平成30年4月8日

串ヶ峰に銅版標識を立てる

東種子川〜串ヶ峰・北尾根〜串ヶ峰〜上兜山〜下兜山〜四電鉄塔路〜東種子川



プロローグ

串ヶ峰 (くしがみね) とは


母校 新居浜市立角野小学校付近から見た串ヶ峰

串ヶ峰(くしがみね)とは赤石山系の主稜線上にある物住ノ頭(ものずみのあたま)から北側に派生した支尾根で、この尾根の
北端が金時飴の切り口のとなって武者人形の甲(かぶと)の形になっている。ここが「串ヶ峰」と呼ばれている事を伊藤玉男さん
の著書で知った。 
恐らく地元の人でもあの山が串ヶ峰である事を知る人は少ない。ここは単独峰でも無く尾根上にあるピークでもなく、言うなれば
尾根の切れ端(私は大女の肩と名付けた)である。幾ら尾根の切れ端とは言え新居浜上部地区から見上げるこの肩はすこぶる恰好
が良い。

新居浜下部地区から見ると串ヶ峰尾根が赤石主稜線口から派生した尾根である事が良く分かる。上兜山はこの派生尾根の途中にあ
る出っ張りとしか見えない。


         国領川下流から見た串ヶ峰


新居浜の上部地区から見上げる串ヶ峰の勇姿は私にとって山歩きを始めた動機の大きな要因の一つである。丁度その頃、松山の
waiwaiさんが上兜に向けて藪漕ぎで目指しておりその記録を読むと目指していた上兜の前にこの肩部に這い上がったと言う記録
だった。この肩が串ヶ峰と言う名前があると知り、この山に標識を立てたくて器用な友人に木製の山頂標識を作って貰った。それ
を持って銅山峰〜西赤石〜物住ノ頭を経由して標識を立てたのが14年前の平成16年3月21日であった。


それ以来毎年の様に串ヶ峰を訪れてこの標識が朽ち果てない様にペンキ塗り等のメンテナンス作業をやってきた。この山行のお
蔭でマイナーな山にもゴゼンタチバナやオオヤマレンゲが咲くのに出会った。

串ヶ峰に至るルートは

@東平から西赤石〜物住ノ頭から上兜山を経由する
A魔戸の滝登山口から一つ東側の尾根から串ヶ峰に至る北西尾根ルート
B東種子川、二俣より串ヶ峰へ至る北尾根ルート 等がある

どのルートも結構長く藪っぽい尾根だ。

この木製標識がここ数年で状態が悪くなりこれ以上のメンテナンス作業を続けても維持出来ない状態になってきた。そこで愛着の
ある標識に別れを告げて新たに銅版標識を製作して立替える事にした。
この事を伊予の鈍亀さんに話すと、串ヶ峰の北尾根と上兜
山〜下兜山が未踏ルートで残っていると言う。そこで串ヶ峰に所縁(ゆかり)のあるマーシーさん、伊予の鈍亀さん、ザイフリボ
クさんと新しい標識を持ってこのルートで周回する事に決めた。



平成30年4月8日
東種子川〜串ヶ峰・北尾根〜串ヶ峰〜上兜山〜下兜山〜四電鉄塔路〜東種子川


カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  伊予の鈍亀さん提供地図より時間挿入し加工

06時30分山根運動公園に集合し伊予の鈍亀さんの車で東種子川林道の終点付近に向かう。

東種子川(ひがしたねがわ)とは

種子川(たねがわ)は国領川の支流で高速道路の高架付近で「西谷川」と「種子川」に別れる。まあ川の流れを主体にすると
ここで合流って言い方が良いのかも。


西谷川」は西赤石山、物住ノ頭、上兜山の西面を源流として石ヶ山丈と串ヶ峰・北西尾根の間を流れでて窓の滝(魔戸の滝)
を経て国領川の直前で東種子川と合流する。西谷川は地元ではわかり易く「西種子川」(にしたねがわ)と呼んでいた。この流
域は西日本でも有名な沢歩きの場所でもあるし、造林小屋から兜岩へ至る登山ルートもあって結構親しまれている。


