日奈田峠から土須峠を繋ぐ
(日奈田峠〜天神丸〜樫戸丸〜高城山〜ファガスの森〜砥石権現〜鹿舞ダキ〜土須峠)
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 日奈田峠〜土須峠
プロローグ
石鎚山〜剣山縦走の後、更にその足跡を東の尾根に延ばそうと考える。その第一弾は剣山から一ノ森でテント泊をして
肉淵峠〜榧(カヤ)ノ丸〜日奈田峠を歩いた。
さて、その続きになるのだが、剣山スーパー林道が尾根沿いに通っているので一見簡単そうだが少し作戦が必要となる。
そこで、最近テント泊に目覚めた愛媛の山友、のーちゃんと黒河ジュニアを「ファガスの森でキャンプ」をしようと誘
ってマーシー車と能智車の2台で出かける。
1日目は先ずマーシー車を土須峠へデポし、ファガスの森へ行きテントを張る。そこから土須峠まで歩いた後キャンプ地
まで車で帰る。そしてその日の内に車2台で日奈田峠へ行き、マーシー車をデポして能智車でキャンプ地に帰って来る。
2日目はファガスの森から高城山〜樫戸丸〜天神丸〜日奈田峠まで歩き、デポしたマーシー車でキャンプ地まで帰り解散
って寸法だ。車を出してくれた二人には申し訳ないが我ながら中々のアイデアである。
2020年10月3日
ファガスの森〜西砥石権現〜砥石権現〜鹿舞ダキ〜土須峠
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 ファガスの森〜土須峠
朝06時10分川之江に集合し高速道路で脇町インターを降り、山川から国道193号線を長々と走り吉野川水系鮎喰川
の源流地神通谷川付近で「雲早隧道」を抜ける。トンネルを抜けると直ぐに左側、雲早山登山口方面に進み今日下山予定
の「土須(どす)峠」にマーシー車をデポした後トンネル口まで引き返す。ここから那賀川水系に変わり坂州木頭川支流、
沢谷川源流の地蔵谷に添って剣山スーパー林道をファガスの森へと向かう。
08時40分「六角峠」と呼ばれる場所にある那賀町営の「ファガスの森」に着くと管理人の奥さんが出て来て対応し
て頂く。何でも神戸から多くのバイクがツーリングに来る予定でカレーの注文がありその準備をされていた。
地下足袋王子も普段は地下足袋を履かずに長靴姿で忙しそうだった。
て下さい」との事で各自空間に余裕を持ってテントを設置する。
ファガスの森・高城でテント泊の申し込みをする 少し石ころが有るが地面は平だ タイベックのグランドシート
マーシーさんは中華製、私はファイントラック 能智さんと黒河ジュニアさんはアライテント
マスクとソーシャルディスタンス 私はキャンプの場合はファイントラック2張用意
09時45分ファガスの森登山口から右手の砥石権現方面へと入る。立派なヒメシャラを眺めながらフデリンドウの咲く
急な尾根を上がって行く。なだらかな尾根になるとシコクママコナが沢山咲いている。
10時12分ヒメシャラの枝でお馬さんごっこをして遊んだ後直ぐにファガスの森〜東砥石権現の標識があり、尾根が少
し右に曲がると上り坂になる
砥石権現は右に進む ヒメシャラが立つ快適な尾根
フデリンドウ シコクママコナ
土壌が薄いのか立派なブナが根を地表に広げる 第一お馬さんごっこ 黒川ジュニアさんと能智さん
10時12分 東砥石権現方面への標識がある 少し緩やかな上り尾根を歩く
10時20分三角点に良く似た境界石があり地図を見るとこの1,457mピークが一応「西砥石権現」とされていた。
ここには特に山頂標識の様な物は見当たらなかった。左手に鮎喰(あくい)川上流地の集落が見える。尾根は藪が無く小
さなブナやリョウブなどが生えてとても歩き易い。
10時35分左手が開けて徳島の山々と谷筋が見える。尾根には岩が出て足元は鹿の生息を窺わせるシダが生えている。
