標高三千メートルを超える山21座目 「塩見岳」

平成27年9月19日〜20日


退職記念登山 標高3千メートルを超える最後の山「塩見岳」に登る

プロローグ

日本の山で標高3千メートルを超えるものは公式に21座と言われている。
山歩きを始めて約15年になった今年、この21座の最後に残った「塩見岳」に行く事に決めていた。

ちなみにこの標高3千メートルを超す21座を高い順に並べると

山名 (標高)              登頂日
ーーーーーーーーーーーーー       −−−−−−−−−−−− 

 1.富士山(3776m)           2007年8月 
 2.北岳(3192m)   南アルプス    2010年9月
 3.奥穂高岳(3190m) 北アルプス    2009年9月
                      2010年9月
                      2011年10月
 4.間ノ岳(3190m)  南アルプス    2010年9月
 5.槍ヶ岳(3180m)  北アルプス    2008年8月
                      2009年8月 &9月
                      2011年9月
                      2014年9月
 6.悪沢岳(3141m)  南アルプス    2014年9月
 7.赤石岳(3121m)  南アルプス    2014年9月
 8.涸沢岳(3110m)  北アルプス    2011年10月
 9.北穂高岳(3106m) 北アルプス    2011年10月
10.大喰岳(3101m)  北アルプス    2009年9月
11.前穂高岳(3090m) 北アルプス    2011年10月
12.中岳(3084m)   北アルプス    2009年9月
13.荒川()岳(3084m)南アルプス    2014年9月
14.御嶽山(3067m)           2008年8月
15.西農鳥岳(3051m) 南アルプス    2010年9月
16.塩見岳(3047m西峰)南アルプス    今回(2015年9月)
17.仙丈ヶ岳(3033m) 南アルプス    2012年8月
18.南岳(3033m)   北アルプス    2008年8月、2009年9月
19.乗鞍岳(3026m)           2013年8月
20.立山(3015m)   北アルプス    2008年7月
21.聖岳(3013m)   南アルプス    2014年9月


上記21座以外にもこれに付随する山として農鳥岳3026m、ジャンダルム3163m、荒川前岳3068m、
丸山3032m、中白根山3055m、
小赤石岳3081mなどが存在するが当然これらも一緒に踏破している。

平成27年の夏は実に雨が多く各地に水害が発生した。四国外の遠征には天気が良い条件でなければ面白くないので
計画が延び延びとなり、長崎の兄弟・研治と当初後立山連峰縦走に充てていた9月はスケジュールが合わず、結局二
人で短期間で行ける塩見岳へ行く事にした。



カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図  鳥倉林道〜三伏峠〜塩見岳

   
                     烏帽子岳より見た塩見岳


アクセス
平成27年9月18日新居浜の実家に集合して朝08時頃南アルプスへ私の車で出発する。高松自動車道〜神戸淡路鳴門自動
車道〜中国自動車道〜名神自動車道〜中央自動車道〜「松川インター」で下りて天竜川を渡る。更に小渕ダム湖沿いに遡りト
ンネルを3つ程過ぎた場所に大鹿村への分岐がありここを右に曲がる。

この分岐には右「上村」の道路標識がありここを右に曲がるのである。この三叉路に大きな観光協会の看板がありその中に
塩見岳・鳥倉林道登山口20kmとある。小渕川に沿って上流へ進むと大きな橋の手前・左手に「赤嶺荘」という旅館の看板
があり、ここから鳥倉林道の山道へ左折する訳である。

前泊地は鳥倉林道へは入らず直進する小渕温泉「赤石館」で車中泊が苦手な研治が現役の財政余裕を示して手配してくれた。
登山口の駐車場スペースが狭いので少し心配だったがやはり車中泊より温泉宿の誘惑には敵わない。鳥倉林道の入り口など
をチェックした後16時頃チェックインする。


