奥秩父の百名山 大弛峠をベースにした金峰山・瑞牆山・甲武信ヶ岳の三座遠征記


  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 金峰山〜瑞牆山と 甲武信ヶ岳



第三日目・第四日目  令和元年(2019年)10月7日〜8日

大弛峠から甲武信ヶ岳 1泊二日 奥秩父主脈縦走路ピストン

その1)3日目:大弛峠〜国師ヶ岳〜東梓〜富士見〜千曲川源流〜甲武信ヶ岳〜甲武信小屋 約 9時間45分


 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 大弛峠〜甲武信ヶ岳  往路 赤線 (伊予の鈍亀さん提供)

朝ガスが濃く天気も今一つなのでゆっくり出ようと言う事になり06時頃まで寝た後、テントを片づけ鈍亀車の中に収納する。
月曜日なので、土曜日の朝金峰山へ出発する時は沢山停まっていた車は2〜3台に減っていた。車の近くで張るテントは大き目
のファイントラックのダブルウォール「カミナドーム2」(1,310g)で、縦走時は代わりに軽量のモンベル・モノフレー
ムシェルター(650g)をザックに詰める。今夜は雨の予報ではあるが一晩だけなので問題はないだろうし要は軽さが大事な
のだ。


  
 ファイントラック カミナドーム2 自立式ダブルウォール    モンベル モノフレームシェルター 非自立式シングルウォール

07時05分霧の大弛峠を出発する。甲武信ヶ岳へは大弛小屋の右手を抜けて登山道が付けられている。標識には「奥秩父最高
峰 北奥千丈岳」「甲武信ヶ岳」「夢の庭園」の登山口となっている。整備された低い階段道を過ぎると、雨水に穿かれた岩道
となるが、又直ぐに整備された木製階段道が続く。

07時22分コーナーに標識があり右手に「夢の庭園」とあるが、帰りに寄る事にした。シャクナゲが沢山生えているのでここ
は春に来るのが良さそうだ。


  
 07時05分 霧の大弛峠を出発する                大弛小屋の右手に登山口がある

  
 登山道は良く整備されている様だ                  丸っこい岩が転がる登山道

  
 直ぐに木製階段が続く                         07時22分 夢の庭園分岐を通過する

  
 サルオガセが幹にくっついている                    ゴゼンタチバナの実

  
 この山はシャクナゲが群生している                木道が切れると花崗岩の丸い石が小rがる登山道になる


08時00分トラバース道から稜線部近くに出ると花崗岩の大きな丸い石が転がる登山道になり、一瞬ガスが飛んで前方に紅葉
に光る緩やかなピークが見えた。恐らく国師ヶ岳から北奥千丈岳の稜線と思われる。ガスが晴れるのを期待したが、結局これを
最後に稜線歩きはずっと霧に包まれた。


  
  登山道に岩が転がる                         前方が開けて霧が一瞬飛んだ


    国師ヶ岳への斜面は黄葉に染まっている  二日間で展望が有ったのはこの瞬間だけだった


国師ヶ岳  一等三角点 「國師岳」 2,591.92m

08時17分大きな丸い花崗岩が転がる「前国師ヶ岳」の標識に着く。標識によるとこの辺りは秩父・多摩・甲斐国立公園にな
っているらしい。登山道は大弛峠から急な尾根筋を避けて北側のシャクナゲ帯に木道階段を整備して肩部まで上がる。前国師ヶ岳
は丁度肩部に上がった場所になる。

一旦苔の生えたシラビソ林に入り北奥千丈岳分岐を越すと08時36分三角点のある「国師ヶ岳」に着いた。山名は鎌倉・室町
時代の禅僧、夢窓疎石が甲斐の国で修行をした事がありこの地に馴染みが深く、後醍醐登るには天皇から高僧に贈られる「国師」
の称号を与えられ、「夢窓国師」と呼ばれた事によるらしい。ひょっとすると「夢の庭園」もこの夢窓国師の夢の字を採ったの
かも知れない。