その内尾根から岩が消えると自然林と快適な尾根が続く。ブナの大木は少ないがヒメシャラとブナの美しい風景だ。
10時58分又お馬さんごっこが出来るヒメシャラがあったので童心に帰って暫く遊ぶ。
10時20分 西砥石権現のピークに着く 山頂標識は見当たらない 鮎喰川の谷間に集落が見える
尾根はスペースがありとても快適だ 左手に又 鮎喰川の谷筋と集落が見える
少し岩っぽい尾根になりシダなどが足元に見られた 10時42分 岩とヒメシャラが現れる
いや〜 美しい尾根だこと! お馬さんごっご第二弾 マーシーとエントツ山
堂の窪
11時03分、前回雲早山の帰りに寄った時に使ったスーパー林道からの登山道に合流した。このコルが堂の窪と屋ばれ
ているらしい。そこから暫く歩きトリカブトの花を眺めた後は更にブナとヒメシャラの美しい尾根が続く。
11時18分岩尾根となり、巻道を少し外して北側に飛び出した岩ピークへと這い上がる。樅の生えたその大岩に立って
記念写真を撮る。今日歩く連中は私も含めて岩があると必ず這い上がるクセがある。
っごヒメシャラ」があり又無料玩具で遊ぶ。この辺りはヒメシャラが多く生えている。
11時03分 以前来たスーパー林道からの登山道と堂の窪で合流する トリカブトの花はいつ見ても怪しい形だ
ブナとヒメシャラの美しい尾根を歩く 11時18分 南側にせり出した岩ピークへと向かう
岩が有ったら必ず這い上がるイノシシ 岩を下って登山道へと戻る
こんな風景が我々が一番好みだ
ん? これもお馬さんごっこ出来そうやで 無料玩具お馬さんごっこ第三段〜 の〜ちゃん、マーシー、ジュニア
砥石権現 三等三角点「東砥石権現」 1,374.59m
11時47分「水恋沢」分岐標識に出合う。前回5月にカタクリやアケボノツツジが有ると言う看板に魅かれて訪問した
のだが、大した所では無かったのでここはスキップする。
11時58分 標識が石積みされた砥石権現の山頂に到着する。ファガスの森まで2時間30分、岳人の森まで1時間の
デカい標識も立っていた。以前はここから引き返したが、今回は東に向かう尾根を始めて歩く。荒れた急斜面を下ってい
ると右後に高城山のドームが見えた。この辺りの木々は鹿の食害に有って皮が軒並み削(そ)がれている。
11時47分 水恋沢分岐を通過する 北側の山並みは天行山〜東宮山からの続き尾根だろう
11時58分 砥石権現 (東砥石権現)に到着する エントツ山、マーシー
石が転がる荒れた尾根を下って行く 右後ろに高城山のドームが見える
リョウブのデカい樹が鹿の食害に遭っていた 12時15分 岳人の森分岐を通過
ブナと紅葉と岩 いいねえ
鹿舞ダキ 1,330m
下り斜面が終わって尾根が安定してくると又岩が沢山出てくる。ツキヨダケがびっしり生えた涸れたブナを越すと12時
18分「鹿舞ダキ」に着く。ここには「森の妖精」との標識が掛かる現代アートの様な石像が祠の中に置かれていた。
ツキヨタケがびっしり着いた枯れブナ 12時18分 鹿舞ダキに着く
鹿舞ダキの祠に「森の妖精」が右手をアゴに当ててポーズを取っている エントツ山、の〜ちゃん、黒河ジュニア
鹿舞ダキから暫く美しいブナの尾根を歩くと次第に急な下り坂となり、標高差200mを一気に下る。急斜面を下り切る
と一旦ツルシキミが生えた尾根になり、シャクナゲが多く見られる。
の尾根下りとなる。その先は1113mピークでリョウブやアセビ、シャクナゲが現れる。
前方には雲早山の肩、後ろ側には高城山を眺めながらゴールが近い事を感じて来る。
る踏み跡がありテープも見られた。そそこから10分程進むとアセビやリョウブの細尾根になり地図を確認すると丁度雲
早トンネルの真上だった。
