黒戸尾根〜甲斐駒ヶ岳から早川尾根を経由して鳳凰三山を繋ぐ山旅 (2日目)


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ加工図  黒戸尾根・甲斐駒ヶ岳〜早川尾根〜鳳凰三山


第二日目 平成29年8月23日  

七丈小屋〜甲斐駒ヶ岳〜駒津峰〜仙水峠〜栗沢山〜アサヨ峰〜ミヨシの頭〜早川尾根の頭〜早川尾根避難小屋
水平距離8.83km 沿面距離 15.22km 累積標高(+)3,929m (−)3,879m 累積標高合計 7,808m
行動時間 05時40分〜20時30分 =14時間50分


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ加工図  七丈小屋〜甲斐駒ヶ岳〜早川尾根・早川尾根避難小屋

04時半に起床してテントを片づける。昨夜振った雨でテントが濡れて重くなったのでザックの重量は昨夜の食糧を引いても水の
追加もあって登山口よりも重くなった。小屋から山頂までの標高差は670m程だが、ここからが黒戸尾根のシメとなる急登が残
っている。


04時55分夜明けの美しい風景が東側に広がってしばらく眺める。昨夜の雨が嘘のようにピンクの線が群青色の空を水平に切り
裂いて今日一日の始まりを告げる。山で見る夜明け前の風景は幾度経験しても神々しく新鮮だ。
普段から縦走中に朝食は特に摂ら
ない。出発準備がまだ終わっていない頃小屋から3人がやって来て少し慌てる。伊予の鈍亀さん達も朝食をあまり必要としないか
ら支度は早い。

小屋では甲武信ヶ岳の山小屋でチーフ小屋番をされていた北爪清史さんが七丈小屋に移動になってギターの演奏などをしてくれた
らしく、又同宿の修験者のお話などで盛り上がっていたという。


 
夜明け前が一番美しい                            ご来光はダケカンバの林で拝めなかった


  朝眺める山々のシルエットは美しい  地蔵岳の左手に富士山が少し顔を出している

  
昨夜の雨でテントが濡れているのでタオルで拭く             さて、今日も重たい荷物を持って歩かなければならん

05時40分テン場の上にある岩場を抜けて昨日チェック済みの登山道へと進む。晴天と思われた空は既に霧が充満している。鮮
やかなシナノオトギリが咲く低木帯を進みダケカンバのトラバース道を抜けると岩のゴロゴロした尾根に出る。傾斜は急だがダケ
カンバの林が朝陽を浴びて美しい。花崗岩が風化した登山道を進むと06時13分剣と祠が立って霧が晴れると下方の黒戸山など
の景色が広がった。ハイマツとシャクナゲに挟まれた細い登山道が続く。


  
  野営地を上がるとシナノオトギリソウが咲いている         ダケカンバのトラバース路を進む

  
 岩の多い急登となる                            この辺りはダケカンバが多い


06時13分 石碑の横に剣が立っており、その向こうに黒戸山が霧の中から現れる

  
高度が上がるとハイマツ帯となる                      花崗岩が風化して砂地になっている


御来迎場(八合目)

06時40分倒壊した鳥居の丸い石柱が残る広場に着いた。ここが八合目御来迎場なのだがガスが立ち込めて展望が望めないのが
残念だ。大日大聖不動明王と刻まれた石塔の前には宝力不動の石板と錆びた剣が置かれている。伊予の鈍亀さんによると七丈小屋
に泊まっていた修験者が朝暗い内に出発したと言うから、この御来迎場で朝日を拝むつもりだったのだろう。傍らにはミヤマアキ
ノキリンソウやオヤマリンドウが咲き秋を感じさせる。


  
 現在御来迎場の鳥居は倒壊して2本の柱が残っているだけだ   これが在りし日の鳥居だ 天気が良ければ奥に甲斐駒が見える(ネットより)

