大山火山外輪山、北方稜線縦走
1日目:新小屋峠登山口〜烏ヶ山〜鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢〜振子山 (ビバーク)
2日目:振子山(ビバーク地)〜野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山
,
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図 奥大山〜大山火山外輪山・北方稜線縦走
大山の主稜線山塊から東側にズレて北に向かい振子山〜野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山と連なる尾根が
あるのだが、この長大な尾根を何と呼ぶのだろう? ここは太古の昔、巨大な大山火山の外輪山だったらしい。
私的には大山の本峰山塊をカブトガニに喩えて「カブトガニの尻尾」とか「大山北方稜線」とか勝手に名付けている。
縦走に魅力的なこの尾根のルートを当初、一向ヶ平〜大山滝〜大休口〜大休峠と進みそこから北方外輪山稜線へ入るつもりでいた。
ところが今年になって「烏ヶ山」(からすがせん)が登山解禁となったとの話を聞き、縦走ルートをこの烏ヶ山から入る事に変更
した。
平成29年10月31日
新小屋峠〜烏ヶ山〜鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢〜振子山 (ビバーク)
カシミールソフトを使用したGPSトラックログ図 縦走第1日目:新小屋峠〜烏ヶ山〜鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢〜振子山
10月31日未明に高松を出て07時頃鏡ヶ平キャンプ場付近にある鳥ヶ山登山道を確認する。そこにある看板を見ると植生保護
や土砂崩壊等の為新小屋峠登山口をご利用くださいと書いてある。新小屋峠へ回り烏ヶ山登山口を確認後、45号線を東大山大橋
を渡り絶壁を持つ鳥ヶ山や縦走する北方尾根を眺めながら地蔵峠を下り44号線、34号線と繋ぎ電動アシスト自転車を船上山ダ
ム近くに置く。
途中でこの縦走は冷静に考えると逆方向が望ましいと思えたが烏ヶ山をスタートしたかったので計画通りとする。しかしながら美
しい紅葉の広がる大山環状線を新小屋峠に引き返すが結構距離があり不安が頭をよぎる。 まあ何とかなるやろ
鏡ヶ成キャンプ場近くの烏ヶ山登山口 侵入禁止の赤いテープが張られている
こちらは新小屋峠の烏ヶ山登山口 東大山大橋から烏ヶ山が正面に見える
野田ヶ山 矢筈ヶ山 甲ヶ山 野田ヶ山 船上山
電動自転車をデポして烏ヶ山登山口へと帰る 矢筈ヶ山、兜ヶ山 道路端の広い場所に車を停める
ルート1)新小屋登山口〜烏ヶ山〜鳥越峠 約4時間
新小屋峠登山口〜尾根合流点 約 50分 多少ぬかるんでいるが登山道は分かり易い
新小屋登山口の少し下側道路脇にある駐車スペースに車を停めて準備をし09時06分熊出没注意の看板が立つ登山口を出発する。
笹に囲まれた登山道は火山特有のぬかるみ道となっているがブナを主体とする周りの紅葉が美しいので気分は滅入らない。2組程の
登山者を追い抜いたが日帰りの軽装備だ。秋の自然林は太陽を浴びて輝き気温が少し低いのだが暖かい雰囲気になる。
登山口のコンクリート階段を上がると登山道が続く 台風の影響で所々に倒木が道を塞いでいた
笹は深く、足元はぬかるんでいる 上り坂になると足元が良くなった
ブナが多い 上を見上げるとブナが黄葉して美しく広がる
上り傾斜になるとぬかるみもあまり無くなり左手に見える尾根筋を眺めながら落ち葉を踏みしめて緩やかな傾斜を上る。09時57
分尾根筋に上がると尾根分岐標識が立っている。ここは3つの尾根が交差する場所で北側に四等三角点「西鴨」がある。今まで登山
口から北西の方角に歩いて来たのだが、この合流地点から南西方角へ尾根を乗り換えて烏ヶ山を目指す。
歩くのが楽しくなる秋の自然林だ 左手が透けると烏ヶ山への尾根が見える
オレンジが少ないので良く目立つ 中国地方のブナは細めの幹で林立している
09時57分尾根の交差部に到着する すると前方に烏ヶ山が現れる
尾根合流点標識〜烏ヶ山 約1時間10分 烏ヶ山を前方に見ながら快適な尾根歩き
前方に見える烏ヶ山の形は釣鐘状で四国の筒上山をコンパクトにした形だ。左右にピークを抱き、これが烏が羽を広げた形に見える
事が山名の所以らしい。茶色をした垂直の断崖に両翼を持ったドームが聳えている姿はそそられる。
木帯の尾根はアクセントを持った上り傾斜が続く。右手は厳しい烏谷、左手には鏡ヶ平の休暇村が広がる。
尾根道は前方のピークに隠れない限り烏ヶ山を見ながら歩く 登山道は快適と言える
次第に烏ヶ山のドームが近づいてくる
ギョヘ〜 荒々しいにも程がある風景じゃ
10時45分右手に烏ヶ山がグッと近づき垂直の絶壁とその向こうに縦走尾根と白っぽい大山の本体が見える。そこから烏ヶ山の左
肩ピークに向かう厳しい岩尾根となる。
10時53分キャンプ場分岐標識に到着。ここから左手に鏡ヶ平キャンプ場へ急斜面の登山道が下っている。谷の切れ込みを覗くと
いかにも脆そうで地震で崩壊したのも頷ける。
