平成29年2月25日  冬の伊予富士〜鷹巣山 (主三角点と三角点がある山)


プロローグ
平成27年の冬に鷹ノ巣山にハマって霧氷や凍結の藪尾根歩きをした。その際に鷹ノ巣山・西峰にある主三角点が確認
出来ずに手前の双耳峰にあると勘違いしていた。
そこで同じく平成27年4月に雪解けを待って鷹ノ巣尾根をマーシーさんと縦走して西峰にある主三角点を踏んだ。

鷹ノ巣尾根 

平成27年4月25日 カシミールソフトを使った鷹ノ巣尾根縦走GPSログ図

鷹ノ巣尾根の全容


 鷹ノ巣山の三角点は 「主三角点」は西峰に有り、 「国土地理院の三角点」は鷹ノ巣山(点名 中之川)にある

 
  岩場は無雪期には岩棚沿いに前方の尾根に進める        振り返ると結構凄い崖だ


   11時50分  鷹ノ巣山の主三角点 明治30年代に農商務省山林局により国有林に設置された三角点


   12時10分   鷹ノ巣山の三等三角点「中之川」 標高1,596.33m

鷹ノ巣山三角点よりの眺め

   マーシーさん             鷹ノ巣山・西峰                                   鷹ノ巣尾根双耳峰

 
      鷹ノ巣山から東へ下りる                      基本的には下り 林床は笹

  
   アケボノツツジも要所にある                        ミズナラとブナがドッキング

  
   後半は灌木と笹薮となる                          林道が近づくと植林が現れる

  
   最後は適当に尾根部を下る                       13時30分 道路に着く

  
    瓶ヶ森林道の下山地  自転車をデポしている            旧寒風山トンネル口に帰る



2017年 干支の山 冬の鷹ノ巣山へ

平成29年の酉年に愛媛県のマイナーな山「熊鷹山」へ登った。その第2弾として冬の「鷹ノ巣山」へ行く事にして伊予の鈍亀さん、ザイフリボクさん達と
2月25日伊予富士へ登った後に鷹ノ巣山へ行き直接瓶ヶ森林道へ下る事にした。


平成29年2月25日 桑瀬峠〜伊予富士〜鷹ノ巣山〜瓶ヶ森林道

カシミールソフトを利用したGPSログ図  桑瀬峠〜伊予富士〜鷹ノ巣山〜瓶ヶ森林道


                 冬の鷹巣尾根ルート図

平成29年2月25日(土)朝山根運動公園で集合し08時頃旧寒風山トンネル口の寒風山・伊予富士登山口へ着く。出発点から雪がそこそこ積もっ
ており天気が良いので理想的な四国の雪山歩きが期待出来た。

08時20分登山口を出発して1時間弱で桑瀬峠へ着く。霧氷が沢山見えて伊予富士までの快適な尾根歩きが楽しめそうだ。桑瀬峠から伊予富士
への尾根道は「鷹ノ巣の別れ」と勝手に名付けた標高1,630m程の尾根分岐があり、桑瀬峠(標高1,451m)から標高差140m程の厳しい上り
がある。雪が深い時は大変苦労する場所でもあるが霧氷が美しい場所でもある。

  
  08時20分登山口を出発                           09時15分 桑瀬峠に到着


          桑瀬峠から伊予富士へ向かう尾根は絶好の霧氷見物が出来る

  
  やはり冬の青空と霧氷の相性は抜群だ                鷹ノ巣分岐へ向かう尾根のトラバース路


                   尾根部に上がる手前の毎回楽しみなブナの姿

  
伊予富士側の尾根に出るには急な斜面を登らなけらばならない  09時55分 鷹ノ巣の別れに来ると伊予富士の全貌が現れる

09時55分鷹ノ巣尾根分岐(鷹ノ巣の別れ)に着いて天気が良いので伊予富士まで足を延ばす事にする。途中「ヒコーキ5号さん」が伊予富士方面
から来られたので初対面のご挨拶をする。聞くと今から笹ヶ峰まで行くと言う。韋駄天とは聞いていたが70歳を越えているとは思えないタフさに一同
びっくりする。

