シンプルで爽快な雪山「焼岳」gakugaku隊プチ弾丸登山に参加

初春の「新中の湯温泉ルート」をピストン (約6時間40分)


                    焼岳・南峰にて    バックは笠ヶ岳〜抜戸岳


プロローグ

2月18日ガクちゃんからラインが入る。3月9日(土)に高知隊で焼岳登山へ行くんだけどどう?ってお誘いだ。焼岳は
北アルプスの南端にある活火山で、3年前の秋に上高地(小梨平)から北峰をピストンした。その時期は南峰への崩壊が激
しく登山禁止となっていた。今回の冬場は南側の「新中の湯温泉ルート」で夏場と違い南峰へ登るらしい。


私以外の3人共現役労働者なので金曜日の夜、北川君の徳島宿舎に21時半頃集合して出発し、翌日焼岳に登ると言う。退
職者にとって夢の様な弾丸登山じゃないか! 但し日曜日はまったりと四国に帰るだけなので余裕がある。即OKを出す。
出発まで色々やり取りを経て結局、登山前日と当日の天候が良く、帰りの移動日に天気が崩れると言う予報なので予定通り
決行となった。


私は夕方明るい内に徳島に出て待機、高知からはガクちゃんと以前沢歩きでご一緒した本山さんが仕事を終えてから22時
前に徳島に着き、北川君のデリカに乗って一路平湯温泉を目指す。目が悪い私は専ら助手席にて交代する運転手の居眠り防
止話し相手役だ。会計はガクちゃんで各自交通・宿泊費2万円を渡して足りなければ帰りに追加って寸法だ。


平湯温泉バスターミナル駐車場は北アルプス・槍穂の上高地玄関口で、普通近くのアカンダナ駐車場に車を停めて登山バス
やタクシーで上高地へ入って行く。この懐かしい平湯駐車場に04時頃着き仮眠の後06時20分安房(あぼう)トンネル
(有料)を抜ける。そこから中の湯温泉旅館が旅館施設まで除雪した安房峠道路のゲートを開け旅館前の駐車場へと入って
行く。焼岳冬季登山者の車はこの平湯温泉旅館に予約を入れなければゲートの中に入れない(駐車料500円)


又、旅館駐車場の予約が満車になると同じ料金で中の湯温泉が管理するゲート内道路脇に駐車する事になり歩きが長い。
ガクちゃんは事前にこの情報を入手して旅館下の駐車場を予約してくれていたので助かった。ガクちゃんにお礼を言うと
「褒めよ〜称えよ〜」と悦に入っている。




  
平湯温泉バスターミナル駐車場                     むむっ あれは笠ヶ岳か〜〜  天気いいぞ!

  
     06時20分安房トンネルを抜ける              中の湯温泉旅館への安房峠道路はゲートがある

  
中の湯温泉旅館への道路は旅館によって除雪されている       06時45分 中の湯温泉旅館の駐車場に到着


平成31年3月9日 (2019年3月9日)

中の湯温泉旅館・登山口〜焼岳・南峰〜同・登山口


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 「新中の湯温泉ルート」

06時35分駐車場に着くと沢山の登山者が準備をしていた。旅館の前には霞沢岳が雪を被って朝日に輝いていた。う〜
〜ん 絶好の冬山登山日和だ! 又、ガクちゃんにいい日を選んでくれたもんだなあって言うと「褒めよ〜称えよ〜」が
返ってくる。まあ「拝めよ」まで言われないからいいか。


  
中の湯温泉旅館の駐車場で準備をする                霞沢岳が旅館の北正面に見える


最初はガマンの急登

旅館の右手裏が登山口になっており、他の登山者がアイゼンを付けているのでそれに習い07時20分出発する。旅館裏手
の灌木帯傾斜を上って展望所に出る。何とここから明神岳のギザギザや前穂、吊り尾根〜奥穂が綺麗に見えるじゃんかいさ。


