コロナ禍での人流を避ける遠征登山 2021年
1座目 八ヶ岳(阿弥陀岳、赤岳) 8月24日〜25日 の記録は ここ
2座目 蓼科山 (たてしなやま) 8月26日 の記録は ここ
3座目 恵那山(えなさん) 8月27日
日本百名山の恵那山ではあるが、今まで日本アルプスなどの遠征時ついでに寄ろうと考えていたのだが、遠征の疲れなどで行く
気になれなかった。それほど魅力的な山とは思えなかったのである。今回は絶対に帰りに寄ろうと決心して遠征三座目に計画す
る。
恵那山の語源は胞衣(えな)=胎盤の事でイザナギとイザナミが天照大神を産んだときにその胞衣(えな)を納めたという伝
説から来ているらしい。位置的には木曽駒ヶ岳、空木岳などがある木曽山脈の南端なのだが中央アルプスには含まれていない。
8月26日遠征2座目の蓼科(たてしな)山から下山して中央自動車道に入り3座目の恵那山に向かう。恵那山の登山口へは地
図を検討してもややこしく下道を夜遅くに走りたくなかった。
恵那山に一番近い園原ICは関東方面からの出口は無く、恵那山トンネルを越した「中津川IC」で下りなければならない。そ
こから恵那山トンネルの北側から更に南側を走って林道「大谷霧ヶ原線」に入るまでも遠い。
E2号の提案で阿智PAにて空き地にテントを張る事にした。ところが駐車スペースは普通車Pも大型トラックで占められて難
儀する。どうもここはトラックの専用仮眠所的な場所になっている様だ。何とか端っこに留めて裏側の草地にテントを張る。
トラックのエンジン音や草地の虫の音がうるさくて良く寝られなかった。
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諏訪湖SAで諏訪湖を眺めながら休憩する 阿智(あち)PAはトラックで一杯だった
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何とか隅っこに駐車スペースを見つけて裏手の草地にテントを夜遅くこっそり張る
8月27日
神坂峠〜千両山〜鳥越峠〜大判山〜天狗ナギ〜上川道合流点(一ノ宮)〜恵那山 (ピストン)
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カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 神坂峠〜恵那山 ピストン ログ図
8月27日未明に阿智PAを出発し恵那山トンネルを抜け中津川ICで下りる。高速道路・中央道を挟んで恵那山は南側にあり
、有名な中山道・馬篭(まごめ)宿は北側にある。取り敢えず「クアリゾート湯船沢」にカーナビをセットして、そこから何と
かジオグラフィカ地図を見ながら林道「大谷霧ヶ原線」へ向かう。
林道に入ったのでホッとして進んでいると07時15分いきなり「通行止め」になっているではないか! この山は南側の登山
口が林道崩壊で通行止めになっている情報はネットで調べていた。まさかこちらもダメ? 厄介な日本百名山を深田さん達も選
んでくれたものだ。E2号はこの時点で林道歩きなど全くする気が無い。そこを何とか説得して「1時間だけ林道を歩いて見て、
その時点で決めよう」と林道を歩きだす。(内心 林道を1時間歩いても神坂峠には着けないだろうとは思っていた)
工事車両の傍を抜けて07時40分道路分岐に着く。左手が工事中の林道で日ヶ久保方面、右手が富士見台となっている。地図
を見ても日ヶ久保って地名が載っていないが、真っ直ぐその林道を進むが酷い土砂崩れになっていた。分岐まで帰って右手の道
路は通行出来る状態だ。ここはダメ元で車まで帰り通行止めを突破して右手の富士見台方面へ向かう事にした。
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07時15分 なぬ? 通行止めになってるじゃん ここで車が2台諦めて引き返していった 私は諦めない!
