平成27年5月30日
遠登志(おとし)〜東平・第三広場〜一本松停車場跡〜
魔戸の滝〜林道石ヶ山丈線〜
別子銅山で栄えた銅山峰から西赤石付近には江戸時代からの仲持道、牛舎道、生活道などが入り組んでおりややこしい。
特に石ヶ山丈付近は植林の作業道などもあり尚更である。
先日、むらくもさん達と西赤石〜石ヶ山丈尾根を下り魔戸の滝へ下りる予定だったが、皆さんがお疲れの時にドラマが起こ
ったら大変なのでこのコースを遠慮させて貰った。
東京の兄貴が帰省しており遠登志から東平への道を歩いてみたいと言うのでこれを機会に魔戸の滝へ周回する計画を立てた。
遠登志(おとし)〜東平〜石ヶ山丈分岐〜魔戸の滝〜立川山尾根〜犬返し〜龍河神社(立川)ルート図
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを利用したGPSトラックログ図
石ヶ山丈分岐から魅力いっぱいの魔戸の滝へ
遠登志(おとし)=落トシ 〜東平・第三広場 約1時間45分
07時15分実家を車2台で出発し、一台を下山地である立川の龍河(たつかわ)神社下に停めて鹿森ダム上の遠登志
(おとし)遊歩道入口に停める。
07時45分遊歩道を入り遠登志橋を渡る。元々落トシと呼ばれた様に滝が上流から落ちてくる。橋を渡ると荒れた遊歩
道の石段を上がる。この石段は牛車道の名残と思われる傾斜の緩いもっと荒れた道を避けてショートカットしている。
07時53分県道脇からの登山道と合流して、そこからも緩やかな牛車道をショートカットする急な上りが続く。この辺
りは鉄塔保線路にも共用されている様だ。
08時20分尾根を回り込む上部で広い水平道に合流して川の左岸を進むとすぐに「鉱水路会所」跡の煉瓦に出合う。
ここは後の端出場から下部鉄道沿いの鉱水路が始まるまで東平から毒性のある鉱水を川に流さない様に端出場〜山根〜
新居浜の収銅所・沈殿への水路があった所だ。
彼らはこの道を歩いていたのだろう。
07時45分 遠登志遊歩道へ入る 遠登志橋を渡る
小女郎川の谷底 奥の遊歩道石段を上がる
鹿森ダムからの登山道(道路横からの道)と合流 更に石段を上がる
広い牛車道、生活道を進む 08時20分鉱水路会所跡を通過
08時26分左手下に煉瓦の廃墟が見える。東平から端出場までの索道をこの場所で少し方向転換する為の中継所だった
らしい。今は藪の中に寂しく残っており、そこまで下りる場所さへ定かではない。
しばらく進むと標識があり、その場所から細尾根が左へ延びている。様子を見に細尾根へ進むと索道の支持鉄塔基部の様
なものが2基見られたがその奥は何も無かったので引き返す。
すると切り通しがありお地蔵さんが祀られていた。左手は奈落の様な沢に滝が落ち込んでいる。沢歩きには絶好の場所な
のに遡行困難な沢とされている訳を見た様な気がする。
09時03分沢を渡る鉄橋があり、そのまま進むと東平へ出るのだが、今日は橋を渡って第三広場へと進む。ガレ場や竹
林を抜けると上側に東平の貯鉱庫が見えるので東平の横を通っているのだとわかる。整備された木の橋を渡ると9時20分
右手に落差のある滝が見える。東平から第三広場まで歩いてもこの谷が余りにも深いので滝がある事はわからない。
第三広場が近づくと石垣などが現れるがとても荒れていて道がはっきりしなくなる。無理やり突破すると09時30分第三
広場に這い上がった。
08時26分 東平〜端出場間 索道中継所跡を左下に見る
所々に草が生えているもののしっかりした道が続く 標識がある場所に谷へ向かって細尾根があった
細尾根にあった索道支柱跡だろう 多くの人が通った東平からの生活道
切り通しに祀られたお地蔵さん 左手は深い谷と滝
09時03分 東平分岐に着く 左に鉄橋が見える 沢に架かる橋を渡る
沢が近くなり杜仲で竹藪なども出て来る ガレ場が現れる
ガレ場から東平が見える 昔は大きな橋が架かっていたんだろう
東平から第三広場へ行く道からは見えない滝が対岸から見える ここにも会所がある
ここにも何かの施設跡の石組がみられる 09時30分 東平・第三広場に這い上がる
第三広場〜一本松停車場跡〜上部鉄道〜石ヶ山丈(いしがさんじょう) 約1時間30分
第三広場から上部鉄道・一本松停車場跡まではいつも通っている道で30分程で上がる。
儒部鉄道の下り半分を歩くのは久しぶりだ。次から次へと現れる沢に架かる鉄橋を渡ったり下から眺めたりしながら歩く。
デカい紫石に来ると約半分の行程通過の目安になる。
10時48分蒸気機関車が煙を吐きながら走る写真で良くお目にかかる切り通しを通過して地獄谷を過ぎれば石ヶ山丈駅跡
の広い空間に入る。
上部鉄道歩きに関しては今回簡略しておりますので詳しいエントツ山の上部鉄道跡全線歩きは ここ
10時12分 第二岩井谷の仮橋を渡る 第二岩井谷は滝がある
第一岩井谷 東平が見える 三の森、二ノ森、一ノ森 奥は沓掛山
10時28分 中間地点の紫石 ここの落石は迫力がある
10時50分 上部鉄道の名物 切り通し これが有名な切通しを通る蒸気機関車の写真
地獄谷まで来ると石ヶ山丈は近い 11時04分 石ヶ山丈駅跡 初めての休憩を5分取る
いよいよ今日の本題 !!
