一筆書き「水主(みずし)三山縦走」


中心にある水主(みずし)神社につい

東讃にある水主神社は創建が奈良時代後半と言われており、西暦964年の大干ばつの時に雨乞い祈祷(海賊退散の祈祷?)
が功を奏して「水主神社」の社号を得たと言う。


神社関係の縁起説明書きによると、祭神とされている倭迹々日百襲姫(やまとととひももそひめのみこと)が奈良県桜井に
あった当時の都からうつぼ船に乗って8歳の時に引田辺りに漂着し、水の綺麗な大内の水主に成人になるまで住んだと言う。

この皇女は巫女(みこ)の能力があり地域の人々にお米の苗を分け与えて水田を盛んにし、その後また船で西へ移動し高松
の船岡山に移り住んだらしい。更にその後、一宮の田村神社でも居を構えたと言われている。その絡みで松市一宮の田村
神社も同じ倭迹々日百襲姫を祭神としている。


「倭迹々日百襲姫」(名前が長すぎる〜)は第七代天皇である考霊天皇の娘で、異母弟に吉備津彦命がいる。そもそも考霊
天皇は紀元前後辺りの人で日本書紀や古事記から読み解かれた人物であるから実在性は少し怪しい。


天皇としては大和国家の基礎を築いたとされる第十代天皇「崇神天皇」からが実在性が高いとされているのだが、この崇神
天皇の命で西の山陽道・瀬戸内海の制圧に派遣されたのが「吉備津彦命」(きびつひこのみこと)とその弟「稚武彦命
(わかたけひこのみこと)で、岡山県や香川県では鬼退治をした桃太郎伝説の主人公とされている。


その関係でお姉さんの倭迹々日百襲姫(「ももそ姫」としておこう)も雨の少ない香川県や岡山県でも守護神、水神様とし
て登場したのだろう。ちなみにこの人のお墓は奈良県桜井にあるから成人してから新幹線と在来線で奈良県へ帰ったのだろ
う。この「ももそ姫」を祭神にしているのが高松の田村神社と述べたが、この神社には大胆にも桃太郎像と一緒にお姉さん
の像も置かれている。

  
 水主三山の中心にある「水主(みずし)神社」    祭神である倭迹々日百襲姫(ももそ姫)が乗ってきたうつぼ船

 
    水主神社にある縁起説明書


田村神社にある桃太郎の像 左のスラリ美人が祭神「倭迹々日百襲姫」(やまとととひももそひめのみこと)=ももそ姫
桃太郎は孝霊天皇の息子「吉備津彦命」(きびつひこのみこと)もしくはその弟「稚武彦命」(わかたけひこのみこと)
二人ともももそ姫の異母弟だ
「犬」は犬島の船乗り軍団、「猿」は讃岐国陶(すえ)村の強者達、「雉」は鬼無町、雉ヶ谷の強者達と言われている


水主(みずし)三山の形成

15世紀室町時代にこの地で生まれ弘法大師の再来かと言われ仏画で有名な「増吽(ぞううん)上人」というお坊さんが
水主三山のキーパーソンとなる。この人は近くの与田寺で僧となり高野山で修行を積み当時衰退していた岡山や香川の寺院
等を復興させた功績がある。山岳仏教の影響で熊野信仰に篤く讃岐の旦那衆を熊野詣に先達的な役割も果たしていたと想像
する・・・よう知らんけど。

与田寺は水主神社の別当寺かそれに近い存在だったと言われ縁が深く、神仏混交の時代に増吽(ぞううん)上人はこの地域
を写経や仏画などの宗教文化の拠点として活動していた。又、熊野修験者として水主神社の周囲の山を熊野三山にちなみ
水主(みずし)三山」として虎丸山(当時は新宮山?)、本宮山、那智山をミニ熊野三山として売り出したと思われる。

つまり、熊野権現をこの地に勧請(かんじょう)(=神仏の分身、分霊を移して祭る事)し、虎丸山には新宮神社(熊野
速玉大社)を、本宮山に本宮神社(熊野本宮大社)、那智山には那智神社(熊野那智大社)にそれぞれ熊野三山に見立てた
神社を置いて修験道の興隆に務めたと言われる。


  

 玉野市HPより 増吽(ぞううん)上人座像 彼は岡山で有名だ     与田寺の縁起説明板に増吽(ぞううん)上人が登場する

この当たりの事はブログ「瀬戸の島から」が大変参考になる記述を残してくれているので興味のある方は ここ を参照して下さい


さて本題に入る。先般、水主三山の虎丸山に興味を持ち南嶺を主に歩いた。その時に歩き残した虎丸山の星越峠から修験造道と
北嶺の別所・新宮池コースを歩き、そのついでに今まで登った事の無い那智山、それと本宮山の南にある三角点「星越」を踏も
うと計画する。


令和3年3月23日

星越峠〜三角点「峠」〜虎丸山・修験造道コース〜虎丸山・別所新宮池コース〜那智山〜
石見山(三角点「大林」)〜三角点「水主」〜本宮山〜星越山(三角点「星越」)〜星越峠



カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 水主三山縦走 07時40分〜19時20分 歩行時間 約11時間40分

 

朝、グズグズして自宅を出たのが06時30分を過ぎてしまった。今日の行程を考えると少し遅すぎた感があるのだが、香川
の里山だけにそんなに早くは出発する気になれなかった。


四等三角点「峠」220.53m 

07時40分星越峠の広い場所に車を置いて出発する。すぐ東側に「」と言う三角点がある。星越峠を意識しての点名と思
われるので是非ともこの三角点を最初の訪問地とする。


ところが星越峠側からは藪が深くてとても足を踏み入れる気持ちにならない。急がば回れで県道132号線(田面白鳥線)か
ら虎丸山へ向かう四国の道へ入り、その峠部にある尾根から取り付いて回り込む事にした。


  
 星越峠に車を置く ここは広場になっている                県道132号線から四国の道へ入る

07時53分ちょっとした峠部から右手の崩れた崖に取り付き最初はシダ藪だったが、尾根部まで這い上がると歩けるスペー
スがあった。10分程で北側から延びる尾根に合流するが、三角点は一旦南へ下がって、さらに西側に回り込むって複雑な尾
根の先にある。


  
 広い四国の道を峠部まで進む                   07時53分 峠部の崖を這い上がる

  
 荒れてはいるが歩ける尾根だ                   10分程で北側からの尾根に合流する

  
 結構面白い尾根だ                          ターニングポイントに向かって上って行く                                     

ターニングポイントに気を付けながら08時23分三角点「」を踏む。踏み跡は星越峠側に続いている様だったが、元来た
尾根を引き返す。帰りは余裕を持ってツツジやアセビ、クヌギの里山風景を楽しみながら09時01分「四国の道」に復帰す
る。う〜〜ん この三角点訪問に出だしから1時間余りを使ってしまった。


