旭の岩屋から三ヶ森(みつがもり)周回 (エントツ山登山記)
令和3年4月10日
「旭の岩屋」は三ヶ森の東麓にある石灰岩の未成熟で小規模な洞窟なのだが、石鎚山系には極めて珍しいと言う事で一部
の人にしか知られていなかった様だ。つまり「旭の岩屋」とは「三波川変成帯」に属しキースラガー(銅鉱床の元)が主体
である石鎚山系には非常に稀な石灰質片岩(石灰岩が編成を受けたもの)が三ヶ森の雨水や地下水によって長〜い年月をかけ
て小規模な石灰洞を形成された穴っぽこである。
旭の岩屋 令和3年4月10日撮影 奥に行けるのは15m程の未成熟な石灰洞 特に目立った鍾乳石は無い
「三ヶ森」山頂より石鎚山系を眺める 黒河ジュニアさんとマーシーさん
11年前にしまなみ隊の楠橋さん、はるちゃんから手書きの地図を頂いてそれを頼りにマーシーさん、ペーコちゃんと訪ね
た懐かしい場所だ。
暑くならない前に出かける事にする。
以前はヒミツの場所って気を使っていた場所だったが、最近はヤマップで沢山のレポが有る。でもまあ、あそこから三ヶ森
へ這い上がったレポは無い様だ
林道「折掛・石鎚線」通行止め地点〜林道取り付き〜旭の岩屋〜三ヶ森北の肩部〜三ヶ森
〜南の肩部〜林道〜車デポ地
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 林道〜旭の岩屋〜三ヶ森周回
07時山根運動公園へ集合し西条、河口(こうぐち)から右折して虎杖(いたずり)、諏訪神社を通過して荒れた林道を通行止めの橋まで進んで車を留める。
ここは今年2月21日に高瀑ノ滝へ行った時に確認していた車が入れる最奥の場所だ。
08時25分ここから林道を歩くが、直ぐに道路が陥没した場所に差し掛かる。通行止めなのだが、この冬もジムニーが素通りして高瀑の滝登山口まで行っている。川筋から少し離れて林道を歩き加茂川上流の橋を渡る。道路端にはユキモチソウやヤマブキの花が咲き誇っていた。車で走らなければ道路端にはお地蔵さんも祀られているのに気が付く。やがて09時10分取り付き点のヘヤピンカーブに到着する。
08時25分 橋を渡った最終進入可能地点を出発する ようこんな穴の横ジムニーが通れたもんや
一つ目の橋(支沢)を過ぎる 09時40分 ここが大成集落への取り付き(高瀑の滝へのショートカットルート)
左が西ノ冠岳の岩場 高瀑の滝は谷の奥 ユキモチソウが咲いている
09時 二つ目の橋(手前)を通過する お地蔵さんが祀られている
山吹が一杯咲いている ここにもお地蔵さんが有る
旭の岩屋へGO !
09時08分 ヘヤピンカーブに到着する 丁度カーブから尾根部に取り付く
09時10分 ここから取り付く 11年ぶりやなあ
植林の尾根部を10分をかけて標高50m程上がり、そこから右手の谷に向かって林業作業道に沿ってトラバースしていくの
だが、テープも見られる。15分程横掛け道を進むと石垣が現れる。谷の近くなので作業小屋か崩落止めの石組だろう。
09時40分大きな石がゴロゴロ転がる沢筋に着く。
この沢を渡って正面の広い斜面に向かって少し這い上がって行く。
沢沿いを歩いていたマーシーさんやの〜ちゃんと合流した。
結構枝打ちされた植林帯の尾根筋を上がる 岩もそこそこ斜面に横たわっている
