北海道日本百名山6座目 「幌尻岳」(ポロシリダケ) 2.052m

2022年7月28日(水)、29日(木)、30日(金)晴れ

登山口:チロロ林道幌尻岳登山口 トイレ有り 

(穂別国道274号線(石勝樹海ロード)千呂露橋より南へ延びる林道からチロロ林道に入る。チロロ川二岐沢ゲートが
幌尻岳の登山口となる 

登山ルート:チロロ川登山口〜ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳〜戸蔦別岳〜幌尻岳 往復

行動時間 基本的には1泊2日


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  幌尻岳チロロ林道コース ログ図

プロローグ

幌尻岳は日本百名山の中で最難関と言われる日高山地の最高峰だ。確かにハードな道程だがその難しさはこの山独特のルール
にあった様に思える。それは完全予約制の登山口「とよぬか山荘」、登山口までのシャトルバス、山中の幌尻山荘の存在や、沢
が増水時には山へ行けなかったりと条件が雁字搦(がんじがら)めな事だ。
事実、私の知り合いも幌尻山荘の予約が出来ずに登山を諦めたり、沢の増水で入山禁止となり折角北海道まで生きながら登山を
諦めた話を聞いていた。

それがこの数年のコロナ禍で山荘が閉鎖された事で登山者は別ルートへと流れて行った。以前からあった南側、新冠(にいかっ
ぷ)コースは未舗装林道の通行や、ゲートからの林道歩きが長かったりと今一つ悩ましい。そこで登場したコースは今回私が利
用した「チロロ林道登山口ルート」だった。

千呂露(チロロ)川は全国の一級河川水質調査で1位を誇る「沙流川」(さるがわ)の支流で、登山口へはこの川に沿って延
びるチロロ林道(未舗装)を利用する。
チロロ林道を管理する役所に電話すると「普通車で問題無く登山口まで行けますよ」と
言う。もうこれしかない!


7月27日第5座目のトムラウシ山から下山後、十勝川沿いで車中泊をする。7月28日十勝清水から国道274号線(石勝樹
海ロード)を西へ進み日勝峠を越えて千呂露(チロロ)橋手前を左折し、チロロ林道に入り終点まで進む。



 トムラウシ温泉からチロロ林道幌尻岳登山口までの移動ルート (青線) 7月27日〜28日

  
 沙流川の支流 千呂露(チロロ)川沿いの道を上流へ進む  7月28日12時50分「チロロ林道」に入る

  
    美しい渓谷のある橋を幾度か渡る                チロロ川は清流で名高い


 チロロ林道二岐川ゲートの登山口駐車場には沢山の車が停められていた 私の車の手前がオカシンさんの車だった

 

2022年7月28日(木)晴れ

第1日目 千呂里川二岐沢ゲート登山口〜北電取水設備〜二岐沢・二ノ沢出合〜ビバーク地 
(約2時間45分)


登山口で車中泊のつもりが・・・アブに追われて出発してしまう

登山口のチロロ川二岐沢ゲートに14時過ぎ到着する。(偶然100名山遠征中だったオカシンさんの車横に駐車していた。)
ここで翌朝まで車中泊の予定だったが物凄くアブが飛んでおり窓も開けられない状態だった。恐らく車の排気ガスや登山者が集
まる場所に近くのアブが集結しているのだろう。しばらく思案するがやはり窓を開けないと暑くて車中泊は厳しい。仕方なく登
山準備をして適当にアブが少ない場所でビバークする事にし登山口を15時出発した。

北電管理ゲートの横を抜けて二岐沢に架かる橋を渡り広い未舗装林道を進む。やはり清流沙流川の支流だけに水は澄んでおり、
林道にはヤマアジサイやキツリフネ、そしてジャンボフキ(ラワンブキ)が生えている。16時05分林道終点の広場に出る。
左手対岸には北海道電力の取水設備が有った。地形図を見ると北側のチロロ川本流からここを経て南側の奥新冠(おくにいか
っぷ)発電所まで導水管を延ばしている様だ。林道終点部は小石が沢山転がってはいるが平地なのでザックを下してテントを張
ろうとすると急に沢山のアブが襲来して来た。


  
二岐沢ゲートを抜けて橋を渡る 北トッタベツ岳登山口の標識が有る  チロロ川の支流、二岐沢左岸沿いの林道を歩く

  
 キツリフネやヤマアジサイが咲く                   ここもラワンブキが沢山沿道に生えている

  
 16時10分 北電水力発電用取水施設が対岸にある     林道はここまで  この広場でもアブが多くてテントを張れず

ここでのビバークは諦めてヤマケイ百名山付録地図にテントマークが記載されていた二岐沢・二ノ沢出合に向かう。若いハンノキ
の様な樹木が立ち並ぶ平坦な森を30分程歩くと二岐沢の上流部に出る。最初岩場の難所を抜けて左岸側に沿って進むが、その
内幾度か渡渉を繰り返す様になる。渡渉って言っても水量が普通の場合は困難な場所は無い。

