山と元気の会 ちょっと詳しい 黒部渓谷・「下の廊下」 遠征記 by エントツ山 (パート2)

平成30年10月25日 木曜日(晴れ)
2日目:阿曽原温泉小屋〜折尾谷出合〜大太鼓展望台〜志合谷砂防トンネル〜鉄塔広場〜
   水平歩道入り口〜欅平
    (欅平〜宇奈月温泉は黒部渓谷トロッコ列車)


メンバー :CL中村、 SL佐藤、 運転 真鍋(和)
     (男)久保、大島、尾形、秋友、多田、原、真鍋 (女)吉田、切山、福田、川田、勝井、沖野、尾形、秋友、土佐、濱崎、本田 


黒部峡谷・下の廊下 ルート図
    
      カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図より加工 黒部・下の廊下

阿曽原温泉小屋を出発し水平道へと上がる

「山と元気の会」の皆さんも朝早く雑魚寝から解放され、ザックを部屋に持って来て出発の用意をする。06時00分質素
な朝食を終えてトイレに並んだ後06時30分小屋のスタッフに挨拶をして準備運動をする下のテン場に向かう。

気持ちの良い朝日が差して山際を赤く染めている。テントは二張り残っており外国人が居たので昨夜はどうだった?と聞
くと非常に寒かったと答えた。テン場の山際には鍵のかかったトンネルがあり、これが「高熱隧道」へと繋がっているら
しい。

阿曽原温泉小屋を見上げると土台がコンクリートになって、以前黒部第三発電所建設時の作業員宿舎があった場所だ。こ
のトロッコ軌道建設時の泡(ほう)雪崩事故は84人の犠牲者を出した志合谷・泡雪崩事故(1938年)が有名だが、
この阿曽原谷でも黒三発電所完成間近の1940年に泡雪崩で6階建作業員宿舎が倒壊、火災で28名の犠牲者を出して
いる。我々はその基礎の上に建てられたプレハブ小屋で一夜を過ごしたのだ。

「黒部・下の廊下」は日本の電源開発を担った難工事と多くの犠牲者の上に成り立っている事も心に留めておかなければ
ならない。

今回香川の堂山でお世話になっているナッチーさんと朝焼けの山を背景に写真を撮る。元々この会に「下の廊下」を提案
したのがナッチーさんの旦那さんだったらしいのだが、提案した本人が膝を痛めてリハビリ中の為一緒に歩く事が出来な
かったのだ。

佐藤SLのリードで準備運動を行って06時50分「黒部・下の廊下」第二クール「水平歩道」へと出発する。とても気
さくな佐藤さんとはこの会に入って最初の比婆山スノーシューハイク山行で運転手として会って以来、雨飾山遠征などで
もお世話になっている。今まで山の会などの組織に入らず気ままに山へ入っていた私は四角四面な山の会などのリーダー
が苦手で、この佐藤さんのようなユルキャラっぽい人は居心地が良い。

  
06時 質素な朝食を頂く まあこれ位で丁度いい    もうすぐ冬場で解体される阿曽原温泉プレハブ小屋


    朝焼けの坊主山をバックにナッチーさん達をモデルに

  
佐藤SLのリードで準備体操をしている          高熱隧道へ繋がるトンネル

  
 外国人が二人テント泊をしていた            06時30分阿曽原谷を渡って出発する


東側にある坊主山(2,199.1m)から流れ出る阿曽原谷を渡り高度を上げる。ノコンギクの様な野菊が咲いた草付き
の登山道をジグザグと登っていくと阿曽原温泉小屋とその下に温泉が湯気を立ち上げるのどかな風景を見下ろす事が出来る。

「水平歩道」は剱岳より北に延びる尾根上、池ノ平山から東に分岐した仙人山があり、そこから更に北に「坊主尾根」が延
びている。この坊主尾根が黒部川に接する斜面沿いの標高1,000m辺りにほぼ水平に付けられている。

ゴツゴツした岩道からは昨日見た黒部第四発電所から延びた電線と鉄塔がこちらに向かって続いている。ピーク付近から梯
子段を下ると07時30分水平道に入った様だ。この辺りは黒部川から離れているので木々に覆われた山道の様相である。
07時50分一旦木の梯子段がありそれを上ると背の高い笹の生えた山道となり又同じ様な梯子段を下る。この辺りは昨日
の渓谷美とは違った山深い風景が続く。


