四国山脈縦走のフィナーレ 大川原高原から紀伊水道までを繋ぐ

(石鎚山系から剣山系を経て紀伊水道まで繋ぐ山旅の完成)


四国山脈 石鎚山系から剣山系を経て更に紀伊水道を繋ぐ山旅  

プロローグ

石鎚山系の西端にあたる皿ヶ峰連峰、引地山からスタートして石鎚山系〜剣山系を繋いで来た。その後、一ノ森から剣山スーパー
林道沿いの尾根を歩き、雲早山〜旭ヶ丸・大川原高原までを更に東へと足跡を繋いで来た。

いよいよ、大川原高原から紀伊水道を歩く最終章となった。地図を眺めて中津峰山〜平石山を経て勝浦川を渡る。橋近くから尾根
に取り付けば立江寺近くの尾根先端部まで繋がる。
そこへ自転車を置き、和田ノ鼻で紀伊水道にタッチして出発点の大川原高原ま
で帰る事に決めた。



 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 大河原高原から紀伊水道

2022年4月15日 電動アシスト自転車を積み昼に高松を出発。尾根歩き最終地近く(立江寺付近)に自転車をデポし、大川
原高原へ向かう。天候は寒波襲来で小雨と強風、おまけに霧とが相まって嵐の様相だった。強風を避けて茶店の一段下側にある駐
車場に車を留めるが、この日は車から出る事も出来ずに車中泊とする。


  
自転車を立江地区にデポする(写真は下山時の物)       前日の車中泊大川原高原は強風と霧と雨だった

 2022年4月16日(土)寒波 曇り後晴れ

大川原高原〜六郎山〜日ノ出山〜杖立山〜婆羅尾峠〜中津峰〜平石山〜朝立彦神社〜ビバーク地


 大川原高原 〜 中津峰山 GPSトラックログ図 (カシミールソフト使用)

夜通し強風で車が揺れていた。朝方になって雨は止んだ様だが、強風は収まらず車から出ると寒くてたまらない。テンションが爆
下がりになるが、前日の自転車デポの段取りをした事もあり意を決して防寒具に身を包み車から出る。



 寒くて中々車から出る事が出来なかった  朝日が出たので防寒着を羽織って車から出る

  
 旭ヶ丸方面はガスが掛かっている                 前回の続きで大川原高原の茶店前から06時10分スタート

大型集合風力発電施設の風車が立つ尾根歩き

 この付近には前回縦走時に苦労した風力発電施設15基が2009年2月から稼働している「大川原ウィンドファーム」(ユー
ラスエナジー社と四電エンジニアリング社の共同出資、ドイツシーメンス製1300kw出力 高さ60m)がある。

更に「ユーラス上勝神山ウィンドファーム」(ドイツ エネルコン社製 2,300kw出力x15基)2022年4月稼働が
ある。


当初、軽い気持ちで風車の立つ尾根を歩けば良いと考えていたのだが現実はそう甘くは無かった。風車の立つ敷地だけでなくそれ
に資材を運ぶ道路などで尾根が大規模に削られて「四国の道」はズタズタに分断されている。再生エネルギー設備と自然破壊の矛
盾を大いに味わされる縦走となる。

06時10分大川原高原茶店まで上がり、そこから紀伊水道までの旅をスタートする。低く垂れ込めた雲の下に広がる徳島の街が
何だか近そうに見える。
旭ヶ丸から東に続く六郎丸方面の尾根にも風力発電の風車が立ち並んでいる。強風の為かほぼ運転されて
無い様だ

06時20分アジサイが植わった急な斜面を大川原高原駐車場を示す看板が立つ下側の道路へ下り着く。ここから南の上勝町へ下
る道路があり以前行った慈眼寺の穴禅定の案内がある。


  
 2基並んだ奥に六郎山の電波塔が見える            1基目は道路の直ぐ横に立っている                   アジサイの遊歩道を下りて大川原高原を振り返る

道路の東側にデカい風車が尾根の真ん中に2つ並んでいるので尾根筋を進む。1基目の向こうは松と灌木藪の斜面ではあるが構わ
ず這い上がる。リョウブの藪を抜けると道路がありその向こうに2基目の風車が立っている。前回同様、今回も前途多難な尾根歩
きを強いられそうだ。風車の近くに「雷・台風・積雪時には風車付近には近づかないように」との注意書きがあるが、その社名を
見ると「大川原ウィンドファーム」となっている。どうやらこの風車は大川原ウィンドファームに属している様だ。どこから上勝
町・神山地区の風車になるんだろう?


  
2基目は近くに見えるが灌木藪の向こう側に有る         松や灌木の藪を抜けるとリョウブの尾根になる

  
 尾根を進むと道路が有り、その向こう側に2基目が立つ    管理者は大川原ウィンドファームになっている

06時27分道路横に遍路道が現われて嬉しくなる。直ぐに分岐があったので稜線に近い右手の道を選ぶ。所が稜線部に出ると何
故か道は無くなり、灌木帯を東に進むと植林帯のブル押し林道に下り立った。この林道を折り返して下がると06時43分結局舗
装道路の三叉路に出た。稜線部付近にに道路がある場合、無理に道を外して稜線を歩くのは結果として時間のロスになってしまう
場合が多いのだが心理的にはなるべく稜線部を歩きたくなるものだ。


  
 06時27分尾根に遊歩道があった                分岐を右に上がる (これは真直ぐ進む方が良かった)

    
直ぐに遊歩道は消えて尾根に上がって進む        すると林道に下り立った

  
 何か遠回りをした感じ・・・                      06時43分結局 尾根付近に続く道路に出た    

三叉路コル部からは左手の稜線に近い舗装道路を歩く。すると06時56分右手に風車が見え、すぐ横の道路沿いに「朝宮山」と
記されたコンクリートの標石が立っていた。ここは六郎山手前で稜線が北側へデベソの様に張り出した小さなピーク付近だった。


  
道路を進むと06時56分 風車近くを通る             風車近くに「朝宮山」の標石が立っている

  
 風車のプロペラは動いてはいない様だ             この辺りは北に尾根が張り出して、道路もそれに沿って曲がっている
 
 
轆轤山(六郎山)ろくろやま (三等三角点六郎丸 972.13m) 

