平成26年8月30日〜9月3日
北アルプス・裏銀座縦走記

七倉・高瀬ダム〜烏帽子岳〜野口五郎岳〜水晶岳〜鷲羽岳〜三俣蓮華岳〜双六岳〜樅沢岳〜(西鎌尾根)
〜槍ヶ岳〜奥丸山〜新穂高温泉


 エピローグ
平成26年9月3日 槍ヶ岳〜奥丸山〜新穂高温泉 = 奥丸山新道を下る (沢増水時のエスケープルート)

 
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
 
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  槍ヶ岳山荘〜千丈沢乗越〜奥丸山〜左俣林道〜新穂高温泉

平成26年9月3日
槍ヶ岳山荘〜千丈沢乗越〜奥丸山〜わさび平小屋〜新穂高温泉 (約7時間)


前日石丸ガイドから説明があり、下山ルートを当初予定の上高地へ下らずに新穂高温泉へ、それも「奥丸山ルート」を取る
事を提案された。私も含めて上高地への長歩きより新穂高温泉側へ下山する事に皆さん依存はなかった。


要は北アルプス裏銀座コースの終点は槍ヶ岳であり、それが達成されれば下山ルートに拘ることは無い訳だ。それに加えて、
ここ数年飛騨沢右俣ルートにおいて槍平小屋の下流で沢の増水による渡渉事故が多発している。このエスケープルートが今回
石丸ガイドが提案した奥丸山新道なのである。


この新穂高温泉から左俣林道、わさび平小屋を経て奥丸山への登山道は2005年(平成17年)に開設されたと言うから今
から9年前に開かれた新道と言う訳だ。個人的にも、私の掲示板で去年
keitannさんからレポを頂いたり、先日渡渉事故で話題
にした迂回路であるし、未だ登ったことが無い笠ヶ岳への登山口も確認出来るという万々歳だった。


槍ヶ岳の夜明け

05時朝食の用意が出来て食堂への階段下り口から外を見ると地平線が赤く染まっているではないか。こんな時に朝食を食べ
てる場合じゃない。町子サブリーダーに「朝食をキャンセルして外に行ってきます」と告げてウィンドブレーカーを着てテン
場方向に歩く。
日の出までにはまだ時間がある様だが槍沢には雲海が浮かんでいる。

04時50分から05時20分までテンバ場の東側に飛び出た岩場に這い上がって槍ヶ岳の日の出風景を楽しむ。朝日は常念
岳の左側から出現するのだが生憎地平線に雲が出ており直接山際から太陽が出る事はなかった。

  
朝食を諦めて外へ出ると夜明けのスキャットが始まっていた テン場裏の岩場に這い上がって夜明けを待つ


       05時10分 表銀座、燕岳付近が茜色に染まる


     05時20分 常念岳の左側から太陽が現れた
             

朝食に出る前、既に出発準備をしているので急いで部屋に戻り相部屋の皆さんにご迷惑をおかけしましたと挨拶を済ませてザ
ックを持って外に出る。すると町子サブリーダーが「原さんの朝食をおにぎりとおかずにして包んでいます」と手渡された。
さすが我が町子! 気が利く〜〜こんな所に隆ちゃんが惚れたのか! え? それだけじゃ無いって?


05時30分小屋前で石丸準備体操をよろけながら行い昨日歩いて来た千丈沢乗越へと下る。飛騨沢を左手に見下ろしながら
下って行くと、西鎌尾根に滝雲が流れており、この美しい風景に皆のテンションも大いに上がる。


06時20分過ぎに千丈沢乗越に着き笠ヶ岳の壁を眺めると影槍が写っていた。道すがら2階から落ちた大森さんの打ち身を
心配するが「それがね〜 結構〜大丈夫なんですよ〜」の返事にひょっとしてゾンビ?と思いながらも皆安堵する。


 
05時30分朝日を浴びながら小屋前で石丸準備体操 あ〜これで最後か〜   「双六・笠ヶ岳、西鎌尾根」標識


  これで見納めになる槍沢側の風景   前穂高まで槍沢は雲海に埋め尽くされている

 
 お〜〜 我が石丸リーダー 背筋が伸びてかっこいいやんけ            昨日喘いだ上りを今日は快調に下る 


            今日は北アルプスの大パノラマが眺められる


    笠ヶ岳の山をスクリーンに映し出される南岳から槍ヶ岳の影絵 (槍は一番右)


千丈沢乗越から岩尾根を避けて少し飛騨沢側をトラバースする。トリカブト、オオレイジンソウ、ソバナが咲いた草薮っぽい
登山道を進むと06時50分「飛騨沢分岐」の標識に着く。いよいよここから未踏の奥丸山への尾根となる。

槍ヶ岳の岩峰に比べるとまるで里山の草地に見えるこの尾根筋も標高が2,600mはあり四国には無い標高を歩いているの
だ。
左奥に標高2,439.5mの奥丸山ピークのでべそがすぐ近くの様に見えるが実はそこまで2時間弱かかって歩く事に
なる。ダケカンバの白い幹が美しい。
尾根筋の灌木帯を歩いていると例の宮内・町子・和田ブルーベリー採取トリオが右へ左
へと忙しそうに動き回っている。