  
 取水設備広場から登山道に入る            ハンノキだろうか 平坦な細道が続く

  
 二岐沢の左岸に沿って進む               沢の川原やちょっと付けられた登山道を歩く

  
 16時50分少し沢から離れた笹路          直ぐに沢沿いに復帰


  この辺りが二岐沢・二ノ沢出合なのだが左岸沿いの灌木帯なので沢の合流地点がよく分からない

二岐沢・二ノ沢出合が分からない

ビバーク場所を探しながら歩くがそんなスペースは何処にも無く、知らぬ間に出合の場所を過ぎていた様だ。17時45分登山
道の横にかろうじてテントを張れる場所があったので取り敢えずザックをそこに置いて、空身で二ノ沢出合へテン場を探しに引
き返すがやはり野営地を見つける事が出来ずに元の場所まで引き返す。

早朝通るであろう登山者の邪魔にならない様に相当気を使ってテントを張る。初日から冴えないビバークになってしまった。


  
 17時06分既に二ノ沢に入ってしまった様だ             少し沢から離れて登山道が付けられている


   渡渉箇所もこんな具合で今回は行きも帰りも深い場所は無かった

  
 沢沿いにも登山道沿いにもビバーク地は無い          渡渉はこんな感じでストックが有れば靴は塗れない


  登山口からここまで勇逸ビバーク出来るスペースはこの場所だけだった  湿っぽい場所だが仕方がないのよ


2022年7月29日(金)晴れ 

第二日目 二ノ沢ビバーク地〜ヌカビラ岳〜北戸蔦別岳〜戸蔦別岳(ビバーク) 約11時間50分

 湿っぽい登山道横の草地だったがビバークと言ってもテントに守られているので安心して眠る事が出来た。朝03時頃から数組
の登山者の足音が聞こえる度に「こんな場所にテントを張って済みません」とテントの中から謝るが、皆さんこのルートではお
互い様なので暖かい声が返って来る。


04時45分ビバーク地を出発する。05時30分まで薄暗い樹林帯の沢を渡渉しながら進むと開けた高低差のある細い沢筋に
出る。そこから20分程茶色っぽい岩肌の沢沿いを上がっていくと、05時50分二ノ沢から外れて右手のロープが張られた斜
面の細い涸れた沢筋の登山道へと入って行く。


  
04時45分ビバーク地を振り返って出発する            直ぐに右岸へ渡り沢沿いを歩く

  
 左岸沿いの湿地帯を暫く歩く                     又右岸に渡渉と忙しい

  
 ルートはテープが要所に有るので安心だ 沢の中を進む   05時30分に左岸沿いの岩場を進む

   
 沢の下流側を振り返る風景                 次第に沢筋が細くなる
 

100座目を登頂したオカシンさんに遭遇!

次の目標「トツタの泉」まで後10分の標識が置かれた場所を過ぎた辺りで06時50分下山してきた登山者に「早いですねぇ」
と声を掛けると「エントツ山さん?」と返ってくる。え〜こんな場所で知り合いに会う?「オカシンです!」

オカシンさんと言えばいつもバンダナ姿が定着しているので帽子を被った精悍な姿に誰か分からなかったのだ。聞けば昨日北戸
蔦別岳の手前にテントを設営の後一気に幌尻岳をピストンしてテン場まで帰ったと言う。そして早朝に下山して来たらしい。
う〜〜ん やはり元気で若い!
オカシンさんも日本百名山を歩かれていて百名山目がこの幌尻岳だった様だ。登山道の様子や熊
の目撃、戸蔦別岳の様子等の情報を頂く。

  
05時53分 二ノ沢から山道に屋いる               最初は傾斜が急なのでロープが置かれていた

  
涸れ沢沿いの石畳みみたいなガレ場の登山道          雨水で登山道が掘れ込んでいる


トッタの泉近くで何と四国の山仲間「オカシンさん」に遭遇
! 何と日本百名山のフィナーレ下山だった 先を越されました〜


07時02分「トッタの泉」を通過する。右手斜面のトタンを伝って新鮮そうな水が落ちて来る。ここは下りで水が切れかか
った登山者のオアシスになる休憩ポイントだ。当然トッタは戸蔦からの呼び名だ。


暫く進むと登山道は沢筋を離れてヌカビラ岳の北尾根と西尾根の中間にある薄い尾根筋にそって急斜面の樹林帯を上がって行
く。そこで四国でもお馴染みのタカネバラに出会い何か懐かしさを覚える。

  
07時02分トッタの泉を通過 下山時の休憩所になる       森の中を明確な登山道が続く

    
トッタの泉を過ぎるとダケカンバの生える急登が続く   お〜〜  タカネバラが数輪咲いていた

08時になると視界が開けて上方の岩尾根やダケカンバ越しに周りの尾根筋が見える。20分程すると岩場の近くに出て、そこ
には今まで見たことの無い「エゾミヤマアケボノソウ」に出会った。オニシモツケやゴゼンタチバナを眺めながら上がってい
るとハイマツの岩場にアルミ梯子が置かれていた。そしてそんな場所にもイワギキョウ、イワブクロ、エゾイワツメクサ、
リンネソウと多彩な花が咲いている。