後は一般道なので詳しいレポは割愛して10時48分伊予富士山頂に到着した。山頂には一人の登山者がいて「エントツ山さん?」と声が掛かった。
「toshi です」と言うのでよく見ると間違いなく懐かしい顔があった。しばらく360度の景色を眺めながら話をする。toshi ちゃんは私の大学の後輩で遠征
なども良くされて掲示板に報告を頂く有り難い仲間でもある。 秋のご来光の滝を約束して伊予富士を下り鷹ノ巣分岐へと向かう。

  
    霧氷越しに伊予富士が迫る                     ヒコーキ5号さんと初対面〜 え〜これから笹ヶ峰まで行くの?


    帰りに歩く鷹ノ巣尾根  双耳峰(1,649m峰)                        西峰(約1,630m)

  
    伊予富士は霧氷で真っ白け                      次第に伊予富士基部に迫る

  
   一か所だけ樹林帯があり霧氷のトンネルを抜ける           針の山みたいに霧氷が立っている

  
   鷹ノ巣尾根を振り返る                          伊予富士への上りも結構キツい


    伊予富士山頂手前から見下ろす高度感はたまらん

    
   もう少し 亀吉が亀美を励ます夫婦愛                  あれ? 誰か居るぞ   (toshi ちゃん)


                伊予富士から西側  石鎚方面


         伊予富士から東側 笹ヶ峰〜冠山方面  奥に赤石山系が見える


        伊予富士から鷹ノ巣尾根を眺める  鷹ノ巣山三角点峰は西峰の後ろに隠れている


                     toshi ちゃんと記念撮影 (ザイフリボクさん撮影)

  
  11時15分 伊予富士を下山                        下から登山者が結構上がって来る

  
  優雅に椅子を出して食事をされるご夫婦                  「鷹ノ巣の別れ」へ向かう

いよいよ 鷹ノ巣尾根へ

鷹ノ巣分岐 〜 双耳峰 〜   絶壁岩峰通過  〜  西峰(主三角点峰) 〜 鷹ノ巣山(三角点峰)〜瓶ヶ森林道
(12時00分) (13時15分)  (14時55分〜15時45分)      (16時00分)       (16時30分)       (17時40分)


12時00分「鷹ノ巣の別れ」から尾根を少し外して右手の深い笹薮を進んで尾根筋に這い上がる。以前直接尾根筋を這い上がったがブッシュが
濃くて引き返した事がある。暫くは右手に伊予富士を眺めながら霧氷の尾根を進む。

12時26分最初の岩崖を這い上がる。斜面が凍結しているので注意を払いながら樹木を頼りに手掛かり足がかりにして這い上がる。その後は
暫く霧氷の中を進む。

12時48分双耳峰手前のコルに着くと霧氷越しに伊予富士がいい具合に見物する事が出来る。この辺りは凄い霧氷で美しい風景だ。ここからは
ブッシュの急傾斜を双耳峰のピーク(1,649m峰)に向かって這い上がる。ピークからは笹ヶ峰方面が眺められる場所があり一息入れる。

次のピークにはちょっとした崖部がありロープを初めて出して上側にある木に通して10m程下ると次のピークへのコル部となる。双耳峰のピークを
過ぎると比較的なだらかな尾根となるが岩尾根らしくアップダウンが結構ある。

14時48分第一岩場行き詰り場所に着き、大岩の上から下に続く尾根を眺めた後、左手からトラバースして下の尾根筋に下る。するとすぐに難所の
岩峰取り付き部に到着する。
 


