後立山連峰縦走
猿倉~白馬岳~不帰ノ嶮~唐松岳~五竜岳~八峰キレット~鹿島槍岳~爺ヶ岳~扇沢

平成28年8月31日~9月4日 (4泊5日


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 後立山連峰縦走図



後立山連峰縦走 第2部
唐松山荘~五竜岳~八峰キレット~鹿島槍岳~爺ヶ岳~扇沢
平成28年8月31日~9月4日 (4泊5日


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  唐松山荘~扇沢


第3日目(9月2日・金)
唐松山荘野営地~五竜岳~八峰キレット~キレット小屋

朝5時前に起床してテントを出ると昨日ガスで見えなかった五竜岳の天辺が朝日を浴びている。テン場の西側谷間の向こうには剱岳と立山
がセットで見える。ここからの唐松岳は標高が近すぎて形に迫力が無い。
05時40分時テン場を出発してジグザグ急登を唐松山荘まで上
がると既に息切れ状態だ。
稜線には唐松岳でご来光を迎えた登山者の歩く姿が見える。

  
 今朝は西側のガスが無くて背景に五竜岳が見える         唐松岳も朝日が浴びている


         テン場から剱岳と立山三山が見える最高の場所だった

  
  五竜岳に朝日がさしている                         稜線には唐松岳で日の出を見た登山者が帰っている

06時10分山荘で剱岳や黒部五郎岳の展望を楽しんだ後縦走路に入る。唐松山荘の東側には有名な八方尾根が延びているのだがガスの岳
見えない。岩のトラバース路を抜けて稜線に出ると五竜岳の迫力満点の山塊が姿を現す。この辺りは牛首と呼ばれる脆い岩尾根だ。手前に
は大黒岳2,393mがあり、五竜岳の基部は白岳2,541mが肩部を形作り、その辺りに五竜山荘があるらしい。


稜線の東側は雲海に覆われており、その一部が縦走路の鞍部にかかっている。ここから暫く厳しい下りになるが鎖が設けられている。尚も
大黒岳付近と思われる岩山を右に巻いて鎖のトラバース道が続く。稜線の鞍部にはみるみるガスが東側から流れ込んで07時05分鞍部に
来ると視界が相当悪くなった。ハイマツの草地にはナナカマドの赤い実、イワツメクサ、ミヤマコゴメグサ、シラタマノキ、オヤマボクチ
などが退屈さを紛らわせてくれる。

この辺りのコル部は後立山連峰のコル部では一番標高が低い約2,350m(大黒岳の標高から等高線で算出)の為「最低鞍部(コル)」
と呼ばれているらしい。 ちなみに昨日歩いた不帰キレットの標高は1,411mだ。


  


         牛首の岩尾根の下りと手前の山塊は大黒岳、その奥に白岳と五竜岳が構えている  右手奥は黒部五郎辺りか?

  
  牛首と呼ばれる脆い岩場には下りが置かれている        岩尾根を下る


              あっという間に東側から霧が流れて鞍部を覆いつくす  尾根山塊の奥が白岳だろう

  
   脆い岩トラバース路の鎖場                              尚も鎖場が続く

  
  鋭いピークを振り返る                         後立山連峰の最低鞍部へ向かうコル部はガスの中だ

  
  これじゃ最低鞍部はどこだかようわからんわ            鞍部はガスで水分豊富な為に花が沢山ある  シラタマノキ

  
   オヤマボクチやろね                             ミヤマコゴメグサ (何でもミヤマを付けとりゃええわ)


07時35分イチゴの赤い実を食べていると池塘の様な池があり、暫くすると五竜岳・唐松岳の進路標識が立っていた。ウラシマツツジも
赤く紅葉しかかっている。
ハイマツのゆるやかな上りになると久々に登山者を見かける。

08時25分五竜岳の基部まで着くとガスを抜けて前方が見えて来た。登山道は主に山の右手(西側)をトラバース気味に付けられている
のがわかる。直下に五竜山荘の赤い屋根が見えるのでこの辺りが白岳って事になる。左手には遠見尾根がアルプス平まで続いているのだが
ガスで何も見えない。


08時30分立派な五竜山荘の脇を抜けて五竜岳へと進む。ここまで詰めると五竜岳も下から見上げた勇壮さは無く横長い岩尾根だ。又霧
が出た尾根を上がっていると、陽だまりに何とタカネスミレが咲き残っていた。


  
07時47分 五竜・唐松の登山道標識                      久々に見る人間の姿  白岳に向かう

  
    やはりガスっぽい尾根                        白岳を回り込むと・・・  ん? なんかガスが切れて来たぞ


     08時30分  ジャ~~ン 前が開けて五竜山荘と奥に五竜岳が現れた

  
   ちょっとガスが吹きあがって来た                    むむっ  こんな所にタカネスミレが咲いている?