  
 ヌカビラ岳から北に延びる岩峰が見えた             足元に気を付けながら歩く

  
 ヌカビラ岳下部の鋭い岩壁                     ヌカビラ岳直下の岩壁を左手に見ながら上がって行く


 生まれて初めて目にする「エゾミヤマアケボノソウ」  (リンドウ科センブリ属) 紫色が美しく見栄えがする

  
 ヌカビラ岳への岩場が続く                       又、左手に大岩壁が現れた

   
   オニシモツケ                             アルミ梯子が置かれている

  
  イワブクロにエゾイワツメクサ                  スイカズラ科「リンネソウ」 別名「エゾアリドオシ」「メオトバナ」


  アイヌの木彫り人形の様な岩が三体並んでいる

ヌカビラ岳 三等三角点「糠平岳」(ぬかびらだけ)1,807.76m

岩場からなだらかなハイマツの尾根筋に上がるとトカチフウロ、エゾツツジ、ウサギギク、エゾヒメクワガタ、ヨツバシオガマなどが咲いている。見るとそんな岩っぽい場所に無理してテントが一張り見える。このルートではビバーク地に苦労すると言われているが確かにそんな予感がする。すると08時58分その向こうのハイマツに囲まれた岩の平地に三角点があり「ヌカビラ岳」に着いたようだ。バックには鋭く尖った戸蔦別岳とその右手に堂々とした幌尻岳が霞んでいる。

  
 ヌカビラ岳の肩部に上がった様だ                 こんな岩っぽい場所にテントが張ってある

  
   トカチフウロ                            ヨツバシオガマ


  08時58分 ヌカビラ岳に着く  三等三角点「糠平岳」 1,807.76m  奥左が戸蔦別岳、右側が幌尻岳

 

ヌカビラ岳から正面(東側)に見えるなだらかな三角錐の北戸蔦別岳まで一つピークがありハイマツ藪も一部あるが概ね花の尾根
道が続く。この辺りでは左手の斜面にコバイケイソウ、登山道沿いには歯ブラシ状のタカネトウウチソウ、エゾシオガマ、タカネ
オトギリ、エゾツツジ、ミヤマリンドウなどの花が見られたが、チングルマは綿毛になっていた。


  
  コバイケイソウ  奥は北戸蔦別岳の北側主稜線         ウメバチソウ

  
 深いハイマツ帯もあるがそんなに長くはない            北戸蔦別岳までなだらかな花の登山道が続く

  
 タカネトウウチソウ                           エゾシオガマ、タカネオトギリ

  
  エゾツツジ                                  ミヤマリンドウ
   

09時32分尾根ピーク手前で右手に少し平地がありここにテント一張りを確認する。肩部を越えると左手は「北戸蔦別カール」
となって草地のお花畑が広がっている。登山道沿いにもエゾツツジ、トカチフウロ、アオノツガザクラ、ウサギギク、ミヤマア
ズマギク、ミヤマダイコンソウなどが見える。チングルマはもう終盤で綿毛に変わりかけている。


   
稜線小ピーク手前で右t寧テント一張りのスペースあり        エゾツツジとエゾフウロ チングルマ

  
 アオノツガザクラ                             ミヤマアズマギク

  
 エゾノハクサンイチゲ                           ウサギギク

  
  ミヤマダイコンソウ                           手前のピークを越えていよいよ北戸蔦別岳へ


    左手の北戸蔦別カールへの斜面はお花畑になっている


このルート最大のビバーク地

10時00分北戸蔦別岳直下のコル部に着くと狭い場所にテントが4張り見える。ここがオカシンさんのビバーク地に違いない。
ここにスペースがあればテントを張って無理をすれば幌尻岳をピストン出来なくもないが、その選択肢が無いので内心ホッとし
て先へと進む。
(後でオカシンさんの記録を見ると、このテン場に08時30分に着き、09時05分には幌尻岳へ空身で出発
していた)



 北戸蔦別岳手前のコルに4〜54張りのテント設営が可能だ  これ以外にビバーク適地は無いと言っても過言ではない

  
 なだらかなハイマツ帯を北戸蔦別岳へ向かう           ヌカビラ岳への稜線を振り返る

 

北戸蔦別岳 1,912m

北戸蔦別直下のテン場からハイマツ帯を上がると10時10分北戸蔦別岳に到着した。この山は北側の伏美岳(ふせみだけ)〜
ピパイロ岳から北戸蔦別岳を経て南の戸蔦別岳〜カムエク山〜ペテガリ岳への日高山脈主稜線と西側の糠平(ヌカビラ)岳の交差
部に当る細長い岩ピークだ。

山頂の東側にかろうじて存在する岩棚にへばりつくようにテントが2張り見られた。20分程ここで休憩の後、本日ビバーク予定
の戸蔦別岳へと向かう。


  
 10時10分 日高山脈の主稜線「北戸蔦別岳」に上がり着いた  東側に無理してテントが2張りへばりついている


           10時10分 日高山脈の主稜線「北戸蔦別岳」に立つ  奥はビバーク予定の戸蔦別岳


北戸蔦別岳〜戸蔦別岳  約2時間10分

すれ違う登山者からの情報で昨日戸蔦別岳に張られていたテントは本日朝撤去されていたとの事で少し安心していた。幌尻岳付近
にも一張り出来る場所があるのだが、そこは先行されたご夫婦が使うとの事だった。

