平成30年4月29日(2018年) 「峨蔵山」縦走記
肉淵〜峨蔵越〜二ッ岳〜エビラ山〜黒岳〜二本石〜権現山〜権現越〜床鍋
峨蔵山縦走ルート図 二ツ岳〜エビラ山〜黒岳〜権現岳縦走 ( 歩行時間 約11時間 )
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ加工図 (伊予の鈍亀さん提供)
プロローグ
去年のHP峨蔵山縦走にも使った写真ですが、これが全体像が分かり易いので再掲載 角度的に二ツ岳〜権現越の方が短く見えるがそうではない
赤石山系の中で東側の権現山から二ッ岳の岩峰を「峨蔵(がぞう)山」と呼ばれている事は伊藤玉男さんの著書「赤石の四季」で
初めて知った。つまりこの山域の北面一帯が昔から峨蔵山と呼ばれていたらしい。その名残として二ッ岳の東側コル登山口は「峨蔵
越」(がぞうごえ)として地名が残されている。
西赤石から東赤石の稜線は登山者も多くメジャーな登山道であるが権現山から二ッ岳は昔から歩く人も少なく健脚者向けのコースと
して知られていた。
「くノ一尾野」さんから同じ犬返仲間の「能智」(のうち)さんや「倫子」(りんこ)さんが峨蔵山を歩きたいとの希望がある事
を聞く。
平成30年4月29日 五良津(いらず)角閃岩の岩稜を歩く
肉淵〜峨蔵越〜二ッ岳〜エビラ山〜黒岳〜二本石〜権現山〜権現越〜床鍋
平成30年4月29日05時15分山根運動公園に集合し、下山口の床鍋に能智車と鈍亀車をデポしてエントツ山の娘から借りた8人
乗りのワゴン車で肉淵登山口へ向かう。肉淵林道の入り口はコンクリートのカーブを曲がった場所にあり先日うっかりして通り過して
しまった。今回は7人乗っているので間違わずに林道に入る。途中別子銅山開鉱初期に仲持道(第一次泉屋道)の中宿(なかじゅく)
として栄えた芋野集落を過ぎてからは民家も無い肉淵林道を揺られて登山口に着くと松山・岡山混成隊3人が同じく峨蔵山縦走の支度
をしていた。
伊予の鈍亀さん マーシーさん 能智さん 倫子さん エントツ山 くノ一尾野さん
第1ステージ) 肉淵〜峨蔵越 約1時間25分
06時30分記念撮影後、涼しい風が大木谷から吹き上がって気持ちの良い肉淵登山口の鉄階段を上る。
策をと言うテレビでの気象予報士の警告を信じて水をたっぷり持ってきたのでザックは重い。
7人程のグループ登山となったが、今回初めて歩く能智さんと倫子さんをトップに据える。つまり何度山を歩いてもグループの後ろか
ら付いて行くのでは山道に対する対応力がいつまで経っても付かないのだ。但し、難点はこの二人は若くて馬力があり歩くのが早すぎ
て年寄りには辛い事である。結果「もっとゆっくり歩け〜」と後ろから何度も指示を飛ばす事になる。
最初少し急登だが次第に登山道は巻道となり植林地帯を過ぎると、やがて右手の大木谷に沿って気持ちが良い自然林となる。谷の向か
い側は他領須(たりょうず)と呼ばれるハネズル山の南斜面山域で、このコルに仲持衆が越えた小箱越(おばこごえ)がある。
トップは野内さん セカンドは倫子さんに任せるぞい マーシーさんが恒例の自家製ストックを作って亀吉さんに渡す
う〜〜ん ちょっとヒネクレ具合が足りんなあ
他領須(たりょうず)の山 コルは小箱越えか? ちゃんとついて来ているか時々後ろを振り返りながら歩くトップ
07時40分頃になると明るい登山道や右斜面にピンクのアケボノツツジが現われ嬉しくなる。今年は一週間程開花が早いので峨蔵越
