秋の遠征、雨飾山と妙高山・火打山 by エントツ山  (パート I ・雨飾山 )


雨飾山、火打山、妙高山、高妻山、戸隠山の位置関係図

プロローグ

平成最後の秋、伊予の鈍亀さんと遠征を検討するが中々雨が多く天候が定まらない。

当初、甲武信ヶ岳(こぶしがだけ)へ金峰(きんぷ)山と瑞牆(みずがき)山をセットで考慮するが天候の安定する3日
程の間に周回するのが厳しいのと、直前になって南の方が天候不順になる。次善の策として考えていたのが妙高山・火打
山と日程が許せば少し南側にある高妻山だった。


こちらの方が天気の条件も良かったので取り敢えずメインは妙高山・火打山とし、10月1日出発に決める。詳細をチェ
ックしていると高妻山は結構時間がかかるのと近くに戸隠山があるので別な機会にする事にした。


さて、山小屋泊まりの伊予の鈍亀さんが調べると、公営の高谷池ヒュッテは収容人数が少なく予約で一杯、もう一つの黒
沢池ヒュッテは学校登山行事の為に10月2日は予約が取れず翌3日のみ可能だった。
その為、妙高山へ入れない10月
2日は急きょ私が今年登った事のある近くの雨飾山へ登る事にした。


10月2日 雨飾山 小谷(おたり)温泉コース

小谷温泉登山口(雨飾高原キャンプ場)〜荒菅沢〜笹平〜雨飾山 ピストン


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  伊予の鈍亀さん提供

今回は車1台での遠征なので景色の悪い雨飾山荘〜薬師尾根コースは止めて南側の小谷(おたり)温泉からピストンと
した。
前日北陸自動車道、糸魚川ICを下りて姫川沿いの国道148号線を南下、小谷(おたり)道の駅で食糧を追加
補充する。北小谷から左折し小谷(おたり)温泉を通過して登山口の雨飾高原キャンプ場に到着。

すると屋久島から来られた年配の男性が紅葉の美しい池が近くにあると勧めてくれたのでその「鎌池」に寄ってみる。
池を周回しながら雨飾山が見えないかと探すがどこにも見えない。まあ池も平凡な風景だったので半周ほど行って引き
返す。 途中の林道から雨飾山が見えたので写真撮影してキャンプ場に帰る。


伊予の鈍亀さん達は車中泊、私はテント泊なのでキャンプ場の受付を済ませて簡単な夕食を取る。風が冷たいのでテント
は木陰に張った。犬連れのキャンピングカーや車中泊の登山者、日の出狙いの若者などが居た。


  
 登山口近くの鎌池を見学                              雨飾山をアップする


       登山口近くから明日登る雨飾山を眺める


     今回は久しぶりにモンベルドームシェルターIIを持って来た  設営が楽です

  
  風が弱い場所でささやかな夕食とする              道の駅で笹寿司を買い過ぎた 翌日の行動食にする


雨飾高原キャンプ場登山口〜荒菅沢コース〜雨飾山 (上り) 3時間40分

翌朝、テントが朝露で濡れていたので伊予の鈍亀さんの車のボンネットに括り付けさせて貰う。天気は厚い雲が出ていた
が次第に良くなる予報だったので安心して登山口を06時10分出発する。昨日笹寿司等を食べたので、私も伊予の鈍亀
さん達もさしたる朝食は取っていない。


  
 雲が厚く垂れこめているが天気は回復する予報だ       鈍亀車のボンネットにテントを括り付けて出発する


06時10分 登山口を入る  山頂まで210分とある= 3時間30分って事ね

大海川の右岸沿いに沿って平坦な登山道を進んで行く。6月に歩いた時は結構色んな花が咲いていたが今はススキ原だっ
た。
06時28分川沿いの遊歩道からいよいよ左手の山道・登山道に入る。ここからは立派なブナ林なども黄葉しており
上り一辺倒だが美しい。


  
春に水芭蕉の花が咲く木道を進む                 こんな樹を森の主って言う

  
 06時28分 実質的な登山口、山道に入る            ブナの木の根が地面を這う

  
  キノコとだけ言っておこう                       ブナが微妙に美しい

07時10分ブナ平に着くと犬連れの登山者に会う。真っ黒いらブラドール レトリバーでアンジーと同じ種類で人懐っ
こい。昨日キャンピングカーで関東からやって来た人だった。