北側は吉野川水系穴吹川の上流「神通谷川」が迫り、南側は那賀川水系坂州木頭川の上流「釜ヶ谷川」との分水嶺になっ
ている。
マーシーさんの胴回りに負けん程の太いブナが立つ 急傾斜をドンドン下る
結構な下りが続く 12時46分 下りが一段落するとツルシキミやシャクナゲが現れる
大岩があるぞ 大岩を越えると岩展望所となる
アセビやシャクナの岩っぽい尾根になる 右前方に雲早山が見える
振り返ると明日登る高城山が見える 細尾根だがシャクナゲ、アセビ、アカマツ、ブナ、リョウブと植生が多い
リョウブの並木道は好きな風景だ 鹿よ枯らすな! 13時18分 雲早トンネルの真上を通過〜
13時23分鉄塔に出る。四国電力の文字は読めるが何線なのかは黒く汚れて読めなかった。電線を辿ると南側、那賀川
「長安口(ながやすぐち)ダム」の発電所から延びていた。
13時30分 鉄塔に到着〜 あ〜しんど 四電の何線かさっぱり字が読めない
高城山 砥石権現 鹿舞ダキの肩部
土須峠(どすとうげ)
又、アセビやリョウブ、シャクナゲの細尾根に入り少し荒れた傾斜を右手に下ると13時58分「土須峠」に下り立った。
土須峠は南側、木沢村沢谷集落と北側、神山町の中津集落とを結ぶ峠で現在は雲早山登山口の基部辺りに位置する場所だ。
さて、ここから雲早山のシャクナゲ尾根登山口までを繋いでおかなければ次回「縦走繋ぎログ取り」が面倒な事になる。
急なスーパー林道の斜面を尾根部に沿って10分程で這い上がり、14時08分雲早山シャクナゲ尾根の登山口に着いた。
アセビや灌木帯に入る リョウブやシャクナゲが多くなる
ちょっと尾根を行き過ぎて右手に回り込む 13時58分 土須峠に下り付く
さて、尾根筋を上のスーパー林道をめがけて這い上がる ひゃ〜 ここが今日で一番キツかった〜
上のスーパー林道で雲早山のシャクナゲ尾根登山口まで歩く 14時08分 シャクナゲ尾根登山口 もう上がらんでええよ
ここから車をデポした土捨て場までスーパー林道を歩き、そこからマーシー車でファガスの森へと帰る。ファガスの森を
訪問してコーヒーを飲んだり、テントで夕食の準備をしている間にマーシーさんと能智さんはスーパー林道を日奈田峠ま
で車をデポする為に1時間半ほどかけて行ってくれた。 感謝!
来ていたので合同で野外飲み会となった。
月が出て星が撮れなかったので、バンガローの下にある「ツキヨタケ」の見学に行く。現場に行っても月明かりの為に発
光が見られずテントに帰る。この日は1日最高の天気だったが翌日は午前中の天気が悪いので心配しながら眠りにつく。
左奥が高城山 右の尖がりが砥石権現 15時00分 ファガスの森に帰って夕食の準備にかかる
ファガスの森で地下足袋王子にトレランのカップ(?)を見せて貰う 徳島から単独のキャンパーが来ていた
お疲れ〜 マーシーさん、の〜ちゃん 車の回送ありがとう! 徳島の単独キャンパーも含めて飲み会や〜
17時50分 夕暮れが迫る 夜になっても酒宴は続く マーシー、の〜ちゃんコンビ
月が明るくて雲が出て星は撮影できなかった
月が明るく星が撮れず その内 雲が湧いて来た
2020年10月4日 (日)
ファガスの森〜高城山〜樫戸丸〜当野石山〜天神丸〜日奈田峠
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 ファガスの森〜日奈田峠
今日の行程は長いので05時に起床して準備する。肌寒くあまり天気が良く無いので雨具を着て05時50分「ファガス
の森」裏から左手の高城山方面へ進む。ヘッドランプの灯りを頼りに細尾根の急登を進むと06時25分スーパー林道横
にある小屋を左手に見て通過する。ここがスーパー林道からの登山口になっている。
