北海道百名山第2座 利尻山(りしりざん)北峰 1,719m

2022年7月20日(水) 稚内港の駐車場に車を駐車 2日で2、000円
               稚内〜利尻島・鴛泊港 ハートランドフェリー  往復 5,540円
               利尻北麓野営場 テント1張り 520円 管理棟にトイレ、シャワー(100円)有り

2022年7月21日(木) 晴れ
               登山口:利尻北麓野営場(テント泊 520円 管理棟にトイレ、シャワー有り
               登山ルート:鴛泊(おしどまり)コース往復
               登山口標高270m 山頂 1,719m 標高差 1,449m

          往路:約5時間50分
              復路:約4時間10分  合計 約10時間


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図   利尻山 鴛泊コース 約10時間

 7月19日に後方羊蹄山から雨竜湿原を経由して道の駅「遠別富士見」で車中泊をする
7月20日に稚内から利尻島・鴛泊(おしどまり)港へフェリーで渡り利尻北麓野営場にてテント泊をする。
鴛泊のオシは読みにくいし書きにくい。仲の良い喩えで言われるオシドリの事。


  
ハートランドフェリー(稚内)から見る利尻山(雲がかかっている)  7月20日12時50分鴛泊港へ着く 前方はペシ岬

 

利尻山は日本百名山で最北の山となる。最南端は屋久島の宮之浦岳でここは2013年8月に登っている。 

前日フェリー乗り場からタクシーで野営場に入るとバイクで登山に来た方が二人テント泊をしていた。テント泊地使用料は520円
で気持ちの良い環境だ。夕食の後100円のシャワーを浴びて早めに寝る。



  利尻北麓野営場は利尻山の登山基地として理想的な場所で既に3号目に近い

北麓野営場登山口〜5合目 約1時間30分

 未明に起きて04時30分テントはそのままにして登山口を出発する。登山口が既に三合目の手前なので気が楽だ。後方羊蹄山で
傷めた踵のマメは2日間の移動日で多少マシになっていたが念のために靴をもう一足持参のスポルティバに替える。利尻山は島の
山なので霧が発生し易いのだが今の所天気は良さそうだ。

整備された登山道を10分程歩くと沢があり水場近くに「甘露泉水」の看板がある。ここの標高が270mと記されているのを見
ながら沢に架かる「乙女橋」を渡る。すると3合目の立派な標識が立っている。この山には羊蹄山よりも立派な合目標識が立って


る様だ。

イチヤクソウなどが咲く針葉樹林帯の快適な登山道を歩くと06時03分五合目の標識があり、登山者が休憩されていた。登山口
が三合目手前なので五合目までが1時間30分程で着いたので、前日に北麓野営場まで入っていたのが正解の様だ。


  
04時30分 北麓野営場の登山口 小鳥の鋳造物が並ぶ     10分程で甘露泉の谷を渡る

  
日本百名水に選ばれている「甘露泉水」              すぐ近くに標高270mの三合目標識が立つ

  
 登山道脇にはクルマユリやセリ科の花が咲く        登山口から45分程で4号目(野鳥の森) お食事中すみませ〜〜ん

   
朝日が差して来る さすが人気の山では朝早くから登山者が多い  イチヤクソウ

  
 ダケカンバが朝日を浴びている           登山口から1時間30分で5号目(雷鳥の森)に着いた お食事中すみませ〜〜ん       

 

5合目〜山頂 約4時間20分

樹林帯の5合目までは等高線もなだらかで、06時30分頃6合目に近づくとダケカンバやハンノキ、ハイマツ等の樹木が低くな
り前方に長官山に向かって少し急傾斜になる。6合目の標識には第一見晴台と書かれていて鴛泊港やその西側にある住宅街が見下
ろす事が出来る。この辺りでは四国ではお目にかからないギザギザの葉を付けたノコギリソウやりシリアザミなどが見られる。

少し上側(6.5合目)には携帯トイレブースの建物があり自然環境を守る北海道の人気の山らしい。
その辺りから振り返ると平た
く細長い礼文島が青い海に浮かんで見える。



07時38分第二見晴台の標識を過ぎるとハイマツ帯となり前方に長官山が近くに見えて来る。振り返ると相変わらず礼文島が海
に浮かんでいる。

  
 セリ科の花で逃げとこう                前方が開けて長官山が見えて来た

  
   ノコギリソウ                   ホソバノヤマハハコ


       6号目第一見晴台からは鴛泊港のペシ岬が見える

  
 06時28分6号目第一見晴台を通過  アザミも咲いている リシリアザミは上向きに咲くのでこれは違う

  
 第一見晴台を上から見晴す              6.5合目にある携帯トイレブース 標高790m

  
06時53分 7号目でここから「胸突き八丁」となる  イブキセリモドキ? センキュウ? セリ科の道

  
 第二展望所 標高1,120mに来ると長官山は近い  ハイマツ帯の足元にゴゼンタチバナが咲いている

  
  イワギキョウ                     オトギリソウ


 胸突き八丁の急登を喘いで振り返ると湧き上がる雲の向こうに平たく細長い礼文島が浮かんで見える



8号目から堂々たる利尻山を眺める

8合目、長官山の肩部が近づくとやっと前方に利尻山の秀麗な姿が現れる。利尻山は利尻岳とも言われているが海から湧くガスを留
め谷部には雪渓を持つ尖った山の風情からは利尻岳の方が似合っている。

