黒戸尾根ー甲斐駒ヶ岳から早川尾根を経由して鳳凰三山を繋ぐ山旅  (3日目)


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ加工図  黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳〜早川尾根〜鳳凰三山

平成29年8月24日

早川避難小屋〜広河原峠〜赤薙沢ノ頭〜白鳳峠〜高嶺(たかね)〜赤抜沢ノ頭〜地蔵岳ピストン〜鳳凰小屋分岐
〜観音岳〜薬師岳〜鳳凰小屋分岐〜鳳凰小屋


水平距離10.81km 沿面距離 11.99km 累積標高(+)1,671m(−)1,698m 
            累積標高合計 3,368.93m
 、 行動時間 06時50分〜18時20分 =11時間30分


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ加工図 早川尾根避難小屋〜高嶺〜地蔵岳〜観音岳〜薬師岳〜鳳凰小屋


早川尾根避難小屋〜高嶺(たかね) 06時50分〜11時20分 = 約 4時間30分

未明から雨が降っているので出発を遅らせる。昨夜バテバテだった伊予の鈍亀さん達は一晩寝ると復活しており安心する。小降り
になった頃に皆で手分けしてツェルトとテントを手早く片づけるが又ザックが重くなった。雨具姿で早川尾根小屋の中を覗くと前
夜の登山者は居なかった。小屋の中を見ると昨夜は暗くてわからなかったが奥に曲がった部屋があり何故快く我々を受け入れなか
ったのか不思議な程だ。まあ、こちらの計算が狂って遅くなったのが悪いのだが・・・


  
雨が小降りになるのを待ってテントを撤収する             出発前に早川避難小屋の中を覗いて出発する

昨夜ライトを頼りに水汲みに行った水場を覗いた後、06時50分小屋横から続くシラビソが密生する縦走路へ入って行く。白い
花びらのセリバシオガマを見ながら歩き07時15分針葉樹の森を抜けると少しの間ハイマツ帯に変わる。再び針葉樹林帯に入り
少し下ると07時33分「広河原峠」の標識に出合う。ここはビバークが出来る平らなスペースがあった。地図を見ると西側に広
河原へ下る破線が記されているが相当急傾斜である。


広河原峠から赤薙沢ノ頭に向かって標高差210m程の樹林帯の上りになる。高度が上がるとハイマツとシャクナゲの尾根となり
視界が開ける。振り返れば昨日歩いた尾根が見えるが甲斐駒ケ岳は7合目から上は雲の中だ。この山域はほぼ深い緑の針葉樹林帯
で覆われて上部はダケカンバやハイマツ帯となっているのがわかる。ただこの辺りの尾根部は標高2,500m程なので樹林帯と
ハイマツが混在しているので森の中を歩く感じだ。


  
野営場右手から昨夜水汲みをした水場を確認する          ホースから十分な水が山から引かれていた その後野営場へ引き返す

  
06時50分小屋正面から右下のテン場を抜けて登山道に入って行く    シラビソ、トウヒなどの針葉樹林帯が続く

  
ヒコバエが林床に生えて次世代の森を支える              セリバシオガマが結構多い

  
07時20分標高が上がると樹林帯からハイマツ帯に変わる       07時33分「広河原峠」の標識が立つ広場を通過


    美しいシラビソ林の尾根を上っていく  ザックは濡れたテントやツェルトを適当に詰め込んでパンパンだ

  
次第に高度を上げる                               07時50分シャクナゲとハイマツが現れる


     昨日歩いて来た尾根を振り返る早川尾根は一見森に覆われた場所の印象で岩尾根は隠されている

 
風当たりが強い尾根筋はハイマツとシャクナゲ帯となる         釜無川流域の街とその奥は八ヶ岳か?

