新居浜の里山 「犬返」(いぬがえし・いぬがえり)標高579m


 
新居浜市立角野中学校付近から眺めた南側に聳える山  この中に犬返がある


伊藤 玉男さんの著書「赤石の四季」巻末付録地図より


  犬返から串ヶ峰(左ピーク)と石ヶ山丈尾根(右手の山塊)


新居浜の街から南山麓を見上げると串ヶ峰の右側に柔らかい丸みを帯びた西赤石山(標高1,625.68m)が見える。そこから
北に延びる尾根を辿って行くと、兜岩から石ヶ山丈のデカい尾根が一旦消えて、その前に競りあがったピークが現れて幾つかの鉄塔
を経て庄司山城址の近くにある三角点「板ノ本」ピークまで繋がって、最後は煙突の立つ通称「えんとつ山」でこの長い尾根は国領
川へ消えていく。


「犬返」(いぬがえし・いぬがえりとは西赤石山〜石ヶ山丈の末端で一旦くびれた尾根が立ち上がった標高579mのピー
クである。
広義にはそのピーク南側にある鋭い切れ込みが犬さえも通行が不可能な崖を含む険阻な尾根(犬返の険)の事を言う。

山根運動公園からえんとつ山〜庄司山城址を経由して上り約1時間半、下り約1時間の丁度トレーニングに適した新居浜の里山と言
える。山根運動公園駐車場に車を停めてちょっと犬返までピストンしてみましょう。


犬返を起点にした周回ルート

犬返の南側には魔戸の滝、旧端出場水力発電所沈砂池(貯水池)、上部鉄道石ヶ山丈(いしがさんじょう)駅跡などがあり、究極の
西赤石山までも日帰りで歩く事が可能である。


平成26年4月18日(月)
犬返から旧端出場水力発電所沈砂池〜上部鉄道・石ヶ山丈駅跡〜魔戸の滝周回

メンバー:高松・堂山夕暮れ隊  え〜ちゃん、三好さん、木村夫妻、徳ちゃん、ナッチーさん夫妻
案内人  : エントツ山


上段 左から三好さん、ナッチーパパさん、え〜ちゃん、 木村さん(ご主人)      犬返にて
下段 左から木村さん(奥さん)、ナッチーさん、徳ちゃん

高松の里山・堂山でお世話になっているえ〜ちゃん達がマイブームの犬返しに興味を持ってくれている様なのでご案内する事に。
4月18日 07時30分山根運動公園に集合。正確には新居浜インター出口のコンビニで待ち合わせて側道を駐車場まで先導する。
前もって車を魔戸の滝登山口へデポする事を提案したのだが、え〜ちゃんから「我が堂山夕暮れ隊にはそんなヤワでヘナチョコは一兵
たりともおりませぬ」とあくまで周回する立派な決意だ。


今回のルート図:新居浜・山根運動公園〜犬返〜旧端出場発電所・沈砂池〜上部鉄道石ヶ山丈駅跡〜魔戸の滝周回

カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  (青線が今回のルート図)

いつも香川の堂山登山口で出合う面々が愛媛県の新居浜・山根運動公園で会うとは何か妙な感じだ。今日は堂山散歩とは少し違うので
準備をする姿が真剣である。
公園東側の時計台駐車場から桜並木を歩きライオンズの庭へ出る。

ここから住友鉱山関係者によってほぼ手作りで積み上げられた観覧席と太鼓台が集合する運動場を眺める。まあ言ってみればここも我
が新居浜の誇りだ。私が子供の頃、ここには鉱山社宅の長屋が沢山あって班別の大運動会が催されていたものだ。


ライオンズの庭から裏手の遊歩道を上り「えんとつ山」へ出る。文字通り私のハンドルネームにしている新居浜上部地区のシンボルだ。
100年以上経つ煙突を
手短に見学を済ませてこれから進む立川尾根の先に高みを持つ犬返の場所を説明し尾根を東に進む。