09時20分右手にトラバースする (テープ有り) 沢に向かう横崖路は林業の作業道かも知れない
の〜ちゃんと黒河ジュニアさんも逞しいコンビになった 踏み跡に沿ってトラバース道を進む
一部ロープなども見られた 09時35分 石組が現れる
沢に近づくと少しルートが荒れて来る 09時40分 ゴーロが転がる沢筋に着く
登山口から30分で沢に到着する これを渡る
対岸は小さな沢があるが、ゴーロ帯を上がる 沢を回り込んで斜面へとテープが続く
対岸のザレ場を少し上がる そして左手の急斜面へテープに従って進む
沢に沿って斜面に有る踏み跡を進む 結局沢を直接歩いたマーシーさん、の〜ちゃんに合流する
少しの間沢を歩いて上流に進むと09時56分左の左側にロープが現われ、沢沿いの踏み跡に入る。この辺りは沢近くまで植
林が行われている。
沢沿いの植林帯を進むと大き目のナツトウダイが沢山生えている。
少し沢の中を上流に向かう 09時56分 沢筋の左手にロープが敷設されていた
少々荒れている場所もあるが沢筋の踏み跡を進む 沢の際まで植林されている
沢筋には大岩が現れる お結び型もあったり 天辺に木を生やした岩も有る
ナツトウダイが足元に数株生えている 大岩が目印ってもなんぼでも転がっている
10時22分 沢を渡って中州の様な尾根へルートを移す 対岸の支尾根は急斜面だ
旭の岩屋
石鎚山系の三ヶ森がある付近は三波川(さんばがわ)変性帯で石灰岩は非常に少ない そこにある小規模な石灰洞が「旭の岩屋」だ
ちなみに三波川は群馬県藤岡市にある川でここで産出された結晶片岩を三波川変成岩と呼ばれた
10時23分丸太で作った橋があり、小沢を渡って中洲の様になった植林帯の支尾根に取り付くと直ぐに右手の沢沿いにお椀
が重なった様な大岩が現われ、そこから山へ急傾斜を上がって行く。
上がると懐かしい「旭の岩屋」があった。
久し振りなので用心の為にロープを延ばして中に入る。狭い洞窟なのでコウモリなどは居らず、クモが居た。足元には綺麗な
水が流れており、最奥部まで進むと前方下に水音がする。そこに入ると恐らく狭くて戻れなくなるので引き返す。狭いので
一度に入れないので黒河ジュニアさんが中に入る。全員外に出て皆で記念写真を撮って少しだけ休憩する。
振り返ると沢には丸太橋があった 急斜面を上がって行く
デカい岩が重なって座る 左手の急斜面に向かって這い上がって行く
藪っぽい支尾根を進む 10時40分 見覚えのある岩穴に着いた様だ
久しぶりなので安全の為にロープを張りながら奥へ進む 足元には10cm程の深さで水が溜まっている
ライトの関係か紅簾石(こうれんせき)片岩に見える 右手に水が流れる小部屋があるが狭くて入れない
何か動くので見ると蜘蛛だった コウモリはいない 中に入ると天井が高いが狭い〜〜
これ以上は狭くて進めない 奥に水溜まりがあり結構な量の水が流れている
の〜ちゃんが狭い通路を抜けて入って来た 足元には水が流れている(溜まっている?)
黒河ジュニアさんが待って外で待機しているので交代する 出口付近に水が溜まっている
お〜〜い 大丈夫か〜 あ〜〜狭かった〜〜
お待たせしました〜 黒河ジュニアさんも娑婆に出て来る まあ 石鎚山系だからこんなもんかな!
