石鎚・剣山ガイドサービスツアーで行く北アルプス
 薬師岳〜黒部五郎岳〜笠ヶ岳縦走 3泊4日


第2日目(8月2日)曇り〜雨
薬師岳山荘〜太郎平小屋〜北ノ俣岳〜黒部五郎岳(中ノ俣岳)〜黒部五郎小屋
05時30分〜15時45分


薬師岳山荘〜黒部五郎岳〜黒部五郎小屋  約 10時間


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図

朝天気が心配で朝食後外に出ると曇り空ではあるが槍ヶ岳や黒部五郎岳、その右に噴煙を上げる御嶽山が見える。何とか
天気が持って欲しいと願いながら石丸さんに促されて準備運動をして05時30分小屋の女性に見送られながら薬師岳山
荘を出発する。前日展望が無かったチングルマの綿毛が揺れる稜線を槍ヶ岳などを眺めながら下る。

06時20分薬師平への入り口になる沢筋への下りに入る。ゴーロ地帯を注意しながら25分程でテントがまばらに残る
薬師平を通過して木道を上がる。池塘付近に来ると又ガスが出たりして今日も安定しない天気の様だ。薬師岳方面が少し
見えるとみんなが揃って振り返る。
イワショウブの花が美しい池塘を見ながらガスの大地を下る。

07時10分過ぎに薬師平小屋について水を頂く。実は薬師岳小屋は水の便が悪い場所の立地なので有料なのだが、この
薬師平小屋は無料で水を貰う事が出来る。ついでに言えば薬師岳小屋の登山記念バッジは六百円だが薬師平小屋では五百円
で売られている。デザインは安い方が良いから不思議だ。薬師岳小屋は全体的に綺麗で食堂も清潔だが、ザックなどを置
くスペースや大部屋の布団の間に隙間が全く無い。位置的には薬師岳に近い薬師岳小屋が断然有利なのだが、体力に余裕
がある場合は薬師平小屋の方が快適に感じた。


ここでツアーアシストの松本さんが車2台を折立から新穂高温泉まで移動する為に下山する。2台目の回収には新穂高温
泉から折立まで趣味の自転車で移動するそうだ。(9時間かかったとの事)ツアーアシスト業務の合間に精一杯旅行を楽
しんでいる姿は好感が持てる。



      薬師岳山荘から雲ノ平を挟んで槍ヶ岳まで見渡す事が出来る



  薬師岳山荘から見た槍ヶ岳をアップで


      今日目指す黒部五郎岳、その右奥には御嶽山が噴煙を上げる

  
   出発前の準備運動                            05時30分 女将さん(?)に見送られて出発

  
     薬師岳に別れを告げる                        薬師平へ向けて下る

  
        雲ノ平をバックに和田さん達と               北ノ俣岳と黒部五郎岳を目指す


  ワリモ岳、鷲羽岳     奥に槍ヶ岳   三俣蓮華岳     奥に笠ヶ岳方面       黒部五郎岳  奥に御嶽山

  
        沢部を下りる                           薬師平のテン場を通過

  
薬師平方面はガスが棚引く                         07時10分薬師平小屋について松本さんは折立へ向かう             

 

北ノ俣岳(上ノ岳) 2,661m   三等三角点名「北俣岳」 2,661.29m

さて、07時30分太郎平小屋からなだらかな稜線を太郎山へ向けて上っていく。霧が見え隠れする薬師岳や太郎平小屋を振
り返りながら歩く。太郎山には登山道のすぐ上に三角点があるのだが寄りそうもない。天気が良い場合はチラッと行って又後
ろを追いかけるのだがガス気味の天気だとそうもいかない。残念だがこれがツアー登山なのだ。

この辺りには池塘が沢山あり恐らく例年は残雪が見られる場所だろう。イワショウブの花が沢山咲いており実を付けてくると
花はピンクに染まっている。
池塘部を過ぎるとミヤマリンドウ、ウサギギク、ミヤマコウゾリナなどが登山道を飾る。右手前
方に小ピークが連なるハイマツ林の中を進むと最後は岩が転がる平らなピークへ向かって上ると09時30分北ノ俣岳に到着
して小休止する。


  
  整備道が崩れた斜面を登っていく                   太郎平小屋と薬師岳を振り返る

  
  緩やかな稜線に登山道が続く                      木道が整備されている


    イワショウブの咲く平らな稜線を進む

  
   池塘(ちとう)が両側に出てくる                     色が付いたイワショウブの花

  
   針葉樹の林が少し下の丘に見える                   コケモモ?  コバノツガザクラ?

