鈴鹿山脈遠征 令和1年5月22日(水)〜5月24日(金)
1日目「藤原岳」、2日目「竜ヶ岳」、3日目「五在所岳 & 鎌ヶ岳
プロローグ
鈴鹿山脈ってどの辺り?
鈴鹿山脈の位置図
鈴鹿山脈 アクセス図 名神八日市IC〜国道421号線〜石榑トンネル〜宇賀・石槫〜西藤原
鈴鹿山脈は琵琶湖と伊勢湾の間を南北に続く山脈で標高は御池岳が1,247m、御在所岳が1,212mでその他の山も千メートル
そこそこであるが、北側から続く御池岳、藤原岳などの石灰岩質の中に、中央部の竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、御在所岳、鎌ヶ岳辺りに鈴鹿
花崗岩が現われており変化のある山々が連なる。
岐阜県、三重県、滋賀県との県境沿いに位置する山脈の為京阪神や名古屋に近い事もあり、関西では馴染みの深い山で整備も良く行わ
れている。四国から見ると、日本百名山も無いし標高もそんなに高く無いのであまり馴染みが薄い感がある。
そんな鈴鹿山脈なのだが、近年当掲示板で竜ヶ岳のヒツジの様なシロヤシオがオカシンさんやストーンリバーさんから紹介されて気に
なっていた。伊予の鈍亀さんに話すと「いいね」と言う返事で5月後半に行く事になった。
鈴鹿山脈 4山へのアプローチルート: 名神高速道路・八日市ICより国道421号線(八風街道)を鈴鹿山脈の東に抜ける
亀吉さんのチェックで朝新居浜を04時に出発し、徳島道〜淡路島経由で09時頃にはどこかの登山口に着けると言う事で、5月
22日04時15分川之江IC近くのイオン駐車場で合流する。当初は登山時間が短い入道ヶ岳にしていたが、まあどこの山もそ
んなに時間はかからない様なので北から藤原岳→竜ヶ岳→御在所岳へ行く事にした。
高松道で我が家の近くを素通りして鳴門経由、淡路島へ向かった。
今、京阪神地区に新しい道路が出来て古いカーナビでは対応が難しい程だ。運転を任せた亀吉さんは名神高速・八日市ICで下り、
国道421号線で石榑(いしくれ)トンネルで鈴鹿山脈の東側に出て藤原岳の登山口へと向かった。高速の出口で大渋滞していた
が421号線に出るとスムーズに走る。この道は別名、八風(はっぷう)街道と呼ばれて、近江の八日市と伊勢の桑名を結ぶ重要
な交易路だったらしい。
八風という名は昔々、神武天皇が日向から東へ国を治めに来た際、天日別命(あまのひわけのみこと)に伊勢地方への進攻を命じる。
地元の神様、伊勢津彦が降参し八風を吹かせて波乗りサーフィンで東国に下ったという逸話(伊勢国風土記)から来ているらしい。
亀吉さんがこの歴史的な由緒のある街道を知っていたかは怪しいが、山道を分け入り今から登る鈴鹿山脈のどてっぱらを突き抜け
て遠征に来たルートとしては中々の選択であった。
第1日目(2019年 令和1年5月22日)
「藤原岳」 1,144m (三角点 無し) (三重県・滋賀県境)
鳴谷神社〜聖宝寺(しょうぼうじ)登山口〜8合目分岐〜避難小屋(藤原小屋)〜藤原岳〜避難小屋〜8合目分岐〜
大貝戸(おおがいと)登山道〜大貝戸登山口〜坂本自然学習歩道〜鳴谷神社
藤原岳・ルート図
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図
石榑トンネルを出て員弁(いなべ)川を一旦渡り、川に沿う道路を北に進む。この辺りは「いなべ市」と言う場所だが漢字で書くと
「員弁市」となりとても読み辛いので仮名で「いなべ市」としている様だ。選挙の時にややこしい苗字の政治家が良く使う手法だ。
左手に藤原岳の東面を抉った太平洋セメントの大規模な採掘場が見えるのでそこを目印に右手から回り込んで行く。亀吉さんはカー
ナビで聖宝寺付近をセットしているらしく藤原岳登山口・私設の駐車場に到着した。すぐにおじさんが駐車料金の徴収に来て花の時
期には忙しかったと話す。確かに駐車場には我々の車しか居なかったのでおじさんは暇らしく話好きで色んな話をしてくれるのだが
肝心の登山口については説明不足でその為に最初からハプニングになった。
藤原岳の目印 太平洋セメントの砕石場へ向かう 藤原岳の登山口は砕石場の右側へ回り込む
藤原岳の目印は南斜面のセメント砕石場だ 香川の雨霧山のスケールを大きくした様な採掘だ
駐車場から藤原岳を望む 駐車場のおじさんに教えて貰った鳴谷神社へ向かう
しっちゃかめっちゃかの聖宝寺登山口探し
「むこうの鳴谷神社には珍しい猿の狛犬(狛猿?)がおるので見らたらいい、登山口はそこにありますで」ってな事で09時30分
先ず「鳴谷神社」に向かう。
れていた。(ここは日光か!)