からの尾根筋も楽しみだ。先頭の能智さんは皆から離れてしまわないかと何度も後方を振り返る。よく芝犬が主人の先をスタスタ歩い
て時々心配そうに後ろを振り返る図に良く似ている。
登山道から谷への斜面や向かいの他領須斜面は緑とアケボノやミツバツツジのピンク美しい。沢の水場を3か所程渡って07時55分
峨蔵越に着いた。
の縦走路もあるが、一昔前ほどの笹薮は少なくなっている。
お〜〜 アケボノツツジやで〜 今年お初のピンクを楽しむ
やはりアケボノは青空が似合うわ 峨蔵越手前(5分程)の水場を渡る
07時55分 峨蔵越に到着 まあこの辺りでは皆さん当然元気ですわ 後ろ側は赤星山への縦走路
第2ステージ) 峨蔵越〜二ッ岳 約 1時間50分
いよいよ二ッ岳に向かう急な登山道に入る。ここは冬場には厳しいのであまり登山者は来ないから春先の登山道は少し灌木ヤブっぽい。
すぐに大岩が現われてそれを乗越すとアケボノ越しに開けた西側が見渡す事が出来る。ハネズル山はよく見えないらしいが平らな山塊
とその左奥には赤星山がどっしりと構えている。県境尾根の山々も大登岐山を中心に並んでいる。
岩場を這い上がる 岩場からアケボノ越しに1340mPと左に赤星山
前方の斜面へと向かう 鯛ノ頭手前の肩部ピークだ
岩場を一旦下りシャクナゲの急登になるとロープ等も敷設されて四国中央警察署の「ここから先は特に危険」の真新しい標識が置かれ
ている。
点在して二ッ岳の厳しい斜面の姿を和らげている。
岩場を下る すると前方にロープが敷設された急登となる
お〜〜 大登岐山が見える その右が黒岩山と野地峰って事? 脅しの看板には負けねえぞ! まあ注意はしなければ・・・
前方に鯛ノ頭と二ツ岳 斜面はアケボノで飾られている
尾根筋にもアケボノが咲く 今年はアケボノばっちりじゃね
鯛ノ頭
07時37分眼前の急な岩場には二連のアルミ梯子が敷設されており、それを這い上がると地形がなだらかな肩部となり08時45分
鯛の頭休憩所に着いた。この辺りの岩は角閃岩(かくせんがん)と呼ばれ玄武岩や安山岩などが高温変性を受けた固い岩質の物らしい。
土居側から見るとこの岩場が鯛が口をあけている様な形をしている所から名付けられた。去年は天気が優れず鯛の頭の岩峰に登らなか
ったので今回は皆で上がってマーシーさんに下から写真を撮って貰った。
まあ近くでも見てやらないとね アルミ梯子が2連繋ぎに敷設されている
08時45分 鯛ノ頭に到着
まあ ここら辺までは元気そうですわ
マーシーさんに下から撮って貰う
鯛ノ頭に登って気持ちよか〜〜 ロープが敷設されているので問題ありません
傾いた「鯛ノ頭」岩峰が見え、さらにその東側には稜線部から小箱越へと北側に延びた1,340mPの衝立壁から後ろ側にあるハネ
ズル山が姿を現す。少し左手にはどっしりとした赤星山の後ろ側に豊受山らしき尾根筋も見える。
アケボノが青空に映えて美しい。大岩を回り込む場所には去年見たシコクバイカオウレンが2輪だけ咲いていた。そこから又岩っぽい
急登を這い上がって行くと稜線部に出て三角錐に尖ったステルス岩に出会う。ここまで来ると山頂は近い。
09時07分 鯛ノ頭休憩所を出発〜 ここから又急登となりロープが見られる
左奥に赤星山と豊受山 右に1340mピークの後ろに隠れていたハネズル山(1,282.1m),中央の鯛ノ頭は北側に傾いている
アケボノと白骨樹 シコクバイカオウレンが大岩の右手に咲いていた