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取り敢えず林道を歩いてみよう どうも分岐の左手にある林道が工事中の様だ
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どうも道が違うようなので一旦車を取りに引き返す 車で富士見台方面へ進むと 08時05分 「強清水」に着いた
疑心暗鬼で林道を進んでいると08時05分「強清水」と言う看板があり、そこに「登山口」標識が立ち入山届のポストも立っ
ている。ひょっとするとここが鳥越峠への近道登山口かも知れないと考え車を留めて登山口に入る。
所がこの登山道は上で林道と数回交差するではないか! E−2号を待たせて小走りで車まで引き返し林道を走ってE−2号と
合流する。
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08時03分 「強清水」に着くとそこに登山口があったので車を停めて登山道へ入る
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少し左上側に風穴があった 08時10分 登山道へ入る
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植林帯の中を登山道が続く しかし2度程 すぐ上側で車道に合流するので又車を取りに引き返す
神坂t峠(みさかとうげ) 標高1,569m 律令時代、「東山道」の難所だった
結局09時05分何の問題もなく林道を走って「神坂峠」に到着した。一体あの通行止めは何だったのだ! 本当に人騒がせで
相性の悪い日本百名山だ事!
ここを避けるルートに変更されてからは人の往来が減ったと言われている。
神坂峠から恵那山の高低差は620m程で楽勝の尾根歩きと思っていたのだが、この木曽川と天竜川の単調な分水嶺は幾ら歩い
ても恵那山が近づかない忍の歩きを強いられた。
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結局 林道「大谷霧ヶ原線」は車で問題無く神坂峠まで来ることが出来た(09時05分) 全く人騒がせな「通行止め」だった
千両山
車を峠の下にあった駐車場に留める。当然通行止めを突破して来る登山者は他に一人も居ない。09時15分神坂(みさか)峠
登山口を2時間遅れで出発する。笹と低木帯の尾根筋は明瞭な登山道が延びている。途中で枯れ木に「恵那山〜富士見台縦走路」
と標識が掛けられている。富士見台とは団地の名では無くて山の名前だった事が分かった。
09時45分最初のピーク「千両山」に着く。境界標石の奥にクジラの背中みたいに長く寝そべった恵那山が横たわっている。
「結構遠いなあ」と言いながら先へ向かって一旦下る。
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09時15分 無駄が多かったが登山を開始する 最初のピークへ向かって上る
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千両山は二つ目のピークだ 変な色のアサマリンドウ(?)
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白骨樹に「恵那山〜富士見台縦走路」と標識が掛けられている 09時45分 千両山に着く バックにデカい恵那山が控える
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恵那山の図体はデカい 縦走尾根の北西側からガスが立ち上がり歩く尾根筋のヒントとなる 左上の雲辺りが山頂か
鳥越峠分岐
前方の尾根筋には北側から霧が湧いて進むルートが分かる。樹林帯をドンドン歩くと10時18分薄暗い「鳥越峠」に着いた。
ここに立つ標識には「恵那山3時間」と右手に「強清水」への指標がある。と言う事は先般引き返した強清水からの登山道は林道
「大谷霧ヶ原線」沿いに続いた後、どこかでこの鳥越峠へ分岐するのだった。
この峠から登山道はしばらく尾根の南側をトラバースして進む。30分ほどトラバース道を進むと尾根に復帰してここにも「恵
那山〜富士見台縦走路」の標識が立っていた。
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笹と樹木に覆われた尾根を進む 10時18分 鳥越峠に到着する ここから左へトラバース道となる
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トラバース路が30分程続く 尾根に復帰する辺りに「恵那山・富士見台縦走路」の標識が立つ
大判山 三等三角点「本谷」 1,696.34m
景色の変り映えのしない稜線の登山道を黙々と歩き11時20分三角点のある「大判山」に着いた。眼前に構える恵那山は長い
稜線としか見えず面白みに欠ける形をしている。やはり日本百名山ともなるとメリハリが効いた形を期待してしまう。ベンチも
置かれたこの山頂で5分程休憩し先へと一旦下る。前方に見える尾根ピークを目指して笹に囲まれた登山道を歩くとシラタマノ
キやツルリンドウがあり退屈な歩きが癒される。
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快適だが単調な尾根道が続く 前方に大判山のピークが現れる
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11時20分 大判山 (三等三角点「本谷」)に到着する
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中間部休憩所だけに金属製の標識やベンチがある 三角点横で記念撮影
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大判山から下りになると前方に大きなピーク(天狗ノ頭)があるのが分かる
