平成26年9月14日〜16日 南アルプス南部縦走
兄弟で聖岳〜赤石岳〜荒川三山を巡る旅
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 南アルプス南部縦走 聖岳〜赤石岳〜荒川岳
第二章
第3日目 平成24年9月16日(火)
百闢エ山の家野営場〜百阨ス〜赤石岳〜小赤石岳〜大聖寺平〜荒川小屋〜荒川前岳〜
荒川東岳(悪沢岳)〜丸山〜千枚岳〜千枚小屋
05時頃目を覚ましてお湯を沸かして朝食を食べる。山小屋でトイレを済ませて右手のダケカンバ斜面に続く登山道
に向けて06時出発する。ハイマツの間に延びる石屑の登山道を赤石岳へと向かう。背中側には昨日歩いた中盛丸山
から大沢岳の山並みと斜面を下った道筋が見える。
06時50分台地の様な尾根筋に上がると前方に赤石岳の上半分が見え、そしてその左手には荒川三山も見える。荒
川三山は前岳と中岳が一つの塊、東岳(悪沢岳)が一つの塊、つまり2つのピークとなっている。
06時テン場を片付け出発〜〜 野営場の最上部横を抜ける
ハイマツの間に岩ゴロ道が続く 荒川岳 悪沢岳 百阨ス 赤石岳
中盛丸山 大沢岳 テント場
百阨スからのパノラマ風景
07時08分ウラシマツツジに彩られた平たい尾根に百阨スの標識が立っている。ここはキャンプ禁止の立札があり
赤石避難小屋まで120分と記されている。しばらく平地を歩くと登山道の両側にロープが張られている。何かの植
物を保護する目的だろう。それとも地形が平たいので道迷いを防ぐ為だろうか。
07時20分から馬の背と呼ばれる細尾根に近づく戸前方の赤石岳の全容が見える様になった。
に向かってこの細尾根が小気味よく延びているが、そこは南アルプスの事、途中で険しい小ピークも存在する。
百阨スに立つと赤石岳がバックに構える この辺りにはロープが張られている
赤石岳へのアプローチ尾根「馬の背」
馬の背から前日歩いて来た尾根を眺めるパノラマ 百阨ス
赤石岳 標高 3,120m 日本百名山
07時50分赤石岳の懐に入る。近づくとどう見てもこの山は岩屑だらけの無機質な感じがする。その無機質な壁に
対して登山道の筋が右上に切れ上がっているのが見える。
山腹に延びる登山道に入ると大小様々な岩の塊が転がっており、その中に昔から累々と岩を積み直した整備ルートを
築いて来たのだろう。
赤石岳の南側は遠くから見ると無機質な塊だ 登山道が右肩上がりに付けられている
近寄ると割としっかりした岩道である 聖岳と兎岳を見ながら赤石岳山頂部へと回り込む
08時、聖岳と兎岳を正面に見ながら赤石岳を右手に廻り込むと、どこの山でもそうである様に更に次のピークが連なっ
ていた。
小屋に向かって進んでいるとここでも又富士山が姿を現した。聖岳以来の富士山出現に二人ともカメラを向ける。
稜線部へ上り詰めると前方に赤石岳避難小屋が見えた 小屋の左側岩ピークが赤石岳山頂
奥側の稜線へと進む 富士山が秀麗な姿を見せる
赤石岳避難小屋 静岡県営 東海フォレストサービス事業部運営 定員30名 テン場 なし 水場 なし
08時50分赤石岳避難小屋に着き記念バッジ購入の為中に入る。誰も見当たらないので大声で呼ぶと熊の様なオヤジ
さんが出て来た。研治と二人で記念品とリンゴを買うと「今日は全く暇だったのにお蔭で儲かったわい ラッキー」と
にっこり笑う。夏場に奥さんと小屋番をしながらガイドをされているウワサ通りの実に愛嬌がある山小屋の管理人だ。
二人でリンゴを食べながら近くにある赤石岳山頂に向かう。09時10分日本百名山「赤石岳」でシェーポーズをとる。
