大山・地獄谷から振子沢、ユートピア小屋、大休峠から船上山周回(1泊2日)
第1日目:一向ヶ平〜大山滝〜地獄谷〜振子沢〜ユートピア小屋
第2日目:ユートピア小屋〜振子山〜野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山
プロローグ
以前秋に烏ヶ山から大山縦走をした時、船上山のブナとススキが美しかった。伊予の鈍亀さんと「川床」か「一向ヶ平」から
中国自然歩道を大休峠に出て矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜船上山を日帰りで案内する提案をした。
その時に大山・バリエーションルートを色々歩いて来たが、最後に地獄谷が残ったと言う話が出た。すると沢歩きをしない伊予
の鈍亀さんも不思議とこの地獄谷だけは前々から歩きたいと思っていたと聞く。それじゃあ振子沢を這い上がってユートピア小
屋か大休小屋で一泊して北尾根を船上山まで縦走しましょうと言う事になった。
大山を歩いた主な縦走ルート
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 大山を歩いたルート図
大山の主稜線は弥山〜剣ヶ峰〜天狗ヶ峰付近になるが、ここは「新期大山」(火山)と言われる5万年〜1万年前の火山活動に
よる溶岩ドームらしい。それに対して今回メインに歩く大休峠から北に伸びた矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜船上山の尾根は「古期大山」
(火山)と呼ばれる100万年も前の火山活動による外輪山、或いはその時の溶岩流で形成されたとも言われる大山の老舗である。
今回の登山口は大山滝の「一向ヶ平」(いっこうがなる)、下山は「船上山・少年自然の家」となるので車2台で前日登山口に
て車中泊をする。
令和元年(2019年)11月9日(土)
一向ヶ平〜大山滝〜地獄谷〜振子沢〜ユートピア小屋 (約9時間)
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 地獄谷〜振子沢〜ユートピア小屋〜大休峠〜船上山 (伊予の鈍亀さん提供)
朝06時船上山・少年自然の家・駐車場に私の車をデポし鈍亀車で出発。車で走っても一向ヶ平まで30分程かかった。前泊して
正解だった。以前、船上山下山口から烏ヶ山登山口まで電動自転車で移動した距離の長さに自分でも驚く。一向平手前で右手を見
ると翌日歩く矢筈ヶ山〜小矢筈と甲ヶ山が見える。
06時45分一向ヶ平(一向平=いっこうがなる)駐車場を出発。ここから大休口までは中国自然歩道として整備された遊歩道が
続く。10分程歩くと木製階段となり、それを下って、少し上り返して又下ると西側が少し開けて矢筈ヶ山が見える。急階段をド
ンドン下りて行くと07時10分加勢蛇川(かせいちがわ)に架かる「大山吊橋」を渡る。
一向平手前の道路から右手に矢筈ヶ山・小矢筈と甲ヶ山が見える 一向平(いっこうがなる)駐車場に到着
一向平登山口を入る 地図通りの直線道だ 10分程で山道っぽくなる
整備された登山道(階段)を下がったり 階段を少し上がったり
加勢蛇川(かせいちがわ)へ下って行く 矢筈ヶ山と小矢筈が一つ尾根を挟んで見える
07時10分 加勢蛇川にかかる大山吊り橋を渡る
「加勢蛇川」
今回の出発点となる大山吊り橋〜大山滝〜地獄谷のある「加勢蛇川」(かせいちがわ・かせちがわ)とは妙な河川名だ。どうも下流
地域、琴浦地区に伝わる昔話から来ている名前らしい。
おおまかに言うとスサノオノミコト(アマテラスの弟)がヤマタノオロチ(八岐大蛇)を成敗した出雲の神話には続編がある。ス
サノオに殺されちゃったヤマタノオロチには愛妻がいて、復讐の機会を待っていた。そんな時に丁度スサノオがこの辺りにやって
来て高柳の神と知り合い釣りをしながら上流へと歩いて行った。そこでヤマタノオロチの嫁が「泥こうぼう」と言う友情に厚いオ
ロチ仲間に仇討の加勢を頼んでスサノオと高柳の神に戦いを挑んだ。でもあっけなくオロチコンビは敗北した。しかし、スサノオ
がその事情を聞いて旦那の恨みを晴らす妻の心意気と、それに加勢をした友情に感じ入りオロチコンビを許してやったって。そん
な訳で両者が戦った川の名前を「加勢蛇川」(オロチが加勢をした川)って言われる様になったとさ。ホンマかいな〜〜〜
