2021年7月23日〜24日 (大山ユートピアお花畑を満喫の旅)
大山宝珠尾根コースを歩きユートピア避難小屋横でテント泊、天狗ヶ峰直下まで歩き三鈷峰を訪問
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 大神山神社〜宝珠尾根〜ユートピア避難小屋〜天狗ヶ峰直下〜三鈷峰〜宝珠尾根
雪が多い山陰の山には四国では見られない比較的広いお花畑が存在する。6月ならば一ノ沢、三ノ沢だが本格的な夏登山期は
ユートピア避難小屋付近のお花畑が見ごろとなる。
7月23日(金)大山公営駐車場〜大神山神社〜宝珠尾根〜ユートピア避難小屋(テント泊)
今回はユートピア避難小屋でテント泊計画なので11時頃大山駐車場に着きゆっくり出発する。大山寺山門を左手に進み700m
も続く石畳の参道を歩き11時40分「大神山神社」に着く。大神山神社は近くの大山寺隆盛の頃、僧兵修験の場所として利用
された場所だったとされている。昔は大山の事を「大神山」と呼ばれていたらしく神仏習合の時代だから修行僧が行き来していた
のだろう。ちなみに祭神は国造りの神様、大国主神らしい。
神社に参拝の後、大きな杉が立つ右手奥の宝珠登山道に入る。
珠越・ユートピア避難小屋」方面へ左折する。
12時50分宝珠尾根の取付き部「下宝珠越」に着いた。
11時過ぎに大山寺の参道を上がって行く 大山寺の山門前から左手に大神山神社の石畳参道に入る
700m続く石畳は日本一長いららしい 明治8年神仏分離令により大山寺から移設された「神門」
大神山神社奥宮は江戸時代後期に建てられた権現造りの立派な建物だ 神社の右手裏から登山道が始まる
分岐を標識案内に従い寂しそうな左手に進む 沢を利用したワイルドな登山道を進む
12時10分林道と交差する ここは沢沿いを真直ぐ進む 中宝珠越と上宝珠越に崩壊地があると注意喚起
トチバニンジンの実 ヤマアジサイはサワアジサイとも呼ばれているみたい
ワイルドな山道が続く ソバナが多く見られた
宝珠山に寄って見る
ザックをデポしていままで寄った事が無かった北側の宝珠山へ行く事にする。日帰りの時は気ぜわしいのでスキップしがちな場所
だが、1泊のスケジュールにするとこの宝珠尾根の起点になる場所へも寄ってみようと余裕がある。細目のブナが美しい尾根を進
むと13時05分「宝珠山」(1,183m)に着き、特徴の無いピークなので写真を撮って10分程で下宝珠越に引き返す。
宝珠山へ向かう登山道はブナ林が美しい
ホツツジ ヤマジノホトトギス
13時05分 「宝珠山」 1,183mに着く ここから北に中ノ原スキー場へ向かい登山道がある
13時15分下宝珠越に戻り南へ続く宝珠尾根を進む。この宝珠山から始まる宝珠尾根は西側、佐陀川上流に当たる「元谷」と東側。
阿弥陀川の上流部「剣谷」を分かつ分水嶺である。大山主峰の北壁は西側の夏山登山道となる尾根と、東側の宝珠尾根によって支え
られている恰好だ。
宝珠尾根登山道は大山北壁を眺めながら上宝珠越から剣谷源流部を東にトラバースして三鈷峰〜象ヶ鼻尾根の中程にあるユートピア
避難小屋の北側で尾根を乗り換える。