  
 宝力不動の石板と剣が置かれている          昔はチャンバラをしてよく遊んだもんだ

  
 え? 鈍亀さんもチャンバラをして遊んだの?              オヤマリンドウとミヤマアキノキリンソウ

  
 この辺りはまだダケカンバの樹林も岩尾根に見られる            シナノオトギリ


10分程ダケカンバの平坦な岩尾根を進むと登山道はワイルドな岩場に入る。07時03分8m程の岩壁が現れるが花崗岩の壁に
は足場が穿かれており鎖もある。その岩を越すと厳しい岩があり鎖を頼りに這い上がる。その後も岩場が続くがタケシマランの実
やゴゼンタチバナの咲き残りやミヤマダイコンソウ、ミヤマヒゴダイ、ヤマハハコ、シナノオトギリなどの花が励ましてくれる。

07時40分大岩壁の這い上がりになり、上から修験者の衣装を纏ったグループが下りてきたので暫く待つ。すると伊予の鈍亀さ
んが親しげに話を交わしている。どうも前日七丈小屋に同宿された修験者達で大峯奥駈道や色んな話をしてくれたと言う。この時
間にここですれ違うって事はいくら空身でも相当早く小屋を出て御来迎は山頂で迎えたのだろう。大岩の難所を抜けても急な岩場
の登山道が続く。痩せた砂礫地だが霧や雨が多いのか道端にはトウヤクリンドウ、ミヤマヒゴダイ、アキノキリンソウ、イチヤク
ソウなどの花が並ぶ。


  
  足場が抉(えぐ)られて整備された岩場               いくぞ〜 手には拾った棒と亀美さんのストックを持っている

  
ウ〜〜ン こんなに腕力使ったの運動会の綱引き以来だわ        わしゃ こんなとこ何ともないがね

  
   タケシマランの実                             ゴゼンタチバナの咲き残り

  
07時20分 次の足場岩が現れる                     ミヤマダイコンソウを見たのはここだけでした

  
  ミヤマヒゴダイ「(?) トウヒレンとよくわからない           ヤマハハコ

  
   シナノオトギリが霧に濡れている                     デカい岩が立っている

  
07時40分 上から修験者が下りて来た                昨夜七丈小屋で同宿の方達で女性も一人居た

  
鎖が置かれた岩場を上がる                         トウヤクリンドウ

  
 更に岩場が続く                               岩の登山道にはヒメシャジンやアキノキリンソウ等の花が沢山並ぶ

08時10分南側に向かって見晴の良い場所に出たがガスが立ち込めて甲斐駒の山頂部や遠くの展望は見られない。しかしすぐ近
くの岩山に2本の剣が立っているではないか。伊予の鈍亀さんはこの岩の存在を知っていて「これが見たかった」と喜んでいる。
本来ならば岩山の向こうに鳳凰三山と富士山が見えるらしい。


ここを過ぎると花崗岩の岩が尾根に立っており独特の砂礫地とハイマツの登山道となる。岩尾根を少し右手からトラバース気味に
上っていくのだが、花崗岩の基部に生えるウラシマツツジは赤っぽく色づいている。


  
 08時00分 デカい岩を回り込む 天辺に何か立っているぞ     岩の元には石柱が置かれて遥拝所の様だ

  
 鳳凰三山方面が一瞬現れる                       行く手の甲斐駒方面は深い霧に覆われている

  
    なるほど 岩の天辺にあったのは二本の剣だったのね


    本来ならこんな景色が見えるのだ ネットより写真を拝借  鳳凰三山と富士山

ライチョウ現る

08時35分頃岩の下には石像や石柱が見られ、左が切れ落ちた岩尾根の向こうにピークが見えるのでいよいよ山頂部が近いのだ
ろう。すると目の良い同行者が急に小声になる。登山道にライチョウが3羽程現れたらしいのだ。立ち止まって見ていると登山道
に出て来たライチョウが我々の前を少し意識しながらも平然と並走する。鷹などの天敵から身を守るために霧が出るとライチョウ
が子連れで出現すると言われるがその通りだ。その内、1羽が我々の注意を引くようにずっと道案内する様に前を歩く。目の上が
赤いので集団を守るオスだろうか。


  
   こんな所にもイチヤクソウがあるんだ                  葉の切れ込みが大きいからミヤマヒゴダイ?