  
やはりこの辺りに来ればリンゴ畑でしょう                トンネルを越えた三叉路を右に曲がる

  
左に赤嶺館の看板がありここから左が鳥倉林道となる         赤石荘の温泉に入る    

 

平成27年9月19日

05時30分赤石荘を出発、少し林道を引き返し鳥倉林道へ入る。2つ程ある分岐をクリアして06時20分ゲート前にある
登山者用駐車場へ着くともう完全満車状態。少し引き換えし林道の広い部分の路肩に駐車して準備する。その間も数台の車が
満車を知ってUターンして来る。


06時30分いよいよ登山開始、と言ってもしばらくは舗装された林道を40分程歩く事になる。途中、年寄りや女性を追い
越し若者に抜かれる。道端には野菊やツリフネソウ、ヤマボクチなどが咲いて風が涼しくて気持ちがいい。


07時10分登山口に到着すると自転車が2台デポされていた。脇にあったボックスに登山届を提出。他の登山者はどうも登
山届を出さないでさっさと登って行く。
最初はシラビソのトラバース急登となり稜線部へと登って行く。林床にはしそ科のミ
ソガワソウらしき花に交じってタカネビランジ、サラシナショウマが風に揺れて涼しさを増す。


  
  駐車場が満杯で道路沿いに停めさせて貰う             登山口駐車場から林道歩きが始まる

  
   道路沿いにはノギクやミソガワソウが咲いている         何とも言えない柔らかさを持ったオオヤマボクチ

  
   鳥倉林道・登山口   自転車のデポも多い           シラビソの山道となる

  
   ミソガワソウの群生地斜面を上がる                  タカネビランジも咲いていた

この辺りの針葉樹の幹には全てビニールテープが巻かれている。どうもシカの皮剥ぎ被害から守る目的でテープが使われて
いるらしい。これがもし有効ならとても経済的な食害予防策なのだが。
07時50分稜線のコル部に着くと三伏峠まで10分
の3という標識があり、三伏峠まで2km2時間とある。平地では2kmは30分程で歩けるのだが山道では1kmに1時間
程かかるのだ。登山道はここから10分程右斜面をトラバースしていく。

登山道には樹木の枝を使った手製の手摺や階段で良く整備されているが湿っているので滑り易い。
08時25分次のコル部に
着くとそこから登山道は又稜線の左手をトラバースして付けられている。
08時50分水場に到着。「ほとけの清水」と書い
た手製の表札がかかっている。三伏峠にも水場があるのでここは少し喉を潤すだけでいい。アルプスの水場は標高が高い分冷
たくておいしいと感じる。


  
  樹には全てビニールテープがグルグル巻かれている       三伏峠まで10分割して標識がある

   
08時08分コル部に出ると三伏峠まで2km2時間とある        手製の丸木を使って整備されている

  
  中々手のかかる整備作業だろう            08時50分水場に到着「ほとけの水場」の標識がある

沢筋に出ると道がザレており、手製の丸木で階段や橋が手入れされている。この整備は恐らく三伏小屋の人たちによるもの
だろう。時々開けた場所では景色が見えるがどの山なのかどの方角なのかさっぱりわからない。


09時20分塩川分岐に到着。鳥倉林道からのアプローチが便利なのであまり使われなくなった上に道が崩れて通行不可と
なりロープが張られていた。
そこから10分程歩くと左手に懐かしい仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳が見え、更にその右手には明日
登る本谷山や塩見岳も垣間見られる。
昨年一緒に南アルプスを縦走した初日に足が何度も攣って不安だった研治も今回は距
離も短いからか快調の様で安心する。


  
  岩場には手製の橋が架けられている                沢部のザレ場にも整備された木製の梯子が続く

  
09時20分 塩川分岐を通過                        本谷山の左手に仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳が見える


      仙丈ヶ岳と甲斐駒ケ岳をズームアップする


三伏峠(2,580m)