ピークを下る場所にはロープなども見られた 右手奥に大山の本体が白く見える
烏ヶ山への尾根筋風景 岩山はアルペンチックだのう
ソヨゴだろうか 赤い実を付けている 鏡ヶ成が眼下に見える
烏の南翼へ向かって上がっていく 烏の頭は絶壁頭だ
登山道 ワイルドだぜ 鏡ヶ成キャンプ場への分岐
10時53分 鏡ヶ成キャンプ場ルート合流点の標識 更に岩尾根が続く
鏡ヶ成キャンプ場ルートになっている尾根 その北側は鋭く切れ落ちた谷になっている
烏ヶ山 (からすがせん) 1,448m
11時00分肩のピーク「南峰」に上がると尖がった烏ヶ山とその向こうに大山槍ヶ峰方面が見える。やはり山歩きは見通しの良い
晴天に限る。
わってダイセンキャラボクの赤い実が出迎えてくれた。
上から団体登山者が降りてくるのを待って岩場を這い上がる。立木が結構あるので気を付ければそんなに危険な登山道でもない。
11時12分烏ヶ山の山頂標識がイルカ岩の前に立っており、周囲は灌木で狭い山頂部に着いた。
大休峠から矢筈ヶ山だろう 先ほど通過した南側の分岐標識を眺める
南嶺までは荒れた岩道ルートが続く 南嶺ピークへ近づく
南嶺から見た烏ヶ山とその向こうに大山南東斜面
コル部は灌木が生い茂っている 山頂には数人の登山者が居るぞ
ダイセンキャラボクの実 赤くてデカい 大山独特の白っぽい岩だ
11時10分 烏ヶ山(からすがせん)山頂に到着 イルカ岩みたいなのが立っていた
烏ヶ山〜鳥越峠 約 2時間 鳥ヶ山の北側トラバース路は要注意、後はずっと笹薮尾根だ けど美しいぞ
北側に出ると西側斜面が崩壊して次のピークがあり、その向こうに大山南東尾根が聳えている。こちら側へ進む登山者は少ない様で
登山道も少しマイナールートっぽくなる。
っている。
縦走尾根へはトラバース路となっており、ここの急斜面の草付きが足場が薄くて手掛かりになる木が立っておらず一番危険な場所だ
った。ロープなども置かれているが慎重に次の尾根へと渡る。振り返る烏ヶ山はまるで槍ヶ岳の様に岩が角の様に突出している。
11時38分縦走尾根に合流しホッとする。
尾根の上からは右手に明日歩く矢筈ヶ山が見えて少し気合が入る。殆ど自然林の秋色をしているが麓近くには濃い緑色をした植林の
帯も見える。
烏ヶ山の北側へ回り込んで尾根を下る 西側斜面 急な岩斜面の下側にはなだらかな裾野が続く
烏ヶ山の北側に出ると崩壊地を持つ北嶺とその向こうに大山の本峰が白く見える
尖塔岩の向こうが鍵掛峠付近だろう 北側は急で湿っている
トラバース路を尾根筋へ向かう 危険な箇所にはロープが置かれているが滑りやすい
西側斜面 岩場の紅葉と裾野の茶色い絨毯が秋の風情を作り出す
烏ヶ山を振り返る トラバース路は草付きではあるが崖だ 尾根の崩壊地に差し掛かる
崩壊地を渡りきる (ロープ有り) 尾根筋に出てほっとする 前方は北嶺
烏ヶ山を振り返る 槍ケ岳みたいに尖塔が立っている 急峻な北側トラバース路の危険性が良く分かる
11時50分烏の羽、北峰に着いてこの日初めての行動食と水を飲む。さてこのピークから踏み跡はあるもののワイルドな笹薮歩き
となる。
国土地理院にも三等三角点「烏ヶ山」亡失となっている。
すると前方から二人の登山者が現れた。双方とも思わぬ所で人間と出会ったのでびっくりしながらも言葉を交わす。聞くと広島の人
で鍵掛峠方面から烏ヶ山の周回にやって来たと言う。互いにエールを交換して先へと進む。
11時50分 烏ヶ山の北嶺に着いてしばし休憩 その後は藪・・・藪・・・藪 (笹薮)
烏ヶ山と北嶺を振り返る そろそろ三角点があるんだけど・・・
こんな笹薮で発見出来ず 諦めて進むと広島の二人組登山者に遭遇
鳥越峠
右手には日本海に注ぐ加勢蛇(いち)川の上流部、「地獄谷」のその又源流部「本沢」とその支流「振子沢」の谷間が見える。
これから這い上がる振子沢の見当を付けながら遙かなるルートを眺める。鳥越峠へと下る尾根は笹薮がキツくてここは上りに使いた
くない場所だった。次第に立木が増えて高度が下がった感じがする。
をかすめて右手に進むのだ。
烏ヶ山〜鳥越峠の尾根上から振子沢を確認する
ここから見る大山もブナ林の彼方に美しく聳えている
藪歩きでこんなに美しいバック景色は無いぞ でも笹薮は結構深いのだ
こんな美しいバックを持つ藪はちょっと無いぞ
笹薮の尾根は続く 鍵掛峠方面
ブナの斜面も紅葉に燃える
四国にも沢山のブナ林があるけれど、ここに立つブナ林の数は圧倒的だ
確かにこの尾根は深い笹薮だがこんな風景が周りにあるので苦にならない
鳥越峠からキリン峠〜槍ヶ峰への斜面が顔を出す
ブナ林の中に続く深い笹薮に多少ウンザリしながらも周りに林立する美しいブナ林や前方に聳えるキリン峠や槍ヶ峰への眺めが素晴ら
しくそんなに苦にならない。傾斜の下りが急になり尾根が多少荒れて来ると13時04分鳥越峠に着くと地元のキノコ採りのご夫婦が
昼食中だった。
多少古いブナが立つ傾斜を下っていく 峠が近づくと少し灌木藪っぽくなる
峠への踏み跡が薄いが尾根沿いなので気が楽だ 13時00分 鳥越峠に到着
ルート2) 鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢〜振子山 約3時間30分
鳥越峠〜駒鳥小屋 約 45分