  
仙丈ヶ岳は雲に隠れて出てくれない                    08時05分 岩場が出て来る


赤薙沢ノ頭 (2,553m)

08時05分岩場が少し現れてそれを上ると又樹林帯となりコケ生した岩の横にはセリバシオガマやゴゼンタチバナが道端に咲く。
標高が2,500m程の尾根なので樹林帯とハイマツ・シャクナゲ帯が混在している。岩尾根の為土壌が薄く樹の根っこが地表に飛
び出して畝っている。細くて白っぽいシラビソらしき幹が乱立する上り傾斜が続く。


岩が現れるワイルドな尾根道を詰めると08時50分ピークに到達する。大岩の間に風雨にさらされてやっと立っているた幹に赤
いテープが巻かれマジックで「赤薙沢ノ頭」と記されている。東側、大武川の支流、赤薙沢が真北から詰める源頭部だ。


  
  岩が地表に近くなると根っ子がうじゃうじゃと地面を這う      岩が出てきてピークが近くなる


  08時50分 広河原峠から徐々に登って来た山塊のピーク「赤薙沢ノ頭」に到着する


「白鳳峠」で民間ベースの日中交流

見晴らしの利く赤薙沢ノ頭から前方を眺めるとまず高嶺(たかね)の無骨でデカい山塊が目に入り、その向こうに繊細そうなオベ
リスクが見える。
赤薙沢ノ頭からはハイマツの傾斜を下るとやがて穏やかな樹林帯となり、広目の登山道をゆっくりとコル部に向
かって歩く。白鳳峠までの高低差は約100mである。


09時15分白鳳峠に付くと久々見る登山者2人が休んでいた。一人は日本人で西側の広河原から上って来られたらしい。広河原
は北岳登山口として有名で南アルプス公園線が走っておりバスでここまで入る事が出来る。以前白根三山を縦走した時にもこの広
河原から出発したものだった。


もう一人に声をかけると中国人で鳳凰三山から来て、今から我々の歩いて来た早川尾根から甲斐駒ケ岳へ行き、その後仙丈岳へ回
るらしい。今から早川尾根を歩いて甲斐駒へ登って北沢まで行けるか?と聞かれるので「あんたは若いし体力がありそうだから仙
水峠にザックをデポしたら何とかなるやろう」と答える。彼は会社員で日本の山に魅せられて休暇を取りながら日本百名山を登っ
ていると言う。

話を続けるとガスボンベを落として困っているので山小屋で売っているか聞かれた。う〜〜んよくわからないのでこちらは伊予の
鈍亀さんが持っているので私のガスカートリッジを別けてあげた。恐縮しながらも喜んでくれた。ついでに亀吉さんもガスライター
をプレゼントして日本人の株を上げる。行動食について質問すると携帯用の蜂蜜を飲んでいると見せてくれた。15分程休憩がて
ら雑談をした後に別れを告げて先へ進む。



赤薙沢ノ頭から前方を眺めるとデカい高嶺(たかね)が尾根を塞ぐように構えている その向こうに地蔵岳が見える

  
 ハイマツ帯からすぐに樹林帯になる                   赤薙沢ノ頭から白鳳峠までの登山道は広くて歩きやすい

  
09時15分 白鳳峠に下りつく  広河原からの登山道が右手から合流  中国人登山者の質問にルートの説明をする


    中国から日本の山へのお客さんへエールを送って民間ベースの日中友好に寄与する


高嶺(たかね) 三等三角点「高嶺」 2,779.07m  (白鳳峠より標高差約300m 上り時間 約2時間)

すぐにハイマツ帯になりゆるやかな傾斜を涼しい風を受けながら登る。09時45分登山道に岩が現れるが、この岩は仙水峠で見
たガレ場に崩れ落ちていたものと同じ岩だった。振り返るとアサヨ峰は見えるものの甲斐駒の天辺は雲に隠れている。


10時10分仙丈岳の天辺が初めて姿を現したのでみんなで眺める。前方に目を移すと手前のピークの向こうに高嶺の本峰が姿を
見せて中々手強い上りだ。10時35分いよいよ高嶺の本峰に取り付く。斜面は風が強いので低いハイマツ帯となっているがコル
部ではダケカンバなどの樹林帯となりハイマツも背が高い。足元の岩場にはホウオウシャジンが力無く垂れ下がって咲いている。
登山道ルートはハイマツ帯を避けて岩稜帯に付けられているので遠くから眺めと緑の高嶺だが実は厳しい岩登りが待っていた。

