老イノシシ達の冒険記 懐かしの大登岐山へ津根山大橋から、帰りは下川峠を下る

プロローグ


マーシーさんから久しぶりに山歩きませんか?とお誘いがあった。「ええよ〜 ルートはそちらに任せます」と言うと
「富郷キャンプ場付近から天堤山〜兵庫山へ長〜い尾根がありますので、大登岐山まで行って兵庫山へ引き返し落合へ
下る良い道があります」と言う。


「う〜〜ん 雪の無いこの時期、伊予の鈍亀さんも山歩きの場所に悩んでいたから誘うとすれば津根山橋から天堤山へ
のショートカットルートにしよう」と決まる。


伊予の鈍亀さんにラインで連絡すると二つ返事で「OK」だった。さて、それなら登岐山の三角点を踏んで、下川峠から
葛川沿いの林道へ下る事を内心考える。


吉野川支流の銅山川には下流から新宮ダム、柳瀬ダム、富郷ダム、別子ダムがありそれぞれにダム湖を有する。一番大
きくて有名なのは柳瀬ダムに堰き止められた「金砂湖」で三島の法皇トンネルを越えて下るとこのダム湖にかかる「平
野橋」を渡って別子山村に入る事になる。


津根山大橋と葛川(くずかわ)

金砂湖の上流にある富郷ダムのダム湖が「法皇湖」と呼ばれる。湖畔広場を少し上流部に向かうと「津根山大橋」があ
り南側にある落合集落を結ぶ。その橋を渡った所が今回の登山口となり、仮に「津根山登山口」と呼ぼう。ここにある谷
筋は兵庫山〜大登岐山〜黒岩山〜野地峰を水源とした谷川が流れて来ており、地図には特に河川名が載っていない。現場
で確認すると「葛川」(くずかわ)の看板が有ったので今回下山に使った谷筋を葛川と呼ぶ事にする。


 
令和2年1月11日(土)

津根山大橋〜天堤山〜兵庫山〜大登岐山〜登岐山三角点峰〜大登岐山〜下川峠〜葛川林道〜津根山大橋

行動時間 約11時間半 
距離   15.2km



カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  伊予の鈍亀さん提供


行程1)津根山大橋P〜天堤山 約2時間15分

06時30分新居浜の山根公園から伊予の鈍亀車で大永山トンネル経由〜津根山大橋へ向かう。金砂湖方面から来るマーシー
さんと登山口の津根山大橋を渡った所にある駐車場で待ち合わせだ。先に着いて辺りを見回す。伊予の鈍亀さんが「登山口は
先のトンネル付近だろ?」と聞かれて「いいえ ここからです」と答える。確かにトンネル付近から702ピークへ這い上が
る尾根があるのだが、ここは気持ちよく尾根の先端部から這い上がるのがいい。




  
 集合場所は津根山大橋を渡った所にある駐車スペース      え? ここが登山口?

暫くしてマーシーさんが現われて年始の挨拶を交わした後、07時40分ススキの生えた斜面に取り付く。おそらくここは道
路工事の擁壁に山肌を削った斜面だろう。すぐに植林帯に入り尾根筋を歩く。08時頃から702mピークに向かって植林の
急登りとなりいきなりの傾斜に喘ぐ。


08時20分平らな肩部、702mピークに上がる。10分程枝打ちされた植林帯のなだらか尾根を進むと次の急斜面となり
大岩が出て来た。植林の尾根は退屈するので岩の出現は気分的に引き締まる。半端でない急斜面でふくらはぎの筋を伸ばしっ
ぱなしの這い上がりが続く。岩と植林の細尾根には立派な赤松も立っている。