一方、「種子川」上流部は「東種子川」(ひがしたねがわ)とも呼ばれて、こちらは水量も少し貧弱でさしたる滝などもないの
で歩く人も少なくマイナーな存在だ。東種子川の林道を詰めると四国電力の保線橋が架かっておりこの辺りからは山道となる。

二つ目の四電鉄塔橋を過ぎるて沢沿いの道を進むと谷は上流部で二俣に別れる。

西側(右手)の支流は更に水量が乏しい谷となり串ヶ峰のど真ん中に分け入っており、この谷の存在が串ヶ峰の見事な兜の様な形
作りに貢献している。
東側の支流は源流部を上兜山として串ヶ峰・北尾根と上兜〜下兜尾根の間を分かって流れ出ている。


カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図   種子川(たねがわ)登山口地図

06時50分車を林道のヘヤピンカーブ手前の広い場所に留めて出発する。鉄塔保線橋の近くが広場になっており右手に少し畑な
どを持った小屋がある。暫くは少し広めの林道跡を上流に向かう。以前この辺りまで車で入り行き詰まりバックしている時に沢の
傾斜に車を半分落としてペーコちゃんをレスキューに呼んだ懐かしい場所だ。
この辺りの沢沿いの道は伊予の鈍亀さんも歩き尽く
しており、私も相当足繁く通った場所で、マーシーさんと沢の遡行もした事もあり土地勘がある。


07時35分「二俣」にやって来た。ここから右手の沢を進んで更に右手の斜面に取り付けば窓峠、串ヶ峰・北西尾根登山口の尾
根筋へと出る事が出来る。左手の急傾斜を這い上がると尾瀬伝いに三角点「赤松」を経由して下兜山へのバリエーションルートで
ここは私や伊予の鈍亀さんも歩いている。


  
最初は広い未舗装林道で左手に2つ鉄塔保線橋をやり過ごす   道は沢沿いで細いが確かな踏み跡がある

  
東種子川沿いに踏み跡を進む                        二股の手前で沢の左岸に少し入る場所もある


07時35分二股に到着 右手から渡渉し正面の斜面を左へトラバースしながら上がって行く


さて、今回は沢の二俣に挟まれた中央突破ルートへと進む。つまりこの二つの沢に挟まれた尾根が串ヶ峰・北尾根の取り付き部と
言う事になる。
渡渉部は二俣を少しやり過ごした場所に赤テープが付けられている。水量が少ないので渡渉に危険は無い。

07時40分渡渉を終えて正面の急登に取り付く。最初は岩っぽい斜面だが上部が植林されているので作業道がありその踏み跡を
辿って左側を巻きながらひたすら這い上がって行く。30分程で一息入れる見晴し台があるので木々の間から見える新居浜東部の
街を眺めながら少し休憩する。


そこからも更に上り傾斜が続くが大きな岩がゴロゴロして次第に尾根筋に近づいた雰囲気となる。

08時35分尾根の稜線部突端に這い上がった様で傾斜が緩やかになる。踏み跡は少し尾根の右手に回り込み直ぐに分岐に到着する。
左手は尾根筋へ、右手は沢へと下る道で地図にも破線路が記されている。以前この沢筋への道を辿ったが、沢部に着くと西斜面の
崩落などで道が不明になり適当に沢筋を下った事がある。