朗らかで気遣いのある山男・赤石岳避難小屋管理人 榎田善行さんと
赤石岳の赤石とウラシマツツジと富士山
来た方角を見ると聖岳から兎岳、中盛丸山が見える 来た方角、百阨スと中盛丸山〜大沢岳
下戸の兄弟はリンゴで乾杯〜 日本百名山赤石岳でしぇー〜〜
研治も写真を撮りまくる 面白い雲が富士山を取り囲む
赤石岳から手前のピークは小赤石岳 中奥、左が荒川岳、右側が悪沢岳
小赤石岳 標高 3,081m
振り返るとこちらからの姿は岩屑ではなく台形の真ん中に安定した岩盤が見える。こちらから見た赤石岳の方が迫力があって
綺麗だ。
赤石岳を下りると前方には小赤石岳が明瞭な形になる コルまで下り小赤石岳へ向かう 手前右端が大倉尾根分岐
赤石岳から見ると単なるピークにしか見えなかったがこう見えると納得する「小赤石岳」
稜線から赤石岳を振り返る かっちょいい〜〜
何とか富士山も頭を出している 赤石岳をバックに
10時00分 小赤石岳に到着 赤石岳から約50分歩いて来た尾根道を振り返る
小赤石岳から暫くは右側が切れ落ちているが準平原の様な地形の尾根が続く。
に荒川岳と荒川小屋が見える。ここから大きくなだらかな斜面を大聖寺平へと下って行くと11時00分巨大なケルンが積ま
れたコル部「大聖寺平」の標識に着く。
ここから尾根を外れて右側のトラバース道へと登山道が延びて行く。恐らく尾根を進むとどこかで荒川岳へのルートが行き詰
るのだろう。それとも水場のある荒川小屋を意図的に通過させているのだろうか
大倉尾根 真ん中の大ピークを下がった所に赤石小屋が見える 小赤石岳を下っても標高はまだ3000mを越えている
3,030mの肩から進む方角を眺める 荒川小屋が尾根を外した場所にありトラバース道も見える
ダマシ平 一旦ここまで下りて、少し右手に進む 11時00分 大聖寺平のケルンを通過してトラバース道に入る
荒川小屋
登山道は源流地域の樹林帯に入り暫く歩くと樹林帯に入り赤い実を付けたダケカンバ越しに荒川小屋が見え、そこか
ら荒川岳に向かうトラバース道の筋がはっきりと見える。
11時35分荒川小屋(静岡県営)に着く。山小屋には大きく分けて山頂や稜線近くにある物とコル部や水源地近く
にあるタイプの二つに分けられる。それぞれに利点欠点があり山頂部にある山小屋では朝焼け、夕焼けの荘厳な景色
を享受出来るが水が乏しく風雨にさらされる。この荒川小屋の様に沢部にある山小屋では水やトイレ、鳥のさえずり
や日陰に恵まれるが壮大な景色は期待出来ない。
小屋のテラスを眺めると荒川岳の白い岩峰を背景に布団などが眩しい程の太陽にさらされている。今日は絶好の登山
日和であり洗濯日和だ。
小屋に入って昼食が可能か確認するとカレーが出来ますと言うので2人で食べる。山小屋で食べるカレーが手軽でお
いしい。山の整備に出かける前の誠実そうな管理人さんと山の話をする。
トラバース道を振り返る 大井川源流部の一つ本谷の近くにある荒川小屋
11時35分 荒川小屋に着く 水場・トイレあり 絶好の洗濯日和だ ロケーションも抜群
やっとアルファ米以外の食事にありつく 話をしても姿を見てもホンマ誠実そうな荒川小屋の管理人さん
12時15分荒川岳へ向かい、小屋を抜けてタカネマツムシソウの咲くなだらかな草地へ出る。荒川岳を横掛けに付
けられた登山道は次第に岩が出て来てウスユキソウやイワインチンなど岩場に咲く花が足元に出て来る。
13時00分登山道にゲートが現れ大規模な鹿柵エリアに入る。こんな高山にも鹿が増えすぎて高山植物が絶滅の危
機に瀕しているのか。
チソウ、ハクサンフウロ、ムカゴトラノオ、ウスユキソウ、シナノキンバイ、ミヤマコウゾリナ、イワオウギ、イワ