  
 ターニングポイントを右(西)に曲がる                三角点へと下って行く

  
 08時23分 三角点「峠」を踏む                  少し向こう側の踏み跡を調べた後、元来た道へと引き返す

  
  ターニングポイントを左手に曲がる                星越峠方面を見ると科学工場の上に星越山が見える

  
 コナラだろうか尾根に良い形で立ちはだかる         四国の道へのターニングポイントを下る

  
 又 山の主みたいなコナラかクヌギが現れた         09時01分 四国の道へ崖を下りる
 


四国の道から修験造道へ

毛虫みたいなヤシャブシの花が気持ち悪いほど落ちた広い四国の道を進む。道端にはフキノトウが並ぶ道を10分程歩くと
大内ダムへの四国の道・分岐掲示板に着く。左へ曲がって下ると大内ダムへ1.5kmで、直進する先は「林道・修験造線
となる。


  
 四国の道を虎丸山へ向かって進む                足元にはヤシャブシがウジャウジャ落ちて気持ちが悪い

  
 前方に見えるのは鬼ノ角か                      橋を渡る

  
09時10分 四国の道掲示板が立つ ここから四国の道は左へ下る ここに「林道 修験造線 (終点)」の棒が倒れていた

この修験造線の最初は快適だったが、すぐに荒れてきてイノシシが掘り返している。もうここは車は入れないだろう。キブシ
が逆光に輝く荒れた道を右手に与田川源流の谷に沿って進む。この谷水は下流の明神池〜大内ダムを経て水主神社付近で与田
川へ流れ込む。
ヤマザクラを眺めながら歩いていると09時30分砂防ダムに着いた。

  
 最初は快適な道だったが・・・                    次第に荒れてくる  イノシシも道を掘り返していた

  
 キブシが逆光に輝く                          右手に沢が続く

  
  ヤマザクラが綺麗で立ち止まって眺める              09時30分 砂防ダムに着く


虎丸山・修験造道ルート

砂防ダム付近で林道終点となり、ここから左手に折り返して登山道の山道が始まる。砂防ダムの少し上流を渡るとお馴染みに
なった南嶺の「鬼ノ角」へ至る山道となる。

この登山道は2月23日既に歩いて
いるので気楽になる。初めての道は緊張感があり楽しみだが、既に歩いた道は経験や記憶
が安心感与えてくれる。

09時41分尾根部を回り込むと広めの道を外れて登山道は尾根へと上がって行く。と言ってもこの虎丸山南西尾根はここか
ら標高差100程の地形は平らな斜面で明確な尾根は無い。登山道の下側には尾根があり、一旦無くなった尾根は標高100
m程上がると復活する。だから踏み跡が無ければ結構難しい下りになるだろう。(上りは問題無し)

 

 林道を振り返ると左に星越山、その右端に本宮山        林道の擁壁から修験造道が始まる

  
09時34分擁壁沿いに登山道を進む  歩き易い登山道だ  10分程で尾根を周り込み山道に入る(登山道の標識有り)


最初はシダに覆われた斜面の踏み跡を追う。10分程急登を喘ぐとシダも減って土が多い斜面になる。木々の間から西側の星
越峠方面を眺めると、化学工場の上に三角点峰「星越山」が見える。あそこが今日の最終到達点なのだ。その裏側に見えるゴ
ツゴツした尾根は507mPから笠ヶ峰の山並みだろう。


10時05分尾根筋に入った様でミニクジラ岩や白いポールの境界杭、おまけに丸に住と刻印された境界石も出てくる。この
〇住の境界杭は水主三山のあちこちでお目にかかる事になる。


  
  最初はシダの間を上がっていく                  その内、シダが減って土が出て滑り易い


 木々の間から中腹に讃岐化学白鳥工場の建物とその上に三角点峰・星越山が見える  奥は笠ヶ峰とそこに至る尾根筋

  
 尾根筋に入ると岩も出現する (ミニ鯨石)            この山域によく目にする白い境界ポール

  
 〇住の境界石も水主三山の尾根で良く目にする         虎丸城の掘切まで上がって来た


山頂手前に虎丸城の堀切跡があり、そこを上がると山頂も近い。10時15分トイレ横から山頂へ着いた。「林道・修験造道
〜星越峠方面へ 下山口」の標識が立れられている。修験造道登山口から45分程で山頂に着いた事になる。


  
 堀切の向こうに岩が立ち並ぶ                   10時15分 虎丸山の西側にあるトイレ横から山頂に上がる 

  
 山頂には「林道・修験造道〜星越峠方面 下山口」とある    もう何度も眺めた虎丸山から北東方面の景色


虎丸山「別所・新宮池ルート」

虎丸山の山頂見物はもう最近4度も行っているので手短に住ませて10時20分「新宮池・別所へ 下り約3km」の下山口
へと進む。このルートは三里山分岐までしか歩いていない。
4〜5分で「タバコポイ捨て注意」看板のある三里山分岐を通過
し、いよいよ虎丸山に残された最後の登山コースを下山する。

  
 新宮大社の鳥居を潜る              10時20分 「新宮池・別所へ」下山標識から下る

  
 ツバキの花が登山道に沢山落ちている         三里山(みさとやま)分岐を通過(右へ行けば三里山)


このルートで下山すると次の那智山までが少し遠くなるが、まあ仕方が無い。おまけに下山地近くに三角点「原間」(わらま)
があって寄り道もしなければならない。登山道近くに三角点があればそれを踏む事をこだわりにしている。

ツツジの咲く登山道を下ると10時30分「眺望」という標識があり、先に展望所がある。ここからは白鳥、三本松、引田、
湊川下流付近が今までとは少し違った角度から眺める事が出来た。少し展望所から登山道へ引き返し下って行く。すると与田
川支流、別所川の谷筋に近づいて足元が悪くなりロープ等も現れた。やがてキブシの黄色い花が垂れ下がる沢沿いとなり、
土質が柔らかくて滑り易い。

  
 ツツジが咲く登山道を下って行く           10時30分登山道を外れて「眺望」標識の先に向かう


 三本松から白鳥の街と海岸線が見える  右奥海岸近くが鹿浦と与治山


   白鳥アルプスと湊川流域の西山地区 右奥が引田から北灘〜鳴門へと続く海岸線

  
 登山道へと引き返す                 急傾斜を下って行くと沢沿いの道になりロープが張られていた

  
 沢沿いの岩場に何と鎖とロープが置かれていた     滑り易い場所にはロープがある

  
  ミソサザイの巣跡だろうか             暫くこんな道が続く

  
 沢沿いにはキブシが垂れ下がる             10時46分 土嚢が積まれた渡渉場所を通過


土嚢が積まれた場所で渡渉し左岸沿いに下ると10時52分大きな一枚岩盤が現われてロープが敷設されていた。岩盤を下る
と「三本松」の謂われが書かれた表札がある。要は普通の松は2本葉だが、この松は3本葉の珍しい松と言う事と、一番札所
霊山寺の境内にも有ってお遍路さんがこの落ち葉を拾って大切に持ち帰る事、戦後アメリカから輸入した成長の早いテーダー
松や生け花に使われている大王松も3本葉があると記されている。