岩場で上から広島の若い女性2人と行き合う。岩場がまだ続く事や花が沢山咲いている事を教えて頂く。
すぐにウスユキソウ、ダ
イモンジソウ、イワベンケイ、イワインチン、トウヤクリンドウなどが現れる。又ダケカンバの風景も美しい。


この辺りの岩を見ると横縞模様の節理と縦にも筋が入って、これが風化してガレ場を作るのだろう。11時05分左手から回り込
むとやっと岩場を抜けて前方に高嶺のピークが見えた。周りを眺める余裕が出来たので休憩しながら雲で山頂部が覆われた山の同
定を楽しむ。


11時17分やっとこさ本日の第一目標「高嶺」の三角点を踏む。白鳳峠から標高差320m程の高嶺(たかね)は標準タイム
(1時間)の倍、2時間弱を要する結構ハードな上りだった。


高嶺から南東へ伸びる尾根を見ると正面に斜面が雪を被った様な赤抜沢ノ頭とその左手に地蔵岳のオベリスク、そして尾根が右に
湾曲し観音岳へと続いている。嗚呼やっと最終目的地鳳凰三山に近づいたのだ。斜面の異様な白さは花崗岩の風化による小崩落で
さすがのハイマツも根を張る事ができないのだろう。山頂には山口県から来られた女性が一人居られて少し話をする。直前まで旦
那さんと一緒に来る予定が体調を崩した為に一人で来たと言う。その様な場合、夫だと色んな意味でまず妻を置いては来れないだ
ろう。


  
高嶺に向かっては直ぐにハイマツ帯となる                09時45分 ハイマツの中に続く岩稜帯が登山道となっている


09時50分早川尾根を振り返る 結構青空が出て来たが仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳の山頂部は雲に覆われている

  
仙水峠でみた岩屑がここにも斜面を覆っている             左前方に「高嶺」(たかね)が見えるが手前にピークがある

  
岩稜にはコケモモが似合う                       釜無川を挟んで並ぶ瑞牆山・金峰山・甲武信ヶ岳などは雲で見えない


   10時10分 お〜〜 初めて仙丈ヶ岳が姿を見せたぞ〜〜  (唯一この時だけのサービスだった)

  
10時35分 高嶺(たかね)の基部まで這い上がる           初めてみる「ホウオウシャジン」 力なく垂れさがっているのが特徴だ

  
 え〜? この岩場が登山道なの〜?                  広島から来られたチャーミングな女性とすれ違う


                岩場に咲くホウオウシャジン

  
ヤマハハコとイワインチン                          イワベンケイ

  
  ダケカンバとシャクナゲの美しい登山道               この辺りの岩はしわくちゃだ 風化が進めばガラガラ崩れそう

  
              四国の橄欖岩みたいに沢山のコケ模様がある

  
  11時になると厳しい岩尾根となる                   しわくちゃ岩にダイモンジソウがへばりつく


              高嶺(たかね)のフィナーレは岩に取り付く

  
       タカネヒゴダイ?                          岩場に咲くトウヤクリンドウとイワベンケイ

  


        高嶺山頂付近から北東部を眺めると広河原と沢に残雪を抱えた北岳が迫る  相変わらず山頂部は見えない


11時17分 高嶺(たかね)山頂に着く  あ〜〜結構キツい上りだったわ  おっ? 伊予の鈍亀さん達も元気そうじゃん

  
    三等三角点「高嶺」を踏む                       次の目的地 地蔵岳のオベリスクが呼んでいる


高嶺(たかね)〜赤抜沢ノ頭 11時30分〜13時05分 = 約 1時間35分

11時30分尾根を下って赤抜沢ノ頭へ向かう。当初私は漠然と地蔵岳の後鳳凰小屋下りて空身で観音岳〜薬師岳をピストンしよ
うと考えていた。すると伊予の鈍亀、亀吉さんは赤抜沢ノ頭にザックを置いて地蔵岳・オベリスクをピストンし、今度は観音岳手
前の小屋分岐コルに荷物をデポして観音岳と薬師岳をピストンし、トラバース道で小屋へ行くのが良いと言う。確かに年の功、言
われてみれば鳳凰小屋は結構下った場所にあって遠いので、荷物を尾根にデポする方が時間セーブになる。色々意見を出し合って
山旅をする友が居る事は心強い。