  
 コケモモの実 少ない赤色                      08時17分 前国師ヶ岳

  
   前国師ヶ岳辺りで少しの間霧が晴れた           08時26分 北奥千丈ヶ岳分岐 遠そうだったから寄らない

  
  一旦 シラビソ林に入る                       登山道は雨水に穿(うが)かれて掘れこんでいる

  
  08時36分 何やら立派そうな三角点じゃぞ           一等三角点「國師岳」


    今日の長い尾根縦走で数少ない目玉場所となる一等三角点なるぞ

ここまでにゴゼンタチバナとコケモモの赤い実を見たが、山頂で初めてシラタマの木に出会う。おびただしいシャクナゲ林を抜
けると、穏やかなシラビソ林の尾根道となる。
ほぼシラビソ針葉樹林帯なのだが時々広葉樹が現れる。それは足元の落ち葉で見
上げる事になるのだが・・・


サルオガセ類のヤマヒコノリも風で幹から飛ばされて足元に丸まって転がる。時々幹が荒れている木が現れるがこれはコメツガ
だろう。
シラビソはモミ属でコメツガはツガ属なので幹や葉っぱに違いがある。

  
  シラタマノキ                               猛烈なシャクナゲの群生地を抜ける


           登山道の両脇をびっしり埋め尽くしたシラビソの林  

  
  ダケカンバもシラビソ林の中で頑張っている        サルオガセ類のヤマヒコノリか  木から風に飛ばされて転がる

コケと針葉樹の美しい縦走尾根だが、長い時間同じ景色を眺めていると退屈する。その単調さを補う様に標識が現れる。普通、
甲武信ヶ岳へ登るには長野県側の毛木平(もうきだいら)か山梨県側の西沢渓谷を登山口にする事が多い。この稜線を歩く登山
者はやはり「奥秩父主脈線縦走路」に興味を持つ少数派だろうが、県境尾根だけに標識が各所に設置されているのは有り難い。



「国師のタル」2,127.1m 稜線の最低鞍部

国師ヶ岳から尾根がアップダウンを繰り返しながらも標高を下げて行く。なだらかな2,236mピークを越えて倒木に苔むし
た樹林帯を下ると10時55分「国師のタル」の標識がかかるコルを通過する。この辺りの標高は2,127m程で今回の縦走
尾根で最低分コルになる。国師ヶ岳からおよそ標高差450mを下って来た。

すぐ北側には信濃川水系、千曲川の支流、梓川源流の谷が延びて
来ているので水場があるらしい。又南側も富士川水系、笛吹川の上
流部、信州谷に挟まれて尾根がくびれている場所だ。

  
  又 シャクナゲの群生地を抜ける                 林が少し開けた場所には広葉樹が小さな縄張りを持つ

  
 下り坂には黄葉の落ち葉が散らばる                 09時50分 しっかりとした標識が立っている

  
 シラビソの幼木が林床を埋めている                 倒木も又森の美しい風景だ

  
 こちらの幼木はツガ類か?                       尾根をトラバース気味に高度を下げる


   10時55分 この縦走尾根の最低コル部となる 「国師のタル」  標高 2,127.1m


「東梓」 2,271.8m  三等三角点「東梓」 2,271・78m

11時20分に通過した2,224mピークに石柱が立っており、少し尾根が東に振る。ここで5分程休憩を取る。北西方向に
支尾根が延びているが、踏み跡がしっかりしているので迷う心配は無い。

霧深い尾根道には珍しくダケカンバの大木が立っていて、幹がコブ状になった木もある。11時55分シャクナゲが繁るピーク
に「東梓」2,271.8mの標識が掛かっており、ここに三角点マークがあるので探す。すると地表ギリギリに大き目の四角
形の石標を発見する。
珍しい三角点標石だ。

  
 11時18分 ピーク近くに登山道標識があった       すぐに通過した2,224mピークには三角点の様な石標がある

  
 痩せ尾根に根を張る逞しい生命力                ダケカンバのコブは細菌などによる木の病気らしい

  
周囲の針葉樹は細いのにダケカンバの幹だけ太い        急な岩っぽい傾斜を登る

  
 ピークに岩がある 自然石か人工的に置かれたのかわからない  奥のシャクナゲに隠れて大きな石標があった


           11時55分 三等三角点「東梓」 2,271.78m に着く

両門ノ頭 2,263m

三角点峰「東梓」の先の登山道は少し荒れており、倒木を避けたり乗り越えたりしながら進む。どうもこのルートは長くて退屈な
ので人気が無い様だ。12時50分小高い2,263mピークに着く。ここは「両門ノ頭」と呼ばれる場所で、南側の笛吹川上流
東沢の西股・釜ノ沢合流付近に「両門ノ滝」と言うのがあるのでそこから取られたピーク名だろう。ちなみに釜ノ沢は甲武信ヶ岳
の南斜面まで延びて富士川=笛吹川の源流地の一つとなっている。ここで15分程休憩を取り昼食代わりの行動食を食べる。