「日本一標高が高い峠」の大きな看板が出て来ると、そこから登山道は緩やかになり09時50分三伏峠に着いた。ここの
標高は2,580mとなっており、針ノ木峠(北アルプス2,541m)夏沢峠(八ヶ岳2,392m)、雁坂(かりさか)
峠(秩父山脈2,082m)などを抑えて鼻高々の峠なのだ。


手前には三伏小屋の玄関前テラスがあり多くの登山者が休んでいた。こちらはテン場のスペースが気になるので先にテン場
へ行くが思ったより混んでなく気に入った場所を決めて小屋に申込みを行う。トイレ料込みで一人700円だった。


テント場に下りる場所で別棟の建物越しに塩見岳が顔を覗かせている。塩見岳の山頂付近にはテン場が無く、塩見小屋も今
年は改装工事中で閉鎖(飲み物などは売っているらしいが)なので今日はここで待機する。


  
   三伏峠小屋                                小屋の外れにある三伏峠の標識

  
  宿泊棟裏から塩見岳が頭を覗かせる                 三伏小屋の野営地にテントを張る

  
 天気の良い日ならば日本アルプスでもこのモンベル・ドームシェルターIIで十分なのだ
 グランドシートに住宅建材用のタイベックシート、テントの中に銀マットを敷く 更にその上にエアーマットを敷いて寝る


烏帽子岳 (2,726m)

時間がたっぷりあるので荷物の整理や昼食、近所の住人との会話などの後、12時20分烏帽子岳へ向かう。烏帽子岳は
塩見岳の展望所であるが、又南の赤石山への縦走路尾根ともなっている山だ。


テン場から奥の水場方面へ少し下るとお花畑がある。当日は沢山のボライイティアによって鹿の防護柵補修作業が行われて
いた。タカネマツムシソウの咲き残るお花畑の防護フェンスの間を抜けて右手の稜線へ出る。稜線の向こう側は脆い山肌が
崩壊しかかっている。


烏帽子岳へはこの稜線伝いを左手に進む。手前には厳しそうな岩峰があり登山道はこの部分を左手にトラバースして美しく
黄葉したダケカンバの林の中へと続く。南アルプスで初めて出会った印象的な黄色いイワインチンが咲いている。
岩峰の左
手を巻いて稜線に上がるとハイマツ林となり前方に比較的どっしりとした烏帽子岳が見えて来る。


稜線を伝って13時05分烏帽子岳山頂に到着する。すると眼前に塩見岳の雄姿が現れる。南アルプスの中では比較的地味
な存在と思っていたが、中々立派な山である。
山頂には新潟方面から来たグループが居り話をすると年配の男性一人がテン
ト泊、他の女性4人は小屋泊りだと言う。


  
 左が塩見岳、 右が烏帽子岳や水場への分岐            お花畑の鹿防護柵の間を抜けて稜線部へ

  
稜線部へ抜けると南側が切れ落ちている                 お馴染みのタカネマツムシソウ

  
これは四国の山には見られないイワインチン              ダケカンバっていいよねえ

  
  手前に一つ岩山がありこれを左手からトラバースする       このトラバース道がダケカンバ林となっており美しい

  
ナナカマドも橙色から黄色のグラデュエーションカラーだ        稜線部に出るとハイマツの間を緩やかに上って行く


    烏帽子岳の山頂から北東部にデカい塩見岳がデ〜〜ンと姿を現す


            65歳兄弟が今年も南アルプスにやって来た


記念写真を撮って貰ってしばらくダケカンバの赤い葉っぱ越しに塩見岳を堪能し、風が強くて寒くなってきたので退散する。
14時00分お花畑に帰るとまだ鹿防護ネットの作業が続けられており「ご苦労さまです」と挨拶しながらコル部から水場
へと沢筋へ下る。
10分足らずで水場のポンプ室に着き研治と二人でペットボトルに補水する。四国でもそうだが鹿がワン
サカ居る場所の水場は水質が安心出来ないので主に食事用に沸騰させて使う。飲み水は一泊二日くらいだと手持ちのペット
ボトルを利用する方が無難だ。