朝宮山の小ピークを北側に回り込むとコル部にデカい標識が立っている。「佐那河内生き物ふれあいの里」と記されて近くに「エ
ナガの森」があるらしい。明るくなって鳥の囀(さえず)りが聞こえるがエナガの鳴き声は知らない。07時02分道路から外れ
て右手、六郎山への山道に入る。

リョウブなどが生えた広い稜線部を15分登ると大きな電波塔が数本立つ山頂部へ着いた。電波塔・中継局施設の左手、木立の中
に延びる稜線部を進むと07時21分轆轤山(六郎山)三角点に着いた。国土地理院の地形図には「六郎山(轆轤山)」と記さ
れているが、山頂標識は難しい漢の轆轤山が記されていた。同じ徳島県の那賀山地に六郎山(カロート山の近く)があるのでその
様に記されているのだろう。


この山付近にも昔、木地師が移り住んでいたのだろうか。阿波誌によると何でもこの山には経塚があって南側の集落、坂本から雨
乞いに訪れていたらしい。
六郎山からアセビの白い花が咲く稜線を6〜7分下ると車道に合流する。ここまで来ると青空も見えて
やっと寒さも和らぎダウンパーカーを脱ぐ。


  
「佐那河内村いきものふれあいの里」標識             07時02分 標識近くから右手の山道へ入る

  
 周囲に灌木の生い繁る尾根道をピークに向かう        車道分岐から15分程で電波塔の立つ山頂付近に着く

  
電波塔に沿って稜線を歩くと07時20分 轆轤山に着いた   山頂には石積みが有ったが祠では無かった


 本日最初の三等三角点「六郎丸」 972.13m  山頂標識には轆轤(ろくろ)山と記されていた  

  
 アセビの花が咲く尾根筋を下る                    リョウブ等の灌木帯を下る

  
 07時35分 道路へ下り付く                     前方に風車が2基見える 青空が現れ暖かくなる

前方のなだらかな稜線沿いに数基の風車が並ぶが羽根は回転していない様だ。「ユーラス上勝神山ウィンドファーム」の稼働は
丁度2022年4月となっているので稼働直前なのかも知れない。

2基目の風車の裏手にはネットが張れれて直接稜線に出れないのですこし左手から回り込んで荒れた植林帯の稜線部を進む。す
ると眼前に又2基の風車とその向こうに電波塔が現われた。どうも徳島県の最後の稜線歩きは現代ならではの風景となっている
様だ。


   
 風車の基部を抜ける やはり風車の胴体は太い          すると更に奥側へもう1基の風車が有った

  
 風車の裏手にはネットが張れれており迂回して尾根に出る   風車の電線に沿って伐採されているのだろう

07時50分電波塔の横を抜けると後ろ側にもう1基風車が控えていた。この辺りの稜線は風車工事の為に複雑な歩きが強いられ
る。リョウブの灌木帯を抜けると地形図には記載されていない道路に出る。従来の車道はこの辺りでは北側へ大きく迂回して付け
られているので、今歩いている道路は風車建設の為に付けられて道路だろう。案の定、直ぐに道路の左手に風車が見えた。

日ノ出山  四等三角点「日ノ出山」 846.79m

右手の稜線に三角点があるので新しく付けられて道路から分かれて尾根部を進む。すると08時05分「日ノ出山」三角点に
出合う。、まあ何の変哲もない尾根上のピークだが、このピークは支尾根が北に張り出している為に道路が大きく北側を迂回し
ている様だ。



  
 奥のピークに電波塔が立ち、その後ろ側にもう1基風車がある  電波塔のフェンス左手にある尾根筋を進む

  
 境界杭に沿って歩く                         風車の付近は尾根が不明になるがスマホ地図で右手に回り込む

  
 灌木藪を東の方角に進む                      藪が収まりホッとする

  
 08時コル部で風車管理道路に出て、右手の尾根筋に入る   08時05分 日ノ出山の山頂標識に到着する


 08時05分 四等三角点「日ノ出山」 846.79mに着く


三角点「日ノ出山」からは暫くリョウブの生えた尾根を進む。すると灌木の頭上に大きな風車が見えた。その後はずっとリョウブ
などの灌木が生えた尾根をドンドン東へと歩く。特に道は無いがスペースがあるのでほぼ問題無く歩ける。

杖立権現の手前に地形図で平らな尾根があるので少し心配していたがスマホ地図やテープなども残置されており問題無くクリア出
来た。尾根歩きで厄介なのは等高線が緩んだ場所で、高山だと四方同じ樹海で悩まされ、低山では藪に悩まされる。

  
 三角点から灌木藪っぽい尾根を進む         右手頭上に風車が見える 管理道路がありそうだが尾根を進む


  
リョウブなどの灌木が繁るが歩くスペースは有る       この辺りの尾根は等高線が緩んでいるので所々にテープも見られた

  
何じゃこりゃ? 自動車キーのお化けみたいにデカい   平な尾根は方向取りに気を遣う まあ、左手に道路があるから安心やけど

 
杖立山 三等三角点「大泉」 723.97m

 杖立山に近づくと植林帯が暫く現われ直ぐ消える。西側からのアプローチは緩やかな傾斜で08時50分「杖立山」に着いた。
三角点名の大泉は付近の集落名だと思われるが国土地理院の地図には載っていなかった。

この先の地形図を見ると東側に向かっては少し急斜面になっている。しかし杖立権現越まで来てこの杖立山へ上る人が昔から
多かったのか、アセビなどの灌木が生えた急傾斜を下って行くと下の方で一部石畳が残されていた。


  
 杖立山に近づくと少しの間植林帯が有った            山頂手前は又リョウブなどの灌木尾根となる


 08時50分 本日3座目の三等」三角点「大泉」723.97m  山名は「杖立山」

  
杖立山から東は踏み跡がしっかり付いている           ありゃ? 石畳があるって事は歴史が古い山?