平成27年7月に大山文殊堂より鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢を歩いた記録(この時は振子山へは進まなかった)
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 文殊堂〜鳥越峠〜駒鳥小屋〜振子沢〜ユートピア避難小屋〜元谷
鳥越峠でご夫婦に挨拶をして13時05分駒鳥小屋へと下る。このルートは3年前の7月に文殊堂から鳥越峠へ上がって振子沢をユ
ートピアへと歩いた事があるのでうる覚えではあるが少し記憶に残っている。最初は急な傾斜でロープ等も敷設されているが、少し
下ると左手の傾斜をトラバース気味に巻いて行く。ここは想像以上に明確な登山道が付けられて踏み跡があり駒鳥小屋へ下る分岐さ
え見逃さなければ不安は無い。この辺りは雪が深いので斜面の木々の幹は曲がって反り返っている。
鳥越峠からキリン峠の支尾根を巻いて本谷へ下って行く
最初は急な下りでロープなども見られる 灌木が雪で曲がっている
登山道は注意すると踏み跡を見逃す事もないだろう 少し平な地形になると沢へのターニングポイントが近づく
駒鳥小屋
13時28分駒鳥小屋に向かって降下する。途中から沢を伝って下り13時45分石組み壁の駒鳥小屋に着いた。夏は虫などが居そ
うで利用したくない避難小屋だが、この時期なら泊まっても良さそうな雰囲気だった。
さて、この小屋から沢に下りるのだが右手の下流側へ向かって道があり古い木の梯子が掛かっているのでそちらに向かうが途中で不
明になる。あんまり下流へ行きたくないので適当に小屋から10分程で沢へ下りて上流へと流れを避けて進む。
鳥越峠から20分程で右下へのターニングポイントになる 沢に向かって少し凹んだ踏み跡を追う
沢っぽい場所に沿って下る 滑りやすい一枚岩にはロープが置かれていた
13時45分 石組みの駒鳥小屋に到着 ここから沢に下りるまで少し距離がある
避難小屋の入り口は沢側にある 夏には泊まる気がしないが秋から冬は虫が居なそうだ
小屋の横に木梯子がありそこを下がる 川下に向かって明確な踏み跡があるのでそれに沿って歩く
又 木梯子があり段を下る 踏み跡が更に川下へ続きそうなので適当に谷に向かう
振子沢 少しわかにくい入り口、沢筋のルートはほぼ右岸(上流に向かって左側)
谷筋に下りて10分程上流へ歩くと14時10分右手にゴツゴツした岩壁があり、その上流側に支沢の様な物があるが入り口が倒木
などで埋まって振子沢の入り口かどうか良く分からない。
沢が振子沢の入り口って事になる。わかっちゃいるけどこんな場所では一応地図とGPSを出して確認作業をすべし。
ちょっとショボい振子沢への入り口だけどまあしょうがないわ。14時15分倒木を乗り越えて藪っぽい上流部へと進む。記憶では
右岸(向かって左側)に踏み跡があった筈だけど荒れてはっきりしない。右手の沢沿いに踏み跡があったのでそれを辿るがどうも山
の上に向かっており自然に出来た雨道(水路)だった事が分かり元の沢へ下りる。
道が不明な場所では手を抜かずルートをトライして間違っていればすぐ引き返すってのが鉄則である。それを山勘頼りにドンドン突
き進むとロクな結果とならない。
水は多くないので右へ左へと歩きやすい場所を進む 下流は地獄谷と呼ばれて大休口、大山滝、吊り橋、一向ヶ平へと続く
振子沢の入り口 右手に岩盤があり、上流部に右手から薄い流れがある
岩盤を過ぎた所にある大岩と立木が目印 台風の鉄砲水で入り口部を倒木が塞いでいる
まあ ここは荒れてはいるが振子沢に間違いない 沢の右手は藪で歩けない
沢を右岸に渡ると踏み跡を発見して安心する。テープなどもあり思いのほか踏み跡が濃い。
岸沿い(向かって左手)に続く。
15時07分左手に少し支沢があり目印の滝が落ちている。この辺りからは涸れた沢筋に沿ってルートが続く。後ろを振り返るとお
昼頃に自分が居た烏ヶ山が見えてちょっと嬉しくなる。
る。振子沢は曲がりくねっているので前方が見えるまで時間がかかるのだ。
沢を左側(右岸)に渡り返す すると踏み跡があった
沢の左側に沿ってテープなどが見える この辺りも雪が深いのか樹の幹が曲がっている
谷の右手斜面に陽がさして稜線部の紅葉が美しい 次第に谷が日陰で暗くなる
15時05分 正面に小尾根が現れて沢が右へと曲がっていく 左手に目印の滝が見える
谷幅が狭まりルートは沢沿いになる 振り返ると烏ヶ山が遠くに見える
沢が湾曲して藪っぽくなる 水の無い沢を歩く 倒木の向こうが開けて来た
振子沢ルートの最後は右手斜面に這い上がる
15時40分赤と白のテープがあり沢筋から右手の斜面に踏み跡が続いている。ここが尾根に這い上がる分岐となっている。3年前
は振子山方面へは行かなかったので真っすぐ沢を攻めたのだが、今回は出来るだけ右手にルートがあればそれを選択する。
踏み跡を辿って15時50分尾根筋に到着すると烏ヶ山や向かいの振子山が姿を現わす。振子山方面へ進むには1,550mピーク
に向かって少し登らなければならない。
15時40分 振子沢から右手の尾根に這い上がる踏み跡分岐点には白と赤のテープが張られていた
見上げると象ケ鼻付近だろうかギザギザ尾根が見える 沢から斜面を上昇する
