石鎚・剣山ガイドサービスツアーで行く北アルプス 第2弾
薬師岳~黒部五郎岳~笠ヶ岳縦走 3泊4日
折立~薬師岳~黒部五郎岳~三俣蓮華岳~双六岳~笠ヶ岳~新穂高温泉
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図
プロローグ
日本アルプスの縦走では入山地と下山地が遠く離れている場合、車を使って個人で周回する事が難しい。
利用すると費用は少し高いが行き帰りの交通の事を考えると大変便利である。
レットで検索するが、どれもヤワな行程ばかりで参加する気にもなれない。
そんな中で石鎚剣山ガイドサービスの山ツアーは行程によっては触手を動かされる物もある。2年前に石丸さんの裏銀座縦走
ツアーに入り烏帽子岳から槍ヶ岳まで大変楽しく歩く事が出来た。ツアーの中では裏銀座縦走と銘打ちながら双六小屋辺りか
ら新穂高温泉に下りたりする物がある。石丸ツアーでは槍ヶ岳までキッチリ歩き、更に奥丸山コースで新穂高温泉へ下山する
と言うサービス精神満点のツアーだった。
今年に入りその石鎚剣山ガイドサービスで薬師岳~黒部五郎岳~笠ヶ岳とフツーの山ツアーでは企画されない様な行程を目に
して即参加の申し込みをした。
薬師岳のツアーと言えば折立からピストン、或いはせいぜい立山方面へ北上するか、雲ノ平を周回するかで、とても笠ヶ岳ま
で足を延ばすハードな計画は無いのが現状だ。
山ツアーは原則として山小屋泊りなので経費も嵩むがテント泊と比べて荷物の重量が少なく快適に縦走する事が出来る。一方
山ツアーの欠点は当然の事ながら日程があらかじめ決まっているので天気はお構い無しと言う点だ。今回も天気予報に一喜一
憂するが全般的に予報はあまり芳しくなかった。
と言う訳で7月31日、高速新居浜インターでツアーに合流し今回は女性組と男性組の2台に分乗して登山口の折立へと向か
う。車に乗り込むと2年前のツアーに同行した長老「山口」さんや不思議星人「大森」さんが居て、別な女性陣の車には気心
の知れた夢見る「和田」さんも参加と言う事で安心する。初顔合わせの方も今回の厳しいツアーに参加されるのでいずれもタ
フそうな方たちだった。
初日は四国から瀬戸大橋~山陽道~舞鶴・若狭自動車道~北陸自動車道で立山ICで下り、そこから有峰林道を通り富山市営
・国民宿舎「白樺荘」にて前泊し交友を深めた。
有峰の国民宿舎で前泊 明日からガンバロ~~
第1日目(8月1日) 晴れ~曇り~雨
折立登山口~太郎平小屋~薬師岳山荘~薬師岳~薬師岳山荘
08時25分~15時50分
折立~三等三角点「青淵」~太郎兵衛小屋(昼食)~薬師岳山荘~薬師岳~薬師岳山荘
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図
朝早く国民宿舎を出て有峰林道のゲート開きを待って折立駐車場へ向かう。天気は思いのほか良いので心は軽い。
08時25分薬師岳登山口を出発して急な樹林帯へ入る。左側に昭和38年1月に薬師岳に登った13名が猛吹雪に遭い全員遭難死
した愛知大学生の慰霊碑塔がある。この山岳遭難を教訓に富山県は山岳警備隊を結成したらしい。やはり厳しい山ほど穏やかな日に
登るに限る。
山口長老の赤いザック 有峰林道のゲートが06時に開いて折立に向かう
08時25分 折立登山口へ入る 愛知大生の遭難碑
アカモノやタケシマラン、ゴゼンタチバナ等の赤い実やシラタマノキの白い実が緑に映える。見た事の無い白い花があったので花好
きの町子サブリーダーに「ツルアリドウシ」だと教えて貰う。
07時50分一旦平坦な場所に着き少し立ち休憩の後、更にデカい檜や針葉樹の根がむき出した急な上りを喘ぐ。しばらくすると少
しゆるやかな登山道になり針葉樹林帯に笹が現れる。
タケシマラン シラタマノキ
ツルアリドウシ 結構急な登山道
大木の木の根やちょっとした岩場を抜けて歩く
大杉の古木がある 標高が上がると笹と針葉樹が現れる
陽当たりが良い場所に出るとミヤマママコナの赤紫が登山道を飾り出すと8時25分三角点(1,870.6m)の休憩所に着いた。
天気は概ね良いのだが前方はガスで良く見えない。
る。
三等三角点「青淵」休憩所 木道が現れる
reiko さんとバッタリ