五竜岳 2,814.1m 日本百名山 三等三角点「平川入」(亡失)

09時05分高度が上がったので振り返るとガスの上に白馬鑓ヶ岳や白馬岳が見える。縦走路は尾根を避けて右手に伸びる岩クレトラバー
ス道が続く。前方には白っぽい岩肌を持った五竜岳が次第に近づいてくる。


09時30分G2ピーク付近を通過して白い屏風の様な本体の岩屑道に取りつく。ここは左手から進むので東側に続く鹿島槍の双耳峰と八
峰キレットにガスが流れてまるで煙を上げている様な光景に思わず息を呑む。大きな岩のペンキを頼りに這い上がって行く。


岩稜帯を抜けると前方が開けて鹿島槍が正面に見え、右手の岩がゴツゴツした稜線を少し進むと10時00分五竜岳の山頂に着いた。南側
に続く稜線上には北アルプスの名だたる山々が並ぶがこれから進む八峰キレットは既に東側のガスに覆われようとしていた。振り返った北
側は出発点の白馬岳からの尾根が並ぶがこちらも底部は煙が上がる様にガスが飛んでいる。


今回の縦走で最も意識した山がこの五竜岳だった。メジャーな山の頂には必ず同類の単独者が居るので写真撮影には困らない。バットマン
の様な角を二つ持った鹿島槍ヶ岳の右奥には槍ヶ岳が見え、すぐ西側には剱岳の長次郎谷も見える。この北アルプス展望の山をじっくりと
満喫するには単独縦走が一番良いのかも知れない。


  
  白馬方面を振り返るがガスが凄い                     五竜岳が近づく

  
    2,558Pを右に巻く                          鎖場がここにもある


   遠く出発点の白馬岳が見え、その右手に小蓮華岳の尾根が続いている



    八峰キレットとその向こうに左が鹿島槍ヶ岳「北峰」   右手が同じく「南岳」


        G2から見た五竜岳    ここから見た形はちょっと石鎚山に似てるぞ
  
  
   やはり岩山~~                               最後の鎖場を這い上がる

  
   岩盤を這い上がるといよいよ山頂じゃ~               あれ? 山頂は右側へ入るの?


       やった~~  五竜や 五竜岳やで    あの向こう、白馬岳から歩いてきたんや~

  
            這い上がって来たGとG2ピーク            槍ケ岳が間近に見える    白い線が長次郎谷


   五竜岳から八峰キレットへ

     
     カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  五竜岳~鹿島槍ヶ岳


10時30分分岐に帰っていよいよ霧に覆われて不気味な感じがする八峰キレットへ向かう。狭義には八峰キレットはキレット小屋付近の
コル部の事らしいが、八峰という位だから広義には五竜からキレット小屋を過ぎるまでの岩峰尾根を意味すると受け取っている。

ザレた尾根を下って行くと鹿島槍へ続く尾根縦走ルートが見える。八峰と言われるだけあって鋭そうな尾根ピークが幾つも霧の間に見える。
左側に傾いた尾根G4の向こうに一際尖って見えるのがG5だろう。


  
 10時30分 分岐に戻りいよいよ八峰キレットへ向かう       不帰の嶮、天狗の大下りよりはなだらかな傾斜だ


 左に突き出したピークがG4、その向こうの尖ったピークがG5だろう  ガスが湧いているだけに不気味な感じがする

  
       五竜岳を振り返る                             さすがに細尾根やで

  
        細尾根を進む                                これがG4だろね

  
   五竜が私を冷たく突き放す                       尾根の西側はガスが無いんだけどなあ バットマン鹿島槍
  

11時10分G4の右手をトラバースするなだらかな登山道には沢山の枯れたウルップソウの群生が見られた。ここは豪華な花の尾根なの
だ。
やがてG5の厳しい岩峰が近づくと岩場のトラバース路となり鎖場や岩のペンキマークが現れる。その間を繋ぐ谷間は黒部側に鋭く落
ちている。
「富山側通れ、信州側踏み抜き」の板版標識を過ぎると11時25分岩にG5とペンキで書かれているのでちょうどG5直下を
トラバースしているのだろう。
右手からは剱岳の応援を貰う。暫く岩尾根を進むと12時00分稜線を下って行く事になる。