  
 阿曽原谷に架かる橋を渡る 真鍋さんとは仲良しさん     草付きの急斜面を上っていく


  日陰の為 緑っぽい森が広がる阿曽原 露天風呂温泉から湯煙があがる テン場と阿曽原温泉小屋が見える

  
 草付きが減って岩道となる                 昨日見たK四地下発電所より北に延びる関電・新北陸幹線の鉄塔

  
       梯子段を下ったり                      梯子段を上り返したり

  
  穏やかな水平道になる                      光の濃淡・コントラストが強すぎて紅葉がうまく雰囲気を出せない

  
    小規模な沢もある                        07時50分 笹薮などが生えた最後の上り?


08時00分になると岩の崖が現われていよいよ水平道らしくなって来た。そこから紅葉の草木が垂れ下がる水平道を10
分程歩くと坊主尾根から北東に伸びる尾根の先端部へ出た様で前方、右岸に奥鐘山(1,543m)のスパッと斜めに切れ
落ちた南岩壁が見える。

左岸側も折尾(おりお)谷を挟んで紅葉の岩壁が立ちはだかっている。この辺りの水平道はブナなどの広葉樹に囲まれて足
元には草が紅葉し、落ち着いた雰囲気で荒々しさが無い。日差しが強いので折角の紅葉も谷間の陰影コントラストが有り過
ぎて良い写真が撮れない。


  
08時00分 岩壁が現れ水平道らしくなる              楽勝の道やねえ


  前方に桟道が初めて現れる  陽が当たった黄葉が眩しい

  
 左岸前方には折尾谷を挟んで衝立の様な岩山が見える     右岸前方にはマンモスの様な奥鐘山・西壁が現れる

  
 日陰と日向のコントラストが強すぎる                この辺りの水平道は穏やかに折尾谷へと向かう


折尾(オリオ)の大滝と折尾谷

ルートは先ほどから折尾谷に向かって大きく西側にドンドン切れ込んで行く。折尾谷・送電線巡視路の標識が立つ登山道に
丸木の梯子が上下に架けられている。この梯子段を下りると前方に落差も水量もある「折尾の大滝」が現われ、滝を越えた
辺りで団体登山者が休憩をしているのが見えた。

08時50分折尾谷手前の滝で記念写真を撮っていると先行して休憩をしていたグループのリーダーから早くして下さい言
われる。てっきりここで交差する為に我々を待ってくれているのかと一瞬思ったが、どうもそうでは無く我々の後を追従す
るので待っていたらしい。後に欅平の列車でこのグループのガイドに会ったが、東京方面から来られたツアーで全体的に足
が遅いので阿曽原温泉小屋で朝食を取らずに(弁当を持って)出発したとの事だった。


立派な滝を過ぎると岩のへつり道になり5分程で折尾谷の堰堤に着いた。ここは堰堤のコンクリート内に刳り貫かれた短い
トンネルとなっており、それを潜る。ここではライトは必要なかった。折尾谷の上流を見上げると真っ青な空の下に紅葉の
斜面が広がっていた。


  
 折尾谷に向かう北面の道は落ち葉で滑りやすい         谷を挟んだ岩壁には右上に送電線鉄塔が見える

  
グレーチングの橋だからここは鉄塔巡視路だろう          谷に近づくと多少道も荒れてくる

  
梯子段が架かっており、それを下る 上にも巡視路が延びる   鉄塔巡視路の標識に「折尾谷」と記されている


  08時50分  水平道は折尾大滝の下を通過する  向こう側には他のグループが休憩していた

  
会の先輩で堂山仲間のナッチーさんが居て心強かった     折尾大滝を越すと岩壁道となる

  
 岩の水溜りに紅葉の山が映りこむ                08時56分 折尾谷の堰堤をくぐる ここは短いのでライト不要


谷に沿って東の黒部川本流へと進む。水平道を覆う低木が紅葉して魅力的な散歩道となっていた。足元は岩でデコボコして
いるので注意を払いながらブナやカエデの黄色や赤の秋を楽しむ。


