石鎚・剣山ガイドサービスツアーで行く北アルプス
 薬師岳~黒部五郎岳~笠ヶ岳縦走 3泊4日


第4日目(8月4日)晴れ

笠ヶ岳山荘~笠ヶ岳~山荘~笠新道~新穂高温泉

05時50分~12時00分


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 笠ヶ岳~笠新道~新穂高温泉


笠ヶ岳  2等三角点「笠ヶ岳」 2,899.56m

笠ヶ岳は槍~穂高連峰の西側にデンと構える秀峰だ。穂高縦走の時にはいつもこの山にエールを貰った。そして槍や穂高での夕日はこの山の近くに
沈んでいく。いつかはこの山に登りたいと思っていたのだが、石丸さんのお陰でまさかの薬師岳とセットでここに来ることが出来るなんて・・・

笠ヶ岳の開山は江戸時代の初めに仏像量産で有名な円空上人だとされている。その後江戸時代の末期に播隆上人が有名で、彼がこの
山から見た槍ヶ岳に魅されてこの開山に情熱を注いだのは有名である。明治27年にウォルタ―・ウェストンが登頂し、明治35年には陸地測量部によっ
て2等三角点が設置された。


笠ヶ岳山頂は朝飯前


終わり良ければ全て良し」って諺があるが、まさに今回の最終日の天気はこの諺通りの有終の美となった。04時過ぎにライ
トを点けて準備をし小屋を出て山頂へ向かう。小屋から山頂までの道はなだらかなので暗くても何ら問題は無い。

04時30分山頂付近に着くと槍ヶ岳のシルエットが見える。 やはり山の朝はこうでなくっちゃ。
心地よい朝の空気を吸いなが
ら周囲の山々を眺めていると05時02分槍ヶ岳の北鎌尾根から朝日が昇る。このツアーで初めて出会った痛快な朝だった。
05時15分全員満足な気持ちで小屋に帰り朝食を摂る。

  
  地球の目覚め 朝のしじまは芸術だ          笠ヶ岳の山頂には既に登山者が日の出を持っている


      焼岳                乗鞍岳   御嶽山   手前は笠ヶ岳から延びる錫杖岳


     天女の衣が槍ヶ岳から大空に向かって延びている

  
            槍ヶ岳                  二等三角点 「笠ヶ岳」

  
  明るくなって笠ヶ岳の岩っぽい山頂だとわかる       仏像が収められた笠ヶ岳の祠


      石丸ガイドと槍ヶ岳をバックにしぇ~~~


             槍ヶ岳の北鎌尾根から朝日が昇る


   北ノ俣岳    黒部五郎岳 薬師岳(奥)  剱岳・立山(奥) 水晶岳  鷲羽岳

  
   笠ヶ岳山荘の朝食                 山荘から笠ヶ岳 ここから見ると迫力が無い


笠ヶ岳山荘~抜戸岳分岐(笠新道下山口)  1時間20分

05時45分小屋前で準備運動の後下山を開始する。

すると小屋に向かってヘリコプターが飛んで来て食糧などの資材を手早く下して飛び去る。小屋の受け入れも手慣れたものでこの
作業を下山中に何度か繰り返していた。一昔前までは人力・歩荷(ぼっか)で荷揚げしていた頃に比べれば小屋営業も随分便利に
なったものだ。登山者は米持参って時代を経て、近頃の山小屋では下界のレストランの様な食事を提供している所もあるらしい。

10分程でガレ場の傾斜を下って尾根部へ入る。テン場近くには大岩に水場とペンキで書かれているので水場もある。南側には霞
沢岳、焼岳、乗鞍岳が見える。昨日霧で何も見えなかった笠ヶ岳への景色を何度も振り返りながら歩く。やはり山歩きは良い天気
に歩くと爽快な気分になれる。

  
  05時50分 小屋を出発                ヘリコプターが資材を何度も往復して運んで来た

  
  穂高連峰を正面に見ながらガレ場を下る      笠ヶ岳山荘が見える場所の岩に「山荘スグソコ」と書かれている

  
笠ヶ岳の手前、東斜面がガレているのが良く分かる  水場と書かれた大岩の向こうに霞沢岳、焼岳、乗鞍岳~御嶽山が並ぶ

  
左手には黒部五郎岳、薬師岳、剣山・立山、水晶岳などが並ぶ  笠ヶ岳への尾根がクネクネ曲がっているもんだ


06時10分播隆平から張り出した尾根部まで下りて笠ヶ岳を振り返ると本峰から張り出した小笠ピーク近くに笠ヶ岳山荘が
立っており、東側に向かってなだらかに播隆平がカールの様に落ちておりその窪みには池が見える。