13時10分岩っぽい急な上りとなり、岩尾根特有のシャクナゲが現われ、右手が崖の岩場に出た。展望が無いのが残念だが地形
図にも崖マークがあり見晴しが良い場所だろう。しばらくすると落ち着いた針葉樹林帯となりコケが沢山見られて白い小さなキノ
コが生えている。

  
 大迂回を強いられるダケカンバの倒木          青空が無いと黄葉も冴えない

  
  この辺りは倒木が多い                右手が崖っぽい上りとなる

   
  岩尾根のお友達 シャクナゲの群落を通過する   13時15分 岩場に出る  右手は切れ落ちている 


  
     霧が産む苔と朽ちた倒木                    倒木と水分で苔やキノコが生活している


   余り掲載するコレと言う写真も無い尾根道なので亀美さんから提供のあったキノコでも
 

富士見」 2,373m

14時05分「富士見」の標識が木に掛けられている。ここは東(右手)に尾根が振るターニングポイントになっており、北側
の支尾根に行かない様にロープが張られている。富士見って場所だから富士山が見えるのだろうが、周囲はシラビソの樹林帯に
覆われていて展望所みたいな場所は見当たらない。晴れていれば少しその場所を探す所だが、生憎近くの展望さえ無い霧中なの
であっさりと通過する。


しばらく進むと広いテント泊に適した場所があった。尾根を歩いていると、水場やテントが張れる場所に目が行ってしまう。
14時27分シラビソの風倒木帯を通過する。その先には足元に若いシラビソの幼木がびっしりと生えているから世代交代に支障
は無さそうだ。


  
   穏やかな尾根道が続く                      鉄板の標識が樹に咥えられている


   14時05分 尾根のターニングピーク「富士見」を通過する  ピークには見えない平坦な場所だ

  
 整然として並ぶ針葉樹林帯を少し下る              富士見から10分程のビバーク適地が気になって・・・・

  
  沢山のシラビソが倒れている                   その向こうにはもっと沢山の幼木が育っていた


水師 2,396mピーク

14時52分 上り傾斜を上がり切ると、そのシャクナゲピークには「水師」の標識が木に掛けられている。地形図を見ると南側
に崖マークがある 2,396mピークとなっており、ここを下りると千曲川源流への分岐がある筈だ。


  
     14時40分頃から上り坂になる                甲武信ヶ岳への最後のピーク 2,396mPへと向かう


   14時52分 シャクナゲの2、396m ピーク ここを下りると千曲川源流地への分岐コルが近い

千曲川源流地分岐から源流地へ

水師ピークから右手が切れ落ちたガレ場を通ってコル部に下りて行くと15時11分千曲川源流への分岐標識に出合う。左手への
源流部の標識には「千曲川源流・梓山」とある。梓山は北側、長野県南佐久郡川上村にある地名だ。古く信州・秩父往還道の要
所で千曲川や三国峠をへて十文字峠、更には雁坂峠など中山道の裏街道として多くの往来があった場所らしい。街道歩きをしてい
る東京の長兄はこの梓山から十字峠を経て雁坂峠まで歩いている様だ。

  
 2,396m ピークから下る              右手が崖になって切れ落ちている

  
  安定した尾根になりコル部が近づく          15時11分 千曲川源流地分岐に着いた


         千曲川源流地はスキップせずに絶対行くぞ〜〜〜

源流分岐からは亀吉さんが先頭を切ってドンドン急坂を下って行く。思ったよりも遠くまで下る様だ。当然、分岐にザックを置い
て身軽になっているので早い。15分程で平らな千曲川源流碑に着いた。標識には「千曲川 信濃川 源流地標」と消えかかった
文字が縦に書かれている。一段下の沢部に木の根元から清流が湧き出しており、この一滴が367kmの旅を経て日本海に注いて
いる。コップなども置かれているので順番に源流水を飲む。まあこれは先入観のなせる技かおいしい気がする。