二ツ岳が近づくと岩場の急登となる 山頂手前の尾根にあるステルス岩
「二ツ岳」 三等三角点「二ツ岳」 標高 1,647.27m
トップを任せた能智さんと倫子さんは難なく山頂まで皆をリードし、
ーさんの知り合いの単独登山者がいて鋸山から縦走をしているとの事だった。松山・岡山混成隊3人も直ぐに後を追って来られる。
奥の展望所へ移動してこれから歩く峨蔵山の縦走尾根を眺める。ここを初めて一人で歩いた時はゾクゾクする様な緊張感を持ってデコ
ボコした尾根を眺めたものだった。
09時45分 二ツ岳に到着する マーシーさんのお知り合いが法皇〜峨蔵〜赤石〜石鎚山系の縦走中だった
二ツ岳展望所から縦走尾根を眺める
第3ステージ) 二ッ岳〜イワカガミ岳〜エビラ山 約2時間
展望所などで10分程休憩の後、09時47分いよいよ峨蔵山尾根縦走に向かう。もちろんトップは能智さんと倫子さんに任せる。現
在は踏み跡もしっかりしてテープなどもあるので尾根伝いに進めばまずルートを大きく外す心配は無い。しかしトップを歩くのと後ろ
から付いて行くのでは全く臨場感が違う。能智さんは犬返へ来る様になって、そこから石ヶ山丈、魔戸の滝、串ヶ峰、種子川道、西赤
石と一人歩きで次第に実力と距離を伸ばして来ているし、倫子さんも尾野さんも山の経験はまだ浅いが内容が濃いので伸び盛りだ。
我々老人組はと言えば自分たちの経験を次代に伝える役割に徹する事でその存在価値を発揮出来ると考える。
二ッ岳の三角点峰(1,647m)から少し西北西の方角に尾根が曲がりそこにイワカガミ岳と言われる1,675m程のピークがあ
る。二ッ岳の名称は「二ッ滝と呼ばれる二つ並んだ巨大な岩峰の天辺」らしく、伊藤玉男さんの著書によると元々「二ツ滝」とか「二
ツ立て」と呼ばれていたらしい。個人的には赤星山方向から見るとこの二つの岩峰ピークがまるで二本の角の様に立っている所から来
ていると思いたい。
縦走路ログ図
二ツ岳から権現山までは休憩込みで約6時間、これに二ツ岳までの登山時間と権現山からの下山時間を加味すると全縦走時間は11時間半程はかかる
計算になる。 (若い人やトレランの人は除外)
西側は絶壁となっているから最初は三角点から少し北側へ向かって下りていく事になる。直ぐに尾根に乗るとブナなども現れる。赤石
山系の西側では滅多に見られないブナがここ峨蔵山では尾根に点在する。尾根がカーブしているので木々の間からギザギザした岩尾根
が続いているのが見える。土が乏しいのでシャクナゲがしぶとく根を張って多く生い茂るが、デカい樹は強風で根っ子から倒されている。
二ッ岳を出発してから丁度10分で最初の尾根左巻きトラバースに入る。峨蔵山縦走はほぼ尾根伝いに歩くのだが、大きく岩尾根を迂
回する時は南側へ下る事が多い。灌木や天然檜の生えたトラバース路は7分程で尾根に復帰する。
前方に尖ったピークが雑木越しに見えてシャクナゲと天然檜の岩道を這い上がる。ここには太目のロープが置かれている。岩尾根の途
中から振り返ると二ッ岳の岩峰が湾曲した谷を挟んで見える。
イワカガミ岳
10時20分標高約1,675mのイワカガミ岳ピークに着く。ここには特に山頂標識は無く岩の上に石が積まれている。沢山のイワ
カガミが咲く場所らしいが未だ花には早いので通りすがりのピークとなる。
イワカガミ岳からはコル部に向かって下りとなるので前方が開けて次の目標、エビラ山や黒岳、更には奥に赤石山系が見渡す事が出来
