冬の瓶ヶ森(1,896.22m) 東之川コース 瓶ヶ森避難小屋泊

平成31年(2019年)2月2日〜3日 (エントツ山、GakuGaku さん、S.Kita 君)


             平成30年2月3日 瓶ヶ森 女山にて


                        瓶ヶ森より石鎚

プロローグ

エントツ山掲示板でこの冬、瓶ヶ森へ一泊して行く事を書いていると早速高知のGakuGakuさんから一緒に行きませんかと
お誘いがあった。ガクちゃんも北川君と瓶ヶ森へ行く計画を立てていたらしい。


瓶ヶ森は祖谷山系の三嶺に良く似た隆起準平原の山で山頂付近は笹で覆われた別天地だ。但し三嶺と比べて瓶ヶ森は林道
(村道)が出来て簡単に登れる山としてお手軽さが山の魅力を下げた感が否めない。


冬の瓶ヶ森・東之川コースはもう12年も前に四国中央市のグランパさん、グランマー啓子さん達に誘われてマーシーさ
んと参加した。今から考えると当時56歳と言えばまだ若かった。雪はそこそこ深かったがしんどかったという記憶は余
り無い。事実その時は菖蒲尾根を歩いて東之川へ下った程である。


さて、あれから12年経った今、一昨年の秋に完成した瓶ヶ森避難小屋を利用させて貰い一泊二日で歩いてみる事にする。
天気予報は土曜日は晴れ、日曜日は雨だったがガクちゃんらは「避難小屋に泊まるのが主目的やき予定通り行きましょう」
と割り切っている。

その後
ガクちゃんから「出発を13時にしましょうか?」とラインが入る。「え!?幾らなんでもそりゃ遅すぎる」と返事
をすると「早く着いてもする事ないですよ」と返す。
本音は10時頃出発したかったのだがそれを言いだせず「1時間早く
してくれない?」ってことで12時出発で一旦決まった。

前日、新居浜で雨が止むと犬返尾根の上は真っ白だった。こりゃイカン!幾ら片道でもラッセルは時間がかかるぞ・・・
又ラインでガクちゃんに泣きを入れて最終的に11時30分と中途半端な集合時間となった。


平成31年2月2日(土)

東之川〜台ヶ森〜瓶ヶ森避難小屋〜瓶壺〜瓶ヶ森避難小屋


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 東之川〜瓶ヶ森 ピストン

西条 東之川登山口

東之川登山口への道路は12年前の記憶など全く無いに等しく、その間斜面崩壊などで一時通行不能になっていたりした事も
あり早めに登山口へ行く事にした。


石鎚ロープウェイ乗り場(下谷)を通り越し西之川の平(なる)組地区にあるバス停で左折、大宮神社へ向かう「大宮橋」を渡
る。突き当たりの三叉路を左にガードレールのある道路を上がって行くと一本道で東之川集落に着く。


旧バス停広場に数台の駐車スペースやトイレがある。登山口駐車場には先行者らしき車が1台留まっていた。旧登山道や幾島
新道は川沿いに進むのだが、現在の登山道は手前の鉄橋を渡り石垣の旧集落を抜けて植林地帯を進む事になる。


  
道路を左に折れて大宮橋を渡る                   正面左にあるガードレール道路を上がって行く

  
東之川登山口駐車場は右手のトイレが目印             登山口は駐車場から15m下流の橋を渡る


10時頃に懐かしい東之川登山口に着き用意をして辺りを散策する。すると10時30分頃北川君のデリカがやって来てガク
ちゃんもそれに乗っている。「早いやんか!」と声をかけると「エントツ山さんが来る迄ここでゆっくり昼食を食べるつもり
やったに」と言う。おにぎり食を急がして出発準備に追い立てる。


北川君は前日、腸検査をしてポリープが1個見つかり切除したと言う。「え〜大丈夫なの?」と言うとお医者さんに「力む様
な運動をしなければ良いと言われました」だと。


結局、11時00分細い鉄橋を渡り私が先頭でペースメーカー、次に腰骨にボルトが入った改造人間ガクちゃん、最後尾に力
む運動を禁止されたポリープ切除男の順番で登山口を出発する。北川君はトレランを趣味にするアスリートだから彼を先頭に
するといつもの癖で頑張りすぎて体に障るのだ。