見覚えのあるトイレブースを過ぎると荒菅(あらすげ)沢に出て前方が開ける。布団菱のある雨飾山の南岩壁がそそり立
っているのが見える。6月には雪渓に覆われていた荒菅沢を07時55分渡渉する。
沢を渡ると登山道の傾斜がきつくな
り笹平から東に延びる尾根に向かって樹木に覆われたトラバース道が続く。


  
     タコ入道ボク                           アシカの様な犬が来た


     07時10分 ブナ平に着く  

  
この辺りの地盤が固いので背丈が高いブナは縦横無尽に根を張っている  07時27分 5/11標識(登山口から2km)

  
 07時37分 トイレブースを通過                 荒菅沢近くになると上部が見えてくる


         正面が深田久弥が登った布団菱と言われる岩場らしい  

  
         荒菅沢を渡渉する                   6月に来たときは雪渓に覆われていたんだけどなあ

  
登山道尾根へ向かってトラバースする               トラバース道は荒れているが広い 次第に急坂になる

  

尾根に近づくとダテカンバやブナの黄葉、すべすべした岩肌を持つ雨飾山の南面が眼前に広がる。もう少し高度を上げると
東側に衝立の様に並ぶ茂倉尾根や焼山が見えてくる。
08時53分このコースで唯一の岩場「ゴジラの背」があり楽しめる。
やはり登山道のアクセントとして岩場は欠かせないものだ。



         雨飾山・南東尾根を眺めながら高度をかせぐ

  
  08時13分 7/11標識 登山口より2.8km          イワカガミの葉は緑色に光っている


           岩肌は灰色でツルツルしている感じだ

  
 左奥が火打山だろうか                           急登が続く 後ろから犬も来ているよ〜

  
08時40分 8/11 登山口から3.2kmまで来た            雨飾山のピークが見えてくる


  斜面をズームするとダケカンバの白い幹が美しい

  
     秋の花 リンドウが咲いている                 これも秋の花 ヤマハハコ


          08時53分 ゴジラの背に差し掛かる   登山道唯一の岩場だ

  
  ゴジラの背に乗る亀二匹                   オヤマボクチは枯れても可愛い こんな年寄りになりたいものだ

09時15分笹平に着くと雨飾山の山塊が真っ赤に紅葉したハクサンタイゲキの上に顔を覗かせる。後ろから又犬連れ登山
者が追い付いて来た。
少しコルに下って雨飾温泉コースとの分岐を通過していよいよ雨飾山へと丘を進む。北側には6月に
登ってきた雨飾温泉近くの鬼ヶ面(つら)山、鋸岳などの海谷山塊が見える。


  
  ワイルドな坂道                            09時15分 笹平に到着

  
  ハクサンタイゲキの紅葉と雨飾山                 ナナカマドの実は柿の様にデカい


    犬と亀の競争は優劣着かず  後ろに横たわる雨飾山は布袋(ほてい)の寝姿だ

  
    糸魚川方面                            雨飾温泉ルート分岐 6月はここから登って来た

  
鬼ヶ面(つら)山と鋸岳が見える                    さあ、いよいよ雨飾山へと進む


雨飾山 二等三角点 「雨飾山」1,963.27m

登山道は小高い丘を進んだ後、雨飾山の直下を左に巻き荒菅沢を上から眺めながら回り込み、高度を上げる。沢の源頭部は
少しザレているので滑落しない様に注意が必要だ。
名物「少女の顔」登山道を眺めながら高度を上げ09時50分石仏の立
つ「雨飾山・北嶺」に着いた。三角点峰(南峰)を見ると、前日まで天気が悪かったのと時間が早いので登山者は
数人しか
見られなかった。


「雨飾山・南峰」は三角点があり山頂標識もこちらに立っている。前日鎌池を紹介してくれた屋久島から来られた単独者も
居て、そこにくだんの犬連れ単独者も登場して暫く写真撮影や休憩をする。
若い単独登山者は無口な人が多いが、年配の単
独登山者は概してよく身の上話が続く。
伊予の鈍亀、亀吉さんも「それがどしたん?」とも言わず良く話を聞いてあげてい
る。