そこからもガスも湧いて薄暗い尾根道を上って行く。以前、ここを歩いた事があるのだが思いの外急登だ。雨と霧の中を
雨具部隊は急登を喘ぐ。
05時50分 ファガスの森裏手にある登山口を左へ進む 06時10分 少し明るくなってきた
06時25分 左下にスーパー林道近くの小屋が見える 薄暗いブナ林の尾根を歩く
ガスと小雨で急登はツラいよ〜 少し雨が小降りになってきたが以前ガスが濃い急登を上る
高城山 二等三角点「高城山」 1,627.99m
前方にピークが見えてホッとすると07時17分明るい稜線肩部へ上がり切る。三角点山頂は直ぐ左側にあり4人でそれ
を踏む。私の雨具は大した雨予報で無い時は軽いモンベルのバーサライトジャケットとズボンを持って来る。この雨具は
ジャケットが134g、ズボンが83gと言う軽さと防水性能を誇る優れものだ。この頃になると雨が上がって天気が少
し回復気味になり、「高城山レーダー雨量観測所」のドームまで進んで引き返す。このドームが立つお陰で山の同定が
容易に出来るランドマークなのだ。
07時17分 稜線部へ上がった様だ 少し左手にある三角点山頂へ進む
07時20分 取り敢えず今日の第一山頂「高城山」にとうちゃこ〜〜 私の雨具はモンベルのバーサライトだ
岩っぽい尾根をアメダスレーダーへ進む 07時30分 巨大なレーダー施設が木陰から現れた
国土交通省のレーダー雨量観測所とは(国土交通省のHPによると)
回転するアンテナから電波を発射し、雨滴に反射した電波を受信後、コンピュータ処理を行い降雨量としてリアルタイムで広域的に
観測する設備らしい
四国では東半分をこの高城山レーダー雨量観測所がカバーし、西半分は愛媛・高知の県境にある明神山のレーダーがカバーして
いる。
国土交通省のHPより 高城山のレーダー雨量観測設備 デカいわ
07時45分 高城山から縦走尾根を西の樫戸丸を目指す。この尾根は北側が鮎喰川(吉野川水系)、南側が那賀川水系
の分水嶺になっている。雨上がりの霧が谷間に立ち込めて徳島の奥地を墨絵の様に飾る。テンニンソウの様な草地を下っ
て行くと美しく黄葉したブナ林となる。標高の高い山は雲に覆われており同定は出来ない。
前半は黄葉のブナ林の間を下り、途中から眺めの良い草地となる。前方に鉄塔が見えて、その向こうに樫戸丸がそそり立
っている。
07時50分 高城山の西肩部に戻り正面に見える樫戸丸を目指す その奥に尖がって見えるのが天神丸だろう
テンニンソウの草地を進む 雨が上がり徳島の山々が谷間に雲を伴って見える
さすがブナ林で定評がある高城山だ 気持ちよく歩く事が出来るなあ
木々の間に続く尾根を進む 肩部に出ると今5月に歩いた那賀山地が坂州木頭川を挟んで見える
前方に鉄塔が見える その向こうのコル部が「風の広場」だ 08時08分 鉄塔を通過する
スーパー林道を横切ると四等三角点「八幡」 1,382.93m
08時08分鉄塔を通過すると急に岩場が現れる。これを下ると08時16分剣山スーパー林道を横切って向こう側の尾
根に取りつく。キバナノアキギリの花を眺めながら歩くと三角点「八幡」を見つけてそれを踏む。点名の八幡は北側にあ
る穴吹川上流の谷川筋にある八幡神社(八幡集落)から来ているのだろう。そこからヒメシャラの立つ岩尾根を上がると
ピークに丸い岩がありさっそく上に登って記念写真を撮る
鉄塔を過ぎると急に岩が現れる 岩が苔むして雰囲気の良い尾根
08時16分 スーパー林道が尾根を横切る 向こう側の尾根に取り付く
おっ キバナノアキギリが咲いている 08時23分 三角点「八幡」が有った
今日2つ目の三角点を踏む その後 岩尾根のピークへ進む
お決まりの岩に上がって記念撮影〜 の〜ちゃんとジュニア 美しいブナの並木道
風の広場=樫戸丸登山口