  
   コケモモは高山によく似合う                      岩にへばりついたウラシマツツジも紅葉が近い

  
  山頂が近づくと花崗岩の立石が多くなる               甲斐駒の北東尾根張り出し部が一瞬見えた

  
         愛嬌のある石像                                なに見てのよ〜

  
            キャ〜〜  ライチョウが三匹(羽?) 居た〜〜


甲斐駒ヶ岳  一等三角点「甲駒ヶ岳」 2,965.5m

ライチョウ劇場を10分程楽しみ左が切れ落ちた尾根を進むと09時にガスが少し飛んで山頂付近が見えた。そこが山頂手前の駒
ヶ嶽神社の本社だった。この花崗岩で作られた祠は結構新しいと見えて白い色をしており、扉には武田菱が刻まれていた。近くに
は石碑が沢山立てられており「大國主命」「駒嶽大権現」「駒嶽大神」などと刻まれている。


登山口にあった駒ヶ岳神社の祭祀は「大己貴命」(おおなむちのみこと)でこれは大国主命の別名である。タカネツメクサやトウ
ヤクリンドウに見送られていよいよ山頂に向かう。


帰りの駒津峰分岐標識を確認して花崗岩の斜面を歩くと09時15分やっと「甲斐駒ケ岳」の山頂に着いた。草鞋が吊り下がった
山頂の祠で記念写真を撮る。結局七丈小屋から3時間45分もかかった事になる。周りに沢山の登山者が居るが我々の様な大きな
ザックを背負った姿は見られなかった。取り敢えず第一目標である黒戸尾根から甲斐駒を達成した喜びに次の早川尾根の事など忘
れて風の当らない場所で行動食休憩する。


  
   左が鋭く切れ落ちている                         すっと一瞬霧が飛ぶと右手に山頂部が現れる

  
09時00分 駒ヶ岳神社の本社が山頂手前のピークにある     ピークには夥(おびただ)しい数の石柱、石塔が立つ

  
いよいよ甲斐駒ヶ岳へと向かう                       ガスが濃いので駒津峰への分岐標識を手前で確認する

  
  山頂へは左手から回り込む                       09時15分長い黒戸尾根を歩いて甲斐駒山頂に到着 お疲れ様でした〜


   いや〜〜 何とか念願の黒戸尾根を歩けましたねえ  展望が無いのは少し残念ですが達成感・満足感は一杯です  

  
ザイフリボクさんも亀美さんもよく歩きました               09時25分 一等三角点「甲駒ヶ岳を踏む


09時40山頂を出発して霧の登山道を駒津峰へと下る。4人共既に摩利支天には行っているのでここはスキップする。花崗岩が
風化して滑り易い南西トラバース道を注意しながらゆっくりと下る。途中でイワツメクサが咲く岩場に「雪先花」か「雪光花」と
刻まれた石碑がある。真ん中の字体が崩しているのでどちらか良く分からない。和歌や俳句を刻んだ石碑も読めないが、達筆もほ
どほどにして欲しいものだ。


10時07分摩利支天分岐を過ぎてトラバース道は右手の尾根筋へと回り込む。砂礫地の中に風化しかかった岩屑がまるで恐竜の
背骨化石みたいに並んでいる。30分程岩っぽい樹林帯を進むと前方に六方石が見える。この辺りから前回甲斐駒への直登道を進
んだ分岐がある。六方石の北側に出ると少し天気が良さそうで青空の元、鋸岳が魅力的な姿で尾根を従える。しかし南側はガスっ
ぽい状態は変わりない。