08時07分8号目に長官山の標識と句碑が登山道に立ち、奥に堂々と迫力のある利尻山が聳える。霧の多い利尻島でこの山全体が
見える日はそう多くは無いと言われている。前日は山に雲が天気がまずまずなのに雲が沸いて良く見えない状態だったので幸運な事
だ。



     海上から湧き上がる雲を裾野に湛えた利尻岳が迫力を持って迫る


長官山の句碑のバックに堂々たる姿だ! 「利尻岳 登り登れば雲湧きて 谿間(けいかん)遙けく 駒鳥乃鳴く 幡川詠」

  
 8号目長官山標識 標高1,218m                 平らな尾根部を奥へと進む

08時25分「利尻岳避難小屋」が樹林帯の中に立ち隣に携帯トイレブースが併設されている。一応携帯トイレを買って持って来
ているが値段が高いので使う気にならないのが本音だ。白やピンクのノコギリソウや大型のイブキトラノオ、ミソガワソウ、オニ
シモツケ等が咲く良く整備された登山道を山頂へと向かう。

 09時05分少しザレた場所に3つ目の携帯トイレブースがありすぐ上に9合目の標識が立っている。岩っぽい急な傾斜になりアズ
マギクやミソガワソウが現れると左手が切れ落ちて谷沿いには雪渓が長く延びている。海からは霧が風に乗って吹き上がって来る。

荒れた砂礫地になると珍しいシコタンハコベリシリヒナゲシリシリリンドウ等が何とか崩壊を免れた危うい場所にかろうじ
て咲いていた。


  
 利尻避難小屋の横には携帯トイレブースがある          尾根をトラバース気味に登山道を進む

  
 ミソガワソウ                              ノコギリソウはとても多い

  
  オニシモツケ                             長官山を過ぎてからデカいイブキトラノオが多くなる

  
 登山道は良く整備されている                    尾根は長官山から少し右側にクランクしてその後左へ曲がる

   
 イワギキョウの咲く尾根を左へ登って行く          ミヤマアズマギク

  
イブキトラノオは赤紫色をしている                   ミヤマキオン


 イブキトラノオが風に揺れて気持ちの良い風景が広がる  左手に礼文島

  
    3棟目で最後のの携帯トイレブース             09時05分すぐトイレブースの上に9合目標識た立つ

  
 さすが北海道 谷に雪渓が残っています             北海道の本島には山に雲がかかっている

  
    シコタンハコベ〜                           山頂へ向かって崩壊気味の急斜面が続く


      眼下に見える鴛泊(おしどまり)のペシ岬が高度感を持って眺められる


  崩れやすい土質の山頂部は登山道の整備も大変だろうなぁ

  
   リシリヒナゲシ                             シコタンハコベ


   お〜〜 リシリヒナゲシが崩壊地ギリギリの場所に咲いていた


    シコタンハコベも同じような危うい場所に咲き残っている

  
 エゾタカラコウ(トウゲブキ)                       リシリリンドウ

山頂部の岩が近づくにつれて右手の斜面崩壊が進んでおり、角材で登山道が階段状に整備されている。山頂手前の登山道乗越では
斜面の崩壊が特に激しく円筒形の土砂止めを施していた。そこを抜けると山頂は間近だ。

左手の雪渓が残る谷筋を見るとオレンジ色のボタンキンバイソウが群生していた。脆い砂礫の登山道にはリシリリンドウ、エゾ
ツツジ、リシリオウギ、コバイケイソウやチシマフウロが咲いている。


  
   ミヤマオグルマが咲き残っている 産毛が沢山付いている  両壁の崩壊が激しく円筒状のプラスチックで土の流れを防いでいる

  
 山頂へ最後の急傾斜を上る                   雪渓の残る谷ををズームするとボタンキンバイソウが群生していた

  
  コバイケイソウも有る                         エゾフウロも山頂直下に咲いている


  山頂直下から下側の肩部を振り返る 左手斜面が脆くて崩壊している。奥に礼文島 

  
       カンチコウゾリナ(寒地髪剃菜)               エゾツツジ

  
リシリオウギ (利尻黄耆) マメ科 (リシリゲンゲは上向きの花)       タカネナデシコ


利尻山 1,719m

10時20分右手にローソク岩を眺めながら高みを目指すと祠が立つ山頂へ着いた。さすが人気の山だけに沢山の登山者が「利尻
山神社奥宮」の祠近くで休憩されていた。記念写真を撮って貰った後、奥に進むと少し北峰より高い南峰とローソク岩が見えるが
ここは崩壊が激しい為に通行止めとなっている。