  
    ハイマツ林の中に登山道が続く

  
   チングルマの綿毛が風に揺れている                 リンドウは一輪ひっそりと咲くのが良い

  
   なだらかなピークへ向かう                        山頂部は大きな岩が現れる


          09時30分 北ノ俣岳に到着    三等三角点は「北俣岳」


ここからの稜線はなだらかで石くれ道だが歩き易い。時々顔を見せる黒部五郎岳の手前には丸いピークが一つありこれが赤木岳
だろうが縦走路はこのピークの左側をトラバースして続いている。薬師岳を何度も振り返るが厚い雲に覆われて中腹より上の姿
は見せない。


10時20分大きな岩がゴロゴロするトラバース路を通過する。この岩場でミヤマダイコンソウやホツツジの花を初めて見る。
コケモモの生える岩場を下って稜線部へ来ると10時40分急に激しい雨が降り出した。急いで全員雨具を着る。天気予報が雨
模様だったので覚悟はしていたが黒部五郎岳へは天気の良い日に雲ノ平や水晶岳などを眺めながら歩きたかった。狭


  
    なだらかな稜線を進む                          あれが目指す黒部五郎岳か

  
   薬師岳方面を振り返る                           ガスが右手から湧いてきた

  
     赤木岳は左手の岩場を巻く                     雨が降り出し雨具を装着して黒部五郎岳を目指す

 
深いハイマツ帯に入ると前方に黒部五郎の肩部が見えるがその奥の本体はガスに包まれている。北アルプスのハイマツ帯尾根に
付けられた登山道は白い石がゴロゴロしている。その登山道が先程からの雨で沢の様に水が流れる。


11時20分黒部五郎岳への肩取り付き部コルの広場に出たので薬師岳小屋で作って貰った昼食弁当を食べる。15分程で昼食
休憩を終えてトウヤクリンドウの咲く上り坂へと入る。
ミヤマダイコンソウ、ミヤマカラマツ、ダイモンジソウ、ウメバチソウ
が雨に濡れて寒々と咲いている。


  
  登山道はもはや沢となっている                    雨の中薬師岳小屋で調達した弁当を食べる

  
  トウヤクリンドウが雨に濡れている                    黒部五郎岳をみんなで眺める   まだ遠いぞ〜

  
  今年もコバイケイソウは裏年みたい                   所々に岩場が現れてくる

  
     

黒部五郎岳  日本百名山  三等三角点「黒部」2,839.67m岳  別名「中ノ俣岳」

12時30分頃からいよいよ黒部五郎岳本体への厳しい上りとなる。前方は相変わらずガスに包まれて展望は無い。20分程す
ると大きな岩がゴロゴロする歩きにくい稜線になる。つまりハイマツ帯の中に続く岩の筋が登山道となっている訳だ。

13時花好きな和田さんがしきりにカメラを構えている。みるとトウヤクリンドウが花びらを開けている。確かに普段見るトウ
ヤクリンドウは殆ど花を閉じている。花好きな人がグループに居ると大変便利なものである。


  
   低いハイマツn間に続く岩クレの登山道を上がる          益々い合クレ状態〜

  
   雨なのにトウヤクリンドウが開いている                 黒部五郎カール分岐に向かう

13時25分カール分岐に着く。石丸さんから「天気が悪いので今日は尾根ルートを行かず、黒部五郎カールのトラバース道を
通って小屋へ行くのでここにザックをデポして下さい」と指示が出る。私はカメラやGPSをザックから外すのが面倒なのでそ
のままザックを背負い山頂へ進む。


左手に黒部五郎カールが見える筈だがガスでなんにも見えない。低いハイマツの間に続く登山道を上がると13時45分岩だら
けの「黒部五郎岳」の山頂へ着いた。山名の黒部は黒部村から、五郎は岩ゴーロの当て字らしい。一方岐阜県側からは古来「中
ノ俣岳」と呼ばれている。折立近くに泊まった国民宿舎の部屋名がこの「中ノ俣岳」となっていたので一体どこの山だろうと思っ
ていた。 さらに「鍋岳」という呼び名もあるらしく、これは恐らく巨大なカールを鍋に見立てたのだろう。