剣ヶ峰方面の尾根との高さが近づく 振子沢の向こうに烏ヶ山が縦に見える
15時50分尾根筋に到着するとそこそこ明瞭な踏み跡あり 1,550mピーク方面へと尾根を進む ダイセンキャラボクの実
振子沢の暗さに合わせて写真を撮る 奥が烏ヶ山 象ケ鼻の稜線とほぼ並ぶ 右が1,550mピーク
振子山(ふりこせん) 標高約1,452m
16時02分縦走路の目印ポールに到着。西に傾いた太陽の光は大山の本峰に遮られて届かないので風が冷たい。1,550mピー
クを越えるとユートピア避難小屋があるのだが、今回は新しいモンベルのビバークツェルトの使用目的もあったのでビバーク地を探
しながら振子山へ向かう。しかしながら足元の縦走路の幅は40cmも無く灌木か崖になっている。いくらなんでも多少の平らな場
所位はあるだろう。
16時02分縦走路合流点のポールに到着する 奥は振子山(ふりこせん)
目指す野田ヶ山とその向こうに矢筈ヶ山と甲ヶ山 逆光で薄暗い斜面を振子山へのコルへと下る
縦走路は地形が複雑なのだがルートははっきりしていた コル部まで下る 道はあるが灌木の中で非常に狭い
1,550mピークを振り返る ユートピア避難小屋のシルエットが見える 振子山が近づくが平坦部や広い場所は無い
う〜〜ん ずっと登山道はこの調子だ 三鈷峰が左後方に見える 絶壁が鋭い
そうこうしている間に16時25分岩がメトロノームの様に立っている振子山へ着いてしまった。さすがに楽天的な私も少しビバー
ク場所について焦ってきた。
稜線にユートピア避難小屋のシルエットがあっかんべ〜をしている。その左手には剣ヶ峰に続く大山東壁の稜線部がジグザグに逆光
で黒ずんで見える。
振子山を回り込むと急な傾斜をトラバースするロープが置かれていて下る。
張れる場所を見つけた。もうこれ以上進んでも岩尾根が続くので野営出来る保証は無い。時間はちょっと早いが16時35分モンベ
ルのモノポールシェルターの設営にかかる。
振子山(ふりこせん)が近づくがビバーク出来る場所が全くない
左手は激しく崩壊している 天辺にはメトロノームの様な岩が立っている
スタートした烏ヶ山と歩いた前後の尾根が見える
振子山(ふりこせん)より大山東壁を振り返る
振子山の岩を回り込む それでもビバークするスペースはどこにも無い
ロープが置かれた傾斜を下る 下側の崩壊した尾根に出るとこんな感じ この東斜面にビバークする
ペグをツェルトの前後に打ち固定した後、入り口部分から中央部に沿ってポールを丸く張って居住空間を作る。このツェルトの欠点
はポールを固定する布袋が小さくて狭い事だ。ここは事前に鉛筆キャップを埋め込んで受け口を作っているから事なきを得る。全体
的にひし形の様な形になるのでザックや荷物を収納するスペースは問題ない。
但し狭い場所でツェルト近くでガスを使える場所が無かったので行動食で夕食を済ませる。ビバーク場所は東側斜面なので夕日は拝
めないが贅沢は言えない。明るい月を眺めながら寝る準備をする。里に居ても山に居ても夕暮れ時は物悲しい。孤独は好きじゃない
けれどそんな事を言ってたら山岳縦走なんて出来やしないのだ。
夜になって風が強くなり冷たくなってきたが防寒対策はしているのでそんなに寒くはなかった。デカく明るい月を見ながら夜を過ご
す。ここを動物が通ったらツェルトを迂回するスペースが無いので薄っぺらいツェルトを壊されない事を祈りながら眠りにつく。
菱形のツェルトを更に細くして何とか設営する
先ず荷物を全て放り込んで中に入って寝るスペースを作る バックは矢筈ヶ山と甲ヶ山
東斜面の為夕焼けは見えない 月が明るい夜だった 夜中から急に気温が下がり風が吹いてツェルトを揺らす
足元はギリギリ余裕がある ザックは横に置ける
振子山ビバークポイント〜野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図 野田ヶ山〜大休峠〜矢筈ヶ山〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山
ルート3)振子山〜親指ピーク〜野田ヶ山〜大休峠 約 1時間45分
05時00分目を覚ます。風が冷たいのでツェルトの中で片づけをしていると30分程で地平線が赤く染まって来ている。山で迎え
る朝は夕方の寂しさとは違い地球の目覚めって感じがする。無茶苦茶寒いが外に出て夜明けを眺める。夜中に風が吹いたお蔭でツェ
ルトに結露はあまり見られない。用具の片づけをしながらも夜明け前の一瞬の美しさを見逃したく無いので落ち着かない。それにし
ても酷い場所で野営したものだ。
05時30分 東の空が白み始める まあモンベルのモノポールツェルトは活用出来そうだ
夜明けの風景は雲の存在がその美しさを左右する
06時05分朝日の出る前にヘッドランプをかざして出発する。縦走路は非常に狭いが両サイドに灌木があるので滑落する様な恐れ
はない。とは言えロープ等が置かれた急傾斜なので慎重に下る。次の通過目標は「親指ピーク」なのだが高度が低い尾根上にある突
起なので上から眺めると迫力が無い。秋特有の雲が東の空に薄く広がり朝日を浴びて燃えるような色をかもしだしている。
未だ暗いのでライトを点けてスタート 三鈷峰の斜面は迫力がある
ロープを使って崖を下りる ん? あれが親指ピーク?
