アケボノツツジのツナクリ山へ小足谷川を挟んだマイナールート周回

サブタイトル:伊予の鈍亀ワールド、超ヘンテコリンな尾根ルートでエントツ山2号山中引き回しの刑に)

令和元年5月3日

別子ダム・変電所所前〜ツナクリ南東尾根〜金鍋越〜ツナクリ山〜西山〜大山〜
新太平坑〜角石原〜東山〜小足谷尾根分岐〜市左越〜小足谷尾根〜日浦登山口 (ややこしい〜〜)



 カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図  ツナクリ山へアケボノ詣でのルート提案   尾根歩きスペシャリスト 伊予の鈍亀ワールド


プロローグ

九州から連休でエントツ山2号が帰省して、山歩きから遠ざかっているのでどこか簡単にアケボノツツジを見に行きたいと言う。
今年は花が遅れているのでツナクリ山がお手軽で良いと言う事で伊予の鈍亀さんや犬返仲間の能智さん、尾野さんと一緒に歩く事
にする。

伊予の鈍亀さんが「ツナクリ山へ行くなら別子ダムから面白い尾根がある。大永山トンネル口から行くより早いかもよ」と言う。
それじゃルートはお任せしますって事でエントツ山2号には「簡単にツナクリ山へ行くよ」と伝える。実は事前に予定ルートを
亀吉さんからスマホで送って貰っていたのだが尾根歩きのスペシャリストからの提案だけに真剣に検討はしていなかった。これが
結果的に山中引き回しの刑になるとはその時点では思ってもみなかった。


登山口は県道47号線、別子ダム変電所前


07時00分いつもの山根運動公園に集合し、私と亀吉車の2台で日浦手前の別子ダム変電所前まで走る。地図で見ると別子ダム
の半ば近くに半島が少し飛び出た場所があり発電所等の記号がある。別子ダムの水は導水管で銅山峰を通して北側の東平発電所へ
送っているから恐らくここに記されている発電所記号は変電所だろう。この登山口は意外な場所にある為亀吉さんでさえ一度見過
ごした程だ。


目印はコンクリート擁壁の端にある住友林業の「火の用心」のデカい看板だ。良く見るとそこから確かに踏み跡が山に向かって続
いている様だ。地図を見ると確かにここから一本の尾根がクネクネとツナクリ山の南テラスまで延びている。こんなマニアックな
ルートは尾根歩きのスペシャリスト伊予の鈍亀さんでなければ思いつかない。


  
  別子ダムの出っ張り部の変電所付近が登山口         擁壁の切れ目にある住友林業の「火の用心」看板が目印


行程1)別子ダム登山口〜三角点「下七番」〜金鍋越〜ツナクリ山  約2時間30分


カシミールソルトを利用したGPSトラックログ図  別子ダム登山口〜三角点「下七番」〜ツナクリ山 (2時間ヱ0分)

 

08時10分能智さんを先頭に立ててこの未知のルートに入って行く。最初は平凡な植林の尾根を作業道の様な踏み跡に従って
上がって行く。植林も下の方は綺麗に枝打ちがされている。

08時23分しっかりした道が尾根を交差している。これは大永山トンネル南口近くから銅山川沿いに日浦まで続く旧馬車道・
牛車道だ。この馬車道は曽我さんや伊予の鈍亀さんが通して歩いている。
さてここから道の無い尾根を這い上がる。基本的に植
林帯だが時々松やリョウブもあり岩等も現れる急傾斜でワイルドな尾根だ。


  
エース能智さんを先頭に登山口(?)を入る              いきなり植林の急登となる

  
  馬車道までは踏み跡が続く                     08時23分 別子銅山・馬車道を横切る

  
 馬車道をクロスして道の無い尾根に入る              リョウブなどが生えた尾根の急登を進む

  
 うへ〜  急な尾根じゃのうし                     後続も続いている

08時40分赤松のなだらかな尾根に出ると左手の下七番谷を挟んだ向かいの尾根が見える。この尾根もやがて今歩いている上
側の1,480mピークで合流する事になる。中々しっかりしている尾根なので歩いてみたいものだが支尾根が沢山有りすぎて
どこから取り付くか悩ましい所だ。


