北海道日本百名山7座目 「雌阿寒岳」1,499m
2022年8月1日(月)、晴れ
登山口:オンネトー国設野営場 トイレ有り (売店内コインシャワー Wifi有り) 
アクセス:道東自動車道足寄(あしょろ)で下り、国道241号線(足寄国道)を東進、途中から右折し949号線に入る。
     雌阿寒温泉〜オンネトー展望所を経てオンネトー国設野営場へ至る。
登山ルート:オンネトー国設野営場〜(オンネトーコース)8合目分岐〜阿寒富士〜雌阿寒岳〜(雌阿寒温泉コース)〜
     野中温泉〜周回ルート〜オンネトー国設野営場
行動時間 :約9時間30分
 
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  雌阿寒岳周回ルート


プロローグ
7月30日に懸案だった幌尻岳を下山し少し気が楽になった。残りの日本百名山3座をのんびり楽しもうと思う。チロロ林道から
最寄りの道の駅「樹海ロード日高」にて車中泊し
翌31日に日勝国道を東に進み「十勝清水」より道東自動車道足寄
(あしょろ)まで、その後足寄国道(241号線)でオンネトーを目指す。
阿寒岳付近の山塊は十勝川と釧路川の間に位置し、約2万年前の火山活動などによって形成された火山帯で、標高がそんなに高く
ない所から「白樺丘陵」とか呼ばれている。
阿寒岳は「雄阿寒岳」と「雌阿寒岳」の総称であるが、普通標高の高い雌阿寒岳を日本百名山として登られている様だ。こちら
には阿寒富士などもあり周回登山が楽しめる。ちなみに深田久弥さんは当時雌阿寒岳が噴火危険の為に雄阿寒岳のみを登ったら
しい。
8月2日から天気が崩れるので今回は雌阿寒岳をじっくり周回して登る事にした。当初、雌阿寒温泉の公共駐車場にて車中泊す
るつもりで野中温泉へ立ち寄るがキツい温泉臭の為(亜硫酸ガスっぽい)オンネトー国設野営場まで行って車中泊とする。
昼間は「UPIオンネトー」(10時〜17時)と言う大阪が本社の山ショップが管理を任されている様で、休憩所、軽食、
ショップとして利用されておりコインシャワーもあった。日帰りの駐車は無料なのだが、車中泊をすると言うと千円をこのショ
ップに徴収された。(従業員は17時で帰るので、車中泊の利用料金の徴収が曖昧な気がした)



 樹海ロード日高からオンネトーへの移動ルート


 7月31日14時30分頃 オンネトーに着き湖畔から雌阿寒岳と阿寒富士を眺める

  
オンネトー国設野営場 正面の建物が事務所とトイレ       UPIオンネトーでコインシャワーの後、車中泊準備をする

  
UPIオンネトーの建物 売店や休憩所がある (ネットより)     UPIオンネトーの内部(ネットより)

 

2022年8月1日
オンネトー登山口〜阿寒富士雌阿寒岳〜雌阿寒温泉〜周遊コース〜オンネトー野営場P
朝、暗い内からパトカーや報道車両が沢山やって来て騒がしい。聞くと昨夕遭難者が出て捜索活動を行うらしい。昨日他県から
やってきた兄と地元の弟が雌阿寒温泉登山口から登ってオンネトーに下り遊歩道を周回予定で出発した。オンネトーへ下山途中
弟さんの方が疲れて動けなくなりお兄さんが先に車を取りに帰りオンネトーで待っていても下山しなかったと言う。
 04時20分登山口で警察官から何か不明者に関する情報があればお願いしますと言われる。薄暗い樹林帯の中に整備された登
山道を歩く。アカエゾマツの樹林帯と言われるが幹をパッと見た限り最初はモミ類の様に見える。所々に赤みがかった太い幹の
アカエゾマツらしき樹木も現れる。


