2017年干支の山
「熊鷹山」 1,098m (愛媛県四国中央市)
プロローグ
熊鷹山という勇壮な山名が地図の四国中央市西部の中腹に載っている。峨蔵山、黒岳から北に派生する尾根上にある1,098m
のピークだ。関川の上流、土居町上野の河又付近から東へ取りつくと比較的容易に行ける山なのだが、現在この林道が入り口付近
で地主により封鎖されているので今では遠い山となり、益々マイナーな存在になった。
今年(2017年)干支の山と言う事で北側の高速道路付近から周回ルートを調べる。四国電力の「東予開閉所」(送電設備の点検時や
異常時に送電を一時的に遮断する設備みたい)の裏側、関川の支流「西谷川」を挟んで尾根が熊鷹山より東西に分かれて下っている。
この辺りは四国電力の変電所から電線があちこちに延びており鉄塔銀座となっているから山の北側半分は鉄塔保線路もあり問題な
いと考えた。尾根の形も熊鷹山を挟んではっきりしており南半分も問題は無かろうと天気が回復する1月10日に行く事に決めた。
前夜、熊鷹山の山頂はどんなだろうとネット検索するとリンドウ鴉さんとむらくもさんのレポがヒットしたが、どうも山頂標識が
無い。え〜どれだけマイナーな山なんじゃ! 香川にあったら標高1,098mと言えば3本の指に入るのに愛媛ではゴロゴロし
ている路傍の山なのだ。干支の山へ登るのに山頂に標識が無いって言うのはいかにも寂しい。急きょ仮設山頂標識を有りあわせの
材料で作って出かける事にした。
平成29年1月10日 「熊鷹山」 日帰り
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図
07時過ぎに新居浜の実家を出て国道11号線を東に進む。土居辺りで適当に山側へ右折するが、目測を誤り狭い道に入ってしまい
右往左往する。やっとの事で高速道路の側道へ出て東へ進む。西谷川を渡る高速道路が高架になっているのでここが「畑野橋」だ。
付近の広い場所に車を停めて08時丁度に西谷川の東面から取り付く。
うし、側道を少し東側に進んだ場所からも鉄塔保線路があると思われるが、この辺りに数匹の飼い犬が狂ったように吠えるのでそち
らは諦めて藪+畑跡+植林尾根に取り付く。最初の目標は三角点「畑野」ピークでこの付近には鉄塔が立っている筈だ。
取りつきの斜面を這い上がると直ぐ上に鉄塔があったが(地図には電線は無い)保線路は東へ平行に進むので、荒れた植林へと斜面
を上がる。
線の保線路だった。
高速道路「畑野橋」付近の広場に車を停める 08時00分 西谷川の橋を渡った看板の所から取りつく
すぐ上に鉄塔があった (恐らく四電・土居線の鉄塔だろう) そこから荒れた植林斜面を這い上がる
08時26分右下から延びた鉄塔保線路に出合う 08時30分四電・四国中央東幹線159番鉄塔に着く
四等三角点「畑野」(422.55m)
08時30分鉄塔159番に出て更に進むと広い未舗装林道と交差する。ここから更に鉄塔158番への保線山道へと入る。山道では
あるが保線路はしっかりしており、向かい(西側)の下兜山へ続く「かけさこの尾」が見える。
もしっかりとした保線路が続く。
09時00分鉄塔157番に出る。ここは浦山川からの尾根合流点ピークになっている場所だ。三角点が近いので注意深く歩くと直ぐ
に四等三角点「畑野」(標高422.55m)があった。
続いている。
手前が帰りに下る尾根で向こうが下兜からの「かけさこの尾」 08時33分広い未舗装林道を横切る
鉄塔158番へ進む山道保線路に入る 08時44分鉄塔158番横を通過
石がゴロゴロ転がっているが明確な保線路だ 09時00分 四国中央東幹線157番鉄塔に着く
157番鉄塔からすぐ上に四等三角点「畑野」 422.55mがあった (09時05分) 登山口から1時間程の場所だ
三角点から南側の尾根は地図にも破線がありシダなども多少生えてはいるが快適な尾根道と言える。前方が少し見える場所から見上げ
ると途中に鉄塔がありその上に尖ったピークが見える。尾根を下から見上げると、平凡なピークも山の頂の様に尖って見えるものだ。
09時20分道の木に畑野財産区「水晶場」平成11年の看板が掛かっている。昔この辺りに水晶を採る場所があったのだろうか。
09時24分右手から鉄塔保線路(三島西線4番からの道)が伸びて尾根に合流した。指標杭には三島西線5番方面を指している。
すると今度は畑野財産区「ワランボ道」の看板が掛かっている。ワランボってワラビの事だろうか?
