秋の遠征、雨飾山と妙高山・火打山 by エントツ山 (パート2:妙高山・火打山)


雨飾山、妙高山、火打山の位置図



第二部 妙高山〜火打山縦走 (平成30年10月3日〜4日)


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 妙高山〜火打山周回 (伊予の鈍亀さん提供)


第1日目(10月3日・晴れ)

燕温泉登山口〜光明滝〜天狗堂〜妙高山・南峰〜妙高山・北嶺〜長助池分岐〜
大倉乗越〜黒沢池ヒュッテ    約 8時間40分


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 燕温泉ルート  (伊予の鈍亀さん提供のログ図を加工)

前日、雨飾山を下山した後、急がば回れで近道の林道を行かず日本海周りで北陸自動車道〜上信越自動車道と繋ぐ。途中食糧
を追加補充し妙高高原ICで下りる。登山口は南側の笹ヶ峰キャンプ場の火打山登山口も検討したが、東側の燕温泉から歩く
方が周回出来るのでそちらに決める。
登山口へ行く前に夕食を済ませようと食堂を探すが中々見つからない。結局唯一開いていたラーメン店に飛び込む。その後、
燕温泉登山口にて前日同様 私はテント泊、伊予の鈍亀さんは車中泊となる。



 燕温泉登山口の駐車場の石碑  バイクでテント泊する人がいた

行程1) 燕温泉登山口〜妙高山(南峰) 約 5時間

当日05時頃から起きて出発準備をする。今回は鈍亀さん達と黒沢池ヒュッテに素泊まりする事にしたので装備も軽い。
朝06時10分妙高山登山口となっている燕温泉の旅館街を抜ける。この燕(つばめ)温泉は「河原の湯」や「黄金の湯」
と呼ばれる露天風呂が売りらしい。


温泉街の外れで登山協力金のテントがあり募金を募っている。まあよそ者がお世話になるのだから各自500円を払って
木製のペンダントみたいな物を頂く。こんな物はすぐ壊れるか何処かに無くしてしまうのだが。


旅館街に入るとガイドが付いた登山者の団体が出てきて前を行く。ゆっくりと後を付いていけば道を間違う事もないだろう。
スキー場跡の急坂を抜けて06時25分「惣滝展望所分岐」の標識を通過。霧が出て薄暗い登山道にウメバチソウの白い
色が浮き出す。他にもトリカブトやダイモンジソウなども多少見られた。


  
  燕温泉登山口駐車場 昨日より車が増えていた      温泉街を抜ける  帰りに右手の日帰り温泉に入った

  
登山口で安全協力金を納める                   スキー場跡を上って行く

  
黄金の湯  黄金とは紅葉の事らしい 露天風呂には興味なし   06時25分 惣滝展望所への道を分ける

  
登山者カウンターだろう  電源はソーラーだ        ダイモンジソウやウメバチソウの咲く登山道


北地獄谷と言う谷筋に沿って山道を進むと、07時10分「赤倉温泉源湯」という石碑と作業小屋がある。ここの源湯温度
は58度もあるらしい。赤倉温泉はスキー場などを含めた妙高高原でも有名な温泉らしく、ここからお湯をパイプで引いてい
るんだろう。そこからは更に細い山道となる。

先ほどから前方に赤茶けた色をした岩を伝って流れ落ちる滝が見える。これが「光明滝」だろう。霧が無ければその上方には
「称明滝」も見えるのだが生憎のガスに包まれて何も見えない。


滝の手前で渡る小川を見ると湯の花が白く固まって正に温泉を感じさせる。光明滝の落ち口まで登山道が延びているが、岩盤
が岩と言うより赤土の様なイメージなので滝の美しさは感じられない。そこから左手に登山道が続いて行く。


  
 07時10分 赤倉温泉の源湯標石があった         赤倉温泉の管理作業小屋 バンガローの様だ

  
 前方に光明滝が見える ガスでその上にある称明滝は見えない  小川でさえも湯の花を持った温泉だ

  
右手の北地獄谷との高度差がある登山道         光明滝の滝口まで登山道が続く ここで沢と暫く別れる

07時40分沢の上部に回り込んで渡渉し、沢の左岸沿いに登山道が延びている。すると直ぐに麻平方面の標識と出会う。更
に10分程進むと岩に「湯道分岐」の看板が取り付けられている。恐らく麻平方面と湯道は同じ北地獄谷の左岸下山道への
分岐と思われる。このルートには血の池とか河原の湯がある。そこからしばらくガスの中、小沢の様な岩っぽい登山道を上っ
て行く。


  
  07時20分光明滝から左手の山道へ入る       07時40分 再び沢の上部に出る 恐らく称明滝の上部だろう

  
 沢を一旦左岸に渡り、沢に沿って上がる            直ぐ上流に麻平分岐標識が立つ 

  
10分程して沢を右岸に渡り返す           07時50分 「血の池」方面への[湯道分岐」の標識が岩に張られている

胸突き八丁

08時20分「胸突き八丁」の看板に出会う。10分程岩がゴロゴロする急登を上がると「五合目」(1,800m)標識が
あり、前に登山口で会ったグループ登山者が登っていたので追い越させて貰う。すると08時40分辺りが明るくなって霧が
ス〜〜と切れて青空と妙高山らしき姿が見えてきた。