る。去年WO嬢達と歩いた時はガスであまり眺めが良く無かったが今回は晴天で見通しが良くおまけに風が涼しいので快適だ。
皆で三角点を踏みいよいよ峨蔵山の尾根縦走に向かう 縦走路は二ツ岳山頂より少し左手に向かって下がる
縦走尾根に入るとブナが現れる 尾根が北西方向に湾曲するので右手に回り込んで進むイメージだ
デカい倒木が根を張ったままひっくり返っている 10時05分コル部から岩稜部を避けて左手にトラバースする
ちょっと藪っぽいがあまり尾根から離れない 10分程で尾根に復帰する
前方にイワカガミ岳の岩峰が近づく ロープが張られた岩斜面を上がる
尾根が湾曲しているのでイワカガミ岳手前から二ツ岳の本峰が良く見える
尾根を右に回り込む 左後方の二ツ岳が気になる このケルンが恐らくイワカガミ岳だろう
去年と違って今年の縦走は前方が開けて眺めが良い エビラ山と黒岳、後方に赤石山系が並ぶ
イワカガミ岳から高度を下げるとエビラ山との間には結構多くの天然檜に覆われた鋭い岩峰があるのがわかる。高い場所から眺めると
見えなかった尾根の起伏がほんの20m程標高が下がっただけで景色が変わる。これが尾根縦走の面白い所だ。
藪の中に咲くアケボノツツジの花は美しく心を和ませてくれるが写真に撮るとその価値がグンと下がる。ブナが生えた細尾根を進む。
水が豊かな場所のブナはデカくて枝を大きく広げるがこんな痩せ尾根のブナは環境に適応して小ぶりで枝も細い。
にはロープが敷設されており、身の軽い長老・亀吉さんが先回りしてボスザルの様にみんなを見ている。
10時30分岩峰の先に出ると前面にエビラ山がデンと構えている。エビラの向こう側にはいつも歩いて親しんで来た山々がパノラマ
の様に広がる。
ボノは蕾が多い。
トップ二人は確実にルートを外さずに干からびた灌木尾根を力強く先導している。時々色が鮮やかなアケボノ花が現れるとみんな立ち
止まってカメラを構える。
高度を下げると平らに見えた尾根はギザギザだ 岩や天然檜やブナが続く
尾根のブナは水分が少ないのか春先なのか冬枯れの様相だ 岩のピークにはロープが付けられている 亀吉さんが横から先回りしている
ピークに出ると正面にエビラ山がどっしりと構える 去年はこの姿を見る事が出来なかった 右奥に黒岳が尖がっている
岩場を下る みんな手慣れたものだ ブナの細尾根
ゴジラの手をアケボノが飾る 尾根は藪っぽいが苦労する程のものでは無い
11時07分イワカガミ岳から続く尾根のコル部まで下りる。前方になだらかなピークがあるので又エビラ山が一旦見えなくなる。こ
のコルの左手には尖塔岩があり美しい色をしたアケボノが咲いていた。
は曲者でシャクナゲ、天然檜、大岩が並び右へ左へとルート選びで忙しい。
にはこんな大きな檜の幹や枝が張り出した場所を潜る場面が多い。
この辺りのアケボノは濃いピンクで美しかった 3人で後ろを固めてくれている
藪尾根をエビラ山へ向かう 笹は枯れていた ニードル岩とアケボノ
藪の中でもブナが並ぶと何故か売れしい 近頃は結構ロープが置かれている場所が多くなった
前方に岩とエビラ山 岩好き女はご機嫌だ
結構ワイルドな歩きとなる そんな場所にはシャクナゲが現れる 11時28分 大木ゲートを潜る
岩とアケボノ 奥の県境尾根は野地峰辺りで眼下の銅山側沿いの斜面はゆらぎの森だろう
大岩を下る リョウブは鹿害が見られる 笹は枯れている 花が咲いたから? それとも鹿のせい?
エビラ山 1,677m
箙(エビラ)とは?
