石鎚南沢ルート


2007年 平成19年11月21日 石鎚南沢ルート

石鎚スカイライン・長尾尾根展望所より面河川に下りて南沢を石鎚東稜へと這い上がるコースです

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カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図

この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図250000(地図画像)を使用したものである 

昨年の秋、石鎚北沢と中沢を歩きその素晴らしさに感動した
今年は南沢へ行こうという事になり藪仲間のマーシー、ランボルギーニと前日土小屋でテント泊
する事に

前日夜、ランボルが仕事を終わるのを待ってマーシーの家にて集合し私の車に道具を乗せて出発。
真っ暗な瓶ヶ森林道を通って土小屋に着き国民宿舎駐車場にてそれぞれのテントを設営

寒波襲来で強風が吹き荒れていた為テントの風上に車を停める

マーシーの用意した鍋で質素だが楽しい宴となった。さあ明日は早い 寝よか〜って段になり
「あれ? 寝袋がない
 !!」とマーシーが叫ぶ

オイオイ こんな事もあろうかと息子の寝袋をやおら出して救世主となる私 
(実は寒さ対策にこの寝袋を下側に敷くつもりで持ってきたのだった)。

ランボルギーニが「良かったねや」と友が窮地を脱した事を素直に喜ぶ。と・・・その直後
「あれ〜〜 わしの寝袋も無いがや〜」オイオイ お前達揃って一体何者や・・・


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     盛り上がる前夜祭 その後悲惨な結果が・・       あれ?ちゃんと生き残って朝飯を食っている

かくしてシュラフカバーしかないランボルは有りったけの服を着込み新聞紙に包まり一晩を明かす事に。
星が大きく瞬き美しい空だったが蓑虫と化したランボルのテントからは一晩中ガサガサと寒さの為に
寝返りをうち続ける音が続いた。

寒さと南沢の這い上がりを控えて眠れない夜を過ごし、朝ランボルの生存を確認して用意をしていると
近くにいた知らない男性から「エントツ山さんじゃないかね〜」と声をかけられた 
「ハイ でも一体あなたは?」「モチモチですき」

紫雲さん所でやけにハイテンションな高知のオッサンが顔を出していたので知っていた。
「お〜〜」てな事でマーシーを呼び一緒に記念撮影を撮る

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                  もちもちさんご一行とと記念写真〜

土小屋駐車場に折りたたみ自転車を一台置き07時ゲートの開いた面河スカイラインで長尾展望所へ
車で下りる

07時30分駐車場を後にしていつものガードレールを越えて面河川に下りていく。
08時20分 七釜通過  木々の紅葉は先日紫雲さんと歩いた時より少し色づいていた。
魚止めの滝を過ぎ09時10分南沢入口に到着


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     行くぞ~〜   ォ〜(テンション低い・・)          沢を進むマーシーとランボル

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     沢の風景                                  七釜

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      南沢入り口の小滝                      本流のちょっと上流には関門が見える

南沢入り口は少し上流に丁度川の両岸に岩がせり出し関門となっているので目安となる

御来光の滝へはここから沢沿いを遡行するのであるが、今日はここから左岸に見える10m位の滝を
越えて南沢に入る訳だ

ちょっと滑るので恐る恐る上に這い上がると、丁度下の本流あたりに一組のご夫婦が現れた。
御来光の滝に行くのだろう

大きな岩がゴロゴロする沢を尚も上に進んでいると先ほどのご夫婦も後から着いてくる。

「ご来光の滝はこちらではありませんよ」と叫ぶと「いいえ 南沢へ行くのです」と答える。
え〜〜どうみても沢を這い上がっていく格好はしていない。奥さんはジャージに運動靴、
旦那さんはとび職の様な格好だ。


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       南沢は大きい岩がゴロゴロ               あれ? 夫婦者が後から着いて来る
     
我々は沢の中央を進み あとからこの内子から来られた自然体夫婦が沢の土手部に沿って付いてくる。
09時45分第一分岐に到着。ここは右側のこんな所登れるかい?とおもう様な崖を這い上がる。
この上部はスラブと釜になっていて見るに美しく歩くに怖い場所だった。でも岩には適当に段差や
割れ目があるので命の危険を感じるような事はなかった。


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     第一分岐 これは右側を這い上がる         内子の夫婦も付いて這い上がってくるぞ

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岩が両側にせり上がって回廊の様になっている   石鎚の沢特有の節理があるスラブ
    

更に沢を詰めていくと全面に大きな枯れ滝が行く手に現れた。 う〜ん これは直登は出来んばい
マーシーがこの壁の弱点を捜し手果敢に立ち向かっている間に私は左に迂回、ランボルは右に迂回

迂回と言ってそう楽なもんでもない。その頃から後ろから着いてきていた内子中年隊の声は右岸は
るかに遠ざかってしまった。(あきらめて戻ったのかなあ)


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            這い上がれる斜面は這って上がる

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     向かいには面河山への尾根が見える         次第に沢が狭まり笹が多くなる