  
次第に岩っぽい急登となる                  胸突き八丁入口の看板

  
08時20分胸突き八丁 看板の標高や天狗堂までの距離を    08時32分5合目1,800mまで来た
マジックで訂正している人がいる 多少の違いも許せない性格の人だろう

  
 おっ 周りが明るくなったぞ  (08時40分)          お〜〜 妙高山が見えた 青空や〜〜


             やはり青空の山は気持ちが良い

  
  ガスが晴れたと言うより、ガスの上に出たのだろう       頭上には黄葉が輝く


天狗堂

霧が飛ぶと水墨画の世界に色彩が現れて紅葉の美しさが眼前に広がって来る。09時00分尾根筋に出ると、大勢の登山者が
たむろしている広場に出た。ここが休憩所になっている天狗堂だった。修験者は天狗が大好きだから、ここも古くから関山三
社権現(現在麓の関山神社や旧・宝蔵院)を中心とした修験道絡みのお堂だろう。


我々は休憩する事無く大勢の登山者をここで抜き去る。15分ほど紅葉が美しい尾根筋を進むと「光善寺池」に着く。ここは
標高2,070mで既に石鎚山より高く、今回最初に見る池塘だろう。



09時00分 天狗堂に到着  大勢の登山者が休んでいる  ここは妙高スカイケーブルからの登山道との合流点だ

  
    天狗堂の祠                    天狗堂から15分程で「光善寺池」に 標高2,070mとある


               光善寺池の風景も霧に霞んで美しい

09時32分「風穴」の標識があり、右手の岩から冷たい風が吹き出している。秋だから涼風の有難味が薄い。ここは8合目
で標高2,120mの標識が立っている。標高が2千メートルを超えると本州への遠征感が高まる。左手を見ると眼下が開け、
初めてこの山が凄い雲海に覆われている事が分かった。ダケカンバの白い幹と黄葉が山肌に並んで実に美しい。登山道も人気
の山だけに良く整備されている。



  
 登山道は良く整備されていた                コケモモの実だろうか  シラタマの実も多い

  
   09時32分 風穴に到着            雲海が綺麗なのでダケカンバに腰かけて風景を眺める亀吉さん


      風穴前で雲海の上に立つ  気持ち良か〜〜

  
  外輪山の尾根が並ぶ                      登山道の脇には笹とダケカンバ


    妙高山の東斜面 稜線に生えるダケカンバも雲海の上にくっきりと見える


岩場の鎖場

10時20分初めて鎖場が現れる。まあ四国の石鎚で上っている鎖場に比べれば迫力は無いのだが結構渋滞している。と言うの
は一人が上まで上がる迄次の人がじっと待っているグループがいるのだ。こんな足場も手掛かりもしっかりしている岩場はそこ
まで安全策を取る必要は無い。 ドンドン行け〜って団体の後ろを亀美さんが上がる。

岩場を這い上がり20分程登山道を進むと尾根筋を乗り越える。すると支尾根の向こうに北アルプスが雲海から顔を出し並んで
いる。そしてその左手を眺めているとかすかに富士山まで見えた。



    
 10時20分 初めての岩場が現れた            まあ石鎚山の鎖場を上ってたら何て事は無い

  
    2段目の鎖場                         雲海を振り返りながら岩場を上がる

  
 妙高山の山頂部は岩山になっている            お〜〜 あれは確かに白馬山じゃあおまへんか〜〜

  
   キレット  五竜岳     唐松岳         白馬鑓 杓子岳    白馬岳        雪倉岳


             富士山だって見えちゃうんだも〜〜ん


妙高山・南峰 2,454m

ダケカンバと岩が程よく配置された最後の上り傾斜を歩いているとクジャクチョウと言う綺麗な蝶が居た。関西には見られ
ないタテハチョウの一種でクジャクの目玉模様からその名が付けられた中部地方の高山蝶らしい。但し東北、北海道では平
地で見られるので北国の蝶だ。

溶岩の様な火山独特の岩場を歩き11時18分 妙高山・南峰に着く。南峰は標高2,454mと記されており三角点のあ
る北峰より少し高い。妙高大神の祀られている山頂で記念写真を撮って次のピークへと進む。


  
  ダケカンバの並ぶ登山道                    クジャクチョウは初めてお目にかかる

  
溶岩の様な岩場の間を上がる 左手に後立山連峰が並ぶ    コケモモが赤い実を付けている


         赤倉山から三田原山への外輪山が妙高山を取り囲む

  
  モデルは亀美さんか?                     岩尾根の向こうに焼山方面が見えてきた 

  
   10合目の標識って必要なの?               11時115分 妙高山の山頂に到着


           妙高山・南峰   妙高大神の前で記念撮影

  
   まあ あっちに人がいるから進もう                岩だらけの山頂だ


妙高山・北峰 一等三角点「妙高山」2,445.8m

雲海の上に出た岩尾根を見渡して方角もチェックせずに人影がある次のピークへと進む。こういう場合はスマホのジオグラ
フィカが便利で進むべき方向が直ぐ分る。堅そうな火山性の安山岩の並ぶ稜線を進むと外輪山の向こうに北アルプスが並ん
でいる。

デカくて個性的な大岩辺りには「日本岩」(標高2,450m)と書かれた表札が岩に掛っている。痩せた岩場の稜線には
ナナカマドや低い灌木が疎らに立っている。南峰を振り返ると雲海が凄い。


