高縄山系縦走 2泊3日 (反時計回り)

福見山〜明神ヶ森〜白潰〜東三方ヶ森〜五葉ヶ森〜楢原山〜伊之子山〜北三方ヶ森〜高縄山〜大月山

高縄山系縦走ルート図

カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  高縄山系周回


第2日目 平成31年4月7日(日)

東三方ヶ森北ビバーク地〜五葉ヶ森〜沢道(道無し)〜林道・コタマゴ線(崩壊有り)〜上木地〜
楢原山〜
水ヶ峠・登山口ビバーク


沿面距離: 19.87km
行動時間:06時05分〜17時55分 ( 11時間50分)

高縄山系縦走2日目ルート図  楢原山へのルートに難あり


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図

山に泊まる縦走は何が良いかと言えば、登山口に行くロス時間が存在しないって事だ。朝起きたらそこが登山口なのだ。もし3日の
行程を日帰りで行こうとすると自宅から登山口、下山口までの行き帰りを3度もしなくちゃならないし、縦走尾根まで上がる時間も
余分にかかる。つまりお泊り縦走は究極の省エネ歩きって事になる。

まあ、それにはビバーク経験と水の確保など多少の条件が必要だが、これをクリアする事によって日帰り登山とは又別の山歩きを体
験出来る。


05時に目を覚ましていつもの様にボ〜っとした頭でダラダラと片付けにかかる。まあ確かに効率は悪いがこれ位は許されるだろう。
日の出と共に出発するつもりだが、今回も既に日が昇ってしまった。高縄山系を縦に結ぶ東三方ヶ森と五葉ヶ森の間は地味に長い距
離がある。


行程1)ビバーク地〜五葉が森分岐コル  約 4時間30分

高縄山系を縦に結ぶ東三方ヶ森と五葉ヶ森の間は結構長い距離がある。名のある山も無いし地味で忍耐が要る行程だ。06時05分
忘れ物、落し物が無いか確認の後、お世話になったビバーク地を最初は北に向けて出発する。直ぐに細尾根になって高知営林局の
「境界見出標」が枝に掛かっている。ん? 高知営林局? ここは完全に愛媛県内だし、平成11年に営林局は森林管理局に改組さ
れ、元締めは高知森林局になっている筈なのでそれ以前の札と思われる。


06時18分 微妙な尾根分岐に差し掛かる。踏み跡は真っ直ぐに進んでいるが、この辺りから縦走尾根は東にターンするので怪し
い。スズタケの中に獣道の様な踏み跡を発見してここを右手に進む。先の尾根筋に出ると境界石があり安心する。どうも先程の道は
北側の林道へ向かう踏み跡だったのだろう。


06時30分今朝歩いて初めてビバーク適地に出合う。昨夕30分ガマンして歩けばここで野営出来たのだが結果論だ。この辺りか
ら植林がチラホラ現れ、尾根が若干広くなる。新種のキノコかと思ったら防寒耳当てを拾った人が木に引っ掻けていた。この辺りを
歩く同志がいるもんだ。



  立つ鳥跡を濁さず  06時05分忘れ物、落し物、ゴミなどを確認して出発する  既に陽は昇っている

  
高知営林局の境界見出標が掛っている               すぐ細尾根になる

  
06時18分北に延びる尾根へ踏み跡がある これはダメ    縦走路は獣道の様なルートをトラバース気味に右手に出る


 東三方ヶ森付近の地形は複雑で縦走ルートで支尾根に踏み込む恐れが多数箇所ある

  
  この辺りの境界標石はコンクリート                06時30分樹林帯に入る

  
  何? 登山者の落し物  耳当てだ                     こちらはキノコ  何せ退屈なもんで・・・


黒滝神社ルート分岐

06時50分ピークに上がると又ブルーシートと鉄製の櫓(やぐら)に出合う。記憶によると最初、黒滝神社から東三方ヶ森へ
来た時に這い上がった尾根の目印にした場所だった。その次マーシーさんと来た時は逆にこのブルーシート付近から右手(東側)
へ下りた1,189mピークだった。当時、この辺りは猛烈な笹薮だったが今はその面影は無い。