石ヶ山丈分岐〜魔戸の滝・造林小屋分岐〜魔戸の滝〜滝登山口 約1時間
石ヶ山丈駅跡のプラットホームで少し休憩をする。修一兄貴のメロンパンを半分づつ食べて分岐へ移動
本番だと気合を入れる。
石ヶ山丈(いしがさんじょう)分岐とは
して重要な場所である。
1)西側へは今歩いて来た上部鉄道が一本松停車場跡〜兜岩登山道分岐〜角石原(銅山峰ヒュッテ)を経て銅山峰へと続く
2)東側には今から歩く魔戸の滝・西種子川造林小屋ルートの分岐へ至る。
3)南へ石ヶ山丈尾根道を経由して兜岩〜西赤石山へ至る
4)北へ下りると旧端出場発電所貯水池(沈砂池)を経由して立川山尾根の犬返し〜生子(しょうじ)山・煙突山へ至る。
11時15分 石ヶ山丈分岐に到着 沢山の標識が見られる
石ヶ山丈分岐から魔戸の滝へのルート解説
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(地図画像)を使用したものである
カシミールソフトを使ったGPSトラックログ図
分岐標識から水平道を東に進むと途中で道が無くなって、地図で少し上部にある破線を辿って藪斜面を何とか魔戸の滝登山道
上部へ合流した事がある。
分岐標識通りに東に進むと10分で林道が消える
11時15分分岐標識を東へ進む。まるで上部鉄道の続きの様な広い道が続く。
道が突然無くなった。地図で見るとここから魔戸の滝登山道まで距離にして600m程だから斜面を等高線に沿って真っ直
ぐ進むと修一兄貴に宣言して斜面に入る。
11時15分 分岐を東へ出発 広い水平見道が続く
5分程進むと沢部を通過 左の仮橋は渡れない 10分程で道が切れて、左下側への林道へ下りる事になる
下側の林道を分岐付近まで引き返して見る
が・・・少し進んで下を見ると林道らしき物が見えるではないか! 斜面を下がると広い林道に飛び出した。 あれ?
そこでこの林道を元に帰って調べる事にした。少し引き返すとテープがあって、左上へ導いている。ここをほんの少し上が
ると先ほどの行き止まりに出た。何てこった!