  
山根運動公園にて ナッチーパパさんだけが準備運動をしているぞ   桜の名所・ライオンズの庭から登山開始

  
   えんとつ山の煙突にて             今から歩く犬返を眺める(手前のピーク)

奥宮からは急な山道になるが、堂山にもこれ位の傾斜はあるので皆へっちゃらだ。急登の途中に休憩所があり、西側にある住友共同電
力山根線2番鉄塔越しに煉瓦煙突が眺められる。


08時30分主尾根筋の「庄司山城址」に到着。ここは中世の山城であるが遺構などは何も残っていない展望所である。非常に狭いこ
の場所にどんな城があったのだろうか。ここで高松からやって来た人間が住友の街、新居浜を眺める。


尾根の外れにある城址から少し引き返して住友共同電力物部送電線182番鉄塔の右手から犬返へと入って行く。すぐに登山道を右に
外れて四等三角点「板ノ本」(いたのもと)がある最初のピークに向かう。ここは所謂庄司山の山頂と言って良いだろう。三角点を皆
で踏んだ後、奥にある城主大権現の祠を見ながら縦走尾根に下りる。


  
 庄司山城址 (遺構は何も残っていない)               三角点「板ノ本」横にある城主大明神の祠

先頭を歩く私の直ぐ後ろには徳ちゃんが張り切って付いてくる。素直で明るい性格の彼女は冗談を真に受けてしまう様な生真面目さが
ある。旦那さんに一目逢ったその瞬間「ボクと結婚して下さい」って言われたシンデレラストーリーを持つ様にほぼ相手に好印象を与
える様だ。後ろを向いて話しかけると「そうなのよ」「・・・なのよ」と香川県人らしくない言葉使いが特徴だ。


08時50分鉄塔が近づくと右手に立川橋へ下る保線路標識があり、すぐにチェックポイントの住友共同電力西条連絡線20番鉄塔を
通過する。するとシダの急登となり話好きなえ〜ちゃんの声が聞こえなくなった。

尾根道は一旦平坦になるが植林帯に入ると再び急登となる。ここの尾根は段階的に標高を上げてくれるので運動に丁度良い。すると人
工的な黒いゴムの様なステップで急坂を階段状にしている。四国電力の鉄塔保線路にはよくこんな設備を見かける。これを上がり切る
と09時20分四国電力西条線20番鉄塔に出た。このデカい鉄塔は町からでも良く見えて犬返がもう近い事を暗示するチェックポイ
ントでもある。


さらに尾根を進むと09時30分本日の第一目標である「犬返」に到着した。ヤマツツジの季節は終盤であったが少し残っており、こ
こから南側の石ヶ山丈や串ヶ峰、南西方向には赤松越しにチチ山、沓掛山、黒森山が眺める事が出来る。


以前、庄司山城址辺りに「犬返は行っても何も景色が見えないから行くな」と言う落書きが庄司山城址にある柵の丸太や鉄塔にペンキ
で書かれていたがとんでもない偏見だ。この様な落書きは消し、犬返への標識を置いた。南端の木に吊るしたペーコの鐘を鳴らして記
念写真を撮る。


  
 最初は明るい尾根やちょっとした岩場がある             住友共電・西条連絡線20番鉄塔を通過

  
   最後は植林の急登を喘ぐ                        09時30分 犬返に到着

名物「犬返の険」

さて、犬返の真骨頂はここから下る「犬返の険」にある。ここを訪れる人に是非足を延ばして貰う為に少しロープなどを整備した。
それほど犬返に来たらこの下りを経験して欲しいのだ。


今度は後ろからナッチーさんご夫婦が続く。ナッチーさんは堂山散歩愛好者の中でも特に花に詳しく、何と私と同じ団地に住んでい
たのがつい最近分かった。私と同じく愛媛県出身の優しい旦那さんといつも一緒に山歩きをされている。掲示板で「火の山」のルー
トを紹介した所早速出かけてシダ藪の洗礼を受けたそうだ。


