アーカイブ 稲叢山の南方見聞録
2015年12月14日
瀬戸川渓谷展望所〜剣ヶ岳〜一ノ谷山〜天賓阿礼(てんぴんあれ)〜稲村ダム
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 瀬戸川渓谷〜剣ヶ岳〜一ノ谷山〜天賓阿礼〜稲村ダム
はるちゃんから掲示板に面白い山の紹介があった。瀬戸川渓谷にある「剣ヶ岳」(けんがだけ・つるぎがだけ)という岩山だった。見
るからに尖がったこの岩山をはるちゃんが征服したと言う。
瀬戸川というのは稲村ダムから大川を経由して早明浦ダムへ流れ込む吉野川の支流である。この辺りは全く土地勘が無く興味が湧いて
来た。
計画とする。
はるちゃんが2015年11月25日掲示板に「行って来ました」と貼ってくれた剣ヶ岳写真
同じく 林道側から一ノ谷山・三角点峰と剣ヶ岳写真 後方は山ノ神ノ森だと思われる (はるちゃん写真)
後日(12月)リップさんも行って来たとの報告あり(リップさん写真) やっほ〜 剣ヶ岳でのリップさん
はるちゃんが歩いた剣ヶ岳ルート図 (カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図)
剣ヶ岳へ
西条から国道194号線で寒風山トンネルを抜けて大橋ダムを通って07時30分稲村ダム湖に到着する。
渓谷へと入り、初めて見る景色を眺めながらトンネルを抜けて展望所へ到着する。正面にははるちゃんから投稿して頂いた「剣ヶ岳」
が絶壁を持って谷と谷の間に聳えている。山名の読みは「つるぎがだけ」とか「けんがだけ」とかどちらが正しいのか良く分からな
い。個人的には「けんがだけ」と読みたい。
地図を見ると剣ヶ岳は支沢に挟まれた中程に位置し、はるちゃんは左手から右手へ絶壁を回り込んで山頂へ至っている。確かに正面
は絶壁マークなので無理だが、ここは単純に左手斜面から這い上がる算段だった。実際にこの目で見る剣ヶ岳は厳しそうだ。う〜ん
あれを何処から上るんやろか?
稲村ダムから瀬戸川渓谷への途中、左手にある「かしゅう谷」 瀬戸川渓谷を自転車で下る
右手に見えるのは山ノ神ノ森への稜線取り付きだろう お〜〜 岩山が見えて来た あれが剣ヶ岳か〜 絶壁じゃん
成程 こりゃ魅了される筈だわい 自転車を展望所の隅に置く
自転車を展望所に留めて08時25分渓谷に向かう遊歩道へと下りて行く。
出る。渓谷の水はエメラルドグリーンでとても美しい。剣ヶ岳と沢を挟んだ左手に荒れ気味の鉄塔保線路が延びているのでそれに沿
って進む。
08時42分右手に沢を挟んで剣ヶ岳側に大きな滝が見えたのでそこへ向かって沢へと下りる。大きな岩がゴロゴロして水量もそこ
そこ多い沢だが渡渉には問題は無かった。
だろう。滝付近は岩崖が見えて厳しそうなので少し上流部へ進む事にした。
真下に谷を渡す吊り橋が見える 08時25分吊り橋への遊歩道を下る
瀬戸川渓谷の源流は稲村ダムなんだけど水が澄んで綺麗 しっかりした吊り橋を正面に剣ヶ岳を見据えながら渡る
沢の左手に踏み跡が続く 鉄塔保線路の指標杭がある
う〜〜ん ここは荒れているので鉄塔巡視路ではないな? 08時42分 右手対岸にに大きな滝が落ちている
テキトーに沢に向かって下りる これ又テキトーに沢を渡る
山ノ神ノ森・稜線と剣ヶ岳〜一ノ谷山の間を流れる沢がこの滝で合流している
09時05分前方に落差のある滝が現れてクリアするのが面倒なのでそこから右手の藪斜面に取り付く事にした。傾斜は絶壁に近い
場所もあるが灌木ヤブがあるので私の得意分野と言える。小さな沢に突き当たったのでそれに沿って這い上がる。
09時25分沢崖を登り切ると猛烈な藪となるが尚も沢沿いを進む。危険な崖が現れない限り沢沿いは藪が薄くて歩き易い場合があ
る。勿論時と場合によるのだが・・・
沢を少し遡る 09時05分前方に少し落差がある滝付近から右手斜面に取り付く
まあ 多少の藪は覚悟の上だ 藪より沢かぁ 藪が薄い沢部に取り付く
滝が合流していた本沢が遠ざかる 崖と笹薮がメインルート
