関東日本百名山5座の旅   第四座は「雲取山」


  関東周辺の日本百名山5座 遠征図

2022年10月20日(木) 

雲取山(くもとりやま) 一等三角点「雲取山」 2,017.13m

登山口 : 鴨沢・小袖乗越   村営無料駐車場場 トイレ有り

アクセス: 大菩薩嶺からは青梅街道(国道411号線)を山梨県丹波山村へ
       東からは圏央道「日の出IC」から184号線〜31号線〜251号線、238号線を繋いで青梅街道(国道411号線)に入る

登山コース:小袖乗越〜七ッ石小屋〜七ッ石山〜(石尾根)〜小雲取山〜雲取山〜ブナ坂〜小袖乗越

行動時間: 上り 小袖乗越〜七ッ石小屋〜雲取山  約5時間40分
        下り 雲取山〜ブナ坂〜小袖乗越    約4時間00分  (昼食休憩30分は除く)


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 小袖乗越〜雲取山 登山ルート  全行程時間 10時間


行程1)小袖乗越〜七ッ石小屋〜七ッ石山(三等三角点七ッ石」) 約3時間30分

前日昼過ぎ、大菩薩嶺を下山してカーナビで雲取山登山口の鴨沢をセットする。後で地図を確認すると北側の青梅街道を東に進めば近かった
のだが、甲斐大和道の駅や原始村に寄ったって事は何だか遠回りを案内された様だ。

取り敢えず夕方前に鴨沢に着き、ヘヤピンカーブの細い車道を登山口駐車場の「小袖乗越」に着く。未舗装広場の村営駐車場には車が6,7台
留まっていて立派なトイレもある。下山してくる登山者に聞くと朝一番に出発したと言う。駐車場の端で車中泊とする。

翌10月20日05時前に起きて出発の準備をして薄暗い中05時過ぎに道路を登山口へと進む。登山口は前日明るい内に確認していたのでヘッド
ランプを頼りに歩き05時28分登山口へと入る。

「小袖」の地名は平将門が敗走途中でこの近くで行水をした所、急に夕立が振り出し慌てて着物を来て出発したのだが小袖を着るのを忘れて
そこに置いて行った事に由来するらしい。(小袖とは大袖の下に着る袖を絞った下着的な着衣の事)

最初は歩き易い植林帯や自然林の道で小袖集落跡と思われる廃屋や石垣が現れる。「平将門迷走ルート」と題された小袖についての説明板が
あり、村おこしの一貫で置かれているのだろう。登山道には痩せた土から植林の根っ子が一杯出て来てクネっている。

07時前に又平将門迷走ルート「風呂岩」が立っている。なんでもここで風呂を沸かして入った後、打ち壊した風呂の縁が岩に化身したと言われる
大きな岩が転がっていた。ここにも奥多摩湖の水源として東京都水道局の標柱が立てられていた。

07時12分登山道標識に「堂所」(どうところ)と書かれている場所を通過する。地図にも同じ様に記されているが、どうもここにお堂が立っていた
のだろう。高尾山の北西に堂所山ってのが有るがそことは関連が無い。そこから山道っぽい岩が多くなり高度が上がって行く様だ。その場所で左
手に富士山が初めて見えた。 富士山の手前にある山塊は地形図を見るに鴈ヶ腹擦山辺りだろうか

  
05時28分小袖登山口をヘッドランプで出発 未だ暗い     車道を少し歩いた場所に山際へ入る登山口がありそれを進む

  
 小袖集落跡、近くに石垣も有る              平将門が水浴び後夕立に遭い小袖を置き忘れて急いで旅だった場所らしい」

  
 植林の根っ子が登山道にくねる                   昔の石垣がこの辺りまで残っている

  
 やはり植林の根っ子が地表に出ている 右手は自然林     06時58分「風呂岩」平将門がここで風呂に入った場所

   
 平将門迷走ルート「風呂岩」の解説板                東京都水道局の標柱が立っている

  
 07時12分「堂所」(どうところ)標識を通過             07時30分初めて富士山が見えた
登山道の中間地点「マムシ岩」

富士山が見えると登山道が急角度に右へ曲がり少し荒れた山道となる。相変わらず植林帯が続くので見晴らしは無い。07時45分石灰岩が
転がる岩場が右手にあり「マムシ岩」と記された標識がある。丁度この場所が雲取山と小袖登山口との中間点らしく、山頂まで5.4km、登山
口まで5.4kmと記されている。 片道10.8kmだから往復で21.6kmもあるのか〜 こりゃ日帰りはキツい筈だ。