09時25分坊主尾根の1,765mピークより東に派生する尾根の突端部を回り込むと黒部本流がやっと姿を現した。そ
こからは南側の尾根で太陽の光が遮られているので紅葉があまり進ます木々の葉は心持ちグリーンの色をしている。


  
 折尾谷から東の黒部川〜唐松岳方面を眺める          小沢の上流部も黄葉に包まれている


   前日の厳しさと打って変った陽だまりと黄葉ののどかなる水平道

  
   ブナの黄葉が輝く                          カエデの赤も陽に透ける

  
  俄然岩崖と天井岩が多くなる                    09時26分 コーナーを回り込むと奥鐘山・西壁が現れた

二日目のハイライト  黒部の怪人 「奥鐘山・西壁

09時40分先程から木々の間に見えた対岸の岩壁が突然姿を現す。これが黒部三大岩壁の一つ、黒部の怪人と言われる
奥鐘山(おくかねやま)・西壁」だ。と言ってもこの辺りから厳しい岩壁のへつり道や桟道が続くのでゆっくりと景色
を眺める余裕は無い。垂直の岩壁をコの字型に刳り貫かれてクネクネと延びる水平道は迫力があり厳しくも美しい風景だ。


09時50分「大太鼓」展望所の標識が2つ現れる。その一つには阿曽原6.2km、欅平駅5.4kmとある。ここはや
はり坊主尾根の出っ張り部で、対岸の黒部の怪人、奥鐘山・西壁の大迫力を間近で展望できるポイントになっている。ここ
を回り込むと水平道は大きく西側の志合谷へと切れ込んで行く。

  
 お〜〜 ロックパスアトラクションが始まった             黒部の怪人が現れる

  
  クネクネと「へつり道」の桟道が続く                      確かにほぼ水平の道と言える

  
  奥鐘山から餓鬼山〜唐松岳へ続く尾根             天井岩のへつり道が見事だ


    芸術品の様な水平道  谷側には丸太が置かれているので安心感がある

  
  奥鐘山は常に右手に着いてくる                   足元は黒部川まで一直線だ

  
09時50分 二つの標識がある   これを総合すると   大太鼓から黒部ダム駅まで24.8km、仙人ダムまで8.2km、
                                      阿曽原まで6.2km、欅平まであと5.4kmだ


   大太鼓展望台からほぼ正面に見る 奥鐘山・西壁   岩盤には縦に筋が入っている

  
  落ちたらアカン〜♪  墜ちたらアカン〜 ?           大天井岩や〜 でもビバークは出来ん


            見事にコの字型に刳り貫かれた水平道 奥は奥鐘山・西壁

志合谷 (しあいだに)

登山道は岩のヘツリ道を過ぎて志合谷の徒渉部へと回り込む。10時00分途中に雪渓を抱えた志合谷が一直線に山から下
っているのが見える。


この志合谷を有名にしたのは1938年12月に黒部第三発電所建設工事現場の「志合谷宿舎」を泡(ほう)雪崩が襲い3
〜4階の木造部分が奥鐘山の岩壁まで吹き飛ばされ84人の犠牲者が出た事故だ。泡雪崩とはフツーの雪が崩れてくる雪崩
とは違い、超低温の山間部で起こる空気と雪粒の混合体による物凄い破壊力を持った衝撃圧らしい。


登山道はこの志合谷の中を150m刳り貫いた暗いトンネル内を通って向こう側に出る。10時04分このトンネルに入る。
ライトを持って来たが電池が少なく薄暗い。後から気が付いたのだがサングラスを外し忘れていた。前の人に続いて進むが
足元は当然水が染み出して飛び石を踏み外すと靴が濡れる。ヨレヨレになって10時11分対岸に出て解放感に浸る。ここ
から暫く奥鐘山方向、黒部本流に向かって水平道を進む。


  
 美しい紅葉の水平道が西へ切れ込んで続く           志合谷 送電線巡視路の標識に出会う


これが泡雪崩で有名な志合谷だ  雪渓の欠片が途中に見える  谷に延びる水平道の両側にトンネルの出入り口が見える

  
 10時04分 トンネル入り口を入る                   もう真っ暗で足元には水があるし・・・

  
 こんな感じのトンネルです(ネットより鮮明写真を拝借)           10時11分 ひえ〜〜 やっと出れた

志合谷から黒部川本流への道は谷の北側になるので日当たりが良い。地質はやはり岩っぽいので天井岩なども続くのだが、
登山道の周りには樹木が茂り紅葉を楽しみながら歩く事が出来る。