ちょっと気を使う小滝 足がかりがそこそこある 滑ると痛いので慎重に這い上がる
09時25分 小滝をクリアすると沢藪が出現 まあしゃーないわ 笹薮を溝に沿って進む
沢が無くなるとスズタケの藪となりそれを掻き分けて歩くと植林がまばらに出現し09時50分水平作業道に合流した。
小道をはるちゃんが右手に回り込んで歩いたルートだろう。(数日後リップさんもこの作業道を利用して右手に回り込んでいた)
でもここはやはり最初の予定通りそのまま山頂へ向かって這い上がる作戦だ。少し作業道を西側に進んでみる。相当の断崖絶壁が並
んでおり、フツーは近づかないだろう。そこを適当な場所から右手の斜面に取り付く。要するに崖と崖の間に密生する灌木帯を這い
上がるって事だわ。滑落の心配は無いがその分手足がムーチョ疲れる。
ギリギリまで沢部を進む 水がある場所にはコケが生えている 幼木も根を張る
何か細い杉の樹が増えて来たぞ 09時46分 間伐の作業テープが出て来た
植林地帯だが林床はスズタケだ 09時50分 横崖道に這い上がる バンザ〜〜イ でもこの作業道は歩かない
う〜〜ん 崖じゃん 何処から這い上がろうかなあ 少し横崖道を下って見る
よっしゃ〜 ここから這い上がっちゃえ〜 左手は垂直の崖でガンス 岩と岩の間に生える灌木帯を上昇する
要するに崖と崖の割れ目の弱点を這い上がる訳ね トーゼン そこは灌木帯の藪ですが手掛かりし放題って事で・・・
人間には乗り越えなければならない壁がある でもここはその壁ではない・・・ 岩の弱点を利用して雑技団演技を続ける
剣ヶ岳 約965m
10時16分岩棚に這い上がって下を眺めるが灌木ヤブが酷い。傾斜が次第に緩やかになりピークが近くなると笹が現われたりスペ
ースも比較的出て来て歩き易い。
になる。
ネットによると標高が972mなどと書かれているが、地形図の等高線を追うと960mの線で970mまでの高さは無い。
は岩山のシンボル、ほぼ白骨樹手前の天然檜が立っている。足元はスッパリと切れ落ちて瀬戸川渓谷の道が見える。白っぽい建造物
は自転車を置いた展望所だろう。高知の山並みも見渡せるが到底同定は出来ない。
10時16分上部の岩棚へ這い上がる 地形は緩やかになったがその分灌木藪となる
少しスペースが出てくるとシャクナゲが出現 10時23分 剣ヶ岳の標識に出合う 古くて良く見えない
岩山のシンボル 天然檜が立っている 出発点の瀬戸川渓谷展望所が眼下に見える
ここから高知の山同定はようしません 高知の山HPで kuni さんという方の写真を参考にさせて頂きました
さて、先は長いのでのんびりとはしておれない。コンパスを出してシャクナゲの藪を西側のコルへと向かう。シャクナゲと灌木の密
生する中に酔狂者が残置した赤テープも見られる。
シャクナゲの樹林帯を西へ下る 赤テープも見られる
四等三角点「一ノ谷山」 1,025.35m
10分程でコル部に下りると植林が密生しているがどうも枝打ちまでされて手入れされている様だ。足元に笹が生えた踏み跡を西側
のピークへと向かう。明瞭な作業道となり、右手へ上がる分岐を進むと10時45分三角点「一ノ谷山」に着いた。
三角点近くにある測量棒には剣ヶ岳1,25.2mとあり、その下側に一ノ谷山と小さ目に書かれていた。ここに剣ヶ岳の標識を取
り付けた人の思惑は分からないが、剣ヶ岳はどう見ても瀬戸川渓谷展望台から見上げる尖った965m岩山ピークで、その奥にある
平凡な三角点では無いと思う。
コル部に下りると植林が乱立しているが林床は笹薮だ コルから西に進むと植林地帯となる
右手にテープが見えてそこから右上に道がある 測量ポールに剣ヶ岳の標識? ここは一ノ谷山ぞよ
10時45分 剣ヶ岳のバックにある「一ノ谷山」四等三角点ピーク まあ主役は剣ヶ岳だからちょっとここは地味で良い
一ノ谷山〜林道〜四国電力高知幹線19番鉄塔 約1時間30分
元の作業道へ下りて西へと進むと道が広くなり、更に進むと10時52分広場に着いた。恐らく切り出した材木をトラックに積んだ