  
    こんな所にもウルップソウがある                   ムーチョ切り立ったピークやが

  
   11時15分  鎖場が現れる                     これをよじ登って・・・・と

   
     これもよじ登ってと・・・・                          まだまだ続くよ鎖場が
 
岩と岩のコル部はどちらへも切れ落ちているざんす       「富山側(左)を通れ、信州側(右)踏み抜き」の標識

  
11時25分 G5のペンキがあったのでここがG5のトラバース地点だね   お~~~ 剱岳が励ましてくれてるわ

  
       五竜岳を振り返る                        ちょっとなだらかな稜線部に出る

    
でも結構厳しそうな岩尾根でござる                       五竜をもう一度振り返る

  
  岩尾根にはうまくルートが付けられているわい           12時時00分 一旦ハイマツのガレ場を下る

  
  う~~ん  脱色リンドウか?                       また前方の霧の中にピークがあらわれる

12時45分赤抜けと呼ばれるザレ場を抜けると鉄階段が現れた。総じてこの尾根自体はとても鋭い岩峰の連続だが、縦走ルートは
うまく岩ピークを巻いて付けられており、難所には鉄梯子や鎖が置かれているのでそんなに難しい場所では無い印象だ。


13時00分「北尾根の頭」(2,550m)の標識に着いた。この東側に北尾根が延びているのだが何故か北尾根と呼ばれている。
(鹿島槍ヶ岳の東にある天狗尾根の北側にあるからだろうか)


ここから暫く尾根を緩く下っていくと13時40分「口ノ沢のコル」(2、416m)に着いた。ここは岩尾根の中ではちょっとした
広場があるので横の岩には「テント禁止」とペンキで書かれていた。ビバークするにはここしか無いのだが、岩屑がゴロゴロしており
風当りも強そうで余りテン泊適地とは思えない。
その後も岩場のルートが続き、ギザギザと尖った岩山の右側をトラバースした道が続
く。

  
12時40分 霧の中「赤抜」のザレ場を通過     赤抜を過ぎると鉄階段が2つ連続して現れる

  
  2つの鉄階段を上ると尾根部に出る                   12時57分 「北尾根の頭」を通過

  
  穏やかなハイマツの尾根をなだらかに下がる             でもガスが無ければ高度感はたっぷり感じられるだろう

  
 13時40分「口ノ沢のコル」(2,416mを通過              岩にはテント禁止と書かれている

     
  岩峰のピークは右手を巻いてルートが続く               ガスで視界は今一つだが細尾根なのでルートに不安は無い


キレット小屋へ

尾根筋に上がっても前方が霧で良く見えない。14時15分尾根を右に大きく外したトラバース路となりハイマツと砂礫地の風景が続く。
一旦尾根筋に上がるが岩場が続く。14時25分鎖場のチェーンに「キレット小屋まで25分」の標識がぶら下がっていた。この辺りは岩
場で注意深く歩くので思いの外時間がかかるが、キレット小屋泊まりなので気楽なものだ。


トラバース路から石畳の尾根部を通過すると14時40分、キレット小屋に向けて下りの鎖場となった。ガスが風で少し飛ぶと前方の鹿島槍
の壁とそれに向かって下がる尾根が見える。
14時50分岩と岩の裂け目部のザレ場に来ると「小屋まで15分」の標識を見る。そこからザ
レ場を少しだけ下って又岩山へ向かってペンキを頼りに上って行く。


それを乗越して稜線は下るが、その向こうにもう一つピークがガスの中に見える。そのピークを右側からトラバース路を進むと15時05分
前方に鉄製の梯子がかかっている。その梯子には「キレット小屋まで10分 がんばれ!」の標識がぶら下がっていた。
15時15分やっと
霧の中に浮かぶキレット小屋に着いた。最初に現れた25分標識から50分もかかった計算になる。あの標識はおかしいぞ。


  
14時15分 尾根の右手を大きく回り込む         前方に岩峰が現れる

  
岩峰に向かって鎖が延びる           14時25分そこにキレット小屋まで25分の標識があった

  
    岩尾根が続く                一旦石畳の稜線に出る  鎖が見える

  
  下りに鎖が付けられている              八峰キレットに向けて尾根が落ちていく

  
  振り返ると西側をトラバースして結構下って来ている  キレットに向けて急な下りが続く

  
    ザレ場を下る                 14時50分 キレット小屋まで後15分の標識

  
      下りにもピークはある           岩場を乗り越える場所には鉄梯子が付けられている

  
15時05分 鉄梯子にキレット小屋まで10分の標識  15時15分 やっとキレット小屋に着いた


小屋に入り、宿泊の申し込みをすると「予約をしていますか?」「いいえ」「混んでるので予約をしてくれないと困りますよ」「すみません」
山小屋では登山者はお金を払うお客とはみなされないようだ。(もちろんテン場があればこんな偉そうな事を言われる小屋には泊まりません
よ)