  
北川君のデリカが登場〜  奥が先行者(小野さん)の車     11時00分 瓶ヶ森に向けて出発だ〜〜


急登が続く登山道

地形図を見ると登山口の標高は 約550m、瓶ヶ森避難小屋の標高は約1,725m だから避難小屋までの標高差は1,200 m弱もある。
地形図に載っている登山道の破線は加茂川水系、東之川谷に沿ってしばらく進み、途中から尾根筋に這い上がるルートと、
更に上流まで進んで尾根筋のトラバース道に這い上がる「幾島新道」が記されている。でも相当以前から谷が荒れたりしてお
り現在では最初から植林地帯を進むルートになっている。


民家の痕跡が残る石垣の間を7分程上がって行くと突き当たりに瓶ヶ森への標識に出合い左折する。ここから暗い植林の山
道となり、斜面には枝打ちされた植林が結構密生している。


  
最初は旧民家の石垣を見ながら山に入って行く         石垣の外れに標識がありここから山道となる

11時20分次の瓶ヶ森への標識が現れると辺りに雪が次第に見られるようになった。先行者の足跡は二人の様だ。一旦辺
りが明るくなり植林帯の右端に沿って急登りとなる。
その後又、登山道は植林帯の中に入り掘れ込んだ道に沿って緩やかな
傾斜を登って行く。


12時10分辺りに笹が現れ、地図を見ると旧道の破線との合流点付近であるが特に分岐標識等は立っていないので沢から
の旧道は確認出来ない。


12時20分伐採地に着くと左手が透けて菖蒲尾根が見える。ガクちゃんによると以前は伐採後の植林も背が低くてもっと
見晴しが良かったそうだ。そう言えば12年前のこの辺りは伐採直後で若木は未だ植えられていなかった。
植林のトラバー
ス斜面は雪が次第に深くなって来たが未だアイゼンなどは必要無い状態だ。


  
石垣に置かれた登山道標識 随所にあって安心する      一旦植林地の端を歩くが又植林帯に入る

  
 良く踏まれた登山道(作業道?)なのでルートは分かり易い   12時10分  林床に笹が現れた

  
12時20分 伐採地跡に着く 菖蒲尾根が見渡せる       すぐに又植林帯だ


幾島新道分岐

雪の木橋を二つ程渡ると12時55分分岐標識と出合う。地形図を見るとこの分岐は丁度支尾根のピークとなっている場所
で、幾島新道は東之川谷を詰めてここまで這い上がるルートになっている。但し標識には「(幾島)新道コースは崩壊の為
危険であるから旧道コース利用しましょう」と書かれていた。


幾島新道とは瓶ヶ森ヒュッテの管理人だった岳人「幾島照夫」さんが開削した道の事だ。以前私とマーシーさんで歩いた川
来須(かわくるす)から大保子(おおふご)谷を経由して瓶ヶ森へ至る大保子新道もこの幾島さんによって開削された物だ。
瓶ヶ森林道が無い時代に西条側から色んなルートで瓶ヶ森へ多くの先輩が苦労して開拓し登っていたものだ。

山慣れしている人にとって植林の登山道は退屈だ。そこで幾島さんは東之川谷沿いを詰めるルートを開削したのだろうが、
沢道はルートが分かり易いがそこに付けられた登山道は常に崩壊の憂き目に晒される運命にある。


この分岐で10分程休憩して台ヶ森へ向かって雪の斜面を歩く。13時20分小沢を渡る場所には木橋とロープで安全が確
保されていた。


  
  足場が悪い所には丁寧に木橋が架けられている            小沢にも木橋がある


 12時55分 幾島新道分岐に着く  谷部が崩落で危険だと書かれている  

  
次第に雪が増えてきて斜面がキツい〜               13時20分 ロープと木橋が置かれた小沢を通過

  
こんな場所も無いと退屈するよね                  先行者のトレースに助けられる


台ヶ森 (だいがもり) 1,524m

急斜面のトラバース道には結構雪があるので歩きにくいのだが、先行者のトレースのお蔭でアイゼンも要らず非常に助かっ
た。台ヶ森へのつづら折れ急こう配もこのトレースに助けられる。