ブナ林を抜けるとなだらかな下り坂になり08時40分スーパー林道沿いの広場に下り着く。ここは「風の広場」と呼ば
れている様だ。どこの林道でも山を削って道を作ると大量の土砂が出る。この土砂を捨てる場所が必要で、そんな盛り土
を平らに整地した広場なんだろうか。東京のごみ捨て場に夢の島とか、そんなネーミング一つでイメージが良くなる。
2分程広場を歩いた樹林帯の入り口に「樫戸丸」の登山口標識が立っていた。スーパー林道は尾根の右側(北側)を通っ
ているが全く見えない。この辺りは湿気が多いのか岩が苔生しており、ブナを含む広葉樹は標高が低い為か色づいてはい
ない。
尾根歩きの途中にこんな広大な平地を歩くって変な気分 08時42分風の広場の西端に樫戸丸の登山口標識が立っていた
苔むした岩が並ぶ この辺りのブナはまだ黄葉していない
樫戸丸 三等三角点「樫戸丸」 1,565.82m
急登を登ると09時15分肩部に着き少し傾斜が緩くなる。すると南側、那賀山地や遠くの山々が谷間に白い雲を埋めて
広がる。この山域のブナは定評があると聞いていたが、予想にたがわぬ美しさだ。前方左手には肩部が付きだし、その右
手に樫戸丸の山頂部が見える。
中々の急登だこと この二人は元気だ 振り返ると高城山が見える
09時17分 樫戸丸の肩部に着くと那賀川上流部の山々が谷間を雲でうずめて見える 黒川ジュニアさんは初めて来る山域だ
尾根に苔生した岩が現われ、急傾斜を登って行くと09時36分樫戸丸の山頂に着いた。樫戸丸はオオヤマレンゲが咲く
事で名前を知っていたのだが、山頂部は狭くて南側に延びる尾根には一面苔に覆われた大岩が並び鬱蒼とした雰囲気だっ
た。
角が生えたブナ 樫戸丸の山頂が見える
左手後方、那賀川流域の山々を眺める 右手前方の剣山方面はガスっている
ピークと思ったが肩部だった 肩部には苔むした岩がある
肩部からは次のコル(川成峠)と天神丸への尾根が見える 岩が配置された尾根を山頂へと向かう
最後は天神丸の山頂へのなだらかな傾斜となる 振り返ると高城山、その右奥のピークは高丸山か?
09時36分 樫戸丸の山頂を初めて踏む 4人とも初めての山だった
え? 天神丸ってまだあんなに遠いの?(左奥のピーク) 樫戸丸の南尾根はコケ生した岩が立つ
樫戸丸のピークは少し南側に突出しているので山頂からは少し北西に方向を変えて下って行く。枯れかけた木々や鹿の嫌
いな草などが残る尾根の雰囲気が鹿が多いとの印象だ。下方を眺めると川成峠のコル部が見えて、道路は峠から左右両方
に続いている。徳島県ではこの山は登山者に有名なのか下り傾斜の尾根には沢山のピンクテープが見られた。尾根は広葉
樹が沢山あるが、所々に白っぽい岩と枯れたスズタケの禿地が存在している。
09時50分 細尾根を川成峠へ下っていく この斜面には沢山の赤テープが置かれていた
鹿の嫌いな硬くて細長い草が生える尾根 奥の尖がりピークが天神丸だろう 結構遠い〜
ネットに守られたオオヤマレンゲ
10時00分突然前方に鹿防護ネットが現われた。恐らくここがオオヤマレンゲの自生地で保護されているのだろう。そ
のすぐ下側には鹿の嫌いなテンニンソウの群落がある。徳島の山では鹿の嫌いな植物だけが大手を振って繁殖している。
ロープが敷設された急傾斜を下りると讃岐で良く見る安山岩っぽい岩場に出る。その下側で大岩を右に巻くとスーパー林
道がすぐ右下を走っている。ここは道路には下りずにしばらく尾根筋を進む。川成峠へ合流する手前に1つ小高いピーク
があり、そこを上がってからちょっとしたルートミスがあった。
小ピークを越えた場所で右手に進めば簡単に林道へ下りる事が出来たのだが、左手に踏み跡があり10時20分マーシー
さんを先頭に左手に向かって下る。どうも途中から傾斜が急過ぎてヘンだ。でも下側に未舗装道路みたいな土の帯が見え