06時22分あっと言う間に抜戸岩を抜ける。
尾根の左手前方には黒部五郎岳とその向こうに薬師岳も見える。あそこからは
るば歩いて来たのだ。又その向こうには剱岳と立山がセットになって霞む。正面近くには槍ヶ岳の姿が逆光にまぶしく見え隠
れする展望の尾根歩きとなった。



緑の笠          播隆平                笠ヶ岳               笠ヶ岳山荘   小笠

  
       槍がまぶしい尾根歩き                       笠ヶ岳が次第に遠ざかる


                           06時22分 抜戸岩を抜ける

  
        抜戸岩と笠ヶ岳                        黒部五郎岳 薬師岳        水晶岳  鷲羽岳

  
 みんなで穂高や乗鞍、御嶽山の展望を楽しむ                   霞沢岳        焼岳     乗鞍岳  御岳山

昨日とうって変った大展望の尾根を更に進み06時40分振り返ると迫力のある笠ヶ岳の全貌が目の前に迫って嬉しくなる。
06時53分2,753mピークの出っ張りからは笠ヶ岳の東側にある「緑ノ笠」と言われるグリーンベルトの棚も見える。

デベソピークを過ぎると抜戸岳の大きな山塊が迫り、その直前に抜戸岳分岐がある。これを南側に下りるともう黒部五郎岳や
薬師岳は見えなくなるので最後にこれら黒部源流の山を眺めながら07時08分分岐を右に折れて急坂を這い上がる。




       デベソピークより笠ヶ岳を振り返る    懐が深い尾根や谷の頂点に笠ヶ岳が君臨する

  
          デベソピークでシェ~                         抜戸岳分岐へと向かう


         2,753m デベソピークとその向こうに笠ヶ岳へとクネクネ続く尾根登山道

  
   初日に歩いた薬師岳                          2日目に雨とガスの中を歩いた北ノ俣岳と黒部五郎岳  


                 抜戸岳を越えるとこの風景ともおさらばとなる

  
  07時08分 新穂高温泉への下山口分岐に着く                 抜戸岳の尾根を乗越す笠新道へ

  
   双六岳~水晶岳へと延びる縦走尾根を最後に確認           大キレットを眺めながら休憩する


笠新道を下る 抜戸岳分岐~杓子平~抜戸岳南尾根乗越~林道下山口  4時間

07時15分休憩の後杓子平に向かっていよいよ旅の最後となる笠新道を下る。最初は草地の間に続くなだらなで広めのガレ場
道が続く。焼岳を正面に見ながら手前にある恐竜の背中の様な抜戸南尾根に向かって杓子平までジグザグを切って下りて行くのだ。
左手には槍ヶ岳や穂高の山々が見え、振り返ると笠ヶ岳と歩いてきた尾根の壁が続く。

おびただしい程の岩が転がり、傾斜が緩やかな斜面には草が生え、その間を雨水で削られた不規則に続く岩筋が登山道として使わ
れている。この道が右に振ると笠ヶ岳とそこから北に延びる岩尾根が見える。下って来た方向を振り返れば抜戸岳の岩山がそそり
立つ。


07時58分に杓子平に着いて少し休憩する。この窪地から前方に見える抜戸岳南尾根を乗越して笠新道は向こう側の傾斜を下っ
て行くのだ。



         笠新道の最初は高度が高く傾斜も急なのでハイマツの間に続くガレ場を伝う

  
左手に抜戸岳南尾根がありその向こうに槍ヶ岳、大キレット      穂高連峰を正面に見ながら下る

  
          上を振り返ると岩山だ                         杓子平へ向かって下

  
   この辺りはお花畑になっている                    登山道が右に振ると笠ヶ岳が現れる


    下の平らな場所が杓子平  そこに向かって焼岳を見ながら下る


                           抜戸岳を振り返る

  
        杓子平で少し休憩する                     抜戸岳の南側のピークも岩山だ

抜戸岳南尾根乗越

南尾根に向かいトラバース気味に進むにつれて草地が樹林帯となりやがてハイマツに変わる。笠ヶ岳は益々高度感を持って聳え
ている。08時18分新穂高温泉の標識が立っており、笹とハイマツ、ツガの尾根を乗り越える。「抜戸岳南尾根乗越」と呼
ばれる場所だ。そこから小木と草地の明るい急斜面を下りて行く。トリカブトやミヤマウツボグサ、サラシナショウマ、シモツ
ケソウの生い茂る草地の間に岩道が続く。
奥穂高は次第に雲に覆われて全容は見えないが岩場や梯子の急な坂道が続くので景色
をゆっくり見る余裕は無い。