三鈷の松

その昔、空海が唐で密教の修行を終えて日本でそれを広める道場の適地は何処かと中国の浜から三鈷杵をそりゃ〜と日本に
向けて投げた。空海は帰国後、その三鈷杵はどこかいな?と日本中を探して歩いた。すると和歌山県の高野山にある松の木に
引っ掛かっていたので、高野山に密教道場を開いたと言う伝説だ。で・・・この三鈷杵が引っ掛かっていた松は三鈷杵の様に
3つに分かれた葉の有る松で「三鈷の松」として信者が群がって3本葉の落ち葉を探していると言う。(でもその高野山にあ
る三鈷の松は樹齢100年以下だと言う。)

斜面に1本だけ松葉が3本に別れた松が立っている。下の方の枝は皆が持って帰るのか無いので確かめる事は出来なかった。
しかたなく落ち葉を拾って確認すると確かに3葉に別れている。サマンサは三本松高校の出身だが、この町や学校の名前も
この様な3葉の松から来ているのかも知れない。
三本松からも暫く桜の花びらが淀みに溜まった沢沿いの登山道を下る。

  
 大きな岩盤が斜めに横たわる ロープが張られている    「三本松」「普通の松は松葉杖の由来通り2枚一組の葉ですが
                                      この松の木の葉は一組3本になっています」と書かれている

  
 これが三本松らしいが低い場所に枝がなく確かめられなかった  取り敢えず落ち葉を拾って持って帰る

  
  沢沿いの歩きにくい道が暫く続く                 次第にまともな登山道になって来た


11時12分木橋を渡ると例の「タバコポイ捨て注意」の看板があった。道はその辺りから少し歩き易くなり10分ほどで広
い河原の横に出た。地図には池の名前は載っていないが恐らくこの右手が「新宮池」だろう。新宮池の手前で別所川の土砂が
堆積しているのだろうか。
11時25分ベンチが置かれた「虎丸山・登り口」の標識に着いた。そこからは広々とした畜産舎
跡の様な間を北に向かって歩く。

  
  11時12分 木橋を渡る            タバコポイ捨て注意の看板 要所に目印として置かれている

  
 歩き易い登山道を下って行く              最後の木橋を越える
  
  
 恐らく新宮池手前の河原だろう          11時25分 登山口標識のあるベンチ 山頂まで約3kmとある

  
 畜産場の跡地みたいだ 広々としている        右手の分水嶺に鉄塔が立つ あの辺りに三角点がある


四等三角点「原間」(わらま)109.46m

 右手に見える低い尾根は湊川と与田川の分水嶺になっている。そこに鉄塔が立っているのが見えて、その辺りに次の目的地
三角点「原間」(わらま)がある筈だ。原間(わらま)は北側にある集落名で高速道・白鳥大内インター近くでその北側に
原間池がある。

最初の三角点「峠」で1時間余りもロスしたのでこの後のスケジュールを考えるとスキップした方が賢明だ。しかし私は賢明
なタイプの人間では無いので折角だからと立ち寄る事にした。右手に流れる別所川を渡らねばならないのだが橋が無い。三角
点を通り越した場所にやっと橋が現われ、11時31分これを渡る。三角点の方角に向かうと陶器製作の窯元があり、その横
を池に向かって進む。池の向こう岸で道が切れたので仕方なく三角点の方角に向かって斜面を這い上がる。

尾根筋に出た後、少し北に進んで11時55分三角点「原間」(わらま)を踏む。歩くルート近くにある三角点は多少無理を
しなければ踏むことは一生無い。
後は尾根を北に向かい、「大内線35番鉄塔」を通過し保線路を辿って12時11分、先
程別所川沿いを三角点へ向かった道の近くに出た。ここで再び40分のロスとなる。

5分ほど北に歩くと別所川にかかる橋がありそこに「虎丸山登山口 別所・新宮池コース」の標識が掛けられていた。結局
虎丸山の山頂から三角点の寄り道時間40分を引くと1時間20分程でここまで下山出来た事になる


  
 別所川を右手に渡る場所を探しながら歩く             やっと前方に橋が見えた

  
 「讃窯」への道を折り返して上がっていく             「讃窯」の横を抜けると物凄く雰囲気の良い池があった 

  
道が無くなったので三角点に向けて斜面を這い上がっていく   尾根に出て少し左手にある三角点へと進む

  
 稜線上に三角点があった                      11時55分 三角点「原間」を踏む

  
 尾根を北に進み四電・大内線35番鉄塔を通過         後は鉄塔保線路を下る

  
 イノシシの箱罠がある 今までイノシシがかかっているのを見た事が無い  ここは桜見物の名所みたいだ 今年も花見は出来ない

  
 遠くに次の目的地 那智山が見える               12時16分 別所川に架かる橋に登山口の表札があった


那智山登山口へ向かう

与田川の右岸に沿って続く道路を歩き次の那智山を目指す。左手にピークが突出した虎丸山を見ながら歩くとやがて奥に形の
良い笠ヶ峰の左手前に特徴の乏しい本宮山、右手に角々とすっきりした形をした那智山が見える。道路の左側にはずっとイノ
シシ柵が張り巡らされている。少し進むと本宮山の左に三角点峰「星越山」が見える。


途中で橋を渡り那智山側に移動して県道129号線(水主三本松線)歩くと道路端に「那智山 登山口」への標識が有った。
ここまで自動販売機があったら冷たい清涼飲料水を飲みたかったが全く見当たらなかった。登山口標識から右手の脇道へ入っ
て山のある方向へ進み12時50分ガードレールに「那智山 登山道口」の標識に出合う。結局虎丸山・別所新宮池登山口
から那智山登山口まで歩いて45分で移動出来た。


  
 前方に那智山とその左手に笠ヶ峰                  先程下りて来た虎丸山


               道路から少し外れて山々を眺める

  
 橋を渡って那智山側の道路(県道129号線)に移動      12時40分道路際に那智山登山道入口の標識がある

  
  民家の間を那智山登山口へと向かう               ここもイノシシ避けの柵が並ぶ                 


初めての山、那智山へ  那智山 271m

12時50分小振りな砂防ダムを渡り山道に入る。すると「那智山」と書かれた赤い鳥居を潜る。左手に虎丸山とのどかな
水主(みずし)地区を眺めながら歩く。どう考えても山に囲まれた与田川沿いの狭い空間が昔であっても栄えたとも思えない。
今も昔も静かな場所だった様な気がする。


  
 12時48分 那智山登山口に着く                 小さな砂防堤を越えて登山道へ入る

  
 早速 那智山の鳥居が現れる                    ツツジを愛でながら急登を上る

  
  水主神社の辺りは森になっているので位置が分かりにくい


暫く登るとウバメガシの並木道となり登山道が長年の雨水で掘れ込んでいる。標高が少し上がると今度はシダが出てくる。
そこを抜けると辺りが開けて尾根を少しだけ右手に回り込む様だ。すると又赤い鳥居が現われていよいよ那智大社奥宮が近く
なった感がする。本宮山にも山頂近くに赤い鳥居があるが見晴らしが悪い。こちらの鳥居は見晴らし抜群でまさに天空の鳥居
と言える。