 
 二股からすこし右手に進むと渡渉目印のテープがある         07時40分 渡渉は水量が少ないので問題なし

  
いきなりの急登が始まる                           正面は岩崖なのでルートは左手に迂回する

  
植林地帯だが傾斜は半端ない                       とにかく上へ上へと歩いて行く

  
  一か所岩場をトラバースする場所がある               上の明るいコル部を目指す

  
 最初のコル部で休憩展望所が左手に張り出している         更に上がると岩が沢山出て来る

  
 基本的には植林地帯である                        新居浜の街を眺めながらメモを取る亀吉

  
   山の持ち主の名前だろうか                      08時35分やっと平坦な尾根の稜線部に上がる


 08時36分尾根部を右に回り込むと分岐に出る 尾根道は左側、 右手の道は東種子川へ下る林業作業道だ
  


串ヶ峰北尾根ショートカット尾根ルートを進む

2015年6月13日 むらくもさん・マーシーさん・ペーコさん達と歩いた北尾根破線ルート 今回歩いたルートは青の破線尾根

カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図

さて、この分岐を過ぎると破線路は左に大きく北尾根の突端部まで回り込む事になる。ここでいきなり伊予の鈍亀隊・亀吉さんが
「ここはマトモな破線路を通らずこの尾根を直登しましょうよ」と提案してきた。さすが尾根歩きの鬼、スペシャリストと呼ばれ
るだけあって亀吉提案は鋭い。この尾根を歩けば先の1,119mピークで旧道に合流するのだ。私もマーシーさんも意義がある
筈もなく以前から気になっていたこの尾根へと進む事にした。

基本的には植林地帯なので多少小木で藪いている場所もあるが白い境界杭などもあって歩き易い。単調だがいかにも急登な尾根を
喘いでいると09時15分頃から足元に雪が現れる。


地形が平らな植林地帯になると09時50分左手から大きく尾根が抉られた道と合流した。ここが旧道との合流点1,119mP
付近だろう。


  
左が正式な破線ルート、右が尾根ルート 今回は尾根ルートを進む  時折雑木のヤブがあるがそんなに大した事は無い

  
  スペースは十分だが当然急傾斜だ                   白い境界杭が見られる

  
むむっつ  雪が出て来た                          破線道との合流点 1119mピークが近づく

  
 そろそろ破線道と合流地ですねえ                     09時50分 掘れ込んだ破線道と合流した

5分程尾根道を歩くと前方に急傾斜が現われて道が右手に迂回する場所に着いた。雪で滑り易く注意しながらトラバース道を進む。
途中で一つ支尾根が北に下がっておりすっと以前にここを下っている時にす〜〜っと間違い尾根へ入り下ってしまった場所だ。地図
を見るとこの破線トラバース道は先で尾根に合流するのだが、実際に歩いてみると水平道がずっと続いているので辛抱出来ずに尾根
へ向かって這い上がる。前回も同じく辛抱出来なかったのを思い出した。


10時15分大きな倒木が根元をさらして転がっている。針葉樹林は大きさや高さの割に根の張りが小さく大風に弱い。ここが広葉
樹に比べて保水力がないとされる所以だろう。


  
正面の急斜面へと向かう                           ルートは急斜面を避けて右手にトラバースしていく

  
トラバース路途中から尾根へと向かう                    前方を行くマーシーさんが先に尾根筋に復帰する

  
 結構積雪があり急斜面では滑る                       大きな倒木が急斜面に横たわる

今回古稀の亀吉さんがいるので急登の途中で休憩をする。すると与えられる喜びしか知らない男だと思っていたマーシーさんがチョ
コレートの包みを二つも出して「どうぞ」と言っている。え? ホンマ? 信じられない様な歴史的瞬間だった。
道理で季節外れの
雪も降る筈だ。


10時38分見覚えのあるブナが現れた。赤石山系は土質の影響かブナが極端に少ないのでここで出会うブナは嬉しい。このブナを
過ぎると尾根には大岩が現れ植林が減ってくる。自然林の小籔になると背中のザックに入れた山頂標椎のポールが枝に引っかかり雪
の斜面と相まって苦戦する。


まさかの雪に百円ショップの手袋が雪で濡れて泥だらけになった。家には手袋など売る程転がっているのにザックに放り込んでいな
ければ意味が無い。みかねて亀吉さんが厚手の手袋を貸してくれる。やはり複数の山行は用心深いメンバーから色んな物を調達出来
るので助かる。


  
マーシーさんがチョコレートを配給する歴史的瞬間             10時38分 懐かしいブナが元気に立っていた

  
  ブナの辺りも結構傾斜がキツくて喘ぐ                   ブナを越すと急に岩が現れてワイルドな尾根になる


伊予の鈍亀さんが撮ってくれた十字架を背負う男  百円ショップの手袋が雪で濡れたので亀吉さんの予備手袋を借りる事に

11時10分一旦平らなコル部に出る。以前この辺りはスズタケの藪となっていたものだが今はシカの食害と思われ笹枯れ状態にな
っている。周りのリョウブの皮が鹿に食べられて赤茶色になって立っている。雪の中からは鹿が食べないバイケイソウが沢山顔を出
している。