  
   杓子平からダケカンバを抜けて南尾根へ向かう             草地を通って水平な道を南尾根へ進む


    南尾根乗越へ入る前に笠ヶ岳の見納めをする  ガスが湧いてきて絶壁の厳しさが窺い知れる

  
   08時18分新穂高温泉への分岐「抜戸岳南尾根乗越」           樹林帯に入る

ギボウシやヒヨドリソウ、ササユリを眺めならが下っているとツアーアシスタントの松本さんが車の回送を終えて新穂高温泉か
ら出迎えに下から上がって来た。色んな機会を利用して山を歩く姿が気持ちいい。で・・・早速一人女性が岩で滑って尾骶骨を
打ったので彼女のザックの中身を松本さんが受け持つという任務を遂行していた。


09時45分眼下には蒲田川上流の左俣谷が見えるが、山では谷が見えてからがくせ者で中々そこまで辿りつけないのである。
10分程更に下ると登山口と杓子平との中間点標高1,920mの標識があり、登山口まで約1時間と書かれていた。

樹林帯をドンドン下り11時12分笠新道の登山口へ下りつく。

  
  樹林帯と言えども相当急な傾斜を下る         登山道には岩が多い

  
  ダケカンバの茂る岩道を下る             下に蒲田川の左俣谷が見えるがまだ遠い

  
  ギボウシが咲いているお花畑  暑い~        穂高連峰が高く見える

  
    ササユリ 前方に南尾根の端ピークが見える   09時55分やっと林道と杓子平との中間点を通過

  
    巨木のある登山道                 これはブナかな?


     11時12分 笠ヶ岳登山口に下りつく    抜戸岳分岐から下りで4時間かかった


しかしここで終わりではなく尚も新穂高温泉まで左俣林道を歩かなければならない。
11時54分林道ゲートを通過して谷が合
流する蒲田川にかかる橋を渡り12時丁度に新穂高温泉に着いた。

石丸町子ガイドは前日女性参加者1名をアシストして弓折岳分岐から別行動で鏡平山荘へ宿泊。そして小池新道経由新穂高温泉へ
先に着いており温泉にて合流となった。

温泉駐車場に回送された車から着替えを取って皆で温泉にGO! 気持ちよくさっぱりした後隣接するレストランにて石丸さん
の計らいで黒部和牛を頂き帰路に着く。


  
        蒲田川左俣谷                          抜戸岳南尾根の最終ピークを林道から見上げる

  
  11時54分 林道ゲートに到着                       新穂高温泉へ向けて左折

  
蒲田川にかかる橋を渡って新穂高温泉ロープウェイ駅へ向かう   温泉に入った後 打ち上げ会

  
   山口さんも大森さんもいいコンビ振りを見せて頂きました      黒部和牛をご馳走さま


今回、石鎚・剣山ガイドサービスの石丸ガイドによる薬師岳~黒部五郎岳~笠ヶ岳という面白い縦走ツアーに参加して日本百名山を3座ゲット
する事が出来ました。いつもの事ながら厳しくもあり楽しくもあり頼もしくもあるリーダーの姿を見せて頂きました。今回のツアー参加の皆様とも
親睦を深め思い出深い山旅となりました。 本当にありがとうございました。機会がありましたら又石丸ツアーでお会いしたいと思っております。


第1日目:折立~太郎平小屋~薬師岳山荘~薬師岳~薬師岳山荘           は     ここ   

第2日目:薬師岳山荘~太郎平小屋~北ノ俣岳~黒部五郎岳~黒部五郎小屋    は     ここ  

第3日目:黒部五郎小屋~三俣蓮華岳~双六岳~双六小屋~抜戸岩~笠ヶ岳山荘 は     ここ 


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