水主三山の中では那智山が一番見晴しが良いと聞いていたが、やはり水主神社付近を眺められるのと、比較的山頂まで近いの
が他の2山より人気な所かも知れない。
13時25分休憩所の建物を抜けると奥の岩場に那智大社の祠があった。ここで初め
て双眼鏡で景色を眺める年配の登山者に会った。



  
海岸近くの山はウバメガシの並木道が多い           道が人々に歩かれて雨水で掘れ込んでいる

  
 ウバメガシの並木道を過ぎるとシダが多くなる          13時16分 2つ目の鳥居が現れる


  まさにここも「天空の鳥居」だ 与田川沿いののどかな借景に立つ


  三本松から白鳥の街が広がる  正面奥が与治山〜翼山

  
 与田川沿いの水主地区 昔も今も静かな印象だ        13時25分 山頂の休憩所に着いた


 13時25分 那智山に到着 こんな所だったのか〜  細長い山頂の奥に祠があった



石見山  三等三角点「大林」 264.45m

那智山には三角点は無く大きく北側に外れた場所にある。それも点名が地形図にも載っていない「大林」と来たもんだ。点名
は調査した国土地理院の担当者が命名するらしいが、センスのある担当者ならもう少し洒落た名か最低でも「那智山」にしと
けば登山者の8割方はここまで足を延ばすに違いない。

虎丸山も本宮山も知らないという不思議な年配の那智山登山者に挨拶をした後、奥にある三角点峰「石見山」(点名「大林」)
を目指す。最初はワイルドな岩場が現われて一体どないなるん?と心配したが、ちょっとした岩場を過ぎれば安定した尾根が
続く。ウバメガシとマサ土の尾根を進むと尾根が消え、灌木帯の急斜面となり13時48分南北に延びる尾根に着いた。所々
にテープはあったが、この地形では下りが難しいと思う。


尾根に上がって右手に少し進むと13時55分那智山の三角点峰「石見山」についた。(三角点名「大林」)この近くに確
か「石鉄山」と言うピークがあった事を思い出して少し尾根を進むがどうも方角が違っていた様で14時00分三角点へ引
き返す。すると小さな標識に読みにくい字で石鉄山の→が反対方向へ示されていた。ここで石鉄山へ行くのは時間的に難し
くなり諦める。


  
 双眼鏡を覗いて周りの景色を眺めている登山者が一人居た  奥の岩場へと進む  ロープが置かれている

  
 ウバメガシの尾根が北へ向かう                    細尾根が過ぎたコル部から上り傾斜となる

  
 尾根が一旦消滅して平らな傾斜を左に巻きながら稜線を目指す  13時48分 稜線部へ上がる

  
 稜線に上がって右手(北側)へ進む                 13時54分 「石見山」の標識に出会う


  13時54分 三等三角点「大林」を踏む 山名は「石見山」と言うらしい


国安池へウバメガシの藪尾根を下山する

先程那智山から這い上がってきた尾根分岐まで10分程で引き返し、ここから那智山へは戻らず、南側の尾根を伝って国安池
近くにある三角点「水主」まで下る事にした。


所がこの尾根と来たらウバメガシの枝が低く延びて行く手を阻む。尾根が細いので藪尾根に衣服やザックを引っ掻けられなが
ら14時33分前方にある分岐ピークまで何とか到達する。そこには虎丸山で見た〇住のマークが刻印された境界石があった。

さて、この分岐ピークから右手にある微妙な尾根に進まなければならない。酷い藪にもがきながら何とか下山に使う尾根に入
った。ここもウバメガシの藪を掻き分けながら下って15時01分池の東側へ下り立った。


  
  石鉄山への→標識があった 汚れて良く見えない      地表に描いた矢印を戻る (足で印は消す)

  
14時09分 那智山から這い上がった尾根合流点まで帰り、直進する    藪尾根じゃ〜〜〜

  
 この先に展望所があるようだ                    先程通過した那智山と奥に虎丸山と鬼ノ角

  
 先ずは前方に見えるターニングピークへ向かう         総じてウバメガシの藪尾根に苦労する

  
  この白い境界ポールはお馴染みさんだ             ターニングピーク(250mP)へと這い上がる

  
  ヤマザクラが咲き誇っている                    白鳥方面も那智山尾根越しに眺める

  
 250mP ターニングピークに着く                 ここにも〇住の境界石や他の境界石があった

  
 右手の尾根に乗る為に松やイバラの藪を我慢する       何とか目的の尾根に乗れた様だ

  
  基本ここもウバメガシの生えた痩せ尾根だ           左手の田んぼが近づく 目標は右手の池だ

  
 まだ尾根筋が有る様だ 兎に角下ろう               藪よ これ以上酷くはならんといてね

  
 ビニールが枝に巻き付かれているぞ                前方が池じゃないけど取り敢えず下りろ〜〜

  
でへっ こんな所に下りちゃったよう                  バリケードが続く 池の少しだけ東側に下りた様だ


四等三角点「水主」68.5m

石見山南西尾根を下りた場所は枯れた用水路で向こう岸はずっとイノシシ柵のバリケードが張り巡らされている。気持ちが悪
いのはそのイノシシ柵の上側に2本の線が延ばされている事だった。以前、ゴルフ場でこの柵の上にある線に触れ感電した事
があったのだ。恐る恐る線を触ってみるが電流は流されていなかった。安心してこの柵を越える。

田んぼの畦道を通って国安池の横に出て15時10分三角点「水主」を見つける。何だかコンクリートのマンホール(分水工)
に組み込まれてしまった冴えない三角点だが、名前が由緒のある水主(みずし)を踏む。まあ良く考えると池の水を分水する
場所にあるのだから「水主」にふさわしいのかも知れない。


  
イノシシ避けのバリケードを乗り越えて池の堤へと進む       火ノ見櫓の立つあぜ道を池に向かう

  
 国安池の堤には三角点が見られないので道路へ出る       え? まさか あんな所に三角点?

    
  う〜〜ん まだ半信半疑で三角点に近づく           15時10分 由緒正しき点名を持つ三角点「水主(みずし)」を踏む


いよいよ本宮山へ

さて、大急ぎで本宮山の登山口へと急ぐ。テレビ番組的には終盤になって巻きが入った形だ。水主コミュニティセンター
(笠松小学校跡)へ曲がり与田川水系笠松川沿いに山へ向かう。

15時20分登山口のイノシシゲートを開けて進むと赤い鳥居があり、そこから山へと入って行く。ここは笠ヶ峰から壇特山
へ縦走した時に既に歩いている。15時30分沢を渡り右岸沿いに登山道を進み、10分程でトラバース路から尾根に復帰す
る。そこに中間地点の標識が立つ。ここから暫くウバメガシの細尾根が続く。この海近くの里山典型風景は美しくて大好きだ。

15時54分二つ目の赤い鳥居が立っている。ここから雑木の急登となり最後の踏ん張り所だ。16時02分山頂の神社が近
づくと左手が開けて虎丸山と鬼ノ角ピークが見え、その奥には阿讃山脈が並んでいる。山頂部へ回り込むと虎丸山と那智山の
間に三本松〜白鳥の街と海が広がる。ここも中々の眺めじゃないか! 登山口から45分程で山頂に着いた事になる。