戸蔦別岳の鋭い姿を眺めると、途中で一つピークが見えてそれを越さなければならない様だ。地形図を見るとこの1,881mの
岩ピークから西側へ下る尾根に沿って幌尻山荘への破線ルートがある様だ。10分程下ると左手にテントが一つ張られていた。と
言う事はここまで一つもテントを張るスペースは無かった事になる。その中間岩ピークまでは左手を巻いて戸蔦別カールを眺めな
がら歩く。

11時前に岩ピークに近づくと、ここでは登山道が右手を巻いて付けられていた。この辺りでも人生で初めて見たエゾヤマアケボ
ノソウやユキバヒゴダイ、白花のイワギキョウなどが見られて足取りも軽い。岩場を抜けると登山道は稜線部へ復帰して前方へ延
びて行く。

色んな花が咲いているのでついつい幌尻山荘へ下る右手のルートを確認するのを忘れてしまった。この間も登山者や花の写真を撮
りに来たと言う年配の単独女性や単独男性にも会って色々話を交わす。

  
10時25分 黒河ジュニアさん用のバナナ写真を撮って出発する  10分程下った場所にテントが一張り見られた



 主稜線の右側はハイマツ帯で左斜面は戸蔦別カールへの草地となっている 戸蔦別岳までにデカい岩山ピークが有る

  
 ハイマツ帯を抜けると尾根の左側をトラバースする       葉っぱはミヤマダイコンソウだが、花はミヤマキンバイだ

  
       エゾヒメクワガタ                      11時00分 岩ピークの岩稜帯に入る

  
 岩ピークは右側をトラバースする                 ホソバイワツメクサ(?)

  
 おっ ここにもエゾミヤマアケボノソウが有った〜            イワギキョウ

  
 白いイワギキョウってあるんだなぁ                  11時20分 稜線岩ピークが続く

  
  ん? これは何だ? (ユキバヒゴダイと蕾)            ホソバイワツメクサの花束


   「ユキバヒゴダイ」も生まれて初めてこの山で出会った


 岩ピークより幌尻岳をデカい眺める   この辺りから幌尻山荘へ下るルートが有る


   歩いて来た北戸蔦別岳と左のヌカビラ岳を振り返る

  
  タカネナデシコ                               タカネオミナエシ (チシマキンレイカ)

  
     (チシマ)ヒメイワタデ                      せり科の花 ヒグマの好きなハクサンボウフウとか
 

戸蔦別岳(トッタベツダケ)  1,959m

その内前方が天を突くようなハイマツの急登となり一喘ぎすると、12時45分「戸蔦別岳」に登り着いた。そこは遠くから眺め
た通り鋭角な円錐の頂点で狭い岩場だった。まるで独立峰の様に周りの稜線から突出した山頂はまさに360度の展望である。

山名は東側に流れる一級河川「戸蔦別川」の源頭から来ている。アイヌ語で箱の様な高い山から深く流れ出る川」と言うような
意味を当て字にした様である。

北海道の背骨と言われる日高山脈の主稜線上にあり、その主稜線は戸蔦別岳から一旦東の神威岳へ延びた後南に向かって襟裳岬
近くまで長く延びる。

幌尻岳はこの主稜線から少しだけ南側に飛び出した日高山脈の最高峰である。戸蔦別岳から南側を見ると正面にどっしりと構え
た幌尻岳の山塊がみえて、そこに至る稜線の左側には有名な「七ッ沼カール」がある。やはり幌尻岳に来た実感はこの七ッ沼
カールの景色によって倍増される。


一昨日、登山口で車中泊のつもりがアブ襲来で一ノ沢まで進んでビバークをした為、13時前と言う微妙な時間に戸蔦別岳に
着いてしまった。眺めると近くに見える幌尻岳だが、山と渓谷社の地図を見ると片道3時間もかかる様だ。雲が沢山出て来て
青空が無いので無理して進むのを止めてテントを張ってゆっくりと過す事にする。


  
 低いハイマツに覆われた稜線を戸蔦別岳を目指す       途中で下山してビバーク地へ帰る登山者を見送る


  戸蔦別岳から幌尻岳への稜線と七ッ沼カールを眺める   少し雲が多くなって来た


  12時35分 戸蔦別岳について登山道を外してテントを張る   正面は明日登る幌尻岳だ

ビバーク地の戸蔦別岳でまったりする

もうこの時間から幌尻岳へ向かう人は居ないが、幌尻岳から帰って来る登山者が数組居て色々縦走路の厳しさや熊などの話題で
会話が弾む。

その中にデカいカメラを抱えた人がやって来て昨日撮った熊の写真を盛んに見せてくれる。この人はせり科のハクサンボウフウ
が好きで北戸蔦別岳にテントを張って4〜
5日目だと言う。暇らしく北海道での移動や車中泊の仕方、スーパーでの食料の買い
出しが安上がりになる事等を長々と話してくれる。
この人は眼が良いので七ッ沼カールの斜面でクマが動いていると言われるが私には見えない。一旦お別れをして北戸蔦別岳へ下
って行ったが、暫くすると又上り返して来て「右手の戸蔦別カールに熊が居ますよ!」とわざわざ知らせてくれた。おじさんの
指さす方向に黒い物が動いているがコンデジでは上手く撮れなかった。熊情報のお礼を述べて写真家とお別れする。