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大判山から下ると天狗ノ頭のピークが高く見える おっ シラタマノキや
尾根を上り下りしていると12時40分先程歩いたと思われるピークの北側がパックリと切れ落ちている。すると今歩いている
右手もスッパリと切れ落ちている。桧の大木に「テングの頭」標識が掛けられているのでここは「天狗ナギ」と呼ばれる所だろ
う。ナギとは薙(なぎ)と書き山の一部が崩れて横に切り払われている様になっている事で薙刀(なぎなた)は切り払う刀って
事だろう。
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縦走路を振り返る 一番右が神坂山(みさかやま)か? 11時50分 初めてアルミ梯子が出て来た
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立ち木の形も変化が出て来る 中津川付近だろうか 見通しが良ければ御嶽山や中央アルプスが近い
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お〜〜 尾根の西側がスッパリ切れ落ちているわ〜 ̄
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この辺りは尾根筋からナギが見える 天狗ナギ」と言われる場所だ
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イワカガミの葉が沢山ある 12時58分「テングの頭」に到着
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やっぱり山はこう言う風景でなくっちゃね
主尾根分岐(川上道合流点)
モミらしき針葉樹林帯を進むと次第に傾斜が急になり登山道には岩が増えてくる。暗い林床にエゾシオガマっぽい花が見える。
この時期花が少ないので刺激になる。その内大きな岩がゴロゴロする急斜面になりそれを喘ぐと14時10分主尾根に合流し、
そこに「分岐」標識が立っている。西南側からの「川上道」との合流点になっている場所だ。標識には「前宮ルート」とされて
いるのが川上道の事だろう。
やはりこの場所から神坂峠へ下る尾根筋がはっきりしていないので「神坂峠」へ指標されている。ここから山頂まで平坦な尾根
を「40分」との標識に記されていたので未だ結構な距離がある。
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13時40分近くから急登となる エゾシオガマだろうね
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岩っぽい急傾斜が続く 前方が開けてやっと主尾根筋に着いた様だ
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14時12分 主尾根にある川上道分岐に到着 ここから左へ進むと山頂だ
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西に下る方向には「前宮登山道」の標識がある 尾根を左に「山小屋を経て山頂へ 40分」とある
尾根を山頂へと進む
笹と針葉樹に覆われた尾根道を南東へ向かって進むと前方に少し高みが見える。5分程進むと「二乃宮社」祠があった。一乃宮
社は先程の分岐から少し前宮ルートに下がった場所にあるらしい。立ち枯れの針葉樹へ向かって少し登って行くと又三乃宮社を
通過する。
14時33分後から来るE2号が登山道を少し左手に外れた場所に「恵那山最高点 2,191m」の標識を見つけ、記念写真
を撮る。
トイレ広場に着いた。
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主尾根を南東方向に進む 細い針葉樹が立つ稜線を進む
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開けた奥に少し高い山頂部が見える 二乃宮社
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恵那山にも縞枯れ現象がある
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三乃宮社 E-2号が恵那山最高点標識を見つけ記念写真
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14時33分 恵那山最高点 2,191m に到着する
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四乃宮社 コル手前から三角点峰の高みが見える
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恵那山避難小屋と思って写真を撮ったらトイレだった
三角点山頂はまだ先なのだが、E2号は三角点には興味が無いからここで待つと言う。そこからは単独で先の高みへ進んで行く。
すると登山道を左に外れた場所に五乃宮社があった。更に右手に六乃宮社・・・
15時50分平らな山頂広場横にやっと「恵那神社・本社」の祠があり、イザナギ大神とイザナミ大神が主祭神として祀られて
いる。でも他の祠と比べて若干大きいかなと思う位の祠で意外とシンプルだった。
展望台があったので上ってみるが周りの木々が高いので展望は無い。三角点と山頂標識をカメラに収めて急いでE2号が待つ避
難小屋へ引き返す。
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五乃宮社 登山道の左外れにあるので帰りに寄った 六乃宮社
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山頂手前に有る「恵那神社 本社」 イザナギ大神とイザナミ大神を祀っている ちょっと質素な社だ
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14時50分恵那山に着く 山頂には展望台、山頂標識、一等三角点がある