     
 水主コムニティセンターの標識が有る場所が登山口だ        本宮山登山口の標識がある

  
15時20分 本宮山登山口のイノシシゲートを通過する     突き当りに本宮山の鳥居が立つ

  
 小規模な沢を渡って尾根道を進む              一か所急な尾根をトラバースして前方で復帰する ここが中間点

  
 ウバメガシの細尾根が続く                     こんな尾根歩きは快適で退屈しない

  
 15時54分二つ目の鳥居が立つ                   最後の急登を喘ぐ

  
 16時02分山頂の社に到着する                    虎丸山           鬼ノ角  奥は阿讃県境

  
  山頂の祠は奥に置かれている                    本宮山の名物 くじら岩


   本宮山からは那智山〜三本松〜白鳥〜大内ダム=虎丸山が眺められる

 

最後の三角点峰「星越」へ

16時15分クジラ岩を回り込んだ山頂広場で行動食を食べながら地図を出し眺める。日没まで後2時間半、この間に
三角点まで行き、星越峠まで下らなければならない。距離があるので少し厳しいがうまく行けば大丈夫だろうといつも
の楽天的な性格と気の小さい不安が交錯する。


  
  鯨岩の裏手に周り込み地図を出してルート確認する    まだ日差しに輝くツツジを眺めるがゆっくりはしておれない



先ずは笠ヶ峰への507mピークを目指す


地形図をみると507ピークへ行くルートは、前半がシンプルな尾根だが、後半になると左右に分かれた支尾根を避けな
がらの少し複雑なルートだ。以前に笠ヶ峰へ歩いた経験はあるのだが、記憶は薄い。コンパスを南西方角にセットして歩
き出す。久し振りに歩くのだが尾根は荒れては居なかった。ツツジやヤブ椿の花が咲く細尾根を過ぎてシダと灌木の急傾
斜を上がると最初のピークまで15分程ですんなり行った。

この辺りから尾根に大きな岩が現れるが、意外にも踏み跡がしっかりしており昨今の里山ブームで歩かれている人も多い
のかテープも残置されている。普段テープは山のゴミだの貼り過ぎだの言っても、いざ一人で不慣れな山域を歩く場合の
精神安定剤になる。


  
 ツツジが咲く細尾根を進む                     今度はツバキの花を眺めながら上り傾斜を急ぐ

  
 荒れた場所もあるが道は有る                    トラバースして最初のピークへ上がる

  
 最初のピークに上がると岩が現れる                少し右手に回り込んで尾根を進む

  
 大岩の右手を回り込んで前方の尾根に出る           ウバメガシの細尾根を辿る


三角点分岐ピーク (507mピークの少し手前)

16時40分記憶のある岩が並んだ急傾斜を通過する。この先にあるピークがさぬき市と東かがわ市の境界尾根となって
いる。
16時53分507mPの手前にある「分岐ピーク」に這い上がるとニコニコクラブさんの「本宮山へ」の木札
がぶら下がっていた。先にあるピークへ少し進むが、地形図を良く見ると507mピーク少し手前で三角点へ辿る尾根が
南東方向に延びているので、先程の木札のあったターニングポイントまで引き返す。

  
16時40分 見覚えのある大岩が立ち並ぶ急傾斜を上がる   岩の細尾根をターニングピークへと進む

  
  ターニングピークへ向かって上り傾斜になる      ツバキやヤマザクラなど眺めている暇は無いよ


  
 ターニングピークが近づいた            16時53分 ターニングピーク分岐に掛けられた札  


三角点への尾根に向かう

地形図とスマホ地図を何度も確認して17時00分分岐から南東に延びる三角点への尾根に向かう。当然、ここのメイン
ルートは本宮山〜笠ヶ峰なので、三角点側の尾根分岐にテープを貼ればややこしい事になるので三角点側にはテープは
見られない。

三角点への南東尾根も前半は単純な一本尾根だが、中盤で非常に尾根が複雑で方向取りが難しい場所がある。少し不安を
抱えながらターニングポイントから藪っぽい三角点への尾根に突入する。すると急にテープが現れるのでやはり三角点峰
星越山」に興味を持って歩かれている登山者が居るんだろう。


  
 ニコニコクラブさんの札(本宮山へ)が掛かっている       一方、三角点への南東尾根の入口にはテープが無い

  
 一歩尾根に入るとテープが現れる                  黄色いプラスチックの境界杭が立つ


肝心な所で赤いキツネに化かされる

黄色い境界杭も立っているので山の持ち主が尾根を挟んで違っているのだろう。すると17時10分赤ペンキが塗られた
境界石が現われた。17時15分明確な尾根の肩部に出る。持って来た地形図にも蛍光ペンでマークを入れているルート
の難所だ。一旦南に向かって尾根を下り、途中から南東への尾根を乗り継がなくてはならない。

先程の境界割出し作業のマークが先に向かって下っている。ラッキー! 恐らくこの境界割出しマークを追えば三角点へ
続いているだろうと予測した。一旦そう信じると赤いキツネをどんどん追ってしまった。10分程赤ペンキを追って下る
とそれは沢筋に出た所で消え失せてしまった。え〜〜この忙しい時にそりゃないぜ! 

  
 ここにもミニ鯨岩がある                17時10分 境界割り出し作業の赤ペンキが現れる

  
 風化した花崗岩ってこんなズレた岩になる様だ      案外歩き易い尾根が続く

  
 17時15分尾根の下りになる            テープもこの辺りまでは有った

  
 無心で境界杭を追って下ってしまった      17時26分 あれ? ここは何処? 沢筋で赤いキツネが消え去った

まあ、赤いキツネに化かされた自分が悪い。荒れた小沢を渡って前方の急斜面に取り付く。自分の不始末とは言え、攣り
かけた太腿を慰めながら斜面を這い上がっていく。一体私は何してんだよう!と自分を叱咤する。せっかくスマホ地図に
着けたマークも確認せずに赤ペンキを追った代償は決して小さくは無かった。

  
 17時26分 崩れかけの沢を向こう側に這い上がる   泣きながら三角点へ這い上がって行く

  
 まあ こんな事は今まで何度もあったっけ?      17時42分 三角点への尾根筋に復帰する


星越山 四等三角点「星越」 439.76m

 17時42分本来歩くべき三角点への尾根に迂回の末に復帰する。それまでの荒れた急斜面に比べると格段に歩き易い
ヤセ尾根を進み17時46分やっと最終目的地「星越山」に辿り着いた。三角点近くにはこの山域でお馴染みとなった
○住の文字が刻印された境界石があった。


  
 やっぱり尾根歩きは楽だなあ                     三角点は近いぞ!