登山道は雪に埋もれた安房峠道路に沿って右手に回り込みコル部を通過して焼岳南尾根の急登に入る。しばらくブナなどの
自然林の斜面をジグザグに上っていく。普段、堂山や犬返しなどの急傾斜でトレーニングしているのでスピードは出ないが
そんなに息は切れない。北川君は若いので寝不足でも平気だ。ガクちゃんと本山さんは昨夜高知で18時過ぎまで仕事をし
てから徳島へ来たので多少息切らしている様だ。まあ普段酒のトレーニングだけの人達だからなあ・・・。


     
07時20分 旅館の右手から裏山に進む ここでアイゼンを装着   ダケカンバの樹林帯を旅館の裏手に回って上がっていく

   
斜面を上がり切ると展望所(恐らく道路の法面か?)がある   霞沢岳の奥に明神岳〜前穂高〜奥穂高が見える

 
        アップすると奥穂高〜吊尾根〜前穂高〜明神岳が見える

  
 尾根を右手にトラバースする                    ジグザグに急斜面を上がって行くガクちゃん  ブナがいい感じ

  
      本山さんと北川君がそれに続く              次第に針葉樹林が多くなる 先頭ガクちゃん 2番手 私

  
樹林帯の中はトレースを追って歩くのでワカンやスノーシューは不要    起伏も結構あるがトレースに助けられる


急登を上り切るとなだらかな樹林帯を歩く

標高が1800mを越えると辺りは鬱蒼とした針葉樹林帯となり、雪が枝に積もって北欧の様だ。(っても北欧には行った
事がないんだけど・・・)
08時頃から比較的なだらかな傾斜の森を歩く。数日前に雪が降ったと思われる登山道は先行者
達のトレースがあるので歩き易い。

ガクちゃんは熟達者なのでザックもマーモットの小さな物にワカンとピッケル、本山さんはロウアルパインの渋いザックに
TSRスノーシューとピッケル、北川君はグレゴリーのザックにワカンとピッケルだ。私はモンベルの冬ザックにペーコち
ゃんの形見MSRスノーシューにピッケルって出で立ちだが4人共スノーシュー、ワカン、ピッケルの出番は無かった。



  
私はモンベルの冬ザックにMSRのスノーシュー(ペーコちゃんの形見)  ガクちゃんはマーモットの小さめのザックにワカン



  
 北川君はグレゴリーのザックにワカン                本山さんはロウアルパインのザックにTSRのスノーシュー


樹林帯が終わると眼前に焼岳の双耳峰が!! 見晴の良いダケカンバ帯

09時を過ぎると樹林帯が終わって目の前が広がり、そこに真っ白な焼岳の双耳峰が現れる。お〜〜凄い光景や!とガクちゃん
に言うと「褒めよ〜 称えよ〜」が又帰ってきた。夏山シーズンでは焼岳登山は北峰を指し、南峰は崩壊が激しく登山禁止に
なっている。所が冬山シーズンは逆で、焼岳登山は南峰に続いている。下から登っている登山者を眺めると相当急な雪斜面を
歩いている。梓川の支流谷「下堀沢」の源流部によって焼岳の南峰と北峰が分断されている。夏道はこの下堀沢を詰めて北峰
の東側コル部へと進む。冬道は雪崩などの危険を避けてこの辺りから沢部を離れて左手の南峰斜面へと取り付いて行くルート
だ。


  
樹林帯が減って前が透けて来た〜                 ん? 辺りが急に明るくなったわ 樹林帯のフィナーレじゃ


  お〜〜 樹林帯が開けて焼岳の双耳峰が現れ、知らぬ間に元気が出て先頭になっている北川君

  
テントが張ってある近くで沢山の登山者が休憩していた     「ガクちゃん 最高じゃん!」 「褒めよ〜 称えよ〜 ?」


              前方のダケカンバ樹林帯に向かう

  
灌木帯から霞沢岳を振り返る                右手には下堀沢の凹みと北峰の末端部、その向こうに奥穂、前穂


        灌木帯から眺める奥穂高〜吊尾根〜前穂高  ここも又奥穂高展望所や

  
  灌木帯をほぼ抜ける                        さて ここからホンマの急登が始まりまっせ〜 ガンバ


ダケカンバ帯が終わると一面の急な雪斜面となる

09時50分傾斜を上っていると周りにダケカンバの茶色が無くなる。いよいよここからが雪山登山の醍醐味が始まる。
群青色の空に真っ白な雪の壁が続く。でも登山者が多いので安心感がある。山歩きでは先行者の姿や周りの登山者の姿が
ある事で精神が安定するものだ。


