平成26年11月5日
津志嶽 バリエーションルートを歩く


今年5月にマーシーさんと片川から白滝山〜矢筈山〜黒笠山〜津志嶽を周回して最後に四電鉄塔保線路を片川へ帰る予定
だった。ところが津志嶽を西に下りた沢部が荒れており鉄塔保線路が不明となり沢をウロウロした結果夜間下山となった。


一体何処で鉄塔保線路を失ったのか、この釈然としなかった場所を解明する目的で津志嶽へやって来た。

津志嶽 バリエーションルート図
久薮登山口〜尾根・津子嶽神社〜鉄塔158番〜四電鉄塔保線路片川道〜鉄塔160番〜北尾根〜津志嶽〜東尾根〜久薮登山口


この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである 
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図


09時頃久薮集落、阿弥陀堂横の横にある広場に車を停めて岩っぽい津志嶽を見上げる。すると車が一台やってきて野良着の
おばさんが横にあるトイレの掃除をし始めた。ここは登山者も使用しているトイレなので何かしらお礼を言いたくて話しかけ
ると「在所のみんなで当番制で順番に掃除をしています」との事。ありがたい事だ。



久薮・阿弥陀堂  正面右が1,289鉄塔157番ピーク、右端が石鉄山奥の院ピーク  津志嶽本峰は奥に隠れて見えない


久薮登山口〜尾根分岐標識〜尾根鉄塔158番 1時間35分

09時15分準備をして出発し上の最終舗装道路の広場から登山道に入る。直ぐ左手に狸の置物があり「史跡 阿波狸発祥の
地」の標識が立っている。阿波の狸と言えば徳島・小松島界隈の金長狸合戦物語が有名なのだが、ここにも津子嶽神社の守り
狸「お夏」という雌狸が人助けしたり日清・日露戦争にまで参加したと言う伝説がある様だ。雌狸が戦争へ?従軍看護婦に化
けて色気を振りまいていたのだろうか。


木製の橋を渡り植林地帯へ入る。次第に自然林となり10時12分尾根筋に出るとカラマツ林の黄葉が素晴らしい。尾根に出
た場所に分岐標識が置かれて、右→秋葉山まで10分、左←津志嶽山頂1時間50分、シャクナゲ郷土の森1時間津子嶽神社
10分とある。下側にも同じ様な私設標識があるが字体が読みにくい。


  
09時15分登山口近くから岩山を見上げる               史跡って表現は合っているのだろうか

  
 9時37分 木橋を渡る                            紅葉が美しい

  
登山道は四電鉄塔保線路になっている様だ              10時12分 尾根分岐標識 左:津志嶽  右:秋葉山


尾根を左に進むと鳥居があり津志嶽ではなく津子嶽となっているので古くからは津子嶽と表記されている様だ。更に歩くと津
子嶽神社の境内らしい場所に着き辺りの黄葉が綺麗だ。でも建物は神社らしくないシンプル過ぎる物だ。


10時47分左:シャクナゲの里、手前:久薮、右:四電片川道の三叉路私設分岐標識に到着。これまでも登山道は四電鉄塔
保線路を兼用しており、木に四電の表札が架かっていたが、ここで鉄柱アングルが現れた。すぐに木に左:成田山・一宇石鉄
山奥ノ院、右:津子嶽奥ノ院の標識が架かっている。やはりここは修験の山らしい。

近くに鉄塔158番が立っているのを確認して右手の鉄塔保線路へと向かう。

  
   尾根は紅葉で美しくキョロキョロしながら歩く             10時15分  津子嶽神社の鳥居



    カラマツは多少古い木だが黄葉が青空に映える 辺りにはシロモジやコシアブラの葉っぱも沢山見られる

  
コシアブラの白、カエデのオレンジ、カラマツの黄               いい時期に来たもんだ

  
        津志子神社                            境界杭も紅葉?

  
津志嶽登山道を進む 少し尾根を西側にトラバースしている  10時47分 皆さんのレポに必ず出てくる分岐行式と鉄アングル

  
  木に取り付けられた奥の院標識                      尾根筋にある四電鉄塔158番


尾根鉄塔158番〜鉄塔159番〜北尾根鉄塔160番   1時間15分

11時02分鉄製アングルがあり159番へと西の沢筋へと進む。

西側の谷は「内山谷川」と言い、これが「片川」→「貞光川」→「吉野川」となって流れていくのだが、この辺りは地質が古
くてガレている。その為、鉄塔158番から谷を挟んで続く159番への鉄塔保線路が荒れて不明な場所となっているのだ。


