虎丸山南麓ルートを歩く

プロローグ


  虎丸山南嶺 旧白鳥町福栄地区から眺める  左の民家がある辺りが登山口となる

掲示板で堂山仲間の344男爵から虎丸山の南側に「鬼ノ角」コースとか「三里山(みさとやま)」コースとかが面白い
と掲示板に投稿があった。
東讃の山では女体山、本宮山〜笠ヶ峰〜壇特山、白鳥アルプス等を歩いたが里山の中でもあまり足を向けてはいない。虎丸
山がある辺りは水主(みずし)と呼ばれる地名だ。地名の由来は
昔からこの地は栄えており、西暦964年の大干ばつの時
に雨乞い祈祷が功を奏して「水主神社」の社号を得たと言う。

その後西暦1400年頃に弘法大師の再来かと言われ仏画で有名な
増吽(ぞううん)上人」というお坊さんがこの水主神社の
周囲の山を熊野三山に見立てて「水主(みずし)三山」として虎丸山、本宮山、那智山を信仰の対象にしたらしい。
つまり、虎丸山には新宮神社(熊野速玉大社)を、本宮山を本宮神社(熊野本宮大社)、那智山には那智神社(熊野那智
大社)にそれぞれ見立てた神社を置いた。



    水主神社境内  東かがわ市水主(旧大内町) 本殿左に水主三社(熊野三社)の社殿がある


  水主神社の縁起書き

虎丸山は10年以上も前に山渓分県地図(香川版)に掲載された北側からのルート(風呂)で歩いた事があったが、途中
の展望も無く急坂で余り良い印象が無かった。そこで、344男爵情報があった虎丸山の南嶺を確認する事にした。


第一回 虎丸山南嶺ルートチェックの山行 令和3年2月23日

「鬼ノ角南西尾根ルート」、「虎丸山修験造道ルート」、 「見里山ルート」

三宝寺〜鬼ノ角南西尾根〜鬼ノ角〜ダム〜修験造道(登山道)〜虎丸山〜三里山(みさとやま)〜福栄〜三宝寺 周回


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  (赤い線が今回歩いたルート)


大川バスの広場に一旦車を停めたが、「ここはバスの回転場所なので駐車禁止」とあったので付近の農道で広い場所に移動
する。この付近に家内の実家があり土地勘が少しある場所だ。
鬼ノ角ピークから南西に延びた尾根がここから始まっている
ので取り付きとした。


12時35分、イノシシ避けの柵を越えて藪に突入する怪しい光景を見られたくないので車が通らない時を見計らって、素
早く農業用水路の水門付近から尾根に取り付く。


  
 三宝寺バス停から見た鬼ノ角・南西尾根取り付き部      用水路の水門近くが今日の登山口

  
 ギョヘ〜〜 イノシシ避けの金網の向こうは藪やんか      灌木が密生する取り付き部

覚悟はしていたが、最初は酷い灌木藪の急登となる。それを10分程ガマンするとネズミサシと岩が現われ少しスペースが
出来る。直ぐにシダの藪に入るがコシダがメインなので歩くのには支障はない。
12時50分松の間に裸地の尾根となり少
しホッとする。松の間から入野山集落にある家内の実家付近を眺めながら義父と碁を差しながらこの山を見た事を思い出し
た。義父も義母も既に亡くなり時の経つ不思議を感じる。


  
 うっ 全然前に進めんが!                     足元がコシダになる

  
 灌木藪を抜けると岩っぽい尾根になった              黒い境界杭もあるぞ

  
  直ぐにシダと灌木藪になる                    まだあんまり高度を稼いでいないわ 三宝寺の屋根が見える

  
 ズボンのどこかが破れているかも・・・               靴の中に入るゴミに不快感を感じながらガシガシ歩く

  
 こんな天国の様な尾根は長くは続かなかった         家内の実家方面を懐かしく振り返る


13時に最初の小ピークに上がると一変オニシダの藪が現われて、なるべくそれを避けながら尾根を進む。南側には阿讃県
境歩きの時に歩を刻んだ鵜峠(うのたお)付近の山並みが見える。前方に261mピークが見えると少し藪が薄くなり灌木
帯に入る。
13時35分261mピークを越すと今度は松と裸地の尾根になって喜ぶ。足元にある岩は小石を噛んだ火山性
の礫(れき)岩だと思われる。