を回り込んで続く。09時30分右手に「三島西線5番鉄塔」が見え、そこから次の6番鉄塔へと尾根に向かって保線路が延びる。
道沿いにそれからも畑野財産区の「水掛道」や「子持ボウソ道」(?)とか良く分からない標識が掛かっている。
前方の尾根ピークとその手前に鉄塔が見える 畑野財産区が設置した「水晶場」の標識
09時25分 鉄塔保線路の指標杭が現れる 「ワランボ道」? 税金を使って設置するんだから説明責任
(四電三島西線4番から5番鉄塔へ向かう) を果たして欲しいなあ
09時30分 右手を下がった場所に鉄塔5番が見える 水掛道の標識 (水場への道って事?)
「子持ボウソ道」? 益々意味がわからん 09時42分四電・三島西線6番鉄塔から下界を眺める
09時42分四国電力・三島西線6番鉄塔に着く。見晴しの悪い尾根道を歩く時は三角点や鉄塔がほどよいランドマークとなり退屈
さを紛らわさせてくれる。
この住友共電・物部送電線は犬返へ行く途中の庄司山城址付近(鉄塔182番)から続いている電線だ。
暫くは住友共電の鉄塔保線路が続くが、10時08分標高702mの尾根に鉄塔158番線への保線路が横切っている場所を過ぎる
と急にフツーの荒れた尾根に変貌した。
第に尾根を外しそうになるので自然林っぽい荒れた尾根に復帰する。
09時42分四電・三島西線6番鉄塔から前方の尾根が少し見える 快適な尾根道が続く
(前方に鉄塔が見える)
10時00分 この尾根最後の鉄塔、住友共電物部線159番鉄塔を通過 暫くすると鉄塔158番への保線路が尾根を左に外す
荒れた道が尾根を外すので左の尾根に復帰する 尾根はスペースがあるが明確な道は途切れ途切れになる
三等三角点「浦山」 1,007.15m
尾根を進んでいると道が突然現れてそれを進むと又道が尾根を逸れるので10時30分尾根に復帰したりと忙しい。要は地図に道が
載っていない場所ではいくら道があっても尾根を外さない事が肝心だ。
りから東に尾根が張り出している。
11時17分こんな所にモノレールの残骸が尾根に延びていた。林業用の資材運搬に使っていたのだろうか。直ぐに自然林の灌木尾
根となり11時26分三等三角点「浦山」1,007.15mを踏む。熊鷹山まではまだ距離が残っているが標高差はもう100m
を切っている。しかし灌木が密集しているのでザックに括り付けたペラペラの山頂標識が壊れる恐れがあるので手に持って進む。
10時30分道が現れこれを進むと又尾根を外すので尾根に這い上がる 時々岩なども現れるが総じて歩きやすい尾根だ
尾根は総じて藪も少なく歩きやすい(冬場は) あれ? こんな所にモノレールがあるじゃん
11時17分 モノレールが東斜面より伸びて、尾根に出た所で切れていた
11時26分 三等三角点「浦山」1,007.15mに到着し、礎石の周りの落ち葉を払う
熊鷹山 1,098m 地味〜〜な山頂だ
11時45分細尾根の先が4〜5mの崖になっている。結構切れ落ちた尾根ではあるが少し引き返すと迂回出来ない事は無いのだが、
折角スリングを持って来たのでそれを木にひっかけて崖を下りる。単調な尾根歩きにはこれ位のメリハリが必要だ。
暫く歩くと地形が二重尾根となっているので中間部を歩く。つまりどちらの尾根が主尾根になるのか先に出ないとわからないのだ。
岩と灌木の急傾斜を上ると植林地帯に入るがこの辺りもなだらかな二重尾根地形となっていた。左手の尾根に這い上がり進むとアセ
ビやヒサカキの小木が林床に現れる。
藪っぽい植林の傾斜を登り詰めると12時35分赤い境界杭が三本立つ「熊鷹山」のピークに着いた。GPSと地図で位置確認して
間違いないので持って来た山頂標識を立てて記念写真を撮る。その後、お湯を沸かして金ちゃんヌードルとコーヒー、フルーツケー
キを食べてゆっくりする。
それにしても完全に名前負けした恐ろしく殺風景な山頂だ。干支の山でなければ来ないだろう。
く、標識を取り付けてラーメンを食べるとする事も無く退屈したので13時15分下山する事にした。
灌木でスペースが無い場所ではペラペラ標識を手に持って歩く おっ 前方にピークが現れたぞ あれが熊鷹山に違いない
ん? 崖じゃん こりゃ飛び降りられんわ スリングを木に通してスルスルと下りる イノシシには無理なテクニックじゃとて
二重尾根になっている場所もあり 尾根は総じて迷う事もない地形だ
熊鷹山に近づくとアセビやヒサカキが現れる 12時35分 目印の三本杭のピークに着いた〜
殺風景な山頂に薄っぺらだけど標識を立てる 高速側道登山口から4時間半かけて来た事になる 歩くのが遅くなったもんじゃ
下山する方の西尾根は河又方面から物好きな登山者が来ていた様で赤テープが沢山見られた。それでも北西の方角をコンパスで確認