調べてみるとこの辺りには猿の言い伝えがあった。その昔この辺りでお坊さんが歩いていると猿が罠にかかって苦しんでいたので助
けてやった。そして次にこの辺りの村に病が流行っていたのを聞き、それを助ける為に祈っていると観音様が現われて山の麓に滝が
ある。その近くに観音像を祀ったお寺を立てなさいと告げた。言われる通り滝の近くにお寺を立てていると助けた猿が仲間を連れて
やって来て手伝った。それを見た村の若者達もやってきて手伝い、完成しここで祈祷をして村の厄病を退散させたと言う。このお寺
が聖宝寺でそのお坊さんが天台宗の祖、最澄だったという話だ。
な。
珍しい猿の狛犬(狛猿)に気を取られて、そこのバリケードの中に登山道がある事を見逃した。(ちょっと見、外からは見えない)
左手に谷へ向かう道があったのでそれを進む。途中で対岸に渡り踏み跡が谷へ消えたので右手の斜面を這い上がる。するとそこに何
と釣堀りがあって多くの釣り人にじろじろと見られた。鱒(ます)の養殖場で釣ったその場で料理をしてくれるらしいが、お寺の横
が殺生をする場所ってのもなあ・・・
釣堀に沿った道を進むと聖宝寺の駐車場に着いて、何とそこに登山口があった。鳴谷山・聖宝寺(めいこくさん・しょうぼうじ)
は平安時代、天台宗の祖、最澄によって開かれた古刹だが、現在では宗派的には臨済宗妙心寺派に属しているらしい。
まず 鳴谷神社にお参りする事に これが猿の像か 見ル猿・聞かザル・言わザルも居る
片一方のサルは子供を抱えていないからオスかな? ご神木も立派なものだ
奥には狛犬ならぬ狛猿が居るが少々威厳に欠ける
林道を歩くが怪しいので川を対岸に渡る それでも怪しいので斜面を尾根部に這い上がる
すると釣堀があり平日なのに大勢の釣り客がこっちを向いている 逃げるように道を進むと聖宝寺の駐車場と登山口があった
09時55分気を取り直して藤原岳・聖宝寺登山口に入る。この登山道は「裏道」と呼ばれており谷筋のマイナーな道らしい。5分
程進むと、先ほど途中で這い上がった沢筋に着き大きな砂防ダムが現れた。これを這い上がって、又谷へ下がり、そこから又谷へ向
かって急な階段道が続く。
10時05分幾筋もの美しい滝が落ちている。う〜〜ん 地図を見ると「鳴谷滝」とは違う様だ。
10時15分2合目の標識を過ぎた頃にいつも元気者の亀美さんが貧血症状で休憩する。早朝四国を出発して寝不足の上に座り慣れ
ない後部座席で車酔いと、いきなりの急登が重なったのが原因と思われる。少し休憩をすると復活して又元気に歩き始める。やはり
年齢を重ねての遠征は無理をせず前日に出発して前泊するのが良いという反省点だった。
少しペースを落として歩き、10時57分三合目を通過すると次の四合目付近から植林地帯となる。この辺りの植林は枝打ちが行き
届き明るくて美しさを感じさせる。
11時35分六合目付近はなだらかな地形で石灰岩質の岩がゴロゴロ出てくる。
いなべ市の景色が見える。林床には斑入りの葉をしたクロフネサイシン(?)が多く見られた。
09時55分 やっと登山口に着く クマに注意しながら山道に入る
砂防ダムの階段を上がって、また川筋へ下る そこから階段上の山道へと入って行く
幾つもの滝が並ぶ涼しげな風景 この沢に沿って登山道が続く
10時15分2合目標識を過ぎる 谷側には手すりが置かれて整備されている
こんな谷沿いを上がっていく 10時57分 三合目付近から急な植林道となる