 
     飛騨沢側に下りて行く                          この辺りは御花畑だ  夏には黒ユリも咲く

 
  またお目にかかったオオレイジンソウ                   06時50分 奥丸山、飛騨沢分岐


          奥丸山までの尾根が一望出来る砂礫地を下る   右奥は笠ヶ岳

   
      比較的真っ直ぐ伸びたダケカンバ                  目指す奥丸山  見ると近いが歩くと結構遠い〜

 
      笹とダケカンバの緑豊かな尾根道                  コラ〜〜 早よ歩かんか〜 
                                         華麗なるブルーベリーの狩人コンビ 宮内、和田、町子

 
       荒れた稜線部をコル部へと下る                槍穂と笠ヶ岳の山脈に挟まれた樹林帯尾根


    北穂高岳   (滝谷)  涸沢岳 奥穂高岳 ジャンダルム 天狗の頭 間ノ岳 西穂高岳が並ぶ

  
   槍ヶ岳からなだらかな稜線が笠ヶ岳へぐるりとと回り込む             さらば 槍ヶ岳よ 

奥丸山 (標高 2,439.5m)三等三角点名 「犬公望」

08時20分左手に槍平から上る道が奥丸山ルートに合流する。左下が眺められる場所があり覗き込むと槍平小屋の屋根が見
える。相当急な傾斜だが 
Keitannさんが沢の増水時にエスケープ・ルートとしてあそこからここまで登ってきたのだなあ。で
も沢の増水時に渡渉事故から身を守る為に必要なルートだ。その上天気が良ければすこぶる眺めが良い。

 
       奥丸山が近づいた感あり                             08時22分 槍平分岐

  
正面の西尾根に南岳から槍平小屋への南岳新道がある        槍ヶ岳から南岳への山塊が左後方になる


尾根に入って歩けども中々前方に見える奥丸山は遠かった。やっと08時40分「奥丸山」に到着し、槍穂を眺めながら休憩す
る。石丸リーダーがこのルートは眺めが良いと言ってたがホンマ良い道を我々に提供してくれたものだ。三角点名は「犬公望」
(「いぬこうぼう」と読むのか、まさか「いぬきんもち」ではあるまい)で太公望(たいこうぼう)でも犬公方(いぬくぼう)
でも無い。

奥丸山新道2005年(平成17年)高山市が420万円の費用をかけて整備した道だが、このルートは更に南側の中崎山(標
高1,744m)へ向かう中崎尾根を暫く南に続き、途中で西側の左又沢へ下る。中崎山を経て新穂高温泉までの古い尾根道を
整備しても良さそうなのだが、ここは時間的に左又林道へ下る方が安全だし、「わさび平小屋」の存在にも気を遣ったのだろう。

樹林帯の尾根道を下っていくと09時40分「中崎山・わさび平分岐」に着いた。ここから続く中崎尾根は新穂高温泉まで続く
が、古い道で冬の積雪期以外はあまり利用されていない様だ。奥丸新道はこの分岐から右手の急な傾斜をわさび平のある左又沢
へと下っていく。


  
  奥丸山標識のバックは大キレット、北穂、涸沢岳・奥穂だ     奥丸山の三角点名は 「犬公望」だ (太公望ではない)
  滝谷に雪渓が残っている 

  
  槍ヶ岳から西に延びる稜線は西鎌尾根だろう              樹林帯の細尾根を南に下る

  
  西穂高から焼岳を左前方に見ながら刈り払われた尾根道を進む  右手の笠ヶ岳斜面は急で沢のザレた線が無数に見られる

  
尾根はアップダウンがあるが奥丸山からのルートはしっかりしていた    中崎山・わさび平分岐  ここを右手に下がる

旧道が先の中崎山を経由して新穂高温泉まで続いている様だが、尾根道は相当荒れている様だった。ここで尾根筋から右へ分
かれて急な傾斜を下る奥丸新道へと入る。足場の悪い道なのだが飛騨沢右俣ルートが増水による渡渉事故が頻発して以来、こ
の奥丸山ルートが脚光を浴びて整備が行われている様だ。木の階段や笹刈りが至る所で見られた。


  
    根っこや木道を伝って急傾斜を下る                 細尾根に大木があると安心じゃね

  
   笹原の斜面に出るが広く刈り払われている             きのこゲット〜〜 町子と和田きのこ倶楽部

  
 「私達 歳を取ってもこんなお肌になりたくないわねえ」                   「なるほど・・・・」

標高を下げるとブナ林が現れ美しい樹林帯になる。前方に大きな沢が見えるが登山道は右側から小さな沢を越えて回り込んで
いく。

11時00分やっと「奥丸山入口」標識の平地に下り着いた。千丈沢乗越からここまで約4時間余り、奥丸山からは2時間
20分、中崎尾根分岐より1時間20分かかった事になる。下りに使えば時間的にもそんなに厳しいコースでは無い。

広い林道にかかる橋を渡ると右手に「小池新道入口」の標識があった。昭和30年(1955年)当時双六小屋の経営者であ
った小池義清さんらによって開設された登山道がここから笠ヶ岳や双六岳への中継基地「鏡平」へ沢の右岸沿いに延びている

山小屋経営と登山道開設とは二人三脚の関係である。


  
    ブナ林の下方に沢が見える                            荒れた涸れ沢を渡る

    
      登山道は右手に巻いていく                  「あったわよ」    こら〜〜  又 きのこかい !