  
 ギョヘ〜 恐れていた里山の難敵、オニシダ出現〜      前方にピークが見える きっとあそこまで行けると思う・・・

  
 阿讃県境の鵜峠(うのたお)付近が見える                頑張ろう! 一歩づつ


  なんだかんだ言っても少しは高度が上がって来た 入野山〜五名方面 右のピークは笠ヶ峰か

  
 13時30分 261mピーク付近 やっと歩き易い尾根になった    前方に鬼ノ角手前の丸っこいターニングピークが見える

  
  理想的な歩き易い尾根になった                  火山性の礫(れき)岩が出て来る


尾根はその後、コナラやヒサカキの灌木帯となり境界杭も現れた。灌木帯が少し右に振って下を見るとのどかな湊川沿いの
集落が見える。


14時少し前にコブが2つある右手のピークに着いた。ここまま進むと鬼ノ角ピークとの間にある谷部へ下がって行くので、
行き過ぎたルートを左側のピークに向かってシダ藪をショートカットして尾根部へ回り込んだ。
すると暫くしてテープが現
れる。私が歩いて来た尾根を歩く人は居ないから一体何処からのルートだろう? (後で分かったが、このテープは鬼ノ角
から虎丸山へ行くルートだった。)

  
 足元にスペースがある樹林帯になった           境界石もある


   右手が開けると山々に囲まれた湊川流域の狭い平地に集落と田園地帯がのどかな風景を作る

  
13時55分 境界石と杭がある ここがターニングポイントだったがそのまま進んでしまい14時00分ルートを修正

  
5分ほどかけて左手の尾根に乗り換える         すると暫くして赤テープが現れた

  
 香川県の刻印がある境界杭               何故かこの辺りになるとテープが現れる



カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 鬼ノ角付近のターニングポイント、分岐図


鬼ノ角  364m


14時10分オニシダ藪の手前で丸い境界ポールに出合う。最初右手から藪に入るが進めそうに無いので左手に移動すると
踏み跡がありシダの間を上がっていく。この辺りからはしっかりとした踏み跡がありテープも結構見られる。灌木帯になり、
そこを抜けると14時25分、左手に虎丸山の南面がどーんと現われた。近くに大岩があり、ここが鬼ノ角に間違いない。

虎丸山の右手には岩っぽい支尾根の向こうに引田から鳴門への海岸線が見える。眼下には蛇行する湊川と宮奥池付近の集落
がコンパクトに広がる。中々の良い眺めに暫く岩の上で涼しい風に吹かれながら休憩する。大岩から振り返ると松の木に
「鬼ノ角」と記されたカマボコ板が吊るされていた。


  
 14時10分 シダ藪の手前に白い境界ポールが立っている  左手に移動すると道が現れた

  
 斜面を上がり、灌木帯を進む                    大内ダムの左手に見えるのは本宮山だろう    

  
     これが344男爵が立っていた大岩だろう         カマボコ板に鬼ノ角と書かれた標識がぶら下がっていた


   虎丸山の南嶺が見える    その向こう側に三里山(みさとやま) 右奥に白鳥アルプスと白鳥(しろとり)の街と海岸線

  
 湊川の蛇行と県境尾根、引田と鳴門方面が見える        鬼ノ角の岩場越しに虎丸山


虎丸山への道は何処?

さて、問題はここから虎丸山へは一体どう行ったらいいの? 最初、このピークから虎丸山に向かって直接傾斜を下るのか
と思って踏み跡の様な所を進むが、どう考えても崖でこんな場所が登山道である筈が無い。慎重に崖を這い上がり地形図を
見つめ直す。
すると、先ほど歩いて来た尾根の途中から右手に尾根らしき等高線を発見する。

  
鬼ノ角ピークから北側の斜面に踏み跡があったのでそれを下る  するとその先は崖だった

  
 崖から這い上がると鬼ノ角の登山口へ下る尾根に出た    ピークまで引き返して先程歩いた尾根をシダ藪まで下る


14時40分先程歩いて来た尾根を引き返す。そう言えばこの辺りにあるテープは虎丸山へ行くルートだったのだ。地図を
見ながらシダの斜面を下り、この辺りから右手(北側)に延びる尾根へ向かう。すると直ぐに踏み跡に出会ってホッとする。
最初はトラバース的に登山道は下って行くが、やがて尾根筋に乗る。岩展望所からは正面にある虎丸山南嶺を見物する事が
出来た。


  
 地形図の支尾根付近から強引に北側へ下る           すると尾根の左手をトラバースする登山道に合流した

  
 しっかりした登山道がコルへと下って行く             支尾根に出ると虎丸山南嶺を眺める岩展望所があった 

 
砂防ダムルートと南尾根ルート分岐コル

道なりに進むと14時52分コル部に下り着いた。ここにも丸くて白い境界杭があるが、正面への踏み跡は非常に薄い。正面
に続く尾根は次に歩く事になる虎丸山南尾根への別ルーtだった。左手を見ると、道が尾根を外れて急傾斜を下っている。