  
駒津峰分岐を右手に向かって下がる                   多少ガスが飛んで駒津峰方面が見える

  
       雪先花? 雪光花?                      岩場に咲く花はダイモンジソウとかタカネツメクサ

   
  砂礫地を駒津峰へと下る                             イワツメクサ

  
      タカネツメクサ                            10時07分 摩利支天分岐を通過

  
砂礫地の中に残された花崗岩が骨の様に並ぶ             トラバース道から樹林帯となっている南西尾根へ進む


駒津峰 2,752m

甲斐駒ヶ岳はさすがにメジャーな山なので北沢方面から沢山の登山者が来ているので狭いダケカンバの岩場では行き合い、ウサギ
ギクやミヤマコゴメグサを眺めながら軽装備の登山者が来るのを待つ。

10時52分駒津峰へ向かう岩場で一瞬ガスが飛んで甲斐駒ヶ岳が初めて姿を現した。思わぬ天からのプレゼントに全員甲斐駒の
姿に釘づけになる。駒津峰は尾根が張り出している為一旦北側ピークに這い上がった後も岩尾根が続く。11時25分沢山の登山
者が休憩している駒津峰の山頂へ着いた。これから進む早川尾根と鳳凰三山は標高が少し低いので雲がかからず見渡す事が出来る。
先は長いので10分程休憩の後仙水峠に向かって下る事にする。


  
ウサギギクがポツンと咲いていた                     狭い南西尾根へのトラバース道

  
   尾根筋に合流すると六万石が見える                六万石から駒津峰へは一旦コルに下る


            六万石の北側を覗くと鋸岳方面が見える


   お〜〜〜 甲斐駒ヶ岳が姿を一瞬現した  全員素早くカメラを構える


     甲斐駒ヶ岳と摩利支天の揃い踏み  甲斐駒の山頂部が見えたのは後にも先にもこの一瞬だけだった

  
駒津峰の東肩に這い上がり岩尾根を進む                11時25分 駒津峰に到着する

  
             仙丈岳                         アサヨ峰      北岳  間ノ岳   塩見岳


 駒津峰から早川尾根〜鳳凰三山を眺める


仙水峠  2,264m

11時35分駒津峰を出発すると少し雲の高さが上がって今から進む早川尾根と鳳凰三山が見渡せる様になった。樹林帯に入る前
に駒津峰から仙水峠を見下ろすと結構近い様に見えた。前回ここを這い上がった時は登りだったのでキツかった記憶があるが、今
回はザックは重いが下りなので少し甘く見ていたのは否めない。早川尾根も縦に見るので距離感が無く、最初の栗沢山まで何とか
這い上がれば後はすんなりと歩ける様な気がしたものだ。


12時05分ハイマツに隠れて仙水峠は見えないがそれでも峠は近いように見える。樹林帯にはソバナによく似たミヤマシャシン
がぶら下がっている。下っても下っても中々峠が現われず岩に座って少し休憩をしたりして13時00分やっと遭難碑と標識が立つ
「仙水峠」に下り立った。


仙水峠」(標高2,264m)は同じ富士川水系の北沢(西側)と大武川(東側)の峠部である。駒津峰に向かう沢は水晶沢
と呼ばれているので仙丈ヶ岳と水晶沢の頭文字を取って仙水峠と付けられたのだろうか。標識には尾根筋の反対側に栗沢山方面が
記されているがそちらに向かう登山者はまず居ない。


  
  11時35分 仙水峠へ向かって下っていく               ハイマツ帯からダケカンバ隊になり更に下ると針葉樹林帯となる

   
  覚悟はしていたが結構急な下り坂だ                   振り返ると摩利支天は見えるが甲斐駒の山頂部は雲の中だ


   
樹林帯に入る前に早川尾根を眺める                     樹林帯に入る

  
   ミヤマシャジン                              12時05分 仙水峠は樹林帯で見えないので近いと錯覚する

  
黙々と樹林帯を下る                           亀吉さんはストック現地調達派だ 亀美さんは最近ダブルストック派に

  
13時00分 仙水峠へやっと下りつく                    栗沢山への標識が立っている

早川尾根とは

早川尾根は仙水峠から甲斐駒ケ岳から南東方向に続く尾根で仙水峠から栗沢山〜アサヨ峰〜ミヨシノ頭〜早川尾根の頭〜広河原峠
〜赤薙沢ノ頭〜白鳳峠を経て高嶺〜地蔵岳〜観音岳〜薬師岳(鳳凰三山)へと続く2,700m級の尾根の総称とされている。