箙(えびら)とは武士が矢を納める箱の事 四角い箱型をしている事からエビラ山と名付けられたらしい
岩峰を抜けると枯れた笹薮となり11時35分やがてエビラ山へ向かっての上りとなる。
るにつれて灌木ヤブやシャクナゲが現れる。
も無いので南側の展望所に出て昼食とする。
エビラ山は東西から眺めると台形をしており、武士が矢を入れる箱=箙(えびら)に由来している。台形の南側に張り出した尾根を5分
程進むと岩場がありすこぶる展望が良い。ここにも「エビラ山」の標識が掛けられていた。地図に標高1,677mとある場所を山頂と
しているのだろう。狭い岩場に5人程無理に座って食事をとる。岩が傾いているので滑るとヤバいがスリルがあり風も気持ちが良い。
黒岳から権現山、その後ろの赤石山系を眺めながら談笑する。ここに初めて来た能智さんも倫子さんも満足している様だし、去年こん
な景色に出会えなかった尾野さんもニコニコしている。付き添いメンバーのマーシーさん、伊予の鈍亀さん達も任務達成感に浸る。
エビラ山へ向けての上りになる トップ能智とセカンド倫子が隊を引っ張る
登山道沿いのエビラ山頂は藪っぽくマイナーなイメージが漂う マイナーな山ばかり歩く連中がこんな場所がお似合いだ
登山道を南に外れて岩展望所へ少し下る う〜〜む こちらの山頂もマイナーなイメージがもっと漂っているわ
大岩展望所で昼食タイム〜〜っても狭くて斜めに傾いているからずり落ちそうやで
エビラ山の南展望所から西側の眺め 縦走最終ピークの権現山が見える
第4ステージ) エビラ山〜黒岳〜二本石〜権現山〜権現越 約3時間20分
昼食の後、12時25分エビラ山の縦走路へ帰り黒岳へ向かって荒っぽい尾根を下って行く。巨大な岩を左に巻いて前方に出る。シ
ャクナゲの藪を越えて12時50分左へ大きくトラバースする事になる。大きな岩場を左に10分程巻いて先の藪っぽい尾根に出る。
尾根に立ちはだかるドデカい岩の向こうに尖った黒岳が厳しい姿を見せる。大岩を下ったり避けたりしながら次第に黒岳の基部に至る。
大岩越しに振り返るとエビラの箱が次第に遠のいていた。
エビラ山〜黒岳間は荒っぽい尾根が続く
岩の間をぬって尾根筋を進む 前方の大岩を避けて左にトラバース気味に道を進む
大岩の下側が岩棚状になっている 後続も岩棚に沿って歩いて来る
尾根付近はシャクナゲ藪が少し続く 又大岩の左手を大きく迂回する
エビラ山をトラバース路から振り返る 13時15分 尾根に復帰して笹とブナの風景になる
正面に黒岳が聳える それに向かって岩尾根が続く
岩尾根を少し下る 気を付ければ危険な場所では無い
岩場を左に巻いてエビラ山を振り返る この辺りの岩には風化と節理が見られる様だ
「黒岳」 三等三角点「保土野越」 標高 1,635.94m
黒岳の東斜面はシャクナゲの岩急登で幹や枝を掴みながら這い上がって行く。ピークに上がり縦走路を振り返ると歩いて来たエビラ山
と二ッ岳が並ぶ。前方もアケボノ越しに見慣れた赤石山系が順番に並んでいる。三角点は長いピークの西端にあるのでシャクナゲや灌
木のピークを進んで13時25分黒岳山頂で記念写真を撮る。
結局、エビラ山から黒岳までは丁度1時間かかった計算になる。
シャクナゲの急登を這い上がる 黒岳のピーク近くに出た様だ 二ツ岳とエビラ山が並ぶ
黒岳の東肩から縦走路を振り返る
13時25分 黒岳にとうちゃこ〜〜 意外とみんな元気じゃん
一角獣なのに「二本石」
13時25分記念写真を手早く撮った後黒岳を下り出して前方の尾根を眺めると、尾根の右手に尖がった岩峰が一つ見える。二本石だ
からもう一本尖峰がある筈なのだが、どうみても一本だけである。
ークが丁度傾山の様に角型に見える。でも二本の岩峰は見えないのは何故だろう?