11時32分立派な日本百名山の山頂標識が立つ妙高山・北峰に着く。ここは一等三角点があるのだが、土が削られて標石
が飛び出しているので他の一等三角点の様な立派さ、風格は感じられない。北西方向の眺めが良い岩場に出て簡単な昼食と
する。8月末から低糖質食事でご飯やパンを食べていないので久しぶりに食べるおにぎりが美味しかった。


翌日登る火打山を見ると、奥の焼山と違って単独峰では無い。手前に茶臼山の稜線があり、直前には肩の様な出っ張りも有
り、向こう側にも影火打の肩がある。絵的には単独法が美しいが歩くには肩を持った山が楽だ。


  
 火山の山には穴の開いた岩がある                  踏み跡が北側へ続く

  
日本岩  大げさな名前だが遠くから見ると立派なんだろう    南峰を振り返ると雲海で下界が見えない


    11時32分 本日の目的地 「妙高山 北峰」 (三角点峰) に到着  こちらは広い山頂だ

  
 歳を取るとここまで上がるのが一苦労よ          何とかと何とかは高い所が大好きなのだ


 西側の岩場に上がって昼食とする  外輪山の向こうに火打山と焼山が見える  火打山の右肩が雷菱の岩場だ

  
   焼山は山腹から噴煙を上げている       久しぶりに糖質食を食べる やっぱ日本人のファーストフードはおにぎりやね


行程2) 妙高山(南峰)〜長助池分岐〜大倉乗越〜黒沢池ヒュッテ 約 3時間40分

長助池分岐へ急降下し大倉乗越へ上がる

さて、12時10分次に進むルートを探す。眼前には三田原山から大倉山へ続く外輪山の尾根がぐるりと取り囲んでいる。どこかの支尾
根を伝って外輪山へ行くのかとルートを探すが有りそうに無い。破線の登山ルートは少し北側に進んで西に下る様になっている。伊予
の鈍亀さんがGPSで確認し「こちらですよ」と言う。感覚的には右手から回り込む様なルートだが、確かに踏み跡もそちらに見える。

長助池分岐

大岩の祠横を過ぎてダケカンバと岩の間を急傾斜が続く。亀吉さんと「こんな所を上り返すのは嫌じゃねえ」と言いながら黙々と下る。
下から単独登山者が喘ぎながら登って来るが確かにキツそうだ。その内ガスが谷沿いに這い上がって来る。こんなに下ってどうするの?
って思っていると13時20分やっと沢沿いの「長助池分岐」に着いた。ここの標高は2,035mらしいから標高差400m、1時間10分
の激下りだった訳だ。

標識には長助池に0.7km、黒沢・大倉分岐へ 1.5km、 妙高山から 1.0kmとある。

  
 思ったより右手から回り込むルートだった        岩の洞窟には祠がある  やはり修験道の山じゃ


   下り登山道ではダテカンバがダンスを踊って出迎えてくれた

  
  岩っぽい灌木帯をドンドン下る                    やはり笹とダケカンバが多い

  
 正面の外輪山へ登り返すのにまだまだ下る            谷間にガスが湧いて来た


 13時20分 やっと長助池分岐の沢筋まで下り着く 外輪山との底部だ (下山はここから下る事に)

  
分岐標識には黒沢・大倉分岐 1.5kmとあった          相変わらず斜面の木々は美しい
恐らく大倉乗越では無く、黒沢池ヒュッテの分岐と言う意味だろう


   ダケカンバの美しい妙高山の斜面


大倉乗越

休憩ベンチで少し休憩していると長介池方面からトレランスタイルの若者が二人上がって来た。若いっていいな〜〜  さて、次は
標高2,150mの大倉乗越までだから大した上りでは無い。小沢を渡って荒れたトラバース路を徐々に高度を上げる。下った妙高山
は手前のピークに隠れて少しトップの岩峰付近が見えるが、なにせ自然林のスロープが美しい。右手に美しい長介池が見えたと思っ
たら一瞬にして霧が這い上がって姿を隠してしまった。

右上方に見える大倉山もダケカンバの白い幹と紅葉で美しいが、次第にガスが下から押し寄せて来る。稜線に出る直下から妙高山
を振り返ると下方はガスに覆われているが釣鐘の様な中央火口峰、越後富士が見えてうれしくなる。最後はロープが置かれた笹の
急登を這い上がると14時23分「大倉乗越」に着いた。

  
 長助池に注ぎ込む小沢を渡る                妙高山(奥)を振り返る  手前は2,055mピークの岩山だ


  妙高山の岩山からこんな美しい樹林帯を下って来たのだ

  
 外輪山の大倉乗越へのトラバース道               長助池に霧が這い上がって来た

  
三田原山と大倉山の間に向かってトラバース道を上る     大倉山(2,171mP)に霧が押し寄せる

  
  霧に包まれたトラバース道                  稜線に近づくと笹が多くなる


    大倉山を望む景色も美しい  霧も雲も青空も木々も全てバランス良く揃えば良い写真が誰にでも撮れる

  
      最後は笹薮の急登りになる             ロープが付設されていた


   お寺の釣り鐘の様な妙高山 ゴ〜〜〜ン ・・…・    ところで手前の二人は心霊写真ではありません

  
 14時23分 大倉乗越に到着する          要所で時間メモを取る亀吉さん よく忘れて慌てている事も多々あるぞ

軽量登山靴

大倉乗越で休憩中、亀吉さんの靴が私の靴と全く同じ物だと気が付いた。スポルティバのTX4 ミッドカットというモデルで、片足458g
 アッパーはスエードレザー、底はビブラムのメガグリップ 値段は2万6千円だった。