すると尾根の傾斜は激坂になりよくもこんな場所に植林をしたものだと呆れる。08時47分上方の肩部で亀吉さんと能智さん
が手を振るのでやっとここで激坂が終わるのかと喜んだが、肩に這い上がって見るとまだまだ激坂が続くので唖然とする。植林
はまばらに点在しているがリョウブと赤松、岩の急傾斜を喘ぐ。


09時08分一旦傾斜が落ち着き、赤松と雑木帯になる。ここから花の終わったミツバツツジのピンと立った葉を見ながら尾根
に沿って三角点を見逃さない様にして進む。


  
 下七番谷を挟んだ向かいの尾根も良さそうじゃ 奥は県境尾根    この傾斜 半端ない!

  
 おいで おいで と言われてもなあ そこがピークなの?    否 まだまだ続くよ 急斜面  大岩もあるでよ

  
 しかし 面白い尾根じゃ〜                       ムカデ競争みたいに並んで上がってくるぞ

  
  いつまで続くんじゃ〜                         09時08分 赤松が生えた肩部に着く


四等三角点「下七番」 

09時18分平らな地形の尾根で四等三角点「下七番」に出合う。マイナーな場所を歩く場合三角点が行程上のチェックポイン
トとなる。植林する場合、尾根筋だけは植林されていない場合があり、ここも尾根部分にはスペースがある。この辺りは下七番
と呼ばれていた場所らしく、南側に流れる短い谷筋も「下七番谷」となっている。
(ちなみに住友フォレスターハウスのある少
し銅山川の上流部は「中七番」と言う地名でこの辺りの川は七番谷川になっている。


  
 三角点を見逃さない様に平坦な尾根を進む           09時18分 三角点「下七番」をを確認

三角点を過ぎても高低差のない尾根が続き、松の間から前方の高みに1,418mピークが見える。松やリョウブの密生した尾
根を抜けると09時26分前方が開けて鉄塔に着く。
住友共電・高藪西線34番と札が掛かっている。この電線は北側へ銅山
峰の馬の背を抜けて鹿森ダム付近で国領川の左岸に渡り上原まで延びる。南側へは三森峠を抜ける電線だ。


  
  なおも平坦な尾根が続く リョウブへの鹿の食害がひどい  09時26分 住友共電・高藪西線34番鉄塔に出る

  
       冠山からチチ山方面                     電線が向かう三森峠と三森山


09時35分広めの道が尾根を又クロスする。旧・炭の道(馬道)で私の東京に住む長兄と伊予の鈍亀さん達で大永山トンネル
から旧別子・小足谷まで以前に歩いていた。亀美さんに言われるまで自分が歩いた道である事はすっかり忘れていた。


  
  炭の道が左手から尾根をクロスする                右手に向かって炭の道が延びている


  伊予の鈍亀さんが歩いた南嶺・炭の道ルート図

この炭の道をクロスして尾根へと向かう。そこからの尾根は植林帯と言うよりはリョウブや松などが密生する自然林の急登にな
る。
09時47分右手から延びて来た別な尾根と合流する広場に出て、そこから少し左の方角に向かって高度を少し上げて行く。
リョウブの乱立する尾根筋近くにはオオカメノキが咲いており少し寄り道をしながらなだらかな傾斜を上がって行く。
すると
リョウブの樹皮が齧られて枯れたスズタケが立つ殺伐とした鹿害の尾根に出ると又右手から別の尾根が合流して来た。

尾根を上る場合はいくら支尾根が合流しようが気にならないが、逆に尾根を下る場合にはことごとく支尾根が道迷いの元凶として
現れる。


透明の空瓶が落ちており、別子住友病院の刻印と目盛がある。漢字並びが右側からの読みだから相当古い物だが、一体こんな場所
に何故落ちているのか? 珍しい落し物をみんなで眺める。

  
  炭の道をクロスして尾根を上がっていく        人間を入れると結構傾斜がキツいとわかる

  
  尾根が何となく左へカーブする様だ          右手から尾根が合流し広場になっている

  
 尾根が合流して左方面へ登って行く            オオカメノキが見事に咲いている

  
この辺りはスズタケもリョウブも鹿の食害が酷い      別子住友病院の刻印と目盛りが入った瓶

金鍋越 (登山道との合流点)