ギキョウ、タカネヒゴダイなどが咲き残っている。
奥は小赤石岳から3,030m肩を経て北に延びた尾根 トラバース道は一つ支尾根を越える
ウスユキソウ イワインチン
結構急傾斜を横切るトラバース道 ハハコグサ、タカネマツムシソウ、コメススキ
13時00分 鹿ゲートを通過する ゲート内を登山道が続く
ウメバチソウ、タカネコウゾリナ ムカゴトラノオ
イワギキョウ ハクサンイチゲの咲き残り
イワオウギ ミヤマヒゴダイ
急にガスが出てきた 登山道は右手に進む 稜線へもう少し
13時30分荒川岳分岐に到着 稜線は霧に包まれる
荒川岳 (荒川中岳)3,084m
ここまで来ると研治のペースも上がって今日中に千枚小屋まで到達が可能になった。
からガスが湧いて何も見えない。ザックをデポして小走りにチョロっと山頂標識にタッチしてメインの荒川中岳に向かう。
荒川小屋では晴天だったのにガスが湧いてきて展望が乏しくなってきた。山の天気は不安定で変わりやすい。高低差の無い
主稜線を急いで歩き14時過ぎに日本百名山「荒川岳」(荒川中岳)にとうちゃこ〜
荒川三山(荒川前岳、荒川中岳、悪沢岳・東岳)と言う呼び名はこの山容を見ると少し違和感がある。つまり荒川前岳と荒川
赤岳とは殆ど同じ場所にあり、この2山で荒川岳の山塊を形成している。もう一つの荒川東岳(悪沢岳)は遠くから見ても明
らかに大きなコルを挟んで別な山に見える。荒川岳の名前は小渋川の支流、荒川の源流が荒川岳(前岳・中岳)の西側へ遡っ
ている事に由来するが、悪沢岳は東側に1kmも離れているのだ。
ガスも次第に晴れ気味になって来た 荒川中岳に到着 バックは次に進む悪沢岳
荒川中岳標識と三角点 奥左の丸いピークが荒川前岳 高低差のない尾根筋にある
さて、荒川中岳山頂を東に進むと直ぐに小さめの2階建「中岳避難小屋」(静岡県営)の横を抜けてコルへと下がる。小屋の
扉は閉じられており人の気配もないので先を急ぐ。
線を這い上がって行く事になる。
荒川中岳から少し下ると荒川中岳避難小屋が見える 中岳避難小屋は小ぶりな2階建
登山者は滅多に会わないので見えたら嬉しい 研治も調子を上げて先行する
悪沢岳は日本j百名山に選ばれるだけあって迫力満点だ
悪沢岳の上りは見てもキツイ〜 コル部の岩
この風景が悪沢岳を象徴する姿だと思う
先ほどからは研治が調子を上げて先行して歩いている。この調子なら明るい内に千枚小屋へ着けると安心する。先行する研治
が向こうから下りてきた単独登山者と話をしている間に追いつき、タカネナデシコやトウヤクリンドウ、イワギキョウ、イブ
キジャコウソウ、シコタンハコベの咲く最後の急登を並走する。悪沢岳の異名が付いているだけあって見上げる稜線には針山
の様な岩が付き出ている。
タカネナデシコ トウヤクリンドウ
研治が上から下りてきた単独登山者と話をする これも縦走の楽しみの一つだ
タカネシオガマ シコタンハコベ イワベンケイ
悪沢岳 3,141m (日本百名山)
山頂付近の稜線から紅葉したベンケイソウ越しに先ほどまで居た荒川岳を振り返る。
の草原となっており、その中に花弁が開いたトウヤクリンドウを始めて見た。
一旦平和だった登山道も最後のピークに入ると又「悪沢岳」の名が象徴的な岩だらけの尾根に変貌し15時50分山
頂に到着した。
沢山の山頂を通過して来たのでそんなに達成感や感激は無い。どちらかと言えばもう南アルプスから下山する寂しさが
強い。
尖った岩が多くなる イワギキョウにトウヤクリンドウ
荒川岳を振り返る 左のピークが前岳、右のピークが中岳
まるで四国カルストの様な風景じゃ 草紅葉のなだらかな稜線へ出る