亀吉さんは古稀を迎えたと言うのにストックを使わない。近くに枯れた真っ直ぐな小木があったのでマーシーさんがマルチツールで
杖を作り亀吉老人にプレゼントする。「へそ曲がりにはそんな真っ直ぐな杖は似合わん」と言われながらも贈呈式を行う。


  
ザックから突き出た標識支柱が枝に引っかかり歩みが遅れる    11時10分平らな地形の場所に出る

  
 小型ノコギリで何やら切ってるよ                     ハイ 亀吉さん 根性のひん曲がった人にはピッタリの真っすぐな杖です


串ヶ峰に銅板標識を立てる

11時22分北西尾根と合流する。串ヶ峰北西尾根は普通串ヶ峰に北側、魔戸の滝から登る時に利用する尾根だ。笹刈り跡の雪道を
辿って11時32分串ヶ峰山頂に着いた。14年の星霜を経た木製標識は支柱が朽ちて標識だけが石積みの上に置かれていた。数日
前に犬返仲間の能智さんがここに来てラインで写真を送ってくれたそのままだ。長い間お世話になった標識で記念写真を撮り持って
来た新しい銅版標識をここに愛着を持った仲間で設置する。


  
  鹿の食べないバイケイソウが雪から顔をだす            11時22分 北西尾根と合流する

  
刈り払われたスズタケの道を歩いて串ヶ峰へと到着する       11時32分 串ヶ峰に到着し支柱の無い木製標識を確認する

年間数人しか訪れる人が居ない山頂ではあるが、まあ私の藪山歩きのルーツとなった因縁の場所に立てる自己満足の標識と言える。
残念ながらここからは新居浜の街は藪で良く見えない。串ヶ峰は兜岩〜西赤石〜雲ヶ原〜上兜山〜前赤石の展望所だ。

銅版標識を包んで来た銀マットを広げてささやかな記念昼食とする。ここで又マーシーさんからオーガニック紅茶やドリップコーヒ
ーが出された。雨が降らなければいいのだが・・・
ペーコちゃんが欠けた串ヶ峰仲間だが体が元気な内はこれからも何度かここを訪
れてくれる事だろう。



  新しい銅板標識を立てた後記念撮影を行う   14年ぶりに標識が取り替えられた

  
   串ヶ峰に到着し前赤石〜物住ノ頭方面を眺める             雲ヶ原から西赤石の赤石主稜線を眺める

      
              西赤石と兜岩  奥にチチ山と沓掛・黒森が少し霞んで見える

  
ハイハイ オーガニック紅茶もドリップコーヒーもありますよ〜     最後に銅板標識を眺めて串ヶ峰を後にする


12時13分新しい銅板標識を眺めた後、古い木製標識をザックに収めて上兜山へと向かう。私がここに来た時は道などは無く灌木
の藪を切り傷だらけになって歩いたものである。今は確かイリタマゴゴケという珍しいコケが発見されたとかで体一つ通れる道筋が
ついている。


  
12時12分串ヶ峰を後にする。今は歩くスペースがある串ヶ峰尾根        岩尾根らしいシャクナゲも沢山生えている


上兜山

見晴し岩に出ると前方には物住ノ頭、前赤石から八巻山、エビラ山と二ッ岳が見える。串ヶ峰から10分程で下兜分岐に着いた。
雪が深いので「上兜どうします? スキップしてもいいですが」と言うと「そりゃ 行かなイカンでしょ」と長老が発言し向かう
事に決める。上兜山直下に少し岩場の展望所がありそこからはこれから下る下兜山と新居浜の街や瀬戸内海に浮かぶ大島が見える。


12時35分雪の斜面を滑りながら上兜山に到着する。あれ? ここに置いてある銅版標識が落ちかけてぶら下がっているではな
いか。見ると銅版標識の裏にネジ込んだ8本ほどの留め金が抜け落ちて1本だけでぶら下がっていた。アチャ〜〜 応急補修道具
は持って来ていないので標識を取り外して補修作業の為に持って帰る事にした。結果的には長老の一言で上兜山へ寄って正解だっ
た。