この辺りの岩石を見ると白い鉱物が貫入して模様を作っている。これが風化しやすい原因だろうか。12時00分ダケカンバの生
えるコル部に着くと前面が白い壁と谷部は白い砂で覆われている。その中にピンクの花が沢山見える。一瞬コマクサかと思ったが
近づくとタカネビランジだった。最初は珍しくてショボイ花も写真を撮りまくっていたのだが、どうもこの山域はこの花の最盛期
とみえてその後飽きる程出現する事になる。しかし次から次へと立派な姿の花や他の花たちの登場にちっとも前に進めない。



  
正面が観音岳、その右上に薬師岳の稜線部が見える        この辺りの岩には白い鉱物が貫入している


地蔵岳(オベリスク)は主稜線から東側に外れているので、先ずハイマツ帯を下って赤抜沢ノ頭(これが地蔵岳への分岐)へと進む

  
12時00分 白ザレのコルまで下がる ダケカンバの雰囲気が良い  何じゃ こりゃ 風化した砂が雪の様に真っ白けじゃ

 
    タカネビランジ  わんさか咲いている                ミヤマシャジンの紫色が美しい

  
  右手からトラバース道が尾根に回り込む                 デカい岩が目立ちだす

  
   やっぱり気になるタカネビランジ                   ヤマホタルブクロも紫が濃い

  
斜面は風化した砂で覆われている 岩が風化して穴が空いているぞ  次第にトラバース路から主尾根に近づく


赤抜沢ノ頭

赤抜沢は地蔵岳の主稜線基部にある岩ピークで、西側にある野呂川の支流、赤抜沢の源頭部となっている。ここは地蔵岳・オベリスクや鳳凰小屋へ
の分岐点として位置づけられている。


  
  まあ 岩場に咲いているのも珍しかったのでついつい写す     13時05分 赤抜沢の頭に到着しザックをデポする

  
    一応三叉路分岐標識が立っている                 地蔵岳のオベリスクまで近そうだが20分ほど下る事になる


赤抜沢ノ頭〜地蔵岳 ピストン 13時05分〜14時00分 = 約1時間

地蔵岳 

結局13時05分赤抜沢ノ頭に出てザックを置いて地蔵岳へと下る。20分程でお地蔵さんが沢山並ぶ賽の河原と言われる場所に
着く。槍ケ岳しかり烏帽子岳やこのオベリスクの様に尖ったシンボリックな形はかっこいいと思う。オベリスクとは古代エジプト
の神殿に立つ一本槍のモニュメント塔の事で、鳳凰山はこの尖った岩の先が二つに裂けて鳳凰の嘴(くちばし)の形に似ている事
から名付けられたらしい。鳳凰は神話に出てくる鳥だから誰も見た人は居ないんだけど・・・


理屈はともかくやはり魅力的な岩山だ。皆を待たせてこの嘴の基部まで這い上がる。現在は最後の鎖が撤去されているので登頂は
ならなかった。この姿を撮ってもらおうと下に向かって手を振るが一番上の岩に這い上がった写真は無かった。ガックリコン

14時00分赤抜沢ノ頭に帰ると青空が出てオベリスクを魅力的に演出してくれた。甲斐駒ヶ岳も地蔵岳も最後に少し良い写真場
面を山の神様から頂く。


  
ハイマツ、ダケカンバ、ナナカマドとお決まりの藪道を下る      子授け地蔵としてのご利益があるらしいが名前は賽の河原

  
ヘルメット姿のお爺さんが来た やはり亀吉さんが若かった      さあ! オベリスクへ行くぞ〜!  あれ? 私だけ・・・?