 
杖立峠・杖立権現越え

09時05分舗装道路に下り着くと礎石には「昭和58年度佐那河内村補助林道、大川原線舗装○○」とある。近くに古びた鳥居
が立ち、奥に「南 杖立峠、東 杖立権現を祀る」と刻まれている。辺りを探すがお堂などは見当たらず石組の祠があった。


杖立峠は古くから(西暦2〜3世紀頃)北側、佐那河内村・嵯峨(村下、栗見坂)と南側、勝浦町・坂本を結ばれた峠として使わ
れていたらしい。急傾斜の為に杖を突いて峠までやってきて、用済みになった杖を立てたと言うのが峠名の謂われで、これは全国
各地の急な峠に名前が残されている。この峠に杖立権現が祀られていた事から「杖立権現越え」とも呼ばれている様だ。

ちなみに地形図を見ると、北川のシャクナゲで有名な徳円寺まで車道が延びている様だ。このついでに杖立山へ上る人が居るから
東側斜面が登山道として歩かれているのだろう。

峠に環境庁・徳島県の「四国のみち」案内図があり見ると、杖立峠は三叉路になっている様だ。ここから尾根は北東に向き変えて
縦走尾根沿いに「四国のみち」を5.7km先にある婆羅尾峠まで歩ける様だ。ラッキー。

  
 09時05分道路に下り付く              大川原高原から尾根沿いを伝う林道「大川原線」


  
 林道の北側に鳥居が立っている                  杖立峠の標石が立つ


  鳥居の奥に石組がある  小さな手水鉢があるので杖立権現の祠と思われる


ここから東へ尾根伝いに婆羅尾峠まで四国のみちの「自然林を楽しむみち」が延びている様だ

 
坂本展望岩

09時13分、舗装道路の奥にある快適そうな「四国のみち」に入る。暫く広い道を進むと右手に何かありそうなので岩場に寄っ
てみると「坂本展望岩」の私設標識があり勝浦川の支流「坂本川」沿いの町が見渡せた。歩いて来た西側を見ると6基の風車と
2つのピークには電波塔が見える。ミツバツツジの咲く岩場から四国のみちに復帰して東へと進む。

ここからの「四国のみち」はコル部の度に尾根を少し外して北側や南側に付けられている。
シジュウカラの道、サシバの丘、ミソ
サザイの森、ヒガラの森、ホオジロの林と退屈しのぎに標識を眺めながら歩くと道が尾根の右手に移動して09時38分左手の山
側に石垣が並ぶ。この石垣の山手は自然林、右手の下側が植林帯になっている。石垣が終わると一面植林帯となった。


  
 カーブミラーで自撮りをしてみる                   快適な「四国のみち」に入る

  
最初は手摺や階段状に整備されている               植林帯も少し見られた

  
遊歩道から南側に何か有りそうなので寄り道してみる       勝浦川支流「坂本川」沿いの坂本地区が見える

  
 ミツバツツジの生える岩場には「坂本展望岩」の標識が有った  歩いて来た西側の風車群を眺める (ズーム写真)

  
 シジュウガラの森近くを抜けて                    ホオジロの森を通り

  
 サシバの丘、ミソザザイの森もあるでよ              ヒガラは堂山にも一杯おるわ

  
 09時38分石垣の積まれた道に入る               日陰の植林帯にはコケが生えている

久米山 四等三角点「栗見坂」 752.94m

 コル部からは登りの尾根道になり、10時00分何の変哲もない尾根上にあるピーク「久米山」に着いた。三角点名は「栗見坂」と言う北西山麓にある集落名から取られている。

   
 09時50分コル部から尾根道に入ると上り坂になる       10時00分 三角点がある


  「久米山」 四等三角点「栗見坂」 752.94m


尾根の複雑なターニングポイント


 久米山から婆羅尾峠までの複雑な尾根 (カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図)

さて久米山の先には地形的な難所、ターニングポイントがある。事前にジオグラフィカにはそのポイントにマークを入れている。
つまりそれまでほぼ北の方角へ進んでいたのが、このポイントで南東側に方向転換をする複雑なルートになっている。北側には
支尾根が二つも延びているこの難所部へ10時20分頃近づくと植林帯となり、その間に明確な道が付けられているので迷う心
配が無かった。もしここに「四国のみち」が無かったならば大いに迷う場所である。

 10時27分林道が交差する場所にやって来た。さて?と辺りを探すとちょっと見えにくい場所に「四国のみち」標識があって
ここも問題無く通過出来た。「取り越し苦労」って言葉があるが、嬉しい誤算である。逆に地形図では何の問題も無いと思われた
尾根が迷い易かったり、とんでもない岩場があったりする事もある。

その後も林道が交差して尾根が曲がりくねった道が続くが、ひたすら尾根をショートカットせずに「四国のみち」を歩く。

  
 久米山からなだらかに尾根を下って行く        10時20分 尾根ターニングポイントの植林帯

  
10時27分 三差路に出て標識に従い細い方の道を進む  四国のみち標識が無かったらこの細い道には進みにくかった

  
 所々に整備された道が出て来る            10時55分ここも標識に従って右手の道へ入る

  
 婆羅尾峠まで1.7kmまで来た           難しいターニングポイントには標識にマークが記されていた

  
 綺麗な道でもルートが合っているか確認しながら歩く   11時20分 又左折マークが記された標識がある

 11時25分四国のみち標識があり婆羅尾峠0.8kmとある。尾根沿いにテープがあったのでここは尾根を進んでみる事にし
た。赤テープはあるもののこの尾根は「四国のみち」では無かったが結構にはスペースがあって歩くのに苦労は無かった。する
と11時40分四国電力「三渓(みたに)線46番鉄塔」に出る。地形図を追うと南側の勝浦川沿いの三渓(みたに)集落近く
に小規模な発電所から電線が延びて北側の佐那河内で他の線と合流している様だった。


  
 婆羅尾峠まで0.8km もう直ぐだ         テープに従い境界杭がある尾根に進む

  
 四国のみちを歩いた方が良かったかな?       11時40分四電「三渓(みたに)線46番鉄塔」に着く

 

婆羅尾(ばらお)休憩所と四等三角点「婆羅尾」526.87m

鉄塔を下るとススキが生えた平地に出る。右手の山際に東屋が見えるのでツルギキョウが蔓延る藪を突っ切り進むと11時50分
「四国のみち」沿いにある「婆羅尾休憩所」に着いた。峠の南緩斜面に広がる婆羅尾(ばらお)の地名はイバラが多い尾根から付
けられた説が有力。