これがヤマタノオロチ」だ〜〜 (サイトより画像引用) 酒を飲ませてベロンベロンに酔っぱらって寝たヤマタノオロチを
退治したスサノオノミコト(サイトより写真引用)
大山滝
さて、大山吊橋を渡り、加勢蛇川の左岸に付けられた遊歩道を進む。比較的平らな地形に沿って杉が植林されたりしており、木地
師の屋敷跡もある。右手に続く尾根筋は大休峠の東側1,300mピークから派生する尾根で古期大山の北方稜線では無い。古期
大山の北方稜線からは東側へ流れた溶岩で派生尾根があり、それぞれの谷筋は山川谷(下流で加勢蛇川に合流)、矢筈川(下流で
勝田川に合流)、勝田川となって日本海に注ぐ。
07時45分大山滝の標識部に着く。左下に展望台があるのだが、ここはやはり滝下まで下りなきゃ。急傾斜に付けられた道を下
り、最後はロープで川床近くに下りる。ここの川床は大山滝を中心に辺りは断崖になっている。滝は水量も豊富で迫力満点滝の前
に進み記念写真を撮った後08時05分上の道まで引き返す。以前は3段だったこの滝は台風の大水で2段になってしまったと言
う。
07時30分 木地屋敷跡を通過 古道らしくお地蔵さんが祀られている
07時50分大山滝の展望所に着く 急な斜面を水辺まで下りて行く
滝の左側が急斜面となって立ち上がる 右手も土壁の様に崖が立ち上がっている
昭和初期までは三段あった滝が現在は二段になっている
大休口(地獄谷入口)の標識は落ちていた
08時13分植林帯が切れて美しい紅葉が辺りを明るく照らす。やはり秋は広葉樹の下を歩くのが気持ちいい。
な岩が転がる沢を渡って進むとすぐに又植林帯に入った。どうもこの辺りに地獄谷へ下りる「大休口」があった様だが定かな標識
が無かったのでそのまま進んでしまった。08時35分大休口を行き過ぎると広葉樹の上り坂となった。その時も間違いに気づか
ず美しい紅葉やなあと呑気に歩く。
明るいブナ等の自然林に変わる 日差しが有ると紅葉が美しい
小さな沢部を渡る 08時25分 植林帯に入る この辺りに大休口があった
何も考えずに登り坂を「紅葉が綺麗やなあ」と歩く あれ? 標識が倒れているが大休口を通り越した様だぞ
08時42分標識が道に転がっている。「一向平3.0km 大休峠 2.1km」とある。あれ? ここで間違いに気づきスマ
ホ地図を確認して引き返す。
こから左手の川に向かって踏み跡がちゃんと有るではないか。
08時50分 大休口らしきポールが立っている場所まで引き返す 注意深く歩けば良かった・・・
大休口〜地獄谷〜駒鳥小屋 約 4時間40分
大山地獄谷
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 大山・地獄谷を中心とする第一日目
大休口から加勢蛇川へ黄葉を迎えた美しいブナ林の中に続く踏み跡を辿る。沢近くの藪中に大山特有の白い鉄製ポールがあるが、
木製の標識部は古くて読めない。大休口から10分程で少し広めの河原にある低めの堰堤の上に出る。
植林帯を谷へ向かって踏み跡を辿る ブナの生えた斜面を谷へと下りて行く
大山特有の白い鉄製支柱が立っている 標識の文字は読めない
大休口から10分程で河原に着く 加勢蛇川(かせいちがわ)・地獄谷 水量はそこそこある
地獄谷は固い溶岩と柔らかい凝灰角礫岩とが浸食や風化や崩壊によって独特な風景を創る。大山の沢は崩壊が激しくどこも地獄の
様相だが、この加勢蛇川・地獄谷付近は水の流れがあり沢歩きが成立する谷だ。夏場であれば沢靴で特に問題なく歩けるだろう。
問題は登山靴と重たいザックで問題なく歩けるかどうかだが少し不安がある。事実、最近のネットでも引き返す事例も見かける。
川筋に入ると早速最初の徒渉部に出くわすが結構水の流れが激しいので登山靴での渡渉は注意が必要だ。09時12分最初の2段
になった堰堤は左手に渡渉し、右岸側から簡単に這い上がる。
「結構水量多いわね」 「怖がらんと飛べ〜」 ここの渡渉は適当に岩があるので問題ない
最初の堰堤は左から這い上がる 「そこの岩伝いに来たらええんで・・・」 「う〜〜ん 靴濡れそう〜」
難所の堰堤
最初の堰堤を越えて暫くすると左手の崖下の流れを避けて右手の河原に渡渉する。すると09時20分前面に崖が両面に競りだし
た厳しそうな堰堤に差し掛かる。右手は崖で手がかり足がかりが薄くとても突破出来そうにない。左手は川に入って堰堤直下まで
行けばステージ状の場所にロープが懸かっている。行けるのはここしか無い!