14時35分テン場に帰るとテントの数が異常に増えていた。夕食は例によってアルファ米とスープ、研治がコンビニで買
って来た野菜スティックだった。周りのテント仲間と山話をして早めにテントに潜り込む。ウメッシュを二人で一缶飲むが、
研治は私が渡した睡眠導入剤を一錠飲むと即寝てしまった。


  
これが3千メートルを越える山の最後に登る塩見岳だ〜〜            ナナカマドの実


  
お花畑のコルに帰り、沢筋の水場に下りて行く 正面に塩見岳      水場のポンプ小屋

  
  三伏峠のテン場に帰るとテントがグンと増えていた         私の山食はアルファ米と野菜スティックの質素なもんだ


いよいよ塩見岳へ

平成27年9月20日

昨夜研治とスケジュールを打ち合わせ本日中に下山する事に決めたので早起きする。

04時に起床し04時40分ヘッドランプを付けてテン場をスタート、荷物はテントを張ったままなのでその中に置きサブ
ザックで塩見岳を往復する。甲斐駒ヶ岳と仙丈ヶ岳へ行った時も北沢峠にテントを張り同じようにサブザックで両山を2日
でピストンした。


まだ辺りは真っ暗だが前日本谷山への分岐を確認しているので特に問題はない。登山道だけを見ながら注意して歩いたので
三伏山はいつの間にか過ぎ去っていた。


夜明けが近づき辺りは徐々に明るくなって05時45分本谷山の三角点に到着。暫く進むと左手が少し開けて甲斐駒ケ岳と
仙丈ヶ岳が見える。06時15分塩見岳のシルエットが浮かび上がり、シラビソ林の尾根を進む。


07時00分急な痩せ尾根の上りを右に折り返す場所に「塩見新道分岐」の標識が立っている。よく分からないが三峰川林
道への登山口へ続いているらしい。痩せ尾根を抜けるとハイマツのなだらかな尾根に出て、そこから目的の塩見岳が姿を現
す。手前に前衛峰の岩峰があるのでまるで双耳峰の様に見える。


左手には雲の上に甲斐駒ヶ岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳が連なっている。南アルプスにやって来ても周りに自分が歩いた山々
がある。15年の山キャリアにしては良く歩いたものだ。
手前には仙塩尾根が文字通り向こうの仙丈ヶ岳から手前の塩見岳
へと続いている。


  
  野営地から下がった所にある塩見岳分岐を左に進む       右手が開けた場所では塩見岳のシルエットが見えてくる

  
05時45分本谷山まで来ると明るくなりヘッドランプは不要となる  塩見岳が前方に見える

  
     本谷山から眺める仙丈ヶ岳(右側)               ナナカマドが真っ赤で美しい

  
       赤石岳方面                            仙丈ヶ岳(左) と 甲斐駒ヶ岳 (右奥)

  
    シラビソ林の向こうに塩見岳                   ダケカンバが鮮やかに登山道を飾る

  
 塩見岳が次第に近づく                           シラビソ林も明るくなる

  
07時00分 塩見新道分岐 三峰川林道へ登山道が分岐する   07時15分 ハイマツの尾根部に出て気持ちが良い


稜線の左手樹林帯の中に改装中の塩見小屋がある。今年の塩見岳登山はこの小屋が使用出来ない為に三伏峠からのピストン
を余儀なくされている。せめて野営地でもあれば助かるのだが、ここにはそれも無い。