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恵那山の下に胞(えな)山とも記されている 一等三角点「恵那山」
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もう一つの山頂標識 阿智7サミッツの一つらしい 展望台の上から山頂標識を眺める
恵那山から同じ道を急いで引き返す
神坂峠登山口から恵那山まで約5時間半かかってしまった。コースタイムより1時間余り遅いと言う事になる。まあ71歳コン
ビだからこんなもんか・・・
最初の躓(つまづき)で時間が迫った為安全策を取ってピストンする事にした。
恵那山避難小屋から前宮道分岐を経由して大判山へ (約2時間)
いので自然と早足になる。
15時22分稜線分岐(前宮道分岐)を右手に折れて急傾斜を下る。最初の大きなピーク「テングの頭」を16時20分に通過
すると見覚えのあるナギが前方に見えた。そこから中々大判山が近づかずドンドン歩いて17時00分大判山をやっと通過する。
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15時22分 主尾根分岐から右手の神坂峠へ向かって下る 急な傾斜を下り切って快適な尾根を進む
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「天狗の頭」へ向かって上り返す 天狗の頭付近から見覚えのあるナギが見える
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前方に見える「大判山」を目指す 右奥は登山口の向こう側にある神坂山だろう
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往路では見なかったダイモンジソウがあった なかなか大判山が近づかなかった
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17時00分 大判山手前にあった白骨樹を通過する 空はまだ明るい
大判山〜鳥越峠〜千両山〜神坂峠 (約1時間40分) 日没にギリギリ間に合った
地図に載っていた「ウバナギ崩壊地」は往路では見なかったが、大判山を過ぎて前が開けると天狗ナギで見たような崩壊地が
前方の山肌を削っている。その後登山道が尾根の右手にトラバースして平坦になるので急ぎ足で歩く。
17時45分鳥越峠に着いて給水休憩を少し取る。じっくり標識を見ると「強清水方面」の分岐が書かれている。標識に書かれ
ている情報をゆっくりと見る事も必要だ。
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大判山を越えて下っていると往路では振り返って見なかった「ウバナギ崩壊地」が見える
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ピストンする意義は往路で見なかった風景に出会う事かな トラバース道を早足で駆け抜ける
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17時45分 鳥越峠に着いて給水休憩を少し取る。 強清水方面への分岐になっている様だ。
鳥越峠から今まで北東に延びていた尾根の方角が南へ少しの間変わって急登となる。この傾斜を上がり切れば後は比較的平坦な
登山道が続く。暫く尾根道を早足で歩き18時15分千両山に着く。西日が傾き空を紅く染める。大きな恵那山のシルエットを
眺めながら「もうこの山には来ることは無いだろう」としみじみと思う。
ヘッドランプを出すことも無く18時40分神坂峠に下り着く。3時間40分で日没ギリギリに車に帰った。結局我々の年代で
は相当意識的に急いで歩いてコースタイムぎりぎりって事が現実なのだ。
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鳥越峠を過ぎると少しの間急登となる ダケカンバが目立つ
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太陽がもうすぐ沈んじゃうよ〜 西陽(にしび)が木々を染める
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恵那山よ さらばじゃ
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18時15分 千両山から夕陽と恵那山を眺める
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アサギマダラは見なかったなあ あ〜〜あ 太陽がほぼ沈んじゃったよ
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登山口と思ったらもう一つ小ピークがあった ホツツジも往路では見なかったような・・・
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何とか明るい内に下山できた 神坂峠登山口 18時40分
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ばんざ〜〜い 無事日本百名山3座ゲット〜 シェ〜 無事で下山出来て何よりめでたし
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神坂峠を後にする 19時35分 納得のいかない通行止めのゲートを開けて又閉める
SAにて200円コインシャワー(9分間お湯が出る)で汗を流し2〜3時間程仮眠の後、運転を交代しながら08時頃新居浜
に帰り着く。
第1座目の八ヶ岳では悪天候でルート短縮となってしまったが、日本百名山3座を巡る旅は人との接触を極端に回避し、費用も
節約出来てまずまず満足の遠征となった
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