  
  やはり崩壊地があり尾根の右手が切れ落ちている       前方の1,189mピークの肩へと上がって行く

  
 ん?  ブルーシートがある                       小さな鉄塔もあるが現役とは思えない


06時50分 西側、黒滝神社からのルート合流点だ  今回で3度目の懐かしい場所だ

懐かしい場所の訳@

   第一回目 黒滝神社〜福見山 縦走ルート図  (白潰で行き詰まりビバークした) 縦走尾根分岐の場所が現在地

懐かしい場所の訳A

  第二回目 マーシーさんと歩いた福見山〜黒滝神社のルート図   (ターニングポイントの場所が現在地)


さて、ここからは初めて歩く尾根と言う事になる。枯れたスズタケの歩き易い道を進むとブナと若い檜が生えた尾根になる。東三方
ヶ森方面を振り返ると林道が走っているのが見えた。
07時15分小木が生えて踏み跡が分かりにくい尾根にさしかかり注意して歩
く。赤いプラスチックの境界杭を確認しながらブナの疎林へと抜ける。この辺りになると枯れたスズタケは無く、細尾根や常緑小木
た茂る植生が続く。


  
北に進むと笹が枯れて来る 前方が1,118.4m三角点ピーク   小木が多くなりブナが見えるとホッとする

  
縦走路を振り返ると稜線近くに林道が見える           常緑広葉樹の小木が多い樹相が続く ブナもある

  
岩尾根になるとシャクナゲが現れる 境界杭は赤いプラスチック  07時25分頃は荒れた小木帯が続く


△点7) 四等三角点「花ヶ成」 1,118.41m

07時30分ブナやリョウブの高木が現れると前方に次の三角点峰が見える。07時40分小木に覆われたヒノキ林の荒れた尾根
を歩き、なだらかなピークへ上がると、そこに三角点」「花ヶ成」という美しい名前の三角点があった。確かに「成」(ナル)は
「平」(なる)と同義語で平らな場所を指す地だ。でも花は咲くような場所では無い。

ここで5分程休憩し朝食の行動食ビスケットを少し食べる。三角点の奥に向かって水平な尾根が続き、尾瀬沿いの小木は切られて
境界割出作業がされている。
休憩の後、惑わずこの割出作業をされた尾根を進む。が・・・何か胸騒ぎがする。そこでコンパスを
出すと縦走尾根の北側を指していない。クワバラクワバラ、直ぐに三角点まで帰って方角をチェック。すると倒木の向こうに隠れ
た北側へ下る杉林の尾根があった。

  
07時30分 ブナやリョウブの気持ちが良い尾根になる  振り返ると東三方ヶ森から「ニブ」川ピークが見える

  
 尾根境界にはコンクリートの角柱もあるし         プラスチックの境界杭もある  三角点は近い


07時40分 1,118.4mピーク 四等三角点「花ヶ成」に着く  ここせ少し朝食休憩を取る

  
 暇なので写真を4枚ほど撮る              漫然と後ろ側の境界割出しの尾根へと進む  

  
 デカい境界標石を見ながら進むが・・・・     何かおかしい ここで地図とコンパスを出す 出発時にそれをやれ〜

  
 三角点い引き返す みるからに縦走尾根っぽいが違う!      倒木の向こうに縦走尾根が隠れていた


08時00分仕切り直しで植林尾根を下る。所々に自然林も残されており大きいブナからパワーを貰いながら歩く。植林地帯が増
えて、片側が自然林だったり両側共植林だったりというパターンが続く。


08時37分「筆界基準点」があり何でもないピークで踏み跡が分からなくなる。筆界基準とは法務局備え付けの地図上の基準点
らしい。地積測量図を作る際に利用されるとの事だが何のこっちゃか分からない。コンパスを出して地図の磁北線を参考に雑木に
覆われた方角に進路を決める。しばらく進むと赤いプラスチックの境界杭が現われて明確な尾根となる。08時45分
荒れた石榑
の尾根となり杉の幼木が目立つ。見通しが良いので前方のピークが見えるので進路が取り易い。


  
 左:植林、 右:自然林のパターン                 尾根が荒れると自然林の細尾根  ブナもある

  
 直ぐに植林が現れる                         細尾根になっても植林が切れない ブナが有るのは嬉しい

  
08時37分根本が露出した境界杭ピークで進行方向が不明になる  コンパスを出して地図通りの北に向かって下る
「筆界基準」と頭に刻印されている

  
 兎に角、北に向かって下ろう                     平らな地形に境界杭が現れて少し安心する

  
 08時43分 景色が変わる  幼木と石榑(いしくれ)の尾根だ   前方のピークが次の三角点峰か


点8)三等三角点「石原谷」 (1,032.46m)