   オカシンさんがヒグマの親子が居たと言う七ッ沼カールを眺めるが見つける事は出来なかった

  
ニーモ ホーネットストームは重さ1kgを切る          写真好き、話好きのオジサンのカメラとレンズは凄かった

  
 北戸別岳カールに黒い物体が!                    確かに動いているのでヒグマだ!

 
夕方になりガスが湧いて来て北から強風が吹き荒れだした。私が持っているダブルウォールテントはファイントラック・カミナ
ドームIIとニーモホーネットIIの2張りだ。重量1sを切るニーモの軽量テントはダブルウォールとはポールがきしんで吹き飛
ばされそうだ。あわてて北側のペグを補強するがテントは風でひしゃげたままである。雨は降らないが強風でテントから出る事
も出来ずに一夜を明かす。



 14時頃から風が強くなりだして、夕方になるともうテントが潰されそうになってべぐを何度も補強する


2022年7月30日(土)晴れ 

第三日目(最終日)  戸蔦別岳〜幌尻岳〜戸蔦別岳〜北戸蔦別岳〜ヌカビラ岳〜チロロ川登山口 

約13府間50分 (テント撤収、昼食休憩を含む)


いよいよ 幌尻岳へ   戸蔦別岳〜幌尻岳 約2時間35分


  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図     幌尻岳周辺のログ図

04時20分眼を醒ますと既に太陽は東の山々から顔を出していた。テントが風に揺れて中々寝られず目覚めが遅くなってしま
った。外に出ると風も少しは収まって天気が良いのでホッとする。
今日は幌尻岳までピストンしてチロロ川登山口へ一気に下山
する。狭い山頂のテントは登山者の記念撮影の邪魔になるので片付けて大型ザックに入れて山頂の隅に置く。



   04時25分 既に太陽は日高山脈に上がっていた


  旭を浴びたトッタベツ岳山頂標識  奥に幌尻岳


 昨日歩いて来た北戸蔦別岳(奥)とヒグマの居たカールが朝日に照らされる

05時10分サブザックに水と行動食を入れて出発する。左手の七ッ沼カール側が朝日に照らされて稜線の右手が黒い陰になり
クッキリ見える。
戸蔦別岳からの下りは少し深いハイマツ帯を右手に巻きながら途中で稜線部に復帰する。稜線部に出るとハイ
マツも低くなり歩き易い。左手の七ッ沼は水気が少し見られる泥の様な感じである。親子三頭の熊が動いていないか時々眺める
が今日は残念ながら出ていない様だ。



  縦走尾根が朝日を浴びて稜線がクッキリ見える   左下には七ッ沼カール

  
 稜線の右手トラバース道から尾根に上がって行く        幌尻岳までには正面の大きい肩と奥にも更に肩が見える

    
 七ッ沼カールがすぐ横に見える                   06時00分コル部に近づくともう下山して来る人がいる


          戸蔦別岳を振り返る  七ッ沼カール側は絶壁だ

1,766mPの岩コブを越えて06時過ぎに最低コル部を通過する。幌尻岳への肩部に向かって登って行く頃には又背の高い
ハイマツ帯の中に入るが、それを越すと岩稜帯となり歩き易くなる。これまで登山者数組と出会う。これから向かう登山者が殆
どだが、戻って来る人は一体何時に北戸蔦別岳のテン場を出発したのだろう。

 岩場を上がると06時55分第一肩部に着く。南側に歩いて来た稜線の右に七ッ沼と戸蔦別岳、更にその奥に神威(カムイ)岳
が見える。(ちなみに神威岳は日高山脈の南部にもう1つある)

肩部から尾根を少し左手を巻いて進むと正面に尖がった幌尻岳の第二肩部が現われる。ちょっと見幌尻岳本峰に見えるが本峰は
その奥に有る。一旦稜線に上がり今度は右手を巻いて07時07分岩っぽい稜線上の登山道となる。

少しガレっぽい登山道を進むと07時23分下から見て尖った第二肩部に上がると正面に幌尻岳の本峰がやっと姿を現す。なだ
らかなカールを持ってイメージ的には南アルプス「仙丈ヶ岳」の様である。周りをハイマツに守られた岩稜帯を進むと丸いピー
クに人影が見えた。歩いて来た尾根や北海道の背骨と言われる日高山地を振り返りながらゆっくりと歩く。