この下の林道がどこに続いているのか石ヶ山丈分岐方面に引き返す事にした。道を探す事には修一兄貴も興味があるので助
かる。
ら旧端出場発電所貯水池へ少し下った岩のある所に林道が突き当たった。林道もここで切れているが、この辺りが少し荒れ
ているので一見林道があるとは思えない景色だ。
下側の林道を分岐方面に引き返すと左上に先程通った沢の橋が見える 少し藪だがしっかりした道だ
11時37分 石ヶ山丈分岐の直下に着いた 石ヶ山丈分岐の下側にもう一つ東へ進む林道があったのだ
前方の大岩を左に巻いて下ると石ヶ山丈「貯水池」へ至る 少し荒れているので林道があるとは思えない
石ヶ山丈分岐から魔戸の滝上部分岐まで約15分
要するに石ヶ山丈分岐から一段尾根を下がった場所から東へ延びた林道(少し荒れ気味ではあるが)からスタートすれば一
直線で魔戸の滝上部へ出る事が出来たのだ。
すっきりした気分で11時40分ここから再出発し足早に10分程歩くとこの林道の終点が魔戸の滝上部の登山道合流地点
だった。この辺りは植林をして間もないと見えて幼木杉がたくさん生えており、作業の痕跡が至る所にある。
魔戸の滝上部登山道は更に上側へ延びているが、一段下に下がると例の「鉄製分岐標識」に出た。ここから下には魔戸の滝へ
又、斜面に沿っては西種子川造林小屋跡への下側道が延びている。
ここへむらくもさん達をご案内出来なかった事を情けなく思った。すんません
下の道は上側の道と合流して東へ延びる 途中から林業作業道となる
11時50分 石ヶ山丈分岐からの林道の終点となる テープは林業作業用だ
尾根筋を覗くと上側へ踏み跡が延びている 尾根の下側は以前歩いていた魔戸の滝尾根ルートだ
ここは岩ぽい尾根より左へトラバースする ちゃんと道が付いている (左は植林作業場となっている)
11時54分 お馴染みの魔戸の滝上部分岐場所だ 標識の文字は魔戸の滝以外は錆びて読めない
魔戸の滝上部分岐〜西種子川・魔戸の滝登山口 約 40分
以前、この魔戸の滝ルートをライトも無く月明かりを頼りに下りた事を思い出しながら急な斜面を下る。昼間なら踏み跡や
テープなどがあり全く問題ない。12時00分懐かしい大岩展望所へ出て下を眺めるが木々が生い茂って以前より眺めが悪く
なっていた。
右側に滝の音を聞きながら急なルートを踏み跡に沿って下りると12時22分魔戸の滝に着いた。水量も豊富で美しい滝に
修一兄貴も感動している。以前夜にここを下りると黄色いライトを照らした釣り人がいる。こんな夜に?と揺れるライトの
滝壺に近づくととす〜〜っと居なくなった。どうも月明かりが水面か石段横の保護ポールの頭に反射してたのだろう。怪談
話は人間の闇への恐怖心から来る錯覚、見間違いに因るのだろう。
美しい緑に覆われた岩盤から流れ落ちる滝を十分堪能してそこから10分程下って魔戸の滝登山口へ到着した。
最初は岩尾根を少しだけトラバースしながら下る この尾根にある岩が通過ポイントだ
12時00分右手に見晴らし大岩がある場所を通過 大岩の端へ出るが見晴らしが悪くなっていた
踏み跡に従って進む ここはテープも随所に現れる 尾根を少し外れて左側斜面へルートが変わる
傾斜が急な斜面もある これも通過のチェックポイントとなる根上がり樹
最後はなだらかな笹斜面を右に回り込む おおっ 滝が見えた〜〜
魔戸の滝 = 窓の滝
実家にある角野公民館の発行した「角野のあゆみ」の中にこの魔戸の滝についての記述があったので引用させて頂きます。
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「種子川山西谷川の魔戸の滝(奥の樽淵)は、「東の樽」「西の樽」「中の樽」の3つからなります。これを土地の人々は
「樽(たる)」または「樽淵」と呼んでいます。
この滝へ行く途中の峠は、上が窓のようにくり抜かれており、そこからこの淵を見ることが出来るので、人々はその場所を
「窓」と名づけました。その後いつの間にか、この淵の名を「窓の滝」→「魔戸の滝」と呼ぶようになったのだそうです。
さて、この淵の東の樽には竜、西の樽には大蝦蟇、中の樽には龍王様が棲んでいました。
ある年、日照りが続き井戸はもちろん川も谷も干上がってしまい、一滴のお水もなくなりました。麓(ふもと)の人々は、
一斗樽を背負ってこの滝壷に登り、龍王様にお水を頂いて帰ったことから、誰言うともなしにこの滝壷を「樽淵」と呼ぶよ
うになったのだそうです。
この3つの淵は、どんな日照りでも水の尽きることのない不思議な淵でした。ところがある年、非常な旱魃が続き、田畑の
作物がすっかり枯れてしまうという危機に見舞われたのです。
美しい娘を選んで献上することになりました。