  
 登山口には警察車両が沢山来ていた               04時20分 登山口に入る

    
 やはりここもヒグマが出没している様だ           整備された登山道を進む

  
 アカエゾマツの樹林帯を進む                若い幹は結構白っぽく見えるが成木は茶色で木肌がガザガザしている

 
やはり火山性の山だけに土地が痩せて木の根っ子が登山道を覆っている。4合目を過ぎて暫くすると火山の観測機器を置いた小屋
が建っている。
06時06分登山口から2kmの5合目を通過する。林床には終わりかけたイチヤクソウが見られた。

   
3号目を過ぎるとアカエゾマツの根っ子が地面に張り出していた   癒されるキノコ  ドラえもんの様だ

  
 05時38分4号目を通過 相変わらず根っ子が絡まっている トイレブースかと思ったら火山活動の調査機器を設置された小屋だった


  アカエゾマツ樹林帯   登山道は表土が雨で流れ出しているので根っ子が地表に出ている



  
 06時06分 5号目を通過                  イチヤクソウが咲き残っていた こんな姿を撮ってゴメンね〜


6号目から森林限界を越える                    

06時33分6合目に着くと樹林帯は終わって明るいハイマツ帯に変わり太陽が眩しい。振り返るとオンネトーが半分見えてその向こうに足寄川沿いの平地が雲海の下に広がっている。すると右手に富士山の様な形をした阿寒富士が姿を見せる。足元には北海道ではお馴染みになったイワブクロ(タルマイソウ)がイワギキョウと共に咲いている。


  
6号目に来ると樹林帯を出て明るいハイマツ帯に変わる  右手には目指す阿寒富士が見える


 雲海がかかっているのは足寄川(十勝川水系)沿いの街だろう (右隅はオンネトー)

  
 お馴染みのイワブクロ                 当然 イワギキョウも上を向いて咲いている


7号目は阿寒富士への分岐

暫く歩きシラタマノキを見つけると06時55分七合目に着く。そしてこの7合目標識に阿寒富士と雌阿寒岳の分岐と記されていた。阿寒富士へ向かっていると白いメアカンフスマやピンクのコマクサの花とコケモモの赤い実があった。
更に縦走尾根部に上がると黄色いメアカンキンバイが咲いていた。


  
 シラタマノキ (実)                            06時55分 7号目標識が立つ


       メアカンフスマ

  
  コマクサ  ちょっと終盤状態か〜                  コケモモは赤い実になっている


    メアカンキンバイも終盤かな?


阿寒富士  一等三角点「阿寒富士」 1,475.81m

07時30分 雌阿寒岳とアカン富士の稜線部に上がり着くと分岐標識が立っていた。帰りはここを経由して雌阿寒岳へいく事んなる。
左手には雌阿寒岳へのスロープが続き、噴煙が上がっているのが見える

ガレ場に咲くコマクサを眺めながら阿寒富士へ向かうと尾根筋の向こうに噴煙を上げる雌阿寒岳と右奥に雄阿寒岳も姿を
見せている。つづら折りに付けられた登山道を何度も折り返し山頂部に近づくにつれ溶岩の大きい岩が目立ち土も赤茶け
て来る。

イワブクロやメアカンフスマを見つけながら更に急登を喘ぐと山頂部近くに上がりつく。少し奥の高みへ進むと08時
06分阿寒岳の山頂標識と一等三角点に到着した。


    
稜線手前のガレ場にはコマクサがポツンポツンと咲く          07時30分 稜線部の三差路に出た 


   稜線上から雌阿寒岳を見ると手前の火口縁が凹んでおり以外に標高差は無い

  
 線部から見る阿寒富士も一見高度感が無い           富士山と同じ様な足元が悪いガレ場の登山道がつづら折に続く  


 阿寒富士へ上るに連れて雌阿寒岳の火口付近が姿を現す


  雌阿寒岳の右斜面には少し雲に覆われ雄阿寒岳が見える (ズーム写真)