これから行く矢筈ヶ山と甲ヶ山
親指ピーク (約1,330m)
コルまで下ると親指ピークの形が眼前に突出して来た。烏ヶ山も谷川岳もそうだったが親指ピークも石鎚天狗岳の様な形をしている。
西側には山鈷峰の絶壁が鋭く切れ落ちており、大山の危うさを表現している。
親指ピークは遠くから見ると岩山と思っていたが、近づいて見ると標高が少し低いので低雑木が結構生えて虎刈り状態になっている。
06時30分ここで御来光を拝む。白っぽい鉱物が陥入した山頂の大岩に立って周囲を眺める。
コル付近まで下がると親指ピークはカッコよい形になってくる 奥は野田ヶ山
親指ピークの天頂部は散髪が必要だ ロープがウザい
06時30分 ジャスト 日の出〜 白い岩石が貫入した親指ピークの岩
親指ピークからビバーク地を振り返る(正面の岩が飛び出した左側) 1,550mピーク、ユートピア避難小屋、三鈷峰
野田ヶ山 1,344m
親指ピークからは藪っぽい低木の細道が野田ヶ山に向かって続く。やはりこの辺りも野営スペースが無かったので昨夜の場所が正解
だった様だ。
07時06分樹が生い茂った野田ヶ山の標識に到着。何と言う印象も無い山だが大休峠への最終ピークたる位置づけで、植生もイヌ
ツゲらしき低木が生い茂っている。
親指ピークの細尾根を振り返る
野田ヶ山への尾根は灌木の中に続いている 野田ヶ山まではピークを一つ越えていく
野田ヶ山へはブナ林に囲まれた尾根道を進む
厳しい細尾根の後は美しいブナ林のなだらかな尾根を歩く 野田ヶ山のピークが近づく
07時05分 野田ヶ山(のだがせん)の山頂に着く
大休峠(おおやすみとうげ) 標高約 1,112m
野田ヶ山から大休峠へ向かってブナ林の緩やかな下りになり日差しも出て少し暖かくなった。縦走路には厚い落ち葉が積もって滑ら
ない様に気を付けながら歩く。07時30分になると笹が出てきて足元の緑と木々の黄葉が美しいコントラストとなっている。大休
峠のコル部が近づくと辺りが平坦な森になって霧が出たりすると迷いやすい地形だ。前方に見える矢筈ヶ山への稜線を目印にしたり
コンパスで東を確認しながら進む。サクランボの様な赤い実を付けた樹がある。この時期の木の実は鳥に目立つ様にしているのか赤
色が多い。
足元がぬかるんで来ると前方に立派な小屋が現れた。ここが大休峠の避難小屋で中国自然歩道として北の川床と東の一向ヶ平を結ん
でいる中継点として整備が行き届いておりトイレなどもある。
野田ヶ山の山頂を過ぎるとイヌツゲの様な常緑低木が生えている 東側の尾根はブナやミズナラなどの自然林
低木が黄葉している 足元に笹が現れる
次第に地形が平らになって迷いやすい場所になる 正面に次の山斜面が見えるので晴れていたらコースミスは起こさない
この赤い実はなんだろう? カンボク? 登山道がぬかるんでいる
07時50分 大休峠の避難小屋に到着 立派な小屋でトイレもある
大休峠の標識 (四差路) 中国自然歩道が交差する 一向平は大山滝方面、 川床は北西にある
避難小屋 これなら夏場でも泊まれそうだ 歩いて来た野田ヶ山と右手が1,550mピーク 白い建物はユートピア避難小屋か?