様々な急傾斜や岩場の横をすり抜ける小道をクリアして先の高みへ上がる。振り返ると犬返の崖が鋭くせり上がっているのが見える。
その先にある心配していた「犬返の岩壁」であったが全員何の苦労もなくあっさり通過する。一人ひとりの動きを見るが特にどんく
さい人は残念だが見当たらなかった。


  
ここから犬返の険へ下る (笑ってるのも今のうちだ〜)        急傾斜を下る ここにルートがわかる様にロープを敷設

  
大岩の横は滑りやすい谷筋となっている               ピークより犬返を振り返る

  
あれ? 徳ちゃん怖がってないよ?                  木村さんはコンパスが長いので大丈夫よね

  
最年長のえ〜ちゃんはちょっと力みすぎたかも           三好さんは一番軽快だった

ここをクリアすれば後は少し危険な場所は魔戸の滝への下りだけである。植林地帯になってその後細尾根になると10時00分三等
三角点「種子川山」を全員で踏む。
そのまま細尾根を進むと四国電力・四国中央幹線97番鉄塔広場に出た。

ここから右下に鉄塔保線路もあるのだが、そのまま尾根伝いに進んだ方がわかり易い。途中に細いロープが張られているが恐らく先
の崩壊地修理中のものだろう。特に立ち入り禁止の看板もないので先へ進むと前方が開けて崩壊地の修理地広場に出る。ここから種
子川(たねがわ)の深い谷を見下して気持ちが良い。


  
さらに細尾根を進む                             10時00分 三角点「種子川山」を踏む

  
デカい四国電力・四国中央幹線97番鉄塔            鉄塔の先にある崩壊修理地を進む


崩壊地の左下には新田・横川地区から林道・種子川線が延びてきている。数年前にこの斜面崩壊の為に長い間林道が通行止めになり
魔戸の滝へ行く人が減り、登山道が荒廃した。種子川の流れが谷となって山の間を切り裂いているのがわかる。


補強された崩壊地の平地に下り広い作業道を南へ進むと尾根に付きあたる。ここが所謂「牛車道分岐」と名付けた場所で石ヶ山丈
から西側の急斜面を避けた牛車道が、この場所からは逆に東側の急斜面を避けて西側へ向かって立川へと続くジャンクションとなっ
ている場所だ。
従ってこの牛車道ジャンクションから左(東)側の林道を進めば「林道・石ヶ山丈線」に合流して魔戸の滝登山口へ
行く事が出来る。しかし今日は魔戸の滝へは上から下った時の感動を味わって頂きたいので石ヶ山丈へと向かう。


   
崩壊地跡から種子川の谷筋を眺める                    10時15分頃 尾根に突き当たる「牛車道分岐」


10時15分我々はここから牛車道をショートカットして尾根を石ヶ山丈まで直登する。ワイルドな尾根道だが踏み跡は十分にある。
私にとっては十分過ぎる山道なのだが、いつも登山道を歩いている堂山夕暮れ隊にはどう映ったのか。途中で一度旧牛車道のコーナ
ーに出て、10時20分再び尾根に取り付く。そこから更に10分余りで石垣が見え、急な傾斜を這い上がって旧牛車道に出る。


堂山の急登ではいつも最後尾からゼイゼイ言いながらついてくる木村さんが少し心配であったが、今日は気合十分で元気者の奥さん
に負けずにちゃんと付いて来る。木村さん夫婦は高校生の時スタイル抜群の美男美女同士で恋に落ち、その時の勢いを失う事無く二
人三脚で人生を歩まれてきた。これも実直な旦那さんと明るい奥さんの成せる技か


  
10時15分 林道から藪尾根に突入                  踏み跡はしっかりしている

  
10時21分林道(牛車道)コーナーから再び藪尾根に入る      10時30分 上側の林道(牛車道)に上がる

さて、崖の横を這いあがってこの道を右に回り込むと旧端出場発電所に向けて導水管が設置された跡があり、樹木の隙間から下方
(端出場・はでば地区)が少し顔を覗かせる。ここに旧端出場水力発電所跡がありその発電用水を貯めた貯水池(沈砂池)は左手
上方の階段が延びている先にある。