りする作業場なのだろう。ここから見える北側のギザギザした山並みは恐らく瀬戸川渓谷を挟んだ「岩茸山」がある岩尾根だろう。
この尾根を左手に追うと稲叢山からの東方見聞録・中門山へと続いている。
所々に意識的にか倒木を横たえてたままに放置している広い作業道を西に歩いていくと同じ広さの道が右手に分岐している。よく分
からないが左手の道を真っ直ぐに進む。それからも2〜3度右手に道が分かれているので少しそちらに向かうも尾根を乗り越えて右
手の谷へと下がって行くので引き返す無駄を繰り返す。
作業道に帰って西へと進む 次第に道幅が広くなってきたぞ
10時52分 一ノ谷山の西側にある木材集積・積み込み作業広場からは瀬戸川渓谷を挟む「岩茸山」のゴツゴツ尾根が見える
この尾根は左側、中門山(なかかどやへと続いている
恐らく中門山だろう むむっ この道幅は何事や〜
道を遮る木 倒木か意図的に倒しているのか良く分からない ここは左手を進む
少し道が荒れ気味になる 11時07分右手に切れ上がる道があったので右に進むと谷筋へ向かうので引き返す
11時10分元の分岐に引き返して左側の道を進む 道幅はそこそこあるが車が通るには少々荒れている
11時30分 前方にピークが見える 相変わらず尾根の左側に沿って林道を進む
11時35分分岐を右手に進むがやはり尾根を越して下がるので引き返す 暫く尾根の左側の荒れた林道を進む
道は少し尾根を左手に外して無駄な歩きを強いられるが基本的に西側に標高を下げずに進めば間違いはない。11時50分分岐で地
図を見ると尾根から外れて来ているのでここは右手に進む。結局道が無ければ進む方角が決められるのだが、道が有り過ぎると返っ
て悩ましい。
悩ましいが左手を選択 手入れされた植林が道幅と空の空間を作る
鉄塔保線路に (四電高知幹線19番〜18番へ)
11時57分前方に鉄塔が見えてホッとする。そこからは鉄塔を目指して進む事が出来た。
ルが立っている。(19番と20番)
た。
11時50分 そろそろ分岐を右手に曲がる 支尾根の間に進んだ様だ
11時55分 ここは勘で左側の道を選択 直ぐに鉄塔と電線が見えてホッとする
鉄塔が次第に近づく 12時04分 電線が上空を横切る
12時06分 鉄塔指標杭が林道右手に立つ ここから四国電力高知幹線・鉄塔巡視路に入る
12時20分 四国電力高知幹線19番鉄塔に到着する いつも鉄塔にある番号板はぐるぐる回って探さなければならない
鉄塔保線路はリョウブなどの灌木林と深い笹の中に快適に北に向かって続いている。ブナやミズナラ、ヒメシャラ等の自然林が気持
ちがいい。しかし両サイドに立ち並ぶ深い笹は道を外すと手ごわそうだ。
辺りから天賓阿礼の支尾根が延びているので左手を注意しながら進む。
リョウブなどの自然林と笹薮の保線路 前方に天賓阿礼のピークが見える
ヒメシャラやブナも見られる 当然小さな沢部もある
保線路の両サイドは高知特有の元気な笹薮にかわらん 12時35分 四電高知幹線・鉄塔18番に到着
稲叢山へ向かって番号は減って行く鉄塔群 天賓阿礼への取付を探しながら進む
三等三角点 「天賓阿礼(てんぴんあれ)」1,389.47m
12時48分尾根っぽい場所に上がったので、そこから藪に入って行く。最初はブナの立つ笹薮だが、途中からモミの木が現れる。
ヒメシャラやシャクナゲも混在する尾根筋を進むと笹の大藪となりピークが左手に近くなる。
角点に到着した。多少辺りはスペースがあるのでこの意味が分からないが何となく魅惑的な三角点名に誘われてここを訪れる酔狂人
がいるのだろう。優しく三角点をタッチする。
傑作なのは近くにベニヤ板の標識が立っており「天火荒1,389.1m」 まあ昔からここはそう呼ばれていたんだろう。天火荒に
しても意味がわからんし、ここは天賓阿礼でいいんじゃないの?
それは良いとしても天火荒の下に「山岳NPO
(イニシャルM)この板の撤去は法律により禁止されています」だと?