ルート4)大休峠〜矢筈ヶ山〜小矢筈〜甲ヶ山〜勝田ヶ山〜船上山〜東坂登山口 約 6時間
大休峠〜矢筈ヶ山 約 1時間
西側が少し開けており今まで歩いて来た山が見える。少し休憩して08時00分反対側の縦走路へ上がって行く。
て烏ヶ山が見えだし、気持ちの良い風を浴びながら快調に歩く。岩っぽい登山道をドンドン上がっていくと尾根筋に到達し、素晴ら
しい青空とブナ林が広がった。
避難小屋の裏手に続く縦走路を矢筈ヶ山へ向かう 秋の空が広がって見るもの全てが美しい
烏ヶ両翼を広げる形になる やはりここは大山 岩が出てくる
デカいブナが現れると森の気を感じる 08時35分 稜線部へ出た様だ
目指す矢筈ヶ山が木々に透けて見える やはり登山は晴天に限ります
矢筈ヶ山 一等三角点「二子山」 1,358.43m
小矢筈 約 1,310m
灌木の尾根道を進んでやがて急な傾斜に取り付いて振り返ると昨夜ビバークした振子山とその向こうに大山の東壁が一望出来る。その
左側の尾根を辿って眼を写すと烏ヶ山まで繋がっている。これも絶景かな
ピーク近くのイヌツゲ藪を回り込むと09時05分「矢筈ヶ山」に着いた。一等三角点の元はセメントで覆われて整備されてはいるが
四国の一等三角点はもう少しデカい気がした。
灌木の中だが快適な尾根道が続く 標高が上がると大山の本峰が見えだし何度も振り返る
烏ヶ山 三角点「烏ヶ山」 振子山と奥が大山
大山の北側尾根にはイヌツゲの様な常緑低木が多い 奥大山と呼ばれている山域
少しズームにして1,550mピーク(象ケ鼻?)からビバーク地を振り返る ビバーク地は振子山と記した右手の白い部分
09時05分 矢筈ヶ山に到着 烏ヶ山〜大山と北側に続く甲ヶ山の両方が展望出来る
あまり見慣れていない場所なので同定に少し間違いがあったらゴメンね 1,30mP は 1,300mピークのタイプミスです
矢筈ヶ山を回り込むと日本海に向かって広大な裾野が下がっている。やはりこの大山火山は相当な規模だった事が想像出来る。東側に
目をやると振子山から続く縦走路も眺める事が出来た。北側には次に進む「甲ヶ山」の岩壁が威風堂々と聳えている。本当にこの大山
火山外輪山縦走路は雄大で素晴らしい場所だと思う。
先程から後方で熊鈴の音がしていたが、単独の年配男性が矢筈ヶ山で追いついて来た。この人は広島県人で一般道を使って車でやって
来て川床〜大休峠から歩いて来たと言う。「何処まで行かれますか?」と聞くと「甲ヶ山まで出来たら行きたい」との事だった。ここ
で暫く休憩をすると言うので先に出発する。
甲ヶ山 小矢筈
矢筈ヶ山を過ぎると親指ピークの兄貴分のような鋭い岩峰がある。コルまで下がって見上げると結構厳しそうな傾斜だ。あのおじさん
大丈夫やろか?と思いながら岩の急傾斜を這い上がる。途中からロープが置かれてある一枚岩を乗り越えて09時33分小矢筈の山頂
に至る。下からは熊鈴の音がしているので先程のおじさんが付いて来ているみたいだ。
小矢筈から見る甲ヶ山は裾野が錦秋に染まって日本海をバックにいい感じで収まっている。
一緒に次の甲ヶ山へと向かう
矢筈ヶ山の山頂は少し広い 別の石標も見られた 小矢筈はやはり眼下に見ると親指ピークのそれと同様に迫力に少し欠ける
コルから見上げる小矢筈はいい形をして尖がっているわ あれ 上れるの?
甲ヶ山と小矢筈のセットがいい眺めじゃのう
方や矢筈ヶ山はどっしりしているが平凡だ 見る方角にもよるが阿波矢筈や土佐矢筈の様に綺麗な矢筈の形にはなっていない
石鎚の東陵の様にと奥から眺めるととても上れそうにないのだが、近くまで進むとそれなりにルートがあるもんだ
09時33分 小矢筈の狭い山頂に至り甲ヶ山をしばし眺める 大山の本峰は矢筈ヶ山に隠れて見えない
甲ヶ山(かぶとがせん)1,338m
先程から正面に甲ヶ山を見つめてルートを予想している。真正面の少し樹林帯が続いている尾根を進むのか、左手の樹林帯へトラバー
スするのか・・・正解は以外にも右手の岩場を進んで巻いた後山頂へ這い上がるルートだった。
スラブに回り込んだ所で熊鈴叔父さんはルートに躊躇している様子だったので前に出る。岩場をトラバースして赤ペンキの○マークに
従って這い上がる。岩はフリクションが良く効いており危険は無い。
10時20分意外と平坦な甲ヶ山の頂上に到着した。ケルンが積まれてそこに山名標識が置かれている。ほどなく熊鈴叔父さんもやっ
て来て「以前北側から甲ヶ山の近くまで来たのだが岩場が危ないので撤退した」と言う。
た自然林が広がり黄褐色に輝いている。その中に植林と思われる緑のベルトが見られた。
きれいに尖っている形では無いが威風堂々として魅力のある山だ ルートは右手から岩場を回り込む
コル部に向かって灌木の縦走路を進む 小矢筈と矢筈ヶ山を振り刈る
09時58分 甲ヶ山直下の岩場に出る 急な草付きの岩場を見上げる
ルートは右手の岩場に沿ってトラバースする 向こうの尾根筋まで岩場を進んで、最後に山頂へ這い上がる