木道の間に咲くママハハコ、コメツツジ、イワショウブ、キンコウカ、ミヤマママコナ、茶色になったノギラン等を眺めながら最後
部をツアーアシストの松本さんと話をしながら歩いていると前からどこかで見た事のある様な女性が現れた。 う~~ん 誰かに似
ているなぁ・・ すると後ろから殿下の顔があるではないか あれ! こんな場所でreiko さんに会う?? 向こうも私がツアーに入
る事は珍しいので何故って表情をしている。お互い何度も確かめて間違いないので松本さんに写真を撮って貰って話をする。
reiko さん達は前日折立から入って薬師岳をピストンしてた様だ。こちらは笠ヶ岳まで縦走すると言ったら少し驚いていた様子だっ
た。殿下とお会いするのは久しぶりだったが前列が先へ行ったので長話が出来なかったのが残念だった。
あれ? 何でこんな所に? reiko さんと殿下 不思議な出会いにびっくり
意外な出会いに驚きながら前方の樹林帯に入るとツルリンドウやオヤマリンドウなどが咲いている。それを抜けると09時10分石
畳が敷かれて整備された登山道となる。
ドウ、ミヤマリンドウ、イワショブ、キンコウカ等の花を眺めながら歩く。
09時52分「五光岩ベンチ」という標識の場所に着いて少し立ち休憩をする。天気が良いと左手に五光岩が見えるのだがガスがこ
の方面に立ち込めて何も見えない。その後もなだらかな丘陵地帯に続く整備された白い石が敷かれた登山道が伸びる。
石畳の登山道 少しガスが出て来た丘陵地帯を歩く
イワショウブ タテヤマリンドウ
10時18分2列になった木道が少し続き、その後又緩やかな階段状の登山道になる。
鮮やかなイエローが映えるミヤマコウゾリナやニッコウキスゲ、ちょっと控えめなエゾシオガマが草の間から顔を出す。
ているうちに左手の小高い太郎山(2,373m)から北東に伸びた緩やかな平地に小屋が見えて10時50分「太郎平小屋」に着
いた。
石丸さんがこの小屋で昼食を予約しているのでザックを小屋に持ち込んで指定された食堂でカレーを食べる。やはり山ツアーは縦走
中も3食バッチリ食べるので痩せる可能性は少ない。
植生保護の為に二列の木道が敷設されている 広い登山道を歩く 正面の薬師岳はガスで見えない
ナナニガナ? チングルマの綿毛が並ぶ
おっ ニッコウキスゲが咲いている 10時50分太郎平小屋に着く ここで昼食
11時30分太郎平小屋を出発して今夜宿泊する薬師岳山荘へ向かう。木道を薬師岳へ向かって太郎兵衛平と呼ばれる緩やかな傾斜
を上って行く。しばらくすると薬師峠の谷部に向かってなだらかに下る。太郎平小屋から20分程で眼下に見える薬師平の野営地に
テントが5~6張りが見える。
前方の薬師岳はガスに包まれているが快適な木道を進む
薬師平へ下る 薬師平のテン場は比較的空いている
この谷間にはオタカラコウ、ミヤマカラマツ、コウゾリナ、ミヤマトウヒレン、キヌガサソウ、オオレイジンソウなどが見られて岩
がゴロゴロしているが退屈はしない。
変わる。
所を通過する。
この辺りはお花畑になっていてイワイチョウ、コバイケイソウ、シラネセンキュウ、ウスノキ、ハクサンフウロ、オンタデ、チング
ルマ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、イワカガミ、アオノツガザクラなどが次々現れる。
オタカラコウの咲く沢を上がる オオレイジンソウの咲く沢を更に上がる
いつも豪華なキヌガサソウ アルプスお馴染みのウサギギク
岩だらけの沢部を上がり切る 平原になるとエゾシオガマが咲いている
これもアルプスお馴染みのヨツバシオガマ 12時40分 ケルンの積まれた休憩所を通過
コバイケイソウは数が少ない ウスノキ やろね
ハクサンフウロ、ハクサンボウフウ(?) チングルマの花も残っている
イワイチョウは水場に咲く花じゃね おぉ ハクサンイチゲも未だ咲いている
アオノツガザクラは見分けがつきやすい ハクサンイチゲとイワキンバイ
13時になるとガスが一層深くなりガレた急坂を上がる。やがてハイマツが現れて標高が上がって来た事を告げアオノツガザクラ、
ミヤマコゴメグサを眺めながら13時27分薬師岳山荘に着いた。小屋は既に混雑しており2階の廊下に何とかザックを置いて雨具
を着て外に出る。13時50分小雨が降って着たが石丸ガイドの「雷雲は出ていない様なのでこのまま薬師岳へ登ります」の号令で