崩れかけた石段を上がっていくと正面に煉瓦造りの施設が見える。以前は木立に隠れていたが少しスズタケと枯れ木を整理して見通
しを良くした。左側のスズタケを進み最後の階段を上がると10時38分沈砂池の堰堤に着いた。
こんな山の中に廃墟のような煉瓦
造りの施設が現れて皆さん興味深そうである。


ここでえ〜ちゃんから各自に「みかさまんじゅう」(どら焼き?)が配給される。無類の花好きでマシンガントークに定評のある
え〜ちゃんは他の堂山夕暮れ隊の隊員が皆おとなしくて出しゃばらない性格なので必然的にリーダー的な存在になっているようだ。
多少クセが強いが決して悪人では無い。
身の軽い小豆島出身の三好さんもニコニコと聞き上手に徹しているのでえ〜ちゃんとはうま
くやっているように見える。


  
荒れた林道(旧牛車道)を回り込むと左上へ向かって停車場の標識があり、ここから左手の崩れた石段を上っていく

  
  え〜ちゃんからどら焼き配給                      沈砂池でしばらく休憩


旧端出場水力発電所・沈砂池跡にて え〜ちゃん、三好さん、ナッチーパパ、木村さん夫婦、ナッチーさん、徳ちゃん  


石ヶ山丈「沈砂池」とは

明治45年別子銅山の近代化につれて電力供給の需要を満たす為に「端出場水力発電所」を稼働させるのだが、この水源は銅山峰を隔
てた南側「銅山川」の川水を日浦通洞、第三通洞を経て東平へ通し、そこから壮大なる導水路を石ヶ山丈貯水池(沈殿・沈砂池)まで
建設した。水の中には沢山の小石や砂が混じっている訳で、これを直接導水管で597.18m下の発電所へ落したのではタービンが
故障する。
そこでここで一旦貯水して小石や砂を底に沈めていたので「沈砂池」と呼ばれているのである。この場所を良く見ると発電
用の落水に使わない排水路も近くの谷に向かって延びている。

沈砂池施設は昭和45年別子銅山の閉山を控えて閉鎖され、今は森の中に密かに残されている。尚下にある発電所施設は住友から新居
浜市が買い取って市の産業遺産として維持管理している。


この導水路を歩いた私の記録は   ここ  


  
色んな水門とゴミ除き施設が錆び付いて残されている        東平へと続く導水路

さて、石ヶ山丈沈砂池を後にして時計回りに堰堤のレンガを左へ進むと石ヶ山丈停車場跡への登山道となる。最初は笹薮っぽい小道が
続くが、ここも事前に笹刈りを済ませているので快適だ。笹道が切れると石ヶ山丈分岐へと急な傾斜をジグザグと上っていく。


大きな石垣が上方に見えて11時15分石ヶ山丈(いしがさんじょう)ジャンクション広場に到着する。ここは別名「標識広場」と名
付けている場所で色んな人がそれぞれ標識を立てている賑やかな四差路交差点だ。


真っすぐ尾根を南へ上がると石ヶ山丈尾根を経て兜岩・西赤石へ至る。(約2時間程)。右手(西)に進むと石ヶ山丈駅跡があり、こ
こから銅山峰ヒュッテがある角石原まで約5.5kmの上部鉄道跡が続いている。(約2時間半程か)
これから我々が進む左手(東)へ続く牛車道は魔戸の滝上部分岐まで続き、そこから折り返して端出場まで下がる。

私の上部鉄道を全域歩いた記録は   ここ   

  
沈砂池から石ヶ山丈分岐までは植林の登山道だ           石ヶ山丈分岐手前には立派な石垣が見える


11時15分 色んな方が立てた標識が沢山並ぶ石ヶ山丈ジャンクションに到着

  
石ヶ山丈駅跡付近でも花好き人間は忙しい              魔戸の滝へ向かう


一旦石ヶ山丈駅跡を見学の後、ジャンクション広場へ引き返し魔戸の滝へと進む。途中下側の牛車道に合流し11時40分頃滝上部分
岐から岩を超えていよいよ魔戸の滝へ下る。以前「やまきぬコンビ」がここまでやって来て魔戸の滝へ向かう尾根が良く分からずに林
業作業道へ下りたとの事で、最近ここに魔戸の滝方面への標識を取り付けた。