ブナ坂ルート分岐

右手が少し開けて山の斜面が紅葉して陽の光を浴びている。すると08時00分、分岐標識に出合う。左手はブナ坂経由雲取山、右手は七ツ石
山経由雲取山となっている。右手の標識には千本ツツジ・鷹ノ巣山と七ツ石小屋(水場・トイレ)とも記されている。

七ツ石小屋

ここは先ず七ツ石小屋へと進み、帰りにブナ坂ルートを下る事にする。広葉樹や草地の斜面を上がると08時15分「七ツ石小屋」に着いた。
ここは管理人は居るが素泊まり(四千円)とテント泊地(千円)となっている。初代管理人は嶋崎兵市氏でその後山梨県丹波山村の管理になっ
ている様だ。

小屋の裏手に回るとトイレ棟がある休憩所となっており富士山が良く見える。小屋の縁側では猫がのんびり日向ぼっこをしていて喉かな雰囲
気だ。水場のある沢筋を進むと七ツ石山と千本ツツジ・鷹ノ巣山・日原の分岐標識が立っている。ここは当然左手へと傾斜を上って行く。

石尾根縦走路

すると08時43分尾根筋に上がり着くと「石尾根縦走路」の標識が立っていた。左は七ツ石山・雲取山、右は鷹ノ巣山・日原と記されている。
ブナ林の明るく暖かそうな尾根を進むとカラマツ帯が現れた。ダケカンバとカラマツが高さを競っている。ここにも平将門迷走ルートの看板が
立っている。何でも平将門ら7人の藁人形が石に化身したというたわいもない話だ。

七ツ石神社と七ツ石山

山頂手前に神社の祠がある。七ツ石神社で平将門はここに祀られていた天児屋根命(あめのこやねのみこと)と日本武尊(やまとたけるの
みこと)に武運を祈ったという。 その後、平将門の影武者7人を祀ったり、山の神として山犬を祀ったりした神社で、数年前に崩れかかって
いたのを地元、丹波山村の村の文化財として2017年再建されたと言う。

神社の奥へ進むと木立の向こうにデカい大岩が確かに七ツ程ある。これが七ツ石神社のご神体だろう。この辺りからも富士山がカラマツ越し
に良く見える。

すると09時00分ダケカンバに囲まれた平らな七ツ石山に着いた。中央に三等三角点「七ツ石」1,757.33mがあり立派な山頂標石が
立っている。左奥にはこれから進む石尾根と雲取山が見える。


  
 すると登山道のヘアピンカーブとなって上へ進む         植林はあるものの結構岩が多い

  
07時45分石灰岩らしき岩がクネクネ固まっている (マムシ岩) 丁度ここが半分の行程となる (山頂5.4km、登山口5.4km)

  
08時00分丁度にブナ坂と七ッ石小屋との分岐に出合う     七ッ石小屋の右手に進むと小屋直下に出た


 08時15分「七ッ石小屋」に着く 素泊まり4,000円、テント泊1,000円との張り紙がある  裏手の広場に出てみる

  
 現在の管理者は山梨県丹波山村と記されている         猫が縁側で日向ぼっこをしていた


 小屋の裏手に出ると富士山が見えた 七ッ石小屋のウリは「富士山の見える山小屋」って事らしい  

         
 七ッ石小屋の裏手にはトイレ棟がある                 沢があるから水場もあるらしい

  
 沢の横を通って七ッ石山へと向かう                 分岐、右は千本ツツジ・鷹ノ巣山・日原方面へのルート

  
 石尾根に着き左へ進む  右手は鷹ノ巣山・日原へ        ブナ等の紅葉が美しい

  
 唐松林が現れた                            

  平将門迷走ルート解説板  平将門は神社にお参りして武蔵の国へ向かったと言う


 七ッ石神社  平将門のお供をし、岩に化身した武者七人の霊を祀ったとか、山の神、山犬=狼を祀っているとされる
 社殿は2017年丹波山村の村おこしとして再建し、村の文化財として登録されているらしい  (山犬の狛犬は社の中に置かれている)


  正確に数は数えなかったがこの岩だろう   何となく岩が七つ程木の向こうに見える


   カラマツの向こうに富士山が見える  大体いつも手前の山並みが同じ角度で見えた


 09時00分 七ッ石山に到着した  三等三角点「七ッ石」 1,757.33m  小袖登山口から約3時間30分で着いた

   
 立派な山頂標識が立っている                この辺りはブナが美しい


行程2) 七ッ石山〜雲取山  約 2時間10分

七ツ石山から少し尾根が左へ振りながらピークを下る。左手には三条ノ湯からの水無尾根が並び、雲取山で合流する様だ。その奥に富士山
から左へ続く山々が見えるのは恐らく丹沢山系だろう。09時20分尾根を下り切った所に「ブナ坂」分岐の標識が立っている。