四合目付近は枝打ちされた植林が立つ 11時11分 五合目標識を通過
六合目(11時35分)手前からなだらなか自然林が続く 石灰岩が山肌に出てくる
七合目コル部に着くと いなべ市が見える クロフネサイシンかな
11時51分 七合目を通過 藤原岳手前のピークが見える 天気が良さそうだ
八合目分岐(裏登山道(=聖宝寺登山道)と表登山道(=大貝戸登山道)の分岐点
なだらかな樹林帯を進むと12時05分八合目分岐に着く。八合目の標識の横に雪崩に関する注意喚起と登山道の大きい看板が立っ
ているので表登山道との合流部の目印になる。
ここからは良く整備された最後の登山道が尾根を左に巻いて延びていく。すぐに草地に出てザレ場が2つ現れるが木橋が渡されてい
るので問題は無い。
の岩が足元を覆うので躓かない様に注意しながら歩くとイチリンソウらしき白い花が見える。前方が開けて琵琶湖かと思っていたら
逆の伊勢湾だった事を山頂で地元登山者に教えて貰う。
自然林と植林が混在するなだらかな斜面を進む 12時05分 8合目分岐広場に到着
表登山道と裏登山道の合流点は八合目だ バイケイソウの生えた登山道を山頂へと向かう
崩壊地には木橋が架けられている 自然林の緑が太陽を浴びる
琵琶湖かと思ったら四日市の伊勢湾だった 12時26分 9合目を通過 石灰岩の石屑だらけ路が始まる
イチリンソウとニリンソウ? ミヤマハコベ
岩がゴツゴツした登山道 琵琶湖じゃなくて伊勢湾だらか
藤原山荘=無人避難小屋から藤原岳へ
12時56分藤原山荘と呼ばれる避難小屋に到着するが、テラスで登山者が休んでいるので先に隣のピークである藤原岳・本峰へと
コルを下りて県境縦走登山道を進む。昔はここにスキー場があり避難小屋が山小屋になっていたのだろう。付近の稜線もなだらかで
初心者のスキーには最適な地形だ。
辺りの山肌はカルスト地形特有の白い岩が点在する丘でのどかな風景で、ミツバツツジの鮮やかなオレンジの向こうに平たい藤原岳
が見える。新芽で茶色に染まった馬酔木の群落を抜けてなだらかな丘へと向かう。
13時15分石灰岩が点在する藤原岳に到着すると数組の登山者が休憩していた。心配した亀美さんの体調も回復した様で目的の藤
原岳に来れて良かった。山頂標識の前に三角点の様な石標がコンクリートに埋められているが、ここは国土地理院の三角点は無い様
だ。南側には竜ヶ岳、釈迦ヶ岳、五在所岳が見えているのだが、不慣れな山域なのでどれがどれやら分からない。
奥に藤原岳が見えて来た 12時56分 藤原山荘=避難小屋に到着
鈴鹿山脈縦走路を藤原岳へ進む ミツバツツジの向こうに藤原岳が見える
ここは県境縦走路になる アセビも多い
13時15分 藤原岳の山頂に着く 花の百名山「藤原岳」
三角点もどきは有るが国土地理院の三角点は無い 日本三百名山
藤原岳山頂部は石灰岩が乱立している 南側の御在所岳方面 どの山が何やらサッパリわからん
藤原岳の東側台地もカルスト地形 その向こう側斜面が太平洋セメントの採石場になっている
南側の避難小屋がある台地もカルスト地形で、岩屑の斜面も見える
13時45分避難小屋に帰って昼食にする。亀吉さんがお湯を沸かした山専ボトルを持って来てくれたのでドリップコーヒーを頂く。
コーヒーは利尿作用が強いので水分補給にならないと言うが、食後のコーヒーは最高の飲み物だ。食後の運動に避難小屋の裏側がカ