     
12時00分 尾根の右手から笹の中を進む                尾根に上がると笹が少し減る

  
   伊予富士も少し角度がしがって眺められる                    尾根は霧氷の嵐やで


           今日一の風景写真    ここに来なければこんな伊予富士の写真は撮れないよ

  
    藪尾根も霧氷が付くと美しく変貌する                伊予富士の姿が気になる

  
 12時26分 最初の岩壁が現れる                    12時45分 動物調査用センサーカメラがある

  
  前方に双耳峰のピークが見えて来た                        双耳峰手前のコル

 
 12時50分 双耳峰手前のコルから伊予富士を眺める  ここから伊予富士は見えなくなるので名残り惜しい

  
     急な斜面を身軽な3人は付いて来る                 もうすぐ1,649mピークだぜ


   13時12分 双耳峰ピークから寒風山〜笹ヶ峰を眺める


  霧氷は美しいが頭からバラバラ落ちてきてちびた〜〜い

  
  岩場の滑りやすい傾斜部はロープを出す                  細尾根が続く

  
     霧氷の中を進む                            コル部の木が無い場所になるとホッとする

  
   14時00分 あれ?  又 伊予富士が見えた            霧氷が美しい尾根を進む

  
    14時28分 コル部に下りつく この先に岩峰がある          岩が尾根に出て来る

  
  14時30分 大岩の横を抜ける                      14時48分 大岩で行き詰る ここは左から迂回する

  
 以前瓶林トンネルの雪崩で這い上がった尾根が見える        岩場を注意しながら下りる


冬場の難所 岩崖のトラバース

14時53分岩山の基部近くにある岩の裂け目に到着する。2年前に左手の斜面を下がり凍結の為に引き返した。結局ロープを使って右手の斜面
を一旦下りて尾根筋に這い上がるルートが一番安全だと判断した。
無雪期であれば左手の斜面や右手の岩だな沿いに前方の尾根に出る事は可能なのだが・・・

伊予の鈍亀さんを岩峰ピークまで案内してルートが無い事を説明させて貰う。藪のピークをどちらにかき分けても危険な絶壁となっているのだ。
15時00分岩の回廊へ戻ってロープを敷設して下の棚まで下る。
そこから急な谷筋をロープで2スパン約30m程更に下る。丁度10m程下方にしっかりした木が立っているのでまずそこまでロープを張って下る。
4人共そこまで着くと2度目のロープ下りで崖下まで進む。
最後は雪の急斜面を尾根筋まで這い上がると岩峰ピーク直下の縦走ルートに出る事が出来る。この難所で水平距離20m程進むのに45分程
かかった。


    14時53分  岩崖ピークの手前から右手にある大岩の回廊を下ってトラバースする その前に岩峰ピークへ見学に行く

  
上側にもう一つ岩の亀裂があるがここは危険で抜けられない     ピークに出ると絶壁に行き詰る  20m程の岩壁だ
  

  岩峰ピークから北側を眺める  左は双耳峰       正面は寒風山                  笹ヶ峰

  
    北側は垂直に切れ落ちたブッシュ                   東側もブッシュで先が切れ落ちている

  
  15時00分 岩の裂け目を下る                      亀ハメハ大王は実が軽い

  
 さてここからが冬場の難所 急傾斜下りが始まる            岩峰ピークの絶壁が左手に見える

  
   14時15分 第一スパンを下る                     ロープが無ければここは無理

  
    鈍亀(♂)さんは軽快に下る                     15時20分 第二スパンを下る ここは急な崖です

  
  続いて伊予の鈍亀さん達が下る                     15時43分  今度は尾根に向かって急斜面を這い上がる

  
こちはら雪原の急斜面なので鈍亀さん達は一緒に上がって来る    コルでロープの収納をした後、西峰へと進んで行く


鷹ノ巣山・西峰の主三角点を掘り出す

主三角点とは
明治時代の国土調査、測量は最初、内務省地理局や参謀本郡測量課等で行われていたらしいが、明治14年農商務省が発足して境界査定
などの林野行政(主に国有林・官有林)はこの農商務省山林局に移管された。この山林局が明治31年から38年にかけて国有林の管理目的
で森林三角点測量を行ったとの事。この時に置かれたのが主三角点、次三角点、補点の3種類だそうだ(この時代の点は古い字体「點」が使
われている)