先ず、厚さ0.04mmの90Lビニール袋を両足に履き水が入らない様に両手で持つ。水の深さはロープ下で太もも辺りまであ
って水が入らない様に片手で二つのビニール袋を引き上げる。余った片手でロープを持ってステージまで上がろうとトライするが
ザックも重くて上がれなかった。
次に靴と靴下を脱いでズボンを太ももまでたくし上げ再度トライする。ロープ下まで行くがやはりザックが重くて上がれない。
水が冷たくて心臓が痛くなる程で砂利地まで引き返して川から上がり余りの冷たさにチビタ〜〜イと叫んでのた打ち回る。
3度目の正直で、ザックや靴を鈍亀さんに託して兎に角空身でステージまで這い上がる。これはうまく行った。次に亀吉さんが
次々とザックや靴等を順番にステップ下まで運び、私が上に引き上げる。それから狭いステップから荷物を上側の堰堤上部まで
運び上げる。
最後にスリングと手でステップまで鈍亀さん達を引き上げる。この一連の作業で一番冷たい思いをしたのがずっと川を行き来し
た亀吉さんだった。いや〜11月の川水はムーチョ冷たかった!
ここで約45分程のロスとなったが無事靴や衣服、ザックを濡らすことなく難所をクリア出来た。
何か いや〜〜な感じ 堰堤? 岩? 両サイドが崖で迂回出来ない ここが難所やな
右手からは足場が無いから無理 左にロープがあるけど膝くらいの深さがある (夏場なら問題ないんだけど)
ビニール袋を履いてトライするが失敗〜〜 結局ズボンをたくし上げて空身で段に上がる
亀吉さ〜〜ん 荷物運んでケロ 「カモ〜〜ン」 「おぉォ〜〜〜マイガ〜〜 冷た〜〜い」
亀吉さんがザックや靴などを私に届ける 出っ張りが狭いので荷物を堰堤の上まで一つずつ運ぶ
10時00分難所の堰堤を去ると上側にもう一つ堰堤が見えた。ここは右手に突破口がありそうだ。ロープを伝って堰堤直下に
進み、そこから又ロープを伝って斜面を這い上がる。
右手に太めのロープが置かれており、それを手掛かりに草地を結構な高さで乗り越える。
亀吉さんが次の堰堤の様子を偵察に行く 荷物を担ぎあげた難所の堰堤を振り返る
次の堰堤はロープを伝って5m程横移動して堰堤下に行く そこから又ロープを伝って這い上がる
足元が滑りやすいが太めのロープがあるので大丈夫 こんな感じで這い上がる
10時20分堰堤をクリアすると大きな岩がゴロゴロする川原となる。上流に進むにつれて次第に谷が狭まって来る。特に右側
(左岸)の崖が急で崩壊気味に見える。
11時00分川床の岩がセメントの様で丸い石を噛んでいる。恐らくこれが凝灰角礫岩だろう。
10時10分 2番目の堰堤を這い上がると少し河原が続き、奥に三番目の堰堤が見える
三番目の堰堤は結構な高さがある 右手の薄暗い草地に置かれたロープを頼りに這い上がる
地獄谷の河原を眺める 亀吉さんは小屋泊まり用のマットをザックに括り付けている
10時30分頃から両岸が切り立って来る 出来るだけ渡渉が少ないルートを選んで進む
右側の斜面が崩壊して土砂が押し出している セメントの様な石を噛んだ凝塊角礫岩 石鎚の面河川でも見かける
野田滝
前方で谷が左に曲がっており、右手上方に滝水が見える。11時12分右手の崖上から立派な滝が落ちているのがはっきりと見
えた。これが「野田滝」とか「地獄滝」と言われる滝らしく、落差も水量もあり形が良い滝だ。
11時を過ぎると大岩が散乱する正面に滝が見える
荒れた地獄谷の奥に見える森の中から滝が落ちている 11時15分 正面から眺めると2段ではなく3段に見える