下宝珠越から暫くはブナの生える明確な登山道を進む。14時を過ぎた頃にロープが張られた崩壊地を通過して一旦尾根筋を
離れる様にコル部へ下った後、前方にある尾根の肩部へと上がって行く。この区間が登山道に岩が現われてワイルドな場所だ。
ガスが出て来て時々現れる大山南壁の全容が良く見えない。
14時35分前方の肩部に上がるとそこに「中宝珠越」の標識が置かれていた。地税図に中宝珠越と記されてている場所より
南側の肩部である。ここは冬にマーシーさん、伊予の鈍亀さん、結さん達と冬に弥山〜剣ヶ峰の縦走をした帰りに尾根を北に
真っ直ぐ進んでしまった苦い思い出の場所である。
下宝珠越から暫くはとても美しいブナ林の中をゆるやかに上って行く
時々霧が充満して来る 大山の稜線は見えない 最初の崩壊地が現れる
「中宝珠越」に上がると左手のユートピア避難小屋が見える様になる。15時05分上宝珠越手前で崩壊地に出る。ロープが
置かれた崩壊地の尾根を注意深く進むと峠部に出る。そこに「上宝珠越」の標識が置かれていた。以前確かここから砂滑り場
所へ下るルートがあったが、砂滑りの砂が無くなって危険と言う事で通行禁止のロープが張られている。
いよいよこの上宝珠越からは阿弥陀川の源流部の谷をユートピア避難小屋へ向かってトラバースするルートに入る。冬はここ
に雪崩が発生し危険個所となる場所だ。クガイソウやクサボタンを眺めながら歩き難い沢部を横切って行く。初めて気が付い
たのだがトラバースの中程に鉄製の大きな櫓がある事に気が付いた。帰りに寄ってみよう。
ロープが置かれた溶岩質の急斜面を上がる 14時36分 中宝珠越の峠部に着く
右前方にガスが飛んだ瞬間大山北壁が現れる 正面が剣ヶ峰の北側にあるという大屏風岩だろうか
左手前方に三鈷峰からユートピア避難小屋が見える 正面には天狗ヶ峰の北壁が見える
二つ目の崩壊地を進む 右手が切れ落ちている 峠(窓)の様な場所を抜ける
ここが宝珠尾根で一番危険な場所だろう 崩壊地を振り返る
15時15分 上宝珠越に着く 沢部に下りられない様にロープが設置 宝珠尾根は天狗ヶ峰まで突き上げている様だ
上宝珠越からトラバース路でユートピア小屋へ向かう 三鈷峰の北側も崩壊が激しく切れ落ちている
トラバース道も狭くて歩きにくい トラバース道の中程の上側に櫓(やぐら)が見えた
クサボタンがこのトラバース道に多く見られた ダイセンキャラボクも登山道に横たわる
16時30分ユートピア避難小屋に着きテントを設営する。どうも小屋周りには小石が沢山あって寝心地が悪そうだ。もし避難
小屋に誰も来なければゆったりと中で寝ようかとも考えていたが、テントを張っている時に大阪から二人の男性がやって来たの
で諦める。(当時大阪はコロナ感染者が大量発生していたのだ)
17時30分テント泊の準備を終えて、今度は象ヶ鼻方面のお花畑を散策する。しかし18時頃からガスが出て来たのでテント
へ帰る。雲が出て夕焼けもちょっとサエないし星空もガスや雲で出ず、おまけに強風でテントが揺れるしサッパリの大山の夜だ
った。
15時55分 三鈷峰〜ユートピア避難小屋分岐に着く クガイソウの群生が多い
ギボウシとコオニユリ アカショウマ ?