伊藤玉夫男さんの著書によるとこの岩棚は「200mを越す岩壁となっており、これを昔は天狗嶽と言っていたようだが今では二本石
となっている。基部から見上げると二ッ岳の様に岩壁が二つ並んでそそり立っている」から二本石の名が付けられた様だ。又、二本石
から転じて「日本石」とも呼ばれているケースもある。この辺りの天狗の話は後に法皇権現の所で触れる事になる。
黒岳の西斜面は少しザレておりガーネットなどの成分が混じった石ころがあるのでみんなで探す。2〜3個見つかったがそれが果たし
てガーネットかどうかは誰も知らない。
がありマーシーさんと黒滝を経て程土野へ下った事がある。
前方のピークは「保土野越」で北側へ大窓から河又(こうまた)、或いは熊鷹山への尾根道が土居へ向かって下りている。13時45
分保土野越の石標を踏む。
してホッとする。
黒岳を下って日本石へと進む 前方には赤石山系の衝立が見える
アケボノが咲く黒岳の岩尾根を下る 右手が開けて久しぶりに瀬戸内海側の景色が見える
ガーネットラッシュ風景 そうは見つかるか〜〜 右手の本源越から尾根が南西方角に向きを変える 日本石が見える
笹が枯れていなければ結構のヤブだ ブナも引き続き良く見られる
黒岳を振り返る 少し尾根の左側をトラバース気味に下る 13時55分 藪の中に日本石の分岐標識がある
13時55分二本石への分岐に着き、ストックを置いて右手に突き出た岩場へと向かう。
のが見えた。これが2本の内の一本って事だろうか?
して権現山へと下る。
縦走尾根を外れて日本石へと這い上がる 取り敢えず突先まで行ってみよう
下側は断崖で幾つかの岩が飛び出している ・ 若手と古老のツーショット どちらも元気な事
黒岳をバックに スーパータートルズ亀美 くノ一尾野 トーマス能智(のうち) 瞬間芸倫子
日本石にて 赤石山系をバックに
尾根は二本石辺りから南西へと曲がり、アケボノツツジの花が点在する藪尾根をドンドン下る。振り返ると黒岳がザレ場を光らせてさ
よならと言っている様だ。この辺りは尾根を少し左手に外して枯れた笹薮と灌木ヤブの間を縫って縦走路が付けられている。
14時30分笹原に出る。以前は芯の強い緑の笹で覆われていたのだが、今は枯れて汚い色をしており、笹埃も酷い。
から振り返ると黒岳とエビラ山の間にある岩のピークも見える。ここから1,546mのニセピークに向かって荒れてはいるがブナが
美しい上り坂を喘ぐ。結構歩いてきたので殆どの登山者はこのピークが権現山だと信じたい気持ちで登るが見事に裏切られる。14時
40分ピークに達すると前方に更なるピークが現われガックリ来るのだ。
この縦走でずっとアケボノを楽しむことが出来た 縦走路は枯れた笹薮を尾根の左手をトラバース気味に下る
尾根が南西に曲がっているのと南にトラバース気味なので黒岳とエビラ山が良く見える 前方の小ピークに向かう
二本石 (天狗嶽) は西側から見上げると石というより岩崖だ
小ピークを下る 枯れた笹原の向こうにブナ林を持った1,546mピークが現れる
歩いて来たエビラ山から黒岳の尾根を振り返る 南斜面には沢山のアケボノツツジが点在する
1,546mピークのなだらかな斜面を登る 奥に権現山がやっと現れた
鹿も敬遠するバイケイソウの生えた尾根を惰性で歩く。何せバイケイソウでは気分が乗って来ないのだ。ブナの間に見える最後のピー
ク、権現山を睨みながら進む。先頭を行く「トーマス能智」と「瞬間芸倫子」のコンビネーションも今日一日で中々の物になって来た。
バイケイソウの生える縦走路を歩くリーダー能智さんとサブリーダー倫子さん 初めてのルートをよくリードしましたわ
まあ 我々はのんびりと後を歩かせて頂きました いいブナ林ですねえ
権現山 四等三角点「権現」 標高 1,593.72m