婆羅尾峠は南側の勝浦町と北側の徳島市を結んだ峠で、勝浦川沿いの中山地区辺りから支流「婆羅尾谷川」沿いを通り峠に出て、
北側の「八多(はた)五滝」で有名な八多(はた)川沿いを徳島の丈六方面へと続く。ちなみにこの八多川も勝浦川に流れ込ん
でいる。
 東屋の向かって左手には擬木階段があり、こちらが本来の道で小さな谷には水が流れており昔は大切な水場だったのだろ
う。

三角点が近くにあるので探すが、道路際のこんな場所には大きな粗大ごみが散乱しており人間の浅ましさを感じる。藪化したスス
キが生えた荒地をフェンスに沿って探すと何とか四等三角点「婆羅尾」を見つける事が出来た。
地形図を見ると、峠の南側には平
地が広がっており、恐らくその辺りがススキの名所であった婆羅尾高原だと思われる。

 12時05分林道婆羅尾線(舗装道路)を横切って徳島県の境界杭が立つ尾根へ向かう。違う方角に並ぶ二つの小ピークでルート
取りが難しい荒れた尾根を突っ切り20分程で南側にて分岐している林道婆羅尾線の舗装道路に出る。みんなこんな場所では道路
を歩いているのだろうなぁ。


  
 鉄塔から尾根を少し下る                       ススキ(カヤ)の生えた平地に出た 右奥に東屋が見える

  
11時48分 右手奥に見えた東屋「婆羅尾休憩所」に着く  裏手に本道(四国のみち)があった 

    
 ちゃんとした四国の道があった 水場もあり     サギゴケは珍しくない花だが、この山行では貴重な存在



 婆羅尾休憩所付近の平地から三渓(みたに)線46番鉄塔を振り返る 右手のカヤ藪へ入り三角点を探す

    
人間の浅はかな所業 何でわざわざここまで運んで捨てる?   粗大ごみの裏側のカヤ藪に四等三角点「婆羅尾」を発見する


中津峰登山口

 峠から南側へ舗装道路が回り込んでいるが、ここは舗装道路を横切って正面の荒れて折れ曲がった複雑な尾根に取り付き、植林帯
を抜けると12時45分中津峰山の西側を巻く舗装道路に出た。婆羅尾峠からここまでの尾根は特に道も無かった。
道路の向かい
に擬木階段が設置されており、ここが中津峰登山口となっている様だ。


  
12時05分擁壁に沿って尾根に取り付いて行く           ちょっと荒れた尾根筋で道は無かった

  
 尾根を間違いながら東へ進む                    12時23分 南側から回り込んだ道路に一旦出る

  
 12時24分直ぐに道路の反対側にある尾根に取り付く     道は無いが赤テープが見られたので歩く物好きも居る様だ

  
一応境界杭は有るので徳島市と勝浦町の境界尾根だろう   12時45分上側の道路に出る ここが中津峰山の登山口になっている

 12時45分快適な遊歩道へ入る。朝猛烈に寒かったが、ここに来ると陽が燦々と照りつけて暑くなり衣服調整をする。ボタン
桜が咲く遊歩道から西側を眺めると尾根の向こうに出発点の大川嶺が立ち並ぶ風車で確認出来る。既に結構な距離を歩いて来た
ものだ。


  
左が公園で右が金谷、正面に中津峰山、後方に「ばらお峠」  快適な遊歩道が中津峰山へと向かう


 正面奥の飛び出たピークが轆轤山(六郎山)でその右奥が大川原高原・旭ヶ丸  手前の尾根は杖立山(左)への尾根 


 出発点をズームアップする  真ん中奥が大川原高原の風車群

  
 まさに遊歩道然の整備された道を上がる             13時06分 展望台に着く

  
 展望台付近は木を植えたらアカンじょ〜             前回歩いた雲早山付近の尾根筋が奥に見られた

中津峰山 二等三角点「中津峰」 772.92m

 13時07分展望台に上がって眺めるが、周囲の植林帯の背丈が延びて展望は今一つだった。植林帯の中に整備された階段状
の遊歩道が続く。自然林に代わると13時22分中津峰山の三角点に着く。記念写真を撮って山頂広場を覗くと多くの登山者で
賑わっていた。いままで孤独な歩きをして来たので何か人間に会うと安心感がある。


先程通過してきた婆羅尾峠が徳島市内で標高が最も高い峠であったのだが、ここ中津峰山は徳島市での最高峰となっている。
中津峰山は四国百名山になっているので過去2度程如意輪寺から八多(はた)五滝を絡めて登った事がある。

中津峰山は徳島と小松島の境に有る海沿いの「日ノ峰」(191m)、阿南市にある「津乃峰」(284m)と共に昔から阿波
三峰(さんぽう)と呼ばれていたそうなので恐らく宗教的な意味合いが強い山だったのだろう。

石門を潜り「天津(あまつ)神社」にお参りする。
天津神社は九曜二十八宿の星々と総鎮守の三十八社大権現が祀られた欲張
り贅沢三昧の神社だ。


  
13時15分尾根筋分岐に着く 右手に近道登山口 左が中津峰山へ 他にもシャクナゲ園への道もある様だ


 13時22分 中津峰山の二等三角点に着く (点名は同じ) 

  
 神社の石組が特徴的な中津峯山                 石門を潜って境内に入る

  
 天津神社であまたの神様にお参りをする              石門を潜って縦走路へ出る


平石山から勝浦川へ

平石山天津神社を出ると直ぐに四国のみち、北側の「如意輪寺」と南側の「星ノ岩屋」への分岐標識が立つ。立石山への縦走尾
根方向には「一風新道」の標識があり、このルートは縦走尾根の途中から金谷登山口へ至る様だ。山頂から5分程東へ下ると
大展望岩があった。ここからの眺めは素晴らしく次に進む平石山や今回のゴールとなる小松島の和田島も一望出来る。


  
「四国のみち」は尾根の南北に分かれる              縦走尾根方向には「一風新道」の標識が立つ

  
 中津峰山を下ると素晴らしい岩展望所があった         明日ゴールする紀伊水道「和田島」が見える


             中津峰山展望所から紀伊水道への山並み


  那賀川を渡った先の里山尾根と自転車デポ地、ゴールの和田ノ鼻を眺める

徳島特有の白っぽい岩(珪岩?)が並ぶ尾根を下って行くとやがて植林帯と自然林との混合尾根となる。古い境界標石が立って
いるが文字が風化して全く読めない。石碑は木製より相当風化に強いが、それとて幾星霜の月日が立てば彫られた文字が読めな
くなる。