09時02分尾根が東西に伸びた1,018mクランクピークに上がり、右手(東)に曲がる。相変わらず植林地帯だが大ブナが
残されており、幹に手を当ててパワーを貰う。


尾根に大きな岩が転がる植林帯を上り詰めると09時20分 三角点「石原谷」に着いた。地図には石原谷の名は載っていないが、
地形的に考えて西側すぐ直下にある木地川源流辺りの谷名だろう。


さて、ここで又ルートミスをする。境界杭のある広い尾根を10分程下ると、右手に別な尾根が見える。もしやと思いスマホ地図
で現在地を確認すると北西尾根に入っていた。ピークでは少しの角度の違いで別な尾根筋に入ってしまう。息を切らせながら元に
帰り、北へ延びる荒れた尾根に入り直す。やはり出発時点で方角の確認をすべきなのだが又もや立派な尾根に惑わされてしまった。
すると尾根を下った所に又筆界基準点の杭があった。


  
1,018mクランクピークに上がり右手に進路を変える      暫く歩くと前方に次の三角点ピークが見える


         09時05分 大ブナが尾根に残されている  この辺りの森の主か

  
  大ブナよりパワーを頂く                      植林帯だが尾根には岩がゴロゴロしていた

  
 岩が転がる尾根を上がって行く                   三角点ピークは植林の中だ


09時20分 三等三角点「石原谷」に着く  

  
境界杭のある綺麗な植林帯尾根へ下ったがこれが間違いだった  正解は倒木、伐採木で荒れた斜面を下らなければならなかった

  
荒れた斜面を下ると明確な尾根が現れる               ここにも筆界基準の杭があった


夜討ヶ窪分岐

09時45分ワイルドなピークに向かって上ると右手の尾根(東側)に向かって道の様なルートがある。地図で確認すると大明
神川沿いの本谷温泉〜夜討ヶ窪方面から延びる林道から破線ルートが記されていた。ここは真っ直ぐに急な傾斜の尾根を下る。
夜討ヶ窪とは物騒な地名だが、ここにある山樫(アカガシ)大樹の根本にある祠には戦国時代に盗賊を鉄砲で退治した首塚がある
という言い伝えだそうだ。


更に細尾根を進んでいると境界杭が3つ置かれている。こんな場所は分岐になっている場合が多いのだが、ここの地形は一本尾根
だ。一人歩きの時は杭一つにも神経を使う。


10時を過ぎるとブナも現れるが、植林も色んなパターンで現れる。左だけが植林だったり、右が植林帯になったり、右も左も植
林帯だったりと・・・。
10時15分尾根が右手に振ると前方に高いピークが見えるので恐らく五葉ヶ森が近づいたのだろう。
ここで初めて頭が黄色く塗られて中型の境界杭を見る。


  
 09時45分 荒れたピークへと向かう                  コブのある幹は良く目にするがこんなデカいのは初めてだ

  
ピークから尾根筋は夜討ヶ窪へのルートで行っちゃダメ!     正解は急な斜面を真北に下る

  
  八方ブナみたいなブナが立つ                    境界杭が三種類立っている でも分岐では無かった


                植林とブナの風景

  
     植林帯は良く枝打ちがされている             地形によって片側が自然林のケースが多い

  
 五葉ヶ森が前方に見えた                       頭が黄色い境界杭も見られる この違いは何だろうか


上木地分岐コル

この辺りは左手が崖状でザレた所が多いので右手だけが植林帯となっている。10時33分全面植林帯の中に入る。こんな場所は
地形に注意を払わないとルートが分かり辛い。10時40分一段と低くなったコルに着く。地図で確認するとここから左手の沢沿
いに実線と破線の道がある事になっている。このルートは途中から林道になり木地川の合流部で楢原山への四国の道に繋がる。
事前に立てた計画で、先にある五葉ヶ森を訪問してここまで引き返し、沢沿いのルートに入る事にしていた。
  

  
10時20分 左手がザレている やはり風化した花崗岩帯なのだ  10時34分 植林帯を下る

  
  前方にコル部が見える                     10時40分 上木地分岐のコルに着く 花崗岩がザレている


行程2)分岐コル〜△点馬酔木〜五葉が森をピストン   約 2時間

△点9)四等三角点「馬酔木」 (778.58m)