  
側溝の様な石垣を超える  左下には牛車道が平行して続く  途中から左下の牛車道へ下りて東へ進む

  
牛車道跡がターンするコーナーがあり、ここから牛車道を外れ石垣を下ると直ぐに魔戸の滝分岐に着く


11時40分 古い標識のある魔戸の滝上部分岐に到着 ここが種子川上流へ進むルートとの分岐となっている


この魔戸の滝への下山道は林道種子川線が崖崩れの為長らく不通になっていた為歩く人が極端に減り荒れ放題になっていた。ここも事
前に倒木を道筋に並べて一部トラロープ等を置きルート整備をしている。


堂山の急傾斜を歩いている夕暮れ隊は多少ザレている斜面ではあるが問題なく下っている。ヒカゲツツジが咲き始めており滝の音を聞
きながら12時12分魔戸の滝に下りつき、その水量豊かな光景に感嘆の声が上がる。滝つぼには釣り人が居たが皆のはしゃぎ様に魚
も釣れんわいと退散してしまった。

  
魔戸の滝への降り口は大岩の上を進まなければならない  右手には種子川の上流が谷を刻む

  
ワイルドなルートを下る                皆さん 思ったより足取りが軽い

  
大岩の間も難なくクリア               右手に滝の水が見える ツツジが美しい

  
  この木の根の傍を抜ければ滝は近い         お〜〜 魔戸の滝に到着〜〜  12時12分


   美しい魔戸の滝で満足の笑顔で記念写真〜


ここで思い思いの場所で滝を見ながら20分程昼食休憩を取る。先ほどのえ〜ちゃん差し入れどら焼きでおなかも空いていない。
ナッチーパパさんから生姜湯を頂きパンを一個食べる。

滝のしぶきを受けた斜面には草が沢山生えているのだが、花好きのえ〜ちゃんやナッチーさんが草むらの中に咲いている小さな花
を目ざとく見つけて写真に収めている。イチリンソウ、ツルカノコソウ、コンロンソウ、コチャルメルソウ、ヤマエンゴサク・・
私は何度訪れているこの場所で花を探したのは初めての経験だった。

  
滝つぼで釣りをしていた男性も釣りをあきらめて退散した  満足の滝訪問  秋もいいよ〜

   
     イチリンソウ                シロバナネコノメソウ

食事を終えて川沿いを下り12時50分魔戸の滝登山口に到着する。え〜ちゃんに帰りの車をここにデポしておいたらどう?って提案
した場所だ。「わが堂山夕暮れ隊はそこまでヘナチョコではありませぬ。あくまで出発の山根運動公園まで尾根を歩いて帰ります」と
宣言されたので「ホンマかいな?」と懐疑的だったが皆さん元気なもんだった。


   
  沢沿いを下る                              古い木梯子は朽ち果てている 「ここ危ないわよ」

  
12時50分 魔戸の滝登山口に到着                  登山口の看板にも犬返が載っていた

ここから種子川林道を下るのだが、尾根に復帰するルートは数日前に見つけている。後ろから皆が中々来ないので振り返ると道路の縁
にある草むらをあちこち花を探して寄り道している。困った連中だ。徳ちゃんは実用的な「いたどり」採取を専門にしていた。

林道「石ヶ山丈線」をやり過ごし崩壊地の下を抜ける。この林道を左へ進めばやがて牛車道ジャンクション尾根に復帰出来るのだがい
かに遠い。崩壊地付近からすぐ上に見える尾根に復帰出来ない事もないのだがチョーワイルドで斜面が急すぎこの辺りはパス。