美しい灌木帯を遅い昼食のおにぎりを食べながら歩く。大体私の個人山行では食事休憩も含めて休憩は特に取らない。ゆっくり
しか歩けないから休憩時間を惜しんで距離を稼がなければならない。

再び植林帯に入ると「生比奈財産区」とある。「生比奈」(いくひな)は南側、勝浦中央橋を渡った右岸付近にある法人名で
ある。14時06分「一風新道」分岐を通過する。前方に白い岩があり、分岐にある生比奈財産区の貼り紙に「平石山は(前方
の)岩を超えて行く」とのラベルが貼られていた。


  
 徳島特有の白っぽい岩 奥に平石山               途中から樹林帯に入る

  
 刻まれた文字が見えない標石                   こう言う尾根道は最高です!

  
 お昼ご飯は歩きながら食べる紅サケ昆布おにぎり        平石山だけに平たい岩も尾根にある

平石山 三等三角点「沼江」 648.77m

一風新道の分岐を過ぎると茶色い岩に平石山方角を示す白ペンキの矢印が描かれている。植林帯がメインの尾根を東に進むと
14時35分「平石山」の三角点ピークに着いた。植林帯の中にあるので行きずりの尾根って感じだ。点名「沼江」は今から
下って行く稜線上に付近にある集落名から取られている様だ。(国土地理院の地形図にはその記載はない)


  
 生比奈財産区の張り紙に「平石山は岩を超えていく」とある   一風新道分岐(左は金谷)、平石山は直進(岩にペンキ有り)

  
 歩き易い尾根が続く                          平石山が近づくと植林帯となる


 14時30分 平石山に着いた  三等三角点「沼江」 648.77m

平石山から勝浦川への詰めが難しい

平石山を過ぎると岩が点在する尾根になり、先で南北に尾根が二又に分かれる。縦走ルートは方角が南(南東)へ振って鉄塔沿いに
下る様になっている。北側へ向かう支尾根があるので気を付けながら歩くと平石山から15分弱で四電「阿南火力線41番鉄塔
に着く。この電線は阿南市橘にある火力発電所からの送電線で那賀川〜勝浦川を越えてここまで来て、更に徳島眉山付近の変電所ま
で延びている様だ。

暫くこの送電線に沿って東南へ40番鉄塔へ急斜面を下る。15時16分「39番鉄塔」まで下ると、ここから鉄塔とお別れして東
へ延びる尾根に乗る。
 

         
平石山を過ぎて相変わらず岩と植林帯を進む         尾根分岐付近では境界石や赤テープをチェック

  
   右手の鉄塔41番へ向かう                     「阿南火力線41番鉄塔」を通過して南へ下る

  
 前方に阿南市が見える                        「阿南火力線40番鉄塔」を確認

  
 「生比奈(いくひな)第一県行造林」
 の標識        尾根の二又分岐を左側、東の方角に進む  

  
 ターニングポイントの「阿南火力線39番鉄塔」    東の尾根方向に踏み跡が有りホッとする

朝立(あさだて)彦神社 四等三角点「小竹」 323.87m

 39番鉄塔から前方は急斜面となっており、尾根はここで右(南西方角)と左(南東から東へ)に分かれる。ここは左手(東
側)の尾根に続く踏み跡を辿る。10分程で尾根方面の朝立彦神社とトラバース路に分岐している。途中までトラバース路を下
るが神社とその奥にある三角点が気になって斜面を這い上がり訪問する事にした。

15時36分「朝立彦神社」の境内に入る。山の中としては中々立派な神社だ。左手(北側)には大きな鳥居から参拝道の石
段が延びている。この神社は昔護王権現と呼ばれて地元民から雨乞いの御利益があるとお参りされていたらしく、案内図を見る
と相撲場もあった様だ。

明治4年に朝立彦神社に改名されたとの事。朝立(あさだて)とは朝方降る雨の事らしい。別な男性特有ご利益を想像したが違
っていた。神社境内の東奥へ細長い芝生の平地が続く。その外れに三角点「小竹」を見つける。点名の小竹は北側山麓の集落
名から取らている。


  
 平らな尾根の曲がり角に出た    トラバース道があったので暫く進むが、途中から朝立(彦)神社へ斜面を這い上がる

  
 山の中に立派な神社がある 15時36分朝立彦神社に到着     元気に朝立ちのご利益を願ってお参りする

  
由緒を見ると夕立に対する朝方降る雨を朝立と呼ぶらしい   神社の北側に鳥居から参道が下っていた (これを下るべきだった)

    
 神社名の刻まれた大きな石碑が立つ          奥に向かって芝生の心地よい広場が延びる


 四等三角点「小竹」  323.87m は朝立彦神社裏手の広場に有った


 展望所から左が小竹集落、正面の山が削られた場所が勝浦川を渡って取り付く尾根筋だ (尾根が削られているぞ)

ここで大いに悩む。この平らな芝生地は絶好のビバーク地なのだ。10分程行ったり戻ったりしながら叉悩む。時刻は16時な
のでまだ陽が高く1時間半程は歩けそうなのだ。先がまだ数日間歩くのであれば当然ここでテン泊とするのだが、先に進めばそ
れだけ翌日の自転車でのリターンに余裕が出る。ここは思い切って先に進む事にした。


岩尾根、藪尾根、放棄畑に手こずる (川を挟んだ縦走の難しさ)

(ここは朝立彦神社参道を下るのが正解だった) 


勝浦川を渡る両岸の境界尾根は、他の川を挟む縦走同様 橋の場所や尾根の状態からルート取りの難所となる

朝立彦神社にある鳥居から小竹集落への快適な参道を下る誘惑に駆られるが、又悩んだ末にここは出来るだけ尾根筋を歩こうと
決める。16時05分先刻神社に這い上がるまで下りかけていたトラバース路へショートカットで合流する。地形図を見るとこ
のトラバース路は記載されていないし、先の尾根に崖マークが記されている。でも明らかに道が尾根に沿って右手を下っている
ので進むが途中から岩場となり道が消えてしまった。仕方なく崖斜面を這い上がって16時30分崖筋に上がる。

