黒森峠から堂ヶ森を繋ぐ
プロローグ 四国の山を横断して歩いた道を繋ぐ
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 四国の山横断トルート図 引地山〜一ノ森
登山を長く続けて行くためのモチベーションを保つ方法の一つに「自分の歩いたルートを繋ぐ」という楽しみがあります。縦走
区間を区切ったり、まとめて長期縦走をしたりして地図上に自分の歩いた軌跡を繋いでいく事です。
2006年8月27日に梅ヶ辻から堂ヶ森〜二の森〜石鎚を皮切りに
2014年に石鎚山系の西端、引地山から黒森峠を歩いた。
翌2015年10月14日〜21日には石鎚山から剣山までを一気に縦走する。
そして、このルートで残っているのは黒森峠から堂ヶ森となり、気になっていた。
かったので車2台でこの未踏区間を埋める事になった。
2019年9月20日
黒森峠〜青滝山〜相名峠〜堂ヶ森〜梅ヶ市
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 黒森山〜青滝山〜堂ヶ森
黒森峠
石鎚山系の西端は何処か?と言われたらフツー堂ヶ森までをイメージする。その堂ヶ森の登山口は梅ヶ市や保井野となるが、
尾根筋は更に西に向かって青滝山から黒森峠へと続く。この黒森峠を挟んで石墨山〜皿ヶ峰の皿ヶ峰連峰が引地山まで続いて
いく。つまり皿ヶ峰連峰と石鎚山系の別れ際が「黒森峠」と言えなくもない。
南側は仁淀川水系面河川の更にその支流割石川が面河ダム湖を経てその源流地となっている。北側は重信川や中山川の源流地
との分水嶺となっている。
マーシーさんと早朝東温市、川内の国道494号線に入った所で待ち合わせて梅ヶ市登山口に1台車をデポし黒森峠へ引き返す。
07時20分、黒森峠の少し南手にある広場に車を置いて東側の法面にある踏み跡へ入り割石東山までは北に向かって歩く。
左手が植林帯で右手には植林された幼木が並ぶ広い道が続く。
国道494号線 黒森峠 07時20分黒森峠の東側から縦走路に入る
左手の植林帯に沿って道が有り北へ進む 右手には植林の幼木 キク科の花が沢山咲いていた
逆光の中に稜線を眺める 右手に回り込んで中央奥の堂ヶ森を目指す
割石東山 三等三角点「菖蒲谷」
やがて右手が自然林に変わり、左手の植林とに囲まれて日差しが隠れて暗くなる。登り坂を詰めて行くと周りから植林が消え
て07時42分「割石東山」に着いた。三角点名の菖蒲谷は北側(東温市)か南側(久万高原町)のどちらかは良くわから
ない。イメ「ージ的には南側の沢筋がゆるやかなに面河ダム湖に注ぎ込むので菖蒲が沢筋に生えていたのかも知れない。
縦走尾根はこの三角点から笹薮となり東に向かうが、少し進むと「割石東山」の標識が無造作に木に掛けられていた。この
笹薮は07時56分に「25番鉄塔」到着まで続いた。この鉄塔は南側の面河ダム発電所と北の東温市明河を結ぶ短い送電線
上にある。
暗〜〜い 左手に植林が続く 自然林っぽくなった
07時42分 三等三角点 「菖蒲谷」に着いた
今日お初の三角点を踏む むむっ 笹薮〜〜
1分後に割石東山の山頂標識があった
笹薮じゃん ちょっとスペースが出現
07時56分 鉄塔に出合う 26番と24番の間だから25番鉄塔
25番鉄塔からは皿ヶ峰の様な低い笹原の上り尾根に変わり、右手に細い植林帯が続く。08時10分比較的穏やかな登山道
に大岩が現れ、尾根の両側が自然林となる。
08時27分歩き易かった背丈が低い笹から背丈が高い笹に変わる。背丈の高い笹は藪化し易いのだが、直ぐに右手が植林帯
になると良く踏まれた道が続く。
低い笹路になる 右手に細い植林帯 この辺りは歩き易い笹路
08時10分 尾根に大きな岩が現れる 今回の尾根歩きではここだけに大岩が有った
笹が低いので踏み跡も良く見えて歩き易い 08時28分 急に笹の背丈が高くなる