俄然大きな岩が上方に現れると台ヶ森が近づき、峠が見える場所でトップを北川君に譲る。14時15分台ヶ森分岐に到着
してシャリバテのガクちゃんが行動食を取っている間に北川君と台ヶ森へ上がる。登山口で出発を急がした為にガクちゃん
はまともに昼食を取っていなかった様だ。

台ヶ森は瓶ヶ森から真西に延びる尾根上にある岩峰だ。天然ヒノキの白骨林などが立つ雰囲気が良いピークで石鎚山や瓶ヶ
森の西斜面への眺めが良い。前社ヶ森から石鎚の北面を眺める図や、三嶺いやしの温泉郷ルートの1,791mピークから
の三嶺北面への眺める図に似ている。但しここは少し標高が低い分立木が多いのが難点だ。


  
   台ヶ森に近づくと急斜面を折り返す               俄然 岩が多くみられる様になった

  
  ブナは少ないがこの標高になると現れる             台ヶ森峠になるとトップを北川君に代わる


      台ヶ森 モミの白骨林が立つ独特の雰囲気の岩尾根だ

 
               台ヶ森から石鎚山  手前に大森山


  台ヶ森から眺める瓶ヶ森北面  左奥が女山だろう   登山道は正面の尾根を上がって左にトラバースする

  
 ガクちゃんの待つ分岐に帰る                    台ヶ森分岐標識

トレースエンジェルに会う

チャッチャと瓶ヶ森や石鎚山の写真を撮って14時37分ガクちゃんの待つ分岐に下りる。そこで出発しようとしていると
上から登山者が下りて来る。これまでお二人のトレースに助けられた三人はお礼を述べる。すると「エントツ山さん?」と
笑いながら声がかかって来た。聞くと西条の小野さんと伊藤さんで西条市の公営・瓶ヶ森避難小屋とヒュッテを管理したり
登山道の整備をされている「瓶ヶ森を守る会」に所属されている人だった。


小野さんによるとこの上で少し危険な場所があるとの事でアイゼンを装着する事にしてお二人と別れる。私はブラックダイ
ヤモンドのアルミアイゼン、北川君はオーソドックスなシモンの12本爪、ガクちゃんは装着時腰に負担が少ないワンタッ
チアイゼンだ。



 トレースエンジェルの尾野さんと伊藤さん  瓶ヶ森避難小屋の管理もありがとうございます

  
台ヶ森分岐でアイゼンを装着する                  瓶ヶ森の本峰に合体する尾根を進む


瓶ヶ森(避難小屋)へ

15時00分アイゼンを着けて台ヶ森分岐を出発。細尾根を東の瓶ヶ森本体に向かって進む。正面に瓶ヶ森の台地を見上げ
ながら進む登山道からの景色はウラジロモミなどの樹林帯で菖蒲尾根方角しか見えない。

登山道の瓶ヶ森台地への取り付きは何故か尾根伝いを避けて少し北に振るので急斜面のトラバースとなる。冬場に雪が多い
と多少危険が伴う場所になるのだが、前述のトレースに助けられて快適にブナの斜面を横切る。この辺りは日陰になるので
霧氷が残っていて青空に映えて美しかった。


ジグザグを切った急斜面の登山道もシャクナゲ地帯を過ぎると15時50分木の階段を越えなだらかになる。やがて西側が
開けて山際から石鎚山が顔を出す。その北側には石鎚・成就のスキー場や奥に三ヶ森も見える。


石鎚の写真を撮ろうとしたが逆行で太陽が入り私のコンデジではハレーションを起こす。てんきちさんやToshi ちゃんが掲
示板に貼ってくれた光芒写真は私の防水デジカメ、リコーのWG30では無理だ。
ガクちゃんのニコンTGシリーズはコン
デジの中でも少し値段が高いだけあって性能が良いのである程度マシな写真が撮れた様だ。


  
 ここが小野さんの言ってた少しヤバい場所かな?          氷見二千石原も北側はこんな絶壁に守られている

  
      ダケモミの林が続く                        北側は雲海が迫っている様だ

  
 北川君 力まずに歩いてるかしら? 無理やろねえ       北斜面は太陽が当たらないので霧氷を期待

  
  霧氷が少し残っていた  (北川君撮影)