急登を過ぎると右側へ回り込みながら山頂へと進む トウヤクリンドウの花が開いた姿を始めて見た
普通 トウヤクリンドウはこんな形 あんまり花が開いていない バックは荒川岳
悪沢岳への一見平和そうなアプローチ 研治もここまで登ってホッとする
山頂部になると又岩地となる 岩だらけの悪沢岳山頂部
日本名山 悪沢岳 ゲット〜〜
15分程高低差の無い岩尾根を進むと前方に悪沢岳と対照的な丸っこい山が現れた。
「丸山」と言う山頂標識が立っている。この平凡なるピークの標高が3,032mもあるなんてさすが南アルプスである。振
り返ると荒々しい岩山が雲間に見える。標識によると千枚小屋まで90分とあるのでもう明るいうちに余裕を持って到着でき
る。辺りはハイマツの林となっておりニホンザルが実を食べた跡が集まっている。
丸山を下ると山容は又荒々しい岩山となってタカネナデシコ、トリカブト、シシウドの咲く登山道を下って行く。
悪沢岳の東側も岩だらけ 前方に丸っこい山が見える
「丸山」 この丸っこいピークでも標高3,032mもあるのだ
フツーの楽な登山道を進む 15時20分 丸山に到着 千枚小屋まで90分とある
千枚岳 2,880m
15時50分尖った岩山が続き、岩の間にはシロバナタカネビランジ、イワベンケイなどが見える。
はスケールが小さいものの中々の岩場で結構楽しめる場所である。岩尾根のアップダウンを繰り返すと16時03分
千枚岳の細長い平らなピークに千枚岳(標高2,880m)の標識があった。
振り返ると名前の通り丸っこい「丸山」とゴツゴツした「悪沢岳」の東面が見わたせる。千枚岳の名前は大井川の支
流千枚沢が東側に延びており、その源頭部にあたる事から名付けられたのだろう。千枚岳はあまり期待をしていなか
ったが山歩きとしては刺激的な場所だった。反対側には緑豊かな山並みの彼方に富士山が霞んでる。山全体がハイマ
ツに覆われており、その間に千枚小屋へ約30分の登山道が続く。
千枚岳を目指す 鋭いピークが続く
シロバナタカネビランジ かわゆく並んだベンケイソウ
岩山を這い上がる 又 岩ピークを這い上がる
タカネマツムシソウのぼんぼり姿 バックは悪沢岳と丸山
千枚岳のピークにやっと近づく ここからも富士山が見える
16時03分「」千枚岳山頂 岩とハイマツのピークだ
16時20分二軒小屋分岐の三叉路標識を通過。ここから真東に尾根を下りるとマンノー沢ノ頭を経由して約4時間半で二
軒小屋に至るらしい。
そこからはダケカンバの美しい並木道が続く。千枚小屋付近になるとマルバタケブキの群生地となっており鹿柵が回らされ
ていた。その柵を右手に回り込むと16時45分静岡県営「千枚小屋」に到着した。
一面ハイマツに覆われた斜面を下りる 16時20分 二軒小屋分岐 千枚小屋まであと500mだ
千枚小屋近くには素晴らしいダケカンバの林がある
中々素晴らしいダケカンバに研治も撮影に没頭 やはり風が強いのだろう 枝が横に這っている
マルバタケブキの群生地 ここにも鹿ネットが 鹿ネットを回り込んで下りると16時45分 千枚小屋に着く
千枚小屋は清潔そうな新しい建物で階段を上がって受付で一泊2食9,000円の支払い手続きをする。その際東海フォレ
ストの送迎バスに乗る時に補償金3,000円のチケット(乗車整理券)を見せるとその金額を差し引いてくれる。差額
6,000円を払うと宿泊証明書を発行してくれて、これが椹島で送迎バスに乗り込む時に必要となる。
出発時に送迎バスで渡されたこのチケットを二人分預かって防水パックに入れて保管していたのだが、それをすっかり忘