やはり岩場では私が早い こちらから見る小矢筈は形が少し悪い でもちょっと矢筈になっているぞ
岩場は急だがささくれ立っているのでそんなに危険はない
10時20分 甲ヶ山の平たい山頂に到着する 大山の北側と東側を全て眺める事が出来る
大山北山麓 なだらかな原生林の中に植林地の模様が見える
なんだかこの雄大な自然林の山麓に植林があるのが惜しい様な気がする
同年代と思われる熊鈴おじさんは退職直後に奥さんが認知症になり介護生活を続けていて、月に1度施設に預かって貰いストレス解消
に山を歩いていると言う。私より何倍も苦しい環境で山歩きをされているのだ。
に進む。甲ヶ山は北側に尾根が張り出しておりイヌツゲの様な灌木と岩の道を進む。すると眼下に船上山への尾根が広がった。
だ距離が残されている。
10時37分甲ヶ山の肩まで出ると奇妙な光景が目に飛び込んだ。尾根部だけに大きな岩がずっと転がっているのだ。あ〜これが
「ゴジラの背」と呼ばれる岩尾根か〜
前半に一ヶ所岩が切れ落ちて危険な場所がありロープが置かれていた。上からくだんの熊鈴おじさんが「どんな具合ですか〜?」と叫
ぶので「う〜〜ん ちょっと危険かも知れません」と答える。するとおじさんは諦めて引き返して行った。ゴツゴツした岩の連なりは
歩きにくい事この上もないが、こんな場所は刺激があって結構楽しい。このアトラクションは10分もかからず終了となったが、下か
ら見上げるゴジラの背は確かに愛嬌のあるネーミングだ。
甲ヶ山は北側に常緑低木(イヌツゲ?)の密生する尾根を持つ 先に進むと次第に岩が現れる
甲ヶ山の北端に出ると岩尾根が現れてその先の尾根はくねって日本海へと延びている
一か所段差がありロープがあるが注意が必要 岩が尾根に出ているのではなく岩尾根の周りに低木が生えたんだ
通過時間は5分ちょっとだが結構楽しめた 北方稜線のアトラクションもここで終わり後は平凡な尾根歩きとなる
ここから船上山方面を眺めると地図からは分からない尾根の歪みを持って下っている。最初は藪っぽい灌木の間を下って行く。11時
00分甲ヶ山のコル部に白いペンキが塗られた標識ポールが折れて転がっていた。甲ヶ山の岩場で上から単独男性が降りて来て西側の
川床方面から藪道を来たと言ってたのでこの辺りに這い上がってくるのかも知れない。
10時45分ゴジラの背が終わると穏やかにうねりながら続く尾根をひたすら下っていく
大山もいよいよ見納めかと振り返る 赤い実はアオハダか? 11時00分 鉄柱が折れて転がっていた
灌木の尾根をゆっくりと下る ブナやミズナラが沢山立っている
勝田ヶ山 (約 1,210m)
四等三角点 勝田山 (1,148.88m)
甲ヶ山の岩場を過ぎるとブナや広葉樹が冬枯れ間際の色で染まる縦走路を延々と進んで行く。
く尾根とその向こうに大山北壁が見える。北側から見る甲ヶ山は木々に覆われてフツーの姿をしていた。11時25分ピーク付近に登り
付くとイヌツゲの様な常緑樹が生い茂った風景に変わる。恐らくこの辺りが勝田ヶ山と思うのだが特に際立ったピークも無く山頂標識も
見逃してしまった様だ。まあここは三角点を踏む事にして下る。11時40分縦走路に有った四等三角点「勝田山」を踏む。
右に少し突き出した勝田ヶ山を目指す 勝田ヶ山が近づく
尾根が右(東側)へ少し振ると甲ヶ山からの稜線とその向こうに大山東壁と北壁が見える
自然林の藪尾根に縦走路の踏み跡が続く 常緑低木が蔓延(はびこ)る勝田ヶ山付近
11時27分 この辺りが勝田ヶ山 山頂標識がある筈だが見落とす
勝田ヶ山を下ると又紅葉の自然林となる ブナやミズナラの間を下る
カエデの黄葉が陽の光を受けて美しく輝く
ドンドン下る (おじょも的表現) 縦走路に三角点発見
11時40分 四等三角点「勝田山」 を通過
標高1,150m弱の三角点「勝田山」を過ぎると縦走路に笹が現れ始めた。踏み跡はしっかりしているので藪とは言えない程度だが
結構登山道を覆っている。しかし下りの笹道は意外と快適に歩く事が出来るのだ。笹の上には相変わらずブナなどの広葉樹が立ってお
り不快な気分にはならない。眼に入る黄葉の風景を楽しみながら笹道をどんどん下る。こう言う快適な尾根は距離が思ったより稼げる。
地図を見ると縦走路の進路上にもう一つ三角点があってここから尾根が左右に分岐しているので見逃さない様に歩く。前方に日本海が
見えて来ると12時22分四等三角点「大流」(940.76m)に出合う。さらに5分程進むと大き目の分岐標識があり、左手に
「天王屋敷」(恐らくは天皇屋敷跡)、手前が「甲ヶ山」となっている。右手には何も書かれていないが、船上山方面である事は地図
上で間違いない。気分的にはもう船上山に着いた様なものだが、実際はまだまだ先がある。
ドームは見えないが恐らく右手に流れている尾根の先が船上山だろう ここから笹が現れて縦走の最後まで続く
踏み跡が無ければ苦労しそうな笹藪だ 目指す船上山の尾根が薄茶色に光って右に延びている
ウ〜〜ム マンダム !