権現山の東斜面に少し岩場がありシャクナゲが生えている。そこを過ぎると灌木と枯れた笹藪の斜面が続く。15時05分やっと今回
の縦走で最後のピーク「権現山」に到着した。もう上りはこの後は無い、後は下るだけ〜とみんな喜んでいる。
最後のピークにもうすぐ到着〜〜 15時05分 権現山に到着する
お疲れ様〜〜 我々年寄り組もリーダー能智(のうち)さんによく付いて歩けました〜〜
倫子さんから瞬間芸の指導を受けるマーシーさん 去年長壁さんとご一緒した時の天気リベンジを果たしました〜
権現山を越えると背丈の低い笹が足元に広がる。初めてそこからは笹原が光る権現越が見える。やっと下山場所のコルが見えて来たの
だ。アケボノツツジのピンクの花はこの縦走を通じて常に我々の前に現われ、この最後の下りもその例外では無かった。
急に前方の尾根が開けて整備された道となり15時23分四国電力本川線鉄塔20番に到着。ここから北側が五良津(いらず)尾根と
呼ばれて大森越から河又へ道が通じている。
っている。
権現山を抜けると前方に下山場所となる権現越が光っている 風の通り道なので木々が生えていない 右手前に鉄塔が見える
尾根の奥に鉄塔が見える 尾根を横切る四国電力本川線 20番鉄塔が立つ
コルに下りる途中で「法皇権現」に寄る。この権現岩はどうも石英エクロジャイトという堅い岩石から成っているから風化に強いらしい。
そんな岩に五良津(いらず)天狗に関わる杣の平四郎が京で白河法皇から褒美として頂戴した短刀などをこの辺りに埋めたという話が古く
から地元に伝わると言う。
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土居町に伝わる杣の平四郎の昔話は以下の通りです
「昔々、赤石山の麓に杣の平四郎という樵(きこり)が住んでいました。毎日、近くの五良津(いらず)山に木を切りに入っていました。
この五良津(いらず)山は祟(たた)りがあると言って他の誰も入ろうとしない怖い山です。
ある日、平四郎がいつもの様に五良津(いらず)山で木を切っていると頭の上で急に大きな笑い声がしました。見ると側に天狗が立って
います。「平四郎 もっと上手によう切らんのか」と言ったかと思うと、平四郎の斧を取って目の前の木を鮮やかな切り方でバサバサと
切り倒していきました。 「ほんまの切り方はこの様にするんじゃ」と天狗は平四郎に手取り足取り切り方を教えてくれました。それ以
来平四郎は天狗と仲良くな り、そして樵(きこり)の腕もメキメキ上がっていきました。
その頃、京都では三十三間堂の建築が始められていました。大きな柳の木を棟木にすることになりましたが、あまりの大木に皆、大弱り
です。全国に使いを出して木こりの名人を訪ね、そして平四郎の名前が上がりました。早速、京都に召し出されましたが、さすがの平四
郎も柳の大きさに驚き困り果ててしまいました。
平四郎は京都から五良津山の天狗に向かって、「天狗よ。よい方法はないもんかの」と小さい声でつぶやきました。これを知った天狗は
大空をひっと飛び。急いで平四郎の元へいき、大喜びする平四郎に切り方を丁寧に教えてやりました。天狗の姿はほかの人には見えませ
ん。平四郎の手際のよい切り方に皆、感心してしまいました。
天狗は、いつも足でここを削れ、あそこを削れと教えていましたが、そんなある日、平四郎は夢中で切っているうちに間違って天狗の片
足を切り落としてしまいました。ひどく怒られて、もう命はないと思った平四郎に、天狗は、「平四郎、思わぬことをするではないか」
と言い残して片足のまま空を飛んで五良津山に帰っていきました。平四郎は立派に仕事を終え、都から宝刀と感謝状を賜り、祠を建て
て これをお祀りしたそうです。ところで、別子に帰ってきた天狗が降り立った時、岩の上についた片足の足跡は、大野谷の上流の岩の