ところが、そこから尾根を下ろうとするが灌木ヤブと崖で到底下れそうにも無い。ぶっつけ本番の旅では往々にしてこんなトラ
ブルに遭遇する。仕方なく左手の集落(小竹集落の南側)へと無理して下る。30分程放棄果樹園のイノシシ柵の洗礼を浴びな
がら民家の裏庭に出るが飼い犬がじっとこっちを見ている。これ以上進んだらワンワン吠えるに違いない。又上に登り返して谷
筋から迂回して集落の農道筋に下り着く。

  
16時 尾根の南側に延びるトラバース路に復帰して暫く歩く     10分程で道が無くなり岩場になった

   
仕方なく荒れた斜面を尾根へ這い上がる             16時30分尾根に上がるが岩場と下側が藪で下れない

  
仕方なく藪を漕いで左手の集落へ向かう              モノレールがあったのでこれに沿って歩く

  
 イノシシ柵が万里の長城の如く水平に何処までも延びるので乗り越える  出来るだけ静か〜に民家方向に下る

  
 17時02分 神社から1時間かけて何とか農道に出た様だ  あ〜〜あ こんな事なら神社の参道を下りるんだった・・・

  
 正面上のこんもりした左手から斜面を下って来た        朝立彦神社への案内標識 (1.4kmとある)  

トホホなビバーク地 (道路脇)

歩く途中で農作業をしている男性に勝浦川へ出る山際の近道を訪ねるが川に下ると道が無いので無理だと言う。仕方なく朝立彦神社
の標識を恨めしそうに眺めながら道路を下り、17時30分道路が山際に広くなった場所でビバークを決める。

これ以上下ると民家が増えてビバーク場所が無くなる恐れがあったのだ。それにしても朝立彦神社の芝生広場と道路端の差は大きい。
上部の山際にも少し民家があり軽四トラックが珍しいテント泊風景をスピードを緩て眺め去る。


  
 道路の広い駐車スペースにテントを貼る              お月さんが眺められただけでも幸せか〜

 
 モンベル ドームシェルターII 860g シングルウォール 中央アルプス、剱岳、白山でもこれを使った


2022年4月17日(日)晴れ

ビバーク地(小竹)〜勝浦川(橋)〜石原〜湯谷〜東谷〜立江〜(自転車)〜和田島=紀伊水道
更に和田島から自転車で大川原高原
まで

 ビバーク地を片づけて06時15分道路を勝浦川へ向かう。徳島市と勝浦町の境界尾根は岩場と土砂採取場がある為に迂回して小竹
集落から道路を下り勝浦川に架かる欄干の無い橋を渡る。


勝浦川

思えば勝浦川の水源に当たる雲早山からこの縦走後半が始まり、常に尾根の南側を流れていた。杖立山辺りまでの尾根は園瀬川(北
側)と勝浦川(南側)の分水嶺だったが、婆羅尾峠辺りからは北側の八多(はた)川も勝浦川水系となる。つまり今から渡る橋下を
流れる勝浦川は尾根を横切って北に流れを変え丈六付近で八多(はた)川と合流して論田(ろんでん)・津田辺りで紀伊水道に流れ
込む。

地形図を見る限り川が北へ変進する「沼江」辺りで那賀川と合流しそうな感じなのだが、ちゃんとそこには低いながら分水嶺が存在
する。川の流れとは不思議な物だ。

勝浦川にかかる新浜勝浦線道路の橋は欄干が無い。名前も分からないその橋を渡りながら西側の境界尾根を眺める。いかにも下るの
は無理だった。万が一勝浦川まで下った所でそこから橋までの道は有りそうに見えない。あそこを下らなくて良かったとつくづく思
った。

  
 テントの中身をザックに積めて06時テン場(?)を出発  シャガの花が朝日を浴びる

  
 道路をショートカットして勝浦川へ向かう    奥の牛屋谷から流れる小橋を渡る この辺りは「日ノ浦」という地名

  
朝立彦神社付近は「東山渓県立自然公園」になっている  06時40分 欄干の無い勝浦川に架かる橋を渡る


 橋から当初下りる予定だった境界尾根(右奥の斜面)を見て「あそこを下らなくて良かった・・・」と思う



勝浦川を渡った後、立江まで油断のならない里山尾根


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 縦走最後の里山尾根

 
勝浦川を渡って続きの尾根は無い!? 土砂採取現場になっていた

さて、これから立江までの尾根は里山になるので藪漕ぎの覚悟をする。又、尾根へのとっかかりの境界付近も土砂採取現場になって
いるので手前から適当に稜線部まで取り付いて行かなければならない。

勝浦川右岸の県道16号線(徳島上那賀線)に出て、06時43分向かいの西分集落から適当に山へと入る。7〜8分で道路を横切
り前方の細道を進む。この道も直ぐに上側にある工事現場で終わり、ここから藪を漕ぐと更に上部で竹藪に出て苦労しながら歩く。
07時15分突然土砂採取現場の道路に出てしまう。日曜日なので誰も居らず、もう藪歩きは面倒なのでこの道路に沿って最上部ま
で指差し安全確認をしながら歩かせて頂く。

07時40分土砂採取場の最上部から尾根に取り付いて眼下を眺める。まるで香川の五夜嶽と同じような段々になった土砂採取現場
が広がる。勝浦川を挟んだ対岸には平石山と中腹に朝立彦神社辺り、更にその下の歩こうとした境界尾根は別な土砂採取作業の為に
鋭く切れ落ちていた。結果的に小竹集落へ迂回して正解だった。もっと言えば、朝立彦神社から参道を下るべきだった。


  
 前方に尾根上の傾斜が見えるが境界尾根は削られている   06時43分 適当に西分集落から山へ向かう

  
 畑の間を小道が山へと向かう これを利用させて貰う      放棄畑の石垣、この奥から藪になる

  
 一旦道路を横切る 奥の小道に入って行く            ブルドーザーが置かれた広場で道が切れて藪へ突入〜

  
 藪を抜けると又放棄畑の横を抜ける                あちゃ〜 竹藪

  
07時15分 土砂採取現場に出てしまった             向こうに見える尾根筋まで現場道路をこっそり歩かせて貰う

  
 今日は日曜日で作業はお休みでラッキー             平石山と手前に昨日下ろうとした境界尾根(サックリ割られている)