  
 無機質な登山道を上る                       高度を上げるに従い赤茶けた土が現れる

  
 雌阿寒岳と阿寒岳は標高が似ている                山頂部に次第に近づくと岩も現れた


    これが霧に覆われる前の雌阿寒岳最後の姿になった  

     
 メアカンフスマもこんな場所にも咲いている             中々 山頂は遠い 

  
こんなガレ場でもイワブクロが頑張っている             山頂部の左手は崖になっていた   


08時08分 阿寒富士に到着する  雌阿寒岳には雲がかかり始めた

  
  西側の足寄街方面に向かってバナナ〜             雌阿寒岳の西面にも雲が湧いて着た


しかし、この頃から雌阿寒岳方面に雲が湧いて来て次第に姿を隠すようになってきた。08時25分雌阿寒岳へと下る。
既に展望は無くなったのでドンドンと阿寒富士登山道を下り、08時47分ハイマツの生えた分岐まで戻る。


  
  コマクサを眺めながら阿寒富士を下る              メアカンキンバイも山頂付近に咲いている

  
 ガスに覆われた稜線部へ下る                    雌阿寒岳への稜線部に着いた            


霧の雌阿寒岳へ

09時03分霧の中に8合目の標識が現れる。時間もまだ早いので霧が晴れる事を期待しながら傾斜を登って行く。途中
でメアカンキンバイやヒメイワダデ(白色もあるが赤い色をしている?)


登山道の左手火口側にはロープが設置されており、それに沿って進むと09時28分9合目標識を通過する。本来なら左手
下方に青沼のブルーが見えるのだがサッパリだ」。

  
 行先は見えないが登山道が明確なので雌阿寒岳へ進む    尾根筋には火山活動の計測器が並ぶ


   
   09時03分 8号目を通過                    むむっ この赤いタデみたいなのは何だ?

   
 白い花があるからヒメイワタデですな                  09時28分9号目 景色はちっとも変わらない

  
 岩にペンキマークがあるが火口縁に沿って歩く         前方に高い場所があるので山頂が近そうだ


雌阿寒岳  1,499m

09時45分霧で辺りが何も見えない中、殺風景な雌阿寒岳の標識に着いた。これじゃ噴煙も霧も全く見分けもつかないし、
青沼どころか噴火口自体が見えない。時間も早いので30分程山頂で粘る事にして上着を着てコンビニおにぎり弁当を食べ
る。


すると少しだけ視界が良くなったので急いでカメラを持って火口に近づく。スッキリとは行かなかったが赤沼(黄色かった)
と近くの小さな水溜まり、噴気孔が見えた。直ぐに叉何も見えなくなったのでおにぎりの場所へ帰り暫く時間を潰す。

しかしながら霧がますます濃くなって回復の兆候が見られないので10時20分諦めて下山する。


  
人が居るからここが山頂だな 皆さん霧が張れるのを待っている   バナナを持って記念写真を撮って貰う


       ちょっと日本百名山としては質素な山頂標識

  
時間待ちにおにぎり弁当 この時には靴が左右違っている事に気が付かなかった  少し火口が見えるって言うので急いで覗く


  何とか赤沼(茶色い色)と噴気孔からの噴煙が見えた   まあ少し見えたので良しとしよう


雌阿寒岳温泉へ下山

山頂から20分程火口縁を北側へ回り込むと雌阿寒温泉への下山道になる。すると足元に背丈の短いツガザクラの様な
緑色の植物が蔓延っている。これがツツジ科のガンコウランだった。所々岩に黄色のマークが付けられた火山性のガレ
地を下って行く。


10時50分8合目の標識まで下る。所々岩の上に電気スタンドの様な火山活動感知機器みたいな物が置かれている。
下るにつれてガスも少し晴れて来てハイマツの間を登山道が延びているのが分かる。


  
10時20分 霧の火口縁を右手に回り込んで下山する      時々火口を覗き込むが何も見えない


  緑の帯がガレ場を覆う  これはガンコウラン(岩高蘭)と言うツツジ科の植物  黒い果実は見られない

  
 10時50分8号目を通過する                    キノコみたいな火山観測機器だろう


7合目を過ぎると左手にオンネトーが見えて来る。11時30分下り付かれて足を投げ出してボケ〜と休んでいると足元
が何かヘン? あれ、靴が左右違うのを履いていた、何の違和感も無く朝からここまで歩いて来たのだからまあ問題は
なかろう。