野田滝付近は左右の崩壊が激しく荒れている 両岸を比較して歩き易い方を選んで上流へと向かう
池の平(広河原)と崩壊地
荒れて大岩がゴロゴロした谷を進んでいると11時30分広々とした川原に出た。右手から林帯が河原まで延びて紅葉が美しい。
ここが地形的に見て「池の平」(広河原)と呼ばれる場所だろう。
荒れ沢の向こうに少し平和そうな空間が見える この辺りが池の平=広河原だろう
11時30分 地獄谷の中でひと時平和な風景となる この辺りが「池の平」と呼ばれている場所だろう
ところが、この広い河原の先で谷が左に曲がるのだが、その辺りの斜面が大崩壊を起こして土砂や岩が川筋まで広がっている。
地形図を見ると振袖山の東斜面に大規模な崩壊地が記されていた。当然沢が荒れているのでルートを考えながら上流に向かう。
左岸に土砂が堆積しているので草地になっている 正面の崩壊斜面から岩が押し出されている
崩壊によって押し出されたスロープを上がって行く 谷は前方で左に折れる
両岸が狭まり荒れた沢が上流に延びる 沢沿いを進めない場所は段の上に這い上がる
沢は荒れてはいるがそこを流れる水は澄んで綺麗だ
11時52分この荒れた沢をやり過ごすと少しの間安定した川原然とした風景になり紅葉が美しい。
岩崖が迫る峡谷になる。両岸から競りだした岩の間に小滝がありその下が淵になっている。左手の岩場にロープが置かれてそれ
を頼りに斜面を迂回する。12時15分そこを抜けるとコケや落ち葉の雰囲気が良い沢となる。
川幅が広くなるとホッとする
美しい紅葉を眺める余裕が出てくる 少しまた両岸が狭くなって来た
12時00分 チョークになった難所が現れる ここは左手にロープが置かれているので斜面を注意しながらクリアする
岩斜面を抜けて沢に戻る 亀美さんも渡渉に慣れて来た様だ
コケ生した雰囲気の良い沢になる 湿気が多いので岩が滑りやすく気を使う
両岸が緩斜面になると広葉樹の紅葉が美しい これぞ沢風景だ
こんな沢が続いて欲しいなあと思いながら歩く ちょっと日差しが足らないけどそれなりに紅葉が映える
土壁の様な絶壁と夫婦滝
12時30分になると谷の様相が変わる。徳島県の阿波町にある土柱の様な土壁が両岸に現われた。従ってこの辺りの沢は草木
が生い茂って川の中よりイタドリの茎を掻き分けて土塊の草地を進んだりする。土壁にもびっしり草が生えて崖に安定感を与え
る。
12時50分左手に二筋の小さな滝が流れ落ちている。おそらくこれが夫婦滝(めおとだき)と呼ばれる場所だろう。この滝を
過ぎると最後の土壁が現れる。セメントの様な壁に小石を咥えてツルツルしているので土だか岩だか定かではない。沢には透明
の淀みが出来て水をすくってそのまま飲めそうに綺麗だ。
照的に緩斜面の樹林帯っぽくなる。
12時30分 両岸は草に覆われてはいるがまるで土壁の様な崖が断続的に現れる
前方の急斜面も土壁みたいに脆く見える 振り返って土壁もどきを眺める
イタドリが生えた河岸段丘を歩く 両岸の崖は岩とも言えず、土とも言えず・・・
又前方で両岸が狭まっている 12時50分 夫婦滝を通過
この塗り壁みたいなのは岩って呼ぶのか土って言うのか・・・ ビミョーに光って安定している
沢水はあくまで澄んでいる やっぱり岩って事にしておこう
13時07分 地獄谷を抜けて駒鳥小屋が近づいた雰囲気がする沢風景になった
駒鳥小屋と振子沢出合
地図で確認するとそろそろ左手に駒鳥小屋がある筈なので探しながら歩くが木々が生い茂って良く分からない。