  
 まあこれも一種の山登りか〜 前方のピークを目指す     一番近い尾根に取り付いて這い上がる


取り付き尾根から昨日下った勝浦川の西側を眺めるの図  朝立彦神社から境界尾根は結果的に下れなかった

  
 勝浦川が徳島方面へ向かって山地を分けて流れて行く    やっとここで曲がりなりにも境界尾根に取り付いた事になる

 
四等三角点「石原」 243.78m

土砂採取現場の頂点から東へ向かい自然林や植林が混在する尾根を拾いながら08時15分四等三角点「石原」を踏む。三角点名は
南側にある集落名から取られている様だ。この里山尾根は小さいながら北の勝浦川と南の立江川との分水嶺になっている。

  

 境界尾根には道は無いが歩くスペースは十分だ         特に藪らしきものは無かった


 08時15分 四等三角点「石原」 243.78m に着く
 

リョウブの生えた細尾根を進むとこんな里山にヒトツバの生えた岩場となった。08時42分この細尾根を越えると尾根幅が少し広
くなり右手から林道が合流した。すると尾根に自動車が廃棄されている。里山は粗大ごみをわざわざ持って来て捨てる人があるが、
自動車をここまで運転して放棄する人の気が知れない。里山を歩くとつくづく人間の身勝手さを思い知る。


    
 三角点「石原」を過ぎるとリョウブの生えた細尾根になる     里山に珍しくヒトツバが生えた岩場が少しの間続く

  
 兎に角東へ続く尾根を確認しながら進む             こんな場所に車が捨てられていた

08時47分白いポールが立っており、地形図を見るとこれまでの徳島市と勝浦町の境界尾根がここから徳島市と小松島市の境界尾
根となる。それからも自然林と植林帯が現れる尾根をcスマホ地図を確認しながら東へと進む。09時05分地形図で南東へ下る尾
根に乗る場所を慎重にルートを選ぶ。すると09時20分道路に出た。この辺りには色んな道が交差しているので尾根筋を外さぬよ
う気を緩める事が出来ない。道路の分岐に悩みながら尾根筋を進むと09時24分二又に出て左手の高みへの道を選ぶ。

この辺りから東の立江へ向かう尾根は小松島市の単独になる。
しかし左手を選んだ道は徳島市と小松島市の境界尾根で北に向かって
行きやがて竹藪に突き当り元の分岐へと引き返す。色んな道が交差する里山は高い山とは別の意味で小さな苦労は尽きない。
 

  
 08時46分白いポールが立つ ここから徳島市と小松島市の境界尾根となる  自然林と植林が混在する

  
 時々 倒木などが出て来て刺激になる               こんな岩も単調な尾根歩きの退屈しのぎになる

  
 又 ヒトツバの岩場を抜ける                     09時07分 右へ下るルートを慎重に選ぶ

  
 こんな里山の尾根が厄介だ                  09時15分 道に出る 地形図を見ても道が一杯あるので逆に心配する

  
 むむっ 道が三つに分岐? 取り敢えず真直ぐ進んで正解だった  むむむっ これは尾根に近い左側を進んで間違いだった

  
5分後に元に帰り右手の道(小松島市の尾根)を進む  09時38分 尾根が南にズレる場所  ここは地形図を確認して右手を進む
 

四等三角点「湯谷」190.84m 

09時38分最後の道路と尾根が交差する場所から道を外れて東の尾根に入る。雑木の尾根を進み09時47分四等三角点「湯谷」
を踏む。三角点峰から次の小ピークに入ると猛烈な竹藪が待ち構えていた。この難所を過ぎると「徳島第四百五十連隊軍旗奉焼之
地」と言う記念碑が立っていた。第二次世界大戦末期の本土決戦に備えた四国防衛水際隊の解散時に隊旗をここで焼却したのだろう。

  
 道路から外れて尾根へ入る ここから暫く地形図には道路は無い  竹藪を暫く歩く


  09時47分 ちょっとワイルドな四等三角点「湯谷」 190.84m に着く

  
 ありゃ 里山の竹藪は手ごわいじょ〜         一旦竹藪を抜けると灌木藪になる

  
 きゃ〜 助けてぇ〜〜 恐るべし竹藪   竹藪を抜けてホッとすると「徳島歩兵第四百五十連隊軍旗奉焼之地」の石碑

当然道は無いものの尾根にはスペースがある自然林が続く。10時35分尾根が南東に振る場所に近づくとイノシシ捕獲の大きなオ
リが登場し、そこから南東方向に道があったので尾根を乗り間違いする事も無かった。暫く進むと竹藪の中の道が交差するので尾根
筋を選んで進む。タケノコ採りの軽トラを2台程見る


  
 暫くは平和な灌木帯を歩く                      こんな尾根が歩くには理想的だなぁ

  
  デカいイノシシの箱罠が置かれていた              10時37分ルートが南東に振る場所には道があり助かる

  
 快適な道を暫く歩く                          タケノコ採りの軽トラと2台程出合う

竹藪と壮絶な格闘

10時48分道が北側へ延びるので、右手の東側へ道を外して尾根へ入る。すると一つ竹藪をクリアしてほっとすると11時00分、
次の大竹藪が待っていた。地形図にも竹林マークが記された竹藪と10分程格闘するとやっと急に穏やかな尾根になり「イノシシえ
え加減にせえ」と書かれた看板が立って近くにはお地蔵さんが立ち並ぶ。 ここは何処?