  
右手の窪地に蒼い池が見えるが地図には載っていない   10時50分七合目を通過する 登山口まで2.4km

  
 オンネトーが前方に見える                ハイマツ帯の間を登山道が続く

    
 右手の窪地は白水川の谷間だろう         あれ? 靴が左右で違ってるよ スポルテイバ(左)スカルパ(右)


相変わらず山頂部はガスで覆われてはいるが、下界への視界はマズマズでオンネトーの湖に向かってハイマツ帯を下っ
て行く。4合目辺りになると大岩が現われ、ハイマツの背も高くて登山道が狭い場所では枝のトンネルを抜けたりする。


 登山道は起伏のあるハイマツ帯をオンネトーに向かって下って行く

  
ハイマツの背丈が高いのか、登山道が掘れ込んでいるのか?   11時43分4号目を追加 登山口まで1.4KM


         デカい岩と背の高いハイマツの風景


12時02分3合目を通過する頃には針葉樹林帯に入る。植林とは違った密の濃さで沢山の針葉樹が立っている。

12時42分登山ポストや注意書きの看板が並ぶ雌阿寒温泉登山口に着いた。人気の山らしく駐車場での車上荒らしへ
の注意書きなどもみられた。


  
 12時02分3号目に着くと樹林帯になっている          樹林帯にはコケとキノコが多い

  
2号目付近はアカエゾマツが無数に立っている            森の中を下って行く


                ミミコウモリ   カニコウモリに似ている


 12時42分雌阿寒温泉登山口に着く  えらい沢山の看板が立っている


遊歩道をオンネトーに帰る

車道に出ると雌阿寒岳温泉から白濁した温泉水がかなりの勢いで流れている。さすが火山と温泉の北海道だ。そう言え
ば北側の剣ヶ峰から西に延びる尾根との間に流れる川は「白水川」となっている。この辺りの源泉白濁水を集めて足寄
川へと流れているのだろう。


野中温泉から公共駐車場付近でオンネトーへの遊歩道入り口を探す。駐車場の奥から左手へ道があるので12時57分
これだろうと決めて進む。すると前方から警察の捜索隊がこちらに歩いて来るので「不明者発見されましたか?」「い
いえ 未だ捜索中です」「ご苦労様です」と会話を交わす。

  
 道端の水路には白濁した温泉水が流れていた     雌阿寒温泉 「国民宿舎 野中温泉」付近で遊歩道を探す

  
奥の公共駐車場辺りで遊歩道の入口を探す         12時57分遊歩道の入口を見つける



この雌阿寒岳温泉からオンネトーを繋ぐ遊歩道は地形を見ると変化が乏しいので道がなければかなり難しい。雌阿寒岳
の登山は比較的楽で時間もそれほどかからず登山者は雌阿寒岳温泉とオンネトーを周回する事が多くて、この遊歩道は
しっかり踏み跡が付いているので昼間なら迷う事も無さそうだ。樹林帯の中なので退屈するが1時間とちょっとなので
コケやキノコを眺めながらのんびり歩ける。


中程から谷間の様になった地形を下り針葉樹林帯を進むと13時46分オンネトーの東岸に突き当たった。そこから
20分程湖岸沿いを南へ歩き橋を渡るとオンネトー国設野営場に着いた。


  
 アカエゾマツの平坦な樹林帯の遊歩道              中程に谷地形になり少し下って行く

  
  樹林帯の中は湿気があるのでキノコが多い            イチヤクソウみたいなキノコもある

     
オンネトーに近づくと道標(みちしるべ)が立っている          オンネトーの湖畔に出る

  
  一部」木道が見られた                        湖畔の遊歩道を野営場へ向かう


 14時10分 二重橋を渡ってオンネトー野営場に着く  


次の百名山 斜里岳へと向かう

UPIオンネトーのスタッフさんに挨拶をして次の斜里岳方面へ向かうが、天気が崩れるので2日間は移動と休養日
となる。スマホ検索で安い素泊まり民宿が摩周湖手前にあったので明るい内に弟子屈(てしくつ)川湯温泉に向かっ
た。北海道遠征で初めて屋根の下で眠れるのだ〜〜



      夕方までに弟子窟(てしくつ)の民宿へ移動し、宿指定の川湯温泉「つつじの湯」に入る