実際、四国の山歩きで正規の登山靴が要るのはアイゼンを装着する冬場や一部の岩場を除いて皆無と言って良い。普段の山歩きで
はトレランシューズで歩いているし、南アルプスの縦走でさえモンベルのローカットシューズで歩いた。登山と聞けば大それた気がする
が要するに平たく言えば「山歩き」だ。

足首保護や捻挫防止の意味でミドルカットが良いが、軽い靴が一番だ。値段が5〜6万円もして重さが片足900グラムもある登山靴
は一部の身長も体重も申し分ない上級者が厳しい山域を歩く為の特別な物だと思えば良い。

で・・・亀吉さんはネットで新古品を私の半額程で手に入れて履いているのだ。チクショ〜〜〜
話は変わるがザックでさえもウェストベルトがしっかりした軽い物に限る。老人にとって軽さは善で正義なのだ。

  
あんりゃ? 全く同じ靴じゃないの 「値段が違う!」(亀吉)  高松のベースキャンプで買った軽量山靴 こんなので良い


黒沢池ヒュッテ (標高2,014m)

大倉乗越からなだらかな斜面を30分程下って個性的な形をした山小屋、黒沢池ヒュッテに14時52分着いた。直前に三峰分岐へ至る
尾根道を確認するがテープが張られて通行止めになっていた。ヒュッテ本棟は天文台の様な個性的なドームで高層湿原の近くにあり
ムード満点のシチュエーションだ。

んがっ 割り当てられた宿泊棟はトイレ近くの穴倉だった。無理して階を二つに分けた一階は真っ暗で天井が低すぎてわかっていても
頭をぶつける。素泊まりで6千円だがテン場代も一人千円とチト高い。

  
黒沢池湿原へ向かってはなだらかな傾斜で歩き易い      相変わらず紅葉の木々が辺りを覆う

  
  明日出かける火打山への稜線が見える            14時52分 黒沢池小屋に到着

  
予約を入れてくれた伊予の鈍亀さんが手続きをする       一階が2段に仕切られてその下側の穴倉部屋だった

黒沢池湿原

息苦しい部屋から逃げ出して近くの黒沢池湿原へ翌日のルートチェックと散歩に出かける。この時期花も咲いていないし、去年秋の
尾瀬を歩いているので黒沢池湿原は平凡だ。しかし反対側の三田原山稜線がとてつもなく美しい。中々四国にはこの様な秋山には
出会えない。


高層湿原 「K沢池」  このなだらかな尾根が火打山の登山道となっている 笹に覆われて直接池には行けない


        向かいの外輪山側はダケカンバ林となって美しい


                   尾瀬ヶ原もこんな周りの樹木が美しかった

  
  今の時期はアザミくらいしか花は見られなかった        何たって紅葉が近くも遠くも良かった

夕方ヒュッテに帰り外のテラスで伊予の鈍亀さんにお湯を沸かして貰い簡単な食事を取る。部屋に帰りたく無いので寒くなるまでテラス
で時間を過ごす。隣のテラスではベテラン山ヤが若手のツアーガイドやおばさん相手に偉そうな態度で自慢話を繰り広げるので部屋に
帰る事にする。

部屋に帰りがけ窓から食事付き宿泊者の夕食風景を覗き込んで亀吉さんが「それにしても質素な食事やで〜」と喜んでいる。山小屋の
受付で明日の天気を聞くと「さあ、明日の朝確認して下さい」と言う。 え?何て山小屋だ。

  
    「あと12秒で食べごろやな」 (亀吉)              「あなた 意外と細かいのね」(亀美)



第2日目(10月4日・曇り) 行程 12時間

黒沢池ヒュッテから火打山 ピストン
黒沢池ヒュッテ〜茶臼山〜高谷池〜天狗の庭〜雷鳥平〜火打山〜高谷池ヒュッテ〜茶臼山〜黒沢池ヒュッテ

下山は新燕温泉ルート
黒沢池ヒュッテ〜大倉乗越〜長助池分岐〜長助池〜(燕新道)〜黄金清水〜大倉谷渡渉点〜麻平〜燕温泉


行程1)黒沢池ヒュッテ〜高谷池〜火打山〜高谷池〜黒沢池ヒュッテ 約 6時間30分


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 黒沢池ヒュッテ〜火打山コース (伊予の鈍亀さん提供のログ図を加工)

朝3時過ぎから階上(2階では無い)の女性団体登山者が準備をする物音と声に起こされる。こんな早くから一体何処へ行く
つもりなんだろう? 深夜に酔っぱらい撃退事件などもあって余り寝られないので「もうこの際起きて火打山へ出かけましょ
や」と伊予の鈍亀さんに言うと「そうしましょう」となった。

このヒュッテから火打山をピストンする登山者が多いので受付横に荷物置き場がある。防寒着と行動食をポシェットに詰めて
04時15分出発する。

登山道の取り付きは前日調べているのでライトを頼りに茶臼山への尾根道に入る。真っ暗い中、どこをどう歩いたか分からぬ
内に05時02分茶臼山(2,171m)の標識に出会う。帰りに景色を見られるので気は楽だが、ピストンで無ければこん
な面白くない歩きはしたくない。