道なりに下って行くと5分程で小規模な砂防ダムがある谷に出る。おそらくこの谷は大内ダムへと流れ込む沢だろう。
谷の向こう岸に白い看板が見えたのでダムに溜まった水の上流側を渡ってそこへ向かう。



 14時52分 白い境界ポールが立つ南尾根分岐コルに着く  砂防ダムへは尾根を左に下る  南尾根へは正面を進む

  
 分岐コルから尾根を左に下る (テープ有り)           しっかりした踏み跡が続く

  
 沢部に下ると虎丸山への稜線が見える               砂防ダムの左岸に下り付く

虎丸山・修験造道

谷の向こう側にある標識には「虎丸山登山道 林道・修験造道」とある。ここから正式に登山道を歩く事になる。修験造道
登山口に着くと確かに林道がそこまで延びて来ていた。この林道は西側の「星越峠」へと通じている様だ。14時57分林道
の法面に沿って登山道を上がって行く。15時03分尾根を回り込んだ場所に「登山道」の標識があり、そこから虎丸山の
南西尾根に取り付く。修験造道は灌木帯の斜面を上がって行く。

15時17分少し登山道に岩が出て来て荒々しくなる。更に大岩と細尾根の道を5分程喘ぐとやはりここにも白いポール境
界標識が立っている。その先には四角い境界杭があり丸に住のマークが刻まれていた。時々現れるデカい岩を眺めながら歩
くと15時27分山頂トイレの裏側に上がり付いた。そこに立つ「下山道」標識には「林道・修験造道、星越峠方面」と記
されている。とすると、登山口に有った林道は星越峠へと続く様だ。


  
ダムの水溜まりを避けて上流側を右岸に渡る          そこに虎丸山登山道 「林道・修験造道」の標識が立つ


  
 林道は星越峠へと続く様だ 奥に見える山は笠ヶ峰か     15時03分登山口を出発し快適な登山道が続く

  
尾根を回り込むと、道から外れて尾根へと上がる         尾根沿いの登山道を進む

  
     結構ワイルドな尾根だ                      大岩も現れる

  
 虎丸山の境界杭は白いポールが特徴みたいだ         丸に住って何を表すのか? 住友は井桁マークだし・・・

  
  山頂近くになると又大岩が現れた                どうもあの向こうが山頂だな

  
 虎丸山の山頂広場西側にあるトイレ裏から登頂〜〜      「下山口 林道・修験造道 星越峠方面へ」の標識が立つ


虎丸山 417m

山頂広場には休憩所があって、先ほど登って来た反対方角の北側に2ヶ所の下山道標識が立っている。左側が「史蹟・風呂へ」
、右側が「別所新宮池へ」となっている。


のある山頂は「新宮神社」となっており赤い鳥居を挟んで一段高くなっている。石組で四角に囲まれた祠と山頂標識の奥は
奥宮池、引田方面の展望が開けている。

虎丸山はプロローグで述べた様に室町時代に「増吽(ぞううん)上人」という名僧が水主神社に熊野三社を勧請し、この
虎丸山を熊野三山に見立てて新宮神社を置いて以来、本宮山、那智山と共に信仰の山となった。

地理的、地形上重要な地となる為、中世には山城が築かれ寒川氏や安富しが城主になっていた。天正時代(1580年代)に
は十河氏が長宗我部元親との戦いに敗れてここに入城し尚も戦って最後には落城したらしい。尚、城郭の遺構に関しては
城郭放浪記さんのサイトに詳しい  城郭放浪記さんの讃岐虎丸城は    ここ 

  
 山頂の祠には新宮大社の鳥居を潜る          石組からするとここに社があったのだろう

 
  虎丸山山頂から白鳥アルプスと引田〜鳴門方面が眺められる


三里山分岐は何処(いずこ)?

さて、次の三里山へは一体どう行けばよいのか? 取り敢えず、山頂の右手に踏み跡があったのでそれを暫く下ってみるが、
スマホ地図で確認するとどうも南側へ進んでおり三里山への尾根筋とは違っている。(これは南尾根へ向かう別な尾根筋だ
った。山頂へ引き返し地形図を良く確認すると、山頂から東へ向かっての尾根に乗らなければならない様だ。と言う事は、
先ほど見た別所・新宮池ルートへ向かわざるを得ない。


  
山頂から南へ下ってみる そして途中で位置確認する作戦だ    どうも三里山への尾根では無かった様だ 引き返す

三里山分岐

15時42分山頂から改めて別所・新宮池下山道へ向かう。三里山尾根への分岐に気を付けながら急傾斜を下ると15時
46分「タバコポイ捨て注意」の看板に出合う。ここで地図を確認すると尾根が三里山方面に分岐している。そして右手に
向かって踏み跡が下っている様だ。