基本右手には植林帯が続く 相変わらず背丈の高い笹が生える
四等三角点「杣野」 1,237.80m
ずっと見通しのない尾根道だったが08時54分北側が開けて雲海の向こうに高縄山系が見える。さて、この辺りに三角点が
有る筈だが見当たらないので二人で探しながら歩く。マーシーさんが左手の笹藪に埋もれている三角点を発見し二人で掘り起
こす。
08時50分又低い笹尾根となる 08時54分 初めて左手が開けて高縄半島が見えた
09時00分 ん? ここに三角点があるみたいです 二人で三角点と保護石を掘り出す
09時00分 このルート2つ目の四等三角点「杣野」標高 1,237.80m を踏む
海上(かいしょ)峠
三角点を過ぎると暫くは背丈の低い笹道で喜ぶが、その内に又笹丈が次第に高くなり藪っぽい場所もある。09時18分立ち
枯れの木が並ぶ場所には地形図で南北に破線が交差して泉保さんの地図には海上(かいしょ)峠と記されている場所だ。
北側への破線は滑川渓谷沿いに海上(かいしょ)を経て桜三里の千原まで延びている。南側への破線は梅ヶ市へ至る筈だが、
笹が深く南北へ分岐する踏み跡は定かではなかった。
09時23分少し北へ向かった尾根道は深い笹の中でルートが東(右手)にカーブする。このコーナーの北側には尾根が伸び
ており黒森(903.9m)を経て面木山(988.3m)を経て桜三里の中山川に消える。笹薮に悩まされながら徐々に高
度を上げていく。
三角点を過ぎると少しの間快適な低い笹が続く しかし笹が次第に高くなる 右手には樹林帯が並ぶ
09時18分 地図にある海上(かいしょ)峠付近を通過 笹薮の中をルートが右手にカーブする
踏み跡は全体を通じて見失う事は無かった 青滝山へ向かっての上りが続く
左手の樹木が空いている場所では青滝山の北尾根が見える。東温アルプスがアルプスで有り得ないと同じで、こんな標高の低
い樹林帯の尾根はほぼ見通しが無い。
唯一の間違いやすい場所でルートを間違う!
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 青滝山手前の間違いやすい地形
10時03分なだらかなピークに着くと根っこから横倒しになった倒木があり、それを避ける様に踏み跡が右手に続く。5分
程この踏み跡を辿るがどうも下り傾斜になっている。そこで左手を見ると別な尾根が高い場所に見える。ありゃ? 南へ向か
っているぞ。先程の倒木付近まで帰って東側の青滝山へと向かう。確かにこの辺りは等高線が緩んでルートが分かり辛い地形
だ。
09時40分 前方の1,234mピークへと進む 09時52分 本日2回目の見晴らし・・・青滝山の短い北西尾根
次の高みに上がると地形が平坦な笹薮になる ここがターニングポイントで左に行かなければならなんだ
そのまんま南へ進んでしまって引き返す ターニングポイントに倒壊木があって分かりづらかった
9分のロスタイムの後、藪っぽい本道へ進む 確かにこの辺りは地形が平らで分かりにくい
青滝山 三等三角点「青滝山」 1,303.73m
10時03分縦走尾根に原状復帰して深い笹尾根を東に進む。平らな地形には深い笹とブナが有った。そろそろ青滝山が近い
ので山頂標識に気を付けながら歩く。
と言うポールが立っている。近くを探すと三角点の白い支柱が見えたのでその辺りの草を取り払うと青滝山の山頂標識と三角
点が現われた。
直ぐに明確な尾根道となる 中々良い枝ぶりの大ブナがあった
笹は深くなったが時々ブナが出て来る 石鎚山系で良く見かける英語の標識「地球にあまねく平和が行き渡りますように」
おっ 三角点らしき物が草に埋まっているぞ 二人で辺りの草を払って三角点を出す
10時22分 テンニンソウやボロギクの草地に三等三角点「青滝山」を踏む 標高 1,303.73m
