩いてみると距離があるので心配する事は無い。左手に黒部五郎
岳のカールがパックリと口を開けて迫力満点だ。ここを歩いた時は雨と霧だったのでもう一度天気の良い時に行ってみたい。
リンドウやイワツメクサの咲くガレ場の急登をCLの平野さんが先頭で引っ張っている。小柄だが山とお酒をこよなく愛する女性だ。
黒部五郎岳をアップにしてみる 氷河で削られたカールが見える
トウヤクリンドウ 何度見ても槍は雲の中 いよいよ最後の急登になる
イワツメグサ 三俣蓮華岳からガスが追って来る
鷲羽岳の山頂が近づくと岩山となる
ジグザグに付けられた急登を頑張る我がチーム 肩に着くと、あれ? まだ先があるじゃん いつものパターン
鷲羽岳 日本百名山 三等三角点「中俣」 2,924.35m
鷲羽岳への急傾斜を上るに連れてガスが湧いて来た様だ。台風13号の影響か天気が崩れて気味となった。展望が無くなるが、まあカ
ンカン照りよりは良いのかも知れないと自分を慰める。12時50分細かい雨が降って着て全員雨具を装着する。私は薄いウィンドブ
レーカを着て、ザックの中は防水サックに入れているのでザックカバーは付けない。
10分「鷲羽岳」の山頂に着いた。霧の為何の展望も得られないので10分程の休憩の後鷲羽岳を後にする。
12時48分 山頂を前に少し休憩する 岩だらけの鷲羽岳山頂へ詰める
あ〜あ とうとう霧に包まれてしまった 山の天気は変わり易い 13時10分 2度目の鷲羽岳に登る 三角点名は「中俣」
日本百名山「鷲羽岳」にて 風が強くなり霧の中に細かい雨も混じる天気になってしまった
水晶小屋へ向かう ライチョウのお出まし
「天気が悪くなると天敵から身を隠せるのでライチョウが現れるのよ」と杉本隊長が真鍋さんに説明しているとホンマに予言通りライ
チョウの親子が現れた。まあ今まで北アルプスを縦走していてライチョウに会わなかった事が珍しい位の出現率だ。もっと運がよけれ
ばオコジョにも対面出来る。
た。でも天気の悪い時はお前さんだけが楽しみなんだから許しておくれ。
もう何も見えんわ 早く水晶小屋へ行こや おっ 左斜面にライチョウが現れたぞ
すんません ちょいと写真おば 撮らせてけろ いいですけど、4m以内は肖像権が発生いたします
後はタカネツメクサとかイワベンケイ、イワギキョウ、タカネシオガマ、クロトウヒレン位かな。アザミ系やトウヒレン系の同定は苦
手だ。タカネヒゴダイは葉っぱのギザギザが多いって事くらいしかわからず花は全く見分けが着かない。
先程から結構ワイルドな岩場を歩いているのだが周囲の高低差が霧に隠れて見えないので足元だけを気にしながら淡々と歩いている。
これが登山道がはっきりせず平らな尾根筋であれば道迷いになるだろう。北アルプスは登山道が整備されているので安全で人気の要素
にもなっている。
ガスの中をひたすら下って行く もし、しっかりした登山道が無かったら遭難するかも
ミヤマコゴメグサは初登場 イワギキョウ
タカネツメクサとイワベンケイ タカネシオガマ (嘴が無い) 丸い葉は別の植物
13時55分ワリモ岳基部の難所の岩場を通過する。トラバース路に黄色いワリモ岳山頂の標識が立っているが、ここは明らかに山頂
ではない。どうも我が隊はワリモ岳の山頂には興味が無さそうでドンドン進む。仕方なくで一人でこっそりワリモ岳の山頂を踏んでや
る。確かにどうって事もない山頂なのだが誰かが寄らないと寂しがるだろう。岩場をショートカットして下り皆に合流する。
ワリモ岳を過ぎると次の1,841mピークは主稜線の西側を大きくトラバースし、ここにある「ワリモ北分岐」を14時20分通過
する。ここから祖父岳を経由して雲ノ平への登山分岐となっている。残念ながら周囲の様子は全く窺う事は出来ない。展望が自慢の山
歩きで展望がないって実につまらないものだ。
クロトウヒレン ヤハズハハコ
右手が多少切れ落ちた尾根筋 岩が沢山ある 13時55分 ロープが敷設した岩場を乗り越す
水道のホースみたいな確保ロープが敷設してある ワリモ岳山頂へ急いで這い上がる
ワリモ岳山頂からショートカットで岩場を登山道へ下りる 14時20分 祖父岳〜雲ノ平への分岐 展望が無いのが残念
14時40分登山道は主稜線に復帰すと水晶岳はもうそんなに遠く無い筈だ。蓼(たで)やイタドリ、ヨモギ類は平地では路傍の雑草
であるが、北アルプスではオオイタドリやイワタデ、ミヤマオトコヨモギなど立派な高山植物で花も平地のそれより美しい。厳しい環
境が植物を磨くのか? 確かに人間も厳しい環境で自分を磨いている姿は美しい。
タカネツメクサ ミヤマアキノキリンソウ、ウサギギク、ハクサンボウフウ、チングルマ(綿毛)
ドンドン歩く 無心に歩く ひたすら歩く ちょっと気になる白いコケ?