  
  11時00分 奥丸山・左俣登山口へ着いた              広い道を左へ曲がると大きい橋がありそれを渡る


                 小池新道入口   ここを進むと鏡平小屋に至る


大柄なクガイソウが咲く広い林道を下っていくと11時25分「わさび平小屋」があった。そこから10分ほど進むと今度は
笠新道」の入り口があり若い男性が水を飲んでいる。笠ヶ岳へ行ってた様で登山道の様子を聞くと「キツかったです」との
返事が返ってきた。

山小屋の多くは経営者によってグループになっており、このわさび平小屋は鏡平小屋、双六小屋、黒部五郎小舎と共にいわゆ
る小池グループに属する。


広い林道を歩きながらきのこ採集家町子が大きなキノコを手にライバル和田に自慢したり、ゾンビ大森がおこじょを撮った写
真を得意げに自慢したりと退屈しない。


12時15分車止めのゲートを越えて左手の橋を渡ると懐かしい新穂高ロープウェイ乗り場へ着いた。ここは初めて槍ヶ岳に
登った時と、西穂から奥穂を縦走した時に通っている懐かしの地だった。


  
      本場のクガイソウはデカい                          左俣林道を下る

  
   11時25分 わさび平小屋を通過                   サラシナショウマが風に揺れて上高地を歩いている様だ

  
   又 サブリーダー町子が大物をゲットし自慢する               笠新道への入り口

 
  笠新道の登山口には水場がある                      風穴があり、「お助け風」の表札がある

 
 12時15分 ついに左又林道の終点部ゲートに到着         ここから左へ高山・平湯方面のバス乗り場方面へ進む、


                  登山道入り口に立っている山地図

予定していた温泉が休日の為、車で少し下がった切り遠し部を右に曲がり「深山荘」で温泉につかる事にする。駐車場から
蒲田川に架かる吊橋を渡ったこの深山荘は私が最初に槍ヶ岳に上り、雨に打たれながら南岳新道を下山した時に来た懐かし
い温泉で混浴露天風呂もある。
身も心もさっぱりしてすっかり仲良くなったこの山ツアー仲間と四国までの旅が続く。

 
左俣林道から橋を渡れば新穂高温泉のロープウェイ乗り場   吊り橋を渡って温泉「深山荘」へ

 
 左上に露天風呂が写っている (大胆な女性が入っていた) 小心な男性はこんな温泉に浸かる


石丸隆一・町子山ガイドのお二人を始め、ツアー仲間の山口・大森・大谷・宮内・川本・和田の皆さん 本当に楽しい山旅を
ありがとうございました


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最後に今回参加のみなさんにエントツ山から替え歌を

裏銀座 「チーム石丸数え歌」

1つとせ ♪  ヒザのハンディ もろとせず ♪ おしゃべり家業に 励みます ♪ そいつぁ 豪気だね  (町子さん)

2つとせ ♪  ふるさとの畑 耕して ♪ 体力維持して 裏銀座 ♪          ″      ”    (宮内さん)

3つとせ ♪ 見事に ペースメーカーやり遂げた ♪ 秘訣は小屋での 生ビール♪ ”      ”     (川本さん

4つとせ ♪ 良し悪し騒ぐな 野暮なやつ ♪ すべては お金で 解決よ ♪     ”      ”     (山口さん)

5つとせ ♪ いつでも 笑顔で キビキビと ♪ 歳より1つは 若く見え  ♪      ”      ”     (和田さん)

6つとせ ♪ 無理なトレーニング アダとなり ♪ 一人で参加の 罪悪感 ♪      ”      ”     (大谷さん)

7つとせ ♪ 何ともありません 怪我しない  ♪  山小屋 騒がす 宇宙人 ♪    ”      ”     (大森さん)

8つとせ ♪ 槍を目指して 裏銀座  ♪ みんなの力で 大成功   ♪         ”      ”     (全員)

9つとせ ♪ 細かい雑用 苦手です ♪ まちこ 町子と ラブコール  ♪        ”       ”    (石丸隊長)

10とせ ♪ とうとうやり遂げ 満足よ ♪槍を 四方から 攻めまくり  ♪        ”       ”    (エントツ山)

終わりとせ ♪ 尾張名古屋は 城で持つ ♪ お山のツアーは 客で持つ ♪     ”       ”    (一般論)

付録とせ ♪ ふとしたはずみで 山ツアー ♪ これが意外に 大ヒット  ♪      ”       ”    (エントツ山



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皆さん 石丸ツアーで又会いましょう


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裏銀座縦走 第二章 水晶小屋〜双六岳〜槍ヶ岳は       ここ  

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