  
 ススキの法面を這い上がる                      ススキの斜面を上がると植林帯の尾根が始まる

  
  枝打ちされた植林が右手に並ぶ                  さっそく急登が始まった

  
08時20分  702mピークに着く                  暫くは枝打ちされた植林が続く

  
 すぐに急登になって来た                         08時30分 大岩が現れる


   やっぱりこんな岩尾根が刺激になっていいわ  ツバキの樹が並んでいる

  
   次の大岩がすぐに現れる                         灌木藪をはいあがる

  
  う〜〜ん こりゃ相当の傾斜じゃわ                赤松が結構多い  秋には松茸があるかもね


08時40分植林帯と自然林が綺麗に別れた急登が続く。この辺りの境界杭は黒に頭が青い色をしている。10分程進むと肩
部に着き傾斜が緩くなる。赤松にワイヤーが食い込んでおり、左手の植林帯に伐採用の索道が見られた。地形図には左手の緩
斜面にジグザグの作業道が有り、このワイヤーの存在も納得出来た。天堤山の北尾根は急峻なので、その下部には平らな地形
が広がっている。


標高850m辺りから少し急斜面が続き、900m辺りが又緩斜面となる。右手の高木自然林には寄生木(やどりぎ)が殺風
景な枯れ木を飾る。



   左が植林、右が自然林  こんな尾根は歩きやすい

   
 最近の境界割り出し杭はこの青色を良く見かける       松の根元にワイヤーが食い込んでいる  伐採地があるんだな

  
  依然急登が続く                            09時05分 なだらかな斜面が広がって来た


                  逆光のヤドリギアート


天堤山 (あまつつみやま) 三等三角点「天堤」 1,146.6m

09時25分天堤山の北尾根が近づくと急斜面となり植林が消える。明るい灌木帯の急登を喘いで09時37分天堤山の北尾
根に上がると、左手に伐採地が広がり上猿田集落が見える。やっと天堤山が近づいた気になり、なだらかな細尾根を南に進む。

09時55分第一目標の「天堤山」の三角点に到着する。あまり時間配分などは無頓着だったが、登山口から2時間15分も
かかったのはちょっと想定外だった。


  
  相変わらず左植林、右自然林のパターンが続く        09時30分頃からリョウブやクヌギの自然林となる

  
 マーシーさんも青い境界杭を覗き込む               09時38分 左手に伐採地が広がる 奥に上猿田集落

  
  やはり同じパターンの尾根が続く                  このピークが天堤山かな?


    09時55分 やっと第一目標の天堤山(あまつつみやま) 三等三角点「天堤」に とうちゃこ〜〜


行程2)天堤山〜兵庫山 約2時間

天堤山からはリョウブが尾根の両側に並ぶ平坦な尾根がしばらく続く。10時10分石堂山の石塔ミニチュア版のセリ割を通
過する。リョウブの中に珍しくヒメシャラも混じると、まるでゴジラの背の様な岩尾根が現れた。この尾根は天堤山を過ぎる
と基本的に岩尾根が続く


  
  リョウブとアセビが並ぶ尾根                    珍しくヒメシャラも立っていた


   10時10分 スリムチェックのセリ割  マーシーさんは横になってギリギリ通り抜けた


            次はバランス感覚を試されるゴジラの背を下る

  
サルノコシカケの幼菌 初めは白くてやがてこげ茶色になっていく     岩尾根が続く


10時25分再び左手に伐採地が広がる。地形図を見ると天堤山の東斜面には猿田川まで広大な緩斜面が広がっており林業が
盛んな地形で、作業用の林道も近くまで延びている。猿田集落は昔から林業で栄えた村だろうと想像出来る。

しかし、この伐採地を過ぎた以降の尾根筋は県境の兵庫山まで両側を葛川と猿田川の支谷が迫る急峻な尾根となりでシャクナ
ゲと岩が暫く続く事になる。10時32分尾根の傾斜が緩くなると暫くして右手の窪地に水が溜まって池の様になっている。
急登を上がり切り次の急登まで少し尾根が間延びする場所があるので登山者や動物は一息つける。
10時50分右手の平らな
斜面に大ブナが立っている。丁度獅子舞の鼻手前にあるブナ太郎の様だった。