雑木林の尾根は割と踏まれており、立派な登山道になっているのでルートを間違う心配はなさそうだ。途中で「頂上まで
250m」と記された古い標識が倒れ掛かっている。

  
 山頂の下側広場から右手の別所・新宮池下山口から下る
   登山道は急傾斜だが良く整備されている

  
 三里山への尾根分岐を探しながら下ると標識に出合う    この辺りに間違い無い! スマホ地図で再確認


  「タバコポイ捨て注意」の看板から右に下る  確かに踏み跡がある

  
 ウバメガシの間に踏み跡が続く                   尾根っぽくなって来た

  
頂上まで250mの古びた標識が有る                すると直ぐにロープが現れる


15時50分急坂にはロープが長い距離に渡って敷設されている。この下の方にあるザイルは先日344男爵が山仲間に連
れられて背負って来た物らしい。5分程、この滑り易いロープ場を下ると、少し傾斜は落ち着く。

15時55分ちょっとした岩場の這い上がりがある。まあ10m程の岩場でデコボコが多いので難所では無い。岩場を這い
上がるとウバメガシなどの生えた細尾根が暫く続く。そこを抜けると松と裸地の見晴し尾根が現れる。右手には先程通過し
て来た鬼ノ角が、右後ろを振り返ると虎丸山の南面が眺められる。


  
滑り易い急坂にロープが続く                      立派なザイルは344男爵が担いで来た物だろう

  
急傾斜を下り切り暫く進むとちょっとした岩場を上がる      岩場の先は又なだらかな尾根が続く

  
 最初のピーク 鬼ノ角が逆光でシルエットを作る         こちらは先程居た虎丸山だ 下りは早い


16時05分岩稜帯の細尾根となる。この辺りが三里山(みさとやま)になるのだろう。赤茶けたネズミサシが生えた岩場
を一番奥まで進むと先は切れ落ちていた。ここから湊川沿いの集落を眺めた後、少し引き返して右手のう回路を進む。下の
方にも似たような岩尾根が並んでいるが、左下にある2つのピークはどうもマツタケ山らしくて入山を嫌がられている場所
らしい。


  
  岩稜帯が現れる  この辺りが三里山だろう          ネズミサシの生えた岩尾根を進む


  三里山岩稜帯の突先まで出てみる  中々の眺めだ  正面の山は入山禁止のマツタケ山らしい


暫く風化した砂が混じった滑り易い岩稜帯を慎重に下る。海岸近くの痩せた岩尾根には松が生える。シダが生えた小道を抜
けると灌木帯となり、16時35分尾根の途中から左手の林道に下り立った。林道を下って行くと石がゴロゴロした小さな
川に架かる橋を渡る。ガードレールだけの場所なのでうっかりすると橋とは気が付かない。


  
 岩尾根の右手から下って行く                    松とウバメガシの岩場を下って行く

  
 滑り易い岩尾根の風化帯をゆっくりと下る             だいぶ下って来た様だ 前方の尾根が最終地だろう


    下って来た尾根を振り返る 松が多い

  
 虎丸山と三里山を振り返る                     岩稜帯が終わるとウバメガシの尾根を下る

  
 前方の景色が下山を予感させる                   尾根の途中から左手の林道へ下る

  
 三里山の下山口を振り返る  尾根が切れる少し上側だ     16時35分林道登山口に下山し広い林道を下る                 

更に林道を下ると「馬蹄石」と大きな標識が立っている。何じゃ? 気になって近くの岩を眺めるが馬蹄形をした岩など見
られない。(家に帰って調べると、この下の川に馬蹄の形をした牡蠣の化石があるとの事だった。)


右手に岩盤を削った林道をなだらかに下ると16時50分民家のある湊川近くに着く。林道への入り口にも「馬蹄石」の看
板が立っていた。
良く考えると、この時に鬼ノ角登山口を確認すべきだったのに馬蹄石に気が取られてすっかり忘れてしま
った。(この事が次回の失敗に繋がるのである。)


  
  馬蹄石って何じゃろ?                       岩壁の林道を下って行く

  
16時50分 民家の横で林道が終わる                   登山口付近にも馬蹄石の標識がある

湊川に架かる「北原橋」を渡り、川の上流に向かって歩き17時30分三宝寺にデポした車に帰り着いた。

  
 湊川に架かる北原橋を渡る                     車をデポした三宝寺へと歩く

  
 出発点の登山口を通過する                    17時30分 三宝寺付近の脇道に置いた車に帰り着く



第二回 虎丸山南嶺ルートチェックの山行 令和3年2月27日

「鬼 ノ角ルート」、「虎丸山・南尾根ルート」、「風呂ルート」

水主神社に自転車をデポ〜福栄登山口〜馬蹄石〜鬼ノ角(登山道確認を含む)〜コル〜虎丸山南尾根コース
〜虎丸山〜風呂コース〜水主神社〜自転車にて福栄登山口



カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 鬼ノ角コース〜虎丸山・南尾根コース〜風呂コース

前回、鬼ノ角へは三宝寺から少し長い「南西尾根」を歩いた。今回は福栄登山口から所謂正式な「鬼ノ角ルート」を歩き、
下山は前回歩いた三里山コースでは無く、北嶺の「風呂コース」を下る事にした。