コルにザックをデポしてカメラとGPSをザックから外してショルダーバッグに入れる。GPSの電池を見ると相当減っていたの
で新しい電池と交換する。細尾根を少し上って平らなピークに出ると11時00分 三角点「馬酔木」があった。辺り一面植林の
中だが、点名を付けられた昔は馬酔木に覆われたなだらかなピークだったのだろう。写真を撮って少し右手の尾根に迷い込んだが
すぐに尾根を左に乗り換えて進む。 植林帯のピークはどの尾根も林業作業がされているので迷い易い。


  
ショルダーバッグにカメラとGPSを入れ替えてザックをデポする   三角点「馬酔木」はすぐ上側にある


11時00分 四等三角点「馬酔木」(あせび)  昔はこの辺りは馬酔木が一杯生えてたんだろうなあ



△点10)五葉が森 三等三角点「五葉」 (840.62m)

三角点「馬酔木」を出て10分程北に進むと幅の広い林業用作業道が右手から尾根を横切っている場所に出た。地図には勿論載っ
ていないブルドーザー道だが、右手には朝倉ダムから林道がこの近くまで延びて来ているのでその道と繋がっているのだろう。

この作業道が尾根のすぐ横にも延びているので5分程歩くと終点になり、右手の広い尾根筋に上がって歩く。その先のピークで漫
然と尾根を進んでいると下りになった。あれ? これはおかしいと思い辺りを見回すと右手の高い場所に別の尾根が延びている。
「あ〜 又やっちゃった」と失意に暮れながら間違い尾根を上り返して修正する。植林地帯の尾根分岐は本当に厄介だ。


タムシバの花に何度目かの失敗を慰められながら五葉が森への尾根筋を進むと踏み跡が薄くなり藪っぽい荒れた尾根となる。人が殆ど歩いていない
印象だ。ピークが近いので構わず藪を突っ切って11時50分「五葉が森」に着いた。ザックをデポした分岐から1時間10分も
かかってしまった。確かに尾根筋に松はあったがこれがクロマツかゴヨウマツか良く分からなかった。良い響きを持った山名だが
景色が良い訳でも無く山頂以外は植林で覆われており人気の出ない山だろう。


  
 三角点「馬酔木」のピークを北に下る                11時11分 地図には無い林道が尾根を横切っている

  
  尾根に沿った作業道を歩く                     道が終点になり平らな尾根(781mピーク付近)に上がる

  
五葉ヶ森手前のターニングピークを直進してしまい上り返す   右に曲がった荒れ気味の尾根を進む

  
   タムシバがいつも手の届かない高みに咲いていた      え〜〜  こんなに荒れた登山道?

  
益々 荒れた尾根にある  人気が無い山じゃのうし        山頂手前は藪じゃないかいさ  これが五葉松?


  11時50分  イメージが違った五葉ヶ森 山頂   キリ良く10番目の三等三角点「五葉」

ここまでザックを背負って来て、北側の尾根伝いに林道へ下りて木地川の楢原山登山口まで歩く事も考えたが、まあこの時点では
ピストンで良かったかなと思った。帰りにテープを追うと別な尾根に導くのでやはり藪尾根に乗りかえて細尾根を下り12時40
分ザックをデポした分岐コルに帰りつく。


  
 逆光で意味のない写真かな                     下山の最初はちょっと方角に悩む

  
荒れた尾根を選んで下ると見覚えのある細尾根に出た      12時20分  平らなピークまで帰る

  
 林道を横切り尾根へと下る                     12時35分 三角点「馬酔木」を通過

  
   細尾根を下る                            12時40分 ザックをデポしたコルに帰り着く


行程3)分岐〜沢〜林道コタマゴ線〜楢原山登山口  約1時間15分
何じゃこりゃ! 道の無い沢を下り、崩壊した林道を渡る

高縄山系の縦走を思い立った時に国土地理院の地図を見ながら周回ルートを思案した。縦走ルートから北に外れた五葉が森をスル
ーするか、山頂を踏むとすれば次の楢原山へのコース取りはどうするか・・・。コルから上木地へのルートは地図を見る限り不安
は無かった。
結局、後から後悔しない様に、手前の上木地への分岐コルから五葉が森をピストンする事にしたのだった。

12時45分ザックにカメラとGPSを付け直して木地川の支沢へと下る。しかし、地図に実線で記された道など何処にも見当た
らない。どう言う事? 右手の植林斜面に取りつく踏み跡を辿って下る。5分程で石榑(いしくれ)の転がる沢の源流部に下り着
く。