  
 10時25分 再び左手に伐採地が広がる            そこを過ぎると灌木の岩尾根となる


           こう言った尾根歩きは刺激があって楽しい

  
  岩尾根のお友達、シャクナゲが現れる               右手に県境尾根が見える 黒岩山かな

  
  相変わらずの岩尾根の急登                   右手に平坦なラインが見える ブナやヒメシャラがいいね

  
  動物の憩いの場がある                        おおっ  立派なブナがありますよ〜


                まるでブナ太郎のいとこの様じゃね


10時58分地形図に1224mピークがあるが、ここは細い天然杉や雑木の平凡な尾根だったので通り過ごしてしまった。前方
に見える尾根の右手に小規模な植林帯が見られるが、そこを過ぎると植林は見当たらなかった。11時15分兵庫山手前のの肩部
(1250m)に着き少し休憩する。するとマーシーさんから貴重なお菓子の差し入れがあった。
この珍しい差し入れを頂くと急
に尾根が荒れて岩がらみの細尾根となる。その内シャクナゲも出て来て尾根歩きの退屈感を吹き飛ばし面白い。


  
 地形図にある1224mピークは平凡な尾根だった        次の1250m肩部の右手には少し植林帯があった

  
え? ホンマか? マーシーさんのぎこちない差し入れ場面    急に尾根が荒れて来たぞ

  
 天然杉とリョウブの細尾根                        ワイルドな細尾根が続く


11時40分前方に天然ヒノキの根が尾根一杯に広がり洞になっている。マーシーさんだけがこの洞潜りに挑戦し無事通過出
来た。
この洞を過ぎると右手に斜面を下るルートがある。ここが落合に下る登山道だろう。さて、帰りは大登岐山からここに
引き返して落合に下るかも知れないので良く覚えておかなくては・・・


  
 細根一杯に樹が生えている                     11時40分 天然杉の根っこが洞になっているぞ

  
      裏側に回ると洞がトンネルになっていた        すると赤いイノシシが洞を潜って出てきた


 11時46分 何気ないコル部だが、ここが兵庫山から落合に下りる道になっている


兵庫山 四島三角点「兵庫山」1,303.15m

落合分岐コルから尾根の右手が植林帯、左手がブナなどの自然林のパターンが少し続が、又ブナやモミの大きな木が立つ尾根
の上りになる。
11時59分前方に最後のピークが見えてそこを登りきると見覚えのある狭い兵庫山に着いた。

国土地理院の三角点は真新しい物だったが、ここに後ろの木に吊るされている高松一高山岳部OBOG会の石鎚・剣山縦走記
念のプレートはもう字が読めなくなっていた。折角の記念プレートなのにもうこれを修復(ペンキで字を書くだけ)する関係
者は居ないのだろうか。


   
 左がブナ等の自然林 右手に植林が現れる           ブナやツガなどの傾斜になる

  
       県境尾根が見える                       もうすぐ兵庫山だ


  12時00分 2つ目の目的地である兵庫山に到着する

  
   三角点は真新しい                        石鎚剣山縦走記念プレートはもう文字は見えない

  
 2013年10月 東部県境尾根トレイルの時              2015年10月 石鎚・剣山単独無支援縦走時

冬山だというのにポカポカと温かい細尾根で昼食を取ることにした。昨日伊予の鈍亀さんには「ひょっとしたら霧氷が見える
かもしれませんよ」と言ったのが虚しい戯言(たわごと)になってしまった。



行程3)兵庫山〜大登岐山 約1時間30分

12時36分ゆっくりしすぎて重くなってしまった体を上げて兵庫山を出発する。大登岐山への南へ向かう県境尾根にはリョ
ウブや細いモミが並ぶ。距離的にはさほど無いので少し気楽だ。15分程でピークを一つ越えると前方に大登岐山の高みが迫
る。


一旦コル部に下り、大登岐山の肩部にさしかかるとブナ林となる。この時期のブナは白っぽいまだら模様の幹をしており、そ
れが何本も並ぶと美しい。


  
ここから県境尾根を大登岐山へと進む 正面は大登岐山         依然リョウブの細尾根が続く

  
大登岐山手前のピークに向かう リョウブは鹿に齧られている   コル部を過ぎていよいよ大登岐山への斜面になる


   美しいブナ林 大きくはないが冬枯れ模様がいいのよね

やがてスズタケが現れ、次にシャクナゲが出てくると岩尾根のサインだ。13時20分結構大きめの岩室がありマーシーさん
と亀吉さんを追い込んで写真を撮る。やはり人間が入らなければその大きさが実感出来ない。
ヌタ場を過ぎると背丈の低い笹
とブナの風景が少しの間続く。県境尾根歩きにはこんな場所が時々現れ平和的な気分にさせてくれる。


  
 スズタケの藪の痕跡がある                      岩尾根が近づくとシャクナゲが出てくる  ケルンあり

  
  13時20分石室が出現                      定員2名、素泊まり寝具なしの部屋だった

  
 2重尾根気味の窪みには大きめのヌタ場がある          11時30分 平和な尾根の見納めかな?