10時05分 1,418mピークに上がる。このピークは周りの色んな支尾根を集めてここで一本の尾根となりチチ山へと向か
う。従ってこんな尾根ピークを下る場合は相当注意を要する場所だ。北側には風を遮る様にモミの樹とアケボノツツジが生えてい
る。その上に植林まで現われるが、暗い木々の間に点在する初アケボノツツジに全員無条件に喜ぶ。


ここから細尾根をピンクが現れる度に歓声を上げながら進むと10時22分登山道と合流した。別子ダム登山口から2時間10分
程でここ「金鍋越」に合流した事になる。


金鍋越はこの下方に別子銅山の金鍋抗があった事から名付けられている。古い時期には採掘が行われていたとも言われるが、基本
的には探鉱、試掘が行われたとみなされている。ちなみにダイヤモンド水はこの金鍋鉱床のサンプル採りのボーリング作業で地下
水にぶつかった産物らしい。


  
10時05分 ちょっと背景は今イチだが初アケボノが姿を見せる  1,418mピークに上がり 細尾根を進む

  
アケボノや〜〜  目的は藪尾根歩きじゃなくってコレなのよね   金鍋越に向かって細尾根が続く

  
  出た〜〜  木登り亀〜〜                   アケボノツツジはいくら見ても飽きる事は無い

  
  おっ  登山道に合流したようじゃ 10時22分       ここは「金鍋越」と言うらしい

登山道の下方から子供を含めたグループが登って来ている声がする。大永山トンネル口から歩いて来ているのだろう。私もこの登
山道は結構歩いているがまさか金鍋越の反対方向からここに至るとは思っても見なかった。


登山道に合流したと言ってもこの金鍋越からツナクリ山の南肩までは標高差60mを一気に上る急傾斜となる。左手にはアケボノ
が咲いているのでこの時期は楽しい道だ。


 
ツナクリ山への激坂上りが少しの間続く               左手にアケボノツツジが咲いている


ツナクリ山 綱繰山 1,466m

ツナクリ山の南肩部に上がるとそこはアケボノツツジの並木道だった。前方、北斜面を見るとアケボノでピンクに染まっている。
10時40分錆びた鉄柱に綱繰山の標識が貼られている。これと全く同じ錆びた鉄柱は上兜山にもあるから鉄製の山頂標識が立て
られていたのだろう。ツナクリ山はなだらかな南面にも見応えのあるアケボノツツジが咲いており見物に時間を取る。


写真撮影が終わった頃に金鍋越で声がしたグループがやってきた。小さな女の子も居る。聞くとお孫さんの高校入学を家族で祝う
為にやって来たと言う。何と言う素敵な話だ。更に話をしていると以前西赤石でお会いした伊藤さんという方だと分かった。そり
ゃ皆さんのカメラマンにならなくては・・・と又アケボノ撮影現場に案内して記念写真を撮る。更に話をしているとこのお孫さん
のお母さんは尾野さんと知り合いだった。やはり故郷、新居浜の山は色んな繋がりの出会いがあるものだ。