鷹ノ巣西峰にあるのはこの農商務省山林局により設置された「主三角点」って言う訳だ。

ちなみに主たる日本の測量業務は明治17年に陸軍に引き継がれ、明治21年「点の記」で有名な参謀本部陸地測量部が独立官庁として測量
事業を行っていくので、明治時代に森林三角点は上記2組織が平行して設置されていた様である。

15時45分冬場の鷹ノ巣尾根の難所を無事通過してロープを収納し次のピーク鷹ノ巣西峰へ向かう。この西峰は伊予富士方面から三角形に
見える鷹ノ巣尾根の主峰といえるピークだ。特に道は無いので適当に傾斜を這い上がる。16時00分なだらかなピークに着くと目の良いザイフ
リボクさんが主三角点の頭を雪の中に見つけた。 う〜〜ん  これに違いない。ここは力仕事が得意な伊予の鈍亀さん(♂)が私の持っている
長尺ピッケルで掘り出した。

字の凹み部を雪で埋めると「山」の字と反対側に「主三角点」の文字が浮き上がった。明治時代からここに埋まっている風格さえ感じさせる石標
である。


         桑瀬峠から伊予富士へ向かう稜線から見る鷹巣西峰と鷹ノ巣山

  
   15時50分 西峰へ向かって緩斜面を上る              このピークは思いの外なだらかである

  
やまももパパさんから頂いた長尺ピッケルが役に立った          裏側には「山」の掘り込みがある


              表には「主三角点」の刻印がある  標高は約1,630m程


鷹ノ巣山  (三等三角点 中之川 標高 1,596.33m

伊予富士〜鷹ノ巣分岐から鷹ノ巣尾根は南東に延びる。その尾根が西峰から真東へと方角が変わる。この為西側の伊予富士からは標高の少し
低い鷹ノ巣山が西峰に重なって見えない。 尾根はシンプルではあるが西峰の南側に支尾根があるのでここはコンパスで真西へと下がって行く。

下山に使う緩斜面を検討しながら尾根を進む。鷹ノ巣山付近は藪尾根なので少し北側から迂回して16時26分三角点に到着する。このタフな尾根
を力を合わせて良く歩いて来たもんだ。尾根分岐から4時間半弱かかった事になる。

この時期、こんな場所からの寒風山、笹ヶ峰を眺める。さてあまり満足感に浸ってはおれない。手前のコル部まで引き返して比較的緩やかな斜面
を下る最後の仕上げが待っている。


  
 鷹ノ巣西峰からは忠実に東の尾根へ進む                藪を避けながら尾根を25分程歩く


   16時26分 鷹ノ巣山に到着  三等三角点「中之川」 1,596.33m


                鷹巣山から寒風山、笹ヶ峰、チチ山を眺める

  
   4人で鷹ノ巣山三角点を踏む                     16時40分少しコル部まで戻って適当な下山ルートを探す

鷹ノ巣山コル部〜瓶ヶ森林道  約1時間    林道歩き 約 30分

鷹ノ巣山から尾根筋を東へ伝い瓶ヶ森林道へ下りるのは遠いし、林道歩きも時間がかかる。ここは冬場だけ笹薮が雪に覆われるので比較的
下り易い斜面となる。滑っても前方に木が立つ場所を選んで慎重に下れば約1時間で林道に下りつく事が出来る林道歩きの途中でアイゼンを
外して下山場所から約30分で寒風山登山口の駐車場へ帰る。

  
  比較的なだらかな支尾根っぽい場所を探しながら下りる      17時30分 正面の寒風山、笹ヶ峰方角を目指す

  
沢部に入り込まない様に先行し時々後続を振り返る           滑ったり転んだりしながらどんどん下る

  
17時35分 道路が見えた                         17時40分 瓶ヶ森林道へロープを使って下りる

  
      林道脇の小滝                           18時12分 旧寒風山登山口のゲートに帰りつく


干支の山熊鷹山に続く第二弾「鷹ノ巣山」は伊予の鈍亀さん、ザイフリボクさんの協力で楽しく雪山を歩く事が出来た。


平成27年「因縁の鷹ノ巣山」 は   ここ     

   

  

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