たので黒河ジュニアと灌木ヤブを下って行くとそこは単なるザレ場だった。すると上からマーシーさんが「こっちでした
〜」って声がかかる。苦労して灌木ヤブの傾斜を上り返して川成峠へ這い上がると笑いながらマーシーさんと能智さんが
先回りして待っていた。
10時00分 オオヤマレンゲの鹿防護ネットが尾根に現れた ネットの下側から急斜面が始まる
鹿の嫌いなテンニンソウの群落を抜ける 急斜面にはロープが置かれている
川成峠 1,318m
10時10分 小規模な岩場を抜ける 大岩を右から回り込むと道路が右下に現れる
スーパー林道に沿って尾根を歩く 川成峠の手前には更に小ピークを越える
最後に左手へ踏み跡があったのでそちらに踏み込んでしまった 下に見えるのは林道では無くザレ場の土だった
10時35分やっと川成峠へ下り着く。ここはとても広い三叉路になっており、道路は北側に平成25年開通の「森林基
幹林道 木屋平木沢線」が美馬市木屋平の国道438号線へと通じている。ちなみにこの基幹林道は南側へはスーパー林
道を1.5km併用した後、那賀町の県道295号線(四季美谷温泉〜奥槍戸山の家)に繋がっている。
昔、ここ川成峠は坂州木頭川沿い、木沢村の川成集落と木屋平村・弓道(ゆどう)集落を繋ぐ寂しい峠だったが、今は多
くのライダーが週末に往来する交差点になっている。
10時35分 川成峠へ下りつく 森林基幹林道 木屋平木沢線の竣工記念碑が立っている
川成峠は剣山スーパー林道では木屋平と那賀町を繋ぐメジャーな三差路交差点となっている
三等三角点「長持峠」 1,497.67m (マーシーさんが悔しがる標高)
10時37分文明交差点を後にして続きの尾根へと進む。尾根には低い笹が生えており、木々は鹿の食害で黒ずんで立っ
ている。そこに鮮やかな色をしたフシグロセンノウの花があり喜ぶ。この花には裏寒風で出会って以来だった。
鹿が食べないアセビが繁る斜面を上っていくと11時15分笹原のピークで三角点「長持峠」を発見する。泉保さんの山
地図に「長山」と記されている。四国の標高超1500m峰を制覇するマーシーさんが超悔しがっている。このすぐ先が
高みに向かっていると言うのに、よりによってこの三角点の場所は1500mに僅か2.33cm足らないのだ。まあ勝
手に土を盛る訳にも行かずその場を立ち去る。
10時37分 前方の尾根筋へと進む 川成峠には樫戸丸手前で会った登山者の車が停められていた
背丈の低い笹原になる おっ フシグロセンノウが咲いていた
アセビが沢山生えている尾根を上がる 笹原の尾根で三角点を探す
もう少し高い場所に標石を埋めてくれてたら・・・・ 11時15分 三角点「長持峠」を踏む
一旦小高い笹原のピークを抜けて次の樹林帯へと向かう。すると11時30分右手に大きな池があった。底が浅いので動
物のヌタ場や水場になっているのだろう。尾根のリョウブはほぼ鹿に皮が食べられている。この山域も湿気が多いのか岩
や枯れ木に苔が沢山付いていた。辺りの岩は風化に依るものか、堆積崩壊に依るものか表面が角礫岩の様に小さな岩の欠
片が引っ付いた様に見える。
1500mに少しだけ届かない三角点から標高を上げて行く 前方に見える次のピークは当野石山だ
これはヌタ場以上の池と言えるなあ 樹や岩にコケが生えている
当野石山 1,564m (マーシーさん喜ぶ)
色んな形をした岩を眺めながら歩いていると11時53分 大岩の上に那賀山地でよく見た茶色の「南つるぎ地域活性化
協議会」の標識が立っている。ここが当野石山だった。三角点は無いが一応山頂標識には標高が1500mを超す事が書
かれており、マーシーさんが喜ぶ。
風化気味の岩尾根となる 大岩も細かく割れている 水が浸み込んだ風化に依る物か?