クガイソウが一番美しく風に揺れている
ユートピア避難小屋へ向かう 小屋の周りもお花畑になっている
16時25分 ユートピア避難小屋に着きテント泊の準備にとりかかる 大山主峰方面はガスがかかっている
最初小屋から離れた場所に張ったが強風の為避難小屋横に移動した 奥のテントは大阪から来た人の物 彼は強風の為小屋で寝た
17時35分 ユートピア避難小屋から上側のお花畑を見に出かける バックは三鈷峰
コオニユリとヤマアジサイ ダイセンオトギリ(蕾)、オトギリソウ、クルマバナ
象ヶ鼻と呼ばれるピークへ向かう
ダイセンオダマキ ミヤマダイモンジソウ
ホツツジ ミヤマカラマツソウ
ギボウシ アカモノは実になっていた
ホソバノヤマハハコ 大山に咲くのに何故かシコクフウロ
どうもすみません ヤマホタルブクロ
弓ヶ浜が霞む 右下の山は孝霊山 弓ヶ浜〜孝霊山〜三鈷峰
ガスと雲であまり美しい夕焼けにはならなかった
22個40分頃の弓ヶ浜 〜 同じ頃の三鈷峰
星空撮影は諦めて寝る テントはファイントラック カミナモノポールU テント本体870g ペグ等を入れても990g
2021年7月24日
ユートピア小屋〜天狗ヶ峰直下〜ユートピア小屋〜三鈷峰〜宝珠尾根〜大山公営駐車場
早朝4時頃目を覚ましテントの外を見る。星は余り見えないが天気は良さそうだ。朝日が矢筈ヶ山、甲ヶ山の向こうから昇って
来る。山で向かえる朝は実に爽快だ。薄雲がかかり余り良い写真は撮れなかったが雰囲気は楽しめる事が出来た。
05時 矢筈ヶ山、甲ヶ山の上空が少し焼けて来る水平線
05時15分 日本海から陽が上る 手前は甲ヶ山と矢筈ヶ山
05時26分 大山主峰に朝日が差し込む
剣ヶ峰へ向かうも天狗ヶ峰直下で尾根崩壊の為撤退〜
06時テントはそのままにして剣ヶ峰方面へと向かう。最近新たな崩壊があって天狗ヶ峰に行くのが難しいと聞いていたので
その現場を見てから判断しようと考えた。
尾根を進むと南側にある烏ヶ山の秀麗な形が現われて立ち止まる。三角錐に尖がった岩峰は不思議と魅力を感じる。コオニユリ
やギボウシ、クガイソウが朝の清々しい風を受けて揺れている。
ンジソウ、ホソバノヤマハハコなどが次々に出て来る。
が群生している。
大山は草地では別天地の様に花が咲き誇り、一方では山体崩壊の為草花すら寄せ付けない荒涼たる風景を形造っている。
07時過ぎに前方の左手が崩壊している尾根に出る。しかし暫くは右手に草地が残っているのでもう少し進んでみる。シモツケ
が鮮やかなピンクで荒々しい景色を和ませる。
とか右手の草地を頼りに小ピークに上がる。
上る事が出来ても下りが非常に危険だ。スマホ地図で位置を確認すると天狗ヶ峰の直下だった。
数年前に歩いた時には剣ヶ峰まで行けたのだが、この状態では危険と判断して07時30分引き返す。
06時 ユートピア避難小屋を出発 一応 剣ヶ峰を目指す
象ヶ鼻付近から目指す天狗ヶ峰、剣ヶ峰方面を眺める
ギボウシ、クガイソウの群生斜面の奥に烏ヶ山がカッコいい〜〜
コオニユリ 心が痛む看板を越えなければならない スミマセン
ホソバノヤマハハコ シモツケソウ
三鈷峰と風を受ける尾根に建つユートピア避難小屋 ここに避難小屋があるのは頼もしい
左手に槍尾根 急斜面を草や低木が崩壊を防いでいる 何故かキュウシュウコゴメグサとかダイセンコゴメグサとか呼ばれる
ダイセンオトギリ ダイモンジソウ
ダイセンオダマキ ホツツジ
北斜面に崩壊地が現れる 何だこりゃ 針山の斜面じゃ
元谷の駐車場が見える 奥が左、弓ヶ浜 中央 孝霊山 右手の尾根が宝珠尾根と中ノ原スキー場
左手ピークが三ノ峰、天狗ヶ峰を前ににて左手斜面の崩壊地が現れるがここは右斜面に草地がある
一か所左右が切れ落ちた難所があり気を付けて渡る 前方のピークへ上がると草地があって一安心だ
南側斜面の崩壊地をクリアして振り返る シモツケソウが多く見られた
左手の槍尾根を眺める 三ノ沢に登山者が立っている
先のピークまで細尾根を這い上がる 奥は天狗ヶ峰だ 何とか行けそうなんだが・・・・