見知らぬ山で見知らぬ人の身の上話や登山歴、武勇伝等を聞くのもゆったり登山の良い所かも知れない。



     雨飾山の南斜面は岩っぽい 登山道は南の笹原・灌木帯へ回り込んで付けられている

 
  荒菅沢の右又だろうか 鋭く切れ落ちている


  登山道が少女の顔に見えるという「雨飾りの少女」

  
 最初に北側の石仏峰に着く 高度感あり             09時50分 北峰に到着


 阿弥陀三尊、大日如来、薬師如来、不動明王、祠が並ぶ「北峰」


              北峰の尾根筋も岩っぽい   糸魚川方面になるのだろう


 今度は三角点の有る「南峰」へ移動  北峰にも数人の登山者が居る  


  後立山連峰をバックに最近は多少遊び心にも付き合いが良くなった亀吉さんと

  
 焼山の向こうに見えるのは次に行く「火打山」だ         ラブラドール レトリバー 先祖はカナダから


雨飾山〜荒菅沢〜雨飾高原キャンプ場 (下り) 3時間10分

次の登山口が待っているので10時30分北東側にある台地に刻まれた乙女の顔を眺めながら下山開始する。10時55分
雨飾温泉ルート分岐のコルから笹平へ少し上がり、東への支尾根を下る。


普通の登山道であれば下りの方が相当早くなるものだが、足場があまり良くないのでスピードは出ない。名残惜しそうに紅
葉の斜面を眺めながら高度を下げていく。


  
10時28分 下山開始する                      雨飾温泉方面を眺める 正面は鬼ヶ面山

  
  ハクサンフウロの咲き残り                  ハクサンフウロの枯れ葉とハクサンタイゲキの紅葉

  
  サラバ 雨飾山よ                          10時55分 分岐を通過

  
11時00分 笹平通過                   東側の茂倉尾根〜金山と奥に尖がった焼山、更にその向こうに火打山


                下山道が尾根を刻んでいる

  
  ゴジラの背を下る                           右手の尾根を何度も振り返る


    ギザギザ尾根の雨飾山南尾根を眺めながら下る


ベテラン登山者の不要なプライド

後ろから年配のベテラン登山者が「君達には負けないよ」と言いたげに勢いよく我々を追い越して行った。我々年寄りはあ
まり張り切らん方が良いのに・・・と歩く足元を見ると少々フラついて心許ない感じだ。しかし長年のプライドなのか追い
抜いた後もぐんぐんスピードを上げている。

するとコーナーで案の定笹と灌木に覆われた右手の崖下に消えて行った。「大丈夫ですか〜?」と言うと「大丈夫だ」と小
声で自分に言い聞かせているが自力で這い上がれない。「大丈夫じゃないでっせ」と伊予の鈍亀、亀吉さんが少し斜面を下
りて引き揚げている。やっと登山道に上がるとそのベテラン登山者は何事も無かった様にお礼も言わずスタスタと下って行
った。バツが悪い事もあったのだろうがおっさん!それは無いで!


荒菅沢を越すとブナ林へ

12時05分荒菅沢を渡るが、やはり気になるのは布団菱付近の岩壁だ。何度も振り返りながら沢向こうの高みに上がって
又振り返る。
ブナの美しい登山道から川筋に下りて13時40分車を置いてあるキャンプ場Pに帰り着く。

  
 荒れた登山道を荒菅沢へ向かって下る               沢の谷間が近づく


               願わくばこの沢を這い上がりたいものだ

  
   布団菱よ さらば                         12時28分 トイレブースを過ぎる


                  美しいブナ林の中を歩く

  
   太いブナも細いブナもいい味出してます              木道を歩く屋久島の人


          ブナ林を歩く伊予の鈍亀さん


                登山道に根を張ったブナ


                洞を持ったブナ

  
 13時22分 河原の登山口へ下りる                木道を通って13時40分 雨飾高原キャンプ場に帰る


こんな時間に下山できれば楽勝だ。ボンネットに干してあるテントを片付けて次の目的地、妙高山登山口へ向かう。

小谷(おたり)温泉から妙高小谷林道を経由して妙高高原公園線への近道もあるのだが、知らない土地での林道状況には不
安がある。 急がば回れで昨日来た国道148号線を糸魚川ICに出て高速道路にて上信越自動車道・妙高高原ICへ向か
うことにした。


今年の6月に山の会で行った 雨飾山の登山記は    ここ      

この山行の翌日から行った  妙高山・火打山周回の登山記は  ここ   

   
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