三ヶ森へ向かう
11時15分三ヶ森へ向けて出発。暫くは植林帯が続くが、マーシーさんは地形図を見て右手を迂回する方が傾斜が緩やかだ
と迂回する。最初は私も後を追うが、どうせ急斜面の方が勝負が早いので旭の岩屋の上側にある支尾根に向かう。するといつ
の間にかマーシーさんも左手に回り込んで「しんどい」「えらい」を連発しながら先頭を這い上がっている。
ジュニアさんも普段からこんな場所を歩いているので手慣れたものだ。
うか。更に10分程尾根を上がると岩が沢山現われて植林が減って自然林となる。岩には苔が生えて雑木が立つ全員大好きな
場所である。毒草のハシリドコロが沢山生えて花を咲かせているが、シャクヤクは蕾だけである。
東側が開ける場所では手前に黒川三角点峰と成就山、奥に瓶ヶ森の台形が見える。12時10分右手の尾根筋にある岩場に這
い上がる。急斜面を這い上がるより尾根筋に出た方が歩き易いのだ。藪っぽい岩尾根を30分程進むと岩棚があったので主稜
線の合流部手前であるが場所が気に入ったので昼食休憩を取る。
「右から迂回する方が傾斜が緩やかですよ」
15分程急登を喘いで上側の尾根筋に着く あ〜しんど 暫く尾根を進むと岩が出て来る この辺りで植林は消える
え〜感じの岩と雑木の斜面を歩く 山芍薬も蕾を膨らませている
毒のあるハシリドコロが沢山花を付けている ジロボウエンゴサク
ナツドウダイ 気持ちの良い斜面を上がる
瓶ヶ森と手前に成就山が見える 右手の尾根筋に進む 斜面より尾根筋の方が歩き易い
岩の端に出て北側の三角点峰「谷ヶ内」山と奥に瓶ヶ森、チチ山を眺める の〜ちゃん、黒河ジュニアさんも斜面を上がってくる
岩と灌木の急斜面を進む 等高線通りの急斜面だ
の〜ちゃんが斜面を少し下ってアケボノを撮影してくれた 12時47分 岩棚がありここで昼食休憩〜〜
山の同定をしながらまったりと昼食休憩を取る (の〜ちゃん撮影)
13時13分昼食岩棚を出発しシャクナゲの生えた岩尾根を5分程進むと主稜線との合流部に着いた。細尾根を進むとデカい
タムシバの木があり沢山の花を付けていた。主稜線に入ると安定した尾根歩きとなり13時40分反射板2基に着いた。笹原
には設置時に使ったと思われるモノレール跡が東斜面に向かって残っており、前回はこのモノレールに沿って下山した。
シャクナゲの生えた岩の細尾根を進むと13時18分主稜線に合流する 細尾根には笹が現れる
タムシバの大木があり、頭上に花を咲かせている
尾根の岩場から先行の二人を撮影 s三ヶ森は近い 先行の二人から岩の上に居る私を撮影
13時40分 灌木帯の中に反射板が現れる 二つ目の反射板
2つの反射板近くにモノレールが東へ向かっている ヌタ場もあるでよ
三ヶ森 (みつがもり)三等三角点「三ヶ森」
反射板から南側の斜面にはバイケイソウが畑の様に広がっており鹿の生息を窺わせた。ジロボウエンゴサクも咲いているので
少し心が和む。最後のシャクナゲ急傾斜を上がると、14時10分先に山頂へ到達していた黒河ジュニアさんが出迎えてくれ
た。
三ヶ森(みつがもり)は石鎚展望所として結構地元ではポピュラーな山で東西にそれぞれ肩を持った主尾根と西側に尾根を持
つ。登山道は西側の楠窪林道からが山と渓谷社「愛媛の山」で紹介されているが、最新版では三ヶ森は削除されている。
の尾根筋より高い場所にあるので、見晴らしも良く高瀑ノ滝へ行く林道沿いからも秀麗な形で聳えている。
回りの灌木が少し背丈を延ばしていたので展望は完璧とは行かなかったが、それでも西は堂ヶ森から石鎚山、東は子持ち権現、
瓶ヶ森から沓掛・黒森まで十分な石鎚山系を眺める事が出来た。北側は東予からしまなみ海道も見えるのだがこちらは霞んで
視界がもう一つだった。ここに初めて来た「の〜ちゃん」や「黒河ジュニア」さんも満足そうだった。
葛もある笹が生えた広い尾根を南へ進む 一面鹿の食べないバイケイソウが生えている
一面バイケイソウの斜面になっている ジロボウエンゴサクが肩身が狭そうに咲く
三ヶ森直下になると岩が現れる 岩場とくればシャクナゲがトンネルとなる