    奥、左から二ッ岳、エビラ山         黒岳か権現山       手前、上兜山  奥、左から八巻山〜前赤石


                  二ツ岳方面から物住ノ頭を眺める

  
     12時23分 下甲山分岐標識に着く                 上兜山へと向かう 

  
  気になる下兜山への尾根を眺める                  12時35分上兜山に到着 あれ? 銅板標識がぶら下がっている


 串ヶ峰には古い鉄製の標識が錆びて残っている。 そこに銅板標識を吊り下げていたのだが・・・

  
補修で自宅に持って帰った上兜山の銅板標識              裏の留めネジが抜け落ちていたので支柱で固定する事にした

12時52分下兜山分岐まで引き返す。今は立派な分岐標識が付けられて迷う事が無いが地形的にはこの尾根分岐が分かりにくい。
色んな場所から下がって途中で尾根を見つけて下るって事にしていたものだ。


  
 上兜山の急傾斜を雪に滑りながら下る                  串ヶ峰尾根  先端が串ヶ峰


   串ヶ峰尾根分岐から下兜山尾根を眺める     大島と瀬戸内海が見える

雪で滑り易く木を掴んだりしながら急傾斜を下る。10分程で平らな尾根筋へ至る。この辺りも鹿が増えて笹は涸れてリョウブは皮
を剥がれている。尾根筋に乗ると境界石柱も現れて歩き易い。右手に植林の間から形の良い赤星山の姿が見え、右後ろにはエビラ山
と二ッ岳も何とか見えている。


  
 12時52分 下兜山分岐まで引き返す                  シャクナゲとリョウブが生えた急斜面を下る

  
10分程急斜面を下ると境界石などもある平坦な尾根に           右手には赤星山が見える

  
右後ろを振り返ると二ツ岳とエビラ山が見える              又急斜面となる


13時10分植林の急斜面となりシャクナゲの樹が現れるが又直ぐに平坦な尾根になる。植林尾根の前方に小高いピークが見える
のは1,414mPで、ここから北側に間違い尾根が派生しているので気を付けなければならない。3年前にむらくもさんやマー
シーさんと歩いた時は6月で樹木などが生い茂り見通しが悪く北側の植林地帯に少し間違って進んでしまった。

ここのターニングポイントには住友マークの入った境界石標がある。今回は伊予の鈍亀さんのリードで難なく右手に向かい、5分
程でこのピークから少し北東側の尾根に向かって下って行く。ここは感覚的には右の急斜面に沿って進むってイメージだろうか。
道は結構掘れ込んでいる場所が多いのでこれに沿って下る。


上兜山から下兜山への尾根上には間違い易いピークがある 1,414mピークでは3年前に間違い引き返した

  
 前方に1,414mピークが見える           今回はドラマも無くここはクリアして下る

  
結構道は掘れ込んでいるので昔は良く使われたんだろう   初めてここを歩く伊予の鈍亀さんが終始トップを務める

この尾根の暫く先の1,350m肩付近には地形的に一番難しいターニングポイントがある。いわゆる「尾根乗り換え場所」で下
る場合にこんな地形で道迷いが発生する。つまり地形的な尾根筋が北北西と北北東へ伸びているのだが、どちらもアウト! 途中
で谷へ消える間違い尾根なのだ。ここは慎重に右手の植林帯に付けられたトラバース路を下らなければならない。注意深く見れば
テープや踏み跡が右手に向かって付いているのがわかる。下りが難しいというお手本の場所だ。


13時30分このターニングポイントをクリアすれば左手が植林、右手が自然林の境目を進めば下兜の基部まで不安な所は無い。
平坦な場所まで下りると植林帯の中に大きな岩が転がっている。


  
掘れ込んだ場所は歩きにくいので深い所は縁を歩く         雪が次第に減って歩きやすくなる 左が植林、右が自然林

14時00分正面に下兜山の鋭い尖塔が見える。ここからシャクナゲ、灌木藪、岩の細尾根を15分程這い上がると下兜山分岐標
識に出合う。誰が取り付けてくれたのか知らないが同じような分岐標識がこのマイナーな山域に立っており登山者にとって大変
助かる。