  
ツナクリ山の稜線に上がるとアケボノが沢山見られる       アケボノツツジを見上げると青空に映える

  
 ツナクリ尾根はアケボノツツジの並木道だ             先のツナクリ山ピークの北面もピンクに染まっている

         
 おっ ここから景色が良く見えるぞ (スマホ写真)      じゃあ オイラも木に登ってみましょう

  
10時40分 ツナクリ山の標識に着いた               右手の緩斜面にあるアケボノが見事だ

  
 念願のアケボノにエントツ山2号も満足そうだった        犬返仲間の能智さん、尾野さんも喜んでいる


          ツナクリ山からアケボノをバックに赤石山系


伊藤さん一家のお孫さん高校入学祝い記念写真に入らせて貰い福を分けて頂く  伊藤さん おめでとうございま〜〜す

  
 伊藤さんは食事場所を探しに尾根へ一緒に出る           テレビで見る子役の様なお孫ちゃん  バイバイ


行程2)ツナクリ山〜西山〜北西尾根〜大山  約1時間45分


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 西山〜峰山峰の北斜面を歩くルート

11時00分アケボノに飾られた稜線を西山に向かう。西赤石の影に隠れてあまり知られていないがツナクリ山がアケボノツツジ
の名所だとつくづく思う。


西山コルへの下りは相当な急傾斜で、山歩きを始めた最初の頃中学校時代の友達を誘ってこの坂を上り不評を買った。四国外から
来られた年配の登山者夫婦に会い挨拶をすると、坂がキツイから途中で引き返すと言う。
11時18分西山コルに下り着く。ここ
から小足谷川の源流伝いに東へ下り牛車道を通って銅山峰へのルート分岐になっている場所だ。


  
 ツナクリ山 南面を振り返る                      名残惜しいツナクリのアケボノ

  
     急坂を西山コルへと下る                    激下りになる

  
    アケボノ越しに西山が見える                  11時18分 西山コルに下り着く


西山 三等三角点「西山」 1,428.73m

コル部から少し上がるとここにもアケボノが咲いており、西山の西斜面もピンクに染まっているのが見える。暫く急傾斜を喘ぐと
今度は反対側のツナクリ山北斜面のアケボノピンクを見る事が出来るお得な場所だ。


11時32分眺めの良い西山展望所テラスに着くと香川県から来たご夫婦が食事をされていたので、我々も「お邪魔します」と声
をかけて昼食休憩を取りながら眼前に広がるツナクリ山の景色を眺めながら25分程過ごす。


  
近くに勲章の様なオオカメノキの花があった             コルから少し上がった場所にもアケボノが咲く

  
  中間部から西山の西斜面を見る                西山展望所手前からツナクリ山の北斜面を眺める

 
      西山展望所(西の肩)からツナクリ山を眺める   右奥は冠山

西山から北西尾根(三ノ森尾根)へ下がる

さて、昼食を終えて11時56分西山三角点から西側の藪尾根に向かう。西山から東へ銅山峰へ下りる明確な登山道があるが、今
回は大山のアケボノツツジを見る目的がある。大山・三の森へ続く尾根は一旦西側へ急斜面を下った後、次第に北西へと尾根が延
びて行き、今日の目的地「大山」で尾根が北へ振って三ノ森〜二ノ森〜東平へと続いている。


若手リーダー育成プロジェクトで終始能智さんにトップを歩いて貰う。能智さんは体力的にも恵まれており、我々の記録を参考に
して一人でマイナーな西赤石界隈を歩き回っておりメキメキと実力を付けて来ている。やはり「山歩き力」を付けるには一人で歩
くかグループでもトップを歩く事が肝要だ。


リョウブ、ツツジ、アセビなどの灌木ヤブを西に向かって下りる。細尾根の途中から先ほど歩いて来たツナクリ山の北面が見える
が、沢山アケボノツツジのピンクに染まっている。


住友の井桁マークの境界標石ある藪尾根にも勿論アケボノツツジが咲いている。リョウブなどの疎林が急な斜面に続くと岩場があ
って又沢山のアケボノツツジが出現して足が止まる。西赤石と違ってこの岩場には常緑針葉樹が一緒に生えているので写真的には
アングルの工夫が必要となる。一旦ピンクが無くなり急斜面を下り出すと又現れて足が止まる。
亀吉さんはカメラアングルを求め
て木に登っている。


12時20分尾根の右手が植林地帯となるが急斜面は変わらない。12時26分前方に大山らしきピークが見え、そこを下ると右
手に脇道が現れた。ここが亀吉さんによると喜三谷道分岐だそうだ。そして一旦大山まで下り、ここまで引き返して水平道を角石
原へ向かうと言う。