早川は富士川の支流で白峰三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)と鳳凰三山の間を流れており、上流部は野呂川と呼ばれて源流部は北沢
となって仙水峠まで延びる。従ってこの尾根の西側を流れる野呂川の名を取って「野呂川尾根」で良さそうな物だがちょっと語呂
が悪いのだろうか。「鳳凰尾根」とでも名付けていればもっとメジャーな山域になったのかも知れない。実際今から上る早川尾根
の盟主アサヨ峰の三角点名は「鳳凰山」である。


甲斐駒ヶ岳から鳳凰三山へ縦走する場合、駒津峰(標高2,752m)から仙水峠まで標高差488mを下った後、今度は最初の
栗沢山(標高2,714m)まで標高差450mを登り返さなければならない。現在早川尾根に唯一ある「早川尾根小屋」は廃業
されており無人避難小屋として提供されているので登山者も極端に少ない。


仙水峠〜栗沢山  (13時05分〜15時08分 = 約2時間)

仙水峠から西側の北沢峠へ向かう谷間には膨大な量の落石が両側から詰まっている。この端くれが峠部の南斜面にも広がっている
ので私がトップでこの歩きにくい岩の上を適当に進み始める。振り返ると左手に歩き易い登山道がちゃんと有り、3人はその道を
歩いている。先頭はいつも損をするものだ。


登山道は針葉樹の中に一直線に続く明瞭な道ではあるが岩が多くて急斜面でスピードは望めない。要所で振り返ると木陰の間から
甲斐駒ケ岳の姿が見えるが、ガスの為に摩利支天までしか見えない。13時50分甲斐駒ケ岳と駒津峰の展望所に出るがやはり甲
斐駒の天辺は雲の中だ。景色は標高が上がるとハイマツとダケカンバに変わり前方に栗沢山へ向かう急な斜面が広がる。さらに進
むと岩場なども現れる。


  
仙水峠の岩ザレ場を避けて登山道が付けられていた        遠目には樹林帯で見えなかったが足元は基本岩道である

  
白っぽい幹の針葉樹林はシラベだろう 岩にはコケがびっしり          こんな平坦な場所は少ない


  
  ハイマツとシャクナゲの生い茂る登山道                釜無川沿いの北杜(ほくと)市の街が見える


 14時10分 尾根道展望所から向かいの駒津峰と甲斐駒を眺める  この間の沢は「水晶沢」と呼ばれているそうだ

  
  ダケカンバの風景は心が和む                     14時20分になってもまだ栗沢山は遠い 前方は途中の肩だ

栗沢山 (2,714m)別名 栗沢ノ頭

14時30分尾根が少し東に振ると前方に地蔵岳のオベリスクが見える。天気は終始曇り空で展望も高い山の頂は見えないが、弱
った年寄りグループの体力維持と言う面では文句は言えないと話し合う。栗沢山の山頂直下は岩尾根となっており重いザックが堪
えて来る。


15時05分前方が開けて早川尾根が眼前に広がると右手が栗沢山の山頂だった。栗沢山は早川尾根の北端玄関口の存在で、別名
「栗沢ノ頭」と記された地図もあるのでこのピークは大武川の源頭が栗沢って言うのだろうか?
昭文社山地図にある標準タイムは
仙水峠〜栗沢山が上り1時間半と記されているが我々は2時間を要した。