  
04時20分 荷物を預けて小屋を出発                標識に従って尾根道に入る

  
兎に角ライトに照らされた道を黙々と歩く             何の印象も無いまま05時02分 茶臼山に着いてしまった

05時17分位から東の空がピンク色になり出したがスカッとした夜明けでは無い。稜線を左へ下って行き岩道に気を付け
ながら下ると、05時35分「高谷(こうや)池」に出る。そこは三叉路になっており笹ヶ峰(左)と火打山(右)の標識
が立っていた。池を右手に木道を歩いて回り込む。


そこから火打山登山道が小高い丘へ向かって行く。高谷池を眺めると向こう岸に大きな三角屋根のヒュッテが立っている。帰
りに寄る事にするとして先に進む。


  
今ひとつの夜明けだった 東側の天気が良くなかったのか  05時35分高谷池に下りると笹ヶ峰登山口と火打山の分岐になっていた

  
 木道を右手に回り込むと火打山方面への階段がある     階段を上がると高谷池が見渡せる 正面にヒュッテがある


木道を丘のピークへ進むと正面に火打山がコル部から姿を見せる。更に木道を進むと火打山の前後に肩ピークが見える。奥の
ピークは「影火打」で手前のピークは「雷鳥平」になるのだろうか。

丘を越えると「天狗の庭」と呼ばれる池があり、これが結構魅力的な火打山ビューポイントになっている。池に霧が立ち込め
幻想的だ。


影火打の向こうには「焼山」も並ぶ。そして池の傍に木道を進むと池に映る「逆さ火打」まで登場する。雷鳥平に向かってデ
カいダケカンバの尾根を進むと右手が鋭い岩崖になっている。北東の鬼ヶ城から雷鳥平に延びた稜線上にある「雷菱」という
断崖絶壁だ。
06時50分休憩所のある「雷鳥平」に着いた。そこから火打山への尾根登山ルートはハイマツ帯となっている。

  
 木道の向こうに火打山が現れた                焼山   影火打    火打山


  天狗の庭付近から見上げる火打山は迫力がある

  
 ここの池塘は「天狗の庭」って言うそうだ        木道が火打山への尾根へと延びる


   お〜〜 逆さ火打や〜〜

  
 雪深い場所のダケカンバの幹は曲線美だ         雷鳥平に向かって尾根を上がる


         雷鳥平の右手には「雷菱」と呼ばれる断崖がある    


   雲海に浮かぶ島の様な山々   右手は北アルプスがず〜っと並ぶ

  
      妙高山を振り返る             06時48分雷鳥平を通過

  
   火打山に向かって尾根道を進む           雲海や滝雲が見える

  
火打山(ひうちやま)  三等三角点「火打山」2,461.73m

火打山の直下に来ると木で整備された道となり山頂へと続く。すると登山道の左斜面にライチョウが一匹現れて喜ばせてくれ
た。中央アルプスでは雷鳥は居なくなったが、北アルプスや南アルプスでは何度も見た鳥だが、それ以外の場所で見るのは初
めてだった。
振り返るとハイマツの彼方に天狗の庭と妙高山のシルエットが見える。

07時30分思いの外広い火打山山頂へ到着。すぐに西側に出てみる。ハイマツ越しに焼山が山腹から煙を上げているのが見
え、その後ろには昨日登った雨飾山、さらにその奥には後立山が並んでいる。更にその左には北アルプスが槍ヶ岳・穂高まで
ず〜〜っと並んでいる。


  
稜線の左手にハイマツ帯が広がる            登山道は整備されている

     
         ライちゃんが居た〜〜!!

  
  山頂へ向かってなだらかな整備道が続く             最後は木道だ


  07時30分 平らな火打山に着く  バックに北アルプスが並ぶ

  
    変形ヒコーキ?                  まあ次のポーズ 練習しときましょ


   奥に白馬岳  正面奥に雨飾山  煙が上がっている山が焼山


景色をのんびり眺めていると突然スマホの電波が通じて娘から「婆ちゃんが倒れて病院へ入ったらしいよ」と連絡が入る。ラ
インも鳴って兄貴が対処してくれているとあちこちから入っていた。今更ジタバタしても始まらないのだがとにかく気忙しく
なってしまった。

伊予の鈍亀さんに事情を説明して07時40分下山する。雷鳥平の尾根は上から眺めると全体的には灌木帯なのだが右側がハ
イマツの帯となって、そこにライチョウが生息しているのだろう。雷鳥平から左手に鬼ヶ城への尾根が分岐しており雷菱の岩
場が見え、右手下方には「天狗の庭」の池塘が光っている。

次第に高度を下げマルバタケブキのワタゲやダケカンバの尾根を下っていると後立山連峰と北アルプス主峰が一列に雲海から
浮いている。考えてみるとこれは凄い眺めである事に間違いは無い。雲海がなければこれ程に北アルプスの山々を浮かび上が
らせる事は無いだろう。そしてここを実際に歩いた者でなければわからない特別な感情も提供してくれた風景だった。


