関東百名山5座の旅 第二座は修験の山「両神山」
2022年10月関東方面 日本百名山5座の旅
両神山(りょうかみさん) 二等三角点「両神山」 1,723.33m
登山口:「日向大谷口(ひなたおおやぐち)」 (駐車場は民宿両神山荘付近に無料・有料駐車場有り 登山口にトイレ有り
アクセス:関越自動車道「花園IC」下車し国道140号線を秩父・寄居方面へ、荒川を越えて県道37号線へ進み最後に県道
279号線に入り寂しい山間の道に入って行くと日向大谷口へ着く カーナビで「日向大谷口」を検索したら案内候補に有った
登山コース:日向大谷登山口〜会所(七滝沢分岐)〜八海山〜清滝小屋〜両神神社〜両神山 (往復)
行動時間 : 上り 約4時間40分 下り 約3時間50分 合計 約 8時間30分
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 日向大谷口〜両神山 往復 ログ図
2022年10月15日長野県(小諸市)と群馬県(嬬恋村)県境にある浅間山に上った後、上信越自動車道〜関越自動車道を
通り埼玉県小鹿野町にある両神山へ向かった。東京湾に流れ込む荒川の源流部でもある薄川を遡ってワイルドな尾根に取り付く
修験の山である。
両神とはイザナミノミコトとイザナギノミコトの事でこの両神を祀った両神神社が山頂近くに有る事から名付けられたらしい。
他にもここの尾根がギザギザしており竜の背中の様だった事から竜神山と呼ばれたのが訛って両神山になった説もある様だ。
さすが関東近くの山だけに道路が山間部に入ってもコンビニのある広い道路に出たりとカーナビに頼って登山口へ辿り着く。
無料駐車場がある筈だが良く分からず、同じ場所に有料と無料書かれた看板が立つ駐車場場に着く。すると一台の車が居て
「上の方にトイレがある駐車場がありましたよ」と言う。最上部の駐車場に着くと、そこは「民宿両神山荘」が管理する
駐車場らしかった
両神山荘には年老いたご夫婦と老犬が居られて宿泊登山者も居た様だった。駐車料金千円を払って車に帰り車中泊とする。
10月15日 浅間山から両神山へ移動
2022年10月16日
日向大谷口〜会所(七滝沢分岐)〜八海山〜清滝小屋〜両神神社〜両神山 (往復)
行程1)日向大谷口〜清滝小屋 約2時間45分
05時45分両神山の登山口を出発する。民宿「両神山荘」の手前を左に曲がり段々畑の上側に沿って山へ入って行く。両神神社祀る
山らしく大きな鳥居を潜って薄暗い樹林帯へ進むと石碑や祠があり小沢を渡る。最初から岩場があったりするがやがて植林帯の歩き易
い道が続く。
荒川の源流部「薄川」に沿って登山道が付けられているが、最初は上流に向かって沢の右手斜面に沿って進む。結構右手斜面は岩壁と
なっている。
会所(七滝沢ルート分岐)
06時35分「会所」の道標が立ち「七滝沢ルート」との分岐点であるが、台風による崩落危険箇所が発生し通行禁止の張り紙がある。
すると前方に木橋があり先行する登山者がそれを渡っている。七滝沢の木橋を渡ると直ぐに本流、薄川の左岸に復帰する。この右斜面
も岩壁が並び銀色に塗られた不動明王像が置かれていた。
07時前になると登山道は沢にグッと近づき沢の中を石伝いに歩いたりしてやがて上流に向かって左手(右岸)へと渡る。この右岸の
道は足場が少し不安定で落ち葉などがあり滑り易いので注意する、07時20分又、沢を右手(左岸)に渡り返す。沢を渡った場所に
埼玉県の道標が立ち、四国にはお馴染みが薄い埼玉県を歩いているんだと妙に納得したりする。
八海山
左岸沿いの道は岩が多く傾斜も不安定で、07時43分石組みされた上に不動明王の石造が立ち、「八海山」の標識が置かれている。
特にピークでも凄い岩場でも無い場所なので不思議な気がする。石像は「八海山大頭羅神王」とされており木曽御嶽山五合目にある
八海山神社との縁があるらしい。(そう言えば後で訪れた両神神社には御嶽山の祈祷お札が沢山置かれていた。)
おそらくこの場所は御嶽修験者の祈祷所となっていたのだろう。
05時50分「両神山荘」入口を左へ進む 斜面の下に駐車場 一番右側が私の車