    
 11時56分 西山三角点を踏む                   三角点から西へ灌木藪を踏み跡に沿って下る

  
 ツナクリ山の北斜面が良く見える                 この尾根には住友・井桁マークの礎石が要所にある

  
 この尾根筋も立派なアケボノが咲いている                急傾斜が続く

  
 枝振りの良いアケボノが多い                     元祖 木に登るのが大好きな亀

  
 ここは基本岩尾根だ                          どんどん下る


    いいね いいね! 人の来ない尾根でも毎年ちゃんと咲いている

  
 目を離すと直ぐに木に登っている                 リョウブの藪に井桁マークの礎石アリ

  
 右手に植林が現れ、その境界を下って行く             前方に大山らしきピークが見えた


大山 (おおやま)標高 約1,210m


喜三谷分岐からは北西に伸びる台地の様な尾根が大山まで続く。基本的に右側(東)が植林帯で左側(西の急斜面)が自然林とな
っている。最初は低木の藪が続くがそこを抜けると歩き易い尾根となる。


12時41分大山に着く。と言ってもここは尾根の肩部でさしたるピークも山頂標識も無い。大体がここが「大山」だと知る人は
稀だ。以前伊予の鈍亀さんが東平〜二ノ森〜三ノ森〜大山〜西山へアケボノツツジの時期に歩いてレポを貰った時に「大山ってど
こに山名が載ってるの?」って聞いた事がある。亀美別子銅山研究員によると山村文化の冊子に昭和に入って試掘された坑口に金
鍋抗、綱繰抗、大山抗があり、「大山」はこの近くにあった大山抗から来ているらしいと言う。コピーを頂いた昭和34年発行の
伊藤玉男さんの著書「赤石山系」付図の中に東平〜二ノ森〜三ノ森〜大山〜西山と確かに記されている。


大山の目印は西山から北西に伸びた尾根がこの場所で直角に北東部に折れ曲がるターニングポイントでここに大岩がある。銅山峰
界隈でアケボノツツジが一番早く咲く場所の一つでもある。大岩に咲くアケボノと遊んだ後、喜三谷分岐へと引き返す。


  
 12時26分 喜三谷分岐に到着する                ここから急に藪っぽい尾根になる

  
     更に藪尾根が続く                      13時35分フツーの尾根になる

  
 尾根がずんやりと右にカーブしている             12時43分 大山の目印・岩場に着く 西側に回るとアケボノがある

  
 何という事もない尾根の曲がり角が「大山」だ           13時00分 喜三谷分岐に帰る


行程3)大山〜(トラバース道)〜喜三谷道分岐〜旧太平抗〜角石原〜(ヒュッテ近道)〜東山 
      約1時間30分



亀美・別子銅山資料室長より提供の昭和34年4月発行 伊藤玉男さん発行の「赤石山系」付図=赤石山系地勢図より抜粋(今回のルート図)

15分ほど高低差の無い尾根を喜三谷道分岐まで引き返す。13時01分いよいよここから頼りないトラバースを通って新太平坑
跡〜角石原へ向かう。この尾根筋から西山〜銅山峰の北斜面に沿って確かに踏み跡が続いている。


銅山峰の北嶺は江戸時代から立川銅山があり、それを吸収した別子銅山も拠点が南嶺から北嶺に移っていった事もあって、この界
隈は当時色んな道が存在し人の往来があったと想像出来る。しかし銅山が閉山になって半世紀近く、こんな場所を歩く人は稀だろ
う。


崩壊地あり

相変わらず能智さんを先頭に踏み跡を辿る。まあ水平道だから不明な場所でも炭の道みたいに平行に進めば道は見つかる。しかし
13時14分結構大規模な崩壊地に出くわす。良く見ると細いトラロープが張られており何とか自前のロープを出さなくても利用
出来そうだ。10分程かけて慎重に渡り切る。


  
 西山北面、植林帯のトラバース路に進む             こんなガレ場はトラバース道の宿命だ


 13時14分 大崩壊地が現れ少したじろぐ  斜面を見ると細いトラロープが上の方に張られている

  
足元が悪いので気を付けながら順番に渡る            ロープが緩いので途中でテンションをかけて補助する

    
10分程で全員渡り切る                         尚も急斜面のトラバース道が続く


その後もトラバース道は続くと13時37分西山から北に伸びる尾根に合流したらしい。しかし、尾根を交差する道が見当たらな
い。すると亀吉さん達が尾根筋に道があると少し下り出した。見覚えのある大岩展望所を逆に下った。この尾根は東平から西山ま
で続く北尾根で、ここを下ると東平へ行ってしまう。心配していると10分程で右手に続く水平道が現れホッとする。