大登岐山 (おおときやま) 1,477m

13時36分岩が現れいよいよ大登岐山への這い上がりとなる。左手には迂回路があるのだが、今回は尾根筋の岩に沿って進
む。一旦岩尾根に這い上がると西側の大パノラマが広がる。黒岩山から野地峰、無名峰の尾根の向こうに大座礼山、更にチチ
山、笹ヶ峰が続く。
少し右手には二ッ岳、エビラ山、東赤石の法皇山系、赤石山系が県境尾根へと続いている。お馴染みの山
々なので同定は容易だ。


  
  いよいよ大登岐山の岩場が始まる                 霧氷が落ちて滑りやすい尾根を上がる

  
 霧氷の落ちた尾根筋に一旦出る                  西側が開ける 正面は1369mP 右端が黒岩山だ


    大天狗と呼ばれる大登岐山の岩峰が聳える


 西側に石鎚山系の大パノラマが広がる 正面が黒岩山 そこから下がって野地峰 その奥が東光森山


           正面右手には法皇山系〜赤石山系が並ぶ

展望を楽しんだ後、大登岐山ピークに向かい最後の詰めに取り掛かる。ここは鋭い岩峰に沿って左手の崖部を進むのだが、霧
氷が落ちて凍結し危険だった。悪戦苦闘しているとマーシーさんが上の岩場が歩きやすいとアドバイスして先頭を行く私以外
はさっさと隊列から離脱する。取り残された惨めなリーダーは意地でも苦難を切り抜けて皆と合流する。


14時10分4度目の大登岐山に着き記念写真を撮る。この場所が最高点かどうかは少し疑問ではあるが、何せ大岩と白骨樹
がありムードたっぷりの場所なのだ。


  
   さあ、山頂へ向かいましょう (マーシー写真)        岩の左斜面は落ちた霧氷が凍結してヤバい

  


   14時10分 大登岐山の山頂にて  エントツ山4回目、マーシー3回目、伊予の鈍亀 初めての山頂だ


行程4)大登岐山〜登岐山三角点 (意外と近かった) ピストン 約 30分

さて、今日こそは登岐山三角点を踏もうと意気込んで来た。今まで3度この地に来たのだが、縦走の途中でこの藪三角点へピ
ストンする下りと上りのロスが非常に勿体なく感じてことごとくパスして来た。今日も思いのほか時間が押してはいたのだが、
今までの心残りを晴らす為に今日ここにやって来た様なものだ。マーシーさんに「行くぞ!」って言うと「私はここで待って
ますからどうぞ行って来てくださいませ」と答える。伊予の鈍亀さんは「距離的に見てそんなに時間はかからんでしょう」と
冷静だ。ここまで来たら全員で行くのだ!とマーシーさんの重い腰を上げさせる。


 登岐山三角点峰への降り口 (テープ有り)  稜線上奥にあるピークは大己屋山(おおごややま)だろう

登岐山(ときやま) 三等三角点「下川峠」1,446.5m


大登岐山の山頂から少し尾根を進んで14時20分テープのある笹薮斜面へと入る。さすがに最初は崖の様な急斜面を下る。
踏み跡もテープもそこそこ有り、迷うことも無くコル部まで下り付く。ひょっとすると下川峠へのショートカット道があるか
も知れないとザックを背負ったまま来たが、途中にそんなスペースすらも見られなかった。


14時31分登岐山三角点に到着する。三等三角点名は「下川峠」で国土地理院の地図基準点成果閲覧サービスには標高値は
記載されていないが、地形図には1,446.5mとなっている。