沢の両サイドは傾斜がきつくて、沢のゴーロを歩く方が楽そうだったので沢を下る。水が出て来たので水分を補給した。縦走登山
計画では水場が重要なルートの決め手となる。沢水で手や顔を洗って気持ち良くなって沢を下る。次第に沢の両岸が切り立って高
度差を一気に埋める滝が現われないかと心配する。案の定13時00分前方がゴルジュの様になっており、沢が本流に落下してい
る。

左岸の傾斜を上り本流への安全な下り口が無いか探るが崖である。ゴルジュ部分を良くみると大きな流木が引っかかって丁度下り
易い手がかり、足がかりとなっている。そこを慎重に下って本流の川床に至る。


  
12時45分 ザックを担いで西側の沢へ向かう           これって道なの? 林業作業道の踏み跡だろう

  
 兎に角、踏み跡らしき場所を辿る                  12時50分 沢の源流部へ下りる

  
 V字形の谷を下る 左右の傾斜は急なので歩けそうに無い   水が出て来たのでペットボトルに補水する

  
 ゴルジュっぽい沢の合流部を避けようと上に出るが崖だった  この流木越しに下る方が安全と判断


 デカい流木に掴まって下側に下りると意外に本流へ安全に下る事が出来た

  
 流木を乗り越えながら本流部へ下る               振り返ったV字部はこんな具合だった 斜面は余計に危ない

  
本流の沢も荒れて左側が崖で下りる事が出来なかった      13時05分 沢の合流部についてホッとする


13時05分広い河原に下り立って更にペットボトルに水を補給する。流木で荒れた河原を進むと砂防堤があり、13時15分左
岸に咲くミツマタの花の向こうが林道の終点部になっていた。ヤッタ〜 これで楽勝や! (とその時は思った・・・)

山際から土砂が崩壊した部分を抜けると林道の木製ポールが立っており、かすかに「林道コタマゴ線」と詠める。これが上木地で
木地川合流部まで続いているのだ。
13時22分鼻歌を歌いながら広い未舗装林道を歩いていると、突然眼前の林道が消えている。
何これ?珍発見〜!何て言ってる場合か! 


大きな沢に架けられた橋が全て落ちているのだった。手前も崖!、向こうも崖! 左手の沢部から渡れないか探るが崖が垂直で降
りられない。う〜〜ん 困った 困った コマドリ姉妹! 何て言ってる場合か!


兎に角下りられそうな場所を探す。すると眼前の崖に生えた木の枝が長くてこれに捕まって途中まで下りて、その辺りに木の根が
数本崖から飛び出して垂れ下がっている。う〜〜ん 2段階で滑り降りるシュミレーションをした後、枝にしがみついてアイデア
通り途中まで滑り下りる。枝がそれ以上伸びない所で今度はシュミレーション通りに崖から飛び出し垂れ下がった数本の根に掴ま
る。

するとその根は枯れておりプッツンと切れた。掴まる根が切れたのは想定外だったが、切れてもずり落ちる場合は覚悟していたの
でザックとお尻で3m程滑り落ちる。
無事川床に下りて崖を見上げる。あちゃ〜 ストックが崖の途中に引っかかっている。あの
場面でストックの事まで構っておられなかった。又崖を恐る恐る這い上がって回収する。


向こう側の斜面は比較的傾斜が見た目より緩くて13時31分対岸の道路に這い上がってホッとする。

林道「コタマゴ線」は途中から舗装道路になり随分下に流れる沢音を聞きながら足早に上木地へと向かう。13時56分木地川に
かかるコタマゴ橋を渡り、県道と合流し桜を見ながら右の下流方面へ歩く。14時00分楢原山(ならばらやま)登山口の大きな
看板に到着する。