高松の自宅を10時頃に出発し、県道13号線(三木綾南線)で長尾新道を弥勒公園まで走り、その先で県道132号線
(田面白鳥線)に右折し大内町の「水主神社」に向かう。


11時水主神社近くに自転車をデポして、再び県道132号線で大内ダム〜星越峠を抜けて三宝寺を回り込み福栄登山口
に向かう。このルートは少々ややこしいが家内の実家が三宝寺の近くにあったので若い時に良く通った道だ。道路標識は
白鳥温泉方面を目指せば良い。


  
 水主神社入口の看板裏側に自転車をデポ             水主神社にお参りをして出発

馬蹄石

11時20分登山口近くの広場に車を駐車して山に向かう。鬼ノ角登山口を良く知らずに通り越して10分程で馬蹄石の
標識に着き、沢に下る。馬蹄石とは牡蠣の化石の事で馬蹄形をしている所から名付けられている。確かに沢の岩にモンロ
ーの唇の様な白い模様がある。

元々「馬蹄石」とは馬の蹄(ひづめ)型をした窪みが数多くある岩のい呼び名で、古くは神々が馬に乗って降臨した場所、
或いは英雄、武将が馬に乗って来た跡だと言い伝えが日本各地に残っているらしい。香川県ではまんのう町、木戸地区に
同じく牡蠣の化石があり、こちらの方が窪みの形がはっきりしている。

他にも馬蹄石が無いか沢をそのまま上流へ向かうが見つからなかった。


  
 福栄地区の林道基部近くの空き地に駐車させて頂く      林道「たらいヶ谷線」に向かい左折する

  
前回気になった馬蹄石を確認する                 標識の裏側から「たらいヶ谷」へ下る


  馬蹄石とは牡蠣(カキ)の化石だった  ここの化石は窪みと言うよりは模様だった

  
 化石を探して上流へ向かうも見つからなかった          上流で林道が沢を横切っていたので這い上がる


 尚、こちらはまんのう町木戸にある同じ牡蠣の化石「馬蹄石」 ここは馬蹄型の凹みが顕著に見られる 
 (香川県観光協会より写真を掲載)  ここは義経が源平合戦の途中、休憩中に馬の足形が沼に残されたという伝説がある)


鬼ノ角 登山口を間違う

11時50分橋が架かっている場所から林道に這い上がる。ここで鬼ノ角登山口を間違える事になる。344男爵の書き込
みをうる覚えで川に架かった橋を渡った直ぐのガードレールが登山口だと記憶していたのだ。一緒に掲示板に貼ってくれた
GPSログ図を印刷して持っておればこんな事にはならなかったのだが・・・

11時55分橋を渡りガードレールが切れた場所に踏み跡らしい形跡があったのでそこから沢の右手に向かって入って行く。
しばらく踏み跡が有ったがそれも無くなり、沢を左に渡ると獣道があるのでそれを頼りに這い上がっていく。これはどうみ
ても道では無いが取り敢えず稜線部まで這い上がる事にした。物凄い急斜面を木々を頼りに這い上がり、シダ藪へ出る。

12時25分稜線部のシダを進むと登山道に出た。結局30分程無駄歩きを強いられた訳だ。

  
「林道が川(たらいヶ谷)を渡る橋のガードレールが登山口?   何か踏み跡があるぞ  ここに違いない


 樋状のスラブがあった (後で調べると、ここでソーメン流しをやっていたらしい) どうりで薄い踏み跡があった訳だ

  
 そうとは知らずに鬼ノ角登山道を探して沢を詰める       幾ら歩いても左側に踏み跡は見つからない

  
 又、小さな滝つぼが出現 ここらで諦めて左手の斜面へ這い上がる事に  獣道を探してシダ藪に取り付く

  
 藪の薄い沢筋に沿って上昇する                  途中から崖を這い上がる

  
  一応難所の崖を上がり切る                    お次はオニシダとの戦いになる

  
 下に林道が見える場所まで回り込んだ              岩が現れたので尾根筋は近い

  
 最後のシダ藪を抜ける                        12時25分 鬼ノ角登山道に出た 向かいはマツタケ山  


鬼ノ角登山口の確認

さて、一体鬼ノ角登山口は何処だったのだろう? 面倒だがここから登山口まで下る事にする。急斜面を下って行くと12
時40分林道に着いた。成程! そこは馬蹄石の標識へ行く手前の小さな沢がある場所だった道理で軽四ハコバンが停まっ
ていた筈だ。