振り返ると霞沢岳が黒い山塊の稜線部が雪を被ってどっしりと構え、右手には谷筋を挟んで岩尾根の天辺に北峰が迫力を
持って聳える。南峰の稜線部は相当風が強いのか雪煙が舞っていた。若くて元気な北川君は登山者を追い抜いて随分先を
歩いている。



        右手の下深沢から少し離れながら急斜面へ向かう

  
  まだまだ遠いぞ〜                          褒めよ 称えよ〜 神様 仏様 ガクガク大明神様

  
  ガクちゃんを振り返る本山さん                   北川君はあっという間に登山者を抜き去って前を進む


       ガンガン上る北川君  休憩地にテントを張っていた人が下りて来る

  
 南峰付近は強風で雪煙が上がっている              下堀沢を挟んで焼岳・北峰


10時25分前方右手は雪が少し薄そうで岩場らしい場所まで到達する。ハイマツも雪の中に埋まっているのが分かる。
こんな場所は風が強いので風紋(シュカブラ)が出来ていた。10時30分西側に張り出した県境尾根(岐阜県・長野県)
付近まで登ると南面も少し棚状に張り出しており、その向こうに広がりを持つ乗鞍岳が見える。そしてもう少し高度を稼
ぐと西側に白山が現れた。


この辺りから傾斜は少し緩くなり、夏場なら歩けないだろう岩場やハイマツの平原を上っていく。山頂が近づくと風で雪
が飛ばされた岩がぼつぼつ現れ、寒くなったので岩陰で防寒具を羽織る。



    上高地の山、霞沢岳   手前中央の下堀沢の右手から上がって来た

  
 南峰山頂付近は強風で雪煙が舞う                  10時25分 南側に張り出したテラスまで上がって来た


            10時30分両翼を広げた乗鞍岳が南テラスの向こうから顔を出す

  
  南に張り出したテラスが下に見えだす               いよいよ山頂が近づいてきたぞ

  
 トレースのあるルートは尾根の右手に出て進む          最後は少し岩場を抜ける事になる

  
    岩場が近づく                           風が強いからシュカブラが出来ている 奥は霞沢岳


       岩場から高度感のある登山道を眺める

  
 左手の県境尾根の向こうに白山が見える             人が多く立っている辺りが山頂らしいぞ


焼岳・南峰 二等三角点「焼岳」 2,455.48m

11時10分やっと風が強くて寒い焼岳・南峰に到着する。北側が開けて北アルプスの南部大パノラマがど〜〜んと眼前
に広がる。西穂高からジャンダルムを経て奥穂高、釣り尾根から前穂高〜岳沢、その奥には蝶ヶ岳と常念岳に続く稜線、
奥穂高からは南岳〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳、左手には笠ヶ岳〜抜戸岳〜弓折岳〜双六岳、その全てに私の足跡がある。
う〜〜ん 絶景かな!


ガクちゃんに「いや〜〜 素晴らしい眺めやねえ」と言うと又「褒めよ〜 称えよ〜」が始まった。記念撮影を終えて尚
も雄大な眺めを楽しんでいるとガクちゃんから「エントツ山さん もう下りよかね」「えっ? 折角来たんだからもう少
し・・・」すると「さっさと下りんと天気が良すぎて帰りの雪がグズグズになるちや」う〜〜ん 良し悪しは兎も角、経
験者の先読みはロマンを超えている。


  
 11時10分 山頂に至る                        三角点は深い雪の下


                     焼岳・南峰よりの北アルプス南部


                           焼岳・南峰より笠ヶ岳方面


    満足の四国遠征隊  ガクちゃんを褒めて称えてまだお釣りが来たわ

  
  ガクちゃん得意のポーズ                        北川さんも冬の北アルプスに大満足

  
         焼岳・南峰に立てた〜〜  気持ちいい〜〜〜


                南側には乗鞍岳がどっしりと構える


             焼岳・南峰は横から見ると雪庇が発達していた
    

下山は早い   「中高年 下山得意と みんな言い」

11時30分名残惜しいが下山を開始する。雪の斜面にも慣れたので岩場を抜けた辺りから尻セードなどを楽しみながら
急傾斜を下りる。12時20分下堀沢を少し離れたダケカンバの中で昼食を摂る事にした。