両神神社の鳥居だろう 社号は無い この立位は役行者だろうね
06時32分「会所」を通過 七滝沢ルートは通行禁止 直ぐに木橋を渡る 単独男性が先に歩かれていた
登山道標識 薄川の沢に沿って登山道は結構整備されて続く
お〜 不動明王像が立っている 沢の中やすぐ横をを進む場所もある
右岸沿いの道は開削が浅く少し滑り易い 07時20分 左岸に渡る 渡渉部にはテープ有り
左岸の斜面を少し上がって行く 表参道のほぼ中間地点「八海山」を通過
07時43分「八海山」を通過 一見不動明王だが正式には「八海山大頭羅(おおづら)神王」で上にある御岳神社と関係がある様だ
八海山の標識では登山口から3.1kmとあるので山頂までの中間点を少し過ぎた辺りまで来ている。ここから自然林の美しい風景が
続き、傾斜もキツくなる。天然杉の大木が痩せた土壌に根を広げている、薄川の源流部に近づくと谷幅が次第に狭くなり、沢にはイワ
タバコに覆われた大岩が現れる。
「弘法之井戸」
08時08分沢がほぼ終了する辺りに「弘法之井戸」という標識が立ち団体登山者が休憩している。右上に同じ名を刻んだ石標が立ち、
そこに水を貯める石室が置かれて、そこから外に透された2本の細いパイプから水が出ている。修験者にとっては有難い水場だったに
違いない。
全国には弘法大師様が杖を突いたらそこから水が湧き出たと言われる場所が多くあるが、ここの水場はすぐ上に鎮座する弘法大師像から
名付けられたのだろう。
「清滝小屋」
「弘法之井戸」から更に急傾斜を上がって行くと08時30分ログハウス調の立派な小屋に着いた。この「清滝小屋」は現在管理人は
おらず避難小屋として登山者に利用されている、近くには休憩する東屋やトイレなども設備されていた。以前は小鹿野町営の山小屋だ
ったらしい。この小屋にある水場は飲料不可なので水は下の弘法之井戸で確保との事。
天然杉の斜面を上がって行く 元気な名古屋のグループに追い抜かれた
大岩が転がる沢部があった 08時20分「弘法ノ井戸」水場に着いた
根っ子が並ぶ登山道を這い上がる 08時30分 「清滝小屋」に着いて少し休憩する
行程2)清滝小屋〜両神神社〜両神山 約2時間
「鈴が坂」
清滝小屋の裏手から産泰尾根まで急斜面が続くが、この坂が「鈴が坂」と呼ばれている。修験者や遍路さんの鈴が急坂で良く鳴るから
だとばかり思っていたのだが、どうもスズタケ(鈴竹)が沢山生えた坂と言う事らしい。今はスズタケは全く見られないのでここも鹿
が多いのかな?
鈴が坂の稜線近くにも7滝沢ルート通行禁止の標識が立っていた。09時06分尾根に上がり切る。この尾根は「産泰尾根」と呼ばれ
るワイルドな岩尾根で鎖場や鉄パイプで組まれた階段などが置かれていた。
一旦岩場を避けて右手にトラバースするのだが、そこに大岩があって岩を支える様に木の棒が沢山置かれていた。この大岩を左手に上
がると又尾根に復帰する。紅葉が真っ盛りなのだが、霧が濃くてあまり映えないのが残念。
「両神神社」と「御嶽神社」
09時40分霧の中に赤い鳥居が浮かぶ。やっと両神神社に着いたらしい。社殿はシンプルで神社らしく無いが、ここの名物は狛犬が
山犬=狼(オオカミ)なのだ。正面の鳥居前に1対(2体)置かれている
左手の御嶽神社正面にも1対(2体)が置かれている。確かに里の神社で見る狛犬とは違い鼻ツラが長いが獰猛さは無く愛嬌がある。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が神の使いとされる山犬(ニホンオオカミ)に導かれてこの山に入ったとされる事から山犬を
大口真神(オオグチマノカミ)として敬った。。
社殿上にある竜の彫り物は歴史を感じさせる。中は良く見えないが御嶽山の祈祷札が沢山置かれていた。実は御嶽神社はもう一社ここ
にあったのだが見るのを忘れてしまった。
両神山(りょうかみさん) 二等三角点「両神山」 1,723.33m
両神神社を09時45分出発して霧深い稜線を山頂へ向かう。自然林の紅葉が尾根を飾るがどうも霧が深くて色が冴えない。岩っぽい