  
  黒沢山に近づくと尾根が東に降り出すので地蔵岳が見える    遠くから森みたいに見えた栗沢山がが山頂部は岩場だ

  
   最後の岩場                                 あと少し・・・ もう少し・・・

  
   やっと尾根筋まで這い上がる                      15時08分 栗沢山にとうちゃこ〜〜


お互い重いザックでここまで歩いてきたもんだ  でも今日は今からの行程を考えると夜間歩行を覚悟する しゃ〜ないわ


栗沢山〜アサヨ峰  15時15分〜16時52分 =約 1時間40分

栗沢山から早川尾根避難小屋まで標準タイムで3時間となっているのでこの時点で到着は夕方ギリギリか夜間になる事を覚悟する。
夜間歩行は慣れているので無理に早く歩く事はせずに今まで通りゆっくりと歩く事に専念する。伊予の鈍亀さんは当初山小屋泊り
を想定していたのだが、この早川尾根小屋が避難小屋になった為に荷物が増えてキツい歩きを強いられている。次のアサヨ尾根は
直線に見ると近そうではあるが実際に歩いて見ると結構距離やアップダウンの尾根が続く。



   アサヨ峰は前方に見える2番目のピークだ  見ての通り根筋はハイマツ帯の岩歩きとなっている


アサヨ峰 (三角点名「鳳凰山」) 2,799.38m


栗沢山から少し下るとハイマツと岩の尾根になる。15時40分アサヨ尾根の手前に一つピークがあるが、アサヨ尾根は右手に長
い尾根を持っているので同定は容易だ。16時10分手前のピーク直下に来ると尾根は岩だらけで思ったより這い上がりに時間が
かかる16時40分手前の岩尾根に這い上がっていよいよアサヨ尾根に向かう。尾根の左手稜線が開けて鳳凰三山への尾根が見え
る。アサヨ尾根からは下りになっているので少しスピードが上がるかも知れない。


16時50分やっとアサヨ尾根の岩ピークに到着する。三角点名が「鳳凰山」だからまさに鳳凰三山への入り口って事だろう。甲
斐駒の上部は雲にすっぽり覆われていて見えなくなった。17時00分に早川尾根避難小屋に向かってハイマツ、ダケカンバ、ブ
ルーベリーなどが生えた登山道を下る。


  


           アサヨ峰は緑の衣装を纏(まと)った岩山だ〜〜  本峰はこのピークの奥にある

  
    何じゃこりゃ〜 もっと楽な尾根と思ったんじゃけど          振り返ってもホンマ岩山だ


               栗沢山を振り返る   なめたらいかんぜよ 早川尾根

  
  奥の岩山がアサヨ峰だ                          やっとアサヨ峰の懐(ふところ)に入る

  
 ピークに近づくとミヨシノ頭〜高嶺〜鳳凰三山が現れる        16時50分アサヨ峰に到達


   アサヨ峰 三等三角点「鳳凰山」  三千メートル級の南アルプス展望所だが雲が垂れこめて残念だ

  
    仙丈ヶ岳の稜線部は雲に隠れている            「あなた頑張るのよ!」「もうアカン いざとなったらワシを置いて行け」 


アサヨ峰〜早川尾根避難小屋  17時00分〜20時30分= 約 3時間30分
                                        

ミヨシノ頭 (標高約2,600m強)

17時00分アサヨ峰を出発し20分程登山道を下ると左側へ張り出したピークがありそれに向かってダケカンバとハイマツの樹
林帯を黙々と上がる。その左手に張り出した尾根へ上がると前方にミヨシノ頭のピークが前方に見える。右下には富士川の支流、
野呂川の川面が白く光っている。

ミヨシノ頭とは変な名前だが、これは南側に流れる野呂川の支流「三好沢」の源頭部という意味である。17時50分ミヨシノ頭
のピークを少し右手を巻いて深いダケカンバの森を下る。更に針葉樹林帯のトラバース道に入ると暗いのでヘッドランプを用意す
る。最近のヘッドランプの軽量化と光量は進歩しており、私の使用するエナジャイジャー・グリーンは電池込みで90グラムの重
さで200ルーメンもある。伊予の鈍亀さんのは300ルーメンあるそうだ。