13時25分コンクリートの石段がある尾根復帰ルートの入り口に着く。このルートは以前犬返しの先輩「矢野」さんから聞いていた
場所で事前にチェック済みだ。伊予の鈍亀さん達も少し前に歩いていた。
とてもワイルドで恐縮したが13時40分には全員尾根に這
いあがった。


  
種子川林道は先日の大風・大雨で樹が道路に倒れ落ちていた   道路わきのユキモチソウ

  
コラ〜〜  早う来んかい〜〜                       ニシキゴロモ

  
林道脇に古いコンクリートの階段がある ここから尾根に這いあがる   荒れた植林の急傾斜を這いあがる

  
林道から15分で尾根に上がりつく                    ナッチーさんから干し柿の配給を受ける

「犬返の剣」の入り口「犬返の壁」に13時55分に着き、先に崖上に上がって皆の上がる様子を見る。どうしてどうして垂直の岩盤
「犬壁」を全員事もなげに這いあがった。「犬返し お猿になって 這いあがり」(川柳) 堂山夕暮れ隊を見直した瞬間だった。


14時05分犬返に着き無事帰還の鐘を鳴らして尾根を下る。この尾根には一応エスケープルートとして西側の龍河(たつかわ)神社
や立川橋へ下りる鉄塔巡視路はあるが、急な傾斜の上県道筋に下りてからも歩きが長いので、ここは尾根を下るほうが無難である。


  
ナッチーさん 犬返の壁を難なく這いあがる               ジェントルパパもそつなくクリア


   上兜山を彷彿させる犬返の岩尾根

    
岸壁の西側をトラバース                          崖をロープを頼りに這いあがる


  犬返から串ヶ峰(左のピーク)と重厚な石ヶ山丈尾根(右手の山塊)

  
  尾根道をひたすら下る                          国領川の谷筋にある立川部落  奥はチチ山

  
14時45分 庄司山城址分岐を左に下る                犬返の主「矢野さん」にお会いする

    
みんな元気にライオンズの庭まで下山する               山根運動公園にて解散の後、夕暮れ隊はマイントピア別子の温泉へ

15時10分ライオンズの庭から集合場所の駐車場に帰る。準備運動も整理体操も行わないエントツ山案内人と別れて高松から遠征組
はマイントピア端出場の温泉へ向かった。私は任務を果たした安堵感を引き連れて新居浜の実家へと帰った。


我が故郷の里山「犬返」から別子銅山産業遺産と魔戸の滝の周回はここに無事終了となった。
おやつ支給人と品目は
え〜ちゃん : どら焼き
木村さん  : 甘酒飴、チョコレート
三好さん  : 沖縄黒糖ブロック
徳ちゃん  : パイナップル
ナッチーさん: 干し柿、三越のもちもち豆パン
エントツ山 : なっしんぐぅ

川柳 : 
「つつじ尾根、岩に汗して、犬返し」(え〜ちゃん)

「え〜ちゃんの 声が聞こえぬ 上り坂」(えんとつ山)

「あ〜しんど ザックになりたや 上り坂」(徳ちゃん)

「新居浜の 歴史感じる 尾根歩き」 (ナッチーパパ)

「5分より 汗して見に行く 魔戸の滝」(ナッチーパパ)

(エントツ山)