小ピークの向こうに難所があった 写真で見るより歩く場所が左右に切れ落ちている 色々考えるがここを這い上がれても
下りが危険だ 無念だが天狗ヶ峰を眼前にして引き返す事にした
引き返した場所をカシミールのログでチェック 青線が三ノ沢ルート 天狗ヶ峰の直下で引き返している
07時30分 ユートピア避難小屋へ向かって引き返す
ダイセンオトギリと孝霊山、弓ヶ浜 お花畑を楽しみながら下る
北斜面の崩壊地を通過 08時08分 振子山、大休峠分岐を通過
三鈷峰へ
08時15分避難小屋に帰りテントを片づける。大阪の二人組が出発する所だったので挨拶をして別れる。08時40分避難
小屋を出発してすぐ分岐にザックを置き三鈷峰を目指す。三鈷峰も右手の草地がお花畑となっているが、左手斜面が崩壊して
切れ落ちておりのんびり歩ける場所では無かった。土曜日と行くこともあり数名の登山者と行き合った。
09時05分三鈷峰の山頂に着き周りを眺める。三鈷峰(さんこほう)は天狗ヶ峰から北東へ派生する尾根の最先端部に位置
する。勿論その北側には剣谷と東谷の間に尾根が少し続くのだが、北面の崩壊が激しく複雑な地形の崖となっておりとても歩
く対象の尾根では無い。
08時15分テン場に帰り片付けを済ませて出発 ヤマアジサイが良い紫色をしている
白いヤマアジサイを眺めながら深い草地を三鈷峰へ進む 振り返ると大山主峰はガスの中だった
三鈷峰n北側が崩壊して切れ落ちている その間際を登山道が山頂へ延びる (登山者が上から下りて来る)
三鈷峰上部n登山道を振り返る 崩壊が激しい ユートピア避難小屋が左上にかろうじて見える
09時00分 三鈷峰山頂に到着 辺りは霧でな〜〜んも見えない
09時35分分岐に帰り、トラバース路に出て昨日気になったモニュメントに寄って見る。遠くからみると三角点測量かなと
思っていたが近づくと結構デカい構造物だった。天辺にSAGの三角フラッグと横に「勝間ケルン」の鉄板が溶接されている。
後から調べると下関山岳会の創設者の一人である勝間健助氏が昭和28年1月4日にこの辺り(大山剱沢)で遭難されて、
山岳会が他の登山者の安全も込めてここに置かれたとの事だった。
ホツツジを眺めながらトラバース路を歩く 登山道の上側にあるデカいケルンに寄って見る
下関山岳会が設置した役員遭難の慰霊碑的な意味合いを込めて建てられたモニュメントだった
10時00分上宝珠越
が開けているので厳しい様子の大山北壁が良く見える。
上宝珠越を過ぎると登山道崩壊地を通過する この時間に下山って事は朝日を眺めに暗い内から上って来たのだろう
北側から見る大山主峰群は形が良く分からない 中央部が剣ヶ峰付近だろう
暫くワイルドな下りが続く 登山者の行き合いが難しい場所
10時25分一旦なだらかな肩部になる中宝珠越
下るルートが分かり辛くなる。無雪期だと岩が露出した急傾斜にロープが置かれているので道を見失う事は無い。この急傾斜を下りきる
とブナの樹が現れるがまだワイルドな尾根道が少し続く。
10時48分傾斜を下り切った場所に以前元谷へ下るクートが有ったらしくて、ここに大山遭難防止協会の「崩壊がひどく下降困難」の標識
が置かれていた。
中宝珠越を過ぎると左側の尾根が見え成なるので暫く三鈷峰の厳しい斜面とユートピア避難小屋(右端)を眺める
中宝珠越から急な岩傾斜が暫く続く ここは上りより下りに気を使う
ブナが現れて心が和む トラバース気味に下側の尾根に復帰して行く
10時48分 下側で尾根に復帰する ここに元谷へ下る旧ルートは通行困難の標識が置かれていた
大山宝珠尾根で最も美しい登山道を下宝珠越を目指して下る
11時22分下宝珠越
元谷登山道と合流して直ぐに「大神山神社
下宝珠尾根から元谷に向かって下る 一度林道と交差してそのまま谷沿いを下る
同じような谷筋を下る 12時10分元谷登山道と合流 急に登山者が増える
大神山神社にお参り後神門を下る 700mの長〜〜い石畳の参道を歩く 結構足にくる
普通日帰りコースをユートピア避難小屋で一泊してゆったりとお花畑や大山の自然に触れる事が出来た。
10年前のユートピア避難小屋から剣ヶ峰ピストンの記録は ここ