日本百名山「荒島岳」 (山と元気の会・遠征)
平成30年6月20日 天候: 雨後曇り
メンバー :CL 佐々木、SL 佐藤(陽)、ドライバー 真鍋(和)、佐藤(陽)
細谷、谷口、森、真鍋(智)、原、馬淵、若宮、佐藤(K)、谷澤
コース 上り:勝原(かどはら)コース 勝原スキー場跡〜シャクナゲ平〜荒島岳
下り:中出(なかんで)コース 荒島岳〜シャクナゲ平〜小荒島岳〜みずごう
プロローグ
荒島岳は4年前に白山登山の後に登る予定だったが、天候が急変して白山下山時から大雨になった。その為に荒島岳を止めて
恐竜博物館とか永平寺を訪ねて未踏となった。個人山行は雨だと面白くないので山へは行かない。
今年になって堂山仲間から「山と元気の会」を紹介されて軽い気持ちで入会した。その年間計画書に荒島岳と雨飾山をセット
で巡る遠征があったので申し込んだ。
予報となった。
6月19日07時20分高松県営桟橋バス停に集合し運転手を含めて12名で出発する。やはり梅雨の時期には参加者は当然少
ない。でもお蔭でマイクロバスのスペースは快適で、東海北陸道の白鳥ICで高速を下りる。ここまでは北アルプスへ行く時に
高山の手前までは通過しているお馴染みの道だった。白鳥西バイパスから国道158号線に入り分水嶺の油坂峠を越えると九頭
竜(くずりゅう)川沿いを西に進む。この道は福井と岐阜を結ぶ通称「美濃街道」と呼ばれている様だ。
九頭竜ダムで見学兼休憩を取る。夕方までに宿舎へ入ればいいのでそんなに急ぐ事もないって訳だ。最初の休憩所は桜が沢山植
えられている場所で九頭竜ダム湖に吊り橋が架かっている。「箱ヶ瀬橋」という名で通称「夢の架け橋」と呼ばれ、どうも瀬戸
大橋建設の試作として架けられたらしく四国にも縁のある橋だった。
その後、ダム管理事務所に移動して見学する。九頭竜ダムは高知の稲村ダムと同じロックフィル方式でどっしりとして見応えが
あった。そこから見える荒島岳を「明日は天気が悪くて見えないだろうからよ〜く見ておこう」と言いながら眺める。
九頭竜ダムから本日の宿舎にしている国民宿舎・パークホテル九頭竜に向かう。途中、リアルな恐竜のデコ人形のある道の駅に
寄り翌日の昼食や行動食を調達する。地元の山菜おにぎりがおいしそうだったので2パック買った。(これは結局ホテルの冷蔵
庫に入れて翌朝取り出すのを忘れるというお決まりのパターンとなったけど・・)化石発掘広場を私的見学の後夕食は宴会とな
る。う〜〜ん 果たして我々は山登りに来ているんだろうか?と錯覚しそうな旅の初日だった。
九頭竜ダム湖に架かる箱ヶ瀬橋(瀬戸大橋架橋の試作も兼ねて架設 高知の稲村ダムと同じロックフィルダム方式の九頭竜ダム
お〜〜〜荒島岳が見える 明日は見える保証は無いのだ 小荒島岳と荒島岳をズーム
福井県は恐竜の町だ 第一日目の宿「パークホテル九頭竜」(国民宿舎)
平成30年6月20日 「荒島岳」 一等三角点「荒島岳」(1,523.37m)
上り:勝原(かどはら)コース 勝原スキー場跡〜シャクナゲ平〜荒島岳
下り:中出(なかんで)コース 荒島岳〜シャクナゲ平〜小荒島岳〜みずごう 歩行時間:約 3時間30分
勝原(かどはら)コース 上り 約3時間40分
荒島岳は北側の九頭竜川に沿ってJR越美北線が走っており車で個人山行に来ても縦走はし易い。中出コースは「下唯野駅」、
勝原コースは「勝原(かどはら)駅」、下山(しもやま)コースはトンネルを隔てて「越前下山駅」がある。
下山後次の雨飾山への移動があるので04時30分朝食をロビーで済ませて出発する。雨は前夜から大降りとなり全員意気消沈
する。支配人の「雨は午前中には止むでしょう」との言葉が気休めだ。バスは分かり辛い勝原へのヘヤピンカーブを見過ごして
通り過してしまい、Uターンして05時30分「勝原登山口」(標高約350m)に着いた。