うとう駒鳥小屋を過ぎてしまったようなので平らな場所で簡単な昼食休憩として、その間に駒鳥小屋を探す。小屋近くには赤い
テープや標識があるのだが、沢部から意識的に左手へ離れなければルートを発見出来ない。
亀吉さんと梯子段を上り13時00分駒鳥小屋に着いて中を覗いて引き返す。小屋の中は予想以上に綺麗だった。鳥越峠からだ
と道すがら小屋の前を通るのだが、地獄谷方面からは意識的に段丘に這い上がって探さないと発見がやや難しい。
駒鳥小屋は加勢蛇川・右岸の少し上側にある (小屋への標識) 意外と綺麗な駒鳥小屋の内部
駒鳥小屋は外壁が石組の雰囲気が良い避難小屋だ
振子沢分岐〜ユートピア小屋 約2時間
振子沢出合
加勢蛇(かせいち)川の上流、地獄谷を抜けて振子沢へ入る部分と周りの山との位置関係写真
烏ヶ山尾根から俯瞰した振子沢出合の位置
13時40分地獄谷に戻り少しだけ上流部へと進む。本流は更に西へと延びて槍ヶ峰や天狗ヶ峰へ壁沢・本沢となって崖に消え
て行く。
13時45分振子山の岩崖が切れる場所にある右手の振子沢交流部付近にはミズナラの様な背の高い樹木が立っており目印とな
る。以前は水が流れたり、大岩の上にテープを巻いた石があったりしたが、今回この分岐を見ると流木が重なって初めての人に
は少し分かり辛い。適当に右手の沢へ向かって這い上がって、上側で道を探すのが賢明だろう。
流木で荒れた沢筋を這い上がって沢の左側(右岸)へ渡ると踏み跡が比較的簡単に見つかる。ここに特徴的な白い標識が有るの
を以前見ていたが、今回伊予の鈍亀さんが確認するとその基部が遭難碑になっていた。
13時45分 振子沢出合に着く 右手にある振子山の岩崖が切れる場所で小さな流れが右手に見える
流木で荒れた小さな沢筋を這い上がる 上部の藪を沢の左側(右岸)へ進む
振子沢の踏み跡がはっきりする場所にケルンが立っている どうも遭難碑の様だ
私はこの沢は3度目なので水が結構上部まで流れているのを知っていたが、亀吉さんがどこかに水の件を照会すると振子沢はあ
まり水が無いから早めに補水する様にアドバイスを受けたらしい。
沢の左側(右岸)に続く踏み跡を進み14時00分水を汲み易い場所で早めに給水する。要するに多少落差があって綺麗な場所
で水を汲みたい。振子沢は沢と言っても規模が小さく、沢筋を大きく外すルートも無いので歩くのには全く問題は無い。基本的
には沢の左側に踏み跡が中程までずっと続いているし、途中で少し沢筋を歩く場所もあるが、直ぐに横の踏み跡に戻る事になる。
沢筋の灌木は冬季の積雪量が多い為に横に曲がって生えている。
もある。
振子沢は小規模で水量も少ない 沢に向かって左側に踏み跡が続く
14時00分 補水しやすい場所で早めに水を汲む 右岸の踏み跡に沿って進む
藪で沢に入る場所もあるがそう長くはない 又すぐに左手の踏み跡を歩く
14時15分(出合から30分) まだ水が流れている 左手に続く踏み跡 テープも要所に付けられている
14時30分頃から沢横が藪になり、ルートも沢筋の岩に添って進む事になる。10分程進むと前方に振子山の南壁に突き当た
り沢が左に急カーブする。すると西側の斜面が美しいブナ林となり気持ちが良い風景となる。
沢の周りが藪になりルートが沢に入る 細い沢を岩伝いに進む 沢が少し右に振っている
14時40分 沢が左へ振る 沢に転がる岩が結構大きくなる
14時45分 振子沢が西側に振って、左手に続く変則尾根が正面に見えるとその斜面にブナ林が霧に浮かぶ