この西山北尾根は伊予の鈍亀さんに教えて貰って東平駐車場からヘリポートに上がった場所から歩いた事があるが、確かに交差す
る道に出合ったが記憶に残っていなかった。


喜三谷道と合流する場所には石垣が積まれており、そこからはヒカゲツツジの咲き誇る藪っぽい水平道を進むと13時57分「新
太平抗」跡に着いた。
坑口は緑の金網で整備されており、そこから角石原までの道は以前の藪道では無くちゃんと整備されていた。
どうもここは愛媛さんさん物語の山テーマになっている場所らしい。


  
 13時37分 先の尾根部で水平道が切れた           西山北尾根を少し下るのがルートになっている

  
 13時32分 西山北尾根・大岩展望所の左手を下る      ヒカゲツツジの藪になり次第に尾根を右手に外してくる   

  
 西山北尾根を東に外して踏み跡が続く             13時51分 トラバース道になると喜三谷からの道と合流

  
 喜三谷道と合流すると直ぐ石垣が現れた             太平坑へ至る水平道 ここは以前歩いた事がある


    右手斜面には見事なヒカゲツツジの群落が一斉に花を咲かせていた


  13時57分 新太平抗に到着  坑口には緑の金網で入れない様にしていた

  
  近くにレンガ作りの人工物がある                  亀吉のパフォーマンスを撮影する亀美

  
   沢を一つ渡る                           ヒュッテから太平坑跡までの道は整備されていた

14時15分銅山峰ヒュッテに到着する。今年はヒカゲツツジの当たり年らしくヒュッテの裏斜面も表側も咲き誇り、いつもは寂
しささえ感じさせるこの花も豪華にイメージチェンジをしている。


恒例の水場でシコクカッコウソウを鑑賞して14時20分角石原東分岐を一旦、上部鉄道跡への道に入り直ぐに東山へ向かうヒュ
ッテ近道ルートを上がる。ここは皆が既に歩いているルートなのだが、上りに使うと結構急登だ。急斜面にジグザグを切って付け
られている登山道を喘いで14時50分東山コル分岐に出る。ここにヒュッテ近道の標識が立っている場所だ。


  
  14時13分 ヒュッテ手前のヒカゲツツジ前に着く         ヒュッテの北側のヒカゲツツジも満開だ


 今まで何度もここを訪れたがこんなにヒカゲツツジが咲き誇る姿を見たことが無かった

  
  銅山峰ヒュッテを通り水場へと進む                シコクカッコウソウも見頃だった


                            しばし花に見入る                     

  
左=東平 、右=上部鉄道へ 14時21分右手の道に進む    直ぐに尾根に上がる近道へと入る

  
 急な坂道をジグザグと稜線を目指す                カラマツが現れたら稜線が近い

  
  14時56分 稜線登山道へ出る                 ヒュッテ近道の標識がある西赤石登山道・東山コルに着く


行程4)東山〜小足谷尾根分岐〜市左越〜上部鉄管道分岐〜下部鉄管道分岐〜三角点小足谷〜
    日浦登山口 約2時間45分


 

さて、西赤石への主尾根に出て、フツー下山する場合は東山から銅山峰へと下る。と言うかもっとフツーには銅山峰ヒュッテか
ら大人しく銅山越を経由して日浦へ下るルートを選択するだろう。ところがここから又伊予の鈍亀ワールドに引き込まれていく
運命となる。

遠くでカミナリが鳴りだして早く下山したい気持ちになる。しかし鈍亀へそ曲がりルートは逆に西赤石方面へ上って行くと言う
のだ。鹿の食害が進む灌木帯を上って15時02分「小足谷尾根分岐」に着く。ここに茶色に錆びた分岐標識が立つ。普段は誰
もこの藪尾根を見るだけでくわばらクワバラと銅山峰へ向かう場所だ。