三角点から南へ延びる尾根方面には桑ノ川林道へ下りる踏み跡が見られた。さて、のんびりする時間は無い。大急ぎで大登岐
山へと引き返す。14時45分稜線部へ這い上がり大登岐山へ挨拶の後、下川峠へ下る分岐まで少し下る。

  
 当然 笹薮に突入する                結構新しいテープもある

  
 三角点峰が近づくと意外に藪は薄くなる         三等三角点「下川峠」


  登岐山に参上〜〜〜  エントツ山もマーシーも初めて来た三角点だ

  
左手に下川峠への近道が無いか探すが獣道すら無かった   14時45分 尾根部に這い上がる  あ〜しんど


行程5)大登岐山〜下川峠 約1時間

大登岐山に14時48分帰り着いた時点で、誰も兵庫山へ引き返そうと言う常識的な者はいない。ここまでくれば下川峠に下
って、明るい内に林道へ着けば後はヘッドランプでのんびりと安全な道を帰れるという算段だ。


  
  14時46分大登岐山を通り過ぎる                下川峠への下り口へと進む

無言の了解で一つ大岩を越した辺りから左手に崖っぽい斜面の笹薮へと入って行く。以前、この分岐には枝の先にペットボト
ルを刺した目印があったのだが今は無い。


私がこのルートを過去3度歩いているのだが、最初にここを下ったのは2005年10月で紫雲さん、マーシーさんと一緒だ
った。その時、マーシーさんが「ここを下ります」って言った時には耳を疑った。それ程の意外な県境尾根下り場所だったの
だ。
あと2度は野地峰方面から這い上がった。

2005年 紫雲さん、マーシーさんと大登岐山〜野地峰へ下った記録は  ここ   

2013年 県境東部トレイルで野地峰〜大登岐山を上った記録は     ここ   

2015年 石鎚―剣山単独無支援縦走で野地峰〜大登岐山を上った記録は ここ    

先頭で笹を掴みながら崖を下る。県境尾根部の突端は岩場なので少し手前から尾根を下りて右手に斜面を迂回しながら尾根に
乗る。途中2度程崖に阻まれてそれぞれ少し右手に迂回する。


15時06分目印の大岩横を抜ける。この辺りの尾根筋肩部から上側と下側の景色を眺める。相変わらず笹の大藪だが、心持
ち以前より勢いが衰えた様な印象だ。正面に見える尾根の高みは黒岩山手前の1,369m無名峰ターニングピークで藪尾根
はここで大きく右手に曲がる。下川峠はコル部から少しこのターニングピークに向かう途中にある。


  
14時52分 笹薮に突入する                    少し右手に移動しながら踏み跡を笹の倒れ具合で見極める


   何とか後続も付いて来ている様だ  

  
 前に進む足の抵抗が少ない場所が獣道だ              時々後続を振り返る  叫び声やため息が聞こえる

  
15時06分 記憶にある大岩の横を通り抜ける        前方が開けた場所に出て尾根に乗っている事を確認し安堵する  


15時15分再び大藪に突入し、笹に潜って獣道を下がす。幅10cm程の獣道が藪で足を前に進みだす頼りになるので楽な
のだ。
コル部の藪を這いつくばると15時27分上り傾斜になる。するとブナが現れて一息つける場所となり大登岐山の下って来
た斜面を眺める余裕が出てくる。


  
  再び猛烈な笹薮に突入する                    時々笹に潜って獣道を確認する

  
 15時20分獣道はコル部近くに達した様だ             15時27分 下川峠へ向かって上り傾斜となる

  
  上り傾斜でも気は抜けない 倒木で進路が妨げられる   少し笹薮が薄い場所に出て大登岐山を眺める余裕が出てきた


   あそこから下って来たのね  赤いイノシシもお疲れモードだわん


         人見知りの大ブナが藪歩きの我々を慰めてくれる


           ブナゲートから大登岐山を眺める


         「まあ こんな所に四度も来てくれて奇特な方じゃねえ」(ブナの精)


下川峠 (しもかわとうげ)  