 
 一部だけ深いハイマツ帯のブッシュがある           第一肩部の右手にある谷部には雪渓が残っている

  
  ハイマツ帯に剥き出しの岩が出ている箇所がある       2つ目の岩稜帯を抜ける


  06時50分 第一肩部から七ッ沼カールと戸蔦別岳を振り返る  奥に日高山脈が並んでいる

         
 第二肩部へと向かう  こちらは尖がった形だ           第二肩部へは岩が多く露出している 左奥に本峰が現れた

  
    少しガレた斜面を上がる                    第一肩部を振り返る


  07時23分第二肩部に上がるとやっと「幌尻岳」本峰が正面に現れる  南アルプスの仙丈ヶ岳に似ている

  
 ここがベテランご夫婦がビバークすると言ってた場所か    山頂までは岩の小ピークが有る

  
  山頂に人影が見える                        尖がった第二肩部を振り返る 戸蔦別岳が低く見える

幌尻岳(ポロシリダケ) 二等三角点「幌尻」2,052.36m

 
07時45分日高山地の最高峰「幌尻岳」に着く。幌尻はポロシリと読みアイヌ語でポロ(大きい)シリ(山)の意味。この山
は凡そ1,300万年前の火山活動で出来上がったと言われている。知らんけど・・・標高は日高山脈で唯一2,000mを越
える2、052.36mだ。山頂標識は強風に飛ばされない様に突っ張り棒で支えられていた。

深田久弥さんがこの山を日本百名山に選ばなかったら
ここへ来る人は稀だったろう。私もまあ仕方なく登って来た様なものだ。

山頂には数組の登山者が居て、その中で黄色いシャツを着た親子二人組が何やら百名山の紙を出して記念写真を撮ろうとしてい
た。紙には日本百名山87座目と書かれており幌尻山荘側から登って来たと言う。写真を撮ってあげると父親の方が何か口上の
様な言葉を大声で上げて応援歌を二人で歌いだした。小学生高学年の子供は年頃で人前で歌うのをとても恥ずかしがっている。
誠に微笑ましい姿だった。

 交代でこちらも写真を撮って貰い同定も山名もサッパリ分からない兎に角雄大な「日高山脈」を暫く眺める。北カールに沿って
幌尻山荘への登山道を眺めるが、山荘までは見えなかった。



  2022年7月30日 07時45分 日本百名山難関の一つと言われる「幌尻岳」 に立つ〜〜

  
 二等三角点「幌尻」 2,052.36m               山頂は岩が転がるちょっとした広場

  
南東側の尾根は新冠(ニイカップ)川に落ちていく         北側の尾根は糠平(ヌカビラ)川の幌尻山荘へ続く

  
 日本百名山87座目の親子 幌尻山荘がら登って来たという  黒河ジュニアさんウケ狙いのバナナは三日目でボロボロ状態

 

帰るぞ〜〜 幌尻岳からの大返し 

幌尻岳〜戸蔦別岳〜北戸蔦別岳〜ヌカビラ岳〜チロロ林道登山口 約13時間40分!


幌尻岳〜戸蔦別岳  約2時間30分


山頂の登山者に別れを告げた後、08時00分下山を開始する。何せ今日一日でチロロ林道まで下山しなきゃならないのだ。 

08時25分尖がった第二肩部まで下りて、ザレた斜面を第一肩部へ向かう。20分程で第一肩部に着き、そこからは七ッ沼
カールを右手に熊が動いていないか時々立ち止まって目を凝らすがどうもまだお休みの様だ。そこから戸蔦別岳へ向かって下っ
ている途中数組の登山者とすれ違った。この時間帯だと北戸蔦別岳でビバークしていた人達だろう。若者は皆トレラン姿で軽
快な出で立ちだ。


  
   幌尻岳を振り返り名残惜しむ                  第二肩部は鋭いピークになっている ここは巻いて下る

  
  幌尻岳 東カール                         前方の第二肩部へ向かう  戸蔦別岳と同じ目線の高度だ


 右手奥の尾根第二肩部へ向かう   正面に戸蔦別岳  その向こうに日高山脈が並ぶ


       本日帰るルート(昨日歩いて着たルート) を眺める  下山道はヌカビラ岳から尾根の向こう側へ下る


   第一肩部から戸蔦別岳、七ッ沼カールの眺め  何度見ても見飽きぬ風景だ   左奥の台形が北戸蔦別岳

稜線の中間点にある岩峰から幌尻岳を振り返ると、登山道の右手には鋭い切れ込みがあり、二重尾根になっている。その間に
雪渓が残っているのも良く見える。ピストンは同じ風景で面白く無いって言う人も居るが、行きと帰りでは微妙に違った景色
となる。朝の強い光の陰になって見えにくかった地形が帰りに振り返るとより鮮明に見えるのだ。

09時57分稜線から七ッ沼カールに下る踏み跡がある。恐らく登山道とは思うがすぐ横にはヒグマが土を掘り返した跡があ
る。熊は人が来ない夜中にミネラルを補給する為だとか大好きなセリ科のハクサンボウフウ等の根っ子を食べに稜線へ上がっ
て来ると言われている。それにしても七ッ沼カールでテントを張るなんてとんでもない話だ。