  
 ここから日浦とは逆の西赤石方面へと向かう           遠くで雷が鳴りだし雲行きが怪しいよ〜〜

  
 鹿の食害を右手に見ながら分岐を目指す             15時02分 小足谷分岐の錆びた鉄標識に着く


市左越

小足谷尾根道はこのまま下ると旧別子・接待館の裏まで踏み跡が続く古い道で今日参加の連中も既に歩いているルートでもある。
鹿の食害が分岐を過ぎると以前の様な藪は少なく結構快適な様子だ。しかし先程から雷鳴が次第に近づきポツポツと雨が降りだし
た。

15時15分この尾根の途中に「市左越」という分岐がある。名前の由来は良くわからないが上部鉄管道がここまで引かれて東延
の水槽へ溜められていたと言う。この事は以前上部鉄管道を歩いた時に例の山村文化で高橋幹さんの地図で見たのと、曽我さんの
ブログで明治時代の地図が掲載されていてそこに市左越(市庄越?)と記されているのを見ていた。


  
 15時03分 小足谷尾根分岐から南尾根に入る         意外と鹿の食害で藪が退化していた

  
雷が鳴って雨がポツポツ振りだした                  15時14分 市左越分岐に着く


  山村文化 高橋幹さんの上部・下部鉄管道の挿絵地図にある 「市左越」


  曽我さんのブログに掲載された明治時代の地図にある「市左越」

尾根を交差する上部鉄管道、下部鉄管道、索道場

ここで雨が激しく降り出したので全員雨具を装着する。私だけ持っていないのでユニクロの薄っぺらいウィンドブレーカーを着る
が直ぐにずぶ濡れになった。さて、さすがの亀吉さんも天気が悪いのでこのまま接待館へ手早く下るか当初の予定通り少し遠回り
だが東側の尾根に回り込むか悩んでいた様だった。そこで私がつかさず予定通り面白い尾根コースで行きましょうよと進言する。

勿論その時はエントツ山2号の存在も膝の故障の事も脳裏から消えていた。まあ意見を聞いたとしても彼に拒否権は無く、皆と行
動を共にするしか無かったのだが・・・。


雨とカミナリの中トラバース道を尾根乗り換え歩きで15時31分東側の尾根、「上部鉄管道」分岐に着いた。ここの目印として
は大き目の鉄板プレートが木に掛けられており「122124」と数字が読める。小足谷を挟んで東西に二つの尾根があり、一つは
小足谷尾根分岐から先程下って来た北へ延びる尾根で、これを辿れば旧別子登山道の接待館裏に至る。もう一つは東側に乗り換えた
南東尾根で今からこれを徹頭徹尾下れば日浦登山口近くに至る筈である。


上部鉄管道分岐から更に尾根を更に下り今度は15時42分「下部鉄管道」分岐の切り通しに着く。ここは林道と旧別子への道が
交差している少し広い場所で雨足が緩くなった事もあり少し休憩する。エントツ山2号を見ると膝の屈伸運動をしている。「膝は
どんな調子?」と聞くと「どうもこうも、こんなにハードな歩きと知らなかったので山中引き回しの刑に合ったみたいや」と嘆い
ている。まあここまで来たら一蓮托生ガマンして歩くしかないと諦めている様だ。これもそれも美しいログを夢見る伊予の鈍亀さん
のせいや すまんのう。


10分程長めの休憩を取った後南側の尾根に向かって這い上がって行く。この尾根はすぐ近くに林道が平行に走っており尾根歩き
の感じがしない。15時50分地図にある1,194mピークを過ぎると急傾斜を少し下る。すると16時04分又切り通し部が
あり林道が尾根の左手を走っている。ここには索道場となって足場やワイヤー、ビニールに覆われた機械類が置かれているが現役
かどうかはわからない。