ん? 岩の上に標識があるぞ 11時53分 「当野石山」に到着する
やった〜 マーシーさん ここは1564mピーク「当野石山」やで〜 (お祝いにマーシーさんはカメラマンにされた)
山頂を後にして笹と灌木の尾根を少し下ると12時06分大岩があり、その付け根に「当野石峠」の標識が立っていた。
当野石峠は南側、木沢村の岩倉集落と北側、木屋平村の川上集落を結ぶ峠だ。天神山を挟んでこの当野石峠と日奈田峠が
岩倉集落と川上集落を結ぶ峠として利用されていた様だ。
場所は能智さんとマーシーさんの担当になっている。
灌木の立つ尾根を下る 12時06分 大岩の手前に標識が見える
ここが「当野石峠」だった 当野石に上るマーシーさん (左側におります)
細尾根で昼食
風が強くて寒いので少し歩いた岩の細尾根で風を避けて昼食休憩を取る。何せ朝からほぼ休憩を取っていない連中だ。
12時30分簡単な昼食を済ませて出発すると大好きな岩の細尾根が続く。こんな場所は退屈しないし紅葉も見られて景
色も良いので1,539m岩ピークでは記念写真なども取ながら歩く。
荒れた林は鹿の存在を匂わせる ガマガエルをいじっていたら仰向けになって死んだフリをした
殺風景な場所だけどそろそろ昼食にしましょうかねえ 12時20分 昨晩は飲みすぎ食べすぎやったから昼食はシンプルに
いや〜〜 痺れるような良い尾根やわ〜
皆さん 今回私の四国山地の足跡を延ばすプロジェクトに協力してくれてありがとう! 黒川ジュニア、マーシー、の〜ちゃん
12時45分前方に天神丸の山頂部が見えた。東側からは相当急な登りとなっている様だ。登山道の左側が絶壁になって
おり、斜面がズレている場所もある。
りがスーパー林道からの登山道との合流点だろう。
やっと天神丸の本体が迫ってきた 天神丸は地元では結構人気らしく踏み跡も濃い
山の左手は急傾斜の岩場やザレ場が見られた 12時55分 標識が立つ スーパー林道からの登山道合流点だろう
天神丸 二等三角点「天神丸」 1,631.86m
13時02分天神丸山頂まで290m、スーパー林道まで480mの標識から急登となる。低い笹の生えた樹林帯をジグ
ザグに上って行く。シャクナゲが少しだけ現れるが殆どが笹と雑木帯で忍の一字で歩く。さすがのマーシーさんも足を攣
ったと言う。昔マーシーさんと歩いた時に私の方がいつも足を攣らしていたので何だか嬉しくなる。
13時17分南つるぎ地域活性化協議会の標識の立つ天神山山頂に到着した。
ったりして休憩した後日奈田峠へ向けて下る。
山頂まで290mの標識 遠くから眺めた稜線通りきつい急登を喘ぐ
あまり意味が分からないロープがある シャクナゲ林を抜ける
傾斜が緩くなって山頂が近づく 山頂標識 左が木沢展望、右が木屋平展望とある
13時17分 天神山の山頂に着く お疲れ〜〜 二等三角点「天神丸」を踏む
黒川ジュニア マーシー エントツ山 の〜ちゃん 今回最後の山頂に立つ
13時30分前に天神丸を出発し10分程は足元の低い笹と鹿に齧られたリョウブ、そして苔生した岩尾根が続く。その後
はなだらかな笹尾根に変わり、ダケカンバが少し紅葉して美しい風景だ。13時50分1,556mピークを越えると急な
下り坂に突入する。ナナカマドの赤い実に気を取られながら荒れ気味の尾根を下る。急斜面や大岩を巻いたり、大岩を抜け
たりして退屈はしない。岩尾根にアキノキリンソウの様な黄色い花が咲き残っていた。