ハイマツの急登を辛抱強く歩いて戸蔦別岳へと向かう。

  
 最低コル部付近から尾根の岩峰とその向こうに戸蔦別岳    ヒグマの親子はおらんかなぁ〜〜


  戸蔦別岳は中々威風堂々たる山だ 結構帰りの上りがキツい (1,766m尾根ピーク手前より)


 1,766m尾根ピークを過ぎた辺りに七ッ沼へ踏み跡が下っている そこにはヒグマが掘り返した跡がある

  
 岩峰付近で沢山の登山者と出会った           戸蔦別岳への急なハイマツ帯を喘ぐ



 朝下った時と違い、雪渓の残る谷間が良く見える

 
戸蔦別岳〜北戸蔦別岳〜ヌカビラ岳   約2時間45分

10時35分ビバーク地の戸蔦別岳に帰り着く。今まで北アルプス雲ノ平からの帰りや剱岳北方稜線でビバークをしたが、こんな
強風の夜を過ごした事は無かった。アタックザックをメインザックに仕舞ったり行動食や水をポシェットに入れたりして11時北
戸蔦別岳へと下る。天気の良い日を選んでの遠征登山と言ってもこんな快適な2日間はラッキーだった。
持ってきた熊スプレーや携帯トイレは使う事無く下山出来そうだ。

 
  戸蔦別岳(トッタベツダケ)  ビバーク地を提供して頂き有難う御座いました〜 (ビバーク地 来た時よりも 美しく)

40分程で中間点の岩峰に差し掛かり、先ほどまで自分が居た戸蔦別岳や幌尻岳を眺め時間の不思議さを感じる。岩峰を抜ける頃
には一時的にハイマツ帯に入るがまずまず標高差も少なく歩き易い道である。北戸蔦別岳方面は右手が戸蔦別カールに向かって草
地となり、左手はハイマツに覆われている。ウサギギク、アオノツガザクラ、ハクサンボウフウ、エゾヒメクワガタ、葉っぱの縁
が黒っぽいハイオトギリなどをカール側トラバース道で眺めた後ハイマツ帯に入る。

山頂近くの岩稜尾根に出ると、やはり今日も違う色のテントが張られており。12時58分北戸蔦別岳に着いた。前日、東側の斜
面にへばりつくように2張りあったテントは既に無かった。どう見てもテントを張れる様な場所では無かった。



戸蔦別岳の斜面を下り奥に見えるヌカビラ岳を目指す

  
 尾根途中の1,881m岩ピークもそれなりに鋭い形を成す       タカネナデシコが多く咲いている

  
         ハクサンチドリ                      エゾヒメクワガタ


  北戸蔦別岳への縦走路から見ると双耳峰の様に見える幌尻岳(右)  北カールも良く見える

  
岩ピーク辺りから幌尻山荘へのルートがあるのだが、特に標識は無かった   岩稜帯を抜けて北戸蔦別岳へと向かう

  
 一度ハイマツ藪に入るが長くは続かない             尾根の右手をトラバースしてお花畑が続く

  
  ハイオトギリ、コガネギク等が一面に咲いている        最後は北戸蔦別岳へ向かってハイマツ帯を上がる


   北戸蔦別岳直下から振り返る、少し左に傾いた戸蔦別岳と北カールを抱いた幌尻岳

  
 北戸蔦別岳手前の岩斜面に昨日同様テントが1張り有った  13時00分 北戸蔦別岳まで帰り着いた


 北戸蔦別岳から北側には伏美岳、ピパイロ岳等の日高山脈が延びている  昨日、左手斜面にテント2張りが有ったが良く張れたものだ


ビバーク地に苦労するチロロ林道コース

北戸蔦別岳を13時00分出発して10分程でコル部に下ると今日はここにテントが三張り見られた。振り返ると数人が北戸蔦別岳
に立っているのでこのテントの主だろう。更に少し進むと低い笹原の中に2張りテントが有る。登山道に咲く花を眺めながら歩い
ていると更に3張りのテントが見られた、
 皆さんビバーク地には苦労している様だ。

  
 ヌカビラ岳に向かって下る                       今日はコルにテントが3張り設営されていた

  
       中間ピーク手前に2張り                  中間ピークを越えた場所に3張り

13時45分糠平(ヌカビラ)岳の三角点に着いた。時間確認の意味でも写真を撮りたかったのだが登山者のカップルが三角点横
に座って休憩されていたので遠慮する。


  
13時47分 ヌカビラ岳に着き、戸蔦別岳と幌尻岳に別れを告げる   前方の岩ピークから二ノ沢へ向かって下りとなる

  

糠平(ヌカビラ岳)〜チロロ林道登山口 約5時間  地味な歩きだが結構長い

ヌカビラ岳を少し過ぎた岩っぽい平地にテントが一張りあった。ここが恐らく幌尻岳から最も遠いビバーク場所なのだが、結局先
の野営地が空いている保証が無いから安全策でここをビバーク地とせざるを得ないのだろう。私も実はチロロ林道コースの地形図
や解説書を読みながらここをビバーク候補の一つに考えていたのだった。