   
地形図にある道路(実線)二又を尾根筋の右手に進む     10時48分 ここから道を外して尾根筋へ入る 竹藪だが仕方がない

  
   最初の竹藪を抜けてホッとする                 あんりゃ? 又出た〜〜

  
  辛い♪ つらいわ〜 ♪ 慰めな〜んて ♪          何とかヘロヘロになりながら竹藪を抜ける

  
 11時10分 まるで別天地 天国の様だ           「イノシシ ええかげんにせえ」とお遍路さんの絵が描かれている
 
 

四等三角点「東谷」 120.87m

 地形図から電線がこの辺りに通っているので何某かの道は期待していたのだが、まさかのお地蔵様が並ぶ遍路道に出るとは思わな
かった。後から調べるとここは立江寺奥ノ院「新四国八十八ヶ所」柴栗坂と呼ばれる場所だった。

竹藪から飛び出した場所から鉄塔保線路を兼ねた遍路道を下り11時16分、四電・阿南小松島線38番鉄塔に至る。ここのピーク
に縦走尾根最後の三角点「東谷」を踏む。点名は西南西にある集落名から取られている。

  
 竹藪から一変不思議な空間を歩く           お地蔵様が並ぶ下り坂

  

 立江寺奥の院「新四国八十八ヵ所」 柴栗坂            11時16分四電「阿南小松島線38番鉄塔」に着く


鉄塔のすぐ傍に四等三角点「東谷」 120.87m が有った  今回の尾根筋縦走路で踏んだ11基目で最後の三角点となる

さて、この鉄塔38番から東へ延びる最後の尾根歩きとなる。ここにも地形図には竹林マークがあるので心配していたが、先ほどの
遍路道が続いていた。助かる〜〜
 途中から神社の境内とその参道を伝って下りると11時40分道路近くの「景岩寺」に出た。

山際を走る県道28号線(阿南小松島線)をデポした自転車へ向かい11時50分有り難い電動アシスト自転車に辿り着く。

  
竹林の中にミニ八十八ヶ所の参道が続く              東に続く尾根伝いにこの遍路道が延びていた

  
 左手下に神社があったので寄ってみるが名前が読めなかった  神社の境内・参道を下る

  
 11時40分 縦走尾根を下りると「景岩寺」があった       山に沿って自転車をデポした場所まで道路を歩く

  
 天満神社の横を通過して北へ進む           11時50分 「江ノ上」地区に置いた自転車に着く


 配電設備の様な施設の金網にカギを2つ付けて繋いでおいた 予備電池も無事だった 安全な日本で良かった

いよいよフィナーレの紀伊水道へ


 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 縦走尾根最終地点〜和田島 (紀伊水道)

さて、ここからいよいよ紀伊水道に向かう。まあ山歩きがメインテーマだから平地は自転車で良かろうて。それに自転車が無ければ
車を置いた大川原高原まで帰れないのだ。和田島への行きがけの駄賃で途中にある二等三角点「能路寺山」25.7mへ向かう。
道が色々交差して中々目指すひょうたん島の様な小山に近づけなかったが何とか見つけて三角点を踏む。

その後、平地で目標物が無い為スマホ地図を頼りに和田島、海上自衛隊小松島航空基地の横を通り13時15分紀伊水道にタッチす
る。


  
あのひょっこりひょうたん島に三角点がある             又 竹藪の中かい!

  
12時27分 二等三角点「能路寺山」25.7mを踏む         一体どこが和田島なのかわからん! 

  
和田島にある海上自衛隊小松島航空基地を通過         デカいヘリコプターが3機程見えた 

  
 13時10分 ついに和田島にとうちゃこ〜〜            小松島湾の向こうは徳島で

  
今回使用のザック「おスプレー レヴィティ45」 800g      紀伊水道にタッチ〜〜〜


  「この浜寄せる大波はカリフォルニアの岸を打つ そいつぁ 剛毅だね〜♪」 このすぐ南側が太平洋だ

これを持って皿ヶ峰・引地山から石鎚山系〜剣山系〜更には天神山〜高城山〜雲早山〜大川原高原〜中津峰山を繋ぎ小松島市の和田
島で紀伊水道にタッチをする大プロジェクトは完成した。和田島の外れで感慨に浸りながらも、これから自転車で大川原高原に置い
た車まで帰らなければならない。



 和田島は正確に申せば瀬戸内海水域に入る まあ紀伊水道なんだから太平洋の入口って事で・・・

旅は未だ終わらな〜い  ♪

 14時50分和田島を後にして懐かしい小松島ルピア横を通り勝浦川に架かる「野上橋」を渡り八多川沿いの道路を遡る。途中から
川名が仕出川に代わり佐那河内村で園瀬川沿いの国道439号線へ入る。

15時58分新町のコンビニ「ファミマ」付近から「大川原高原」への標識に従って左折する。10分程走って少し道路が広い場所で
残量が切れかかったバッテリーを取り換える。そこから上り坂が続き、いくら電動アシスト自転車とは言え結構ペダルにかかる負荷は
大きい。左手の遠くに見えた風車が次第に近くの正面になるとバッテリーの使用量が坂道負荷の為減って行き残量が厳しくなる。

  
 13時30分 和田島を後にして大川原高原へ     昨日歩いていた縦走尾根を眺めながら佐那河内村へ向かう

  
 15時35分 佐那河内村に入る            あ〜〜 大川原高原はまだ遠い〜〜〜


      昨日縦走した尾根には風車が並ぶ

  
15時58分 国道438号線を大川原高原へ左折する    バッテリーが力尽く 予備に取り替える
標識に「嵯峨、大川原高原、徳円寺」方面とある

  
 16時40分 あ〜〜お尻が痛いよぉ〜〜       17時30分 取り替えたバッテリーも残量が少なくなる

  
道間違えた〜〜 旅行村管理棟袋小路から引き返す   バッテリー残量警告がピコピコ点滅しながら分岐に到着〜

何とか残量ランプがピコピコ点滅しながら18時00分デポした車に辿り着いた。和田島から3時間半ほどかかった。電動アシスト
自転車も文明の利器だが、法律でアシスト率の制限がある為に上り坂が続くと結構キツい。おまけに長時間の自転車走行はサドルが
硬いのでお尻が痛い〜〜の


  18時丁度に大川原高原にデポした車に辿り着く  



至極の文明の利器、内燃機関自動車のフカフカした座席に座り旭ヶ丸へ沈みゆく夕陽を眺める。さて次なる目標を考えなければ・・・

  
 充実した二日間をありがとう〜                  旭ヶ丸へ夕陽が沈む



四国の山岳縦走 総集編は  ここ

 
  エントツ山が歩いた四国の主な山岳上縦走図  今回は四国山脈の東端 大川原高原から和田島(紀伊水道)まで



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