下川峠は高知県土佐町下川と愛媛県側、落合を経て富郷(とみさと)を結ぶ古い峠であったが、今は鹿やイノシシや変わった
登山者しか通らない藪尾根の交差点だ。「下川」は吉野川の支流・下川川流域の集落名で登岐山三角点にもこの峠名が使われ
ている。

以前下川峠を通過した時は少し広場の印象があったが、シカの食害を受けたリョウブが立つ尾根を漫然と進んでいると下川峠
を過ぎてしまった。こんな時スマホのジオグラフィカが便利で破線道がある下川峠へ引き返す。それにしても峠の雰囲気が全
く無い殺風景極まる場所だ。地形図に破線が無かったらまずこのルートを見つける事が困難な場所だった。

ここで余った水やお茶でガラガラと各自うがいをする。この藪尾根を上るのはキツいが1時間程の下りは思ったほど苦労はし
なかった。藪を何度も歩いた経験がそうさせるのか、山仲間と歩く安心感がそうさせるのか・・・



  15時43分 下川峠ビンゴ!の場所だが、通り過ぎてしまった

  
  あれ? おかしいぞ  行き過ぎて引き返す           15時50分下川峠に引き返し少し休憩する


行程6)下川峠〜葛川林道終点部 約1時間30分  皆の者 心して歩かれよ!


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  下川峠〜葛川林道

マーシー案内人は役に立たんぞ!

さて、ここからはバリエーションガイド・マーシーの出番だ。彼の話によると以前ここを下った事があると言っていたのだ。
トップをマーシーさんに交代すると「皆さん こっちですよ〜」と自信満々案内モードに入る。踏み跡は稜線からジグザグに
下りて行き、少し左手にトラバースするが、マーシーさんがトップなので誰もスマホ地図を見ない。

16時10分余りにも左に進み過ぎるのでおかしいと思いスマホ地図を初めて確認する。あれ? のっけから破線ルートを外
してるじゃん!「イカン! これかは誠に遺憾! ここから如何(いかん)せん!」とマーシー。 「ええじゃん え〜じゃ
ん ここを少し右手気味に下ったら下で破線路と合流するで」と答える太っ腹なツアー客。迷った時には元に帰るって登山の
鉄則を知らないへそ曲がりが揃っているので、そこから岩とコケのゴーロ帯を少し右目に10分程下って行く。

  
 さあ 皆さん こっちですよ〜〜  は〜〜い      荒れてはいるが確かに踏み跡は有る

      
 どんどん左に進むが誰も疑問に思わない           さらば 大登岐山よ 

  
  日が暮れるから急げや 急げ              どんどん進む

  
  何か変だぞ !                  皆さ〜〜ん  道が無くなりました〜〜  え!?

  
なかなか雰囲気が良い谷筋ですからここを下ろう!      水場もあるし


   破線路より歩きやすいかも知れませんぞ


破線路に合流するも踏み跡は無し!

やがて谷部に近づくと笹薮が現れたので右手の低い稜線に向けて這い上がる事にする。尾根に上がって急な斜面を下って行く
と16時38分、尾根を横切る道に出た。ここが破線道との合流点となっている。地図を見ると破線道はここから更に尾根を
下るのだが、伊予の鈍亀さん達はマーシーさんに付いてここで出現した道を左手に進んでいる。後を追いかけると、道は谷部
で崩落しており引き返して来た。確かに破線路だけを頼って歩くとロクな事がないのは事実だのだけど・・・。


先ほどの尾根先端部に引き返し、踏み跡の無い斜面を破線に従い沢に向かって下って行く。すると又斜面をトラバースする踏
み跡が出て来てそれに従い左に進んで16時56分支沢を一つ越える。支沢の向こう側は植林がまばらに見えて石垣がある平
坦な斜面に出るが、それも続かず17時05分斜面崩壊部にぶつかる。少し引き返して比較的安全な場所を選んで沢に下りる
事にした。

いつも誰かが10mお助けロープを持っているのだが、この日に限ってこんな状況は想定外で誰も持っていない。かろうじて
私が常備している4mのスリングを使って斜面を下る。マーシーさんは適当に別な場所から下っている様だ。