10時26分岩を刳り貫いた短いトンネルを通過すると又岩壁のへつり道を奥鐘山の紅葉の縦縞模様を楽しみながら歩く。
この後、水平道は黒部川本流と平行に延びて次第に樹木が多くなり森の雰囲気が漂う道となるが崖沿いの道はここかしこに
出現する。


  
 対岸の水平道を眺める                          少し荒々しい水平道だ

  
   正面に奥鐘山を見ながら東に進む               10時20分 切り通しを抜ける

  
  気持ちの良い水平道もあれば                   天井から岩が覆いかぶさった窮屈な水平道もある

  
 10時26分手掘りトンネルがある                   短い距離なのでライトは不要

  
 奥鐘山の西壁が真正面になる                    それにしても紅葉が美しい

  
  水平道が欅平の方向を向く                     それにしても奥鐘山・西壁は付け根まで凄い岩壁だ

11時00分蜆(しじみ)谷の標識を通過し暫くすると鉄塔に出合う。大体にして鉄塔付近は見晴が良く、対岸の谷間が奥
まったピークに雪が積もっているのが見える。恐らく後立山連峰のどこかのピークだろうが良く分からない。


黒四地下発電所から黒部峡谷に飛び出した電線は黒部川沿いを北に向かって延びて行く。最初の鉄塔から15分程黄金色に
輝く紅葉の中を進むと大岩があり、そこを回り込むと新黒三支線の送電線巡視路標識に出合う。水平道は草付きではあるが、
草の向こうは崖なので歩行確保用の鉄線が張り延ばされている。11時30分を過ぎても木立に隠れて地味ではあるが正に
桟道などの崖の水平道が続く。


  
 志合谷の次は小規模な蜆(しじみ)谷へ向かう          谷部からは奥鐘山の西壁が少し北側に回って見える

  
 11時02分 蜆(しじみ)谷の標識に出会う            11時08分 最初の鉄塔に出る 欅平も近い

  
 最奥に見える後立山連峰には雪を被ったピークが見える   登山道は相変わらず秋の輝きが続く

  
11時17分 欅平の新黒三発電所よりの送電線が延びて来ている  後立山連峰を眺める多田さん


   う〜〜ん  同定は出来ないけど雪を被った後立山連峰が見える  天狗の頭から白馬鑓への稜線だろうか

  
 おおっ  先に鉄塔が見えたぞ                    第一鉄塔までもヘツリ道が続く


しじみ坂を欅平へと下る

11時50分先端が黄色くペンキで塗られた鉄塔に着き少し昼食・行動食休憩する。ここまで来ると欅平は後1.3kmを
残すのみ。先の尾根858mピークにある欅平黒三発電所から延びあがった鉄塔に出て、後は鉄塔保線路を標高590mの
欅平へ向かって急降下するだけだ。


美しいブナの尾根を下り12時25分鉄塔の外れにあるパノラマ展望台に出る。欅平までの距離は700mとある。この先
水平歩道は上級登山者と書かれた標識にみんな気を良くする。「下の廊下 みんなで歩けば上級者」ってなもんだ。この展
望所で休憩中、真鍋さんにお願いして堂山仲間と天狗ノ頭、不帰嶮(かえらずのけん)、唐松岳をバックに記念写真を撮っ
てもらう。


  
   11時50分 二つ目の鉄塔広場に着く               欅平まで1.3km ここから下りとなる

  
 ここから先は「上級者向け」に皆さん大いに喜ぶ           二番目の鉄塔の下で10分程休憩する 

  
  ブナの生えたなだらかな尾根を下る             12時23分 3番目の鉄塔分岐に出る 欅平まで0.7kmとある


パノラマ展望所で堂山仲間 本田さん、福田さん、ナッチーさん、エントツ山、切山さん  バックは天狗ノ頭、不帰嶮、唐松岳


   ゴール直前の欅平パノラマ展望所にて全員写真 (CL中村さんのカメラで撮影)