  
下兜の基部に差し掛かる  ここから上りになる             正面に下兜山の尖峰が見える

  
 左手に巻き道があるだろうが岩尾根をを進む                 今日最後の上りだろう 

  
    途中で上兜山を振り返る                        シャクナゲとリョウブの岩尾根

  
   トラロープなども置かれていた                      14時13分 立派な下兜山分岐標識が立つ

14時15分下兜の祠に伊予の鈍亀さんが代表でお賽銭をあげてくれたのでそれに便乗してお詣りする。伊予の鈍亀さん、ザイフ
リボクさん達にとっては串ヶ峰・北尾根や上兜山から下兜山までのルートは未踏だったのでここを歩けて良かった。私も串ヶ峰に
銅版標識を立替える事が出来て満足の気持ちだ。マーシーさんも山トレが出来て良かった。


下兜山からの下山は全員経験があるのでここまで来ると気持ち的には山行は終了したのではあるが、まだ帰路は長い。しばらく池
田の池や郷山、瀬戸内海を眺めて下兜山を後にする。



   14時15分 兜権現の祠にお参りする  昔はここまで雨乞いに船木の人が来ていたのだ


    船木地区、池田の池 奥の海岸線が埴生(はぶ)と黒島   右端に大島が見える

  
 小休止〜 伊予の鈍亀さんからおやつがいつも配給される     分岐に戻っても上兜山は良く見えない

下兜山から東に延びる尾根はやがて北に方角を変えて関の戸に出る。この尾根は「かけさこの尾」と呼ばれていることを伊藤玉男
さんの著書で知った。
今回は西側に延びる尾根に沿って北西尾根に乗り三角点「赤松」を経て四国電力鉄塔保線路を東種子川へと
帰るのだ。


三等三角点「甲」(かぶと) 1,232.59m

急な岩場を西尾根に下ると少し平らな場所がありここで下兜権現の神事が行われていた様である。14時30分通過した三角点は
この西尾根にあり新しいタイプの三角点に替わっていて、古い石標は横に転がっている。ここからは単調な植林尾根をひたすら下
る事になる。


  
  岩場を下ると広場になっている ここで泊りがけで雨乞い行事が行われていた様だ  


カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図  下兜からの下山ルート図

この尾根地図にある1006mピーク手前のコル部が別の下兜山ルート分岐となっており、この交差点からら2つの道が種子川の
支流「客谷川」を挟んで船木へと下っている。最初に下兜山へ来た時はゴルフ場近くから破線道を上がってこの分岐まで雪の中を
歩いて来たものだ。当時雪で足跡があったから良かったものの今考えるとこの交差点を下るのは中々難しかったかも知れない。

又、この分岐からは南側への巻き道もあり、以前バリーさん、ヘキチョウさん達が間違ってここを谷筋へ下りた事を思い出した。
こちらも尾根を少し西へ外して15時00分この巻道に合流し、コル分岐近くまでこの巻道を進む。

  
ここも基本的には急斜面の左が自然林、右手が植林となっている  単調な樹林帯尾根をひたすら下る

  
ちょっとした気の緩みで下ってしまった西側への尾根         14時55分 トラバース道に合流した

  
直ぐにトラバース道を辿って尾根に合流                   15時00分 分岐コルに着く 右手に明らかな道がある

分岐コルから1006mPへ上がっていくとどうも小さな二重脊梁になっており尾根ルートは左手の脊梁の掘れこんだ道に沿って
トラバース気味に進む。マーシーさんは右手の少し高い尾根を先程から歩いている。どうも三角点を見逃がさない様に尾根筋を歩
いている様だ。
15時15分4人共北側へ伸びる支尾根へ行きかけて軌道修正を行う。やはり下りではうっかりすると間違い尾根
に入り易い。


  
  マーシーさんは右手の尾根を歩く                   又一つ尾根になり中央が歩かれて凹んでいる

  
又尾根を少し間違って左手に移動すると荒れた掘れ込み道発見    下山尾根に復帰してドンドン下っていく
 

四等三角点 「赤松」 957.65m

三角点が近づいて来たので私や伊予の鈍亀さんは東種子川二俣から直接三角点赤松に這い上がって来ている経験から左手の支尾根
を見ながら歩いている。
15時32分尾根の真ん中が掘れこんだ右側に懐かしい三角点「赤松」に再会する。三角点のすぐ傍には
三角点より見栄えの良い石標がある。