三ヶ森の北側はワイルドな尾根だ 14時10分 先に上った黒河ジュニアさんが「山頂ですよ〜」の声
黒河ジュニアさん の〜ちゃん エントツ山 マーシーさん 石鎚をバックに
14時10分 三ヶ森山頂より石鎚山系を眺める
東側も眺められる 手前は成就山付近だろうか
久しぶりにマーシーさんとシェーポーズ 東予方面は霞んでいた
1,275mピークの南肩から下山
のがログ的にも綺麗だと決める。皆でスマホ地図を出してルートを共通確認し同意を得る。
14時30分灌木が繁る南側への尾根を下る。この尾根は以前マーシーさんと鞍瀬ノ頭から虎杖(いたづり)まで縦走した
懐かしい尾根でもある。背丈の余り高く無い笹と灌木の尾根は比較的歩き易い。14時57分1275mピーク手前の肩部
に差し掛かると、ここから東に尾根が分かれるので二重尾根の地形になっている。
三ヶ森の南斜面 灌木帯を下る 標高が下がると笹が現れる
多少の岩場もある ヒメシャラは少ないがこれも多少有る
多少の起伏はあるが歩き易い尾根だ おびただしい程の灌木が並ぶ
主稜線から左へ支尾根があるので二重尾根に見える 15時04分 明らかな東へ下る尾根に乗る
15時00分皆で東へ下る尾根の地形図を眺めて、林道まで2ヶ所程ターニングポイントが有る事を確認後東尾根に乗る。
里山の様にシダ藪の心配は無いが、思わぬ崖が現れる事もあるので注意が必要だ。
案の定、猛烈なシャクナゲ藪が尾根を覆ってその先が崖になっている。ややこしい場所ではマーシーさんが知らぬ間に先頭
を歩いているので崖情報を左側の斜面に逃げ、数分で崖下に出て尾根に復帰する。暫くはなだらかな灌木帯を下るが、途中
で左に尾根をターンする場所があるので地図を時々確認しながら歩く。
15時30分最初の尾根換えポイントに来る。真っ直ぐ下れば林道には近いがデポした車からは遠くなる。シャクナゲ藪に
突入して左手の尾根に乗る。シャクナゲ藪があれば崖がセットになると思えばよい。岩の段差を楽しみながら下って行く。
下って尾根に乗らなければならない。15時45分急斜面を下って植林の有るなだらかな尾根に乗って安心する。それでも
要所では等高線が詰んだ尾根なりに岩場の崖も現れて退屈はしない。
どんどん細尾根を下って16時16分林道が下に見える。林道に下る場所も切り通し部では崖になっているので安全な場所
を選んで下りる。
直ぐにシャクナゲ尾根に入る 三ヶ森を振り返る 猛烈なシャクナゲ藪になる
シャクナゲ藪と崖を避けて左手の斜面を下る 直ぐに岩場の前に出て尾根に復帰する
後は灌木尾根をどんどん下って行く 時々大岩も現れる
急斜面だが尾根の地形がはっきりしている 15時30分 尾根変えで左手のシャクナゲ藪へ突入する
岩場を避けて急斜面を下る シャクナゲの急斜面(ほぼ崖)を下る
小さな崖は結構ある これは刺激になって面白い 岩が無くても急斜面だ
人が入れば傾斜の度合いが分かり易い 黒河ジュニアさんは身が軽いから軽快に下りて来る
15時45分植林が現れると最終尾根に乗れた様だ しかし依然岩場や急な傾斜は続く
の〜ちゃんは相変わらず高い所が好きだ 下りだが多少の起伏はある
ちょっと位置確認しようぜ あれ? ほぼ林道に付いているぞ 右手下に林道が見えた
16時17分 マーシーさんが林道に下りていた の〜ちゃんも後から続く
16時20分ジュニアさんも無事下山 林道をのんびり歩いて車へ帰る この辺りは成藪集落跡か?
何時もは車で通り過ぎるので見過ごしていた廃屋などを眺めながら16時30分朝取り付いた場所を通過し、17時08分
車をデポした場所に帰り着いた。
16時30分 朝出発したヘヤピンカーブを通過 ヤマブキが美しく林道を飾る
通行止めのテープが無残にも林道に落ちている 17時08分 車に帰り着く
ハルトラノオ ヤマルリソウ
シコクカッコウソウ
旭の岩屋から三ヶ森、ほどんど登山道を歩かない面白いルートに満足しながら帰途に着く。
2010年 2月20日に行った「旭の岩屋〜三ヶ森」の記録は ここ