  
  ダケカンバの巨木                          霧氷が少し残っている

  
  もう少しやで〜〜                           瓶ヶ森台地の上面が近づいた

  
 木の階段を上がると笹が増えてなだらかになる          おっ 石鎚が見えるぞ


       石鎚山                 成就は双耳峰になっている   奥は三ヶ森

  
 太陽を樹で隠して撮影                        直接太陽を撮るとこのザマだ


  ガクちゃんのコンデジ オリンパス・タフシリーズは光芒に近い写真に仕上がっている 防水コンデジとしては凄い

  
最後は又初瓶ヶ森の北川君にトップを譲る             手前には雪があるんだけどなあ


        瓶ヶ森の上部斜面は雪の量が太陽の熱に負けている


   上の方は笹が相当出ている  今シーズン一番の積雪を期待したんだけどなあ (二人からの写真提供)


瓶ヶ森避難小屋

瓶ヶ森が近づくと又、初瓶ヶ森の北川さんにトップを譲って避難小屋へと進む。氷見二千石原は太陽の日差しを受けるので
雪が融けているのが残念だ。氷見二千石原は西条藩の氷見地区の様に広大な場所だと言う事で昔からそう呼ばれたらしい。

16時20分「瓶ヶ森避難小屋」に到着して中に入る。皆さんのレポにある様に小振りだが綺麗な小屋だ。一階土間はセメ
ント床で奥に休憩場所、二階(ロフト)は天井の低い10人程の宿泊所となっている。


西条市のHPによるとその使用に関しては

「瓶ヶ森の旧瓶ヶ森ヒュッテのところに避難小屋が完成し、利用可能となりました。登山をされる方は、避難小屋としてお
使いください。瓶ヶ森避難小屋は、悪天候時に登山者が一時避難することを目的に設置した施設で不特定多数の方々に開放
いたします。モラルとマナーを守り、安全で快適な登山を楽しみましょう!!」 

とある。

非常に微妙な表現で、この避難小屋という名称や目的を厳密に解釈した一部お堅い人は「避難小屋なんだから緊急避難以外
に使ってはイカン」とか言う事がある。
まあ「無人山小屋」とか言う名にして欲しいのだが市の予算が下りる関係上そうも
いかんのだろう。


この避難小屋完成は2017年秋だったらしいが西条市のHPには2018年4月、瓶ヶ森林道の春開通に合わせて避難小
屋の案内が掲載されている。それによると隣にある旧瓶ヶ森ヒュッテも内部改装作業をして宿泊(避難?)出来る様になっ
ている。横にはバイオトイレも設置されている所を見ると登山者への一般利用という太っ腹な精神を感じる。
全国的に見て
も「避難小屋」が特に冬季登山者に使用されているのは登山界の常識となっている。


そして今回トレースでお世話になった小野さんが所属する「瓶ヶ森を守る会」(西条高校登山部OB/OGや有志で構成)
がこの避難小屋とヒュッテ改装に合わせて発足し避難小屋やバイオトイレの維持や清掃活動、登山道整備活動などを行って
くれている。


我が故郷の山・東赤石でも赤石山荘が経営者の高齢化で小屋の維持が難しくなり現在、新居浜市や愛媛県に避難小屋として
の小屋の継続を願い出ているらしい。この西条市と瓶ヶ森を守る会の活動がそのお手本となれば良いと思う。


瓶ヶ森ヒュッテと言えば忘れてはならないのが「幾島照夫」さんだ。四国の山岳会草脇的な存在で前述の瓶ヶ森への登山道
を開削されたり、瓶ヶ森林道が氷見二千石原を通す案が出た時に猛反対しそれを阻止する運動をされた方として有名だ。