ゴミになるお粗末なベニヤ板・私設標識を何の法律によって撤去するなって言うのか? 高知には時々変わった人物がいるものだ。
前方に尾根部の高みが見えるのでそこから左折する事に決める 12時48分 天賓阿礼に向けて藪に突入〜
最初はリョウブが主体 ブナやミズナラも有る様だ
モミやヒメシャラが中盤に出て来る
林床はず〜っと笹薮だ ピーク最後は尾根を右手から回り込む
三角点に対面する前の試練 13時10分 三角点「天賓阿礼」にタッチ
三等三角点「天賓阿礼」(てんぴんあれ)付近は少し刈り払われている 13時10分
希少価値のある場所と名前を持つ三角点 別名「天火荒」でも安物ベニヤ板と理解不能な文章が山頂標識の
品格を落とし製作者の良識を疑う
この標識のお蔭で印象が悪くなった山頂を早めに去ることにする。
尾根っぽい場所を下ったのだが、途中からその尾根が消えて笹薮の中で少々もがく事になった。思い切ってもっと右の尾根に乗らな
ければならなかった様だ。
尾根を下がる目印にしていたミズナラの樹 おっと テープも有るにかわらん
テープが付いた尾根を下る あれ? 途中で尾根が無くなっちゃった〜
まあ下って行けば保線路が待っている 13時30分 鉄塔保線路に復帰する
四電高知幹線17番〜16番〜15番〜14番と北に保線路を進む
鉄塔保線路を北に進むと小さな沢とは言えない程の水路を渡る。どんな藪山にも小さな尾根部と沢部があり、水が流れ出る場所があ
るものだ。当たり前だけど・・・
前方に次の鉄塔が見える。小高い場所まで上がると電線方向に稲叢山の山塊が見えて鉄塔がその山腹に続いている。あそこが稲叢山
の登山道・鉄塔道になっているのか。
この四電・高知幹線17番鉄塔は天賓阿礼から北東に延びる尾根上に立っており、ここから尾根が東にターンして先に三角点・山ノ
神ノ森がある。もし藪の状態が良ければそこまで行けない時間ではない。少し尾根を東に進んでみる。
がくが獣道さえないので相当時間がかかりそうだ。今回は諦めて鉄塔まで引き返す。
水が染み出して小さな沢を形成している 次の鉄塔17番が見える
稲叢山(いなむらやま) 西門山 中門山
13時38分 支尾根筋にある鉄塔17番に着く 支尾根の東側を偵察に(山ノ神ノ森がある)
笹藪は背丈を越えて獣道(けものみち)が見当たらない
もう藪はかんべんして〜〜 13時55分 鉄塔17番へ逃げ帰る
13時57分鉄塔保線路に引き返して稲村ダムへと進む。両サイドに立つ笹は背が高くて密生しており、これを敵に回すと手強い強
敵になる。
左に見ながら14時17分14番鉄塔に着いた。この鉄塔の多さは風が強い場所なんだろうか?
やっぱ 道が有るっていいよなあ 稲叢山と鉄塔群が見える
14時03分 鉄塔16番を通過 14時10分 鉄塔15番の横を通過
鉄塔保線路の両脇には恐ろしいスズタケの藪が睨みを利かす 14時17分 快調に最後の鉄塔14番を通過する
稲村ダムの下側からダム湖駐車場へ
14時25分どうやら石積み堰堤の下に出た様だ。
(上部)調整池」と呼ばれ、500m下にある大橋ダム(下部調整池)から揚水して本川水力発電所で四国最大の水力発電を行って
いる。
もちろんダムの内部は水漏れのしない特殊な粘土で、その周りを砂や砂利で固めて、更にその外側を岩で補強している。だから岩で
堰き止めたダムでは無いが、外側から見るとそう見える。
ダムの下に流れる小川を渡るのが心配だったがちゃんとした四電独特の鉄橋が掛かっておりそれを渡る。こういう場所は通常関係者
以外立ち入り禁止となっているので隅っこの方をなるべく目立たない様に、そのくせ見つかった時に怪しまれない様に堂々と歩く。
早く対岸の道路に出たいのだがヤブと崖に阻まれて結局石積みの端を歩いて這い上がる。
今日一番の緊張感から解放されてホッとする。
取水口には鉄橋が架かっておりホッとする 外部侵入者を防ぐ高いフェンスが張られて逆に内部侵入者は外側には出られない
向こう岸に渡って端っこのクリークに沿って上がる まさかロックフィルのダム上を堂々とは歩けんわ
向こうに鉄塔が見えるけど保線路は無いの? 取り敢えず隅っこへ隅っこへと進む
ギョヘ〜 最後はやはり藪かい う〜〜ん その上は隠れる場所もないので居直る
14時40分 こっそりダム堰堤に上がる 車を置いた場所まで帰る
稲村ダム湖に置いていた車に帰り、出発点の瀬戸川渓谷展望所に15分程で帰り自転車を回収する。
はるちゃんから紹介のあった剣ヶ岳や稲叢山の南側を初めて歩く事が出来た有意義な旅だった。
剣ヶ岳は面白かったなあ 瀬戸川渓谷・・・ 今度は山ノ神ノ森かなあ