ここにも平将門迷走ルートの看板があり、エピローグ話となって最後の立て札になっていた。その看板に雲取山3.3km 2時間と書かれて
いた。う〜〜ん まだ2時間もかかるのか〜 でも尾根の傾斜は緩く、広葉樹が日差しを浴びて所々にカエデの紅葉などを楽しみながらのど
かな歩きとなる。

  
 雲取山のピークが見える まだ遠い                 秩父山塊は全くお馴染みでは無い

  
 一旦尾根を左手に向かって下る                  09時20分 尾根を下り切った「ブナ坂」分岐に着く

  
ここで将門伝説ともお別れする 青梅の地名言われが書かれていた  なだらかに石尾根を雲取山へ向かう


  美しいブナの黄葉が続く  長い距離だが快適に歩く事が出来る


         唐松林の向こうに明日歩く丹沢の山々や富士山を眺める

雲取奥多摩小屋跡地

09時53分 尾根に広大な広場が現れた。恐らくここが雲取奥多摩小屋の撤去跡だろう。ここに山小屋とテント場があったが平成31年
(2019年)3月老朽化の為閉鎖になり、その後撤去されたのだろう。

その後もダケカンバやナナカマドも見られたが、ほぼカラマツ帯の尾根が山頂へ向かって続く。10時16分シラビソらしき針葉樹が出て来る。
その木に冨田新道への分岐標識がかけられて幹には鹿防護網が敷設されている。ここにも鹿が増えて問題になっているのだろうか。

カラマツの並木道の高度が上がり、振り返るとやはり富士山が山梨や神奈川の山並みの向こうに見える。右手には昨日上った大菩薩嶺も
見えているだろう。

冨田新道分岐と小雲取山(1,937m)

10時40分「冨田新道」との分岐標識に出合う。右手に野陣尾根伝いに日原へのルートがある様だ。そるとその近くの木に「小雲取山」の
標識が掛けられている。さしたるピークとも思えぬ場所を無理やり山名を付けた様にしか思えない。右手の野陣ノ頭(冨田新道側)との尾根
出合となっている場所だ。

更になだらかな尾根を進むと左手が少しザレ場になっており、作業員が近くの木を切って土砂崩壊を防ぐ保全作業が行われていた。作業
員の水や食料を入れた背負い籠が置かれていた。そこを抜けると前方に目指す雲取山のピークと避難小屋が見えた。

雲取山避難小屋と雲取山山頂

山頂直下の急傾斜を上がると11時03分避難小屋横の展望所に着いた。ここで休憩されている若い登山者に聞くと登山口から2時間半
程で着いたと言う。いでたちもハイキング風である。

11時10分 ゴチャゴチャした雲取山の山頂に着く。七ツ石山と同じ立派な山頂標識が立てられている。一等三角点「雲取山」2,017.13m
は当然立派なのだが、他にも古いがしっかりとした三角点の様な物が2基並んでいる。以前、六甲山のキセキさんからレポされた明治15年
に内務省地理局により設置された「原三角測点」だ。

山頂で初めてゆっくりと休憩を取り、海苔がセロハンの中に収納されて@ABの順番で引っ張ると海苔巻きおにぎりが成立するタイプだ。
今まで@の行程で最後まで線を引っ張り切らなかった為に失敗を重ねていた事に初めて気付いた。成程・・・雲取山で初めてこのシステムが
理解出来た。


  
 09時53分 雲取奥多摩小屋跡を通過(2019年3月閉鎖)   ナナカマドの実が沢山生っている

  
 ザレ気味の尾根を上がっていく                     七ッ石山を振り返る  唐松も多い

   
 10時15分 日原へ向かう冨田新道(右)分岐を通過        ダケカンバも時々現れる


  カラマツ帯に続く小石交じりの登山道を上がって行く

  
 10時40分 冨田新道への上側分岐が立っている        その近くに「小雲取山」標識が

  
 左手斜面がザレ場になっており何かの作業が行われていた  近くの木を切り出して斜面補強の作業をされていた

  
 やっとピーク近くに小屋が見える                  身軽な登山者が避難小屋近くのピークで休憩されていた


  11時10分 東京都最高峰 「雲取山」に着いた  色々賑やかそうな山頂だ事 小袖登山口から5時間40分かかった

  
 一等三角点「雲取山」 標高2,017.13m              明治15年12月 内務省地理局「原三角側点」


   富士山をバックに記念写真を撮って貰ったが・・・


行程3) 雲取山〜ブナ坂〜七ッ石小屋分〜小袖登山口 約 4時間

雲取山山頂でゆっくり昼食休憩を取り、11時40分避難小屋の中を覗いて下山する。雲取山は行程が長いので一泊二日で登られる登山者も
多いと山の本に書いてあったが、この山頂避難小屋は新しくて綺麗なので小屋泊まりも可能だと思った。小屋の中には奥多摩自然情報地図
が貼られていて縦横に登山道が延びている事が分かる。