マーシーさんと下った沢筋への道を進む。沢に近づくにつれて斜面が荒れて道が不明瞭になる。それでも所々に残る緑色の砂
袋とゴム板(階段用)の残骸を辿る。
11時18分鉄塔159番への鉄製アングルが立っていた。

以前はこの鉄柱まで来ずに右手に下がった様だ。今回はなるべく沢の上流部へと進んでこの鉄柱に出会った。ここから沢へ向
かうと対岸に踏み跡らしき線が見える。見当を付けて慎重に沢を渡る。
11時26分沢を渡って大岩の辺りで鉄柱アングルが
転がっているのを発見。やはり沢部は台風などの大水で地盤がずり落ちる様だ。


  
鉄塔159番への鉄アングル指標                     沢筋に向かって下りて行く

    
 鉄塔指標を確認 道はザレている                   緑色の砂袋も鉄塔保線路の証拠だ

  
 前回見なかった鉄塔指標                        勘を頼りに沢へ向かう


  11時23分 内山谷川の上流渡渉地点 (水はほとんど無い) 向こう側に道らしきラインが見える

  
  沢の下流部  前回はこの下側を下った                沢の上流部

  
   沢を渡る                                 鉄塔159番への鉄アングル指標が転がっていた


北尾根160番鉄塔〜津志嶽山頂   1時間 

ここから左岸の斜面に沿って明確な道は無いが所々に足元に転がる緑色の砂袋の残骸を頼りに進む。11時35分大岩の向こ
うに四電特有の鉄橋が残っている。10分程斜面を歩くと
大岩の下側を通り抜ける事になる。黄葉がとてもきれいだ。

11時50分ドデカイ岩に出た。前回はこの下側でウロウロしていたのだが、この高さをキープして歩くと岩壁にちゃんとル
ートが見つかった。
この大岩を回り込むと尾根筋に出てすぐ下側に鉄塔159番が見える。

  
 所々に現れる緑の砂袋                          とにかく斜面を水平に進む

  
  道が有るよで無いような・・・                      ん? 右手に鉄橋が見えるぞ

   
岩陰に守られて立派な鉄橋が残っていた                緑の砂袋の残骸が時々現れる

  
小さな枝尾根筋が現れる                          大岩の下側に沿って進む

  
  道は不明な所が多いが歩き易い                   大岩の間に抜ける道がある

  
  岩に守られて残っている保線路                     11時50分 鉄塔159番を通過


前回はここから尾根筋を上に向かって途中から次の鉄塔160番へ進んだが、今回は時間的な余裕があるので電線にそって荒
れた斜面のガレ場や岩場を歩く。どうもここも明確な鉄塔保線路は見られない。
12時06分懐かしい鉄塔160番に到着。
パンをかじりながらしばらく休んで前回の事を思い出に耽る。



  
鉄塔159番から延びる電線に沿って歩く                斜面はザレている場所もある

  
鉄塔160番が見えた                            前回はここから片川へ鉄塔161番保線路を伝って下りた

少し休憩の後スペースのある歩き易い斜面を紅葉を楽しみながら30分程這い上がり12時25分尾根部(北尾根)へ至る。

尾根部からは岩なども現れるがそんなに苦労する場所も無い。左手下に午前中歩いたカラマツ林を持った尾根が見える。時々
現れる紅葉を目一杯楽しみながら尾根部を上っていくと最後はシャクナゲや灌木の藪となるがそんなに酷いものでは無かった。

13時05分殺風景で細長い津志嶽の三角点山頂に到着。春にここへ来た時から季節は秋になって歳月の過ぎる早さを思い知
る。

  
尾根筋に向かって上る 紅葉が美しい          12時24分北尾根に出る 藪は無い


津志嶽の登山道尾根を見る 尾根筋にはカラマツの黄色い帯が続いている  左ピークは秋葉山だろう

  
尾根はスペースがあり歩き易い             山頂に近づくとシャクナゲが沢山現れる

  
これ位の灌木では藪とは言えない            津志嶽のピーク部が見える

  
最後は灌木地帯に                   山頂部に近づく


津志嶽三角点山頂 三角点名は「白井」と大人しい名前だ  (白井は南側にある集落名)


津志嶽山頂〜東尾根分岐 (T157番とT156番の分岐)  30分

今回は独りぼっちで木の根っ子の急坂やブナ、シャクナゲの登山道を下りる。一人で歩くと結構ワイルドで長い登山道だ。
13時38分鉄塔157番と156番分岐に到着し、ここは行き掛り上登山道の157番方向には進まず、東尾根を進んで
鉄塔156番から久薮集落へ下りる事にする。