  
 鬼ノ角登山口まで下る事にする                  余分な歩きだが自分の失敗だからねえ

  
 おりょ!? 崖の上に出たぞ 手前から右に下りる       先程通り過ぎた場所に軽のハコバンが留まっている 


 林道の小さな沢を渡った場所が「鬼ノ角登山口」 前方には林道の岩壁が始まる場所だ こりゃ初めてだと分かりにくい


鬼ノ角登山道



カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  虎丸山南嶺ルート図 及び分岐箇所

改めて正式な鬼ノ角登山口を出発する事になった。沢の右手にある踏み跡から急な傾斜を上がると十分な登山道が現れた。
岩場の左手から進んで
10分程登ると湊川沿いの狭い平地に田畑が続くのどかな風景が広がる。川の向こう側が与田山地区で、
その奥の阿讃県境尾根は縦走時にビバークした鵜峠(うのたお)の少し西側付近だ。

12時55分石を噛んだ岩(恐らく礫岩か角礫凝灰岩か)が現れる。するとアセビの花が早くも咲いており、引田湾が見えて
来る。松が生えた痩せ尾根が続き、右手に虎丸山の南嶺が威厳を持ったように聳える。


  
尾根筋に上がるとコシダの間に登山道が延びる          途中から岩尾根っぽくなって来る


   狭い湊川流域に田園と民家がのどかな風景を作る  奥の山は県境尾根、鵜峠(うのたお)の西側だろう

  
 先程の合流点を過ぎると礫岩が現れる               早くもアセビが花を付けている

  
 岩と松の尾根を進んで行く                      境界石も置かれていた


       虎丸山の南嶺  右手の稜線が南尾根             三里山(みさとやま)

  
 前方の尖がりは手前の肩部だ                   肩部へ向かって急登が続く


鬼ノ角 364m

13時10分肩部に上がると前方に二つのコブを持った「鬼ノ角」が現われた。角とは言えないが何処となくこれが鬼ノ角の
名前の由来かも知れない。特徴のある山のピークに固有名詞を付ける事はその場所を共通認識出来る事になり非常に便利だ。

この稜線部からは鬼ノ角と虎丸山が吊り尾根になっており、その窪み中央部に五剣山の岩峰が立っている。ウバメガシと松が
生えた傾斜は一部滑り易い場所もあるが、南東尾根と合流した後は快適な歩きとなる。13時25分「鬼ノ角」ピークに着い
た。
鬼ノ角ピークには大岩があって白鳥から引田にかけての展望がすこぶる良い。それに虎丸山の厳しそうな南嶺が一望出来
る。

登山口は少し分かりにくかったが、一旦尾根筋に入ると後は一本道で、出戻り登山口から45分程で上がってこれた。



  
 尾根合流部はザレて滑り易い                   鬼ノ角か〜  ネーミングは猫ノ耳でも良さそうだけど・・・


  鬼ノ角と虎丸山の吊り尾根の間に遠く五剣山の尖がりが見える

  
 一番奥の左が屋島で右が五剣山 (ズーム)           滑り易い風化斜面を上って行く

  
 涸れた尾根には松が生える 有難い植物だ           福栄小学校跡と機関車広場が見える

  
角礫凝灰岩越しに虎丸山南嶺が見える               鬼ノ角ピークに到着した様だ

  
 鬼ノ角ピークにある展望岩  奥に見えるは虎丸山       湊川上流方面 右奥は女体山辺りか?


 白鳥町の街と海岸、津田の松原が見える (ズーム)


       白鳥と引田が白鳥アルプスを挟んで同時に見える


虎丸山南嶺分岐へ下がる

気持ちの良い鬼ノ角で展望を楽しんだ後、いよいよ今日のテーマ、虎丸山南嶺へと向かう。鬼ノ角から尾根を西側に下り、
シダ藪を抜けると丁度次のピークへのコル部が中世城郭の堀切の様に窪んでいる。13時40分この虎丸山分岐の窪みに
着き右手に踏み跡を辿って下る。最初は支尾根の左手を巻き、途中から細尾根に出る。