 17時46分 やっと着いたぜ !  三角点「星越」 = 星越山 に倒れ込む


メタメタの星越峠への下山

 細長い山頂部に座り地図を出して下山ルートの確認をする。ここから車をデポしている星越峠までの中腹には讃岐化学
白鳥工場があり車道も整備されているのだが、ここは化学薬品を製造しているので近づく事は出来ない。当初はこの近く
にある「筑波山」へ寄ってこの登山道を利用して下山する計画を立てていた。

しかし日没が迫った現在は目だったピークの無い筑波山を探したり登山道を探したりする時間は無い。最短距離で道路ま
で下山する戦法に切り替える。5分程休憩の後に一旦南東側に尾根を回り込み、90度左旋回して北東へ延びる尾根に乗
る。

  
 さあ! 気合を入れて下山するぞ!          山頂の下山場所に境界杭と〇住の境界杭がある

  
 登山道の様な尾根を下って行く             テープも踏み跡も結構有る

  
 尾根伝いに下る                   ターニングポイントには露出した境界杭が置かれていた


ウバメガシの生えた細尾根を進むと18時00分尾根換えのターニングポイントに差し掛かる。ここに露出した石柱で尾
根を左に曲がる様に置いた意志を感じる。それに従い左に曲がって少し下ると何とロープが設置されていた。どんどん尾
根を下っていると、その先でルートミスを犯して左の尾根筋に入ってしまった様だ。

  
 18時0分 ターニングポイントを左に曲がる     するとコースを分かるように白い紐が張られていた

  
 この尾根は既に間違っていた               あれ? 何か変だぞ


もうそのまま藪尾根を下ると18時13分沢筋に下りてしまった。時間の余裕があれば右手の斜面に取り付き尾根筋まで
標高差50mを這い上がるのだが、猛烈なシダ藪に急斜面と来ている。もう面倒になって沢筋を下る事に決める。香川の
里山は沢と言っても標高差のある滝は現れない。

  
 もう引き返せない・・・                ヤケになってドンドン下る

  
  もう知るか〜〜 前進あるのみ!           18時13分 とうとう沢に出てしまう


スマホの電池が残り15%を切ったアナウンスから直ぐに10%、5%と急激に減って行く。地形図やスマホ地図を再確
認すると距離はたっぷり有るがこの沢を下れば下側に道路がある。ここは落ち着いてゆっくりと怪我をしない様に沢を下
って行く。幸いな事に普段こんな場所を歩きなれているのでアセる事もなく3m程の落差を2度程やり過ごして下って行
くと18時54分「登山道」の標識に出合う。この登山道は「筑波山」への道だろう。と言ってもこの場所では既に道路
の近くまで沢筋を歩いて来ていた。


  
 香川の里山にある沢は比較的安全だ              沢に入ったり縁を歩いたりしながら下って行く

  
  沢下りがほぼ終わりかけた頃登山道に出会う         やっぱり山歩きは明るい内がいいね

18時58分「筑波山登山口」標識に着いた。そこから直ぐに「林道様松(ためしまつ)線」の道路に出て夜道を歩く。
10分程道路を下ると星越峠に向かう県道132号線に合流し長く楽しかったが最後にバタバタしてしまった一日を振り
返りながら19時20分星越峠にデポした車に帰り着く。


  
 18時58分 筑波山登山口に下山                この辺りは水晶滝川と言うらしい

  
 林道 様松(ためしまつ)線を下って来た              19時20分 星越峠にデポした車に帰り着く


  カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図より加工  水色の破線が計画ルートだった

どこかで30分セーブ出来ておれば最後にルートミスをする事もなかったが、まあこれが私流の歩きかも知れないと思う。
水主三山縦走、那智山の「石鉄山」と本宮山の「筑波山」を踏めなかったのは残念ではあったが多少の心残りがある山歩
きは良しとしよう。



リベンジ 星越山    令和3年4月6日


林道様松(ためしまつ)線入り口(車デポ)〜三角点「盛重」〜本宮山登山口〜本宮山
〜507mピーク〜星越山(三角点「星越」)〜筑波山〜林道様松(ためしまつ)線 周回


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 本宮山〜星越山〜筑波山周回

前回水主三山縦走で最後の星越山からの下山ルートが日没が迫り散々な結果に終わった。その失敗の検証登山を行った。
何せ夕暮迫るバリエーションルートは里山と言えども侮れない。前回星越山から筑波山を経由して下山する計画を再度
時間的な余裕を持って実行する。


午前中に自宅を出て10時25分下山地の県道132号線沿いの「林道・様松(ためしまつ)線」入り口広場に駐車する。
前回の経験から星越峠の手前の下山地に車を置いた。


  
林道 様松(ためしまつ)線の入口に下山してくる         林道近くの広場に駐車して自転車を下ろす


四等三角点「盛重」91.9m

先ず、車から自転車を下ろして、前回日没で踏めなかった三角点「盛重」を踏むことにした。県道132号線を水主方面へ
下って水主神社への三叉路付近から取り付く。イノシシの括り罠注意とあるので足元を見ながら手早く三角点を踏む。
(行って帰って約20分)


   
 イノシシの括り罠に気を付けよう                   斜面をテキトーに尾根筋へ向かう

  
  尾根に上がると歩き易い                      簡単に三角点は見つかった

  
これでこの辺りのルート上にある三角点はほぼ踏んだ事になる  デポした自転車に帰る

その後、水主コミュニティセンター付近に自転車をデポして本宮山登山口へと向かう。ここの登山口はイノシシゲートだと
言える。朝家を出る時は寒かったが、この時間になると随分と暖かい。12時15分ゲートを抜けて鳥居の前で衣服を減らす。

  

 自転車を本宮山登山口にデポ                   水主コミセンにある 流 政之氏の「何しよんな」像

  
 イノシシゲートの開け閉めから登山がスタートする        12時15分 本宮山の登山口 赤い鳥居を出発

本宮山 346m

今回は星越山からの下山ルート検証歩きなので本宮山までの行程は省略する。登山道にはツツジ、アセビ、アオダモの花が咲
いて芽吹きや新緑で春山の様相が一層進んでいる。
13時05分本宮山のクジラ岩広場に到着する。

  
 白い花はアオダモだろう                       アセビもまだ咲いていた

  
 本宮神社 上の鳥居                          本宮神社の社

  
 ツツジ越しの虎丸山                          今日もクジラは元気な様だ


507mピークへ向かう

 13時08分ツツジの咲き誇る南西への尾根に入る。標高346mの本宮山から標高507mピークまで標高差約150m
の上りとなるが前半は比較的緩やかな細尾根となり、ルートも分かり易い。前回見かけなかったガマズミの花も咲きかけて
いる。途中から尾根が薄くなるが踏み跡もしっかり残っており問題は無い。13時28分左手にトラバースして前方の傾斜
へと上がって行く。更に進むと13時33分南北に走る明確な尾根に上がる。

ここが丁度507mピークへの中間点で、細尾根を右手に進む。するといきなりの大岩が尾根に出てくる。この先で地形図
を見ると北へ延びる支尾根に行きそうになるが、実際はこの分岐ピークの少し手前を踏み跡が左へうまく回り込んでいる。
大岩を右から巻いて上がると、暫く細尾根が続く。