  
 植林地帯の沢って流木が半端じゃないわ             13時10分 やっと河原が落ち着くと向こうに堰堤が見える

  
13時15分 林道の終点部に着いた 稜線分岐から30分と意外に早かった  少し山手から土砂が押し出した崩壊部もある

  
13時18分     林道 コタマゴ線と読めた             未舗装だが歩くのには問題ない快適〜〜♪


13時22分 え? ナニコレ珍発〜見!!  道路が無くなっている〜〜  しかも崖が深い〜〜


上に生えている木の枝に掴まって下り、途中で木の根に掴まるが枯れてプッツンし滑り下りた(落ちた?) ストックが残留〜〜

  
要するにコンクリートの橋がごっそり崩落した訳じゃね  13時31分対岸に渡り下った崖を眺める よううやるわ

  
途中から快適な舗装道路になる                   13時57分 林道コタマゴ線の起点「コタマゴ橋」に着く

  
 すぐに県道と合流する                        先程の林道はやはり「コタマゴ線」という名前だ

14時01分 楢原山・上木地登山口に着いた  ここからは安心の「四国のみち」だ〜〜


五葉ヶ森から北尾根を下り、林道ヨコグラ線を繋いで上木地登山口への別ルート検証

後日、五葉ヶ森から北尾根を下りて林道「ヨコグラ線」を利用する縦走ルートを検証してみた。北尾根からヨコグラ線へ下りるコース取りが多少
不明な場所もあるが林道へ下りてしまえば沢や崩落の心配がなく少々退屈だが上木地登山口まで周回出来た。


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  五葉ヶ森から北回り縦走ルート (林道コタマゴ線を通らないルート)



行程4)上木地・楢原山登山口〜楢原山〜湯之谷林道〜竜岡木地登山口〜水が峠登山口(ビバーク地)
    約 4時間


上木地・楢原山登山口からは四国の道として整備されているので今までのワイルドな縦走前半にくらべて、後半は快適な歩きが保障
されている。
登山口の石垣はかつてこの辺りに民家があった事を想像させる。14時02分標識に従い進むと大きな奈良原神社への
道標が立っている。すぐに植林の中に遍路道然とした掘れ込んだ道が延びている。枝打ちされた手入れの良い植林帯をずっと歩くが、
大きな自然木は残されているのが救いだ。


15時00分左手に標識が立っており、上木地(登山口)より1.2km、楢原山まで1.1kmとある。こんな状態の良い四国の
道でも上りとは言え1時間弱で1.2kmしか歩けていない事にショックを受ける。相変わらず植林がメインで自然林も片側に現わ
れる道を無心で歩くと15時25分山頂まで800mの標識に出合う。


  
 楢原山 2.3km標識 車道側は鈍川へ下る           入口は石垣が積まれた道

  
奈良原神社への道しるべ (左折)                   石垣の道へ向かう

  
 古い遍路道特有の深く掘れ込んだ道                良く枝打ちされた植林帯だ

  
ツガの根が「もそっとこっちへ」とセクハラしている         15時00分 上木地登山口より1.2km歩いた 遅〜〜い

  
 片側自然林の場所もある                       両方植林の道   良く歩かれて掘れ込んだ遍路道

  
 植林の中だがルートは「四国のみち」なので分かり易い    15時26分 自然遊歩道Pまで800mとある


楢原山 (ならばらやま)  三角点は無し

暫くすると自然林のみの明るい樹林帯となり15時40分上木地から2.2kmで山頂まで0.1kmの標識が立っており喜ぶ。そ
こから5分程で山頂直下の分岐標識がある休憩所に着いた。
説明板には南北朝時代に長慶天皇が戦に破れて楢原山辺りまで牛馬に乗
って逃げ延びた伝説から牛馬を守る神として信仰されたとある。南朝方の長慶天皇もミステリアスな存在で全国に落ち延びてかの地
で果てた話が残っている様だ。


楢原山は四国百名山に選定されているので以前登っているが記憶ではもっと山らしい古びた印象だった。10年以上経つと初めての
山と同じになる。


右回りで山頂へと進むと先ず水分神社と言う牛神様の祠があり、続いて枯れた初代子持ち杉、階段状の道を歩いて山頂広場に上がる
と経塚跡が一段高い場所に祀られている。何でも昭和9年に雨乞い儀式の為に清掃作業中、平安時代の銅宝塔(国宝)等が出土した
らしい。近くには二代目子持ち杉があった。ここに1,300年以上前に建てられていたという奈良原神社は礎石しか残っておらず、
代わりに新しい石碑や休憩所、風格の無い檜の社などがあり神秘的な雰囲気は全く無い。結局、農耕で必要とされた牛や馬が農業形
態の変化でそれを敬う風習が途絶えてこの奈良原神社信仰も廃れていったのだろう。