空を見上げると明るい 日本海が見える景色もここで見納めとなる
12時22分 四等三角点「大流」を踏む ブナに囲まれていい場所にある
12時28分尾根の最終分岐点に到着する 左は(後醍醐)天皇屋敷跡 (標識名は天王屋敷と書かれている)、 右が船上山方面
船上山 615.6m
天皇屋敷跡分岐からは縦走路は遊歩道となっているのだろう、平坦で分かり易くその上に素晴らしい自然林の中を歩く事になる。
ブナ林を快適に進むと13時13分前方にお堂の様な建物が現れた。近づくとそれは「船上神社」(昭和9年再建)だった。その
昔ここに智積寺という修験道のお寺があって伯耆三山(大山・三徳山・船上山)として栄えていたらしい。又、隠岐に流されていた
後醍醐天皇の復活の地としても有名である。
遊歩道を更に進むと13時30分「船上山行宮碑」がある広場に出た。行宮(あんぐう)とは天皇が御所を離れた場合の仮宮殿の
事で御座所(ござしょ)とか行在所(あんざいしょ)と言われているらしい。
船上山の南側はブナの原生林で有名な場所だ 秋に歩くのがいいわ
黄葉は日差しによって美しさを増すわいな 登山道は遊歩道と言っても良い程だ
上を向いて歩こう 標高が低くなると木々の色が緑っぽい
13時13分 前方に神社らしき建物が見えた 船上山神社 昭和9年再建とある
この辺りは昔「智積寺」というお寺があって栄えていたらしい 船上山までほぼ平坦な遊歩道が続く
甲ヶ山と勝田ヶ山が見える ここから眺めると結構尾根は上りになっている
13時30分 船上山行宮(あんぐう)碑の広場に着く 道なりに進むと登山道が下って行く
左手にある船上山三等三角点を踏むつもりだったが道なりに下ってしまい引き返すのが面倒なのでそのまま下山する。広い遊歩道を
ジグザグを切って下りると20分程で「東坂登山道」の標識が立てられていた。
数年前にこの辺りへドライブした時に船上山の断崖と斜面のススキが美しかったので期待していたが、どうした訳かススキはまばらで
迫力が無く残念だった。
14時丁度に舗装道路に下りるとそこにも「東坂登山口」の標識が立っていた。ここから更にダム方面へと下る。見覚えのある鳥居が
あり14時23分デポした電動アシスト自転車に帰り着いた。
東坂登山道を下る 横手道分岐
大山環状道路が見えて来た 船上山ドームを眺める 逆光で日差しを手で遮る
船上山ドーム 以前来た時 一面のススキ原だったんだけどなあ
14時00分 東坂登山口に下りる 舗装道路から少年自然の家へ下る
辺りは公園になっている遊歩道 終点の鳥居が見えた
14時18分 ダムの下にデポした電動アシスト自転車に帰り付く 荷台に括りつけた予備のバッテリーも無事だ
さあ、旅は未だ終わらない 鏡ヶ成の新小屋峠登山口にデポした車までペダルを漕ぐ
(鏡ヶ成・関谷方面へ)
エピローグ
さて、ここから車をデポした鏡ヶ平の新小屋峠まで上り坂の多い道路を電動アシスト自転車で帰らなければならない。パナソニックの
電動自転車を買った時に付属していた5アンペアのバッテリーは今まで途中で電池切れの憂き目に遭い、新たに8.9アンペアの電池
を追加購入した。しかし冬場は思った以上に消費が激しく走行距離が延びない事が解っていたのだが・・・
自転車をデポした場所が谷風が吹きさらしのダム公園、それに前日の寒波で恐らくバッテリーの状態は厳しく、果たして車まで無事に
持つか心配ではある。まあなる様になるしかない。
14時30分ザックを背負ったまま自転車にまたがり少年自然の家を出発。バッテリーが切れなければ約2時間程の旅と予想する。
昨日朝、車で来た時に分岐標識は気を付けて確認していたので最初の矢筈川を渡り「鏡ヶ成・関金」方面へ向かう。一つ峠を越えて
加勢蛇(いち)川への下りでは電池を切って下る。加勢蛇川沿いに上流方面の一向ヶ平分岐辺りから急な上りになると電池がピコピコ
して8.9アンペア電池が終了した。狭い上り坂お縁で予備の5アンペア電池に付け替える。するとみるみる電池残量が減って行き何
とか地蔵峠をクリアし鏡ヶ成まであと9キロの道路標識辺りで電池残量メモリが1になってしまった。そして16時05分右手に展望
所が並ぶ最終展望所辺りで電池が切れてしまった。
県道45号線地蔵峠を何とか過ぎて鏡ヶ成まであと9km 16時05分予備バッテリーも力尽く あちゃぱ〜
道路脇のフェンス付近にザックと自転車を繋いで施錠して貴重品を肩掛け袋に入れてトボトボ新小屋峠を目指す。16時30分東大山
大橋を右上手に烏ヶ山のシルエットを見ながら渡る。左上に明るい月を見ながら歩き17時32分新小屋峠にデポした車に帰り着く。
16時30分 東大山大橋の歩道を渡る う〜〜〜 確かに紅葉の中なんだけど暗い・・・
月が〜 出た出た〜 月がぁ でた〜♪ 17時32分 愛車カローラフィルダーに帰り付く(新小屋峠)
そこから残置した自転車までピュ〜と10分程で移動して自転車とザックを回収し満足感に浸りながら四国へと帰った。
笑える結末エピソードを持った理想的な遠征はここに無事終了した。 あ〜〜〜 おもろかった〜〜〜〜
17時50分 自転車まで15分程で到着 あれ? 自転車とザックを繋いだカギが見つからな〜い 合体のまま無理に押し込む