18時20分樹林帯の切れ目から夕暮れに染まった空が見える。道が見える薄明るい内はなるべくライトを点けないで歩く。ライ
トを点けると周りが急に暗く見えて全体が良く見えなくなるのだ。


  
17時000分アサヨ峰を出発 ミヨシノ頭へ向かう            ハイマツと低木広葉樹の尾根を下る

  
尾根は東に張り出して左手が絶壁となっている 右がミヨシノ頭   ダケカンバとハイマツの登山道を上がる


  
ミヨシノ頭が近づいてくる                          ハイマツの登山道は比較的歩きやすい

  
野呂川は鳳凰三山と北岳の間を流れる川で下流は「早川」だ    17時45分ミヨシノ頭直下に入る

  
18時00分 ミヨシノ頭は少し右手をトラバースしている                尾根は次第に高度を下げていく 道の状態は良い

18時30分次のピークへのコル部から振り返るとミヨシノ頭が結構高い場所にあり下りが急だったことがわかる。前方の樹林帯
へ向かって上がり切った辺りでヘッドランプを全員装着する。針葉樹林帯の中を続く道は狭いが安定しており転倒に気を付けなが
ら歩き続ける。


  
暗い針葉樹林帯のトラバース道を進む                   足元に気を付けながら下る

  
ダケカンバなどの広葉樹がある場所では明るくなる           18時20分 ビバーク出来そうな平地が気になる

  
18時25分少し岩っぽいコルを通過する                  振り返るとミヨシノ頭が結構高い場所にある

早川尾根の頭 三角点名「郷留沢」 2,463.66m

19時20分なだらかな下りになり30分程細尾根まで下った場所でGPSで場所を確認すると三角点のある早川尾根の頭は次の
上り坂を詰めたピークにある事がわかった。「もう少しです」と疲れたみんなを励ましながら三角点まで先行する。
ピーク近くに
あった石標は三角点ではなく、20時10分やっと早川尾根の頭、三角点(点名・郷留沢)を踏む。


  
 ライトを点けてゆっくりと歩く                         早川尾根の頭手前にあった石標 

  
  20時07分 早川尾根の頭 三等三角点「郷留沢」を踏む   近くの木にテープで三角点名が記されていた

早川尾根避難小屋

もう早川尾根避難小屋は近いので駆ける様に樹林帯を下ると20時20分小屋がライトに浮かび上がる。こんな時期に恐らく先客
はおらんやろうと思っていたが、小屋からは灯りが漏れていた。小屋に入ると入り口近くに3人の登山者が横になっている。亀吉
さんが「遅くなったがここに泊まりたい」と言うと「こんなに遅くに・・・我々はもう寝るので音を出されたら困る」と言う。避
難小屋なのに冷たい奴らだ。このやり取りを聞いていた私は頭に来て「テントとツェルトを持ってますから外で寝ましょうや」と
亀吉さんに進言して小屋を出る。


テン場は平らで良い平地だったので暗い中ライトで設営に時間はそうかからなかった。水場は10m程の場所にあったので補水し
て簡単な夕食を取る。テントは女性陣に譲って亀吉さんと私はツェルトに頭と足を互い違いにしてシュラフに潜り込む。長い一日
だった。


  
早川尾根避難小屋 (翌朝撮影)                      早川尾根避難小屋野営場 (翌朝撮影)

第1日目 尾白川渓谷登山口〜黒戸尾根〜七丈小屋                 は  ここ  
第3日目 早川尾根避難小屋〜高嶺〜地蔵岳〜観音岳〜薬師岳〜鳳凰小屋  は  ここ  
第4日目 鳳凰小屋〜青木鉱泉                              は  ここ

 

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