  
 次第に植林が無くなってくる              15時33分 上木地登山口より2.2km、楢原山まで0.1km標識

  
  おっ 山頂近くに着いたぞ                     15時45分 水ヶ峠分岐標識

  
 水分神社・牛神様の祠                       初代「子持ち杉」は枯れていた

  
 山頂への階段を上がる                         15時56分 整備された山頂広場に上がる


 16時00分 楢原山の山頂シンボル「経塚発掘跡」 祠と狛犬がある

  
 ここが実質の山頂やね                              経塚発掘跡

  
 二代目「子持ち杉」は元気だ                          山頂基部まで下る


16時12分「水ヶ峠」への標識まで下って竜岡(りゅうおか)木地登山口のある西へ向かう。大きい杉が立つ参道の様な広い尾根
を下る。二丁・丁石の横に「丹生川上神社・馬神様」の祠がある。道端には大きな杉の切株があり、馬路村を歩いた時の事を思い出
した。
16時20分四丁・丁石の下側に奈良原神社の注連石(しめいし)がありその前では人は居ないが土管を埋める作業中の様だ
った。


舗装道路になり、すぐ左手に「楢原山 蓮華寺跡」の石碑が立っている。修験者が活躍した頃の楢原山での本拠地だった様だ。西山
興隆寺〜黒滝神社〜東三方ヶ森〜楢原山、更には高縄神社を結ぶ尾根に修験者が歩いていたのだろう。


  
 水ヶ峠までまだ4.2kmもある                   二丁石の立つ参道を北西尾根へと下る

  
 壬生川上神社・馬神様の祠                     16時20分 注連石(しめいし)(桟道入口)に着く

  
  注連石(しめいし)の前が工事中だった       楢原山「蓮華寺」跡  修験者の居た時代のお寺跡


△点11) 四等三角点「奈良原」 915.47m

北に下って行く舗装道路は鈍川温泉から延びている「湯之谷林道」と言うらしい。16時25分ザックを林道の電波塔入り口付近に
デポしてスマホを持って三角点に寄る事にした。と言うのは地図にある尾根破線道はこの電波塔のあるピークから続いているのだ。
新しい施設が出来ると古い道は廃れていく。


少し舗装道路を下ると四国の道標識があり尾根を巻いて西側への道がある。北側にも湯之谷林道の途中から山道が四国の道まで林道
と平行に延びて来ている。この古い道を少し下りて16時30分左側にある四等三角点「奈良原」を踏んで引き返す。楢原山の山頂
には三角点が置かれていないのでここは逃せない。


  
四国の道標識から北側へ続く旧遍路道を下る          植林帯の中に恰幅の良い樹は残されている


  四等三角点 「奈良原」  915.47mを踏みすぐ電波塔付近へ引き返す

  
 楢原山に三角点が無く、辺鄙な場所に三角点がある      四国の道入口には六丁の丁石とお地蔵さんが祀られていた

四国の道は尾根を外してクネクネ延びていそうなので、ここは尾根の破線道を辿る事にした。電波塔の傍から尾根に入り、それに沿
って足早に下る。10分程はスペースがある植林尾根だったが、そこから少し荒れた尾根となる。16時50分右手から四国の道が
尾根筋に合流して来た。どちらを歩いてもそう時間的に変わらなかった様だ。


  
電波塔で尾根が寸断されている                   地図にある破線に沿って尾根を下る

  
踏み跡はなさそうだが尾根は明確だ                植林帯の尾根を下る

  
 尾根が少し荒れて来る                         境界杭を確認しながら下る

  
 こりゃ破線道は廃道じゃろね                  16時50分  右手からの遍路道に合流  結局破線道は無かった


△点12)四等三角点「ヤゲン谷」 783.25m
 

階段状に整備した四国の道をドンドン下って行く。杉の植林帯は退屈なのだが、足元は杉の葉が落ちてフカフカしているのでヒザ
に優しい。その杉の根元にはお地蔵さんが立て掛けられている。17時00分、道のすぐ左上にある尾根筋の三角点「ヤゲン谷
を踏む。


ヤゲンとは恐らく薬研(やげん)だろう。薬を調合して擦り砕く舟状の容器、よく徳川家康が縁側でローラーと窪んだ容器で薬を
調合する場面を見るが、あれの事。全国的に細く深い谷の事を薬研谷(やげんだに)と呼んでいる様だ。