岩場を下って暫く歩くと登山道は尾根を外れて二ノ沢へ向かって薄い尾根筋をドンドン下って行く。地形図上は少しルートが心配
になる様な場所ではあるが、しっかりした登山道が深い樹林帯や笹の間に付けられているので心配は無い。


  
 ヌカビラ岳の肩部にテントを張って人が寝ていた         ヌカビラ岳の肩を象徴する四角い3体の岩


 ヌカビラ岳から岩尾根を下り、尾根から右手の斜面から二ノ沢へ向かって森の中を下って行く  

  
 樹林帯の中に細い登山道が続く                   ダケカンバが登山道の周りを美しく飾る

  
  道が無ければ途方に暮れる様な地形              灌木や笹の中に細い登山道が続く


登山者のオアシス 「トッタの泉」

14時53分「トッタの泉」に着いて水を補給して行動食休憩を取る。休憩中にも上から登山者がやって来て全員がここで
「疲れた〜」と言いながら休憩する。中には朝暗い内に駐車場を出発し日帰りと言う若者も結構居た。

 そこからも笹の間に付けられた細くて急な登山道を下ると16時00分辺りが開けて二ノ沢と合流した。 

  
 14時53分「トッタの泉」に着き補水する            直ぐ下側に湿っぽい場所があり15分程岩に座って行動食休憩をする

   
 涸れ沢っぽい道を転ばない様に下る           このロープが見えたら沢が近い

  
  山道の最後にある急な段差を下りる               16時00分「やっと二ノ沢に出た


沢(二ノ沢〜二岐沢)から林道へ

深い谷筋を流れる二ノ沢に沿って足元に気を付けながら下る。最初はガレ場っぽい谷筋も次第に水量も多い谷筋に沿って渡渉を繰
り返す。登山道は沢から少しだけ外れて歩く場所もあるがテープ等もしっかり置かれているのでルートを失う事も無かった。

 16時40分懐かしい(?)初日のビバーク地を通過する。まあ、こんな中途半端な場所でビバークした登山者は恐らく一人も居
ないだろう。

17時15分二ノ沢・二岐沢出合い付近を通過するが野営地などは見られなかった。二岐沢に出てから登山道はほぼ左岸沿いを歩
く。見覚えのある難所を越えると17時55分北電取水口施設に着いた。不思議な事にアブはそんなに集(たか)って来ない。


   
 深い谷へ向かって沢歩きが始まる            渡渉場所にはテープが置かれて分かり易い

  
 次第に水量が多くなるが渡渉で靴の中を濡らす事は無かった   沢を少し離れて登山道が付けられている場所も多い


   この様に渡渉箇所や沢を外す登山道には赤テープが付けられていて助かる

  
沢沿いを歩く場所にも前方に赤テープが見える          16時40分初日にビバークをした場所を通過する

  
    ダイモンジソウが咲いている                  知らぬ間に二岐沢に入った様だ 沢の合流点は登山道から見えない

  
   二岐沢に入ると川幅が広くなり左岸を歩く場合が多い      旦穏やかな樹林帯にはいる 


 ここが強いて言えば唯一の難所と言える  まあ、足場がしっかりしているので問題は無い

  
  又 ハンノキ林の登山道となる                  17時55分 やっと林道に出た〜〜


林道を歩き登山口へ

普通、林道歩きは嫌なものだが、ここ幌尻岳チロロ林道コースにおいては広い林道に出るとホッとした。高い山筋にはまだ日が差
している林道を辛抱強く歩いて18時50分二岐沢が千呂露川(チロロ川)に合流する橋を渡って登山口に帰り着いた。


   
北電取水施設が有るのでここまで広い管理林道が付けられている  遠くの山には未だ陽が射している

  
ラワンブキが生えた林道を歩く                     登山口手前の橋を渡る

  
 18時50分 登山口のゲートや〜〜〜              駐車場では2日間遠征の友、カローラフィルダーが待っていた

幌尻岳は噂通りのハードな山だったが、危険な場所も無く最高の条件で歩けた。初日のアブ襲来で中途半端な3日間の行程になっ
てしまったが実質的には二日間で歩けた事になる。サプライズと言えばこの奥深い日高の山で同じ日本百名山を目指す「オカシン
さん」にも会えたし、一応遠くからヒグマの動く様子も眺める事が出来た。

今回の北海道遠征で一番プレッシャーがかかった幌尻岳をクリアして安堵感と満足感一杯で暗いチロロ林道を国道274号線に出て
西側にある車中泊地、道の駅「樹海ロード日高」に向かう。

時間的に日帰り温泉は諦めるが道の駅にはセイコーマートやトイレ施設が24時間開いていて助かる。ここには大型トラックは少
なくキャンピングカーや車中泊車が20台程止っていた。車が少ない場所を選んで車中泊の準備をして次の雌阿寒岳へのルートな
どを考えながら眠りに着く。


  
 日高道の駅「樹海ロード日高」 (翌日撮影)             駐車場も広い  24時間営業のセイコーマートもある