  
  奥穂高            槍ヶ岳                白馬鑓             白馬岳


         雷菱          雷鳥平                 天狗の庭  奥に妙高山

  
 ナナカマドの赤い実が雑木帯を彩る              正面に雷菱   この右手の雷鳥平を通って下山する

  
 マルバタケブキの綿毛だろう                 ずっと妙高山と天狗の庭を眺めながら下る


                やはり雲海に浮かぶ北アルプスの半島も何度も眺める

  
   ダケカンバの幹が竜の様にうねる             08時35分 天狗の庭まで下って来た


高谷池(こうやいけ)ヒュッテ

08時40分再び天狗の庭で「逆さ火打」を眺めながら丘を越えて高谷池(こうやいけ)に下る。朝通過した時は未だ薄暗か
ったので良く見えなかったが、池の周辺も結構紅葉が美しい場所だった。09時20分「高谷池ヒュッテ」に立ち寄る。

ここは南側の笹ヶ峰登山口から3時間半ほどで来る事が出来るので火打山だけ登る場合は便利な場所にある。

当初、縦走の時間配分の関係で火打山に近い高谷池ヒュッテに泊まりたかったのだが、ここは公営で改装工事中の為受付人数
が制限されて予約する事が出来なかった。料金も黒沢池ヒュッテより安くて素泊まり4,600円、テン場料も410円と安
い。その為か普段から予約は中々取れないそうだ。トイレを借りたがとても清潔で綺麗だった。


  
  逆さ火打に別れを告げる                    天狗の庭と高谷池を繋ぐ丘を抜ける

  
  帰りは丘の向こうに妙高山が現れる              リンドウも秋には数少ない貴重な花だ


       早朝に見た時より色彩が入った風景になっていた高谷池  正面が高谷池ヒュッテ

  
09時20分 高谷池ヒュッテでトイレ休憩 改装工事をしていた 高谷池ヒュッテから見る火打山と焼山(左端)

三叉路から尾根道を伝って荷物をデポした黒沢池ヒュッテに引き返す。往路では真っ暗で何も見えなかったがシラタマの実が
沢山あって、森の柔らかい紅葉、左手の雲海や滝雲と中々の風景を見せてくれた。
10時08分茶臼山を通過するが、ここは
暗くても明るくても変わり映えのしない尾根の通過点だった。


  
 高谷池から茶臼山へ向かう道は始め岩がゴロゴロしている    帰りは明るい登山道を歩ける


   暗い内に歩いた茶臼尾根は明るくなると美しい森が眺められた

  
 妙高山の手前に見えるピークが茶臼山かな           シラタマノキが多い

  
10時08分 茶臼山を通過 明るくてもサエない場所だった     黒沢池が見えてきた


黒沢池ヒュッテが近づくと紅葉の森が小屋の周辺を覆いまるでメルヘンの世界だった。水に恵まれ景色に恵まれた山小屋は放
っておいても登山客はドンドン押し寄せるという幸せな環境だ。それに胡坐をかくことなく登山者に天候や登山道の正確な情
報を提供して欲しいものだ。



   大倉山と黒沢池ヒュッテを眺める   日差しがあればもっと良い色なんだけど雰囲気はある


                尾根筋も光が少ないが美しい色合いだ

  
      紅葉はナナカマドが主役                      黄葉はカエデやブナが主役

  
    黒沢池を右手に見ながらヒュッテへと下る          ヒュッテが近くに見えてきた


高谷池ヒュッテと対照的な形をした黒沢池ヒュッテ  この小屋の前にも小さな池塘がある  11時45分ヒュッテ着


帰りのルートで悩む  結局 「新燕温泉ルート」を下る事にした
黒沢池ヒュッテ〜大倉乗越〜長助池分岐〜長助池〜(燕新道)〜黄金清水〜大倉谷渡渉点〜麻平〜燕温泉


カシミールソフトを利用した燕新道GPSトラックログ図 伊予の鈍亀さん提供のGPSログ図を加工


10時45分黒沢小屋ヒュッテに着きザックを回収する。さて、帰りのルートを決めなければならない。当初考えていた大倉
山山麓ルートは通行止めだし、崩落があるから危険と山小屋に言われて諦めていた。次の策は長助池から黄金清水を経由して
麻平へ向かう「燕新道」だ。しかし、ここも大倉谷・渡渉地点の橋が流されて危険で通行をしない様に黒沢小屋ヒュッテや高
谷池ヒュッテの管理人さん双方から言われた。

燕新道は長助池付近から厳しい大倉谷を避けて外輪山の大倉山〜神奈山の山麓を迂回して下るルートだ。所が神奈山から南に
派生する尾根斜面が絶壁となるので仕方なく一旦大倉谷に下りて右岸に渡渉し、なだらかな妙高東尾根にコースを変える。

沢の渡渉には多少の自信はあるものの、それは沢の規模にもよる。悩んだ末に燕新道で帰る事に決めた。
何せあの長助池分岐
から妙高山への上り返しを考えただけでもノーサンキューだった。
渡渉にしても上流や下流に迂回すれば安全な場所はある筈
だ。


しかし山小屋のアドバイスは登山者にとって重い言葉だ。山小屋に危ないと言われたら普通諦める。でも天気予報などの対応
の緩さや渡渉地点の様子の曖昧な返答を考えると実際に行って確かめた風には見えなかった。山小屋を経営するのだったら、
北アルプスの山小屋の様にもう少し情報を的確に確認して発信して欲しいものだ。