  
避難小屋は瓶ヶ森ヒュッテの標識に向かう             小屋は森に守られる場所にある

  
 16時20分 瓶ヶ森避難小屋に到着する             下は土間(セメント)の休憩室になっている 

  
上はどうなちゅうがやろ?  この階段足が痛いにかわらんちや    屋根裏部屋 テントより随分良い環境や     


北川君のグレゴリー・アルピニスト50、エントツ山のグレゴリー・スタウト65、ガクちゃんのマウンテンハードウェア35L


瓶壺へ

避難小屋で荷物を下ろし身軽になる。ガクちゃんと言えば小屋の外に出て雪をコッフェルに掻き込んで水を作っている。
「あたしゃ瓶ヶ森の雪水より六甲山のミネラルウォーターの方がええで」と言うと「冬山登山の基本は雪から水を作るって
事がやき」と取り合わない。そんな時間があったら夕日を見に行ったらいいのに・・・と思いながら瓶壺に向かう。


瓶壺は石鎚山〜剣山縦走の時に水場として訪れた懐かしい場所で、そこが凍結しているのを見たかったのだ。瓶ヶ森は修験
の山だから修験者にとってこの水場は貴重な存在だった。丁度瓶製の壺の様にそこには清流が溜まっている。だから修験者
によって瓶壺と名づけられたのだろう。ちなみに瓶ヶ森の山名もこの水場、瓶壺から名づけられたと言う。


小屋から瓶壺まではトレースが無く壺足で苦労した。瓶壺経由で男山へ上がり夕日を拝むつもりだったが、もう太陽は石鎚
に隠れようとしていた。北川君が女山へ夕日を撮りに行ってるので写真は貰えばいいか・・・と思って白骨林越しに石鎚に
沈む夕日を撮影する。


17時30分瓶壺に着くと凍結しておらず、氷は張っているが水は流れていた。わざわざ雪を融かして水を作っているガク
ちゃんに水場の様子を言ってやろう
夕闇に美しいシルエットを形作る石鎚を振り返りながら避難小屋に帰ると北川君も女
山から帰っていた。ガクちゃんも女山の中腹で夕日を拝んだらしい。


  
  17時00分瓶壺方面へはトレースが無い            今日一日の晴天で笹の上に積もった雪は相当融けている

  
     手箱山 筒上山  岩黒山                    眩しい〜〜  石鎚に陽が沈む〜〜

  
      白骨樹で太陽を隠す                    17時30分 急いで瓶壺に下りる


  瓶壺の水は凍結で諦めていたが十分利用出来る程水が流れていた  氷が浮いている


17時40分  瓶壺付近から石鎚を拝む


   一方 瓶ヶ森山頂隊はこんな風景を撮っていた (北川君撮影)

    
            こちらは私のスマホ写真  

  
 17時53分分岐まで息を切らせて戻る                トボトボと避難小屋へ向かう

  
 成就にあるスキー場の明かりが見える様になった         18時07分 避難小屋に帰る   


鍋を囲み避難小屋で就寝


基本私の山歩きで鍋を囲む事は殆ど無い。今まで忘年会登山で特別な日に数回経験しただけである。北川君が用意した鍋を
見ると青い色をしている? なんだこりゃ?


Sea to Summit  Xpot 2.8L というアルマイト加工したアルミ底と蛇腹式のシリコン側壁を持つハイブリッド鍋だ。鍋のイメ
ージとしては違和感があるが、使わない時はお皿の様にぺちゃんこに潰せて運び重量も325gとマズマズ。今回みたいに
2〜3人の鍋に丁度良い。(大食いの人には少し小さめかな)


北川君は豚肉や具材、ガクちゃんは豆腐、うどん、私はゆで卵、キャベツ、ブロッコリー、ちくわ、ロースハム、きのこセ
ット
ロフトで寝床を作ってから鍋へと下りる。ガクちゃんはビール、北川君はノンアルコールビール(ポリープ切除の為
アルコール禁止)私は4%アルコールのチューハイで乾杯〜〜


さあ食べよと胡座(あぐら)を組んだ途端、太ももの内側が攣った。う〜〜ん 鍋どころではない。 ガクちゃんから「筋
肉が攣るのは水分不足が原因にかわらん」と言われて思わず手に持っていたチューハイを一気飲みする。すると今度は急に
酔っぱらって気分が悪くなる。う〜〜ん 鍋どころではない。