この旅から帰った後に、千曲川の大氾濫ニュースを目にして一滴の水があちこちの沢から集まって下流で被害を与えた事実を知る。
水は実に有り難い物だが、それが多過ぎても集中豪雨などで人間や自然に猛威を振るう。

急登を喘ぎながら16時00分、稜線上の分岐まで戻る。

  
  源流地への道は毛木平への登山道でもある          ドンドン急傾斜を下りて行く


  15時30分 「千曲川・信濃川水源地標」に着く  稜線から15分程だった

  
   千曲川源流地 下流方面                     千曲川源流地 上流方面


            ここから千曲川源流水が湧き出てきている  

  
  空身だが急傾斜なのでキツい〜〜〜                 もうすぐ稜線に出る


甲武信ヶ岳 (こぶしがだけ) 2,475m 三角点は無し

地形図を見ると、千曲川源流分岐から甲武信ヶ岳はすぐ近くだ。天気もすぐれないので急ぎ足で先へ進む。シラビソの端正な尾根
道は次第に岩によって崩れてくる。登山道は尾根の左手をトラバース気味に高度を上げる。足元には岩がゴロゴロしてこの山は意
外に厳しい岩山だと感じる。最後はシャクナゲ群の尾根を右手に回り込むとガレ場となって山頂が近づく。


16時30分、今回三座目の日本百名山「甲武信ヶ岳」に立つ。ここから日本百名山が43座も眺める事が出来ると言うキャッチ
フレーズだが、今日はこの甲武信ヶ岳1座しか見る事が出来ない。山頂の外れに標識が立っており、進行方向(東)が「甲武信小
屋・雁坂峠、西沢渓谷道の駅みとみ」左手側(北)に「三宝山・十文字小屋」とある。 

天気が優れないせいか、山頂付近のガレ場だけの印象が強く余り美しい場所だと思えない。握り拳(こぶし)の様な山だから拳
(こぶし)ヶ岳って呼ばれていたとも聞く。甲州=甲斐=山梨、  武州=武蔵国=埼玉 、 信州=信濃国=長野 の各頭文字
を取って「甲武信(こぶし)ヶ岳」とは何ともうまくもじった山名だ。

昔からの往還道であった十字峠や雁坂峠の近くに位置し、丁度三国の境界でもある場所、更には千曲川(信濃川)、荒川、笛吹川
(富士川)の源流地って地理的要素がこの山を日本百名山に押し上げたのだろう。


  
 16時00分 尾根に帰って甲武信ヶ岳を目指す         次第に岩が出て厳しそうな登山道となる

  
 岩と仲が良いシャクナゲを回り込む                 ガレ場を上がって行く

  
   山頂からの行き先標識が立っている                      天気 悪いなあ


      やった〜〜  日本百名山 三座目 甲武信ヶ岳をゲット〜〜〜

山頂付近のガレ気味の登山道を南東方向へ下ると急な樹林帯となり15分程で甲武信小屋の屋根が見えた。右手から回り込むと
丸太を組まれた長屋風の小屋前に出る。天気も悪いので宿泊者にキャンセルがあった様で、テン泊者が一人だけだった。


段々畑の様なテン場へ下りると雨が降り出したので鹿防止ネットに近い木の下にテントを張る。小屋の宿泊者が他に居ないので
小屋の中で伊予の鈍亀さんと食事をさせて頂く事になった。宿泊者の夕食はカレーで私はお湯を沸かして金ちゃんヌードルを飛
べる。

亀美さんによると甲武信小屋で一番良かったのはトイレがメチャクチャ綺麗だった事らしい。これは山小屋では珍しい事で、居
心地いい小屋だったとの感想。小屋の主人“徳ちゃん”こと山中徳治さんとも気さくに話をする事が出来ました。


甲武信ヶ岳の南側、富士川の上流「笛吹川」の西沢渓谷登山道から「徳ちゃん新道」ってのが地図にあるが、この徳治さんが開
削した道の様だ。


夕食の後、傘を差してテントに潜り込む。時々木の枝を伝ってボトボトと雨水がテントを揺るがす。う〜〜ん 大木の下は雨が
纏(まと)まって落ちてくるのであまり良く無かった。雨の日のシングルウォールテントを張る場所は悩ましい。