熊笹が次第に多くなり10時30分 沢が笹の中に消えてしまった。マーシーに「左の岩壁方面に
展開しようよ」と助言するが、「ここまま上に上がりましょう」と深い笹の急斜面に猪突猛進してし
まった。あとはごぞごぞと笹が動くだけで人影が見えない。おそらく猪に変身してるんやろう。

見上げるとブナや木々の紅葉が深まった秋の陽光に照らされて美しく輝いている。一方足元の元気な
熊笹は長篠の戦で信長の作った鉄砲隊の柵が如く行く手を遮る


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  美しい黄葉の中 沢を辿って詰めていく                     後ろ側に 面河山が見えてきた

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                        南沢上部の風景

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     笹が次第に多くなってくる                   突然沢が消えた(最終地点)

前方を見渡すと確かに尾根を思わせる風景だ。ここまで来たらしょうがない、尾根を目指そう。 
振り返るとランボルが頭だけを笹から出して襲ってくる熊笹と格闘している。

しばらくすると上から「尾根部につきました〜」とマーシー斥候隊員の声。11時45分 
紅葉の木々を這い上がるとそこは紛れもない尾根だった。 でもここは一体何処なのよ?


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                目線より高い熊笹を分けながら這い上がる

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              ランボルギーニの頭しま見えない  当然道などない

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        相変わらず頭上には素晴らしい色彩が              尾根部が近づいた

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                  振り返ると 面河山が見える

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      やっと尾根部に這い上がる              尾根の向こう側には土小屋コースが見える

まあどう考えてもこの見上げるような急尾根を更に上に行くしかないそれから笹の溢れた細尾根を
進むと左手に石鎚山から下がって来た白い岩尾根が並行して延びている

一体自分達の這い上がっている尾根は何処で東稜コースに合流するのだろうと楽しみに思いながら
更なる天上を目指す。

一つのピークに到達してそこから見える光景に思わず息を呑んだ。手前の岩壁のその又彼方に東稜
のゴール「南尖峰」があたかもゴシック建築の様に聳えている

この角度から南尖峰を見た人はあまりおらんじゃろうて

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      尾根の風景                     尾根の左手には二ノ森方面が見える


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やっと尾根の全貌が見えた  石鎚南斜面は岩盤が何層にも分かれてそれぞれに笹原と沢をもつ
左下側の笹原が南沢へと落ちていく
         

でもあの高さまでこれから這い上がって行くのかと思うと眺めの良い嬉しさも中ぐらいかな?  
先頭のマーシーが大岩に取り付いている間にこちらは脇を抜けて前に出る。案の定こちら側に岩から
下りる場所はない。しめしめ


手前の岩峰に南尖峰が隠れてくると、左下に南沢から伸びたササ原の窪みとの高度差が縮まりやっと
東稜コースとの合流点が近くなった。


東稜コース合流点へ向かっていると4〜5人の中高年登山者が昼食を取っており、あり得ない方角から
突然現れたイノシシ達を珍しそうに眺める

「すみません 驚かせまして」「一体どこから来たの?」「南沢から這い上がってきました」
「??・・・」


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   これぞ 天狗の庭と言わずしてどこをそう呼ぶ?    ランボルも必死に続く


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      土小屋コースの向こうには瓶ヶ森がどっしりと構えている


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    東稜コースの尾根が近づいてきた          やっと東稜コースまで到着  
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12時50分やっとまともな登山道「東稜コース」に到達した。ホッとして南沢に向かって奈落の様に
落ちていく笹原を眺めていると、何と途中ではぐれた内子の自然体夫婦が下のほうから笹を掴みながら
必死に這い上がってくるではないか! 参った


彼らのほうが正統南沢ルートを歩いてきた訳だ

13時20分南尖峰へ這い上がり天狗岳へ尾根を進んでいると「あれ? もちもち隊じゃないの」と
又ここで再会を喜ぶ

マーシーは気がつかずに天狗岳へ到着したようなのでランボルと追いかけて合流

          
                 這い上がって来た南東稜を眺める

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      東稜コースに復帰                     カニの横バイ

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     モチモチ隊に再会〜                        天狗岳へ

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         ヤッタ〜  南沢を這い上がった3人の記念写真

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     北壁にはクライマーがいた カッコイイ〜        弥山に上がる


突如ヘリコプターの飛ぶ音がしてホバリングしている。北壁を登っていたクライマーから鎖場で転落者が
出たと聞く。命は助かった様だがヘリコプターで救助される立場には決してなりたくはないものだ


1400時 弥山に到着して広場で昼食を取っていると内子自然体夫婦がこられて互いの健闘を讃えあう。

その後途中まで知り合いのグループと一緒に下山し土小屋へ15時30分到着。
自転車にて長尾展望所まで下りて車を回収し土小屋で皆と合流する


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         弥山から天狗岳                   この方達が内子自然体夫婦です

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      土小屋登山道に落石があったようだ          ゴジュウガラちゃんがいた


南沢コースは最後でコースから外れて尾根に出てしまったものの、こちらの方が眺めも良く正解だったかも
しれない


今回も石鎚の魅力に少し触れる事が出来た
石鎚よ ありがとう    マーシー、ランボルギーニ 寝袋は忘れるでないぞよ


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