  
 破線路に合流する為 右手の支尾根方面へと進む     支尾根へ這い上がる事にする

  
 斜面をテキトーに稜線へ向かう           16時32分 植林の支尾根に上がって尾根伝いに下る

  
 ここを下れば破線路と合流出来る           私はスマホ地図を丹念に見ながら後を付いて行く

  
 16時38分 右手から下ってくる尾根破線路と合流する    あれ? 皆は水平道へ進んでしまっているぞ

  
水平道は斜面崩壊で道が崩れているので引き返して来る    先ほど下った尾根部まで引き返して、ここを下る

  
 なるべく破線に近いルートを選んで斜面を歩く     16時57分 支沢に下りて渡る


  17時00分 石垣が組まれた平坦地に出る  沢の近くだから作業小屋でもあったかも知れない

  
   案の定 植林が現れた              沢が見えたが上側の斜面が崩壊している様だ


17時18分沢に降り立って少し下ると左側が斜面崩壊しているので右岸に渡る。林道は左岸にあるので斜面崩壊部をやり過
ごしてから左岸へ渡り返すと17時25分崩壊気味の林道跡がありケルンが置かれていた。この林道跡も先の谷部が崩壊して
歩けない。谷の向こうには斜面が木で保全された道が見える。

亀吉さんがテキトーに崩壊谷を沢へ下った様だが、マーシーさんが近くにフィックスロープが置かれた沢へのルートを発見す
る。沢に下ると、この辺りは砂防工事をしているのか対岸に渡る木橋などもある。
17時30分先ほど見えた斜面を保全され
た小道を抜けると荒れた未舗装林道に着いた。


  
 17時05分 これ以上斜面か危険で進めない           17時18分 スリングを使って川面に下りる

  
 左岸が谷まで崩壊しているので少し右岸を歩く          17時24分 左岸へ帰って歩く

  
 前方の斜面保全場所へは直接行けない             ここにフィックスロープをマーシーさんが見つけて下りる

  
対岸に向かって木橋が渡されている 対岸に道路がある様に見える   左岸の砂防法面を通過する

  
 17時34分 未舗装林道の末端部に到着する ばんざ〜〜い!!  17時43分地図で見ると林道がヘヤピンカーブしている場所だった

やれやれ、ここまで臨機応変に想定外の崩壊地や沢を臨機応変に林道まで辿り着いてほっとする。ヘッドランプをザックから
出して準備をして林道を下る事にする。



行程7)葛川林道終点部〜津根山大橋 約1時間45分

地図には下っていく沢の名前は載っていないが、下流部に「葛川(くずかわ)」という標識があったので仮にこの沢も葛川
と呼ぶ事にした。
17時43分地図を見るとこの未舗装林道はヘヤピンカーブとなっている場所を通過する。上りは野路峰
方面へと延びており、下りは葛川に沿って銅山川へと続く有難い林道だ。


他愛もない話で退屈を紛らわせながらひたすら歩く。18時25分黒岩山へ向かう葛川支流にかかる橋を通過する。

18時42分今度は兵庫山へ向かう葛川の支流との出合いには神社の鳥居や建設資材置き場があった。兵庫山から下った場合
もこの場所近くに下りてくる事になる。そこから5分程歩くと立派な舗装道路がヘヤピンカーブしている場所に着き、道路に
は「落合―戸女(とにょう)」の標識が掛かっていた。戸女(とにょう)は野地峰への登山口がある。


19時10分やっとスタート地点の津根山大橋の駐車場に帰り着く。厳しい場所を暗くなる前にクリアし、夜は安全な林道を
歩いて帰る作戦は成功したと言える。


  
18時25分 最初の橋を渡る                       18時42分 神社の鳥居を通過

  
18時47分 戸女(とにょう)に行く舗装道路のヘヤピンカーブ通過   19時10分 やっと津根山大橋の駐車場へ帰り着く


    ばんざ〜〜い !   お疲れさんでした  楽しかったわ〜〜

懐かしい大登岐山へマーシーさん、伊予の鈍亀さんと我々らしい歩きを堪能出来た一日だった。


    
      
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