メイン運転手の真鍋さんは旧国鉄バス出身だが、こんな場所は初めてで登山もしないのに気の毒な話だ。前回比婆山連峰のスノ
ーシューハイクの時は運転手に徹して山に登れなかったSLの佐藤さんだったが今回は真鍋さんが居るので一緒に行動出来る。
05時50分準備運動の後SLの佐藤さんを先頭に雨の中、砂利道から急なコンクリート坂を出発する。10分程上ると細くて
急な山道となり雨水が滝の様に登山道を流れ落ちる。参加の女性2名がザックを覆うタイプ(フード付きザックカバーって言う
らしい)の雨具を着ている。確かにこの雨具は背中から雨が入りにくいので良いアイデアだと思う。ネットで調べるとヘリテイ
ジ製の値段は¥6,200と出ていた。
相変わらず登山道は沢の様に水が流れているがササユリなどの花が現われて心が和む。九頭竜川を挟んだ対岸に995.1m峰
が霧に霞んで見える。
勝原(かどはら)登山口(トイレ有り) 雨〜 05時50分出発する SL 佐藤さんが急登を引っ張る
山道に入ると登山道は雨水が滝の様に流れ落ちて来る 肩口から水がザックに沁み込まない様に工夫されたザックカバー
足元がぐっちょぐちょや 九頭竜川を挟んだ向かいの995.1三角点峰もガスで霞む
ササユリが雨に濡れて沢山咲いていた ありがと〜〜 06時40分 リフト終点跡の鉄骨が残る
この辺りからヤマボウシやヤマアジサイが雨風に揺れて森の中に入って行く。すると薄暗い森にはブナが沢山現われて雰囲気が良い。
道は険しくないので傘を差して歩く。
私みたいにメガネをかけているとカッパを着ていてもメガネが濡れて視界が悪くうっとおしくなるので岩場以外では傘を差して歩く。
特に森の中だと風もあまり吹かないので良い感じなのだ。カメラも濡れないって利点もある。
ちょっとした勾配があり木の根が横に這っている。07時10分登山道は木で段を作って整備されている場所もあり雨で泥水が流れて
いなかったら快適だろうと残念だ。
07時30分荒島愛山会が設置した「深谷ノ頭」(1,015m)標識を通過。今まで登山口からほぼ南へ向かって歩いて来た登山道
はここからシャクナゲ平に向かって南西に振る。
この辺りの林床にはギンリョウソウが沢山見られ、細いブナが沢山立ち並ぶ。
花が目立っている。
08時少し前に池の横を通る。対岸には木から大きめの白いハンケチが沢山垂れて垂らしていたのでハンカチの木だと思ったがどうも
「モリアオガエル」の卵らしかった。モリアオガエルと言えば以前私の掲示板でヘキチョウさんが奇妙な白い物体を貼ってくれて、そ
れがモリアオガエルの卵だとリップさんが教えてくれた事がある。産卵時に粘液を出して泡を作りその中に卵を産んで、オタマジャク
シになる頃自然と下の池にポト〜〜ンと落ちる仕組みになっている。
雨に濡れたコアジサイが多い ヤマボウシも沢山咲いている
素晴らしい森の中を歩く しんがりはCL佐々木さん
段に整備された所もある 泥水が落ちて来る もう登山道は小川の様だ
美しいブナ林だ 土質が固いので根っこが地表を這う 07時30分「深谷ノ頭」を通過
ギンリョウソウも雨に濡れて益々不気味だ タンナサワフタギ (keitann さんに教えて貰う)
雰囲気が良いブナが主体の森が続く
07時57分 大き目の沼があり、対岸の木の枝からはモリアオガエルの卵(を包んだ泡)が垂れている
シャクナゲ平 ( 標高1,204m)
急な傾斜になると又木で整備された階段状の道となる。
の合流点となっており木立が少ない平坦地だ。しかしシャクナゲの樹は見えず、ナナカマドの白い花が風に揺れていた。分岐に立つ
標識には荒島岳まで1.5kmとある。登山口からここまでの標準タイムは2時間20分となっているので雨の中、SL佐藤さんが
ほぼ標準タイムでここまで皆を引っ張って来た。
木道も敷設された急登を上がっていく アマドコロ様? それともナルコユリ様?