  
「四国のみち」は要所が階段状に整備されている      やはり遍路道にはお地蔵さんが無いとね


  17時00分 遍路道の左手尾根上にある四等三角点「ヤゲン谷」を踏む

   
 金属標の三角点だ 最近はこのタイプが多い         階段状に整備されているが杉の落ち葉・落ち枝でフカフカしている

三角点「ヤゲン谷」からも階段状に整備された尾根道を下って行く。17時30分水が峠まで1.9kmの標識に出合うと、そこ
から左へ尾根が振るので道も左へ曲がる。地図を見ると、尾根の左手には総社川へ下る道が沢山記されていてややこしい思いをし
たのだが、特にそんな分岐も見当たらず標識に従ってここまで下りて来た。尚も道なりに進むと17時40分、総社川を渡る橋に
出る。橋を渡って川面に下り手や顔を洗う。あ〜〜気持ちいい〜。 そこから傾斜を上がると舗装道路に出た。


  
次第に尾根が細くなっていく                       右手が谷筋の道を下る

  
17時30分 水ヶ峠 1.9kmの標識から道が左に振る     尾根をクロスして左側へと進む

  
  最後は急な傾斜を下る                        左下に川が見えてくる


  17時40分 総社川に架かる橋を渡る 

水ヶ峠登山口付近でビバーク

この総社川の源流部を辿ると昨日歩いた「白潰」まで延びている。そしてこの道路も白潰〜△点「ニブ川」〜東三方ヶ森の北面をク
ネクネと走る林道となって続いている。
舗装道路を川下に下ると17時50分短いトンネルがありそれを潜って進むとヘヤピンカー
ブに大きな「四国の道」地図看板が立っているのが見えた。
近づくと沢の右岸に「四国の道」と刻まれた石碑が立ち、道しるべ標識
もある。ここが水が峠への入り口だった。

標識には楢原山3.0km、龍岡木地2.0kmとある。龍岡(りゅうおか)は下流の玉川湖から総社川を遡った地区の名前で、そ
の南にある木地地区を「龍岡木地」と呼ぶ。木地という地名は沢山あるので区別しないと訳が分からなくなるのだ。。


ここを少し入ると砂防ダムの堰堤があり、その上流部で渡渉するルートになっていた。時刻は18時に近いので今日はここでビバー
ク地とする。砂防ダムの上部は水が流れているが沢幅が広いので大雨でも降らない限り比較的安全である。少し辺りを歩いて地形を
調べるが、渡渉する手前にある平らな砂地が良さそうなのでシェルターを張る事にした。


  
  河原に下りて顔を洗って気持ちよくなる            鈍川から延びて来た車道に上がる  奈良原山の道しるべ有り
  総社川の源流部は昨日歩いた白潰付近だ          この車道を南に進むと白潰〜東三方ヶ森の北面の林道となる

  
 楢原山2.6km 水ヶ峠 1.6km標識              川下へ向かってトンネルを潜る

  
 このコーナーが水ヶ峠への入口となる 道は沢の手前から左折  「四国のみち」水ヶ峠入口  右手に堰堤あり

砂地でペグが刺さらないので石を拾ってペグを押さえる。張り綱は流木や木に結び付けて問題なくシェルターは安定した。荷物をシ
ェルターの中に放り込んでお湯を沸かす。沢の音が少しうるさいがまあ辛抱出来ない音ではない。それより水が周りにあるという安
心感はビバークをする上で精神的に楽である。


  
17時56分 堰堤上の渡渉部へ到着する              ここでビバークする事にした


 モノフレームシェルターは前後をペグダウンして仮固定後、シェルターの中に潜り込んで斜めにポールを通す
 形は頭と足が細い部分の菱型なので多少窮屈だが、何せ軽さが命! 短期ビバークなら使える移動式居住設備だ

  
足元や頭部は狭いが、胴部は広くて両サイドに物を置ける   カップヌードルとコーヒーと低糖質ドーナツの夕食



予定では北三方ヶ森まで行きたかったが12時間歩いてここまでなのだから仕方あるまい。金ちゃんヌードルを作り、ドリップコー
ヒーを淹れてリッチな気分になる。又地図を出して無駄な皮算用時間計算をしながら眠りにつく。



高縄山塊縦走  第1日目 福見山〜明神ヶ森〜白潰〜東三方ヶ森は                 ここ    

高縄山系縦走  第3日目 水ヶ峠〜伊之子山〜北三方ヶ森〜高縄山〜大月山〜福見川 は   ここ  

  

    
     目次に戻る              トップページに戻る