れてしまい縦走途中で研治がこのチケットが見当たらないと言っていたのだ。千枚小屋の受付で自分のチケットを出すと
2枚あり色々言い訳を考えて心配していた研治がホッとする。まあこれで足が攣って迷惑をかけたのと差引きゼロとなった。
夕食はラストオーダー時間が過ぎていたが何とか出来ますと言ってくれた。
本日小屋は混雑していないのでどこでも空いている場所に入って下さいと言われて奥に進む。梁がまるで建築中の家の様
に剥き出しており三階まである細長い造りだ。右手の1階に2人分のスペースがあったのでそこに潜り込む。
夕食は山小屋の例に漏れず時間が早く、7時30分夕食の為食堂に向かう。隣のグループに研治がどこから来られました
か?と話しかける。こんな性格は全く良く似ている。話を聞いているとその6人グループは荒川三山と赤石岳の縦走する
為に当日椹島から登ってきたらしい。しかしその中の中高年女性がどうやらこれまでの歩きで体調を崩してバテているの
で翌日下山すると言う。メンバーのショックを考えると辛い話である。
部屋に帰ると向かいのグループも同じように一人の中高年女性が体調を崩して他のメンバーがしきりに牛乳を勧めたり体
をさすったりして介抱にこれ努めている。介抱されている女性は「もう私はこれ以上歩くのは無理です!」と言い、介抱
する男女は「明日の調子で判断したら?」と食い下がる。う〜〜ん、この長距離縦走のネックは中高年の太り気味の女性
にある様だ。
暗い小屋の片隅で睡眠導入剤の入った袋を探すが見つからないがあまりゴゾゴゾ出来ないので諦めて寝る。もの凄いイビ
キをかく人がおりあまり眠れなかった。悲喜こもごもとした山小屋で最後の夜を過ごす。
千枚小屋は吹き抜け3階建てとなっている 落ちたら大変! 贅沢な山小屋の夕食 当然おいしい
水場で飲料水を採取 ついで顔も洗う 夕暮れの富士山
第4日目 平成24年9月17日(水)
千枚小屋〜椹島〜バスにて畑薙第一ダム駐車場
椹島から畑薙第一ダム駐車場行きのバス時刻はこの時期、06時30分、10時30分、1400時の3便しかない。
10時30分のバスを逃すと3時間半も待たねばならないので少し急いで出発する事にする。
04時30分から朝食なのでその少し前に起きて食堂に向かう。こんなに早く食欲は全くないが朝食を目にすると何と
か食べる事が出来るものだ。
出発の準備をして05時20分小屋の前に出ると今まで景色を全く消し去っていた霧がス〜〜と引いて富士山が雲海の
上に顔を出している。見るとご来光が近そうなのでバスの時間が気になるが暫く富士山を眺めながら日の出を待つ。
05時33分雲の上から太陽が顔を出したので納得して小屋を出発する。
朝早いので食欲は無いが食べる事は出来る小屋の朝食 ガスが飛んで富士山が見えだした
05時30分 御来迎〜〜
前日水を汲んだ水場の横を抜けて右手に続く登山道を足早に下る。シラビソ林は四国の杉林に比べて先端部の葉っぱが少な
いのでそんなに足元は暗くはない。暫くは林業遺産になっている木馬道を足早に抜ける。
説明書きを読むと明治40年から43年にかけて伐採された材木は木馬と呼ばれた木橇(そり)に乗せて人力で木馬道を引
出し3km運び、大井川本流で島田市まで流送したとある。
05時57分駒鳥池の標識があり、椹島まで4時間と書いてある。時間通りに歩いてもバスの時間まで30分の余裕がある。
シラビソ林の登山道 駒鳥池の標識 行程チェックの重要な目印だ
この登山道は快適なのだがシラビソ林の変化がない風景が続くので退屈この上ない。06時30分見晴らし岩という場所を
通過。右手の林越しに山の稜線が見えるが、見晴らし場所なんだからもう少し伐採しといて欲しいものだ。