08時15分 シャクナゲ平に着いて少し休憩する
大きな分岐標識が立つ 山頂まであと1.5kmとある シャクナゲの樹は見られずナナカマドに囲まれていた
ここから雰囲気の良い森に一旦下り5分程で「佐開(さびらき)コース分岐」を過ぎる。この分岐を右へ進むと30分程で鬼谷林道へ
至るが悪路らしい。この林道を1時間程歩くと佐開登山口に着くらしい。
いよいよ最後の上りとなり、この辺りから雨も次第に止んで傘を仕舞う。ホウチャクソウが花を垂らし、サンカヨウは既に実になって
いる。
08時35分「もちがかべ」の標識が立っており、そこから岩が混じった急登が始まる。登山道は丸太やチェーンで整備されているが
相当傷んでいる。まあ冬以外はどうって事もない傾斜の規模である。雨が上がって振り返ると西側には雲が垂れ込めてはいるが小荒島
岳と大野盆地が見える。
シャクナゲ平のピークから一旦コル部へ下がる 5分程で佐開(さびらき)コース分岐 (右へ行くと佐開下山コース)
あなたはホウチャクソウ? サンカヨウは既に実になっている
08時35分 「もちがかべ」の標識に出合う こりゃ雪がある方が歩きやすいぞ
雨が上がり大野盆地を振り返る 尾根筋の小高いピークが小荒島岳、 手前の緩やかなピークがシャクナゲ平
「もちがかべ」の急登が続く 傾斜が緩やかになると笹原とダケカンバの中を歩く
荒島岳 一等三角点「荒島岳」 1,523.37m
岩場を過ぎて笹とダケカンバの登山道に変わると09時08分「前荒島」の肩に出た。
(1,420m)の肩にある標識に出合う。こんな本峰近くに有る肩に山名は要らんやろ。
にマイズルソウやユキザサが優しく咲いている。
一本尾根の場合、山頂に至るまで下から見るとピークの様な肩が現れるものだ。そうこうしているうちに09時28分「荒島岳」に着
く。
のない360度の霧景色なので皆のテンションも今一つだが、日本百名山をとにかく1山ゲットした喜びに浸るしかない。
09時08分「中荒島」の標識 なだらかな笹の斜面を進む
09時13分「中荒島岳」(1,420m)を通過 マイズルソウが結構多い
ユキザサはデカい 腐ってもコバイケイソウだ
09時28分 荒島岳の山頂にある「荒島神社」にお参りする 方位版に360度のパノラマ山絵図があるのだが虚しい
原、SL佐藤、若宮、 細谷、谷口、馬淵、佐藤、森、谷澤、真鍋、CL佐々木「山と元気の会」11名
今日の360度の展望は方位版で確認するしかないわん
日本百名山 ゲット〜〜 やはり一等三角点は立派だ
中出(なかんで)コース 下り 約3時間30分
09時45分東側にある「下山(しもやま)コース」を確認の後、荒島岳を元来た道へと下山する。
道を下っていると又雨が降り出した。10時36分「シャクナゲ平」分岐に帰る。ここから北西に延びる尾根筋を小荒島岳まで進み、
その先で尾根の西側をトラバースして中出(なかんで)集落へと下る。このルートは深田久弥が歩いた道として知られている。
タニウツギの生える東側へ回り込む 09時45分 「しもやまコース」への標識を確認して本隊へ合流する
中荒島岳のターニングポイントを下る 又雨が降り出して来た
小荒島岳は何とか見える あの方角に下っていくのだ 10時36分「シャクナゲ平」分岐まで引き返す
シャクナゲ平からは「中出(なかんで)コース」を下山する。分岐から裏側の森に入ると登山道が無ければ道迷いしそうななだらかな
地形となっている。北西方向にある小荒島岳が目標だがなだらかで深い森に覆われて全く見通しが利かない。この細いブナが生えた森の
中に続く明瞭な登山道を進む。
最初は平らなブナ林を進む 次第に混成樹林帯となり小荒島岳の西側をトラバース気味に進む