指定された場所は二階の未予約者を放り込む一角だった。ほぼ同時に入った団体客は布団と布団の間にスペースが設けられている。一方、未
予約者用の場所には敷布団が隙間なく敷かれて、そこにどんどん予約をしていない登山者が詰め込まれる。これが2食付き¥9,500.-
の山小屋の現実だ。八峰キレット小屋、ロマンチックなイメージを抱いてやってきた私は厳しい山小屋の掟を味合わされた。

夕食の時間になって食堂へ行くとそこはアルバイトの若者が登山者に気持ちよく対応していた。その晩は灯りすら点ける事も憚れる環境で荷
物も枕元に置けないので隣に居た九州から来られた同年代の男性と介護の話などをしながら眠りにつく。


  
   夕食はハンバ~~グ   野菜が嬉しい               美しい夕焼けは見られなかった



第4日目(9月3日・土)
キレット小屋~鹿島槍ヶ岳~爺ヶ岳~種池山荘・野営地

昨夜は狭い二階部屋に詰め込まれて息苦しく睡眠導入剤の力を借りて眠った。普段薬を飲まないので結構早めに眠れるのだが、有効時間は
短くて夜中過ぎに目が覚めた。
テントだと好き勝手にゴゾゴゾ出来るのだが、山小屋ではじっと朝まで耐えねばならない。

前日の山小屋申し込みの時に朝食は頼まなかったのに領収書を見ると朝食込みの料金だった。予約をしていない登山者に不機嫌な受付の態
度に押されて朝食をキャンセルする勇気がなかった。
05時の朝食開始と同時に食堂へ行く。外は霧が立ち込めて何の展望も無い。無理矢
理汁かけご飯にして朝食をかき込み05時30分さっさと小屋を出る。


団体登山者が宿泊していたので、彼らが出発する前に早く崖を上りたかったのもある。どちらに進むのか知らないけど岩場で団体の渋滞に
は巻き込まれたく無いし高度差のある岩場は石を落としても落とされても問題になる。


昨日来た小屋の反対側へ進むといきなりの鉄階段が現れる。この辺りは霧が立ち込める事が多いので湿り気があり草付きになっておりでウ
メバチソウなどの花が多い。
暫くザレた岩場の難所が続くが鎖が敷設されているのでそう危険はない

  
  キレット小屋に別れを告げて南手の崖に進む             いきなりの鉄階段が現れる

  
         岩場を西側に回り込む                     結構狭い岩道だが鎖があるので安心だわ


10分程急な崖を上がっていると上方の霧が薄くなり鹿島槍ヶ岳の北峰が現れ嬉しくなる。キレット部分には鉄階段や鎖がある。ガスが少
し晴れると手前に背の高いタコ坊主の様な岩峰があり、そのレ前が抉(えぐ)れている。狭義での八峰キレットとは地図で見る限りこの辺
りの険阻な場所を言うのだろう。


石鎚東陵コースに限らず、どこの岩山難所も遠くから見ると「ヒエ~~ こんな所行けるの?」と驚くものだが、近づくと何かしらルート
が存在する。又もや右手の剱岳から応援を貰ってこの難所を抜ける。
05時50分水平鉄梯子が岩場に掛けられており、ここで難所は一段
落する。 結局キレット小屋から南へ20分程で岩場の難所が終わるって事だ。


  
   一輪の安らぎ                               右側の斜面に付けられたワイルドなルートを進む

  
  おっ ガスが飛んで来たぞ  手前に鋭い岩峰が見える      一旦梯子で崖を下る


    霧が薄くなって鹿島槍の北峰が見えて来た

  
       ゲゲッ 何と狭い足場だこと                  そうそう鎖があるんだったわ

  
  不要な鉄梯子が左の岩壁に掛けられている            これが八峰キレットの難所が終わった事を告げる鉄橋


振り返ると昨日越えて来た五竜岳と八峰キレット尾根が朝日を浴びている。最後の岩場に取りつき06時00分尾根部へ上がる。前方から
ヘルメットを被った若者が下りて来たので道を譲ってお互いエールを送り合う。歩く場所が厳しければ厳しい程そこで出会う登山者とは同
志の様な気持ちをお互いに共有出来るのだ。


前方には鹿島槍が見え、それまでの尾根はなだらかそうだがまだギザギザと岩っぽく続いている。ガスが東側に残った五竜岳へ続く尾根を
何度も何度も振り返りながら歩く。


  
   剱岳と北方稜線が右手に見える                    尚も岩尾根を這い上がって行く


06時30分もう危険の無い平和な尾根を歩いていると前方からヘルメットを被った登山者がこちらに向かっているのが数人見える。自分
は周りに登山者が居なかったので今回ヘルメットを被る事は一度も無かった。
尾根の東側が見えると一面雲海に覆われている。鹿島槍北峰
が近づくと岩クレ道になる。標高が高くなると風が強いのでハイマツが減って岩山が現れる。