深田久弥が「島全体が一つの頂点に引き絞られて天に向かっている」と表現した様に山頂からは雲と海が広がる。しみじみとこん
な良い天気に利尻山へ登れたのはラッキーでしかないとつくづく思う。出発が早朝だったので早めの昼食を取り10時45分下山
を開始する。



         山頂の祠と右手にローソク岩


 山頂には利尻山神社奥宮の祠がある  祠の周りにには大勢の登山者が休憩されている

  
 神社近くの登山者が離れた隙に記念写真を撮って貰う    利尻山北峰から少し南へ下り振り返る 


        利尻山南峰とローソク岩  南峰は通行止めとなっている


            雲海が山腹から海上に延びている

  
山頂斜面にノコギリソウやイブキトラノオが風に揺れる 奥は礼文島  イワギキョウ越しに島の山から海を眺める


 10時45分 右手の北峰へ帰り下山する事にした

山頂〜鴛泊ルート〜北麓野営場 約3時間45分

赤茶けた火山性の崩れやすい土壌の登山道を滑らない様に気を付けながら下山していく。眼下に見える細長い礼文島には高い山が
無い事が良く分かる。


  
   さらば利尻岳                            崩壊気味の岩間を抜ける

  
  崩れやすい登山道の補修をされている方が居た      エゾタカラコウ(蝦夷宝香)=トウゲブキはメタカラコウの仲間

  
  ザレた斜面を下る 右下に鴛泊のペシ岬が見える       ミヤマキオンの脇を下る

長官山にある一等三角点「利尻山」 1,218.7m

12時00分「薬師如来」と刻まれた古びた石碑を通過する。長官山は昔「薬師山」と呼ばれていたらしい。暫く下ると8合目の
長官山石碑に着き最後の利尻山を振り返り眺める。

大きな石碑には「利尻岳 登り登れば雲湧きて 谿間(けいかん)遙けく 駒鳥乃鳴く
幡川詠」と刻まれている。谿間とは渓間と
も書き、谷合(たにあい)のこと。長官山の山名は当時の3代目北海道長官がここまで登ってきて山頂を眺めた後引き返した事か
ら名付けられたらしい。

地図を見るとこの近くに三角点があるので登山道を外れてハイマツの藪尾根沿いに入る。すると他の登山者から「そちらは登山道
と違いますよ」とアドバイスを受ける。「ハイ 三角点を探しますので・・・有り難うございます」と答えて藪っぽい尾根を進む
と一等三角点「利尻山」(1,218.7m)を発見する。



    長官山も下山中に眺めるとピークがはっきりしている

   
 長官山の手前に「薬師如来」の石碑があった            12時04分 8号目長官山の標識まで下って来た

  
長官山の歌碑から藪尾根を進むと三角点があった  一等三角点「利尻山」(1,218.7m)日本一不遇な一等三角点だろう

8合目石碑まで引き返して下山を続ける。後は良く整備された登山道を軽快に下り北麓野営場に15時丁度帰り着いた。

テントを撤収していると隣の登山者カップルから「フェリー乗り場までタクシー代をシェアしませんか?」と声を掛けられる。内
心1400円程だから別にシェアする程の金額ではなくコロナの時期でちょっと悩んだが、むげに断るのもそっけないのでこの名
古屋のカップルが呼んだタクシーで鴛泊港へ帰る。


  
藪尾根三角点の外れまで出て下界を見渡す  礼文島が見える   12時18分歌碑まで引き返し登山道を下る

  
  急傾斜を下り13時7号目を通過する              更に20分程で6号目 山頂付近にガスがかかる

  
 ダケカンバの歩き易い登山道を下る                13時40分 五合目通過〜

  
ウメガサソウを下山時に見つける                    針葉樹林帯を歩く

  
 14時15分4合目まで下って来た                 甘露泉水の沢にかかる「乙女橋」を渡る

  
 遊歩道をテン場へ向かう                       15時00分 テン場へ帰り着く


  稚内へ向かうフェリーから利尻岳を何度も眺める

翌日「旭岳」に登る事に決めて大移動

天気予報を確認すると「てんくら」の翌日はAで翌々日から2日間Cで雨が続く。ここで3日のロスは全体のスケジュールを考え
ると大きいので少し無理をして翌日大雪山、旭岳へ登る事に決め稚内から旭川に夜通し突っ走る事にした、



   北海道百名山を巡るルート図  今回は2座目の利尻山 、 次の山は旭岳とする