沢が次第に藪っぽくなって来る 15時05分 この辺りは藪の為に沢しか歩けない環境だ
振子沢から右手の支尾根へ這い上がる
更に曲がった沢を進むと、辺りが藪っぽくなって沢が狭くなると15時10分メインの沢から右に外れて小沢を振子山の南側に
ある小さな尾根筋への斜面へ向かう。注意深く見ているとこの分岐にテープが見られる。振子沢周辺の地形は溶岩の不規則な流れ
の為か非常に複雑である。方向を間違えると天狗ヶ峰や象ヶ鼻方面へ行ってしまう。だからユートピア小屋へ向かうには右手の
支尾根に向かって意識的に這い上がらなくてはなら
ない。
15時10分 振子沢から右手の斜面に向かう支沢に入る 支沢と言うよりは雨水が作った自然の窪地と言った方が良いかな
象ヶ鼻(1,550m)ピーク分岐からユートピア小屋へ
幸いに、この斜面へ向かう小沢に沿って踏み跡が稜線まで続いている。急斜面を踏み跡に沿って15分程息を切らすとダイセン
キャラボクが生えた稜線へ着く。ガスで展望が無いが、稜線に付いた踏み跡に沿って1,550mピーク分岐までドンドン上っ
て行く。 途中で15時35分振子山分岐の白い標識ポールに出合う。更に斜面を上がって行くと15時45分 「象ヶ鼻」
1,550mP=ユートピア分岐に到着した。
ガスで視界が悪い時は赤やピンクがよく目立って良い 藪っぽい急斜面を這い上がって行く 踏み跡はある
稜線が近づくとダイセンキャラボクが現れる 15時23分 尾根に出るとイヌツゲが群生している
稜線上に踏み跡が象ヶ鼻まで続く (左上に霞んでいるのが象ヶ鼻) 15時32分 大休峠分岐ポールを通過する
象ヶ鼻(1,550mピーク)の岩が見える 15時47分 象ヶ鼻直下のユートピア〜大休峠分岐
霧で展望は無いが、左手の尾根筋へ進むと岩横に「立ち入り禁止」の標識があり、そこから立ち入ると天狗ヶ峰を経て剣ヶ峰へ
至るガレ尾根となる。
(参考) 象ヶ鼻 (弥山〜剣ヶ峰縦走時) (参考) 象ヶ鼻からユートピアを眺めるとこんな感じだ
ユートピア避難小屋が霧の中に現れる さて、誰も居なければ良いのだが
小屋の中に入ると男性が道具を一杯に広げて一人寝ていた。避難小屋の場合、先客が心理的に優位性を持つ。後から入る我々は
明るいと言うのに先客を起こさない様に声を潜めて話をしなければならない。
以前、伊予の鈍亀さんと甲斐駒から早月尾根を経て鳳凰三山まで縦走した時も早川尾根避難小屋に着くのが遅くなり、小屋に入
ると先客が居てあからさまに迷惑がられた。こちらも頭に来て小屋の外にツェルトを張って寝た事を思い出した。
入り口の土間で取り敢えず夕食の準備をして先客が起きるのを待つ。その内にゴソゴソ音がしたので中に入り挨拶をする。聞く
と地元の人で写真を撮りに来たと言う。
小屋には銀マットが多めに置いてあったので私は夕食で使った土間で気兼ねなく寝る事にした。風が強くて寒い夜だったが、避
難小屋は有り難いものだ。
15時50分 ユートピア避難小屋に入る う〜〜ん 土間は真っ暗や
あら? お一人様先客が居られた 入った時には寝ていた 左側が半分空いているので取り敢えずマットを敷く
夕食宴会と言いたい所だが先客を起こさない様にヒソヒソ宴会だ モンベルダウンハガーNo.3 ハーフレングスで寝る
第2日目:ユートピア小屋〜振子山〜野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山 は ここ