相名峠(1,156m) と四等三角点「相名峠」 1,218.58m
青滝山から少し進むと藪が薄くなり踏み跡もはっきりして来た。次の通過点「相名峠」の手前にある1,264mピークまで
30分程なだらかな尾根が続く。10時53分このピークを過ぎて下り傾斜になると立派なブナが立っていた。
11時00分右手に植林帯が現れるとその先が少し窪んでおり白いポールが立っているのが見える。ここが南側の梅ヶ市と北
側の保井野を結んだ「相名峠」で、地形図にもそれぞれを結んだ破線が記されている。北側の中山川水系・鞍瀬川と仁淀川水
系割石川の更にその支流妙谷川との分水嶺になっている。地形的には先ほど通過した1,264mPと次の1、218.6mP
との間の窪んだ場所(標高約1、156m)に位置する。峠の左手は背丈の低い笹が生えたなだらかな斜面に踏み跡が延びて。
右手は植林帯の谷部へ向かって道が有ったのだろう。
なだらかで快適な尾根道となる 何故かこの辺りは登山道が広く踏まれていた
苔むした岩が転がっている 10時55分 この尾根筋で一番大きなブナに出会う
11時02分 コル部に相名峠の白い標識が立っている
この峠から二重尾根の様相を呈した尾根の右手側を登山道は上っていく。相変わらず右手に植林帯となった上り傾斜を進むと
11時30分登山道の真ん中に三角点が有った。背丈の低い笹で見つけ易かった四等三角点「相名峠」だ。
三角点を過ぎると尾根は右(南側)へ曲がりながら高度を上げて梅ヶ市登山道の合流点に向かう。いつの間にか自然林の笹尾
根に変わって12時02分梅ヶ市ルートとの合流点を通過する。上りの時は何となく過ぎてしまう合流点なので写真すら取り
忘れてしまった。
相名峠の左手、笹原の中に踏み跡が見える 相名峠からは二重尾根の様になっており、右手に道が続く
上り傾斜を樹林帯の左側に沿って上がる 傾斜を上がり切ると比較的水平な尾根となる
道のど真ん中に三角点があるじゃん 11時31分 四等三角点「相名峠」を踏む
三角点から南に回り込んで高度を上げる 転機が崩れてガスが湧いてくる
12時01分 この先で梅ヶ市登山道と合流する 梅ヶ市登山道と合流し1,468mピークに向かって上がる
保井野分岐
12時20分前方の1,468mPへの急登になるとロープが現れる。先程から次第に雨が降り出して笹がびっしょり濡れて
いる。肩部に出るとやっと目的地の堂ヶ森が姿を現した。
12時28分保井野ルートの標識がある三叉路を通過する。登山道は2度尾根筋を離れてトラバースして堂ヶ森の南側に出る
ようになっている。
ロープが掛けられた急斜面を1,68mコブに這い上がる すると堂ヶ森が姿を現す
目指す堂ヶ森 反射板が目印だ 登山道が尾根をトラバースして刻まれているのが見える
1,468mPの右手に見えるのは青滝山か? 12時28分 保井野登山口分岐を通過する
1,468mピークを振り返る 堂ヶ森へのトラバース登山道に入る
一旦尾根筋に上がり、直ぐにトラバース路となって12時55分堂ヶ森南尾根出合に着く。雨が激しくて急いで13時00分
反射板を抜けて堂ヶ森三角点を踏む。普段ここから石鎚までの眺めが良いのだが、鞍瀬ノ頭までは何とか見えるがその向こう
は霞んでいる。取り敢えず記念写真を撮って雨に霞む白骨樹をチラッと眺めながら南尾根出合に下がる。
センブリ、ヤマラッキョウ、リンドウ、アキノキリンソウなどが雨に濡れて泣いており、堂尾根、保井野尾根が霧に浮かんで
いる。
12時55分南尾根から堂ヶ森へ切り上がる 堂ヶ森の反射板へ向かう
13時00分 一応山頂で記念写真を形だけ撮っておこう 石鎚方面は雨で煙る
帰ろ かえろ!南尾根を下る 奥は五代(ごよ)ヶ森 鞍瀬ノ頭は何とか見えるけど・・・
センブリ? ヤマラッキョウ
アサマリンドウ アキノキリンソウ
オトギリソウ リンドウ
1,468mピークの奥に並ぶのは青滝山と黒森かなあ?