展望が無いのが残念ではあるがこの黒部源流の山へ立った喜びは大きく、石丸ガイドと一緒に記念写真を撮って先程の分岐へと
引き返す。

給水袋の吸い口騒動
抜群のガイド能力を持つ石丸隆一ガイドだがキメ細かい配慮や説明にやや難あり。そこを気配りと朗らかさでカバーするのが町子
サブガイドだ。この天然ガイドの異名を持つ町子さん、カール分岐に帰ってそこに落ちていた給水口を手に「誰か〜 落した人は
おりませんか〜?」「それ 町子のと違うんか?」「私のはちゃんと有るよ 誰か〜落した人いませんか〜」「無いぞ やっぱり
それ町子のやんか」こんな二人のやり取りもこのツアーの楽しみでもある。


  
  カール分岐から空身で黒部五郎岳の山頂へ向かう         日本百名山「黒部五郎岳」ゲット〜


               隆ちゃん あんたが大将!  (アルトラのトレランシューズで北アルプスをガイド)

  
  岩礫の中に三角点の石柱が立っている               「誰か〜 給水口落した人〜」 「町子 それ自分のやで」


14時03分分岐に帰り少し北東部への支尾根へ進んだ後に黒部五郎カールへと下って行く。15分程急なガレ場を下ると主尾
根と支尾根に囲まれたカールの底部に下りる。振り返るとガスで全容はわからないけれど残雪を抱いた黒部五郎カールの迫力は
十分に伝わってくる。


14時30分圏谷の底部にある大きな岩に「小舎マデ二時間」とペンキで書かれている。え? そんなにかかるんかな?カール
トラバース道は右手に続く主尾根の下側をほぼ並行に東へ伸びて行き、要所にペンキで矢印や○マークが付けられているので天
気が悪くてもルートは意外とはっきりしている。
ただ、大雨の為登山道はもう全て黒部川の支流・五郎沢右俣へ向かって流れる
雨水で覆われて沢状態になっている。


  
  稜線分岐から支尾根を伝って黒部五郎カールへと進む       支尾根からカールへと下る              

 
  黒部五郎カールは霧に霞んでいた                   草地の間をジグザグに下っていく


                   黒部五郎カール底部に散らばる羊群岩


      霧に隠れても尚迫力満点の黒部五郎カール

  
    カールのジグザグ道                            カール底部に下りる

  
   ヨツバシオガマ、ハクサンイチゲなどのお花畑となっている     岩にペンキで木屋まで2時間とある


  
          右手に主稜線が続く                      左手の支尾根はカールの端で黒部川へ落ちる


15時00分登山道は草地の岩場からダケカンバが茂る樹林帯に変わり、主稜線に付随する山襞を数回越えてコル部に立つ黒部
五郎小舎まで小沢を渡渉しながら続いて行く。
最後は笹原になり15時45分霧に霞む小屋が見えてホッとする。

  
    もう登山道は川となっている                     モンベルの傘を差して歩く

  
   沢か登山道か定かでない                         渡渉地点にはマークがある

  
      ダケカンバの中に続く岩クレ道                  15時45分 やっと黒部五郎小屋に到着〜〜

しかし、ここも又登山者で大変混み合っておりザックの置き場に苦労する。北アルプスの山小屋には乾燥室があるので濡れた雨
具や衣類を干す場所を探して吊るす。
やはりこの小屋も部屋は布団でぎっしり埋まり出入りするのにとても気を使う事には変わ
りなかった。ストレス一杯の山小屋2日目を過ごす。


  


第1日目 折立〜太郎平小屋〜薬師岳山荘〜薬師岳〜薬師岳山荘                 は   ここ

第3日目 黒部五郎小屋〜三俣蓮華岳〜双六岳〜双六小屋〜秩父平〜抜戸岩〜笠ヶ岳山荘 は   ここ

第4日目 笠ヶ岳山荘〜笠ヶ岳〜山荘〜抜戸岳分岐〜笠新道〜新穂高温泉            は   ここ




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