   
  燕新道の大倉谷渡渉点の橋が流されているから通行止めと両ヒュッテに言われた 実際は増水時以外は問題無い
  ちなみに何処の渡渉も増水時は危険なのだ


行程2)黒沢池ヒュッテ〜大倉乗越〜長助池分岐  約1時間10分

11時00分黒沢池ヒュッテを出発して20分程で大倉乗越を通過する。ここから沢筋までのトラバース道から見る長助池の
風景は今まで色んな美しい風景を見て来た中でも指折りの感動物だった。前日の下半分がガスに覆われた妙高山も良かったが、
山裾まで自然林で覆われた自然林斜面もモコモコして柔らかな秋ならではの風景だった。

12時07分長助池分岐に下り着く。

  
  綺麗なダケカンバの大木                    わざわざ枯れたダケカンバで記念撮影

  
 峠に近づくとなだらかな笹原となる           11時20分 大倉乗越に上がりつく  奥に妙高山が覗く



   前日霧で見えなかった長助池が見える  確かに美しい場所だ  沢沿いをあそこまで下るのだ


   前日 霧で上半分しか見えなかった妙高山が麓から見える これも絶景だ

  
  急で荒れた傾斜にはロープが置かれている         長助池分岐に向かう斜面のトラバース道

  
  花が無いからキノコでも                       大岩を回り込む


  長助池が正面に見えて来た  奥に見えるのは外輪山の神奈山だろう

  
    小沢を渡る                    12時07分 長助池分岐まで下る 新燕温泉ルートの出発点だ


行程3)燕新道
長助池分岐〜長助池〜芝沢〜大倉分岐〜黄金清水〜大倉谷渡渉〜麻平分岐〜妙仙橋〜燕温泉 約4時間

長助池

さて、いよいよ気を引き締めてプチ通行止めとなっている燕新道を下る。妙高山の外輪山は東側が開けており、大正池、三田
原山のライン付近が分水嶺となって支沢が南北に分かれ関川へ流れ出る。その妙高山・北側流域に沿って燕温泉に至るのが燕
新道だ。


妙高山と外輪山の大倉山に囲まれた盆地にある「長助池」は隠れた名所として風情がある場所なので足を延ばす人も居るよう
だ。
12時10分沢沿いの道を長助池へ下る。テープ笹などもあってルートはさほど難しくは無い。

30分程で雰囲気のある長助池に着く。途中の貧弱な道とは打って変わった立派な木道や標識が置かれている。山の斜面を覆
う黄葉が柔らかく暖かい別天地の様な風景を作る。妙高山方面も手前の笹、その向こうの木々、更に立ち上がる岩峰と何とも
言えないバランスが心地よい。


  
 12時10分 長助池へと下る                   沢沿いにルートが延びている

  
 岩にマークがありテープも沢山あった              笹道を越えるといよいよ長助池に着く


  12時40分 長助池に着く  「この先ボク達どうなるんでしょうか」「まあ何とかなるわ」


                  秋の長助池


                  妙高山方面も美しい


                 妙高山を振り返りながら長助池を去る

芝沢

紅葉に彩られた笹道を下る。登山道は良く踏まれており不安は無い。13時10分辺りが開けた場所に着くと「芝沢」の標識
が立っていた。距離表示を見ると池から0.8km、燕温泉4.2kmとある。ちょうど土小屋から石鎚山の距離が残ってい
る。街の4kmと山の4kmでは歩行時間が何倍も違ってくる。でも明るい内に下山できる事は間違いなさそうだ。


  
 笹に覆われた紅葉の道を進む                基本的には小沢沿いを下る  テープも結構有る

  
  長助池への標識も置かれている                 笹薮から開けた場所に出た

   
13時12分「芝沢」の標識が立つ 燕温泉まで4.2kmある       芝沢からは又森に入る様だ

大倉分岐と黄金清水

暫くして木道が少しの間現れ、この道は結構整備されていると感じる。13時27分「大倉分岐」の標識を通過する。ここは
尾根道からの登山道が合流する場所だ。南側には大倉池があるのだがスキップする。ここから暫くは水の流れる小沢が登山道
として利用されている。実際、周りの傾斜がキツかったり藪だったりする場所では沢が一番条件の良い登山道たったりする。
水芭蕉の大きな葉っぱが見られる。急な傾斜を岩で滑らない様に下ると13時42分「黄金清水」の指標とベンチが有った。

黄金清水っても登山道自体が小川なのに今更黄金のタイトルを付けなくてもと思うのだが・・兎に角、長助池から1.9km
歩き、燕温泉まで後3.2kmを標識で確認出来る事が有り難い。


  
 この辺りには木道も付設されている場所も有った     13時27分 大倉分岐 外輪山から下りてくる道との合流点

  
  沢道をドンドン下る                         水芭蕉も見られた

  
  13時42分 黄金清水に着く 少し休憩           まあ周りが水だらけなので黄金って言われてもねえ

 
緑色をした笹原の上に黄葉する木々に秋の山歩きをしみじみと感じる。燕新道は外輪山の神奈山の緩やかな山麓に沿って下る。
神奈山直下に近づくと傾斜がきつくなるので次第に大倉谷へと下って行く。
14時を過ぎた頃に下界が見渡せる場所に出たが、
相変わらず霧で覆われていた。