南アルプスの山はアプローチが比較的なだらかで長いのだが、山頂部になると俄然岩場が出現する。この塩見岳も小屋を過
ぎると前衛峰の厳しい岩場に突入する。岩峰の右手をトラバースして今までとは違う刺激的な岩場歩きを楽しむ事が出来る。
ここが北アルプスとは違う所であくまでも楽しむ事が出来る範囲の岩場なのだ。08時00分手前の岩峰=天狗岩を抜ける
といよいよ塩見岳本峰の岩場が眼前に迫る。岩が比較的脆いので落石に注意しながら慎重に岩場に取り付く。


  
 稜線に出ると北岳(左端にちょっと見える)〜間ノ岳〜農鳥岳が見える   塩見小屋とその奥に塩見岳(手前は前衛峰=天狗岩)


             尾根に出ると南アルプスの盟主が並ぶ

  
     手前の前衛峰(天狗岩)に取り付く               結構急な岩場だ  


  
 ルートはしっかりしているのでそう問題はない           前衛峰を抜けるといよいよ本峰(西峰)が迫る

  
   岩場の様子がわかる様にバランス調整              北岳〜間ノ岳を眺める

  
  前衛峰(天狗岩)を振り返る                        岩場が続く

  
   イワツメクサ                                イワギキョウ

  
   山頂部が見えてきた                          ミヤマダイコンソウも紅葉している



塩見岳・西峰 標高 3,046.9m 三角点あり
塩見岳・東峰 標高 3,052m


08時30分「塩見岳西峰」に到着する。ここはちょっと狭いピークなのであまり登山者は居ない。すぐ東側には三角点の
ある「塩見岳東峰」が見え登山者も沢山いる。その向こう側には富士山が雲の切れ間から見る事が出来た。5分程で東峰山
頂を踏みここで私の標高三千メートル峰21座制覇となった。

制覇などと言うおこがましい言葉は適切な表現では無いがまあいいだろう。四国に住む私にとって日本の主たる山々を歩け
た事は山歩きを趣味にしている以上達成感のある区切りである。
雲が2500メートル付近まで垂れこめているが北岳、間
ノ岳、農鳥岳の稜線が見える


  
 08時30分 塩見岳・西峰に到着                    奥の東峰の方が少し標高が高い

  
  西峰には三角点がある                            逆光だが一応記念写真を撮ってもらう


            塩見岳・東峰はすぐ近く  奥に富士山が雲の上に浮かんでいる


      塩見岳 3,052m登頂で 日本の全ての3千メートル峰制覇となった


                     西峰は結構狭いピーク

去年二人で歩いた南アルプス聖岳〜赤石縦走に比べればちょっとスケールが小さいが、まあ65歳の兄弟で今年も塩見岳へ
来れた事で満足しなければならない。やはり日本アルプスは田舎者にとっては特別な場所だ。名残惜しく富士山を眺めた後
西峰へ引き返して下山開始する。


研治の仕事の都合で今日中に下山して新居浜まで帰る事になったので忙しい。下から登山者が上って来るので落石をしない
様に気を付けながら西峰の岩峰を下っているとテン場で親しくなった若者が上って来た。彼は昨日小河内岳へ行ってオコジ
ョに会い喜んで写真を見せてくれたが、今日は仙塩尾根へ進むらしい。


塩見小屋に近づくとヘリコプターが何度も往復して資材を小屋から吊り上げてどこかへ運んでいる。改装作業もそろそろ終
盤を迎えているのだろう。
ハイマツの尾根を下るとシラビソ林となり、そこを過ぎるとナナカマドの紅葉が迎えてくれる。

  
     天狗岩が霧に包まれる                      テン場仲間とすれ違いエールを送る

  
  本峰の岩場を下りて天狗岩へと進む                 ここの岩は赤石岳と同じように紅色をしている

  
  塩見山荘ではヘリコプターが何度も飛来していた              北岳  間ノ岳            農鳥岳

  
        塩見岳(奥)と天狗岩(手前)               本谷山へ向かう  尾根にはシラビソの白骨樹林帯が見える
  
  シラビソ林を比較的長い間歩く                     やはりナナカマドのグラデュエーションに目が留まる


急な坂を少し登ると11時15分「本谷山」へ帰り着いた。そこからの下りに少しお花畑があり朝ウメバチソウの花が咲い
ていたのを探しながら下る。タカネマツムシソウやカワラナデシコが咲き残りハクサンフウロが紅葉させ、マルバタケブキ
の綿毛が揺れている。
左手後方にはもう高い場所に見える塩見岳をダケカンバ越しに振り返りながら歩く。