  
オベリスクにもホウオウシャジンが咲いているじゃん           お〜〜〜い 天辺直下の写真を撮ってくんろ〜〜

  
  え? これなの? もう一つ上の段に上がって必死で手を振ってたんだけど・・・帰ろ かえろ

  
 お礼参りの子宝地蔵が並ぶ賽の河原                  帰りは尾根道を使う


        ここに来て青空が現れる   バックは奥多摩の山だろうか

抜沢ノ頭〜鳳凰小屋分岐〜観音岳〜薬師岳 14時00分〜16時25分 = 約 2時間30分

重たいザックを嫌々担いで観音岳へ向かう。尾根はイメージ通りの花崗岩と砂礫地だがそんなに危険な場所は無い。立ち並ぶ花崗
岩は燕岳と良く似ていてイルカ形やオットセイ形などよく見ると面白い造形だ。


14時30分最低コルまで下るが、ここは未だ小屋分岐では無く次のピークを越えた場所なのでまた気を取り直して上り坂に取り
組む。この斜面はダケカンバの小樹林帯となっておりバイケイソウやトリカブトが見られた。その上には倒木オブジェがある広場
に着くがここも小屋分岐では無かった。


  
  岩尾根を観音岳へ向かう                         稜線はなだらかに下って、又観音岳へと登って行く


    この山域を特徴付ける「ホウオウシャジン」と「タカネビランジ」の揃い踏み



オットセイ岩の向こうが最低コルでその上にある中腹砂礫地が鳳凰小屋分岐、そこから右手をトラバース気味に巻いて観音岳へ向かっている

  
トリカブトは珍しくは無いが今回初めて見たので写す          振り返ると赤抜沢ノ頭・南肩とオベリスク

観音岳 二等三角点「観音岳」 2,840.7m

15時05分やっと鳳凰小屋トラバース道分岐に着きザックを下し、近くにあった木に濡れたテント、ツェルト、グランドシート
類を干す。
身軽になって岩くれの斜面を観音岳へ向かう。同じ上りでも荷物が軽いと楽チンだと思い知る。15時40分観音岳の
左の肩部に上がると薬師岳の左上に富士山が見えて喜ぶ。ハイマツの稜線を進むと15時45分観音岳に到着した。

山頂がデカい花崗岩で埋められた光景は屋久島の山を想いだす。富士川上流の釜無川に沿う北杜市が広がるが、その向こうにある
瑞牆山や金峰山・甲武信ヶ岳、その北側の八ヶ岳などは今回雲に覆われて見えなかったのが残念だ。岩の基部には風化した石仏も
見える。


   
15時05分鳳凰小屋分岐に到着してテントとツェルトを干す      ザックをデポして岩山を上がって行く

  
  岩場を右手からトラバース気味に上がって行く            尾根筋に近づく

  
尾根に上がると観音岳は近い                       お〜〜 富士山が見えるぞ〜


  最終目的地 薬師岳の左上に富士山が聳える

  
  16時00分 観音岳に着く                        二等三角点「観音岳」

  
  屋久島の山頂を彷彿される石舞台                   薬師岳への尾根とその向こうに富士山


薬師岳 (2,780m)富士山の展望所

16時00分いよいよ最終目的地「薬師岳」に富士山を眺めながら向かう。今まで苦しめられてきた重いザックから解放され、高
低差もなくまるで天国の様な尾根歩きだった。途中に生えているダケカンバも栄養がないのと風が強い場所なので小さくて細い。
花崗岩の風化した砂地を歩いて16時25分薬師岳に着いて富士山をバックに写真を撮る。タカネビランジの花が鳳凰三山の隅々
まで咲いていた。今回の山行の厳しさの末に辿りついた喜びを4人で分かち合う。



            富士山を見ながら薬師岳へと向かう

  
  無機質な砂礫地を避けてダケカンバの近くを歩く             なだらかな砂礫地を進む


     観音岳・吊り尾根の間に富士山を配した景色  右側が山頂標識のあるピーク

  
   足取りも軽く最終目的地に向かう伊予の鈍亀さん         16時22分 観音岳にとうちゃこ〜〜


    バンザ〜〜イ  万歳〜〜  ばんざい〜〜  重いザックがなければ標準タイム内で歩ける事がわかったザンス


薬師岳〜観音岳〜鳳凰小屋分岐 16時30分〜17時20分 = 約 50分

さてあんまり喜びに浸っている余裕は無い。ザックをデポした場所まで帰って鳳凰小屋までの行程が残っている。30分程で観音
岳を通過して、17時20分ザックを置いた分岐まで帰る。ハイマツに括り付けていたテントやツェルトは気持ちよく乾いており
、近くに石を乗せて乾かしていたグランドシートと共にザックに詰め込み10分程で分岐を小屋に向かう。