暫く横になって太ももの攣りと酔いが醒めるのを待って鍋に参戦する。色んな山や仲間や人間関係、今後の計画などをグダ
グダと話して私だけロフトに上がる。二人は道具の上げ下げが面倒だと一階の縁側で寝ると言う。空には満点の星だが誰も
外に出て星を撮影するなどというロマンチックな人間は居なかった。


ロフトに上がって寝袋に入り、降り口から顔を出して暫く話しをしていたが、いびきが聞こえて来たので私も睡眠導入剤を
飲んで寝た。


  
 取り敢えず避難小屋にカンパ〜〜イ                鍋の具材が並ぶ ブロッコリーと卵は茹でて来た

  
北川君が持って来た Sea to Summit の Xpot2.8 青い鍋だ  冬用ナンガのシュラフとファイントラックのポリゴンネスト



平成31年2月3日()

瓶ヶ森避難小屋〜女山〜避難小屋〜台ヶ森〜東之川登山口

女山で日の出を見る

朝05時過ぎに起きる。いびきや物音が何度か聞こえた様だが何となく寝た様な気がする。昨日残ったうどんで鍋を復活さ
せている様だが、私は持って来たカップヌードルを食べる。ガスバーナーも三者三様でガクちゃんはジェットボイル、北川
君のはプリムスの軽量バーナー、私はソトのウィンドマスターだ。安定感と湯を沸かす速さではゴトクとバーナーが一体化
したジェットボイルだがチト重い、次が4本ゴトクのソト、北川君のプリムスは軽いが三本ゴトクなのでちょっと安定感に
欠ける。

天気予報では午前中曇りで昼頃から雨だった。知らぬ間に06時30分近くになったので急いで小屋を飛び出し女山へ向か
う。

北の空は雲がかかっていたが、山頂方向の東側は青空の様だった。日の出を拝める期待感を持って瓶ヶ森の中腹まで来ると
風が冷たい。前日、北川君やガクちゃんが付けたトレースが明け方の冷気で固まっている。後ろから北川君のヘッドランプ
が近づいて来たので「先に行って日の出写真を撮っておいて」と頼む。06時50分息を切らせて女山の山頂に着くが未だ
太陽は昇ってはない様だ。


07時00分東方向の地平線が赤くなって東黒森山と稲叢山の向こうから太陽が姿を現す。夕日と朝日は良く似ており写真
だけ見ると見分けがつかない。陽が沈む夕焼けを現場で見ると物悲しい。しかし逆に現場で見る日の出は生命の息吹を感じ
て躍動的だ。凍える手に息を吹きかけながらコンデジとスマホを忙しく入れ替えながら写真を撮る。


石鎚山が焼けないかと期待しながら女山を後にして下るが天候の加減か石鎚が赤く焼ける事は無かった。

  
 え? 朝からうどんなの? ガスバーナーも三者三様だ     朝は未だ雲がかかっていない様だ

  
06時59分東の山から太陽が見えた                男山方面の写真は自動補正されるので明るい


              やっぱ 山で眺める日の出は最高じゃ (07時00分)


   ちょっと雪は少なかったけど瓶ヶ森山頂から石鎚山も眺める事が出来た


     沓掛山・黒森山と笹ヶ峰が作る攣り尾根の向こうに赤石山系が見える

  
 北川君も初めての冬瓶朝日に満足の様子             風が強くて王レート位置が定まらなかった


   石鎚の典型的な美系姿  石鎚は見る方角によって様々な姿に形を変える

  
 石鎚の写真を撮りまくる                        07時30分 森の中の避難小屋に帰る

  
  立つイノシシ 跡を濁さず 掃除をして出発〜〜        北川君も体調は悪くならず良かった


  ガクちゃんも二日酔いも無く良かった  避難小屋、快適でした  瓶ヶ森を守る会の皆様 お世話になりました

雨予報の為、足早に下山

07時30分避難小屋に戻って帰り支度をする。何せ雨に会うのは嫌なので出来るだけ早く下山したい。手早く支度を済ま
せて08時10分下山開始する。
瓶ヶ森台地の下山ターニングポイント付近に来ると既に石鎚山は深い雲の中。東側から射
す僅かな太陽のタイミングで影瓶ヶ森となっていた。台ヶ森の岩峰とそれに続く細尾根が上から見渡せる。