14時17分細尾根の左下にスーパー林道が見えた。暫くブナが立つ細尾根を進むと左手斜面が大きくザレている。林道建
設で尾根が削られた為だろう。
笹尾根が岩の細尾根に変わる 日当たりが良い場所は紅葉が進んでいる
13時40分 穏やかな笹尾根に変わる ダケカンバの黄葉が美しい笹原が続く
右奥、当野石山と天神丸をバックに気持ちの良い笹原をの〜ちゃんと黒河ジュニアが仲良く歩いて来る
那賀山地の平家平は形が良い 左奥は青ノ塔付近だろう 1556mピークの目印境界石を越えると下り坂となる
ナナカマドの実が目に鮮やかだ 14時頃から尾根が荒れ気味になる
こんな場所では興奮するのかマーシーさんの足が速くなる 大岩を右に巻いて下る
大岩の横を抜ける リョウブは殆ど鹿に齧らているなあ 岩の細尾根が暫く続く
ミヤマアキノキリンソウが咲き残っている 14時17分左下にスーパー林道が見えた
道路と平行に削られた尾根を進む 14時25分 林道と交差する ここはまだ日奈田峠では無い
三角点「日奈田峠」を見逃す!
14時25分スーパー林道が尾根を右手に横切る。林道の右手には木屋平村(こやだいらそん)の標識が立っている、木屋
平村は剣山の東側、穴吹川の上流域にあった村で2005年美馬町、穴吹町、脇町と合併して美馬市木屋平町となった。
この辺りに三角点がある筈だと皆で探しながら歩く。道路を越えた尾根筋には見当たらず、能智さんが道路脇でそれらしい
石標を見つけたが良く見ると三角点では無かった。こちらは既に尾根に入っているのでそのまま峠に向かう。後でネットで
調べると道路の広場の片隅に有り、車でここに来た人が容易に見つけていた。4人で三角点の場所をスマホ地図で確認しなが
ら探したのだが不思議な事だった。
日奈田峠の手前で道路と一旦交差する この広場辺りに三角点があった様だ 4人でスマホ地図の三角点付近を探したのだが・・
尾根を下りて左後方にあった様だ(ネットより写真を拝借) そうとは知らずに尾根付近を探しながら進む
の〜ちゃんが道路脇に標石を見つけたがこれは違っていた 諦めてブナを楽しみながら最後のピークへと進む
右手にスーパー林道を見る こりゃ落石があるハズじゃ 14時38分 先頭のマーシーさんが日奈田峠に着いた様だ
一の森からの接点、日奈田峠を繋ぐ 日奈田峠 1,341m
14時38分スーパー林道によって両側に切り裂かれた日奈田峠に下り着く。前回一ノ森からここまで下ってピストンした
ので、これで昨日の土須峠までが繋がった。総合的には石鎚山系の西端、引地山(皿ヶ峰)から土須峠までが繋がった訳だ。
今回は能智さんとマーシーさんが車を出してくれて効率的な縦走をする事が出来た。初めてこの山域を歩く黒河ジュニアさ
んや能智さんにも良い経験となった事だろう。
峠の少し先にデポしていたマーシー車に乗って長い道のりをファガスの森まで引き返す。朝テントをそのままにしていたの
で管理人さんの所に1日分余分に支払いに行くと奥さんが家に帰る所で、次回又ご利用下さいと半日分のテント使用料は
構わないとの事だった。ファガスの森は水が豊富なのでトイレなども清掃されて気持ちの良い場所だった。
ばんざ〜〜い ここで一の森ルートと繋がった! 車回送の効率を考えて今回は逆コースを歩いた
今回地下足袋王子さんに初めてお目にかかり、トレラン杯の金の地下足袋も見せて貰った。色々思い出深い剣山系を東に延
ばす旅となった。
2020年8月に歩いた 剣山〜一の森〜肉渕峠〜榧ノ丸〜日奈田峠 は ここ