「堂山で 日頃の鍛錬 役に立ち」    いや〜 夕暮れ隊は大したもんです

「犬返し 鐘が谷間に 木霊する」 犬返しは谷を挟んで串ヶ峰と石ヶ山丈が衝立になって良い場所です

「山笑う 人も笑顔の つつじ尾根」 犬返りの尾は今が一番華やかな時期ですね

「道端の 花が有るたび 立ち止まり」 もう 皆さん 動かないんだから〜〜

「滝壺の 釣り人逃げ去る 大歓声」 滝口に着いて皆さんから歓声が上がりました でもあの釣り人には気の毒でしたねえ

「あかがねの 温泉入り 垢(あか)がねえ」  え〜ちゃん あかがね温泉で忘れ物は気を付けてね

参加の皆さん どうもありがとうございました

え〜ちゃんの意外と優れものの 「犬返〜〜魔戸の滝」 レポは   ここ   


付録  その他の犬返から南側を周回の山行記

kazashi さんの「煙突山〜犬返〜魔戸の滝〜石ヶ山丈〜沈砂池〜犬返〜煙突山」は       ここ   

 
平成28年4月15日 kazashi さん 犬返に現る   上記はその時のレポートだ   kazashi さん  ありがとう

エントツ山の「犬返〜魔戸の滝〜種子川造林道〜西赤石〜兜岩〜石ヶ山丈尾根〜一本松〜東平は   ここ  

平成28年3月19日 gakugaku さんも 犬返を訪問してくれた


平成28年3月19日 煙突山で ガクちゃんと


平成28年3月20日には 次の山友が山根公園〜煙突山〜犬返〜沈砂池〜石ヶ山丈〜上部鉄道一本松〜東平〜鹿森ダムの周回してくれた
  トンちゃん、マー兄ちゃん
  マンダム・ストーンリバーさん、マダム・ストーンリバーさん
  
つるぎ・ちょっと昔乙女さん
  はるちゃん・しまなみフラワーワーズさん
  土佐快援隊のみなさん
  グランパさん  (コースは逆回り)


3月17日に歩かれたはるちゃんのGPSトラックログ図 (3月20日 上記の皆さんは大体このルートで歩かれています)

    

カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図

トンちゃんのコメント

平成28年3月20日はいつものメンバーで犬返しの鐘を鳴らしてペーコさんを偲びました先日はるちゃんが歩いたコース(山根公園〜犬返し
〜一本松停車場〜東平
〜鹿森ダム)の予定で7時50分にスタート

大きな煙突が立つ「えんとつ山」からミツバツツジを眺めながらきつ〜い急坂を登りはるちゃんの話しをしてました上の方から声が聞こえて
きます なんとはるちゃんでした
しまなみ隊の皆さんと高知の方々が一緒でした びっくり!はるちゃんの元気な姿に皆 勇気が湧いてきました

危ない梯子を下りていると向こうから単独の男性の方が声をかけてくれます今日二度目のびっくり!グランバさんでした我々とは逆のコース
で歩いてこられたようです


東平の見える所でお弁当を食べましたが ちち山・笹ケ峰・沓掛山・黒森山が霧氷で輝いて最高の展望でした鹿森ダムへ14時35分に無事に
たどり着きました


初めて歩く道でしたがエントツ山さんがつけてくれた標識のお蔭で迷うことなく歩く事ができました皆様有難う御座いました

ストーンリバーさんのコメント

今日(平成28年3月20日)はペーコさんを偲んで犬返しの鐘を大勢で鳴らす事が出来ました。澄んだ音色と山仲間の賑やかな声がペーコさんに
届いたでしょう。


二日前に登ったはるちゃんが今日また登られているとは夢にも思わずお会いした時は本当に驚き、嬉しくて感激しました。色々教えて頂いて、元
気を一杯貰えて頑張れました。


犬返しにエントツ山さんが置いてくださった地図を頂きました。しゃもじの案内板も要所要所にあって何処も迷うことなく歩くことが出来たし登山道
の整備も有り難かったです。有難うございました。
最初は少し不安もありましたが、お蔭でワクワク楽しみながら歩けました。
今度は魔戸の滝へも歩いてみたいと楽しみにしています。

  
えんとつ山登山口                              えんとつ山

  
はるちゃん達に遭遇                             ペーコちゃんの鐘

          
             ペーコさんを想いながらみんなで鐘を鳴らしました

  
 ストーンリバーさんが犬返の壁を下りる                旧端出場水力発電所 沈砂池


  
   地獄谷の梯子が落石でぐんにゃり            グランパさんに遭遇


はるちゃんのコメント

平成28年3月17日

エントツ山さん皆さんこんにちは、
伊予の鈍亀さんご無沙汰しています、昨日3月17日は石ヶ山丈付近におられたご様子なのに会えなくて残念私は11時半頃石ヶ山丈
でした。私も昨日は単独だったのでペーコちゃんの弔い登山を足の向くまま気の向くまま歩きました。