細尾根を35分程進むと前方に切り立った大岩が現れた。左手に木板で作られた岩を渡す通路があり、そこを上がると10時25分
両神山の山頂(剣ヶ峰)に着いた。山頂には埼玉から来られた元気な団体さんがおられて写真を撮り合う。
どうやら神社にザックをデポして空身で来られた様だ。祠の上にある岩の天辺に山頂標識の看板が立てられている。三角点は二等だけ
に見栄えが良い。方位版付きの展望解説盤らしき物があるが、霧で全く展望は無い。辺りの霧に浮かぶ紅葉を眺めて10時45分
山頂を後にする。
避難小屋からトイレのある東屋(右手)を抜けて山頂方面へ 清滝小屋の裏手にはテン場がありテントが3張り見られた
清滝小屋から「鈴が坂」と言う急坂を上る 09時06分尾根筋に上がる 山頂まで1.4km
ワイルドな尾根には鎖も置かれている所がある 岩場にはパイプ梯子で整備されている
トラバース道の曲がり角にある岩には支え棒が置かれている 09時40分 鳥居が霧の中に見えた
両神神社(本社) 鳥居の手前にオオカミの狛犬が両側にあるのだが画角に入らなかった
左手が雌らしい 右手が雄のオオカミ
左手に回り込むと御嶽神社(本社)正面にもオオカミが居る 中々立派な竜の彫り物も有る
社殿の中 御嶽山の祈祷お札が置かれている 抜きつ抜かれつしてきた元気なグループ 80歳の人も居た
左側にもやはり対で雌オオカミが鎮座している
これは文殊菩薩像でしょうね 紅葉は霧で霞んでしまっている
神社からは岩尾根が続く 天気が良ければ紅葉が美しいのに
山頂手前の岩場に着いた様だ 板端が付けられている
鎖場を上がって行く 狭い山頂は少し混雑していた 交代で記念写真を撮り合う
10時25分 両神山の山頂に着く 先程のグループの人と譲り合って山頂を踏む
二等三角点「両神山」1,723.33m やはり二等三角点は立派だ 南側に向かって八丁峠への登山道がある
第3行程) 両神山〜両神神社〜清滝山荘〜日向大谷登山口 約3時間30分
あまり展望も望めないので10時45分下山を開始する。同じ道なので写真も少なくドンドン下る。清滝小屋のテン場には天気も
良くないのに野営している登山者が居た。立派な避難小屋が有る横でテント泊ってのはやはりコロナ感染が心配なのだろう。
弘法之井戸からは沢筋を下り、右岸を歩く。くだんの埼玉からこられた元気な高齢者団体は歩くのが物凄く早い。でも途中で休憩
を取るのでそこで追い抜く。結局下山はこちらが早かった。
下山方角の岩場にも石塔が立っている 10時42分 下山開始〜〜
両神神社まで細尾根を引き返す う〜〜ん 天気が良ければ素晴らしい紅葉なんだけど
11時17分 両神神社を通過 目印になる杖立岩 右手に折れ下る
鉄パイプ階段を下ると険しい岩尾根となる 鎖場 霧で濡れているので滑り易い
鎖場が数か所有る 岩や木の根が滑り易い 11時47分 尾根分岐まで来た 登山口まで4.4km
鈴が坂へと激下りに入る 12時02分 清滝小屋に着く
弘法の井戸 水場を通過 よく見ると大木の根元に仏様が祀られていた
イワタバコの葉が沢山付いている また元気な埼玉の老人グループと抜きつ抜かれつ歩く
沢の本流部へと下って行く 薄川の右岸に吸って滑り易い登山道を下る
沢を左岸に渡る 左岸に移ると岩壁が出て来る
斜めの急斜面にはロープが置かれている 13時30分 眼下に木橋が見えた
登山口が近づくと植林帯を通る 中には天然杉の大木も有る
又 左手に岩壁が現れる 最後まで中々気が抜けないワイルドな登山道だ
この小川を渡れば登山口は近い 石碑の向こうに鳥居が見えた
14時10分 登山口の 両神山荘へ帰り着いた 右端が私の車だ
14時15分車に帰りスマホで最寄りの日帰り温泉を検索すると「両神温泉・薬師の湯」が検索されたのでそこへ移動して温泉に
入った後、駐車場で車中泊とする・
明日、明後日と雲取山や大菩薩嶺は雨模様なので色々時間の過ごし方を考えて、結局一度は行ってみたかった真田幸村ゆかりの
「岩櫃(いわびつ)城」へ翌日ゆっくり出かける事にした。
日向大谷口から東に戻り、16時前に両神温泉「薬師の湯」に浸かる