   15時32分 四等三角点「赤松」 手前が境界石標で奥が三角点だ

三角点「赤松」から岩が点在する結構急な下りが続く。15時50分見覚えのある大岩が尾根を覆っている。前回同様マーシーさ
んは岩を乗り越えて歩いているが、我々は右手の荒れた植林の傾斜に沿ってその岩をトラバースする。伊予の鈍亀さんはここを下
から尾根を伝って歩いた時にはこの岩場を乗り越えたと言う。


  
  大きい岩が点在する尾根を下る                     基本的には尾根には掘れ込んだ道がある

  
 尾根に大きな岩が現れてマーシーさんだけ這い上がる       その後も単調な植林尾根が続く

16時00分前方にやっと鉄塔が現われほどなく四国電力西条線15番鉄塔に到着し休憩する。暫く休んだ後にやけに藪いた尾根
に突入するとアセビやミツバツツジの間から沓掛・黒森の稜線が見える。どうも右手から踏み跡が続いている様ですぐにまともな
道に出てどんどん下と16時20分今度は四国中央幹線102番鉄塔に出た。この辺りにタラの芽がたくさん生えておりマーシー
さんと亀吉さんが山の幸を採集する。


  
左の急斜面が自然林、右手が植林のパターンが続く         16時00分 前方に鉄塔が現れる

    
鉄塔にはほぼ番号札がある ここは西条線15番とある        馬酔木の花が殺風景な尾根を飾る

  
鉄塔から荒れた尾根を構わず進む(右手に迂回路有り)        手前が石ヶ山丈尾根、右奥が沓掛〜黒森が見える

  
  植林の尾根を少し下る                          16個20分 四国中央幹線102番鉄塔に出る

  
 タラの芽に目が無いマーシーさんと鈍亀さん              奥のピークは西赤石〜兜岩〜石ヶ山丈か?

ここから30分ほど快適な電力保線路を下ると西条線と四国中央幹線がクロスする場所に出る。稜線からここまでは中央幹線の保
線路を下って来たが、ここからは西条線の保線路を下る。犬返の先にもこんな鉄塔道がクロスして立川へ下る道があるが、途中で
保線路を乗り換えるには経験が要る。

西側の尾根には犬返のピーク、その後ろ側に辻ヶ峰が見える。17時02分西条線17番鉄塔を通過して花芝の生えた植林地帯を
下って行く。20分程で東種子川の支沢まで下って谷に沿って合流場所まで右岸を歩く。沢には沢山の支流があるのでこんな場所
は結構難しい。
17時22分東種子川に架かる立派な保線橋を渡って今朝歩いた林道に合流する。

  
四電・四国中央幹線の保線路は快適だ 鉄橋@       花芝の生えた保線路

 
       鉄橋A                  当然沢筋もある

  
    鉄橋B                      鉄橋C

  
 16時53分 中央幹線のデカい鉄塔の横を通る          おいしそうなタラの芽ゲット〜

  
   またまた タラちゃんをゲットする       ここからは右手の西条線17番鉄塔からの保線路へ入る

  
  急な傾斜をジグザグに下って行く           17時15分 支沢まで下りつく

  
 きれいな水が流れる支沢に沿って下る       本沢に合流し17時23分 四電西条線の鉄橋を渡る

  



少し下側にある道路分岐の広い場所に置いた鈍亀さんの車に帰り着く。マイナーな場所は何度も歩く事で地形や道の存在を把握出
来るものだ。
大山縦走をした同じメンバーで今日も串ヶ峰の銅版標識を立てて上兜から下兜を経由して歩いき満足の一日となった。

  

 朝出発した東種子川の林道に帰る                  17時28分 林道分岐に置いてあった伊予の鈍亀さんの車に帰る

皆さん ありがとう

参考登山記

今回とほぼ同じルートを歩いたむらくもさんのブログ
  2015年6月13日 串ヶ峰〜上兜山 周回は        ここ  

串ヶ峰に(木製)標識を立てる
  2004年3月21日 日浦〜西赤石〜物住ノ頭〜上兜山〜串ヶ峰 ピストン は   ここ   
 
    
     
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