  
雨の中、尾根替えのトラバース道を歩く 山中引き回しの刑〜   基本植林帯だが赤松も多い

  
15時31分 上部鉄管道分岐 ナンバープレートが目印だ    ここから小足谷の東尾根を南東に下る

  
 この辺りは尾根筋に明らかな踏み跡がある            15時42分 下部鉄管道の広場に着く

  
 下部鉄管道が旧別子へと延びている               屈伸運動をするエントツ山2号 膝が痛いんだろうなあ

  
 15時50分 下部鉄管道から1,194mピークへと上がる    ピークを過ぎると急な下りになった

  
   更に尾根を下る                          左手に道路が平行に走っている


  16時04分 索道場に着いた  ここは左手から林道が合流する広場になっている  ここから最終尾根歩きとなる  

三等三角点 「小足谷」1,132.99m

16時05分ここから取りつく尾根はもう林道とは交わる事が無く、日浦登山口まで最後の尾根歩きとなる。植林と自然林が混じ
った尾根は藪も無く比較的快適だ。少しピークに向かって尾根を上がって更に進むと16時16分三等三角点「小足谷」に出合う。
三等三角点だから若干大き目の礎石だが殆ど地中に埋まっていて訪れる人もほぼ居ない不遇の場所だ。


  
    索道場から引き続き南東尾根に入る             三角点へのピークに進む

  
 おっ 三角点 ありましたぜ                     16時16分 三角点「小足谷」を踏む

日浦登山口に向かって急降下〜

ここで漫然と尾根筋を下りたつもりが様子がおかしいので位置をチェックすると東へ延びる尾根に乗っていた事が分かり南へ続く
尾根筋へ向かい軌道修正を行う。簡単に思える尾根下りなのだが、下りは気を付けないと難しい。正規の尾根に戻り16時30分
大岩の傍を抜ける。更に10分程下ると上部鉄管道合流地で見たナンバープレートが赤松の根本に置かれて「122123」と番
号が一つ減っている。マイナーな場所では大岩やこんな目印がルートのチェックマークになる。


  
漫然と歩き易い尾根に向かうと方角が違っていた          16時24分 南東尾根に復帰して上の尾根を眺める

  
 16時30分 大岩の横を通過                   16時40分  「122 123」の看板がある

少しワイルドな尾根を過ぎると右手へ僅かだが尾根がターンして行くのがわかる。16時47分細尾根の急傾斜になり崖の様な尾
根を下って先へ出る。こんな場所では知らぬ間に亀吉さんがトップになって歩いている。植林が密生した薄暗い細尾根を亀吉さん
がドンドン進むが黄色い雨合羽なので良く見える。やはり登山では着る物やザックは派手な色が良い。


15時55分先で尾根が崖で行き詰る。すると右手傾斜の下に亀吉イエローが動いている。良く見ると登山道に下りている様だ。
急傾斜を滑る様に下ると、そこは日浦登山口の階段を上がった場所だった。わかっちゃいたけど思わず「こんな所に下りる?」と
口に出た。


ドンピシャ日浦登山口に登山道を使わずに下り立った亀吉さんは得意顔で珍しく笑っている。最後に足を引きづったエントツ山2
号が降りて来て「助かった〜」と呟いた。


  
 密生した植林帯をドンドン下る                    16時47郡 尾根が右にカーブして細くなる

  
  まあ くノ一は楽しそうに笑ってるよ〜             ワイルドな急傾斜を下る

  
 暗い場所では黄色が良く目立つ                   16時54分 あれ? 尾根が先で無くなってるよ

  
 亀吉さんが登山道から「こっちやで〜」と声がする        日浦登山口近くの登山道に向かって斜面を下る

  
  最後にエントツ山2号も下りてきた                 17時00分 無事日浦へ下山〜〜


  伊予の鈍亀さん作成による今回のルート図


エピローグ

17時丁度に日浦登山口に全員下り立つ。何か訳のわからない所を歩いて、ほとんど登山道を歩かなかった様な気がする。今日の
主目的はツナクリ山のアケボノツツジであり、この花詣では時期が合い大満足だった。ある者は伊予の鈍亀ワールドに引き込まれ
た満足感に浸りながら、ある者は山中引き回しの刑に遭ったとぼやいたりしながら車をデポした別子ダムへ25分ほど歩く。



  
 日浦下山口からデポ下車まで足取りも軽く歩く      このアケボノを見れたら山中引き回しの刑も受け入れた事だろう

最後は雷雨に遭ったが内容の濃い故郷の山歩きを楽しむ事が出来た一日だった。


  
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