選ばれたのは、ふもとの川口の里に住む百姓・彦兵衛さんの娘「お百合」でした。村一番の器量良しだったお百合は、お盆
の15日に樽淵の龍王様の元へ送り届けられる事になったのです。
やかに囃し立てながら登っていったそうです。
行列が「中の樽」に到着したとき、青々と鏡のように澄み切った樽淵には、美しく着飾った姫たちに囲まれた龍王様が、船
に乗って立っていました。姫たちに手を引かれ、龍王様の側へ立ち並んだお百合は、それは美しく、まるで竜宮の乙姫のよ
うだったそうです。お百合は白い手を振って村人たちに別れを告げると、龍王様や姫たちと共に青い水底へ姿を消して行き
ました。
それから間もなく、空が俄かにかき曇ったかと思うと大雨が降り始め、田畑の作物も蘇りました。村人はお百合に感謝し、
「中の樽」に龍王様を祀ってその側に「百合姫大明神」という祠を建て、懇ろにその霊をなぐさめたということです。」
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何故竜神に捧げる生贄が美人でなければならなかったのか良くわかりませんが日本中にこんな昔話が残っています。
滝は三段になっており上から上樽・中樽・下樽と呼ばれて下樽の落差は40mで水量が豊かな美しい滝だ。新居浜の三大名滝
の一つで他には大生院・渦井川の「銚子の滝」と国領川の「清滝」がある。
これが新居浜の三大名滝の一つ 魔戸の滝 (窓の滝)・下樽 だ
西種子川に沿って下る 12時32分 魔戸の滝登山口に到着
ここの川は「西種子川」(にしたねがわ) 橋の名前は「樽ワ淵橋」だ 窓の滝は別名「樽ワ淵」だろう
魔戸の滝登山口〜鉄塔尾根〜犬返し〜龍河神社分岐〜龍河神社 約2時間
12時33分魔戸の滝登山口を出発して種子川林道を下る。この種子川林道は少し下で尾根部に近づき、そこが大崩落をして
現在通行止めになっている。でもこれは斜面の補強工事をしている関係で、実際工事をしていない週末には林道自体は通行可能
なので車が入って来ている様だ。
12時41分「林道石ヶ山丈線」へ入ると15分程で林道が尾根へ続く鉄塔保線路を兼用した林道となる。おそらくこれも昔
牛車道だったのを林道に利用したのだろう。この辺りから尾根部までは結構広いので思ったより歩くと遠く感じた。
魔戸の滝登山口に車が? 週末ならではの車進入だ 林道石ヶ山丈線、ここから石ヶ山丈貯水池跡まで続く
目指す立川山の犬返しピーク 鉄塔尾根への分岐 右へ進む
13時05分崩壊地上部の尾根に出る。四電のデカい鉄塔はすぐ近くに立っているので危うく崩壊を免れてホッとした事だろう。
鉄塔からちょっと荒れ気味の尾根に進むがすぐに快適な道となる。すぐに三等三角点「種子川山」を通過するが、ヤマツツジが
鮮やかに咲いている。
尾根に近づくとチェーンが張られている 崩壊地から眼下の種子川林道を見る
崩壊地から石ヶ山丈を眺める 13時12分 三等三角点「種子川山」
13時21分犬返しのとっかかりである岩壁を這い上がり一旦コルを巻いて更に犬返しのピークに出る。この犬返しピークは角野
地区から見ても一際飛び出した地形なので良く分かる。
く見える。
13時35分「種子川林道」の分岐標識が右手の木に取り付けられている。どうも種子川林道のヘヤピンカーブにあった「犬返し」
標識の場所へ下がるのだろう。
犬返しのとっかかり岩を上る 前方に犬返しのピークが見える
岩場を左側(西)からトラバースする 西側から犬返しピークに這い上がる
左が串ヶ峰 右が石ヶ山丈尾根 種子川林道分岐(反対側から撮った写真) 進行方向の右手にある
四電西条線20番鉄塔 (尾根に入って2つ目の鉄塔) 13時40分 龍川神社分岐を左に折れる
以前一度煙突山からここまで散歩してこの道を下ったが結構途中から怪しくなるがその時は曲がりながらも龍河神社へ下り立った
事がある。
てそれを下ると14時03分左に四電保線路、右に住友共電保線路の分岐に出た。
植林地帯をジグザグに下りて行く ルートが分かりにくい竹藪を通過 枯れた笹の葉で滑りやすい
正解はここを左へ四電保線路を進むべきだったが、道なりに右へ下ってしまい少し遠回りをして14時35分龍河神社の石段を下
がりデポして車に帰り着いた
14時03分どちらか迷って住友共同電力の保線路(右)へ進む 竹林を抜けて道が続く
足元が掘れこんだ荒れ気味の道が続く 14時21分 林道へ着く
立川部落の上側を通る林道だ 14時35分 龍川神社の参拝道を下りてデポした車に帰る
今回のメインは石ヶ山丈分岐から魔戸の滝上部分岐までのルート検証だったがこの目的は案外簡単に達成する事が出来た。
後はこの魔戸の滝上部辺りのややこしい林道、つまり石ヶ山丈尾根の東面の道を解明する事になる。