  
13時08分本宮山を出発し、ツツジの咲く細尾根を進む          ムシカリももうすぐ花開く

  
 唯一左にトラバースする場所があるが踏み跡やテープがある   13時33分 507mピークまでの中間点尾根 これを右に進む

  
 すると次から次へと大岩が現れる                  ツツジにうっとり見とれる

  
      大岩が多いわ                      右に踏み込みそうな尾根があるが、ここはうまく左手をトラバースする

  
   前方に市境界尾根の高みが見える              大岩を右から巻いて前方へ出て上る

  
 こんな尾根は味がある 花崗岩が風化しているのだろうか   大岩が連なる上り傾斜を進む  ここは特徴的な風景だ
 

市境界尾根(さぬき市大川町と東香川市大内町)と三角点尾根分岐

大岩が連続して続く特徴的な斜面を上ると少し平坦な尾根になる。その後又斜面を登ると13時55分北側から延びて来た
さぬき市と東かがわ市の境界尾根に合流する。そしてこの合流点には北側へ行かない様にテープが貼られている


市境界はこの先で急角度でヘヤピンに近く急に曲がっている。つまり北から延びて来た境界尾根は507mピーク付近で急
カーブを描き北西方面の笠ヶ峰へと続いて行く。本宮山から笠ヶ峰へ行く場合はここから市境界尾根を進めば良いのだが、
三角点「星越」へ行くには一旦市境界尾根に乗り、507mピーク手前で別な南東尾根に乗り換える必要がある。


  
 市境界尾根には北へ間違って行かない様にテープが張られている    倒木も追加して少し手直しをする 

三本松

市境界尾根に乗ってから三角点尾根分岐への上り口付近に杉と松が右手に立っている。足元を見るとこの松の葉は3本に
分かれているのを発見。先日、虎丸山の別所・新宮池ルートを歩いた時に「三本松」の標識があった。ここの松葉より長
い三本葉なので戦後北米から持って来たリキダマツかも知れない。


  
 市境界尾根を暫く南へ進む                     杉と松の大木がある

  
 杉の葉に三本松が沢山引っ掛かっている           左は虎丸山の三本松 右側の大きいのが本宮山307mP付近の三本松 
 

分岐1)南東尾根(三角点方向)への分岐


三本松があった場所から登り斜面になり14時08分三角点への南東尾根分岐に着く。ここにも○住マークの境界杭があった。
この分岐は丁度市境界尾根がグルリと方向転換する場所になる。

  
 14時08分三角点への尾根分岐が近づいた       このコーナーから左の尾根に進むと三角点だ

   
 この場所にも〇住マークの境界杭がある          507mピークを確認に向かう


507mピークまで足を延ばす

 
今日は時間の余裕があるので懐かしい507mピークまで行ってみる事にした。このピークは以前笠ヶ峰へ縦走した時に
通過していたのだが、前回ここを歩いた時は夕暮れ迫って寄る気になれなかったのだ。


14時13分507mピークに着くと境界礎石2基と境界杭1基が有った。付近を良く見ると「新宮山」と記された木札
がぶら下がっている。新宮山に相当するのが虎丸山の筈なのだが、何故だか良く分からない。


 
  急登を上ると14時13分 507mピークに着いた      507mピークにある境界石 「高」とか「公共」とかが刻印されている


  14時13分 少し平らな507mピーク  ここから市境界尾根を西に辿って「笠ヶ峰」から日下峠(くさかとうげ)へ至る

  
 507mの札がぶら下がっている                  その裏には「新宮山」とある Why?  


再び三角点分岐(南東尾根)からスタート

14時20分三角点への南東尾根分岐に帰りいよいよ検証登山が開始される。前回通り途中まで一本尾根で問題無い。10分
程でミニ鯨石を通過し14時30分赤いペンキが塗られた境界石が初めて現れる。周囲を注意深く眺めると右手後方の斜面か
らこの境界割出作業が延びて来ている事が分かった。つまり当然の事ながら境界は尾根とは限らないって事だった。5分後に
前回見たスリスリ岩を通過し、14時40分尾根部の肩にでて下りが開始される。


  
 507mピークから三角点分岐点まで引き返して下る       14時20分 三角点への南東尾根へ向かう(前回通り)

  
 南東尾根には黄色いプラスチックの境界杭が立つ      時々岩が出て来るが明瞭な尾根だ

  
14時30分 ミニ鯨石を通過                     14時40分 赤いキツネが現れた

  
 この境界割り出しは良く見ると西側斜面から延びて来ていた  境界割り出し作業の赤いテープが続く

  
 黄色い境界杭と割り出し作業の赤い杭が並ぶ          14時40分肩部からの下りになり注意が必要だ


分岐2)下り尾根の途中から左(東)へルート換え

この下り尾根の途中に三角点尾根への分岐がある訳で、ここを下り切ってはいけない。慎重に左手の地形やテープを確認し
ながらゆっくり下って行く。


すると14時45分左手に微妙な地形の繁みがあり、そちらに側に小さ目のテープが貼られていた。う〜〜ん  これは分
かりにくい分岐だ。急いでいると見逃してしまいそうだ。自分の不注意を妙に納得して。少し分かり易い場所にテープを貼
ら差せて貰う。


一旦広いコル部に下り、そこから上り傾斜になると明らかな尾根が現われた。ここから三角点まではしっかりした尾根を辿
れば良
い。

  
14時45分 下り斜面途中に左手にテープ発見!!       前回はこの下り斜面を赤いキツネに騙されてドンドン下ったのだ

  
一旦広い窪地まで下るが、その先で尾根が現れる        窪地の先にある尾根を右上に回り込んで上がる

  
 尾根を歩くとテープが結構現れる                 雰囲気の良い尾根を進む


四等三角点「星越」 439.76m

アセビが咲くウバメガシの並木尾根を進み、15時07分三角点「星越」を再度踏む。ゆっくり辺りを眺めると「星越山
440m」の木札と○米さんの私標が木に取り付けられていた。西側に道はないかと少し下がってみたが、こちらには踏
み跡は無かった。


  
 見覚えのあるウバメガシが並ぶ尾根                今日はアセビの花をゆっくり見る余裕がある

  
少し天気が悪いが虎丸山と白鳥の海が見える              大内ダム湖と水主の村

  
 15時07分 三角点「星越」に着く                 一応山頂標識と私標が木に掛けられている



星越山から筑波山を経る下山ルート


 カシミールソフトを利用したGPSトラックログ 加工図 本宮山〜507mピーク〜星越山〜筑波山〜様松(ためしまつ)

分岐3)南東尾根から北東に左旋回

15時10分三角点峰「星越山」を出発する。ここにも境界杭と並んで○住マークの標石がある。下って行く尾根にはテー
プも見られるので結構登山者に歩かれている様だ。この尾根もウバメガシが主体だが他の雑木も結構繁っている。5分程下
ると微妙に左へのコース取りとなる。