          
  笹薮の上を覆う紅葉                       トラバース道を無心に歩く


14時08分下界が見える場所に出たが霧が深く燕温泉は見えない  左手の神奈山・急斜面を避けて右の大倉谷へと下る

  
  笹薮の間に付けられた登山道を下る            足元が見えないのでスピードは望めない


いよいよ大倉谷の渡渉地点へ

外輪山の神奈山付近を登山道がトラバースしながら高度を下げていく。足元は背の高い笹が多い登山道を下って行くと14時40分
下りが急傾斜になりロープが現れる。そこを下りきると今度は木道が現れた。すると右手下方に大倉谷が流れているのが見える。
14時50分河原に下りると割と水量があるが渡渉には問題が無さそうな場所がある。

恐らくここに簡単な橋が架かっていたのだろう。普段沢歩きをしているのでこんな場所を橋が無ければ渡れないって言うのがそも
そもおかしい。水深がさほど無いので最悪靴を脱げば良いのだ。

亀吉さんが石を投げ込んでいると後ろから体格の良い登山者がやって来て石伝いにピョンピョン渡って行った。声をかけると前日
ここを通っているので渡渉場所が分かっているとの事だった。同じ場所を難なく渡り終えるて右岸沿いを少し下がる。すると前方の
沢渡渉点で先程の単独登山者がニコニコ笑いながら待っていてくれた。

「ここは右側の川の中をジャブジャブ進んで下さい」と言う。一旦左岸に渡って岩沿いを渡渉したかったのだが、親切にアドバイスし
てくれるので靴を濡らしながら私と亀美さんは渡渉する。すると亀吉さんは親切なアドバイスを無視して靴を濡らさずに左岸へ一旦
渡り、そこから渡渉して来た。ここに人情に流される私とドライな亀吉さんの人間性の違いを見た。

話は戻ってこの渡渉地点の事だが、大雨の後以外は何の問題もない場所だった。

  
 14時40分 ロープがある急傾斜が現れる            小沢の様な抉れたロープ道

  
  あれ? こんな所に木道がある                 14時48分 右下に大倉谷が現れる


   大倉谷渡渉第一地点(上流部)  流木みたいなのが橋の残骸?  少し上流に渡れる浅瀬がある


       まあ これ位の渡渉はご来光の滝への面河川より楽勝だわ

  
    亀美さんも問題なく右岸に渡る                   少し川沿いを下る


水の深い場所をジャブジャブ渡って下さいと言う  もう靴がずぶ濡れで写真どころじゃなかった 15時00分渡渉を終える


 正解は亀吉さんが渡った、一旦左岸に渡ってもう一度下に見える登山道近くで渡渉するルートだった

麻平分岐

5時00分大倉谷を渡渉して時間を貰い靴を脱いでびっしょり濡れた靴下を絞る。その後妙高山から東に派生する尾根の末端部を
トラバースして麻平へと下って行く。この辺りはブナを含む自然林だが紅葉には早く緑っぽい色合いだった。

15時28分「麻平分岐」標識を通過する。ここは妙高山の2合目で燕温泉には後1.2kmとあった。ここから前日登った「北地獄谷」と
今日下った「大倉谷」の合流部へ向かって下る。朴ノ木のデカい葉っぱがあったので記念写真を撮りながら急坂を下る。

  
妙高山の尾根筋に移ってからは穏やかな道となる       ここもトラバース気味に尾根を下って行く

  
先っぽに赤い実があるからユキザサだろう            ブナが美しい登山道となる


15時28分 麻平分岐標識  ここは妙高山2合目となっている  ここから北地獄谷沿いの天狗堂コースが分岐する

旅の終わりは安心感と喪失感

15時53分「惣滝分岐」標識を通過する。その時は余裕が無かったが、後から考えると惣滝は日本名瀑100選の滝らしいから寄る
べきだった。16時00分立派な妙仙滝を渡り更に10分程で昨日通過した燕温泉ルート登山口に着く。テントを張った施設では安全
協力金徴収のボランティアが店仕舞いをしている。我々が横を通っても知らぬ顔だ。この人たちは登りの人達から寄付金を貰えばそ
れっきりって事? たまらずこちらから「ご苦労様」と声をかけた。

温泉街で日帰り入浴の確認をして下の駐車場に帰り着く。満足感や車にやっと着いた安心感と共に昨日から歩きとおした楽しい時
間が既に過去のものになった喪失感もある。どんなに楽しい時間も苦しい時間も確実に過ぎて行く。


   デカい朴ノ木の葉っぱがある  四国にも足元に沢山落ちるがこんなに大きくは無い

  
 15時53分 惣滝分岐  惣滝まで180mだった 寄ればよかったなあ    ウメバチソウが出れば下山口は近い

  
 橋が見えて林道が続く                         16時00分 妙仙橋を渡る

  
惣滝に寄らなかったので途中のソーメン滝(仮称)を眺める 16時10分登山口に帰ると協力金ボランティアも店仕舞いをしていた


エピローグ

燕温泉の日帰り入浴温泉に飛び込んでサッパリした後上信越自動車道〜長野自動車道〜中央自動車道〜名神高速道路と乗り継
いで淡路島経由で四国に帰る。母が入院した為にそのまま夜通し運転をしてもらった伊予の鈍亀さんには気の毒だった。
去年の黒戸尾根〜甲斐駒〜アサヨ峰〜鳳凰三山のロング縦走には及ばなかったものの、雨の多い今年に伊予の鈍亀さんのお蔭
で紅葉の日本百名山3座を巡る事が出来た。  感謝 !



秋の遠征 パート1 雨飾山 は    ここ      


  
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