鹿島槍ヶ岳は北峰と南峰の双耳峰になっており、その釣り尾根がここから見ると結構距離がある。朝出発したキレット小屋は途中の岩尾根
が邪魔してみる事が出来ない。


  
  振り返ると五竜岳が朝日を浴びている                06時00分 尾根部に這い上がる

      上からヘルメットを被った登山者が現れてお互いエ~~ルを送り合う

  
  前方に鹿島槍の北峰と南峰が見えた                    左手(東側)は雲海が広がる

  
  鹿島槍への尾根も尚手前にピークがある               ピークは右手からトラバースする

  
     北峰と南峰が縦に並んで見える                   五竜岳から八峰キレット ガスが残る

  
登山道は手前の北峰の右手からトラバースして吊り尾根に上がる  ヘルメットを被った登山者が見られる様になった

  
  北峰の右手から回り込んで行く                      07時05分り尾根の北峰側に出る


鹿島槍ヶ岳・北峰 2,842m

07時05分鹿島槍の肩に上がると南峰が釣り尾根の向こうに聳えて見える。その左手には縦走尾根が延びて爺ヶ岳から続く北アルプスが
広がっている。
そこから尾根上に見える鹿島槍の北峰は台地の様に見えて、冷池山荘から来たと思われる登山者がそこそこ見える。

07時17分鹿島槍ヶ岳・北峰に着く。白馬岳は相当遠いのだが、その左手に旭岳があるので丁度沓掛・黒森の様な形で同定し易い。忌ま
わしい思い出の残るキレット小屋を覗くと相当の高度感を持って眺める事が出来た。2時間もかからずにここへ這い上がれたのは信じられ
ない様な高さだった。昨夜キレット小屋の非予約グループ2階タコ部屋仲間だった埼玉の青年が居たので写真を撮って貰う。


15分程この山頂から五竜・八峰キレットを心行くまで眺めた後、南峰へ向かい出発する。


                 吊り尾根に上がると鹿島槍ヶ岳「南峰」が形よく聳える

  
   北峰へと吊り尾根を進む                         おお 槍ヶ岳もクッキリ見えてるぞ 手前は蓮華岳

  
  07時20分 白馬岳方面をバックにシェ~~                  真下にキレット小屋の屋根が見える


奥に旭岳と白馬岳と小蓮華尾根、白馬鑓ケ岳、五竜岳の向こうに唐松山荘から八方尾根が右に延びている
五竜岳の少し後ろに右手に延びている尾根が遠見尾根   八峰キレットの尾根が五竜から落ちている

  
鹿島槍ヶ岳・南峰 2,889.1m (日本百名山) 二等三角点「鹿島入」2,889.21m

北峰から見た南峰は形が良くて迫力がある。吊り尾根も岩っぽくこんな厳しい場所にハイマツが生えているのが不思議な位だ。正面に剱岳、
左手に槍ヶ岳を見ながら南岳の高みを目指す。五竜~白馬方面は東側がもう霧に覆われて来た。山頂に近づくにつれて相当の岩稜帯になる。
北岳を振り返るとこの山の姿も結構迫力がある。


さすが日本百名山だけあってこの時間になると大勢の登山者とすれ違う。振り返る八峰キレットはガスで覆われてしまった。08時05分
鹿島槍ヶ岳・南峰に着く。北峰から南峰まで30分ちょっとの時間だった。三角点は岩の上にコンクリートで固められており、2本の黄色い
山頂ポールが立っている。


西端には剱岳が壁の様に聳えており絶景ポイントだ。その辺にいる登山者に声をかけて記念写真を撮って貰う。これから進む南側の縦走尾根
にはガスが東側からどんどん流れ込んできたので展望はこれからは望めそうにないので残念な気持ちになる。どうも天気は下り坂の様だ。


  
  吊り尾根に下りて南尾根を目指す                     南尾根が切り立っている

  
   近づくと思ったよりなだらかだった南峰                五竜~八峰にもガスが湧いて来る


               吊り尾根から振り返る鹿島槍ヶ岳「北峰」は筒上山のタコ坊主の様だ

  
         沢山の登山者に会う                     鹿島槍ヶ岳「南峰」に向けて上る

  
 鹿島槍ヶ岳「北峰」の後ろにガスが湧いて来た             鹿島槍ヶ岳「南岳」の二等三角点「鹿島入」


08時05分 今回の日本百名山、3座目「鹿島槍ヶ岳」に到着する

  
  見る間にガスが行く手に湧いて来る                   西側の剱岳~立山三山方面にはガスが無い


     ガスで隠れる前にじ~~と暫く北アルプスのパノラマ風景を満喫する


布引岳 2,683m

08時17分南岳から縦走路を下る。正面の布引岳は何とか見えるが、爺ヶ岳はガスに覆われようとしていた。西側には雲や霧が出ていない
ので剱岳と立山三山の大展望所となっている。尾根は穏やかに下っており歩き易く今までの岩場と違って快適だが面白味も無い。