上に 今も残っているのだそうです。」 (新居浜の昔話より抜粋)
*******************************
つまり、この昔話に出てくる「都から宝刀と感謝状を頂いた」のは「白河法皇」でその宝刀と感謝状を祀った場所がこの法皇権現の祠だと
言うロマンな話であります。
こんな謂れのある岩場に権現様が祀られていればやはり気になる場所で初めて歩く人には是非お知らせしたい。縦走の終わりにここにお参
りした後、15時45分権現越のコルに下り着く。
ここから見る権現山は綺麗な円錐形に見える 左手の法皇権現が祀られる権現岩に立ち寄る
伊予の鈍亀さん いつもご協力ありがとうございます
能智(のうち)さん 藪尾根歩きリーダー検定合格!!(by エントツ山) 倫子さんも藪尾根歩き検定 合格〜〜!(by マーシー)
イシヅチザクラが咲いていた やっと権現越に下り立つ
第5ステージ)権現越〜床鍋 約2時間
峨蔵山縦走と言えば山と渓谷社分県登山ガイド「愛媛の山」が2016年改訂されて峨蔵山縦走が追記されているのは嬉しい。でも惜
しむらくは岳人の発想としてここの縦走は権現山から鉄塔巡視路を下らず「権現越」までキッチリとしたルートを紹介して欲しかった。
権現越ではさしたる休憩もせずに15時50分、法皇権現岩を左手に見ながら床鍋谷の源流へと岩っぽい草原を下る。ここは7月から
8月になるとオトメシャジンやカノコソウ、シモツケソウ、シコクフウロ、クガイソウなどのお花畑となる。木立が現れると右手の藪
の中に床鍋谷の源流部のせせらぎが音を立てている。
灌木帯をどんどん下ると16時沢が現れるが、そこにも最後のアケボノが薄暗い谷間を華やかに飾っている。10分程で渡渉点に着く。
対岸には赤石橄欖岩の大岩があり以前架けられていた丸太橋は既に朽ちており、下側の沢に下りて対岸に出る。
15時50分 権現越を床鍋に向かって下る しばらく下ると灌木帯に入る
16時05分 床鍋谷の沢筋に出る この沢にも色の良いアケボノツツジが咲いていた
谷を渡す丸木橋が朽ちて落ちている 慎重に下側を渡る
そこからはひたすら植林や自然林の樹林帯をトラバース気味に下っていく。リスがマツボックリの実をうまく食べて基部をエビフライ
状にして岩の上に置いている。
所だろう。
右手の支沢筋へ進み、そこから南に下る リスが食べた松ぼっくりが岩の上に残されていた
16時35分 植林地帯を下ると自然林の平地に着く 平地を過ぎるとシャクナゲ林と植林の急傾斜を下る
16時50分鉄塔巡視路分岐に到達し、ここからは少し下側の鉄塔道を下る。西側に支尾根が東赤石山付近から南へ伸びており、登山
道はこの尾根をトラバースする様に真南へと下る。
沢を渡渉するとシャクナゲの群生地があり去年つぼみだったのが早くも花を咲かせていた。
水平道に近いトラバース道をなだらかに下る 沢近くには四国電力の鉄橋が幾つも設備されている
去年は蕾だったヤマシャクヤクが花を咲かせていた
やがて植林帯になると見事に枝打ちされた杉が立ち並んで美しさを感じる程だ。長い最後の歩きをひたすら続け床鍋への登山道指標に
出るとホッとする。ここから左手に向かって急な傾斜を下り17時50分全員無事床鍋登山口に下り着く。
見事に枝打ちされた植林 下山口近くでは皮が剥がれていた
お〜〜〜 やっと床鍋に着いたぞ 17時50分 無事床鍋登山口に下りる
今回は天気の良い日にアケボノツツジの咲く峨蔵山を能智さん、倫子さんを先頭に存分に楽しむ事が出来た。昼食休憩を除くと歩行時間
は11時間、その間同行の尾野さん、マーシーさん、伊予の鈍亀さん共々四国の山を楽しむ事が出来ました。
皆さま ありがとうございました
倫子さんの今回の登山記は ここ
エントツ山の峨蔵山縦走 その1) 平成16年7月は ここ
その2) 平成25年5月は ここ
その3) 平成29年5月は ここ