しながら植林の尾根を下る。
いのだが、地図で位置を確認するとそこから右手に破線のトラバース道が描かれている。
13時38分左手からの林道と尾根で出会う。この林道は既に廃道となっておりススキが一面に生い茂っている。地図で確認すると
河又林道のすぐ南側から実線が柾木の滝付近を経由してこの辺りまで伸びていた。
熊鷹山の山頂から北西に延びる尾根に乗る 岩に大きな数字が彫り込まれている
こちらの尾根には所々にテープが見られる 尾根の左手には平行に林道跡と思われるススキ林が延びている
林道跡沿いに振り返る 熊鷹山の南側にある三角点ピーク「中川」だろう 13時38分 林道跡と尾根が交差する(山頂から25分)
四等三角点「大川」(909.81m)が見つからず
さて、この林道交差部から尾根に入ると三角点「大川」がある筈だ。13時45分慎重に辺りを見ながら下るが三角点は無い。GP
Sで位置確認するとこの辺りにある筈なのだが・・・相当下がって無いので又林道交差部まで引き返してもう一度捜索する。
14時00分地図とGPSを確認して三角点の位置に立っている事を確認して辺りを探すがやはり無い。いつまで経ってもラチがあ
かないので無念の気持ちを抑えてこの場を去る。
14時05分河又分岐と思われる道が西へ尾根を外す。ここは地形が複雑で尾根が一旦西に振るのだが、無理をしてなだらかな傾斜
を北側へ進まなければならない。不安だが地図とコンパスを信じて植林地帯を北に向かう。
林道交差部から左手の尾根に這い上がる 何かの部品が転がっていた
注意深く三角点付近を探しながら歩く 14時00分 三角点付近と思われる場所を掘るが発見できず
14時05分 道が左へ曲がって行くので道を外して北に進む こう言った地形は難しい コンパスを信じて北へ下る
三等三角点「上野」(645.49m)
14時18分やっと尾根の地形になり赤い境界杭なども現れてホッとする。これを少し下ると破線の道が尾根の左(西側)へ続くの
で、ここは次の三角点に向かって荒れた尾根を進む。地形図を見ても岩のマークなどもあるが、細尾根だけにルート取りの心配は無い。
立派な赤松の尾根を過ぎると15時06分三等三角点「上野」(645.49m)に到着した。ここまで来ると北側には鉄塔も沢山あ
り道に不安が無いのでホッとする。安心すると道がはっきりしない尾根ではあるが余裕である。この辺りの幹は緑色をしている。コケ
でも生えているんだろうか?
14時18分明確な尾根になり安心する 赤い境界杭もある 14時28分 道が左へトラバースするが、ここは右手の尾根を歩く
尾根は少し藪っぽいが歩くスペースは十分だ 赤松が沢山立っている・・・・・松茸が生えるんかなあ
15時06分 三等三角点「上野」 645.49mに到着 ここまで下れば鉄塔銀座が近いので安心だ
少し荒れ気味の尾根が続く 幹が緑色なのはコケが生えているのかな?
畑野橋への尾根道分岐が発見出来ず
15時20分尾根に鉄塔指標杭が2本現れる
の物だった。
そこから2〜3分下がると滑車台の様な鉄組のゲートを潜る。この後鉄塔保線路に沿って下るが、車をデポした畑野橋に向かう北東
尾根への破線ルートが見つからず。と言うかここまで下るともうどうでも良くなって真剣に道を探さなくなる人間の甘さよ。単調な
尾根歩きに退屈したので鉄塔保線路を北側へ向けて下り今日の旅を決着させようと自分を納得させた。
鉄塔保線路の指標杭が現れた 住友共電と四電が混在 15時25分 住友共電・物部線163番鉄塔に着く
う〜〜ん 熊鷹山にしておこう・・・ 15時28分 何コレ? 滑車の台なのかねえ
う〜〜ん この辺りから右に道が有る筈なんだけど・・・ 結局北側の鉄塔保線路に向かう
15時45分四国電力本川線2Lと西条線のそれぞれ3番鉄塔(共有)に到着。
側道へ向かうだけだ。
居線28番鉄塔があった。
側道を東に向かって歩き16時50分デポしたラッシュに帰り着く。
15時45分 四電・本川線と西条線の共有三番鉄塔を通過 鉄塔保線路を素直に下る
植林地帯の保線路はわかり易い 16時05分四電・四国中央中幹線116番を通過
16時22分 花芝畑の上に出る この辺りは四電・土居線の保線路らしい
16時26分 四電・土居線28番鉄塔に着く 最後の出口には祠があった
16時28分側道に着き東へと歩く 16時50分デポした我がラッシュに帰りつく
今回は丁度下兜山の周回を東にずらした様なコースで干支の山「熊鷹山」を周回した。
ークだったが、まあ初めての死なない尾根歩きを楽しめた。心残りは三角点「大川」を踏めなかった事と、最後の尾根ターニングポ
イントをしつこく探さなかった事だった。まあ欲を言えばきりが無い。元気に無事標高差1,000mを歩けた事を良しとしよう