水晶小屋への尾根筋に出る 全く小屋辺りが見えないけどねえ
真鍋さんが元気にコミカル歩きをしている イワタデも中々の高山植物だ
水晶小屋
イブキジャコウソウが現れると小屋は近い。先頭のCL平野さんの「小屋に着きました」という声が霧の中から聞こえて15時10分水
晶小屋の中に入る。
収容定員30名の小さな山小屋だが中は綺麗だ。この辺りにはテント場が無い為に裏銀座縦走や今回の読売新道、雲ノ平へのアプロー
チ小屋として重要な場所を占める。但し敷地の狭さや水の無い不便さもあり乾燥室がお粗末で濡れた衣類を干すとストーブを点ける場
所も無く自然換気が主となるので乾燥は期待出来ない。但し屋根裏部屋も雰囲気があり混んでなければ天井が低い事を自覚すれば快適
だ。従業員は若いアルバイトなので元気で感じが良い。夕食はカレーでお代わり自由となっている。トイレも清潔で収容人数が少ない
ので混雑も少ない。
イブキジャコウソウ イワオウギ
15時10分 水晶小屋に到着 眺めが良い小屋なのに・・・ 狭い水晶小屋へ入る
杉本隊長の悩み
天井裏で杉本隊長が下を向いて相当悩んでいる。どうも道々の山小屋情報では翌日台風の影響で風が強くて稜線は危険で歩けないと言
われたらしい。出発前に悩んだ末にやってきて、ここで又悩んでいる。特に山小屋からの現地アドバイスは結構重い。更に大いに悩ん
だ結果「明日は停滞!! 100%先へは進みません!」と煩悩を吹っ切る様に高らかに宣言し、面倒な宿泊の手配替えを行った。
確かに自分の決定でチームを危険に晒す訳には行かない。読売新道は丸一日を要するから朝出発が出来なければ途中でエスケープルー
トが無い。ここはキッパリ諦めて小屋で停滞し、明後日の晴天に読売新道を楽しむって決定に全員納得した。それで翌日午前中に付近
を歩ける状態であれば何処かに行こうと皆で相談した。太田さんは乙女チックに「雲ノ平に行きた〜〜い」としきりに言っている。
佐藤さんの旦那さんは元々この山行にご夫婦で参加予定だったのだが、この水晶小屋予約の人数制限の為に泣く泣く断念したらしい。
それで一人で留守番するのも切ないと他の山ツアーに入って三俣山荘辺りに来ていると言う。皆から「明日お父ちゃんに会いに行った
ら?」と言われている。「天空のランデブー」それっていいじゃんかいさ。でも本人にその気は無いらしい。
温泉好きの連中は雲ノ平の先にある高天原温泉へ行こうとワイワイやる気を出している。地図を見て標準時間を計算するとワリモ北分
岐から岩苔小谷ルートで往復しても8〜9時間はかかるのが分かって静かになった。何せ奥深いこの場所は不動産であれば訳あり物件
でどこに行くのも不便で遠い。黒部五郎岳も遠すぎるし、野口五郎岳では魅力が無い。私も雲ノ平には興味があったので、個人的には
ワリモ分岐から祖父岳を通ってスイス庭園にあるキャンプ場の水場まで往復5時間が無難かと考えるが、いずれにしても翌日の天候次
第だ。
いみじくも真鍋さんがレスキュー部隊の梯子段じゃ〜と言う 二階の天井裏が宿泊所だ 布団1枚に1名なのでラッキーだ
夕食は最後の組だったのでゆっくり出来た 1杯目が少なかったので2杯目を真鍋さんに頼むとごはんが多すぎて・・・
イビキ大王真鍋さんと風邪ひきゴホンの若宮さんに挟まれて寝るが夜中に風も窓を揺るがして中々寝られなかった。
「山と元気の会」 読売新道遠征
第1日目 新穂高温泉〜鏡平〜双六小屋 は ここ
第3日目 水晶小屋〜水晶岳〜赤牛岳〜奥黒部山荘 は ここ
第4日目 奥黒部山荘〜平の渡し〜ヒュッテくろよん〜黒四ダムは ここ