幸い見とうしが良く犬返しや沈砂池が生子山付近から見え又上部鉄道の掘割等も崩落地から右方向に確認出来自然と上を目指す事
になりました。前回沈砂池止まりでしたので今回は是非石ヶ山丈迄と意気込んで出掛けました所が犬返でエントツ山さんの新しい南奥
の地図を頂き俄然勇気百倍・今回は沈砂池迄そんなに体力を消耗せずに登れ石ヶ山丈へも地図を見ていたので難なく到着、此処から
是非停車場迄はと歩きました。


もう此処まで来ると後に引き返すより未だ歩いていない一本松停車場迄を繋ごうと水平に近い道を歩くと以前別子記念館で見た上部
鉄道で煙を吐いて走る蒸気機関車の写真撮影された掘割場所に出会い之は小躍りをする位嬉しかった・

其の後12時を過ぎたので東平の見えるスポットで昼食休憩、後は一本松停車場から降りるのみで鹿森ダムへの下山口からは昔2度
歩いた経験から久し振りに無名滝やレンガ遺跡そして遠登志橋を見てダムに降りた。


今回もペーコさんの後押しが有った模様で余り疲れず歩けたので登山口まで記録作りに歩こうかとも思ったが野暮は考えず角野タクシ
ーのお世話に成った。今回朝が早かったせいもあり一方通行だったので誰一人にも出会わず静かな快晴登山でした。


平成28年3月20日

エントツ山さん、皆さんこんにちは、

此のところの別子東尾根はまさにペーコちゃんを偲ぶコースです。今日も我が知人数人が此処を訪れています。

当日はまずストーンリバーさんご夫妻・トンちゃんご夫妻・つるぎの乙女さん達が犬返しの手前で風の如く私達を追い抜きました。犬返で
は新しい良く響く鐘を皆で心を籠めてペーコちゃんの元へと打鳴らしました。


今回沈砂池からは高知組みと我が同僚に前回一人で歩いたコースで別子ダムに降りて貰い一人引き返す事にしてトボトボと歩いている
と後ろから人の気配、振り向くと何とグランパーさんも風の如く、。 お伺いすると別子ダムから登り銅山峰ヒュッテ経由で上部鉄道を歩き
皆さんの逆コースを楽しまれたご様子、之はまさにロングコースです。


下山後ダム方面に降りた同僚を迎えに遠登志橋入り口へ向かうと再びグランパーさんとも再会、其のうちストーンリバーさん達ご一行も降
りて来られて嬉しい会話が出来ました。


最後はピストンして同僚を運ぶ心算がグランパーさん・ストーンリバーさんの暖かいお心使いを頂き一度に全員山根公園へと帰れました。
之で時間に余裕が出来たので帰りには県病院隣で春ラン展も見て帰りました。

皆さん昨日は有難う御座いました心よりお礼申し上げます。


はるちゃん

  
立川尾根から庄司山三角点峰を振り返る                立川尾根から国領川沿いの立川の街を眺める  


     犬返から右手のチチ山〜笹ヶ峰〜沓掛山〜黒森山を見る

  
  四電鉄塔付近から犬返の尖がりを振り返る             崩壊修理地越しに石ヶ山丈尾根を見る

  
   石ヶ山丈分岐                              石ヶ山丈駅に隣接する索道跡

  
   上部鉄道跡で有名な切通し                   上部鉄道跡から東平とその後ろにチチ山〜笹ヶ峰〜沓掛・黒森

  
  上部鉄道一本松停車場跡 (ここから東平へ下る)       第三広場から本谷川沿いに下ると見事な滝が見える



皆さまの犬返への訪問 真にありがとうございます
これからも新居浜の里山、ペーコの鐘のある犬返をよろしくお願い致します



  



エントツ山


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