薬師岳、黒部五郎岳、針ノ木岳などを同定しながら歩く。鹿島槍ヶ岳を振り返ると二つのピークが良く見える。ヤマハハコ、イワツメクサ、
トウヤクリンドウなどを見ながら霧の尾根を下って行く。やがて布引岳に向かって少し上りになると岩にウラシマツツジが紅葉しながらへば
りついている。
09時00分布引岳の標識に立ち、ガスが飛ぶのを待って歩いて来た鹿島槍ヶ岳を眺める。

  
  北側の五竜岳から八峰の尾根は東半分が雲に覆われた     爺ヶ岳へと下って行く  こちらもガスが・・・

  
 やはり西側はまだ視界が開けている  剱岳                     先日歩いた薬師岳

  
 左手奥が爺ヶ岳だ  手前のピークは布引岳                    鹿島槍の南峰と右奥が北峰

  
   ガスが左面から吹きあがってくる 前方が布引岳         トウヤクリンドウ、イワツメクサ、ハハコグサなどが咲く草地


  09時00分 布引岳から鹿島槍をバックに霧の晴れ間を待つ

  
   バックに鹿島槍ヶ岳の南峰と北峰が並ぶ                なだらかな尾根はまるで煙の様なガスが吹きあがる


09時30分頃になると高度が下がって樹林帯となる。するとハクサンフウロ、チングルマの綿毛、オトコヨモギ、リンドウ、ツガザクラ、
イワキンバイなどが現れて右手に池がある。ひょっとしてこれが冷池(つべたいけ)かも知れない。
花が終わったオヤマボクチの群生地を抜
けると10時03分冷池山荘のテン場に着いた。


テン場には軽装で岩に腰かけて剱岳を眺めるお婆ちゃんが居たので声をかける。地元の方でもう厳しい山登りは出来なくなったが扇沢から冷
池山荘までならまだ歩けるのでここで剱岳や立山を眺めていると言う。


10時20分白い壁をした冷池山荘に着くと休憩テラスには大勢の登山者が居た。小屋の付近は穏やかな樹林帯で良い雰囲気の場所だ。樹林
帯を抜けると又砂礫地となり霧の中を爺ヶ岳へと進む。


10時37分ブロック状に積まれたケルンの横に「大谷原分岐」の標識があった。地図を見るとここは冷乗越(つべたのっこし)と呼ばれる
峠部で、東側に赤岩尾根が延びており西俣出合から大原谷へ登山道がある。信濃大町方面から直接冷池山荘へ通じるルートだ。


  
前方にギリギリ爺ヶ岳が見える                       おう 将来が楽しみな元気な子供が父ちゃんと上がって来た

  
  布引岳の南面はハイマツ林になっている              標高が下がると樹林帯となりハクサンフウロなどが咲いている

  
          タカネヨモギ                          チングルマの綿毛

  
         ツガザクラ                              これが 冷池(つべたいけ)??


10時03分冷池山荘のテン場  山荘から少し遠いし岩っぽいがバックは剱岳と立山三山で眺めが良い場所だ

  
10時20分 冷池山荘は穏やかな樹林帯の中にある           樹林帯を抜ける

  
  10時37分 大谷原分岐(赤岩尾根分岐)                   これってケルン?


爺ヶ岳 (中峰) 2,669.8m(三等三角点 祖父岳 2,669.93m)  


冷乗越から又樹林帯に入り、そこを抜けるとハイマツの尾根となるが霧が深くて展望は全く無い。縦走路は稜線の右手をトラバースして単調
に続く。前方にピークが見えてここをやはり右にハイマツのトラバース道を進むと標識があり「爺ヶ岳中峰」へは左手に上るらしい。あれ?
 知らない内に北峰は過ぎてしまったらしい。爺ヶ岳のピークは3つもあるのでまあいいか。


急な傾斜を稜線部へ上がり少し進むと11時50分霧の「爺ヶ岳・中峰」に着いた。ここに三角点があり爺ヶ岳の盟主だろう。若者が3人居
たのでカメラのシャッターを押して貰う。