  
         さあ 帰ろ〜                          おっ  ここにもイルカが居るか〜

  
             空身は楽チンじゃ                   17時04分 観音岳を通過


眼下に鳳凰小屋分岐を見る   ザックをデポしてテント、ツェルト、グランドシートを干している鳳凰小屋分岐へ向かって下がる

  
  ホシガラスが啼くから帰〜えろ ♪                    テント、ツェルト、グランドシート、マットを手早く回収する


鳳凰小屋分岐〜鳳凰小屋 17時30分〜18時20分 = 約50分

鳳凰小屋

最初はハイマツやダケカンバの灌木帯を歩くと登山道は次第に背の高い針葉樹林帯となる。道は急だがはっきりしておりドンドン
高度を下げる。沢の音が次第に大きくなり人の声が聞こえると17時20分沢を渡り鳳凰小屋に着いた。

「鳳凰小屋」は地蔵岳の直下、標高2,400m程の沢筋にあり昭和初期に開設され、御座石温泉や青木鉱泉から地蔵岳への登山
者に利用される110人収容、幕営地25張、バイオトイレを持つ山小屋だ。テラスの周りの沢筋にはヤナギランが咲き誇っていた
。小屋の前にはバンダナ姿の主人が座っており気さくに話に応じてくれた。伊予の鈍亀さん達は素泊まり4千円で小屋泊まりとなる。

800円のテント泊の申し込みを終えると小屋番主人が「夕食は(小屋前の)テラスを遠慮なく使って下さい」と言ってくれたの
で伊予の鈍亀さん達と別れて裏のテン場へ行く。公称25張、混雑時には45張と言われるここの野営地は張り綱に石は使えない
のでペグを打つ木製ハンマーを小屋の前に吊るして貸し出しをしている。人気の山らしく既にテントが沢山張られており何とか最
奥の端にテントを設営後テラスの夕食に合流する。沢筋にあるだけに水が豊富でテラスデッキの端ではドンドコ炊事用の水が流れ
ている。

  
17時30分分岐から鳳凰小屋へのトラバース道へ入る    最初はダケカンバの森を下る

 
左手上方が地蔵岳なんだけどオベリスクは見えない    途中から針葉樹林帯が続く

  
  結構急な傾斜を下っていく             18時20分人声がして鳳凰小屋が見えた

  
  梯子を下って沢筋へと下りる            大岩の下から水が流れてパイプで水場が作られている

  
 ヤマハハコの白い花が咲く細い道を小屋へ進む       沢筋にはヤナギランが咲き誇る

  
地蔵岳まで1kmもある やはりザックデポが正解だった  鳳凰小屋の入り口  何とか明るい内に到着出来た


もう縦走最後の山なので余った食料を沢山テーブルに並べて豪華な夕食会となる。私のガスは例の中国人にプレゼントしたので伊
予の鈍亀さんのガスで山カレーを作って貰った。山カレーは白ご飯とカレーのルーと2個食材が居るので私は普段持ってこない。
結構辛かったがマズマズの味だった。余った具だくさん味噌汁に色んな物をぶち込んですする。行動食も色々提供されて豪華な打
ち上げパーティとなった。

           

目薬を入れた後、冷たい水で顔を洗ったりとサッパリしてテントに帰って眠りにつく。



第1日目 竹宇駒ヶ岳登山口〜黒戸尾根〜七丈小屋                                は  ここ  
第2日目 七丈小屋〜甲斐駒ヶ岳〜駒津峰〜仙水小屋〜栗沢山〜アサヨ峰〜早川尾根避難小屋    は  ここ  
第4日目 鳳凰小屋〜ドンドコ沢〜青木鉱泉                                     は  ここ  

   

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