  
 16時34分 山頂を後にして山小屋へ向かう           ここにきて初めて境界石標に出会う

  
  小屋に向かう道は当然の事ながら整備されている      16時50分 甲武信小屋に到着〜〜

  
 早速テン場に行ってツェルトを設営する              山小屋の夕食はカレーだ 私は食べてない・・ぐっすん



3日目:甲武信小屋〜甲武信ヶ岳〜富士見〜東梓〜国師ヶ岳〜夢の庭園〜大弛峠 (約7時間45分


 伊予の鈍亀さん提供のGPSトラックログ図  (再掲) 甲武信ヶ岳〜大弛峠 復路

朝05時に起きてツェルト内を片づける。中にはやはり水が少し溜まっていたが少し斜面を利用して設営したので雨水は足の方に
移動しており装備に目だった濡れは無い。体が目覚め切っていないので動作は鈍く時間がかかる。手当たり次第に散らばっている
備品を所定の袋に収納し、ツェルト内でザックに放り込む。雨はほぼ止んでいたが、濃いガスが一面を覆っている。

昨日とほぼ同じ天気なので歩行中見える景色も変わり映えしないと思うとちょっと気分がダレる。外に出て、ツェルトの雨露を思
いっきり払って他の装備を濡らさない様に防水袋に入れてザックのトップに詰め込む。多少重たくなるが、その分食糧や飲料水が
減っているのでザック重量は昨日とトントンって所。


06時10分小屋前に集合してご主人に見送って貰いながら出発する。どの山小屋でも付近の登山道整備をしてくれるので登山者
にとっては大いに助かる。



 06時10分 山小屋のご主人“徳ちゃん”こと山中徳治さんと記念写真を撮らせて頂く

06時35分甲武信ヶ岳に着くが昨日より濃いガスで何も見えない。どんどん進んで、06時57分千曲川源流分岐を通過する。
苔むした樹林帯を抜け、左手に崖を見ながら進む。


07時15分シャクナゲの「水師」ピークを通過し、07時58分ロープが張られた「富士見」ターニングピークに着く。

  
 06時35分 甲武信ヶ岳で一応記念写真              昨日よりガスが濃いわ

  
    甲武信ヶ岳のガレ場を下る                   06時57分 千曲川源流分岐を通過

  
      岩場を抜ける                         07時15分 水師 (2,396m)ピークを通過

  
   雨に濡れた稜線を歩く                       07時58分 ターニングピーク 富士見を曲がる


08時38分、2,263mピーク「両門ノ頭」で少し休憩して朝食の行動食を少し摂る。昨日もこの辺りで昼食とした。私も亀
吉さんも山歩きの時は朝食抜きが多い。両門ノ頭は先に述べた様に南側にある両門ノ滝の源頭部にあるピークって事だろうが、い
ずれにしてもこの長くて退屈する尾根歩きでは平凡なピークにも名前が付けられていると通過のチェックポイントになる。

  
       細尾根もあれば              コケ蒸した尾根もある

  
  カラマツの葉が雨に濡れている            08時30分 絶壁の横を抜ける

  
 08時38分 「両門ノ頭」で行動食休憩        しばらく歩くと珍しい境界石標があった

四国の県境尾根には境界杭が沢山見られるが、ここの県境尾根にはそう言ったプラスチックやセメント柱のマークは見られず、境
界石柱さえも少ない。時々、コケやキノコや倒木の写真を撮って気を紛らわせながらひたすら歩く。


登山者の眼を日本アルプスのアルピニズム(雪と岩稜がメイン)から奥秩父などの山深い風景や谷に向けたのが明治時代の英文者
で登山家の田部重治(たなべ じゅうじ)でそれが著書「秩父の山々」だ。彼の「山と渓谷」は後に登山雑誌の誌名に使われたの
は有名な話である。

又、登山家の小暮理太郎もこの辺りの森林を「深林」と呼んで良く歩き記録を残している。この功績から金峰山の西にある金山平
に二人のレリーフがあるらしい。関東山地と広義で呼ばれるこの山域に自動車道路が未だ及ばない時代には奥多摩から奥秩父の山
々はその名の通り、さぞ奥深い地であったろう。 奥祖谷、奥大山、奥飛騨と奥が付くとロマンチックな秘境のイメージが嫌でも
増す。