ガスの縦走路に復帰して、この辺りから西へと進む。又爺ヶ岳南峰の標識がトラバース路にあり12時27分「爺ヶ岳・南峰」の山頂を踏む。
ケルンが積まれた山頂には三角点の様な石柱があったが、国土地理院の基準点検索地図には載っていなかった。
ハイマツの下山道石畳の上に
イワヒバリが居た。こんなガスの日にはライチョウが居ても不思議ではないのだが・・・


  
   一旦樹林帯に入りそれを抜けると爺ヶ岳・北峰が近い         爺ヶ岳・北峰は右手をトラバースする

  
  ウラシマツツジがそろそろ紅葉している                  爺ヶ岳・中峰のピークが迫る

  
 11時42分 爺ヶ岳・中峰への分岐                     尾根を少し南へ進む   奥に人影が見える


           11時50分 爺ヶ岳・中峰に建つ    三角点名は「祖父岳」

  
         縦走路に復帰する                         次のピーク 爺ヶ岳・南峰へは少し西に振る

  
  12時25分 爺ヶ岳・南峰への分岐                    2分で山頂標識に出合う

  
    三角点もどきの石柱がある                       12時27分爺ヶ岳・南峰へ到着

  
 ライチョウが沢山居る筈なんだけどイワヒバリしか見当たらない   ガスの稜線に登山者が休憩している


ガスで高度感が無いのでこの爺ヶ岳は稜線歩きの途中にある平凡なピークにしか見えなかった。地図に360度の展望地とか針ノ木、蓮華岳
、扇沢の眺めが良いと記されているのが虚しい。
樹林帯を抜けてハイマツやシャクナゲの低木帯を進むとお花畑の穏やかな平地となった。
ロープなどが張られているが、目立った花は既に終わっている。

13時10分冷池山荘と同じデザインの建物が霧の中に現れ「種池山荘」に着いた。




  
 ナナカマドがデカい実をつけている                   シャクナゲとハイマツの並木道

  
この辺りはお花畑だがもう花は時季外れだしガスで何も見えない    13時10分 種池山荘に着く


ここで暫く思案する。次のテン場がある針ノ木小屋までは7時間以上かかりとても届かない。途中で新越山荘があるのだがここにテン場があ
れば迷わず進んだのだが、山小屋泊まりはキレット小屋で懲りている。と言ってこの時間から扇沢に下りても名古屋経由で今日中には帰れず
ホテル泊となる。 う~~ん 悩ましい。結局この種池山荘のテン場700円で一泊し、翌朝扇沢へ下りて高松へ帰る事にした。


山荘でテン場の申し込みをして種池の横からナナカマドの林を抜けると、山の分校の小さな運動場みたいな広場があり、ここに数張のテント
が見える。いいも悪いも一か所集中型のテント場だ。


    
     小屋の奥に種池(たねいけ)があった                ナナカマドを抜けるとテン場がある

 
      テントを張り終えると針ノ木岳から3人のギャルがやって来て隣にテントを張りだした

テン場で都会のギャルに会う

早速静かで平らな場所を選んでテントを設営する。14時00分テントを張り終えると針ノ木方面から3人のギャルがやって来て「テント場
はここですか?」と聞くので小屋に申し込む前にここで先に張っておけば?」と言うと「オジサマの横へ張っちゃお」と言いながらさっさと
テントを手慣れた様子で
2張設営した。沢山スペースがあるのにわざわざ私のテントの横に張るのかい! 物おじしない都会のギャルにたじ
たじの私だった。
彼女達に聞くと針ノ木雪渓には雪渓が無かったと言う。やはり針ノ木に回らず正解か

暫くして小屋に水と爺ヶ岳の記念バッジを買いに行くと先ほどの女性3人はテラスで生ビールを飲みながらこちらに手を振っている。「寒い
のにビールかい?」と言うと「これがたまんないんですよ~」と応える。
食料は随分余っているのでお湯を沸かしてフリーズドドライの「わ
かめごはん」とタニタの味噌汁を作って早めの夕食を終える。そう言えば今日も昼食は抜きだった。


暫くすると単独のスレンダー女性がやってきて私のテントの狭い縦走路側にこれまた手慣れた風にテントを張った。さすが日本アルプスだけ
あってテント泊する女性も多い。
3人娘も帰って来て「宴会~」などと言いながらフライパンで炒め物などをしだしたので私は霧で何にも見
えない近くを散歩した後、テントの中に入って地図を眺めたりメモ帳をまとめたりして時間を過ごす。