  
 鬼ノ角南西尾根を少しの間下る                   シダ藪を抜けると分岐は近い


   尾根が中世城郭の堀切りの様に抉られている  ここが虎丸山分岐

  
 この窪地から右手に下がる道が続いている           灌木の間をトラバース道が下る

  
 展望岩から虎丸山南尾根を眺めてテンションが上がる     14時50分 砂防ダムと南尾根の分岐コルに着く


虎丸山南嶺コースへ


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 虎丸山南尾根ルート図  トラバース路を経由して南尾根に取り付く

 13時50分修験造道への砂防ダムと虎丸山南嶺へのトラバースルートの分岐に出る。この分岐を左に下れば修験造道へ行く。
今回は正面の尾根へと進む。このビミョーに薄い尾根ではあるが、西側の与田川水系、大内ダムの源流部と東側の湊川水系
たらいヶ谷の分水嶺になっている。灌木とシダ藪を少し我慢して細尾根を進むと、左手の支尾根へ向かう踏み跡と右手の涸
れ沢を渡る分岐に差し掛かる。


最初は左側の踏み跡を進むが、どうも方角が怪しくなり引き返す。改めて14時05分右手の涸れた沢を渡り急傾斜を這い
上がる。灌木の急傾斜を我慢してトラバース気味に上がっていくと14時15分ついに虎丸山の南尾根に這い上がった。
そこにはテープなども見られるのでマイナーなルートを好む愛好者が居るもんだ。


  
 最初は藪だがビミョーな尾根を進むと踏み跡がある      ここは与田川と湊川水系の分水嶺になって小高い尾根だ

  
 シダ藪があるが長くは続かない                   14時00分 尾根を右に外れて涸れた沢に出る

  
 涸れた沢の向こう側にある急傾斜へと向かう           急傾斜を這い上がると左手が切れ落ちた斜面に沿って進む

  
 急斜面を灌木に頼って這い上がって行く テープも見られた  あの上側が南尾根の稜線だ

 

最初は灌木の間を上って行くと直ぐに尾根の反対側にある三里山と白鳥アルプス、それと引田から鳴門方面が見えた。歩い
ている内に振り返ると先程通過した鬼ノ角ピークが見える。しかしここから見る鬼ノ角には角が無い。

足元は砂っぽい裸地に枯れかけた松、ネズミサシ、それに節理が風化した岩が散在する尾根となる。左手は歩く事が不可能
な岩の壁がある。
高度が上がるにつれて鬼ノ角尾根から虎丸山分岐コルへ下るルートが見える。

  
 南尾根に上がると向こう側の景色が見える 引田〜鳴門だ  尾根の下側には角が無い「鬼ノ角」と県境尾根

  
 暫く進むと岩が現れる                         鬼ノ角ピークも次第にはっきり見えて来る

  
 少し黒っぽい節理を持って風化した火山岩が転がる       左手の岩壁は上る事は出来ない

  
 ネズミサシの生えた岩尾根                     鬼ノ角からコルに下る稜線が見える

  
 左手は近寄れない岩山である                   鬼ノ角ピークと同じ高さまで上がる


  左手の岩壁とその向こうに修験造道の稜線と肩部が見える

14時25分前方の大きな岩が立っている。ここは左から巻いて岩の前方に出ると、更に少し岩場が続く。ウバメガシや
ネズミサシの間を抜けて進むと14時35分テープが置かれた明らかな尾根筋に上がりついた。
すると前方に立派な重ね岩
が現われた。この南尾根で一番で唯一の造形美を誇る岩だろう。


ここまで来ると山頂は目と鼻の先で一安心する。松とウバメガシが生えた急斜面を更に上がるとネジキなどの樹林帯に入る。
すると前回三里山への尾根と間違って下りた尾根だと分かる岩などの風景となる。
14時50分虎丸山の山頂に南側から這
い上がる。 あ〜〜面白かった〜〜 里山歩きはこれでなきゃ。

  
  大きな岩が立つ ここは左から巻く         岩を乗り越す度に鬼ノ角を振り返る


  右手にも岩壁があり、宮奥池と鳴門方面が眺められる


   虎丸山南尾根の岩稜帯を上がって行く  ルートをちゃんと選べばそんなに危険な場所は無い

  
 ここは右手から岩場をクリアした (左も可能)   ウバメガシを抜けて稜線に復帰するとキノコ岩があった


  14時30分 キノコ岩? 重ね岩? があり、ここが岩尾根のほぼ終着点だ

  
 大岩越しに鬼ノ角と初回に這い上がった南西尾根が見える   ここまで来ると虎丸山の山頂は近い

  
 松の生えた尾根を上がって行く              その内、ウバメガシ帯となる

  
 ネジキなどの樹林帯に入る               この上が山頂だ

  
 14時50分 虎丸山の本丸に直接南尾根から這い上がった   前回眺めた風景に再度出会う


虎丸山は里山には違いないが堂山や日山の様にお年寄りが散歩気分で来るにはキツ過ぎる。又、飯野山の様に市街地からは
遠い。従って最近2度目の登頂だが登山者には会わない。