  
山頂直下はこんな木の根が張り出した急坂がある    ブナも中々侮りがたい存在だ

   
岩山らしくシャクナゲが多い              鉄塔分岐の指標


登山道鉄塔分岐〜東尾根〜(鉄塔156番経由)〜岩コルより久薮集落へ 約2時間

156番への鉄塔巡視路はこれまたワイルドで、登山者がこちら方面へ迷い込まない様に分岐には石が置かれて通せ
んぼをしている。
特に序盤の鉄塔巡視路は鎖あり手すりあり、ワイヤーありの厳しい地形を苦労して縫っている。

14時00分鉄製アングルがありそこから尾根を少し右に回り込むが風景は森の様相となる。14時17分前方の細い尾根に
鉄塔156番がへばり付く様に立っていた。ここから電線は右に向かって谷を越えて延びて行く。
ちゅうことは曲がりなりに
もそれまで辿って来た鉄塔保線路はこの先無いって事なのね


  
13時40分 東尾根鉄塔保線路を下る                   岩の間から久薮集落が見える

  
左へ急な斜面には鎖が置かれている                   手すりも一部に付けられていた

  
滑落しそうな場所にはワイヤーが置かれている           尾根を乗越し岩の右手を下る

  
大岩を抜けると今度は植林地帯に                     植林の急坂を下る

  
鉄塔アングル指標があると保線路である事がわかる       少し森っぽくなる


14時17分 鉄塔156番に到着  ここで電線は右へ下るのでもう保線路は無くなる


自分で覚悟した当然の成り行きを自分に納得させて道のない尾根を下る。因果な性格だ。岩と植林の尾根を下っていくと正面
が開けて尾根ルートが現れる。前方のピークへ至る前に左へ下りるのだ。尾根の前方には「八面山」(やつらやま)が屏風の
様に突っ立っている。
14時35分大岩に沿って下りて行くと典型的な迫割り岩がありそれを抜ける。

大岩が現れ行き詰まるが、ここは右手から迂回して下側へ向かう。左手の山麓には小さな作業場の様な建物が見えるがそこへ
下りるのかどうかはわからない。
相変わらず前方には八面山がこの稜線の向こうに立ちはだかる。

岩や細尾根を抜けると15時11分こんな場所にと思える程威厳のある大岩の殿堂コルに着く。前方には935mピークがあ
り地図を見ると方角的にはこのピークの真北が久薮集落になるのだが、左手には植林が見えるのでこの辺りから北北東へ下山
するつもりで移動する。


 
尾根から南の谷へ向かって鉄塔が変針する              ここからはよりどころとなる道は無い

  
深い森の尾根と前方に八面山が見える                  岩の段差が時々現れ刺激になる

  
14時35分前方に迫割岩が見える あの間を抜ける        赤松と岩の尾根



 前方に935mピークが見える その手前の植林地帯を左側(北)へ下る事にする  正面は八面山

  
尾根部は自然林と岩が続く                           大岩の小ピーク

  
  細尾根がしばらく続く                           大岩を右手から迂回して下る


   15時11分 まるで庭園の様な岩と樹木のコルに着く


15時15分尾根から外れてなだらかな樹林帯に入るとすぐに植林帯となる。ここからは磁石は見ないで適当に歩き易い場所
を選んで右に膨らみながら下る。
間伐材が転がってはいるが良く枝打ちされた植林だ。斜面が比較的緩やかになり石垣が出て
来て里の匂いがすると民家の裏に出た。


水でグチュグチュする畑か果樹園跡を下ると15時45分ピッタリ登山口に出た。こんな時はビンゴ!って思わず声が出てし
まう。ほとんど偶然なのだがちょっぴり自分の力と錯覚して喜びに包まれる瞬間だ。
道路の横には柿の木と昔懐かしいワラグ
ロが積まれた畑がある。16時車に帰りもう一度津志嶽を振り返る。


    
大岩の庭園コルを左手へ回り込む                     緩やかな斜面を下る

  
間伐材が散乱するも綺麗に枝打ちされた樹林帯を下る       石垣が現れたら里は近い

  
  おっ 久薮集落が見えたぞ                       何じゃ この湿地帯は  左手へ進む

  
15時40分 民家の左手を下っていく                   15時45分登山口に到着〜

    
昔懐かしい「わらぐろ」風景                         16時02分 久薮・阿弥陀堂へ置いた車に帰る

春に残した宿題、鉄塔158番から160番への保線路探索を秋に解決した納得の山行だった。

前回の石堂〜矢筈〜黒笠〜津志嶽 の山レポは   ここ    




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