眼下に広がるカラマツ帯を左右に分けて石尾根が七ツ岩山へと続いている。右手には富士山が見えて気持ちの良い歩きとなる。やはり時間
の余裕を持って早めに出発したのが良かった。カラマツの黄葉やカエデの紅葉を楽しみながらなだらかな尾根を下る。

  
 11時35分 山頂を後にする                     雲取山避難小屋へ寄り中を覗く  綺麗な小屋だ


  雲取山から石尾根を七ッ石山手前のブナ坂まで下る   カラマツ林やブナ林が稜線のサイドに並ぶ

  
 富士山を眺めながら石尾根を下る                   カラマツ林をどんどん下る

  
 前方のピークは七ッ石山  この手前から右手に下る       この季節花は無いけどキク科の毛でも


    キク科の毛玉を題材に富士山を撮る


               今度は紅葉を絡めた富士山を撮影

ブナ坂分岐

12時58分七ツ石山へのコル部に「ブナ坂」標識があり復路は七ツ石山には向かわず右手のトラバース道へと進む。ブナ坂と言われる自然林
が美しい巻き道を進むと13時10分七ツ石小屋への第一分岐標識と出合う。ここは当然小屋には上がらず真直ぐトラバース道を歩く。すると
斜面に岩が現れ谷部には木橋が架かっている。沢は滝となって上から水が落ちている。恐らくこの沢が上部で七ツ石小屋の水場になって
いるのだろう。

13時40分見覚えのある鉄製のブナ坂・雲取山分岐標識に着いた。ここからは朝歩いて来た尾根を下る事になる。

  
 12時58分 ブナ坂分岐から右手のトラバース道に進む     道はしっかりして問題は無い

  
 13時11分 最初の分岐標識に出合う               小袖・鴨沢への指標に従い右手に向かって下る

  
 トラバース斜面は自然林の中を歩く                沢に木橋が架かっている 上で七ッ石小屋の水場になっているおだろう

  
  木橋を渡ると小さな滝があった                 13時40分七ッ石小屋分岐に合流、ここからは上りに歩いた道となる

13時40分「登り尾根」と呼ばれる登山道に合流しどんどん下って行く。20分程でヘアピンカーブ標識を曲がると最後の富士山が見えた。
14時25分上から山頂でお会いしたトレラン風の元気な登山者が追いついて来た。雲取山の様な岩場も無い歩き易い登山道はトレラン
シューズで軽量ザックの方が良いかと思う。

植林帯の中でもご夫婦に追い抜かれた。最近は追い越されるのには慣れっこになって、後ろから足音が聞こえると広い場所で「お先に
どうぞ」と言うクセが板についてきた様だ。15時頃になると左手がザレ気味のトラバース道になり「滑落事故多発」の看板が立てられて
いる。

15時10分平将門迷走ルート「小袖」の看板と再会する。ここまで着たら登山口は近い。廃屋を過ぎると左手下に道路が見えて来た。
15時33分車道登山口に下り着く。道路脇には「丹波山村雲取山」の幟が沢山立っている。平将門「釜場のタワ」看板を過ぎて車に
帰り着いた。

距離は長いが歩き易い雲取山だった。

  
 石灰岩の岩場を通過                         ヘヤピンカーブの標識を過ぎると最初に富士山が見えた場所を通過

  
登山道はとても歩き易い状態だ                    山頂で会った若い人に後ろから追い抜かれた

  
 植林帯でもご夫婦に追い抜かれた                 この辺りに2件の滑落事故があったと張り紙があった

  
 15時10分 小袖についての謂れ解説板まで帰り着く      朝暗くて気付かなかったがお地蔵さんがあった          

  
 朝見た小袖集落の廃屋を通過                   この辺りでも滑落事故が起こっている様だ

  
 15時30分 登山口へ下り付いた                  朝、真っ暗な中で出発した登山口


雲取山から丹沢山へと向かう


 雲取山を下山後、高速道路を利用して次の日本百名山 丹沢山へ向かうルート図


移動の途中で東京都西多摩郡日の出町にある「生涯青春の湯 つるつる温泉」に入ってサッパリした後丹沢の登山口、大倉へ
向かう。一応東京さの近くにきたばってん、東京都の日帰り温泉にへいるべぇ

  
 下山後、東京都西多摩郡日の出町「つるつる温泉」へ     生涯青春の湯 860円 何せ東京都の温泉だ



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