風呂コースを下る

手早く山頂からの景色を楽しんだ後14時55分「史蹟・風呂へ」の標識に従い風呂コースで下山する。前回三里山コースは
既に歩いているので、今回はこのルート上に三角点がある事と、もう10年以上前に歩いた懐かしい道を辿ってみる事にした。


  
 虎丸山からは白鳥アルプスと引田方面を眺める        「史跡・風呂へ」の標識から下る



三等三角点「虎丸」 373.01m

ロープが敷設された急坂を下ると一度尾根の右手を巻いて前方に出る。そこに三角点への標識があり少し登山道を右手に外れ
て15時00分三角点を踏む。
登山道に直ぐ合流し、この北面も松とウバメガシの斜面を下る。

沢沿いの登山道になって崩れやすい登山道を下って行くと15時25分山道から古い未舗装林道に出た。更に5分程歩くと橋
に出合いここに「登山道」の標識があった。


  
登山道だけに太目のロープが長く置かれている         急坂が終わったら一つピークの右手をトラバースする

  
  一旦歩き易い平坦な尾根道になる                三等三角点「虎丸」は登山道を外れた右側にある

  
三角点の脇道から登山道へ復帰 三角点への標識が立っている  岩も出て来るが前半の道は概ね歩き易い


    北側から見上げた虎丸山  左手のポッコリ山頂が特徴だ

  
 土壌がやわらかい場所では登山道が溝になる          山の斜面にある登山道は水が流れ無いので崩壊していない

  
 沢に近づいたり渡る場所は登山道が痛んでいる        与田川支流の風呂川沿いに下る

  
 15時25分 未舗装林道に出る                 一部道路が崩壊した場所もある ここは車が通れないだろう

  
 ヘアピンカーブを折り返す  ここもイノシシが多い   15時風呂川を左岸に渡る橋に「登山道」の標識が掛けられ杖も置かれている


新宮石風呂跡と四等三角点「風呂」

畑や民家のある舗装道路を下って行くと三差路に出るて橋を渡る。この三差路には登山道の標識が見ずらい場所にあるので
下から来ると直進してしまうかも知れない。

15時40分右手に「新宮石風呂跡」の石碑があった。石碑の下にある説明書きには元々水主には熊野、本宮、新宮の三つ
石風呂があって、この新宮石風呂が最も人気があったらしい。
江戸時代には藩の保護もあって保養所として賑わったとある。
そしてこの辺りにも数件の旅館があったそうだ。大正時代の初期には無くなってその場所に石碑が残されていた。

石風呂跡の向かいには「新宮山薬師院弘海寺跡」があり広い駐車場とトイレが備えられている。薬師院だからお隣に有った保
養所の石風呂に関連してのお寺だと想像出来る。明治時代の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)の洗礼を受けて廃寺になったのだ
ろうか。この裏山に四等三角点「風呂」70.47mがあるのでついでに踏む。


  
 舗装された農道になると畑が出て来る              初めての分岐を振り返る 左手の道から下りて橋を渡った

  
先程の三差路以外には適所に登山口への標識がある     新宮石風呂跡の石碑が立つ

  
 新宮山薬師院 弘海寺跡 広い駐車場とトイレがある  お地蔵さんが並んだ後ろ側から低い山に入る

  
 山頂には祠がある 何の神様か書かれていない        松の木が生えた 三角点「風呂」 70.47m

その後、自転車をデポした水主神社まで四国の道を歩く。前方に那智山を眺めながら歩き16時15分水主神社前に置いた
電動アシスト自転車に帰る。ついでに孫の高校入試合格祈願をして、星越峠経由で16時55分福栄登山口に置いた車に帰
り着いた。

   
虎丸山への登山口標識があった              水主神社へ「四国の道を」歩く 

  
 左手の虎丸山を眺めながら歩く 中央右の出っ張りが山頂だろう


  正面には那智山が聳える ここは次回登ってみよう

  
水主神社の祭神が奈良県からこのうつぼ船に乗ってやってきたらしい  こちらは電動アシスト自転車に乗る

  
  星越峠を経由して三宝寺を目指す          16時55分本日のミッション終了〜〜



2度に渡る虎丸山南嶺探索で「鬼ノ角コース」虎丸山「修験造道コース」、「三里山コース」更には「南尾根コース」を全て
歩き、このルートなら山仲間を案内出来る様になった。



堂山仲間と歩く 鬼ノ角コース〜虎丸山・南尾根コース〜三里山コース は   ここ    


    
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