  
    11時15分 本谷山へ帰り着く                   三角点の露出が凄いぞ

  
    朝は薄暗かったお花畑を下る                   ウメバチソウを探して見つける

  
      マルバタケブキの残骸                      カワラナデシコも咲き残り発見

  
  タカネマツムシソウ                             岩場展望所で烏帽子岳方面を見る

   
  この辺りからも塩見岳が見える                    ゴゼンタチバナ

岩場になるとウラシマツツジが紅葉しているが、去年見た様な鮮やかさは無かった。12時15分朝真っ暗で通り過ごした
「三伏山」へ着いた。山の持ち主、特殊東海製紙の立派な山頂標識があり、この地味なピークでも標高が2,615mもあ
るのだ。


三伏小屋が意外と高い場所に見えて森を進むと見慣れた分岐を通過して12時30分野営地へ帰る。テン場は更に混雑して
おり場所を探している人が居たので「すぐに撤収します」と知らせて周りの登山者と話をしながら片付けにかかる。
南アル
プスの野営地にはとんでもない縦走をする人が居り話をするのが楽しい。また色んなテントがあり興味深い場所でもある。



  12時15分 三伏山  朝暗い内に通り過ぎたので記念写真を撮る バックに塩見岳が見える

  
小ピークの向こうに三伏峠小屋が見える                 12時28分 何度も見慣れた分岐に帰る


    12時30分野営地に帰りテントを撤収  13時15分テン場仲間と別れる


     野営地にはテントが一杯張られていた
  

13時20分野営地仲間に別れを告げて三伏峠を後にする。シラビソの林の中を歩き手製の整備道をひたすら下っていく。
この時期花は少ないのでゴゼンタチバナの赤い実が貴重な彩りとなっている。あとは紅葉とサラシナショウマ、四国でも良
く見かけるカニコウモリ位の様だ。今度は10分の8、10分の5、10分の3と分子が小さくなるのを楽しみに下る。


14時40分右手のトラバース路から一旦左手のトラバース道となり15時10分最後の尾根部休憩所に到着する。ここか
ら右手に尾根を外れて林道へと下って行く。シソ科のミソガワソウらしき植物群の中にあるセンジュガンピ、サラシナショ
ウマを眺めながら15時30分鳥倉林道の登山口へ到着。これで明るい内に高速道路へ出れそうなので安心する。


ノギクやヤマボクチの花を楽しみながら16時10分車に帰り着く。鳥倉林道をクネクネと下り小渕ダム湖沿いから2日前
に通った道を高速道路「松川インター」へと引き返す。この天竜川を挟んで西側に中央アルプスの空木岳から木曽駒ヶ岳の
山々が連なっているのだ。途中、リンゴを長崎へのお土産に買うというので道路際の果物屋へ寄り運転を交代しながら夜中
過ぎに新居浜に帰る。

  
13時20分 三伏峠の野営地に別れを告げる      三伏峠小屋の前を通って下山開始

  
  沢筋のガレ場に設置された木道を通る        野趣あふれた登山道だ

  
 15時10分 最終コル休憩所を通過        15時30分鳥倉林道登山口に下りる

  
  鳥倉林道登山口駐車場は数台のスペースが空いていた 16時10分ラッシュに帰る

夏場の雨続きでスケジュールがコロコロ変わったものの、今年の目標である日本の3千メートルを超える山歩きのフィナー
レ「塩見岳」に兄弟で無事登頂する事が出来て満足だった。


    
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