小荒島岳 1,186m (荒島岳の展望所)
10時55分トラバース道から小荒島岳への分岐があり急な傾斜を5分程上ると見晴の良さそうな小荒島岳に着いた。
島岳展望所なのだが、生憎山頂付近は雲に隠れている。谷筋には残雪がありさすがに北陸の山というイメージだ。
部が見えそうにないので各自行動食を摂った後、11時15分小荒島岳を出発する。雨が上がって途中でのどかな大野盆地が見える。
小荒島岳から続く尾根は途中から少し北に振り、三等三角点「中野平」(1,040.3m)へと延びるが登山道は尾根を外して西側へ
下る。
11時00分 小荒島岳へ到着して荒島岳を眺める 「小荒島岳」山頂標識があるが三角点は無い
この山域にはヤマボウシが沢山咲いていた う〜〜〜ん 中々雲が取れそうで飛ばないなあ
次の行程があるのでいつまでも待つ訳にもいかず、11時15分諦めて小荒島岳を下山する
雨が止んで大野盆地が見える ブナの森を下って行く
11時27分「とやのおとし」の標識を通過 ここから急な下りが続く
中出コースは勝原コースと同じく登山口の標高は約350mで山頂の荒島岳までの標高差は1,170m程ある。しかし中出コースの方が距離が長く、その
分傾斜が幾分なだらかな印象だ。11時33分「ひえ畑」という標識が立っている。地形的にはこの場所から尾根を外れて西側へ下って
いく事になる。雪が積もると非常に分かり辛いターニングポイントだ。
ソウが沢山咲いている。
11時47分「向坂」の標識柱を通過。ここから尾根の西側をトラバースする道になる。標識を見ると荒島岳から3.3km下りて
来た事になっている。展望が無い登山道を道端に咲くタツナミソウやシライトソウ、ナルコユリなどを眺めながら下って行く。
11時33分 「ひえ畑」の標識を通過 カラマツソウが咲いている
細いブナ林の緩やかな傾斜を下る 11時47分「向坂」標識に出合う
タツナミソウ シライトソウは東赤石のそれよりデカい
ナルコユリ 茎の先っぽをつまんで撮影 谷間の様な場所を下って行く
12時22分下界っぽい登山道に下り着き、尚も下ると12時30分未舗装林道に着いた。この辺りには作業道や古い林道が入り組んで
いるので登山道を示す標識が要所に立てられていた。更に植林地帯を10分程下ると広い未舗装林道まで下りる。
マタタビだにや〜ん?? 12時22分古い林道を交差する ここから植林地帯になる
植林地帯のショートカット登山道 12時31分 下の古い林道に下りる 振り返ると上り口の標識
又ショートカットの細道に入る 12時40分 現役林道に下りつく
広い林道をドンドン下って行くと、13時00分「山と元気の会」バスと運転手の真鍋さんが待つ「名水治足」の看板がある駐車場に着いた。
近くに湧水があり慈水観音が祀られて地元では「みずごう」と呼ばれている様だ。この湧水から引いた冷たい水で足を浸ける「足水」台
が置かれており、トイレや靴を洗える水場もある。全員雨登山でドロドロになったスパッツ、レインズボン、靴などを洗い整理体操の後
バスに乗り込む。
両登山口から標高差、1,173mの荒島岳を7時間ちょっとで上って下りた訳だ。四国で言えば丁度東赤石山って所だろうか。バスは
福井ICから北陸自動車道に入り、懐かしい栂海(つがみ)新道の親不知を眺めながら糸魚川IC経由で雨飾山荘へと向かった。
色々分岐があるが標識が随所に置かれているので安心だ 40台の駐車場が設備された新しい登山口の設備 水場・トイレがある
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