13時26分 保井野分岐から1,468mピークを見る 手前で左へ六部峠への藪道を分ける
梅ヶ市、縦走尾根分岐
13時30分今年の7月末に歩いた「六分峠」分岐に立つ鉄の標識が倒れて笹の中に埋まっていたので立て直す。1,468m
コブ尾根へ進み14時00分縦走尾根と梅ヶ市分岐に着きよ〜〜く確認する。
へと誘われる。逆に先程歩いて来た尾根縦走路は藪っぽくて踏み跡がはっきりしていない。ここの分岐には赤テープが2本巻か
れていた。分岐からはアキチョウジが咲き乱れる植林帯の登山道を下る。
倒れていた六部峠への入り口目印になる鉄製標識を立て直す ピークに向かって踏み跡を辿る
(六部峠へは前方に立つ2本の木の間に向かって笹薮を進む)
14時00分 梅ヶ市登山道と尾根縦走路の分岐にはテープが巻かれていた 奥に植林が見える
分岐を左手(梅ヶ市登山道)へ進む 先程歩いて来た 青滝山〜黒森峠への道は少し藪っぽい
アキチョウジが群生していた
植林帯の中に続く梅ヶ市登山道はブルドーザーで押された作業道で分断され悲惨な状態になっていた。それでも途中までは南
西尾根に沿って道が付けられて踏み跡もはっきりしていた。
14時06分いきなりブル押しの林道に突き当たる 林道を横切って登山道が尾根筋に続く
14時14分 又林道に行き会う 尾根道に入るが、下側に又林道が見えるよ〜
あちゃ〜〜 又林道と交差する 14時20分 林道を横切る
又尾根に付けられた林道に出て少し歩く 14時28分 又尾根の登山道へ入る もう嫌〜〜〜
尾根道を進む ん? 何の花
14時36分 林道とクロス もうびっくりもしない 又々尾根道を下ると下に林道が見える
尾根を左に外れて登山道を下る
14時40分南側の尾根を伝って8分程下ると、登山道は尾根を外れて少し藪っぽい谷筋に入る。15時00分広い未舗装林
道に下りつき10分程で梅ヶ市登山口に着いた。
う〜〜ん ここは一体どう進むのか? 左手に向かって道が伸びる
14時48分左手の林道を横切って谷筋へ登山道が延びる 谷筋の登山道を下る
14時58分林道に下り付く ここに堂ヶ森の登山口標識がある 林道を歩いて駐車場へ向かう
15時11分 堂ヶ森 駐車場へ帰る 車に帰り、黒森峠へデポした私の車へと向かう
梅ヶ市登山道は過去2度歩いた懐かしい道だったが、今はその登山道は林道でズタズタに切り裂かれその雰囲気は無かった。
今回の山行で皿ヶ峰から石鎚をへて剣山までの尾根ルートが繋がった事は四国の山を歩く自分としては何とも言えず感慨深い
ものだった。