トラバース斜面を昨日のトレース利用で歩き、細尾根を下る。08時53分台ヶ森分岐で少し休憩をしながらストックとア
イゼンを比べる。

ガクちゃんは腰を曲げる負担を減らす為にワンタッチアイゼンと2本で3千円のダバダ製ストック、北川君はシモンの12
本爪アイゼン(ストラップ)と山ショップで強烈に進められて買ってしまったと言うグリップウェルのカーボンストック、
私はブラックダイヤモンドのネーベ・アルミアイゼン(ストラップ)とモンベルの旧型ULフォールディング・ストックだ。

ちなみに冬靴はガクチャンがポリエールのスーパーラトック、北川君がローバーのバイスホルン、私のはノースフェイスの
ヴェルトS6Kグレーシアってなもんや三度笠。それぞれ保温材が入っているのでチト重い。

登山部出身のガクちゃんに言わせるとアルミアイゼンは歯がすぐちびるのでダメらしいがそんなにアイゼンを着けて岩稜帯
歩きなどを想定してないから軽い方がいいって事で持っている。(今回初めて使った)


   
あら〜〜 石鎚はもう雲に隠れてしまった 急ごや        おっ 影瓶ヶ森が見えているぞ

   
  さらば 瓶ヶ森よ                             影瓶ヶ森 影瓶ヶ森 ・・・早口言葉


  台ヶ森を見下ろす 細尾根の端に岩峰が見える場所が台ヶ森  確かに台の形をしている

  
   急斜面をドンドン下る                       ブナの向こうに台ヶ森

  
菖蒲尾根方面を見るとダケカンバがあった             細尾根へと向かう

  
   細尾根を進む                             台ヶ森の岩峰


       08時55分 台ヶ森でアイゼンとストックを比べる
左:北川君のローバー・バイスホルン、上:ガクチャンのポリエール・スーパーラトック、下:エントツ山のノースフェイス・
ヴェルトS6Kグレーシア
 、 ストックもアイゼンも三者三様バラバラだ


台ヶ森から急斜面をジグザグに下るが途中から面倒になって下側にトレースが見える所ではショートカットで尻セードなど
を楽しみながら下りる。
09時30分ロープと木の橋が架けられた小沢を通過し09時40分幾島新道分岐でアイゼンを外
す。


  
 台ヶ森を下る                               あれ? ショートカットかよ

  
  誰か 保温ボトル落としちゅうにかわらん            尻セード全開〜〜

  
 こら〜〜 どこへ行くが〜〜                     二人とも無事で良かったわん

  
 09時30分ロープ付設の小沢を渡る                09時40分 幾島新道分岐でアイゼンを外す

10時20分登山道を外れた右手に造林小屋跡がある場所で少し休憩をする。途中少し雨がパラついたが、上空の木の枝か
ら風で氷や水滴が落ちて来たのかも知れない。
急な植林地帯の傾斜を下りながら「昨日こんな急な坂を上ってきたんやろか?」
と不思議に思う程キツそうな登山道だった。
10時50分石垣が現れて、谷の音が大きくなり登山口が近くなった事を伺わさせる。


見覚えのある標識を右折し石垣の間を下り11時05分鉄橋を渡る。瓶ヶ森避難小屋から丁度3時間程で登山口に帰り着い
た。昨日の上りが5時間20分だったのでまあこれ位のものだろう。


  
  みょ〜に滑るにかわらん                      10時05分 伐採地を通過

  
 登山道の右手に倒壊した造林小屋があった           どれば歩かないかんがぜよ まっこと足ってきた

  
  東之川へ近づいた気がする                        確かに昨日ここを歩いた

  
  もう 腰が悪いに勘弁してちや〜                    見覚えのある標識を右折する

  
  民家跡の石垣を抜ける                       あ〜〜やっと帰って来た〜〜

  
雨にやられず良かった良かった                   11時10分 登山口に帰る 雪は随分融けていた

小野さん、伊藤さん 先行トレースありがとうございましたガクちゃん、北川君 冬の瓶ヶ森を付き合ってくれてありが
とう。日曜日の雨が心配だったが夕日も朝日も山で眺める事が出来て満足の行く冬の瓶ヶ森だった。


    

 

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