  
    ゼニゴケ                                 スギゴケ


    奥秩父の深林   コケと倒木 シラビソにコメツガ

09時25分「東梓」を通過し、平べったい三角点をシャクナゲの枝を掻き分けてしげしげと確認する。

09時50分2,224mターニングピークには三角点の様な石柱が置かれている。ここから尾根は南へ向かうのだ。10時20
分この県境尾根・最低コル部「国師のコル」(2,127m)を過ぎると頭上が黄色くなりダケカンバと思われる木々が圧倒的な
針葉樹林帯の中で高みに向かってしのぎを削って細く幹を延ばしている。


  
 09時25分 三等三角点「東梓」 に着く             これって本当に三角点標石だろうか  ベースに足タッチ

  
 10時05分 しっかりした標識                     10時20分 国師のコル を通過

  
 背の高いシラビソ林に黄色のゾーンが見える           ダケカンバがシラビソとしのぎを削っている


10時40分細いシラビソが風倒木か縞枯れか沢山枯れかけて倒れ掛かっている。古い倒木はコケに覆われて森の少ない栄養源に
なっている様だ。国師のコルから国師ヶ岳・東肩部まで徐々に標高を上げて行く。針葉樹の中に広葉樹の落ち葉、シャクナゲと変
わる景色を楽しみながら上って行く。


    
   前方の林に倒木が見える                      苔のシラビソ林にも倒木


   倒木の間に立つシラビソの皮が剥がれているのが気にかかる  鹿の食害でなければ良いが・・・
      

国師ヶ岳の肩に近づくと足元に丸く風化した花崗岩が現れる。瑞牆山や金峰山に広がる花崗岩帯が大弛峠を隔てたこの国師ヶ岳辺り
まで延びて来ている。12時31分国師ヶ岳の東肩・ターニングポイントに着くと青ペンキの標識がかかっていた。


  

  
  登山道に丸い石が現れた                      国師ヶ岳の東肩ターニングポイントにある青い標識

そこからコケと岩の回廊が続き12時45分「国師ヶ岳」に着いた。辺りは相変わらず霧に覆われて何も見えない。北風が強いの
で南側に少し入って昼食とする。昼食っても我々のは残りのバンとナッツだけだが、デポした車に帰るのメドが着いているのでこ
れで上等だ。地表に出過ぎた一等三角点を眺めてから風化した花崗岩が並ぶ稜線沿いの登山道を進み13時15分「前国師ヶ岳
を通過する。


  
 どこかの豪邸の庭みたいな登山道                  雨水で丸っこく風化するんだろうか?

  
  だんだん岩がデカくなる                        12時45分 国師ヶ岳まで帰って来た

  
 ぷぷっ 我々の昼食は質素じゃのう                  一等三角点「國師岳」

  
  13時10分 北千丈ヶ岳分岐を通過                     岩の回廊を抜ける  

  
  13時15分 前国師ヶ岳を通過                    トラバース道へと進む    

整備された木製階段を下ると13時30分「夢の庭園」分岐があった。霧の為どうせロクな景色は見えないだろうが、取り敢えず
寄って見る事にした。同じく整備された階段を下ると予想通りここは展望がなければ冴えない場所だった。木製階段を登山道へ合
流して「大弛小屋」へ出て13時55分「大弛峠」へ帰り着いた。


  
  整備された木製階段を下りて行く                 13時30分 夢の楽園へ左折する

  
 木道もあるが岩道もある                        う〜〜ん ガスで何も見えんぞ

  
ここの紅葉はナナカマドとダケカンバだ                13時43分 下側で登山道に復帰する

  
  大弛小屋を抜ける                         13時55分四日間の縦走を終えて大弛峠に帰り着く


前半の二日間は大弛峠を西側に進み、天気も良く「金峰山」と「瑞牆山」を堪能した。後半の二日間は大弛峠を東側に進み、霧の中、
甲武信ヶ岳」への奥秩父主脈縦走路をピストンした。四国ではお目にかかれない奥秩父のシラビソやコメツガの原生林風景を眺め
ながら長い距離を歩いた。
たまには四国を離れて遠くの山を訪れるのもいいもんだ。


   
 遠征全編 金峰山と瑞牆山の記録は     ここ    


     
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