ルスト地形で美しいので散歩する。藤原岳を望むガレ石斜面に向かっていると沢山のシカが群れて逃げて行った。この辺りもバイケ
イソウが多く、鹿が沢山生息している様だ。
13時40分 避難小屋で昼食にする 避難小屋の裏山には基準点があった
県境縦走路から見るカルスト台地
こんな風景が最高やね
県境縦走路から南を眺める これはニリンソウかな
藤原岳を望む斜面に向かう 岩屑斜面まで出た
藤原岳をバックに岩屑の上でシェー 荷物を置いた避難小屋に帰る
大貝戸登山道
15時08分、八合目分岐に戻って今度は大貝戸(おおがいと)・表登山道を下りる。こちらの登山道は変化に乏しく退屈する。特
に15時43分、四合目を過ぎると植林帯となり尚更黙々と歩く。
16時00分通過の二合目付近に石灰岩の岩場が現われ、ここにお地蔵さんが祀られていた。良く整備された道を下ると16時15
分「神武神社」に着き、ここに立派な「藤原岳登山口休憩所」と駐車場があった。
14時57分 9合目まで下りる 15時08分 8合目分岐に着く ここから表登山道へ
大貝戸登山道を下る 植林地帯がメインだ 15時20分 7合目を通過
途中で自然林帯に入る 15時36分 5合目を通過
15時43分 4合目通過 その後、植林帯となる ここも綺麗に枝打ちされていた
15時51分 3合目通過 あれ? 斜面には鉄製の手すりもある
16時00分 2合目まで下りる そこに石灰岩が露出しておりお地蔵さんが祀られている
二合目には石灰岩が露出していた
神武神社が大貝戸登山口になる 16時15分 立派な藤原岳登山口休憩所がある
坂本自然学習歩道
さてここから車を置いた鳴谷神社へと帰らなければならない。標識を見ると聖宝寺方面へ「坂本自然学習歩道」という道があり、こ
れを利用する。標識やテープなどがあって問題なく鳴谷神社に着いて、今朝間違った聖宝寺登山口を確認する。すると神社境内の右
手に鉄格子があり、その向こう側に登山口を示す標識が立っていた。鉄格子ゲートの手前に標識があればと思う。
何がともあれ16時55分無事駐車場へ帰り着いた。
坂本自然学習歩道 出発点 16時24分 鳴谷神社に向かう
植林帯のなかで橋やテープがなければややこしい ここは一応「登山道」となっている
公園の様な砂防ダムを渡る クリークに沿って進む
尚もクリークに沿って進む 16時43分 見覚えのある東屋に着く
最後は鹿防護柵を出る 16時50分 出発点の鳴谷神社に帰り着く
あれ? 神社の右手にある柵の中に道があるぞ あちゃ〜〜 この柵を越えたら聖宝寺登山口へと続くのだった
藤原岳駐車場に帰ると料金を徴収したおじさんはもう出て来ず次の竜ヶ岳登山口となる宇賀渓へ向かう。ちょっとしたカーナビ入力
ミスで多少のロスを出しながらコンビニに寄り食料を調達。竜ヶ岳登山口の宇賀渓キャンプ場へ着くともう宇賀渓キャンプ場の管理
人さんは帰った後だった。
今度は近所の世話好きおばちゃんが出てきてああせい、こうせいとテントの張る場所まで勧めてくれるが結構うるさい。結局管理事
務所横の駐車場に車を停めてテントを張る。涼しい風が谷間に吹いて虫も居ないのでゆっくりと質素な夕食を楽しむ。
2日目 竜ヶ岳 (宇賀渓〜遠足尾根〜竜ヶ岳〜石榑峠〜砂山〜宇賀渓 ) は ここ
3日目 御在所岳と鎌ヶ岳 (武平峠〜御在所岳〜武平峠〜鎌ヶ岳〜武平峠) は ここ