ガスと小雨の降る登山道を薬師岳へと向かう。直ぐにハイマツが少なくなりガレ場を目標の見えないピークに向かって進む。
ハイマツの急登を上がる シラタマノキとアキノキリンソウ
ミヤマコゴメグサがウラシマツツジの中に咲いている 13時27分 本日宿泊する薬師岳山荘に到着する
13時50分過ぎ 雨具を着けて小屋を出発 薬師岳方面はガスに覆われている
14時26分小さなコンクリート製の避難小屋の近くに大き目のケルンが立っているポイントを通過。薬師岳はピークの直下は南北
に尾根が張り出しており、南側の肩で南東側に更に支尾根が分かれている。登山口で遭難碑が見られた愛知大学山岳部生は昭和38
年(今から53年前の正月明け)薬師岳山頂直下で猛吹雪の為登頂を諦めて下山途中、この場所から進路を誤り東南稜に迷い込み
13名全員が凍死したのである。遭難報告書によるとこの時地図とコンパスを持たずに太郎平小屋を出発したとある。濃霧や吹雪に
遭遇した場合地図とコンパス所持はは生死を分ける。山や自然が牙を剝いた時、弱い人間は近づかない方が良い。
14時26分④小さな避難小屋を通過 愛知大生が迷い込んだ薬師岳手前の東南尾根分岐付近にあるケルン
下山時進んではいけない東南尾根(ペンキで✖印が付けられている ここから更に薬師岳本峰に進む
この頃になると少し天候が回復して来て右手に大きく抉(えぐ)られた中央カールが見える。奥の薬師岳山頂へは少し左手を巻くよ
うに登山道が付けられている。トラバース路を回り込むとハイマツがまばらに生えた稜線の正面に薬師岳山頂の大きな祠が見える。
雪渓の傍にはヨツバシオガマやチングルマ、タカネコウゾリナが咲いている。
薬師岳中央カールを振り返る 正面が東南尾根、下りは右上へ進む
岩尾根を左からトラバースして進む 尾根に復帰すると薬師岳山頂の祠が見える
山頂近くには雪渓が残っていた お決まりのシェー 日本百名山・薬師岳
14時45分薬師岳の山頂に着いた。石を積まれた大き目のお堂には薬師如来が納められて、横には半鐘が吊り下げられていた。
で記念写真を撮った後、奥に進むとガスの中から金作谷カールの向こうに北薬師岳が姿を現す。すると北薬師方面からヘルメットを
被ったご夫婦が登って来られて話をすると五色ヶ原から縦走して来たと言う。
ヘルメットを被った上品そうなご婦人は五色ヶ原~北薬師岳からのルートは結構キツかったと話し、我が隊の女性陣はエールを送る。
山でのこんな交流は中々いいもんだ。
山頂で記念撮影の石丸隊
薬師如来を納めた山頂の祠 二等三角点「薬師ヶ岳」は祠の裏側にある
北薬師岳と抉られた金作谷カール
北薬師岳から来られたご婦人と交流を深める我が隊員 薬師岳の奥は金作谷カールが落ち込んでいる
15時10分山頂を後にして小屋に下る。最初のピークを右手に巻き先の尾根に出る。そこから東南尾根に進まない様にケルンが積ま
れているので右手に向かって下る。イワギキョウやまだ緑色のウラシマツツジの中に咲くミヤマコゴメグサを見ながら又天気が崩れ出
した斜面を足早に下る。途中で霧の斜面にライチョウがいてカメラを向けて喜ぶ。
15時48分薬師岳山荘に到着すると暫くして激しい雨となった。まだ山頂近くには多少登山者がいるのだがズブ寝れになった事だろ
う。
山頂から下山方向を見る (ピークが2つ見える) 最初のピークを右にトラバースする
ハハコグサ、ヨツバシオガマなどが見られる イワギキョウ
ミヤマコゴメグサとウラシマツツジの葉 薬師岳小屋へ下る
15時50分頃 小屋に帰りつく そうそう ツアー登山は整理運動が付いている
割り当てられた2階の大部屋は雑魚寝状態で部屋の中には荷物も持ちこめない。廊下もザックで一杯で整理もままならない。山小屋
に慣れていない私にとってストレスが溜まる夜となった。
ザックは廊下しか置く場所が無い 布団がギッシリ敷かれた大部屋
薬師岳小屋の夕食 綺麗な食堂
第2日目 8月2日
薬師岳山荘~太郎平小屋~北ノ俣岳~黒部五郎岳(中ノ俣岳)~黒部五郎小屋 は ここ
第3日目 8月3日
黒部五郎小屋~三俣蓮華岳~双六岳~双六小屋~大ノマ岳~抜戸岩~笠ヶ岳山荘 は ここ
第4日目 8月4日
笠ヶ岳山荘~笠ヶ岳~笠ヶ岳山荘~抜戸岳分岐~笠新道~新穂高温泉 は ここ