15時25分これまで歩いてきた南東尾根は入野山(にゅうのやま)へ下ってしまうので、ここで方角を北東部に曲がる事
になる。そしてこの重要な転換点には大胆にも露出した境界石と境界杭を進行方向に向けて目印にしている。そして暫く下
って少し地形が平らな場所には白い紐で道しるべにしてあった。この紐を辿ると右上に回り込む仕掛けになっている。

  
  この辺りにも〇住マークの境界石がある       前が開けた尾根沿いにテープが張られている

  
 境界杭は頭が白ペンキだ               2つ目の地表に抜き出された境界石


 山頂を出発してから15分程して尾根を左に回り込む回り込むターニングポイントに出る

  
15時25分 引っこ抜かれた境界石と杭で道しるべが作られている
  ここで真直ぐ進むと入野山(にゅうのやま)へ下ってしまう

  
 少し下ると紐でルートの目印を作っている             この先で少し尾根を右に回り込んで上がる


分岐4)ここが最も間違い易い分岐だった (前回間違った分岐)

シダの間に見える踏み跡を進むと15時35分私が前回間違った分岐に出た。一見右手は崖か急傾斜で左手は尾根が続く。
ここで前回私は迷わず左手の尾根を選んでしまったのだ。


時間に余裕があってじっくりと辺りを見回すと、分岐のサインが有った。先ず、露出した境界杭が右手を向いている。そし
て垂れ下がった枝葉の向こう側にテープが有ったのだ。


余裕があると色んな事が見えて来る。要は何事も余裕が必要って事だなあ。進路の様子とテープ目印を隠している雑木の枝
を切り払わせて貰う。


  
 白い紐が張れれた場所を過ぎて少し尾根を上がる       シダの間に踏み跡が続く


 15時35分(星越山から25分の場所) 前回間違った分岐に着く 前回は左手の尾根を下ってしまった 正解は右手

  
 少し枝を払って進行方向の尾根が見える様にしてテープを補強する  少しウバメガシに覆われた尾根に進む

分岐から右手に抜けると地形図では等高線が緩んでルートが分かりにくそうなのだが、なにがしかの尾根が存在してそれに
沿って進む。尾根には黄色や頭が白い境界杭が要所に立っている。右手からは化学工場の機械音がこんな山奥で不気味に鳴
り響く。しかし木々が生い茂っているので工場の全体像は全く見えない。地形は少し複雑なのだが、尾根なりに下って行く
と自然に化学工場の左側に沿っている。この辺りにもコンクリート製の境界杭が立っているがマークは潰れて読めない。


  
藪っぽい分岐を過ぎると明瞭な尾根になる             黄色の杭と頭が白い杭が見られる

  
 黄色い杭やテープが見られる  右手は化学工場への崖    これも〇住マークかな?

  
 地形図の割には結構分かり易い尾根が続く             〇住?  字が潰れて良く分からない

  
 ウバメガシの尾根  赤テープもある              15時55分 地形図を見るとこの辺りはすぐ右に工場がある
           


分岐5)「筑波山」分岐は尾根の途中


相変わらずウバメガシの尾根を下って行くと肩部に16時00分○住マークの境界杭があり、そこから急な下りになってい
る。事前に調べてある筑波山の位置はすぐ左下なのだが尾根は真っ直ぐに下っている。左手に下がる支尾根を調べるが藪が
深くてとても進めない。そう言えば最後のテープが消えてから姿が見えない。時間的な余裕があるので最後のテープまで引
き返してみる。


16時08分最後の赤テープまで引き返して辺りを良く見ると、左手斜面に向かって黄色いテープが見える。そして今下が
った尾根には倒木で通せんぼをしている様に見える。


成程・・・でも前回ここまで来れたとしても夕暮れでこの分岐は見つける事は出来なかっただろう。妙に納得しながら左手
の斜面へと下る。
するとすぐにオニシダの藪になるが、藪の間を刈り払って道を付けてくれている。

  
15時58分下り傾斜の肩部に出る(テープが見えなくなる)ここに〇住マーク有り、この肩まで来ると筑波山分岐は行き過ぎ

  
このまま尾根を下っても帰れるが筑波山には行けない   筑波山のある左手への尾根を進むが直ぐに藪となり引き返す

  
 16時08分 テープまで引き返すと左手にルート発見  倒木で「行くな
!」と通せんぼがしてある


 「筑波山分岐」 ここは非常に分かりにくい分岐なので、一応境界杭に赤テープを巻いて来た

  
 分岐を左へ下れば直ぐにシダが現れる               オニシダの間に道が付けられていた


筑波山 218m

シダ藪を抜けて下っていると分岐から5分で筑波山の大岩に下り着いた。ここはピークでも無く、沢の源頭部に立つ大岩だ
った。こんなデカい岩は昔から信仰の対象ではあるが、そこに祭られた像に修験者の愛する蔵王権現では無かった。



  
 テープや踏み跡を辿って進む                    16時13分 (分岐から5分) 筑波山の岩に着いた様だ

  
  ステンレスの梯子が木に食われている              岩の裏側は崖になっていた

  
 石像が3体岩の上に祭られている               下から上がってくるとこの風景が筑波山だ 16時18分下山開始



16時18分筑波山から下山道を辿る。この辺りもオニシダが多く登山道が刈り払われて整備されていた。ステンレス梯子
で掘れ込んだ場所へ下り道を辿ると16時27分懐かしい沢に出た。勿論前回ここを通ったのは真っ暗だったので登山道と
の合流点などは知らなかった。ここをどう進むかと思ったら短い鉄梯子で沢に下りて少し沢を歩く。そして歩く易い右岸を
辿ると「登山道」の標識があった。


  
 又シダ藪が現れる                          ちょっとシダ籔いているが道がある

  
 16時22分 ステンレスの梯子を下る                踏み跡の道が続く

  
 16時30分 沢に出る (前回下ってきた沢だ)          沢へ下りる

  
 ちゃんと沢に下りる鉄梯子が置かれていた            見覚えのある沢 (真っ暗だったけど)

  
 上り方向に矢印 (この標識を右手に見ながら下る)       上り方向に矢印 (この標識を左手に見ながら下る)

  
 河原近くはルートが分かりにくいが踏み跡とテープがある   あの向こうに進んでいくんだな

  
 大きな岩の横を抜けると登山口は近い               16時35分登山口に到着  筑波山から20分弱で登山口


16時35分登山口の標識がある林道・様松(ためしまつ)線に出て16時43分車に帰り着く。
検証登山を行ったのだが、夕方にこのルートを冷静に通過する事は非常に難しい事が分かった。

  
 16時35分 筑波山登山口の看板を通過する         林道 様松(ためしまつ)線へ出る

  
 林道 様松(ためしまつ)線が途中から舗装道路になる     この沢は水晶滝川って言うんだね

  
 林道から県道132号線へ出る                    16時43分 県道132号線に置いた車に帰り着く


時間的な余裕が無い時は人間そんなに冷静にはなれないものだ。特に日帰り山行の場合は時間的な余裕を持って計画を立てる
事が大事だと今更ながらに悟った。これが毎度繰り返されるのが私のB級登山者たる所以だ。でも必ず失敗した歩きは自分なりに
納得の行く様に検証登山を欠かさない。



    
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