駐車場の「中の湯温泉旅館」から15時30分までに車の移動を依頼されているらしくてガクちゃんから「昼食は時間が
無いのでガスは使わず行動食で済ますがやき」とお達しがあり各自パンやおにぎりを食べる。ガクちゃんはアサヒの高炭
酸ノンアルコール・ビールを持って来ている。でも結果的には時間的に十分余裕があったのでお湯があっても良かったか
な?


この時間になっても山スキーツアーの団体が上って行く。まあスキーの下りは早いから大丈夫なのだろう。


  
11時30分 あれ〜〜 みんな逃げ足早い事!                   岩場を抜ける

  
  下山は楽やで〜                              張出しテラスへと下る  ここはゲレンデや〜


                    白山よ  さらばじゃ

  
 第一尻セード 北川君 高知県                    第二尻セード エントツ山 香川県 も後に続く


    シュカブラの向こうに乗鞍岳の端っこが姿を見せる


上りがキツかった急傾斜も下りは楽チン〜   山スキーツアーが右手斜面を苦労して登っている

  
  斜面を下る3人  (右手から北川君撮影)            右手斜面から下りて来る北川君


  灌木帯に入る      奥穂高〜吊尾根〜前穂高〜明神、常念岳尾根(奥)、六百山(右)

    
   ここで昼食や〜〜〜  顔拓の北川君とエントツ山     ガクちゃんは新作ビール(高炭酸ノンアルコール)を出す

  
 この時間になってもなお山スキーツアーが登って行く        高知隊の北川君、gakugaku さん(後ろ) 本山さん


12時40分質素な昼食を終えて出発する。ガクちゃんの言う通り雪が朝と比べて随分緩んで来ていた。10分程で針葉
樹林帯に入り1時間程で急斜面を下り終える。足元を見るとガクちゃん、本山さん、私の三人は同じノースフェースの
「ヴェルトS6K グレーシア」という片足850gの冬靴だ。14時00分温泉旅館の裏手から駐車場に下りて後片付
けをする。



焼岳のお姿ともここでお別れ   いや〜〜 焼岳 良かったな〜 「褒めよ〜 称えよ〜」 ガクちゃん まだ言ってるわ

  
     樹林帯をドンドン下る                      樹林帯でも尻セード

  
 中の湯温泉旅館の上側にあるテラスに帰り着く        エントツ山、ガクちゃん、本山さんは同じノースフェースの冬靴


   中の湯温泉旅館の上側展望所にて   ガクちゃん ありがとうね  「褒めよ 称えよ〜」 「もうええわ!」

  
14時00分 下山 駐車場にて帰り支度              尻セードで背中のスノーシューに雪が挟まっていた

エピローグ

下山後少し離れた宿泊先の新平湯温泉の民宿へ向かう。ここもガクちゃんが手配した「のざわ」という小さな民宿だが登
山者で込み合う登山口の中の湯温泉旅館より安くてゆっくりと温泉に入る事が出来る。ガクちゃんに「いい場所押さえた
ね」と言うと「褒めよ〜 称えよ〜」と来たもんだ。食事の時に私だけ味噌汁で乾杯だったが、前日の寝不足と雪山登山
で皆さんのいびきも聞くことなくぐっすりと眠る事が出来た。


  
 新平湯温泉の民宿へ移動                     ゆっくりと温泉に浸かって食事を頂く

翌日は雨予報だったが現地の朝は日が差して気持ちの良い山間を高山方面へと走る。夕方徳島に着いて主計局長のガクち
ゃんに旅費精算を求めると「各自2万円ポッキリで追加は必要無し」との会計報告の後「褒めよ〜 称えよ〜」で締めく
くられた。


  gakugaku さんの 焼岳 登山記録は        ここ    

  北川君の     焼岳 登山記録は        ここ    

  エントツ山の秋季焼岳登山記録(上高地から)は ここ   


         
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