  
  さっそく小屋前のテラスで生ビールをやっているギャルトリオ     扇沢への分岐は種池山荘の真ん前にあった

  
 しばらく散歩して帰ると今度はテントの前で宴会をしているギャルトリオ   反対側もテントが増えている

テントの外では私の知らない大都会での生活や仕事の人間関係、芸能人の事など田舎の爺さんには刺激的な会話を聞きながら睡眠導入剤のお
陰で安らかな眠りにつく。



第5日目(9月4日・日)
種池山荘・野営地~扇沢  大町温泉~(バス)信濃大町~(JR)~松本~JR特急~名古屋~(新幹線)~岡山~高松)

歩き易い柏原新道を下る  (約2時間30分)

朝起きると辺りはやはり霧に覆われていた。朝食はせずにテントを片付けて0605分種池山荘から柏原新道へ下りて行く。最初はダケカンバ
など植林帯の中に整備された石畳が続く。ここまで封を空けずに持って来た「かっぱえびせん九州醬油味」が今日の朝ご飯だ。周囲に誰もい
ないので一人でガリガリと齧りながら歩く。06時
30分小沢が崩れている場所を通過するが良く整備されている。黄金岬(ごがねざき)、ア
ザミ沢、石ベンチ、包優岬(ほうゆうざき)、水平岬と次々に退屈しのぎの標識が樹からぶら下がって現れる。


  
 06時05分 種池山荘を後にする                     ダケカンバなどの樹林帯を下る石畳

  
   朝食はかっぱえびせん・九州しょうゆ味~~             沢部には桟道で整備されている

  
     06時36分 黄金岬 (ごがねざき)                   06時42分 アザミ沢

    
      06時45分 石ベンチ                         06時50分  包優岬 (ほうゆうざき)

07時になるとダケカンバが美しい石畳道になりゴゼンタチバナの赤い実が鮮やかに道を飾る。右手に並ぶ厳しそうな山々はガスで上方は全く
見えない
0730分「駅見岬」(えきみざき)の標識が掛かっており山肌を削った施設が眼下に見えるのでこれが扇沢なんだろうか。
こんな場所にカライトソウが咲いている。


0750分積まれたケルンにレリーフ板があり扇沢1.7km、種池4.5kmとある。08時を過ぎると石畳などで整備された歩きやすい道を
下る。この辺りはモミジ坂と呼ばれている様だ。
0840分やっと柏原新道の下山口に到着する。

  
   ダケカンバの登山道                ゴゼンタチバナの実が何故か嬉しい

  
   対岸はやはりガスに包まれている           登山道は良く整備されている

  
  07時33分 駅見岬(えきみざき)          駅って扇沢駅なの?

  
   こんな場所に何げにカライトソウ          細い女に抱き付かれ・・・・・

  
07時50分 ケルン 扇沢1.7km、種池4.5km    08時05分 八ツ見ベンチ

  
  根っ子の登山道                    だいぶ登山口に近づいた

  
  08時40分 柏原新道の登山口に着く        扇沢駅へ向かう橋

扇沢駅まで歩いてバスに乗るつもりだったが、登山口でタクシーに乗り込む登山者が居たので料金をシェアして大町温泉へ行く。



エピローグ

菅さんや前田さんと約束をした念願の後立山連峰を白馬岳から爺ヶ岳まで、不帰ノ嶮と八峰キレットを通して歩く事が出来た。針ノ木岳まで
進まなかったのは少し心残りだったが、まあ良しとしよう。大町温泉、「薬師の湯」でこの数日間の山行や色々な事に思いを寄せながら湯に
つかる。


  
   大町温泉「薬師の湯」                            薬師の湯  露天風呂

さっぱりした身で大町温泉からバスで信濃大町駅へ出て、小荷物取り扱いをしていると言う向かいのタクシー会社からザックを¥1,700
で自宅に送り身軽になる。
1050分発のJR普通で松本駅へ出て特急しなの10号で名古屋へ向かう。
後は新幹線で岡山へ出て、マリンライナーで夕方高松駅に帰る。ここから路線バスでゆめタウン高速バス乗り場へ行き、名古屋行の高速バス
の運転手から駐車場の割引券を貰い忘れた事を告げて発行して貰う。
駐車券を入れるととんでもない金額が表示されたが、割引券を入れると
¥2,500となったので支払い愛車で
18時過ぎに無事自宅に帰る。

  
     大町駅からJRで松本駅に向かう                   松本駅から特急で名古屋に向かう


やはり遠征は行動力がないと中々たいそうで行けない。特に歳を取ると「思い切って行く」事が必要だとつくづく感じる。不帰ノ嶮や八峰
キレット、五竜岳を歩けて大変満足の旅になった。菅さん、前田さん、ペーコちゃん 見てくれてたかなあ




 後立山連峰 第1部  猿倉~白馬岳~杓子岳~白馬鑓ヶ岳~不帰キレット~唐松山荘テンバ   は    ここ  


 

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