12時30分いよいよゴールの欅平に向かって整備された鉄塔巡視路を下る。急な下りではあるが草付きで階段などが整備
されているので安心だし、何せ最後の歩きなので全員元気一杯だ。13時00分欅平のゴールに下り着くとSL佐藤さんと
大島さんが握手で出迎えてくれた。

欅平(けやきだいら)

欅平(けやきの木が多い所から名づけられたのだろう)は黒部川の中流域で、西側からは剱岳を源流とする「小黒部谷」と東
側からは白馬岳、清水岳、天狗ノ頭、唐松岳などを源流とする祖母谷・祖父谷が合わせて本流に流れ込む、いわばもう一つの
十字峡と言える場所だ。ここは一般交通路として黒部峡谷鉄道の終着駅であり、一般観光客だけでなく下の廊下や祖母(ばば)
谷温泉を経て白馬岳や唐松岳への登山口となっている。

黒部川・電源開発の資材や人員運搬の基地として発展した場所で、欅平には黒部第三発電所と新黒部第三発電所があり、その
トンネル軌道や導水路が仙人谷ダムまで建設された。これが吉村昭さんの小説「高熱隧道」に描かれている。

欅平からは一般用では無いが、関西電力の専用鉄道(トロッコ軌道)がエレベーターやインクライン設備を介して黒部第四発
電所まで繋がり、更にはトロリーバスで黒部ダムまで通じている。関西電力では毎年抽選でこの「関電ライン」を一般客に見
学ツアーも行っているそうだ。

そして2024年(今から6年後)にはこの「関電ライン」を一般営業解放する事(年間1万人程の観光客を受け入れ)に富
山県と関電が合意したらしい。まあこのラインは殆どトンネルの中を通るのでこれが実現した所で「下の廊下」を歩く価値に
何の揺るぎも無いだろう。


  
 12時30分 鉄塔巡視路を欅平へ向かう              結構急な坂だがもう最後なのでみんな元気になっている

  
鉄塔の横は防雪補強されているみたい               欅平が見えた〜

  
  13時00分欅平の駅広場へ下山                 佐藤SL、大島さんがみなさんを出迎えてくれる      


    佐藤SL 今回も雨飾山と同じく先頭を引っ張ってくれました  バンザ〜〜イ

    
 この会は観光時間が設定されていない  残念〜       黒部峡谷鉄道 欅平駅で並ぶ 次の列車は13時31分

エピローグ

欅平〜宇奈月温泉 黒部峡谷鉄道・トロッコ列車 (約1時間20分)

13時31分発の宇奈月温泉行の黒部峡谷鉄道の団体待合所に並んで、屋根はあるが窓無しのトロッコ列車に乗り込む。黒
部峡谷鉄道は黒部川電源開発の資材運搬が目的で日本電力等により1926年(大正15年)宇奈月温泉〜猫又間を皮切り
に1937年(昭和12年)終点の欅平までが完成した。戦後、日本電力が関西電力に吸収され、現在は関電の100%子
会社となって運営されている。ちなみに欅平ー宇奈月温泉の片道大人料金は¥1,980となっている。


窓付きの箱型車両もあるがこれはほぼ一般観光客用で、登山者は大体にして窓無しの正にトロッコに乗せられる。まあ風を
感じながら黒部渓谷を走るってもこの時期とんでもなく寒い。みんな防寒着や雨具を羽織っている。この列車はレール幅が
76cmと非常に狭くレールと車輪がきしむ音がやかましい。トロッコの幅も1m76cm程しか無いから3人掛けとなる。

SLの佐藤さんから端の席を譲って貰い、右手に黒部峡谷があるので右端に移る。すると同席の久保さんと佐藤さんが「景
色が良いのは左側ですよ」と言われて左端に移る。ところが、列車が走りだしても一向に黒部渓谷が見えない。「景色悪い
ですよ」〜と言うと二人はニヤニヤしながら「これからですよ」と言う。結局黒部渓谷が左手に現われた頃には川幅が広く
土砂が堆積したりコンクリートの建物があったりしてサッパリだった。結局大笑いする二人にマダされたのだった!