06時38分蕨段(わらびだん)という標識があり椹島まで3時間と書いているから10時前には付きそうだと又安心する。
こんな同じ景色の道はたまにある標識が気晴らしになる。
右手に山が見えるがどこの山か定かではない 06時38分 蕨(わらび)段の標識
07時に登山道が左にカーブする場所に標高1900mの水場標識があり、登山道を少し外した薄暗い所に水場が見えたの
で立ち寄っておいしい水を飲む。
やミズナラを植えているらしいく細い広葉樹の葉っぱが見える。
07時00分 標高1900mの水場を通過 すぐに林道を横切る
07時58分鉄階段があり広い林道に下りて、フジアザミの咲く未舗装車道を少しの間右手に進む。椹島への標識があり、
そこから左手に中部電力鉄塔保線路が登山道として利用されている様だ。ここに又特殊東海パルプ・東海フォレストのミズ
ナラ解説板があり低地ではコナラ、標高1000からはミズナラとなり森の生き物の糧として重要な役割を果たしていると
書いてある。同時にこの看板は登山者の退屈凌ぎとして重要な役割を果たしているのだ。
08時林道を少し右手に進む 直ぐに左へ中部電力鉄塔保線路を登山道として利用する
08時15分左手から尾根に上がると物凄い岩が並んでいる。ここに「岩頭(いわがしら)見晴らし」の看板があり小赤石
岳と赤石岳が見えるらしいが、雲に隠れている。
ここからしばらく面白い岩尾根が続く。08時30分中部電力の22番鉄塔がありそこから暫くなだらかな尾根が続くとそ
こからは急な岩道の下りとなり、09時05分大井川に支沢筋に下り着いた。そこに大きな吊り橋がありそれを渡る。そこ
から沢の右側に沿った登山道を進み荒れた滝横の整備道を抜けると09時18分滝見橋の横に出た。
08時15分 岩の細尾根に入る 「大岩に「岩頭(いわがしら)見晴らし」の看板が
野性的な尾根が続く 梯子なども敷設されている 岩尾根は変化があって楽しい
電力会社特有の階段整備資材 08時47分 岩の急な下り坂となる
テンニンソウの生えたトラバース道 と思ったら又岩っぽい下り坂になる 沢筋が近い
09時06分 やっと吊橋に到着 最後はヤマジノホトトギスが咲少しヤバそうな場所を通過する
テンニンソウやフジアザミが咲く未舗装林道を凱旋歩きする。
分椹島ロッジに到着した。
バスまで1時間余裕があるのでまずお風呂に入る。勇んで風呂場へ行くと、そこは寮の様な殺風景なシャワー室であったが
それでも四日目のお湯浴びにサッパリする。
乗り込む。
09時18分 千枚岳登山口に出る テンニンソウの咲く林道を歩く
09時28分 林道から椹島ロッジへと下る 風呂や フロや ふろふろ〜〜〜
えっ シャワーだけしかないの? 11時30分 畑薙第一ダム駐車場に帰る
乗客は行きと違って10人足らずで出発時と同じ運転手が同じ冗談を言いながら、それでも付き合いで笑って11時30分
畑薙第一ダムの駐車場に帰る。
帰りは大井川沿いを帰ろうとするが、どこかで間違って4日前に来た時と同じ安倍川沿いに下りてしまった。吉備サービス
エリアの上り線に置いてある自分の車を、下り線のSAから回収するスリルを味わいながら夜中に無事四国に帰り着いた。
南アルプス南部の山々は雄大で北アルプスの様に人が多くないと聞いていたがその通りだった。登山者人口密度の低い雄大
な稜線を自然を満喫しながら歩く今回の縦走は満足感の大きな旅となった。もうそんなに長くは付き合えない兄弟で思い出
を作るのもいいもんだと思った。
南アルプス南部縦走第1部 聖岳〜兎岳〜中盛丸山〜大沢岳〜百闢エ野営地までの登山記は ここ