   
トロッコ列車の後ろ側  結構長い連結だ                 眺めはあまり良くないし・・・ 

  
   寒いし・・・トンネル多いし・・・                   隣の箱列車は温そうだし・・・

     
下の廊下で岩は見飽きたし・・・・・・(ねずみ返しの岩壁)        黒部川が見えたら紅葉は無いし・・・・・

   
  おもちゃ」みたいな電気機関車だし・・・・・         モーテルみたいな発電所だし・・・・・ (新柳原発電所=黒部第一発電所) 

  
 渓谷なんか無いし・・・・・(宇奈月ダム湖)               鼻水たらして宇奈月温泉駅に着いたし・・・

宇奈月温泉

14時50分宇奈月温泉駅に着くと運転手役の真鍋さんが会の車で駅前に出迎えてくれ、宿泊先のホテル「渓仙」にチェッ
クインする。今日は少し歩き足らなかったのでお土産を調達を兼ねて再び宇奈月温泉駅付近を散歩する事にした。黒部川の
川岸へ下り、赤い鉄橋の下まで歩く。その後又上り返して遊歩道になっている昔の鉄橋を宇奈月ダムまで歩いてホテルに引
き換えしお風呂に入る。


  
 14時50分 宇奈月温泉駅に到着〜 あ〜〜寒かった!           宿泊先のホテル・渓仙に入る

  
  町には無料バスが走る                    駅前の「温泉噴水」 源泉は7km上流の黒薙温泉から引いている

  
 黒部川の河川敷を散歩する                     旧鉄橋跡が遊歩道になっているのでそこへ行く

  
遊歩道から黒部川  この辺りはもう峡谷でも渓谷でも無い    宇奈月ダムまで歩いて引き返す

宇奈月温泉のホテルに帰り黒薙温泉から7km引かれた温泉湯に浸かる。考えてみると黒部川は人々に電力を提供し、温泉を
提供し、渓谷美を提供し言う事なしの宝の川だ。今回参加の最高齢者77歳女性二人に敬意を表すると共に山行計画を実行し
てくれた会やそのリーダー達、遠征を支えてくれる運転担当者、お天道さんも含めて全てに満足感を持って感謝する。


お蔭で水晶岳から黒部峡谷を宇奈月温泉まで歩いて繋ぐ事が出来た。


  ホテル「渓仙」にて「山と元気の会・下の廊下」 山行の打ち上げ会が催される
 登山服を脱ぐとさしずめ老人会の様相なので皆さんの写真はカットさせてもらいます


今回の山行で作った川柳

「堂山を 歩く先には 黒部あり」   毎日のトレーニングが大事ですね

「黒部にて 一年分の 秋を見る」   いや〜 凄い紅葉を堪能しました

「峡谷を 番線掴み 覗き見る」    高度差があり迫力一杯の黒部渓谷でした

「山小屋の 男女同室 色気なし」   まあ若い人も居ないしね

「露天風呂 行きと帰りで 又よごれ」 皆さん あんな遠い場所までよう行くもんです

「紅葉も 二日目になり 少し醒め」  どんな良い景色も多少飽きるもんです

「上級者 標識の文字 良い響き」   下の廊下の出口(入口)に上級者コースの看板を見て皆さん喜んでました

「吹き抜けの トロッコ列車 寒いだけ」 もっと景色が良い場所を走るのかと勝手に思ってました 風邪引きました

「宇奈月で 歩き足らずに 散歩する」 二日目は歩きが足らずに2時間程黒部川沿いを散歩しました

「山の会 見方変えれば 酒の会」   皆さん バスでも宿泊先でも良く飲みますねえ

「山の会 バスが待ってる下山口」   運転担当の真鍋さんには感謝ですね

「長歩き 下(しも)の老化を 防ぐため」 下の廊下を歩いて下の老化をふせぎましょ

「帰りには もう次の山 行きたがり」 人間ってもうこれでいいと思わない欲深い動物ですわ



1日目:扇沢〜黒部ダム〜内蔵助沢出合〜黒部別山沢出合〜白竜峡〜十字峡〜S字峡〜東谷吊橋
    〜仙人谷ダム〜阿曽原温泉小屋 は  ここ    

  
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